ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:Uranus-C

2024年9月7日、7月に続いて今年2回目の飛騨コスモス天文台での観望会です。

でもこの日の富山は朝からどん曇り。天気予報は富山はまだ晴れですが、コスモス天文台のある数河高原はほぼ曇りで時々晴れですが、時間と共に予報が悪くなっている様子。「富山でこれだと何も見えないな」と思いながら、「もしちょっと見えたらくらいで、まあ機材も最低限でいいか」とほぼ普段車に積んであるような機材だけにします。あ、子供用に一応スコープテックの6cmの屈折だけは載せました。

ところが、国道41号線を南下するに従って、結構青空が出てきてます。現地に着いた頃には、多少雲がところどころにぷかぷかしてましたが、なんとほぼ一面青空です。「しまった、撮影機材持ってくればよかった」と思いながらも、もうどうしようもありません。

その後まだ壊れていたドームの修理をするのですが、この日は絶不調で元の配線を記録し忘れるという体たらく。途中でかんたろうさんがきて、モーター関連の配線を説明してくれて事なきを得ましが、下手したら開けたドームが閉まらなくなるところでした。でもドームのチェーンが噛みかけていて負荷が大きくて、結局修理に至らず。ちょっと別の方法を考える必要がありそうです。

そんなこんなで、ドームの外に出たらもう結構暗くなりかけていて、細い月がもう沈む少し前くらいになっていました。早速準備を始めます。とりあえずスコープテックの屈折で月をすぐに入れて、少しだけ見てもらいますが、程なくして低空の雲で見えなくなってしまいました。


少しだけ電視観望

その間に、電視観望の準備です。機材は限られていて、いつものFMA135にCBPとUranus-Cをトラバースに乗せます。PCはM1 Macの仮装WindowsでCMOSカメラに繋ぎます。PlayerOneのカメラならもう観望会でお客さんがいたとしても、完全実用レベルです。早くZWOもARM  Windowsに正式対応してくれるといいのですが。Macは画面が大きくて映りがやはり綺麗だし、バッテリーがかなりもつので、電視観望用途で改めてWindows  PCと比べると、かなり使い勝手がいいです。この日の準備はサクサクっと、10分もかからなかったでしょうか、M27を入れて声をかけると人が集まってきました。

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といっても、この日のお客さんの数はそれほど多くはなく、全部で10人程度だったでしょうか。途中天気がいいのでもっと集まるかと思ったのですが、意外に少なかったです。Stellariumを使って、M27がどれくらいの大きさかを実感してもらいます。Stellariumで見える夏の大三角と、実際の空で見える夏の大三角を比べてもらい、M27の位置と大きさをStellarium上で確認してもらいます。Stellariumには今使っている鏡筒の焦点距離とカメラのセンサーの大きさを入力することで 、今見えている画角をStellariumの画面上に赤い四角で示すことができます。その資格の範囲をM27に合わせてStellarium上での見えたものと、実際の電視観望でSharpCap上に見えた形がほぼ一緒なことがわかると、見ている画角の実感が湧いてきます。M27はM57とかに比べたらかなり大きいのですが、夏の大三角の大きさと比べるとそれでも目で見るには小さすぎることもわかります。それを口径わずか3cmの、ミニ三脚とトラバースに乗せた、すぐに蹴飛ばされそうな地面に転がっている小さな望遠鏡で見ているというのが、これまたインパクトがあります。

Stellarium上でちょうど北アメリカ星雲が見えたので、次は北アメリカ星雲に移ります。北アメリカ大陸の形をネットで画像検索すると、皆さんすごく納得していました。でも、なぜが画面に映る北アメリカ星雲がいまいち見栄え良くありません。今環境ならもっとくっきり見えていいはずなのにと思って、改めて空をよく見たら少し雲がかかり始めています。「あー雲が出てきてますね。」とか言っていたのも束の間、雲がどんどん濃くなり、ライブスタックでも星を認識できなくなったようで、画像をドロップし始めました。

かんたろうさんが「ドブでまだM27が見えている」と言っているので、眼視と電視観望と比較してもらおうと思い私の方でもM27を入れたのですが、もうかなり見えにくくなっています。私がM27を入れている間に「眼視の方で確認してきてください」と勧めたお客さんも、結局眼視でも見ることはできなかったみたいで、それ以降は雲が一面を覆ってほとんど何も見ることができなくなってしまいました。


ちょっとだけ土星

かろうじて東の低空がまだひらけていたので、ちょうど出始めていた土星を見てもらうことにしました。2つ穴ファインダーのスコープテックで導入しますが、かんたろうさんの45cmドブの方が導入が早くて「負けたー!」となってしまいました。敗因はちょっと雲がかかっていたので土星もそこまで明るくなく、二つ穴ファインダーだと穴を通して見るには少し辛かったことです。かんたろうさんの星座ビノファインダーは多少なりとも倍率があり明るく見えるのが有利なのだと思います。

土星は口径6cmの屈折でも、小さいながらもまだ綺麗に見えました。輪っかもかなり細いですが、きちんと見えています。その土星も程なくして見えなくなってしまい、もうまったりモードで話し始めます。


ゲストがお二人

この日は飛騨地方のFMラジオ曲のアナウンサーの方が来ていました。事前情報によるとかなり綺麗な方らしいのですが、真っ暗な中なのでほとんど認識できず。まあ、天文あるあるですね。今回は赤道儀の使い方を学びたいということで来てくれたのですが、あいにくの天気で次回以降に持ち越しです。この方、星空案内人の資格を持つほど星好きな方で、近くの近くの道の駅にある「カミオカラボ」にも行って、ラジオで紹介したりしているとのことです。
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というわけで、この日のもう1人のゲストはそのカミオカラボの解説スタッフの方です。ご存知の方も多いかと思いますが、この飛騨地方は山の中に宇宙物理の一大研究施設群があり、このカミオカラボでは展示されている実験装置などを通してその内容を知ることができます。この方、物理出身とのこと。私も物理出身なので、天文界隈での肩身の狭さについて妙に話が合って、ずいぶん盛り上がりました(笑)。


天体写真で盛り上がる

雲がかかってからは、そのゲストお二人と、来てくれていたお客さんも一緒に、かんたろうさんの「何か見せるものないの?」という提案で、天使観望用に使っていたMacをテザリングでネットワークに繋ぎ、私がブログにあげた写真を見ながら、会話を楽しみました。今回見たページはこのブログのトップバーからもリンクが貼ってあるここ「Nebula」になります。


このページは私がこれまで撮影した天体をまとめてあります。

メシエ順、NGC順、IC順とかになっていて、一番最初のM1:カニ星雲はここ飛騨コスモス天文台に以前据え付けてあった口径25cm、焦点距離3000mmのニュートン反射型鏡筒で撮影したものなので、この場で見せると臨場感があります。

M27:亜鈴状星雲はこの日電視観望でも見えていたもので、露光時間を増やすと蝶の羽みたいな模様があることを説明します。かんたろうさんは眼視で見た時にどうやって導入するかを解説してくれました。「や座」の先端の星から90度曲がると導入できるとか、近くに小カシオペアの「W」の字が見えるとかです。ちょっと電視観望がどうなっているか見てみたら、雲が少し薄くなったのか、かろうじてですがM27が映っています。電視観望だとリアルタイムで見ることになるので、実際に見ている方向を望遠鏡が指している方向で確認するなど、こちらも臨場感があります。電視観望の画像では、上の画像にもあるような、小カシオペアのWの上の3つの星が見えているのがわかりました。

M31:アンドロメダ銀河の所では「今日晴れていたら肉眼で見えるかアンドロメダ探しができたのに...」とか、M45:プレアデス星団とその拡大図のところでは、スバルのことを知っている人も多くて「青色が綺麗
!」とかの感想が聞こえてきました。

他にも馬頭星雲魔女の横顔など、名前と星雲の形を比べることで皆さん興味を持ってくれるようです。M78星雲のところでは鉄板のウルトラマンの故郷の話をして、元々はM87の設定だったこと、M87がブラックホールでジェットが出ていて、ジェットもかろうじて見えたことなどにつなげます。

おとめ座銀河団のところではアノテーションの画像を見せて、なぜ乙女座の方向に銀河がたくさん見えるのかをクイズとして出しました。お客さんはもちろん、ゲストのお二方にも考えてもらいました。答えは「天の川の方向は星がよく見える」ということですね。逆の言い方をすれば、「天の川のない方向には星があまりないので、『星に邪魔されずに』銀河がよく見える」ということです。物理の人ってあまりこういったこうとに興味がないことも多くて、カミオカラボスタッフの方も答えられませんでした。私も星を始めてから得た知識です。ここからさらにかんたろうさんが、「おとめ座は春の方向ですが、じゃあなぜ秋の星座の方向には銀河があまり見えないのでしょう?」というクイズを出してくれました。これは私も知らなくて聞いてみたら「我々の銀河はおとめ座銀超河団(局部超銀河団ともいうらしいです)に属しているけれどもかなり端の方にあり、よく銀河が見える方向がその銀河団の中心方向、反対側はさらに端の方を見ていることになる」ということでした。さすが天文暦30年以上というだけあって、かんたろうさんは色々知っています。


結局晴れずに撤収

天体写真を見ながらの話が散々続いたのですが、それぞれの写真のところで色々話が盛り上がるので、結局小一時間話していたことになるでしょうか。最後アイリス星雲の写真で「アイリスはあのアヤメのアイリスか?」という質問が出たりで、締めとなりました。最後に「星が見えなくても、こうやって話を聞けると来た甲斐がある」というようなことを言ってくれた人がいました。天体写真だけでこれだけ長く話すことはあまりないのですが、私も意外なほど楽しめました。

21時半頃だったでしょうか、その頃にはうっすらと星が見えている方向もありましたが、結局観望するまでには至りませんでした。一部の人には星座ビノを使ってもらって、雲があっても方向によっては目で見えない星が星座ビノだと見えるということを実感してもらいました。

その後も晴れることはなく、ずっと厚い雲のままで、お客さんも少なくなってきて、22時には撤収となりました。前回の「謎の鳴き声事件」と次の日の昼間の「隣のグランドでの熊目撃事件」のこともあるので、少人数で長居するのはちょっと怖いです。

帰り道、夕飯を食べてないことを思い出し、自宅近くの24時間営業のすき家で「月見すきやき牛丼」の大盛りを食べて満足して自宅に戻り、富山の空も曇っていることを確認してすぐにベッドに潜り寝てしまいました。今年は雨も多く、なかなか晴れてくれませんね。


まとめ

せっかくの観望会でも曇り空でほとんど見えなかったですが、天体写真を用意しておくと、それだけもかなり盛り上がります。その際、画面はできるだけ大き方がいいでしょう。今回はMacBook Proだったので、そこそこ大きな画面でした。Macはバッテリーの持ちが長いので、電視観望していても、それを切り替えて他の目的に使ったとしても、あまり気を使う必要がなく長く使えるのがいいです。


最近VMwareのProが個人利用なら無料になるというニュースが流れてきました!


MacのCPUがまだIntelだったころは、Boot CampやParalles、VMware、VIirtualBoxと、仮想化ツールを使っていました。電視観望では別のWindows PCを持っていくのですが、再起動して立ち上げるBoot Campや、VMwareからBoot Camp領域にアクセスした仮想PC上で電視観望を敢行したこともあります。

でもM1 Macを使い出した当時からBoot Campは全く使えなくなり、仮想でもArm対応だけで、一般のソフトの対応はあまり進んでいないという状態でした。でも今回調べてみたら、どうやら特殊なソフトでない限り、一般のソフトは結構普通に動くということのようです。これは再びMacでSharpCapを使っての電視観望で使えないか、また試したくなってきました。私はお客さん相手の観望会の時は、トラブルがあることを考えてWindows PCを2台持っていくことにしています。MacでSharpCapが動くなら、少なくとも持っていくPCを1台減らすことができます。


VMware Fusion

VMware Fusionのインストール自身はいくつも記事が出ているので、ここではポイントだけ書いておきます。ちょっとクセがあり面倒です。以下のページがわかりやすかったです。


WMwareをダウンロードする際に、アカウントを別途作る必要があること、その際住所などを書かなければならないことがちょっと抵抗がありましたが、これはしかたないでしょう。元々VMwareを使っていたので、昔のアカウントがあるかと思っていたのですが、どうも残っていないようで、結局新たにアカウントを作り直しました。

Windows自身は指示に従ってVMware上でダウンロードするのが楽だと思います。私は上のページに辿り着く前にここを見てしまい、別途Windowsをマニュアルでダウンロードしました。


あと、VMware Toolsが上のページに書いてある方法そのままではうまくいきませんでした。VMware Toolsが入っているisoイメージをあらわにマウントしてやる必要があり、次のようにしました。
  1. Macの「アプリケーション」フォルダ内のVMware Fusion.appを右クリックして、「パッケージの内容を表示」でContents -> Library -> isoimages -> amd64を開き、その中にあるwindows.isoをデスクトップなどにコピーします。
  2. VMwareのメニューの「仮想マシン」から「CD/DVD(SATA)」 -> 「ディスクまたはイメージを選択」で先ほどのwindows.isoを選択
  3. 再びメニューの「仮想マシン」から「VMware Toolsのインストール」を選択して、出てくるダイアログで「Setup.exe」を実行することで、ビデオドライバーやネットワークなどがインストールされ、画面の解像度を変えることができたり、やっとネットワークに繋ぐことができるようになります。

ここまでくれば、もう普通のWindowsと同じです。CMOSカメラのドライバーをインストールしたり、SharpCapをインストールしたりしましょう。必要ならASCOMプラットホームやASCOMドライバーもインストールします。

さて、必要そうなドライバーやソフトのインストールまでは普通にできました。まずは実際にArm版のWindowsで各種ソフトが立ち上がるのでしょうか?ドキドキですが、SharpCapを立ち上げてみます。

おっ!普通に立ち上がるようです。とりあえずカメラが手元になかったので、仮想のテストカメラを選択してみますが、これは少なくとも普通に動くようです。Arm版でも普通に立ち上がるんですね。これだけでもすごいです。

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Arm Windowsですが、まずはSharpCapに付属の仮想のテストカメラで、問題なく動きました。


カメラの認識がちょっと大変

さあ、次はカメラを用意して実際に接続してみます。USB機器を接続した時に、Macに接続するか、Windowsに接続するか聞かれます。ここはもちろんWindowsです。「ピロン」と音が鳴って、接続されたことがわかります。

次にSharpCapを開いてカメラの接続を試みようと思いますが、ここで問題発覚です。カメラが全く認識されていません。

カメラは電視観望でいつも使っているPlayerOneのUranus-Cです。ここでPlayerOneのサイトに飛んで上部の「Service」の「Driver and Software」のところを見てみると、なんと(2024年6月4日現在)「Camera native driver on Windows11 on arm (Windows11 in Parallels on Apple silicon Mac)」とあるではありませんか!早速リンクをクリックしますが、出てきたページによるとドライバーインストールの前に注意があるみたいで、どうやらドライバーの署名を強制的にオフにしなくてはダメなようです。


ドライバー署名オフ

ドライバーの署名のオフ説明画面に沿って進めればいいのですが、英語なので一応日本語に相当する部分を書いておきます。
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下の4.のところの画面です。

  1. まずはWindowsの「設定」を開きます。今回入れたのがWindows11で普段はまだほとんどWindows10なので少し戸惑いますが、画面下部のタスクバーの中央のWindowsマークのスタートボタンを押すと出てくる、ピン留め済み一覧の中の、ギヤマークの「設定」を押します。ピン留め一覧に出てこない場合は右上にある「すべてのアプリ」を押して、「さ」行から「設定」を探して押してください。
  2. 最初に選択されている「システム」の中の、「回復」を押します。少し下の方にあるので気づきにくいかもしれません。その場合は少し下にスクロールさせてみてください。
  3. 「PCの起動をカスタマイズする」のところの「再起動」を押します。
  4. しばらく待って出てきた「トラブルシューティング」「詳細オプション」「スタートアップ設定」の順に進みます。ここで一度再起動します。
  5. さらにキーボードの数字の「7」を押すか、キーボードの「fnキー」を押してからそれを離すことなく「F7キー」を同時に押します。
  6. その後、再ログインするとやっとドライバーの署名がオフされた状態になります。
  7. 元のページの一番下にあったArm用のカメラドライバー(2024年6月4日現在でバージョン1.3.12.12)をダウンロードし、展開してインストールします。
  8. その際、「ドライバーソフトウェアの発行元を検証できません」とか出ますが、無視して、下の「このドライバーをインストールします」を選択します。
ちなみに、これらの署名オフの過程はドライバーをインストールする前にWindowsを再起動してしまった場合は、ドライバーの署名強制的にオフが解除されるので、また最初からやる必要があるそうです。


まだカメラが認識されない

ところがです、ドライバーインストール後すぐにSharpCapを立ち上げたのですが、まだ認識されませんでした。どうやら一筋縄ではいかないようです。PlayerOneのページにParalles用のドライバーとかと書いてあったので、もしかしたらVMwareでは動かないのかとあらぬ疑いを持ってしまいます。でも普通に考えたらArmで動くか動かないかがポイントで、それを動かす仮想のベースは関係ないはずです。

ここでZWOのカメラはどうなのか試してみました。まず普通にZWOのドライバーページからカメラドライバーをダウンロードしてインストールしましたが、これは予想通りで、カメラは全く認識されません。ZWOのページにはまだArm対応のドライバーは見当たりません。いろいろ検索してみると、ZWOのフォーラムの中に2021年ごろからArmに対する議論が活発になされていることがわかりました。2021年の初期の頃はRossetaを使ってMacOSの上で走らせたIntelベースのASIAirで動いたとかが議論の中心でしたが、途中2023年2月頃にArm用にドライバーをビルドできたとの報告がユーザー側から出てきます。その後いくつかビルド済みのドライバーがアップロードされていますが、PlayerOneの時と同様な署名オフ問題が存在してるようです。「しているようです」というのは、どうもこれらのドライバーはフォーラムにログインしなくてはダウンロードできないようで、唯一2024年4月24日の投稿にあったこのページがgoodleドライブ上にアップロードしてくれていて、ダウンロードすることができました。このドライバーは署名オフ問題を回避してあるらしいのですが、私は回避状態でインストールしてしまったので、確認は取れていません。

さて、このドライバーもPlayerOneのArm用ドライバーと同じように、普通にインストールはできたのですが、それでもやはりSharpCapで認識されません。どうもドライバーの問題というよりは、何かPlayerOneとZWOで同じような問題が起きているような感触です。ここで一旦諦めました。


ドライバーのマニュアル更新: PlayerOneの場合

冷静になってしばらく考えて、デバイスマネージャーで見たらどうかと気づきました。そういえばZWOのフォーラム上でもデバイスマネージャーのスクリーンショットが出ているのを思い出しました。やった手順を書いておきます。
  1. Windwos11のスタートボタンを右クリックして「デバイスマネージャー」を押して開きます。
  2. この状態でUranus-Cを繋ぐと「不明なデバイス」のところにでてきます。これはおかしいです。フォーラムの中のスクリーンショットによるとカメラは「イメージングデバイス」に振り分けられるはずです。
  3. 右クリックして「ドライバーの更新」を選び、「コンピュータを参照してドライバーを検索」を選びます。
  4. 次は「コンピュータ上の利用可能なドライバーの一覧から選択」を選びます。
  5. 次の画面の「互換性のあるハードウェアを表示」オプションは外してください。そうすると(上でPlayerOneのArmドライバーがインストールされている場合は)「PlayerOne」の選択肢が出てきて、それを選ぶとカメラの選択肢が出てきます。私の場合は手持ちがUranus-Cなので「POA Uranus-C Camera」を選びます。
  6. 「ドライバーをインストールしています」と出て順調に行くかと思いきや、ここでまた問題が発覚です。「デバイスのドライバーのインストール中に問題が発生しました」などと出ます。
  7. また失敗かと思いきや「閉じる」を押しますが、デバイスマネージャーを見ると今度はきちんと「イメージングデバイス」にUranus-Cが移動しています。
  8. もしかしてと思い、SharpCapを立ち上げてメニューの「カメラ」で確認すると、何とUranus-Cがきちんと出てきています。
  9. 実際にカメラを選択して接続完了後に画面を見ると、きちんとカメラで写した画像が出てきました。ROIを最大画角で見てもフレームレートは46fpsくらい出ていてます。スピード的には十分で、少なくとも電視観望レベルで問題になるようなことは全然なさそうです。
あ、SharpCapでカメラに接続時に1-2度フレームレートが0のままや、上がらないことがありました。USB接続の不良(2.0で繋がってしまったとか)もありますので、繋ぎ直すと解決することがあります。私はケーブル再接続で直り、その後は何度か繰り返しましたが全く問題なく安定に動いています。

というわけで、問題は接続したカメラにドライバーがきちんとあてられておらず、ドライバーを更新して手動であえて正しいドライバーを選択してやる必要があったということです。でもこのような問題は、いずれ時間と共に解決するはずなので、今だけの問題なのかと思います。


ドライバーのマニュアル更新: ZWOの場合

さて、PlayerOneのカメラは上のようにすればOKだったのですが、ZWOはさらにひとひねり必要でした。ドライバーがきちんと当たっていないのは同じなので、上の3までは同じです。4のところで今度は「コンピュータ上のドライバを参照します」を選び、ZWOのArmドライバーがインストールされたフォルダ、例えば私の環境では

C:\Program Files (x86)\ZWO Design\ZWO_USB_Cameras_driver\driver\arm64

を選択します。要するに、まだWindowsのシステム内にもドライバーがうまくインストールされていないみたいです。今のところはユーザーがビルドしたオフィシャルでも何でもないドライバーなので、ある程度は仕方ないですね。

これで上の6以降に合流し、同じように文句は出ますが、「イメージングデバイス」に移動しているはずです。これでSharpCap上で接続(今回試したのはASI294MC)して、画面にきちんと像が出てくることを確認できました。フルサイズで12fpsくらい出ているので、仮想OSで動かしていると考えると、こちらも十分な速度かと思います。


Window再起動後の問題

ところがところが、まだ問題が残っています。Windowsを再起動すると、どうも署名オフの効果が消えるみたいで、ZWOのカメラのみ、再接続するとデバイスマネージャー上のASI294MCが、イメージングデバイスには置かれているのですが、三角の警告マークが出てきて、プロパティを見ると「このデバイスに必要なドライバーのデジタル署名を検証できません。... (コード 52)」などと出てきます。この場合、署名オフのプロセスを再度実行しなくてはダメなようで、再起動のたびにこれを繰り返すのは少し面倒です。

一方、PlayerOneのカメラはそのような署名オフ問題は再度出てこないので、こちらはWindowsを再起動しても問題なく再度カメラを使えています。

というわけで、カメラのインストールは少し大変ですが、PlayerOneのカメラは問題なく使えますし、ZWOのカメラはインストールはもう少しだけ手を加えることと、あとはWindos再起動のたびに署名オフのプロセスを繰り返す必要なことが大変でしょうか。でもそこだけ我慢すれば一応使えるというのが今の所の結論です。


SynScan ProとASCOM関連

カメラの認識にかなり苦労したので、その後のSynScan Proとか、SharpCapからSynScanアプリを動かすASCOMドライバー関連がかなり心配になりました。

まずはSysScan Proです。ダウンロード、インストールして、ミニマム電視観望の定番のトラバースで試してみました。ポイントは、WindowsのネットワークアダプターがMacのものをそのまま仮想的に利用しているので、Windowsから見たら一般的なイーサーネットアダプタとなっているということです。Wi-Fiではなく、あえて言うなら仮想的なLANケーブルに繋がったインターネット接続でしょうか。なので、トラバースに繋ぐのはMac側になります。MacのWi-FiでSSIDを見てみると、トラバースらしきものが見つかると思います。まずはここで繋ぎ、次にWindowsに行きます。SynScan Proを立ち上げて、接続を試みます。最初うまく検出できなかったので「ダメか?」と思ったのですが、通常のWindows単体での接続より少し時間がかかるようです。30秒程度掛け何度か接続を試していると、トラバースを認識して接続に成功しました!ネットワークアダプタの違いがあるので厳しいかとも思っていたのですが、これはあっさりし過ぎなほど簡単につながりました。

次は難敵ASCOMです。ドライバーに当たる部分なのでArmに対してはいろいろ未知数です。と覚悟を決めて試してみました。まずはSynScanアプリ用のASCOMドライバーをSkyWatcherのページから落として、インストールします。

SharpCapのメニューの「ファイル」の「SharpCapの設定」から「ハードウェア」タブを選び、「マウント」の「ハードウェアの選択」のところで出てくる「SynScan App Driver」を選び、下の「OK」ボタンを押します。あとは、右パネルの「望遠鏡制御」のところにある「接続」チェックボックスを押し、チェックマークを入れます。おお、何の問題もなく接続するではありませんか!!念の為「レート」を最大にして矢印マークを押すと、トラバースがきちんと動きました。ASCOMもあっさりし過ぎなほどうまく行きました。

やっと電視観望に辿り着いた!

ここまでくれば、もう電視観望も試せます。すべての接続がうまく行ったあと、夜を待って実際の電視観望を少しだけ試してみました。
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このように、M1 Macbook ProでSharpCapを使って電視観望が普通にできています。

初期アラインメントと、途中何度かの導入の際はSharpCapからSharpSolveを使いプレートソルブをしていますが、これらも全く問題なく動きました。下のようにライブスタックも普通にできます。

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簡単にできるかと思っていたArm Windowsでの電視観望ですが、思ったより手こずりました。同様のことを試そうと思っている方は、事前の明るいうちに接続関連をすべてクリアしてから夜に臨んだほうがいいかと思います。私はWMwareだけは昼にインストールしておいたのですが、カメラの接続を夜になってから始めたので、まるまる一晩潰しました。昼間もいろんなトラブルで、2日ほど費やしています。

一旦うまくいけば、Windows PCと比べても、全く遜色なく、いやむしろMacbook Proで画面とか大きいので、さらに快適に電視観望が楽しめます。あと、ブログをまとめるときも、すべての保存画像がMacから直でアクセスできて、Windwow-Mac間も普通にコピペできるので、これまでのようにわざわざ別PCから画像を移動する必要もなく、こちらもむしろ快適だったりします。

ここまでくると、あと出来なさそうなのは太陽とかのミリ秒スケールの短時間露光撮影でしょうか?さすがにフレームレートがそこまで出ないことが予想できますが、面積の小さいカメラを使うので実際どうなのでしょうか?太陽撮影はASI290MMでZWOカメラなのでちょっと面倒かもしれませんが、時間があるときに試してみたいと思います。


まとめ

というわけで、M1 Macで個人利用が無料になったVMware fuisonを使い、Arm64版のWindows11を仮想OSで動かし、電視観望ができるか試しました。カメラ関連はドライバーのインストールとカメラの認識に多少手こずりましたが、少なくともPlayerOneのカメラでは問題なく、ZWOのカメラではWindows再起動時に毎回署名オフのプロセスを踏む必要はありますが、フレームレートも含めて十分なスピードで使うことができます。実際の電視観望も、SynScan Pro、ASCOMプラットフォーム、ASCOMドライバーも全く問題なく動き、ネットワークアダプターもMacでトラバースに繋ぐことさえ注意すれば、問題なく接続し、プレートソルブも含めて動かすことができることがわかりました。

MacユーザーでBoorCampが使えなくて困っていたユーザーは、今回無料になったVMwereを使うことでコストパフォーマンスよく、Windows PCを別途用意することなく、Mac上のArm Windows11で電視観望まですることができます。


2023年8月4日(金)、富山の環水公園で「とやまスターウォッチング」がありました。

コロナ前までは毎年開催れていましたが、平日開催ということもあり、これまで参加したことはなく、今回が初めての参加となります。


平日の観望会

この日は金曜。平日なので、仕事が終わってからの参加になります。18時集合ということで頑張って早めに職場を出ますが、距離もあるのでさすがに間に合いません。結局18時半過ぎに会場に着きましたが、 19時には機材持ち込みした人向けの説明会があるというので、すぐにセットアップを開始します。幸いなことに、まだ機材搬入用に確保してある駐車スペースも残っていたので、観望場所のすぐ近くに車を駐めることができ、何度か車と行き来するのも楽でありがたかったです。

今回の機材です。
  1. 天の川を見るための、NIKKORの35mm 、F1.4のレンズとASI294MCで広角電視観望
  2. 星雲星団などのための、いつものFMA135+Uranus C+AZ-GTi
  3. 子供に解放するSCORPTECHの屈折
  4. 星座ビノを4台
と4種体制です。さらに、外部モニターをつないで対面からも見えるようにしています。ただし、PCは2台に対してモニターは1台なので、随時見栄えの良い方を切り替えることになります。

メインの天の川広角電視観望については、前回の記事で詳しく説明しています。




セットアップ

機材準備は順調に進み、まだ明るいですが星が見え始めます。肉眼ではアークトゥルスが最初でしたでしょうか。星座ビノではすでに他の星もたくさん見えるので、何人かの方には試してもらいました。また、肉眼でベガが見えるか見えないかの状態でも、広角電視観望ではベガを含む、こと座の形まではっきりとわかります。

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程なくして19時過ぎになります。機材設置者向けの説明会が始まります。コロナ前までは例年200人ほどのお客さんが来ていたとのこと。すでにお客さんと思われる一般の方もちらほら来始めている様です。

周りを見渡すと、望遠鏡がズラーっと並んでいます。全部で17台はあったとのことです。
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中央右に見える大きなドブはかんたろうさんの45cmです。

目玉の一つがPENTAXの口径150mmの屈折とMS-5でしょう。鏡筒だけで32kg、赤道儀は100数十kgだとうのことです。大きいです。
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学生さんの参加もありました。富山県立大の天文部と、富山大の天文同好会です。県立大の学生は先輩が組み立てたという自作のドブソニアンを、富山大の学生はVixenの鏡筒とタカハシのFC-76を出していました。若い人が参加してくれるのはいいですね。

富山大の学生さんがVixenの赤道儀で導入がうまくいかないと悩んでいたのですが、今度一緒にやれたらという話になりました。いまだに一度もうまく自動導入できたことがないとのことです。名刺を渡しておいたので、ぜひとも連絡待ってます。


観望会開始

説明会終了後は、観望会の始まりです。たくさんの人が来ていましたが、望遠鏡の数も十分にあったので、ストレス無く見えていたのではないでしょうか。夕方少し雲があったので心配だったのですが、観望会ちゅうは見るものに困ることがないくらいは晴れてくれていました。19時半からはスライドでの星の解説があり、そちらも盛況だったようです。

自分の機材に関してですが、まず天の川は大成功。富山なら街中でも全く遜色なく見えることがわかりました。この日は雲も出ていましたし、透明度は全く良くなかったので、まだ余裕がある感じです。

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これまで天の川を見たことがない人も多く、「初めて見た」と言う人や「暗いところでしか見えないと思った」という感想が多かったです。

外部モニターを追加して対面で見えるようにしたこともかなり効いていて、特に大人数の観望会ではお客さんも見やすくなると思いますし、説明もしやすくなります。ただし、天の川を表示していても天の川と認識してもらえるわけではなく、きちんと説明しなくてはならないと思いました。天の川を見たことがある詳しい方はすぐに「おおー」となるのですが、そもそも天の川を見たことがない人には「このモジャモジャしている背景が天の川です」というように説明する必要があることを実感しました。もっと広角のレンズを使っても良いのですが、同時に射手座あたりの星雲の認識までしようとすると、35mm+フォーサーズくらいが限界の気もしました。

星雲用の電視観望ですが、(説明会開始前の)肉眼で星が見えるかどうかわからないくらい明るいうちからM27が見えたり、最初絶好調だったのですが、途中AZ-GTiが動かなくなってしまいました。なんのことはないバッテリー切れで、そういえば志賀高原以来バッテリーを替えずに自宅でも何度か試していたのに、電池交換のことをすっかり忘れていました。予備バッテリーは常備しているので、交換でことなきを得たのですが、時間を食われてしまって見せる方があまり充実しなかったので反省です。

ちなみに電池が切れるとWiFiはまだ繋がっているのですが、まずはモーターが全く動かなくなります。繋がっているのに動きに反応がなくなるときは電池切れを疑うべきです。というより、観望会前は電池交換くらいしておけってことっですね。

星雲の方は画面を残すのも忘れてしまっていたので、オートセーブで残っていたものだけ載せておきます。実際に見たものは大したことがなくて、M27、M57、北アメリカ星雲くらいで、今回は天の川の方が完全に主役でした。

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長時間放っておいたものなので、画面が回転してしまっています。

さらに、今回1番の失敗はその場で使ってもらうSCORPTECHでした。電視観望2台体制で、それに加えて2穴ファインダーの説明をするのはちょっと厳しかったです。それよりも、途中から経緯台の水平方向の粗動が噛んでしまったようで全く動かず、微動しかできなかったのが致命的でした。その微動もかなり固くて、最後は微動ハンドルの取っ手の部分がもげてしまい、操作不能になってしまいました。子供もたくさん来ていて、使いたさそうにしていたので、とても申し訳なかったです。

経緯台は自宅に帰ってからすぐに修理しました。水平方向の固定ネジを固く閉めすぎていたのが原因で、壊れた微動ハンドルは手持ちのものと取り替えました。元の値段が星まつり特価で、子供たちに壊すくらいにまで使い込んでもらえば本望と思っていて、今後もまだまた活躍してもらう予定です。

途中、Kenkoの入門機のSKY WALKER SW-0を持ってきた方がいました。使い方がわからないとのことでしたが、残念ながらアイピースが付いていませんでした。アメリカンサイズならまだなんとかなったのですが、SW-0の場合は1インチアイピースなので手持ちもなく、どうすることもできませんでした。

望遠鏡を持っていても使い方がわからないとう方も多いと思うので、自分の望遠鏡を持ち込んで、詳しい人が使い方を教えるということを主においた観望会とかがあっても良いのかと思います。これは今回のような県や市がやるというよりは、やはり我々のような市民同好会的なところが企画するのが良いのかと思います。もしくは科学館とかでしょうか。


観望会終了

今回の観望会は21時までなので、あっという間に時間は経ってしまいました。機材のミスで時間を食ってしまうのは致命的なので、これからもよりシンプルで安定な構成と、事前の機材チェック、あと欲張って機材を出しすぎないことを心がけたいと思います。

機材の片付けもみなさん順調で、21時半前にはほぼ全ての機材が片付けられれていて、私も21時半には会場を後にしました。22時には駐車場が閉まってしまうそうです。

個人的には結構失敗も多い観望会でしたが、それでも多くのお客さんと話せたり、県天メンバーや学生さんたちとも話すことができ、楽しく過ごせました。


追記:「スターウォッチング」という単語

ついでに調べてたんですが、 star watchingっていう英語は日本以外にほとんど見つけることが出来ませんでした。英語ではstar gazingが一般的なようですから、star watchingと書くのはおそらく和製英語です。日本でもスターゲイジングと呼ぶことも少しはあるみたいですが、スターウォッチングは環境省でも使っているので、こちらのほうがはるかに一般的なようです。誰かが最初にスターウォッチングと名付けたのか、自然発生的に定着したのか、初めてこの単語が出てきたのはいつくらいのことなんでしょう?

アマチュア天文業界には他にもまだまだ和製英語がたくさんありそうです。例えば私も最近使いましたが「ノータッチガイド」とか。海外の単語にこだわらずに、日本語として伝わればいいということかと思います。

小海の「星と自然のフェスタ2022」の2日目前半の記事から続いて、2日目の後半の様子です。



いよいよ電視観望講演

私が担当する電視観望の講演会は14時40分から。午後も最初のうち会場内を回っていましたが、いよいよ13時頃になると落ち着かなくなってきて、一旦ホテルの部屋に戻りスライドのの最終チェックをします。スライドは数えたら75ページもあります。時間は50分なのでかなり多めですが、ライブスタックで変わっていく様子を何枚かアニメみたいに切り替えていくので、そういうのをさっ引いても実質60枚切るくらいです。まだかなり多いので、実際のトークの時にはテンポよく進めていく必要があります。

14時前にもう一度本部前に行って、残り枚数の確認です。この時点でまだ10枚以上残っていましたでしょうか。ちょうどかんたろうさんがいて「お布施、お布施」とかいいながらチケットを買ってくれました(笑)。ありがとうございました。来ない人もいるだろいということでチケットは50枚刷ったと聞いたので、この時点で40人くらいで実質ほぼ満席かなと思っていました。部屋に戻って、14時には荷物を講演会場に運び込みます。

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機材は
  • NEWTONY+Ceres-C+AZ-GTi
  • FMA135+Uranus-C+AZ-GTi
  • FS-60CB+ASI294MC
  • NIKKOR 50mm, F1.4+自由雲台
  • Vespera
となります。全部で4.5セットといったところでしょうか。一部借り物もあります。

機材は会場外の廊下のところに置いたのですが、ちょうど食堂上のガラス張りのテラス状態になっていて、昼間はとにかく暑いのです。それでも前の講演の終了15分くらい前になると、徐々に人が集まってきて、早速ですが機材を囲みながらの雑談モードの質問タイムが始まります。

そうこうしているうちに、前の講演が終了予定時刻少し前に終わったので、部屋の中に入り準備を始めます。とりあえず機材を適当に前方に置いて、次に参加者の確認です。ここまでの講演ではどうもチケットの確認をあまりしていなかったようなのですが、私の講演はワンコイン500円ということで有料なので、不公平がないようにしはくてはいけません。「では一旦外に出てもらって、チケットと共に入場してもらうことにしましょう」ということになり、2つあるドアの後方だけを開けてチケットを受け取り一人づつ入場してもらうことにしました。途中、スタッフの方がチケット受け取りを引き受けてくださったので、私はPCをプロジェクターにつないで、画面のチェックに取り掛かることが出来ました。その間に、参加者の方に前の方に資料を取りに来てもらいます。

資料は2つあり、ひとつはプレゼンスライドの中でも技術的なことを書いてあるページを印刷して、後で確認できるようにしたもの。今回のトークは基本的には初心者向けにしました。やはりまだまだ初めてみたいという方の声をたくさん聞くことと、情報が拡散しているので何から始めたらいいかわからないという声もよく聞くからです。ただ、話を聞いただけではなかなか覚えていられない細かいことも多いはずなので、ページ数を限ってますが、必要と思われるページを印刷して確認できるようにしてみました。

もう一つの資料は、少しマニア向けにと考えたもので、今回特別に用意したCMOSカメラの系譜図です。現在いろいろとまとめている資料の一部で、ファーストバージョンを講演に来ていただいた方に限定公開してみました。かなり気合を入れて用意したのです。講演に参加された方のブログ記事などをみている限り、結構好評なようで少し安心しました。今後もう少し時間をかけて仕上げていくつもりです。

機材を発表順に並べて、プロジェクターにも画面を映して、準備完了となります。始まりの時間の14時40分まで5分近くあったので、その時間ももったいなくて質問時間にします。

ちょうど14時40分に開始して、講演自体はページ数の割に滞りなく進みました。できるだけわかりやすくと思いましたが、どうだったでしょうか?機材の説明が暗い中でだったので、どこまで見えたか心配でしたが、講演終了後にあかりがついてから、片付けている際にも前に来て見ていた方が多くいたので、短時間でしたがなんとか見ていただけたのかと思います。

実際にはトークが終わってからも時間が10分近く余っていたと思います。ここでも時間ギリギリまでたくさんの質問が出てきました。片付けの最中にも、特に機材を見ながらいろいろ聞かれることも多かったです。こうやって面と向かって質問をやり取りできるのは、リアル開催の最大の魅力です。コロナがこのまま収まって、星関連のイベントが以前のように普通に行われるといいのですが。

その後、会場を次の講演の方に引き継ぎ、廊下であらためて機材を台車の上に乗せてホテルの部屋に向かいます。ここでやっとホッとできました。

たくさんの方に来て頂き、質問等もとても盛り上がったので、本講演は大成功かと思います。開始の際の準備のときに机の搬入とか色々手伝ってくれた方々、片付けの際にも同じように手伝ってくれた方々、会場スタッフの方、そもそもこの講演の準備に貢献していただいた多くのスタッフの方々、そして講演に参加していただいた皆様、星仲間の知り合いの方も多く参加してくれました。本当にありがとうございました。


講演終了後

講演も無事に終え、まだ興奮も冷めやらぬまま部屋に戻りました。渡されたチケットを数えると、なんと49枚ありました。もともと40名の定員でしたが、チケットだけ取って来れない方もいるなどの考慮でしょうか、余分に発行していたと聞いています。後で本部で確認したら6枚残っていたので、だれも欠席しなかったとしたら55枚発行され、49人来てくれたことになります。用意していた資料は50部切るくらいだと思っていたのですが、それでも1部残っていたので、実際には何度か印刷テストしていたのも混じっていて、ちょうど50部くらいになっていたのかもしれません。もし参加したのに資料をもらうのを忘れていたという方がいましたら、Twitterの方でご連絡頂ければ個別に送らさせていただきます。

講演会場とその外が暑かったのでしょう、部屋で気づいたら汗だくでした。ちょうどいいやと思い、そのまま温泉に向かいます。

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さっぱりした後のアイスは格別でした。でもその間にどうやら抽選会を逃してしまったようです。

夜はシュミットブースで19時から電視観望実演をするので、18時のレストランオープンの少し前から並び、早めの夕食ビュッフェです。朝食ビュッフェよりも豪華で、嬉しかったのがケーキです。すでにたくさん食べてお腹いっぱいなのですが、やはりケーキは別腹。妻と二人で大きなケーキを3つ(と言っても2つぶん以上は私が)食べました。

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このケーキも美味しかったですが、その後に食べた柿のケーキも美味しかったです。


シュミットブースでの電視観望実演

食事を終えて、電視観望実演の準備をしていたら、もう19時ギリギリです。急いでシュミットブースに移動して、そのまますぐに実演開始となりました。今回はあらかじめ開始時間と終了時間をはっきりと決めることにしました。これは昨年の実演で夕方のうちから準備を始めたら人が集まり始めてしまって、どこが開始か全くわからなくなってしまったことの反省からです。さらに、準備するところも含めて、見る人によっては参考になるということで、本当にカメラの接続から開始です。

初めから3-40人はいましたでしょうか、たくさんの人が集まっていて、講演に参加くれた人もたくさん来てくれているようです。機材は最近いつも使っているFMA135にUranus-Cを取り付け、光害防止フィルターとしてCBPを使っています。架台も定番の手軽なAZ-GTiです。

ところが今回は接続したPCが絶不調です。まずSurface7が反応しません。キーボードもタッチパッドも、画面を触ってのクリックも動かなくなりました。こんなのは初めてのことです。でもこれ、後でホテルの部屋に帰ると普通に動いたので、ちょっと謎です。もちろん予備のPCは用意してあって、2台目のSurface8に移しました。ところが、PC単独では問題ないのになぜかHDMI出力の大型モニターに画面が出ず、こちらも諦めます。結局、最後の砦の結MacBool ProをBootCampで起動しました。こちらは大型モニターにも表示でき、なんとかその場を凌ぐことができました。ただし、このBootCamp軌道でのSharpCapですが、プレートソルブは設定していなかったので、うまく自動導入の精度が出るか、ちょっとドキドキものでした。

恥ずかしながらですが、こんなトラブル含めて、そのまま見ていただいての実演となりました(笑)。動き出してからは極めて順調です。最初はたしか北アメリカ星雲を導入したでしょうか。ライブスタックと共に徐々に出てくる形に「オーっ!」という雰囲気です。説明に夢中であまり記憶がないのですが、多分次がアンドロメダ銀河、他に亜鈴状星雲、三日月星雲とかにいったと思います。例によって講演中の写真が全然なく、サイトロンのスタッフの方がその時の様子を撮影してくれた写真を頂いたので、載せておきます。

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今回の電視観望は2台体制です。私の機材は口径わずか3cmでここまで見えるという驚きを、となりではAskarの80PHQで、こちらは口径も十分で淡いものも見えるというデモです。80PHQの画像は大型プロジェクターに映していて、網状星雲の細かい模様や、FMA135では流石に淡くて映しきれないM33: さんかく座銀河を映し出したりしていました。

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集まってくれた方からは質問がひっきりなしに出てきます。すでに自分で試している方、初心者でもかなり本気でやってみたい方と、質問からその熱気が伝わってきます。そんな中に、横浜から来たという小学3年生の女の子と、そのご両親が熱心に話しかけてくれました。なんと抽選でNEWTONYが当たったそうです。最初初心者かと思ってNEWTONYとCeres-Cとか話していたのですが、どうやら「月とか惑星の次に行きたい!」とのこと。スターセンスエクスプローラー付きの鏡筒も持っているようです。ならば話は早くて、「できるだけ面積の広いカメラに予算をかけた方がいいのでは?」という話になりました。

まだまだ盛り上がっていますが、今回は20時半で終了ということにして一旦締めます。その後もM15を見たいとかでリクエストもあったのですが、80PHQのほうで終了後少しだけ映し出していました。私の方はまだまだプライベートでやる予定だったので、終了後しばらくしても残ったていた人には、「一旦出直してきてそこの中央エリアでこじんまりやります!」などと伝えて、一旦終了となりました。

シュミットでの実演が終わり一度ホテルの部屋に戻ると、妻は完全にくつろぎモード。どうも妻も少し外に出て実演を見に来ていたみたいで、開口一番「パパのところだけ人がいっぱいだったよ!一体何やってたの?」とまるで何か悪いことでもしているようかの言われよう(笑)。「今からまた行ってくる」とだけ言い残し、再び機材を持って外に出ます。


中央エリアでの電視観望

去年はシュミットでの実演で疲れ果てていて、夕食はコンビニで弁当を車の中で食べた後、力尽きて途中の道に車を止めて寝てしまい、会場にたどり着いたら0時過ぎで何もできなかったという痛い経験をしています。でも今年は実演が終わってもまだ余裕があるので、再び中央エリアに機材を持って繰り出し、今度は個人的に電視観望実演です。

機材を持ってホテルから出たところで、先の実演中に話していた小学3年の女の子と、そのご両親がちょうどホテルの部屋に帰るところでした。「これから電視観望するのですが、良かったら一緒に見ますか?」と声をかけると、即答で「はい!」とのことで、さらに夜の部にも参加することに。3年生なので眠くないか心配でしたが、「普段も夜11時頃までは星を見ている」とのことなので、全然大丈夫そうです。

まずはセッティングをしつつ、「そういえば星座ビノとか見たことありますか?星座用の2倍くらいの低い倍率の双眼鏡です。」というと、普通の双眼鏡は持っていても星座ビノは知らない様子。とりあえず電視観望の方の用意が終わり、M42:オリオン大星雲が画面に入ったとことでライブスタックしつつ、その間に車の方へ行き星座ビノを撮りに行きます。たくさんの星座ビノの入ったプラスチックケースとともに帰ってくると、ちょうどM42もいい具合にノイズが落ちています。長くスタックすると、ランニングマンも見えてくるので、みんなでその形を確認します。

さてここから星座ビノ見比べ会の始まりです。知り合いでは、いのさんとがいましたで。あとは小海で初めて会った方達です。人数分のビノは出したつもりなので、7-8人はいましたでしょうか。上板2丁目さん作のものが
  • cokin
  • Nikon
  • Canon
市販のものが多分ですが
  • 昔の白いWidebino28
  • Supere Widebino36
  • 笠井の3倍
  • サイトロンの2倍
  • SCOPETECHの1.8倍
くらいでしょうか?それぞれに特徴があって、子供だとcokinが接眼側の径が大きいので見やすく、NikonとSupere Widebino36はやはり見え方が他とは一段上というのは伝わったみたいです。Canonも負けていません。逆に3倍は、見える範囲が狭くなり星座の形がわかりにくくなるので、初心者にはやはり2倍が良さそうです。

3年生の女の子とご家族からは、星フェス終了後に「Supere Widebino36を買うことにしました」と、メールが来ました。メールには女の子のとても可愛いお礼の手紙が添付されていました。電視観望にも興味があるので、引き続きメールで機材選定とかのやりとりしています。こういった出会いも星まつりならではで、全国に星仲間が増えていきます。

電視観望はその後も続き、0時近くになってやっと片付けです。この日はあまり画像は残していませんでしたが、数少ない残っていた画像です。

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片付けがほぼ終わり、機材も車に積み込んで、もう少しだけメイン会場をプラプラしていると、Pentax一眼でSharpCapで電視観望がてら撮影をしている若い方がいました。話を聞いてみると、なんとこの方ペンタ用のASCOMドライバーを書いている方とのことで、それを使ってSharpCapで見ているというのことでした。昨晩お会いした、Pentax鏡筒で電視観望したいという方もその場にいて、一緒にSharpCapでPentaxカメラが動く様子を見ていました。まだまだ不安定と言っていましたが、自分でドライバーを書いて動かしているところがすごいです。帰ってからTwitterでフォローさせていただきました。

気づくと結構薄い雲が空のかなりの範囲を覆ってきています。0時半頃でしょうか、そのあとにキャンプサイトへと移ります。


夜中のキャンプサイトにて

キャンプサイトでは、XRAYさんはじめ、Masaさん、かんたろうさんなどが火を囲んで話しています。Masaさんとは初顔合わせすることが出来ました。Twitterの様子から20代くらいのかなり若い方かと思ったのですが、私とかなり近い年齢だということがわかりました。SNSだけだとなかなかわからないですね。いつもハンドルネームと顔と本名がぐっちゃになってしまい、色々申し訳ないことをしてしまっています。名前とか間違えて覚えていたら本当に申し訳ないのですが、どうかご容赦ください。

集まっている人の中で、特に昨年XRAさんと一緒に来ていたburamudさんと画像処理について突っ込んでお話しさせてもらいました。昨年の時点では「まだこれから始めます」みたいな雰囲気でしたが、最近はASI533MC Proまで買ったそうで、撮影にかなりのめり込んでいるようです。「ほしぞloveログ」もよく見て頂いているようで、最近撮ったバラ星雲の中心部の色出しとか、いろいろ聞かれました。撮影したバラ星雲に色が出ないと悩んでいるようなのですが、画像を見る限り赤一辺倒でなく、白っぽくなっている部分も残っているので、青の諧調は十分残っているようです。なので画像処理の問題で、出にくい青をきちんと引き出してやれば、色階調がきちんと出てくると思います。ノイズ処理がうまくいかなくて淡いところがモコモコしてしまうという話もしました。それでも色々話していて、若い方は1年でものすごく成長するというのを実感しました。

すこし晴れてきたので、かんたろうさんがM42を導入しようとしたのですが、ファインダーもすでに片付けてしまったとのことで導入できず断念したようです。ここで私もそろそろ眠くなってきて、明日の帰りの運転もあるので、そろそろホテルに帰ることに。時間は午前1時20分くらいでした。


2日目まとめ

2日目は講演を含めて超盛り沢山でした。書ききれていないこともたくさんあります。多くの星仲間に会っていますが、ほんの一部の方しか登場して頂いていません。新しい星仲間との出会いもたくさんありました。今回はとても充実した星フェスになりました。

さて、次の記事は3日目についてです。


 

恒例の飛騨コスモスの観望会ですが、前回6月はJAPOS出席のために休んでしまったので、2ヶ月ぶりになります。


久しぶりの観望会

2022年7月23日、この日の天気予報は微妙でした。そもそも早くに梅雨明けしたはずなのに、全然晴れてくれないです。予報も晴れか曇りか、時間によってころころ変わり、SCWで見てもそこそこ雲の率が高そうです。でも北の富山よりも南の岐阜の方が少しマシなようで、当日の午後に判断するに、まあ何か見えるのではないかと思い、 準備して出発することにしました。でも撮影までは無理そうなので、観望会用に電視観望セットと、子供への解放用にSCOPETECHの屈折、あとは星座ビノくらいです。

夕方、早めの簡単な食事を自宅でとり、17時40分頃に出発。途中コンビニに寄り、夜食とおやつなど買い込み、富山を後にします。岐阜に入ると途中に青空も見え始めてきて、天気もなんとかなりそうです。

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到着

飛騨コスモス天文台に到着すると、すでにかんたろうさんと、富山県天文学会のHさんが来ていて、機材を展開していました。写真を撮るのを忘れてしまいましたが、かんたろうさんはYさんから譲ってもらった新兵器の45cmのドブソニアンを出しています。一方Hさんも、長いことかんたろうさんから借りていたGP赤道儀をとうとう返却し、なんとSCOPIOで手に入れたという未開封中古のEM200のTEMMA2モデルを設置してます。HさんはさらにFMA180にCeres-Cで電視観望セットも出しています。

程なくして飛騨コスモスの会のスタッフのSDKさんとSTさんが到着です。SDKさんと話すと、ドームで長年使っていた自作の口径250mm、焦点距離3000mmの鏡筒は、返却したとのことです。段ボール箱を組み合わせて箱を作って送ったそうなのですが、重さが70kgほどもあったそうです。

だんだん一番星が出る時間になってきます。STさんがものすごく目がいいことがわかりました。私は全然見えなかったアのですが、STさんはークトゥルス、ベガ、アルタイル、スピカなど次々に見つけていきます。私は途中から星座ビノを使い、やっとSTさんに追いつくことができました。STさんは老眼で遠視だからと言っていましたが、ちょっと羨ましいかもです。


Uranus-C

その後、私も機材を展開し始めます。暗くなり始めでなかなか初期アラインメントのプレートソルブがうまくいきません。そうそう、今日の電視観望では新兵器のIMX-585を搭載したUranos-Cを導入です。

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観望会ついでにいろいろテストしてみようと思っています。

目的は
  • ピクセルサイズが2.9umと小さいが、電視観望で使えるのか?
  • DPS(Dead Pixes Suppressioin)機能がどれくらい効くのか?
  • 1/1.2インチサイズはPlayer Oneのカメラの中でも最大。これでASI294MCにどこまで太刀打ちできるのか?
  • 電視観望で見た画像を保存して画像処理すると、天体写真として成り立たせることはできるか?
などです。この日使うPCにPlayer Oneの最新ドライバーをインストールし、SharpCapで認識して画像が出るところまで自宅で確認しておきました。

鏡筒はいつものFMA135、これにCBPをつけます。ASI294MCがフォーサーズで19.2mm x 13.1mm、Uranus-Cが1/1.2インチで11.2 x 6.3 mmなので、横で1.7倍、縦で2.1倍、面積で約3.5倍とそこそこの差はあります。これとFMA135で大きな北アメリカ星雲やアンドロメダ銀河がどこまで入るのか?分解能は良くなるので、例えばM57がどこまで見えるのかが興味の対象です。


楽しいお客さんとのやりとり

さて、電視観望の結果は後述するとして、うまくいかなかったASTAPでのプレートソルブですが、なぜかAZ-GTiにフィードバックすると星が認識できなくて、フィーバックしないプレートソルブのみだとうまく位置を特定できるような状況でした。もちろん、SharpCap上でのAZ-GTIへの接続はうまくできていて、矢印ボタンで動かすことはできる状況です。その後、SharpCapを立ち上げ直すと、AZ-GTiにフィードバックしてもきちんと星認識をして、ズレを直して、希望方向に向いてくれるようになりました。結局原因は不明ですが、そろそろお客さんも来始めているので、早速M27を導入し見てもらいます。

最初に来てくれたのは家族4人連れ。お父さん、お母さん、保育園の双子?の女の子です。星雲をみて最初「おおー」と言ってくれてたのですが、まだ完全に暗くなっていなかったので、星座ビノで星が増える様子を観察してもらいました。子供用にcokinとNikon、大人用に旧型のWideBinoと笠井の2倍です。子供も含めて、星がたくさん見えることを実感してもらって、さらにSIGHTRONの3倍も投入して、「交換すると見え味が違って面白いですよ」というと、家族間でいろいろ見比べが始まりました。「星座がちょうど入るくらいの星座用の双眼鏡です」と説明して「星座アプリとかで形を見て、それを実際の空でトレースするのも楽しいですよ。ここの空は肉眼でも十分星座が見えますけど、この双眼鏡を使うとさらに細かい星があることもわかります。」などというと、この星座ビノの良さが少しわかっていただけたようでした。

次の家族はお母さんと小さな多分4歳か5歳くらいの女の子と、小学5年生のお姉ちゃん。下の子が「アルデバラン」とか「シリウス」とかいうので、「すごい!よく知ってるね!」とか言ってたのですが、残念ながらこの時期には見えません。どうも昨年この観望会に参加れていて、秋や冬の星座を見て覚えてくれていたようです。「アンタレス!」というので、「あ、それならあそこに見えるさそり座の赤い星だよ」といって、今度はSCOPETECHで見てみようということになりました。お姉ちゃんは5年生ということなので「じゃあ、望遠鏡自分で使ってみようか」と、早速二つ穴での導入の仕方を説明します。勘のいい子で、すぐに2つの穴に導入することができ「じゃあここ覗いてみて」と接眼部を覗いてもらうと「入ってる!」と。ピントを合わせてもらって、妹に「お姉ちゃんが頑張って入れたやつだよ」と言って見てもらいました。

勘の良かった子なので、前回と同じクイズをしてみました。太陽が東から昇り、西へ沈むことはすぐに答えられました。でもやはり月はどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができません。一緒にいたお母さんもわからなかったようです。でも5年生なので、地球が回っていることも知っているはずで、そのことを思い出してもらうと、すぐに月がどちらから昇り、どちらに沈むか答えることができ、「じゃああのアンタレスは?」と聞くと、すぐにきちんと「東から登って、西に沈む」と答えることができました。少しきっかけがあると頭の中ですぐに考えることができるようで、勘のいい子です。

お母さんもかなり興味があるようで、前回来たときに地球は銀河の中にあるという話をきいたとのことです。じゃあまたここで問題です。「あちらに見えている天の川の濃いところは、銀河で言うとどの向きでしょうか?」と聞くと、最初はなかなか答えられませんでしたが、冬にも銀河があること、銀河の円盤の中にいること、その円盤の中から見ると天の川が濃い薄いも含めて、全天を一周することなどを説明すると、最後は南の濃く見えている天の川は銀河の中心方向だということを答えることができました。

残念だったことは、私がそのお母さんと話していると、下の子が多分ヤキモチを焼いたと思うのですが「もう帰ろー」とか言い出すのです。「ごめんねー、難しかったねー」と言って謝っておいたのですが、なんかとても可愛かったです。


雲と共に雨が

実は天の川クイズを出していた頃には雲が出てきてしまい、天の川は見えなくなってしまっていたのですが、それどころか、霧雨のようですが明らかに雨が降ってきています。PCなどもあるのと、予報では天気は悪くなる方向だったので、私はそこで機材を撤収しました。

結局電視観望で見せたのはM27だけ、対応した家族も2組だけでした。でもこの時点でもまだ星は見えていて、Hさんもかんたろうさんも多少の雨には負けずに頑張っていました。雨がだんだん強くなってくるとじきに二人もカバーをかぶせたり、撤収したりでここで中止。お客さんも徐々に帰って行きました。

かなり雲で覆われていますが、全く星が見えなくなることなく、それでも霧雨はずっと振り続けています。この辺りはほとんど風はないのですが、おそらく山頂で降っている雨が、強い風にあおられてばらまかれているのではなどとみんなで話していました。

その後、みなさん諦めて機材を車の中に詰め込んで、少し雨も小降りになってきたので、椅子を出してまったりモードで、スタッフのSDKさんと、コーヒーを差し入れてくれたSTさんも交えて話していました。

まあここからなのですが、天文あるあるで徐々に空は快晴に!まずはHさんが我慢しきれずに機材を出し始め撮影を開始。ついでかんたろうさんが最初は120mmの屈折で眼視。私は双眼鏡でかんたろうさんのコーチを受けながら、天の川方向の星雲星団を双眼鏡で追いかけることに。


双眼鏡で見るDSO

途中方向によっては多少曇っていたりで、かんたろうさんのコーチには全然ついて行けずに、結局星座アプリで天体の位置を確かめなが落ち着いて見ることに。

まず、教えてもらったM6、M7両方を視野に入れることができ、次にM8とM20が見え、さらにバンビの横顔も確認、その上のM16、M17まではっきりと見えました。他にも星座アプリで確かめながらNGC系をいくつか見ました。双眼鏡でも明るいDSOなら十分見えるんですよね。これもまた空が暗い飛騨コスモスならではの観望会なのかと思います。

途中、白鳥座の方に移り、双眼鏡で網状星雲の「い」の字の一画目が見えたのは感動でした。残念ながら2画目は淡すぎて私での目では見ることができませんでした。

でも今日はもっと感動したことがあったのです。双眼鏡観察をしばら続けていると、かんたろうさんが「45cm出せば良かった」と悔やんだ声を出しはじめました。あまりの空の良さに、結局再度ドブも組み立てることに。ついでに私も、再度電視観望機材を出して目的のUranus-Cの評価です。


電視観望

この時点で23時半頃、月が出るまで1時間の勝負です。

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まずは最初にお客さんには見せたM27。本当は羽根が出るまでスタック時間を稼ぎたいのですが、数もかせぎたいので1対象あたり5分に限ります。

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1ショットあたりの露光時間は6.4秒ですが、ゲインを失敗して350に抑えてしまいました。ゲインは最大800まで上げることができるのでもう少し攻めてもよかったかもしれません。ASI294MCの最大ゲインが570なので、上げられるゲイン幅が23dB分の14倍くらい大きいことになります。ここら辺も回路関連の技術が上がっているせいでしょうか。また、オフセットも数値だけ見ても500まで上げることができます。実際にオフセットが上がる量も画面を見ているとわかりますが、(実用上はどうあれ)かなり大きなところまで上がるようです。

あと気づいたのが、ノイズが小さいことです!ヒストグラムを見ても、山の幅がかなり小さいです。DPSが効いているのでしょう、ホットピクセルの数もかなり少ないです。でも全くの0ではなくて、いくつか目に止まるくらいは存在しています。


次は北アメリカ星雲。今回は90度回転が合ってなくて、縦横が逆になってしまっていますが、ASI294MCの時にはペリカン星雲も込みで全景を入れてもまだ余裕がありますが、Uranus-Cではちょうど全景がぴったり入るくらいでしょうか。

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同じようにどこまで入るか見ようとして、近くの網状星雲を入れてみましたが、なぜか全く出てきませんでした。位置が間違っていた可能性もありますが、もしかしたら大きすぎて入らなかった?とにかく時間がないのでスキップです。

同じく近くの三日月星雲です。

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この時間、ほぼ天頂に近く経緯台の最も苦手な領域になります。少しの時間での移動に追いつくために、大きな回転が必要になるため、6.4秒毎の露出で星が流れてしまっています。

次は南の天の川を見ようとしたら、いつの間にか雲に覆われています。しかたないので秋のアンドロメダ銀河へ。こちらも大きさの比較がしやすいです。うん、FMA135とUranus-Cだとアンドロメダ銀河は画角的にぴったりですね。

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あとはどこまで分解能があるのか見るためにM57を導入します。ピクセルサイズがASI294MCより1.5分の1くらい小さくなるので、分解能は少しマシになります。それでもジャギーは見えています。
05_M57


45cmドブで衝撃的なことが

と、ここらへんで全面が曇ってきました。先のM57は雲の影響もだいぶ受けています。電視観望はこの時点で終了なのですが、実は電視観望の間、ずっとかんたろうさんの叫び声が響いていて、「(何々が)入ったよー」との招集でHさんと私は45cmドブを覗きにいきます。

今回も色々見せてくれました。M13の中心のベンツマーク型の暗黒帯とか、銀河がすぐ隣の恒星のゴーストに見えるのとか、他にも色々見せてくれたはずなのですが、M57のインパクトがありすぎて記憶が飛んでしまっています。

なんと今回M57に明らかに色がついて見えたのです!もちろんすごく淡いのですが、中心付近は青色、外に行くに従って緑色、大外枠の細いラインで少し赤っぽい色も見えていたかもしれません。青と緑については、見間違いとか、錯覚とか、偶然とかいうレベルとは一線を画します。70倍の時には色がよく見え、逆に360倍で大きく見たときには色は認識できませんでした。これは明るさの違いかと考えています。そもそも淡いので、70倍の方がより単位面積当たりの光子として情報が目に入ってくるのでしょう。さらに、後で画像で色を確認すると、中の方が青に近く、外に行くに従って緑、外側が赤なので、見た色と実際に合っています!

ところが、かんたろうさんは色はそこまでではなかったみたいです。多分一つ理由があって、私はずっと電視観望でPCの明るい画面を見ながら、呼ばれるたびにドブのところまで行っていたので、暗順応が全くできてなかったのです。PCの画面を離れてから30秒後くらいにドブを覗いていたとかいう状況でした。そのことを話すと、かんたろうさんもスマホの画面をみて暗順応を崩していましたが、あまり改善はされなかったようです。

とにかく今回、初めて目で見て星雲に色がつきました。これは2016年に星を初めて、6年越しの達成です。もともと、この星雲の色を見たいがために電視観望に走っていたようなものなので、これは私にとってはそうとう大きな出来事です。

輝度の明るい星雲、例えばオリオン大星雲とかも、この暗順応させない方法で一度試してみたいです。


とうとう撤収

午前1時頃には高層の雲が全面にかかってしまい、全体が霞んだ星空になってしまいました。東の方が少し月で明るくなってきた気もします。流石に皆さんそろそろ撤収です。私も電視観望だけだったので、すぐに片付けることができます。かんたろうさんもドブを片付け終わってます。大きさの割に出し入れがかなり早いという印象です。HさんがEM200で新しい機材のせいか、少し時間がかかってきます。私も眠気が出てきて、このままいると寝てしまいそうなので、先に帰宅することにしました。


画像処理

次の日(日曜の今日)、電視観望で5分ライブスタックで保存したM27だけ少し画像処理してみました。といっても処理に掛けた時間は15分ほどで、ライブスタックで保存したFits画像を、PCCで色を補正して、ASでストレッチ、StarNetで恒星と背景を分離して、Photoshopで簡単に仕上げただけです。

M27

たかだか5分でこれくらいにはなるので、もっと時間をかければさらに見栄えは良くなると思います。

Uranus-Cですが、心配していたピクセルサイズの小ささは電視観望でも大した問題ではないようで、十分に天体を見ることも、ある程度の観賞用の画像にすることもできそうです。というか、ノイズも小さいし、感度も悪くないし、センサー面積もそこそこ、DPSでホットピクセルも少なく、かなり使い勝手の良いカメラだと思います。Player Oneの中でもセンサー面積だけ見たら電視観望に最も向いていると言えますし、ASI294MCと比べてもホットピクセルが少ないのは明らかに利点になります。値段的には税込みで6.5万円程度。ASI294MCが税込みで10万ちょいなので、値段的にも少し差があります。

2017年に発売されたASI294MCが長いこと築いていた電視観望ベストカメラの牙城も、少しづつというか、やっと崩れ始めてきた気がします。


まとめ

天気が微妙な観望会でしたが、それでも最初の1−2時間はお客さんも星を楽しめましたし、小雨の後の快晴では双眼鏡でのDSOや、45cmのM57で色がつくなど、かなりインパクトが大きかったです。目的のUranus-Cの電視観望も時間はあまり掛けられなかったですが、ほとんどの目的は達成できました。ずっと思い出に残るような、ある意味とても感慨深い観望会になりました。

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