10年のまとめ(その1)を書いてからだいぶ時間が経ってしまいました。ある程度は書き進めていたのですが、フェニックスの大口径化を始めてしまい、まとめ記事になかなか時間を回せなかったのです。この記事に付随したTips記事を書いていて、そちらをまとめるのが大変だったのもあります。できればこのTipsの記事と一緒に読んでほしい、というか、Tipsをまとめたくて今回の記事を書いてるような気もしてきました。
本来このブログは、自分がやっている天文活動を記録していこうと思って立ち上げた、日記的なものなのです。でも時間が経つにつれ、実際には解説記事のようなものが多くなり、毎回長文になってしまっています。コメントや記事の引用など、このブログを読んでくれている人が意外にたくさんいることがわかり、自分で試したことや新しく得た知見を、できる限り隠したり制限したりすることなく、わかりやすく公開することを目指したのが理由です。
そういった意味では、星を始めて、わずか10日後くらいの2016年5月8日に、カメラの操作方法を、初心者なりに解説しようと試みています。その後7月にはもう少し学んだ後の解説記事にしていますが、ミスしやすそうなところを忘れないように書こうとしています。こんなところがこのブログの原点に近いのかもしれません。
最初の調整記事は2016年の5月末と、これも最初期の頃で、ニュートン反射の光軸合わせで単に他の情報を辿るだけでなく、自分で考えたことを拙いながらも書いています。初期の頃で、今考えても無茶だったと思うのはC8の光軸調整で、C8をほぼ全バラしています。この頃はまだあまりに変なことを記事にするのは少し躊躇していたのか、記事にはあらわに書かなかったことを覚えています。でも追加記事では、補正板と主鏡も掃除したとさらっと書いていて、全バラの片鱗が少しだけ垣間見えています。でも、機材を分解するくらいでやっといろいろ理解が進んでいくというのも、天文趣味においてはまた事実で、PSTの頃にはもう全く躊躇せずに分解して記事にしてしまっています。
10年も続けていると、このブログで初めて提供した全く新しいアイデア、一部には認識されていたけれどそれまでほとんど広まっていなかった情報など、今自分で見ても役に立つと思われる情報が、結構膨大にあります。きちんと整理されていればいいのですが、必要な情報を体系立てて探すのが難しくなってしまっているので、今回10周年といういい機会に、一度まとめてみようと思ったのが、この記事と前回のTips記事になります。
大きなところでは電視観望の普及そのものでしょうか。そもそも、リアルタイムで星雲が色付きで見えることが難しいと考えられていた時代に、そこまで暗くない場所でも、しかも小口径鏡筒でも、淡い天体を見る手法を提案してきました。また、基本は一人で覗く望遠鏡に、その場にいる人たちで一緒に天体を見ながら会話などを弾ませるという、新しいコミュニケーションの方法を提案できたのかと思います。電視観望についてはすでにまとめの(その1)である程度述べているので、ここでは当時提案した、もしくは結果として提案となったような、新しいアイデアなどだけまとめてみます。
CMOSカメラを使った電視観望:
電視観望という言葉は2016年の胎内星まつりでHUQさんから聞いた言葉ですが、当時はSonyの一眼レフカメラでHDMIでリアルタイムで星雲などを色付きで見るというものでした。CMOSカメラを使ったものは、動画を撮影するというようなことは当時も試されていましたが、電視観望のようなその場で楽しむというコンセプトでは当時はまだ誰もやっていなくて、胎内星まつりから帰った直後、2016年8月に実際に試してみて、このほしぞloveログで紹介したのが初めてです。
Revolution Imagerの紹介:
アメリカのオレンジカウンティにある天文ショップのMikeがRevolution ImagerというアナログのNTSC出力のカメラを使った電視観望パッケージを販売していて、それを持ち帰り日本で紹介しました。使い方の記事なども書いていました。後にKYOEIから販売されることになりました。
SharpCapを使った電視観望:
一番最初は電視観望用のソフトにFireCaptureを使っていましたが、上のMikeからSharpCapがいいと教えてもらい、早速使った覚えがあります。当時日本ではまだSharpCapユーザーはほとんどいなかったはずです。当時からライブスタック機能がありましたが、撮影用途ではないので使い方が理解されなかったのが理由かと思います。使い方の解説記事も書いていました。このライブスタック機能は電視観望にはなくてはならない機能で、今に至るまで使い続けています。
小口径の有効性:
原村星まつりで手に入れた口径50mmのSCOPETECHや、福島星まつりで手に入れたFS-60Qなど、小口径鏡筒で電視観望を試しています。小口径でも十分成り立つのは自分では理解していましたが、きちんと言葉にして説明したのは2019年のCANPのときだったようです。このブログできちんとした説明をしているのは2019年の小海での講演のときに使ったスライドの全掲載のところの補足解説だと思います。
広域電視観望:
電視観望にとってワンショットナローバンドフィルターの出現は大きなインパクトがありました。最初に使ったのは2018年大晦日の実家の大都会名古屋での観望会だったようです。2019年9月に改めて検証したりしていますが、インパクトがあったのは2020年2月の焦点距離の短いカメラレンズにCMOSカメラを直接取り付けた、広域の電視観望システムではないかと思います。これはQBPなどが必須で、明るいレンズと相まって、都会などの明るい場所でも淡い星雲がとてもよく見えますし、街の中で天の川などを見る際に使うこともできます。この広域コンセプトはいまだに現役で、機材は多少変わっていますが、今でも観望会で活躍しています。
一眼レフカメラでの電視観望:
ASCOMドライバーが一眼レフカメラに対応してくれたので、一眼レフカメラを使った電視観望に大きな道が開きました。このネタでCP+2023でも一度話しています。
最小構成での電視観望:
何と、口径わずか30mmの超小型望遠鏡での電視観望を試してみました。2021年5月のことです。当時はこんな小さな口径で電視観望が成り立つとは誰も思っていなくて、むしろ私自身も懐疑的でしたが、あまりに普通に綺麗に見えるので自分自身びっくりしたことを覚えています。AZ-GTiからトラバースに移行できたのもさらに小ささを加速させることができました。屋根から昇る北アメリカ星雲とかはいまだにお気に入りです。この小さな電視観望セットは今でも現役で使っていて、観望会では大活躍です。これはSeestar S30やDWARF 3、DWARF miniなどの小型のスマート望遠鏡に繋がっていくようなコンセプトなのかと思います。
他にも、その時その時の新しいことを試したりしていて、SharpCapの2017年11月のオートストレッチの登場ですぐに試してみたり、フォーサーズと当時としてはかなり大きめのセンサーサイズのASI294MCを20217年12月に使ったりと、いろいろ紹介しています。
こうやってみると、電視観望の基本技術は立ち上げ時の2016年から2017年くらいまでのかなり早い段階で確立していて、その後大きなことは広域電視観望が2020年、ミニマム化が2021年で、そのあとはもう安定期に入ってしまったように感じます。逆にいうと、それ以降新しいことはあまりなくて、スマート望遠鏡が出てきてからは、初心者の入口としての役割はスマート望遠鏡にかなり引き継がれつつありますが、自由に構成を変えて試せる手組み電視観望には、まだ別の面白さが残っているのかもしれません。例えば銀河仕様にカスタム化するなど、スマート望遠鏡にはない応用性みたいなことはまだまだ試せるのかと思います。
まだまだこのブログで提案してきたアイデアなどはたくさんあります。個々それぞれの記事は基本的に「何か新しくあったこと」を書くようにしているので、細かいテクニックなどは普段のブログの記事に埋もれていることも多いです。細かいことを全部挙げるとかなり多いので、最初に述べたように別途記事にTipsとしてまとめました。本記事と多少重なることもあるかと思いますが、これまでの10年に限らず、新たに出てきたことも追加していこうと思っていて、今後リファレンス的に参照してもらえれば嬉しいかなと思います。
こうして振り返ってみると、10年間で一貫していたのは、流行りの機材を紹介することではなく、実際に試し、測り、考え、失敗も含めて公開することだったのかもしれません。今後も同じように、まだ誰もきちんと整理していないこと、自分で納得できていないことを、一つずつ試して記事にしていければと思います。
「ほしぞloveログ」のコンセプト
本来このブログは、自分がやっている天文活動を記録していこうと思って立ち上げた、日記的なものなのです。でも時間が経つにつれ、実際には解説記事のようなものが多くなり、毎回長文になってしまっています。コメントや記事の引用など、このブログを読んでくれている人が意外にたくさんいることがわかり、自分で試したことや新しく得た知見を、できる限り隠したり制限したりすることなく、わかりやすく公開することを目指したのが理由です。
そういった意味では、星を始めて、わずか10日後くらいの2016年5月8日に、カメラの操作方法を、初心者なりに解説しようと試みています。その後7月にはもう少し学んだ後の解説記事にしていますが、ミスしやすそうなところを忘れないように書こうとしています。こんなところがこのブログの原点に近いのかもしれません。
最初の調整記事は2016年の5月末と、これも最初期の頃で、ニュートン反射の光軸合わせで単に他の情報を辿るだけでなく、自分で考えたことを拙いながらも書いています。初期の頃で、今考えても無茶だったと思うのはC8の光軸調整で、C8をほぼ全バラしています。この頃はまだあまりに変なことを記事にするのは少し躊躇していたのか、記事にはあらわに書かなかったことを覚えています。でも追加記事では、補正板と主鏡も掃除したとさらっと書いていて、全バラの片鱗が少しだけ垣間見えています。でも、機材を分解するくらいでやっといろいろ理解が進んでいくというのも、天文趣味においてはまた事実で、PSTの頃にはもう全く躊躇せずに分解して記事にしてしまっています。
10年も続けていると、このブログで初めて提供した全く新しいアイデア、一部には認識されていたけれどそれまでほとんど広まっていなかった情報など、今自分で見ても役に立つと思われる情報が、結構膨大にあります。きちんと整理されていればいいのですが、必要な情報を体系立てて探すのが難しくなってしまっているので、今回10周年といういい機会に、一度まとめてみようと思ったのが、この記事と前回のTips記事になります。
電視観望関連の新しい提案
大きなところでは電視観望の普及そのものでしょうか。そもそも、リアルタイムで星雲が色付きで見えることが難しいと考えられていた時代に、そこまで暗くない場所でも、しかも小口径鏡筒でも、淡い天体を見る手法を提案してきました。また、基本は一人で覗く望遠鏡に、その場にいる人たちで一緒に天体を見ながら会話などを弾ませるという、新しいコミュニケーションの方法を提案できたのかと思います。電視観望についてはすでにまとめの(その1)である程度述べているので、ここでは当時提案した、もしくは結果として提案となったような、新しいアイデアなどだけまとめてみます。
CMOSカメラを使った電視観望:
電視観望という言葉は2016年の胎内星まつりでHUQさんから聞いた言葉ですが、当時はSonyの一眼レフカメラでHDMIでリアルタイムで星雲などを色付きで見るというものでした。CMOSカメラを使ったものは、動画を撮影するというようなことは当時も試されていましたが、電視観望のようなその場で楽しむというコンセプトでは当時はまだ誰もやっていなくて、胎内星まつりから帰った直後、2016年8月に実際に試してみて、このほしぞloveログで紹介したのが初めてです。
Revolution Imagerの紹介:
アメリカのオレンジカウンティにある天文ショップのMikeがRevolution ImagerというアナログのNTSC出力のカメラを使った電視観望パッケージを販売していて、それを持ち帰り日本で紹介しました。使い方の記事なども書いていました。後にKYOEIから販売されることになりました。
SharpCapを使った電視観望:
一番最初は電視観望用のソフトにFireCaptureを使っていましたが、上のMikeからSharpCapがいいと教えてもらい、早速使った覚えがあります。当時日本ではまだSharpCapユーザーはほとんどいなかったはずです。当時からライブスタック機能がありましたが、撮影用途ではないので使い方が理解されなかったのが理由かと思います。使い方の解説記事も書いていました。このライブスタック機能は電視観望にはなくてはならない機能で、今に至るまで使い続けています。
小口径の有効性:
原村星まつりで手に入れた口径50mmのSCOPETECHや、福島星まつりで手に入れたFS-60Qなど、小口径鏡筒で電視観望を試しています。小口径でも十分成り立つのは自分では理解していましたが、きちんと言葉にして説明したのは2019年のCANPのときだったようです。このブログできちんとした説明をしているのは2019年の小海での講演のときに使ったスライドの全掲載のところの補足解説だと思います。
広域電視観望:
電視観望にとってワンショットナローバンドフィルターの出現は大きなインパクトがありました。最初に使ったのは2018年大晦日の実家の大都会名古屋での観望会だったようです。2019年9月に改めて検証したりしていますが、インパクトがあったのは2020年2月の焦点距離の短いカメラレンズにCMOSカメラを直接取り付けた、広域の電視観望システムではないかと思います。これはQBPなどが必須で、明るいレンズと相まって、都会などの明るい場所でも淡い星雲がとてもよく見えますし、街の中で天の川などを見る際に使うこともできます。この広域コンセプトはいまだに現役で、機材は多少変わっていますが、今でも観望会で活躍しています。
一眼レフカメラでの電視観望:
ASCOMドライバーが一眼レフカメラに対応してくれたので、一眼レフカメラを使った電視観望に大きな道が開きました。このネタでCP+2023でも一度話しています。
最小構成での電視観望:
何と、口径わずか30mmの超小型望遠鏡での電視観望を試してみました。2021年5月のことです。当時はこんな小さな口径で電視観望が成り立つとは誰も思っていなくて、むしろ私自身も懐疑的でしたが、あまりに普通に綺麗に見えるので自分自身びっくりしたことを覚えています。AZ-GTiからトラバースに移行できたのもさらに小ささを加速させることができました。屋根から昇る北アメリカ星雲とかはいまだにお気に入りです。この小さな電視観望セットは今でも現役で使っていて、観望会では大活躍です。これはSeestar S30やDWARF 3、DWARF miniなどの小型のスマート望遠鏡に繋がっていくようなコンセプトなのかと思います。
他にも、その時その時の新しいことを試したりしていて、SharpCapの2017年11月のオートストレッチの登場ですぐに試してみたり、フォーサーズと当時としてはかなり大きめのセンサーサイズのASI294MCを20217年12月に使ったりと、いろいろ紹介しています。
こうやってみると、電視観望の基本技術は立ち上げ時の2016年から2017年くらいまでのかなり早い段階で確立していて、その後大きなことは広域電視観望が2020年、ミニマム化が2021年で、そのあとはもう安定期に入ってしまったように感じます。逆にいうと、それ以降新しいことはあまりなくて、スマート望遠鏡が出てきてからは、初心者の入口としての役割はスマート望遠鏡にかなり引き継がれつつありますが、自由に構成を変えて試せる手組み電視観望には、まだ別の面白さが残っているのかもしれません。例えば銀河仕様にカスタム化するなど、スマート望遠鏡にはない応用性みたいなことはまだまだ試せるのかと思います。
CMOSカメラのノイズ
電視観望に加えて、このブログのもう一つの大きなテーマは、カメラのノイズ関連でしょう。当時はほとんど知られていなかったカメラの特性グラフの読み方など、このブログがきっかけの一つとなり、今では常識になったものも多くあります。
CMOSカメラの性能評価:
初期の頃の大きなものは、CMOSカメラの性能の評価の仕方の解説かと思います。ASI294MCを手に入れた2017年の頃の話です。もちろんその当時から、開発レベルでは評価方法については確立していて、その結果はカメラメーカーが示すグラフに表れていました。でも、アマチュアレベルでそのグラフをどう見たらいいかを解説している記事は、少なくとも私が探した限り皆無でした。販売店の方でもきちんと理解していたかどうかは怪しくて、公開はしてきませんでしたが、販売店の方達に個別に何度も説明してきたという経緯があります。今では、gainとかコンバージョンファクターなどと呼ばれるADUとeの変換係数の意味や、ノイズをeで評価する意味などもきちんと理解されるようになってきていて、あぷらなーとさんやNiwaさん、そーなのかーさんなども測定や応用をしてくれています。いずれもほしぞloveログの記事にリンクを張ってくれているのは嬉しい限りです。
ノイズ解析:
その後のノイズの解説記事も、いまだにレファレンスとしてリンクを張られることも多いです。この段階ではまだ一般的なノイズの話でしたが、これがノイズ評価の一連の記事へと発展していきます。特に初回には、これまで定量的に評価しにくかった背景ノイズについて「実際に撮影した画像からどれくらいの量の背景ノイズが全ノイズにどれくらい寄与しているかを推測する方法」を提案していて、撮影画像内にあるノイズの種類別の貢献度をある程度きちんと評価できるようになりました。地味に重要なのは、(その3)で対象天体をどう測定すればいいかを考えてS/Nで議論したことです。明るいところはいいのですが、淡いところは暗い環境が必要なことが如実にわかります。(その6)ではPixInsightではバイアスファイルを使わない方向が主流となっているのですが、その根拠も解説していて、かなり面白いかと思っています。でもこの一連のノイズ評価記事、自分の中では上手くまとめたと思っているのですが、どうも一般ウケはそこまで良くないみたいで、少し複雑すぎたのかもしれません。
太陽望遠鏡の仕組み:
ほしぞloveログでは太陽望遠鏡のファブリーペローエタロンの理解についても促してきました。もともと光共振器については詳しかったのですが、太陽望遠鏡がエタロンを使っているということを当時知らずに、ちょうどPSTを購入する直前の2017年の星まつりでその事を聞いて、なるほどうまいこと利用するなあと、ずいぶん納得しました。でもその後、アマチュア天文で太陽に詳しいという方と何人も話したのですが、誰もエタロンの仕組みについてきちんと理解している人に出会うことができませんでした。この状況はあまり良くないと思い、このブログでも2018年2月のPST購入当初のかなり初期の頃から解説を試みてきましたし、CP+でも2024年に結構ガチに解説してみました。他の日本語の記事でもエタロンについて書かれているのを見るようになってきたので、多少なりとも効果はあったのでしょうか。定性的なほんわかとした記述はいくつかありましたが、数値が入った説明がされていることはなかったか、あってもごくごく稀だったので、いい方向に向かっているのかと思います。
大口径化:
PSTなどの大口径化については、古くから日本でも行われてきました。このブログでも中古のジャンクPST入手直後から、口径8cm、10cmと試してきましたが、最後20cmまで試した例は、今でもあまりないと思います。このブログでは、うまく行った時だけでなく、失敗した例もできるだけ載せています。特に、20cmに挑戦するときに熱でフィルターが割れてしまったことがあるので、安全性についてもかなり呼びかけてきたつもりです。
分光関連:
2022年頃に日本でも流行ったSol'Exはスルーしてしまったので、その後に出たSHG700ではできるだけやったことをまとめておこうと思って記事を書いてきました。2025年の6月からですが、おそらくSHG700を手に入れたのは、日本の中ではかなり早かったと思います。実際、いまだに日本語でのSHG700関連の記事はあまりないので、何を書いても新しいことになってしまいます。その中でも、ジェットのドップラーシフトとか、Hαグレインとか、エタロンの透過特性を測るとか、アマチュア天文の中では世界的にみても結構珍しいことをしてきたのかと思います。
できるだけ簡単で、かつ精度のいい撮影ということで、高精度低機能赤道儀SWATと、高性能低精度経緯台AZ-GTiのいいところどりで、2つを組み合わせて高精度高機能で、かつオートガイドもなしで簡単に、でも3分程度の露光ができるシステムを組みました。SWAgTiと名付けました。面白いのは、ガイドはしないけれどもディザーはするという、これまた変わった方法を取りました。これは縞ノイズを回避したいという要請からです。でもガイドする手間は省きたくて、最初はSharpCapを使ってかなり苦労して実現しました。その後、NINAでも同様にガイド無しディザーができることがわかり、ある程度システムとしては完成しました。軽くて300mm程度の短焦点鏡筒は、もうこのシステムで手軽に撮影するので十分です。
画像処理でも、全く新しいこと、あまり知られていなかったことをいくつか取り上げています。縞ノイズの原因の一つが、暗い中で撮ったノイジーなフラットファイルであることを突き止めたり、BXTとDrizzleを併用すると更にBXTの効果が引き出されることや、ビニングについての解説などです。他にも、PCC時代にセンサー間の応答の違いの問題を指摘していて、今のSPCCのようなものが必要だと予言していますが、本当に思ったより早くSPCCで実現されたのはビックリでした。彗星の画像処理ではLarson-Secaninaフィルター原理の説明もしていて、核の回転がよく出ている画像を示しています。
上のことはTips記事にも書いてありますが、画像処理では各々記事で毎回色々議論しています。細かいことが多すぎて探りきれないので、またいい記事に気づいたらTips記事に追加していきます。例えば、LRGB合成に関する議論なんかは面白いと思います。LRGB合成はノンリニアで処理すべきという意見なのですが、私としてはまだ完全に納得できていません。
CMOSカメラの性能評価:
初期の頃の大きなものは、CMOSカメラの性能の評価の仕方の解説かと思います。ASI294MCを手に入れた2017年の頃の話です。もちろんその当時から、開発レベルでは評価方法については確立していて、その結果はカメラメーカーが示すグラフに表れていました。でも、アマチュアレベルでそのグラフをどう見たらいいかを解説している記事は、少なくとも私が探した限り皆無でした。販売店の方でもきちんと理解していたかどうかは怪しくて、公開はしてきませんでしたが、販売店の方達に個別に何度も説明してきたという経緯があります。今では、gainとかコンバージョンファクターなどと呼ばれるADUとeの変換係数の意味や、ノイズをeで評価する意味などもきちんと理解されるようになってきていて、あぷらなーとさんやNiwaさん、そーなのかーさんなども測定や応用をしてくれています。いずれもほしぞloveログの記事にリンクを張ってくれているのは嬉しい限りです。
ノイズ解析:
その後のノイズの解説記事も、いまだにレファレンスとしてリンクを張られることも多いです。この段階ではまだ一般的なノイズの話でしたが、これがノイズ評価の一連の記事へと発展していきます。特に初回には、これまで定量的に評価しにくかった背景ノイズについて「実際に撮影した画像からどれくらいの量の背景ノイズが全ノイズにどれくらい寄与しているかを推測する方法」を提案していて、撮影画像内にあるノイズの種類別の貢献度をある程度きちんと評価できるようになりました。地味に重要なのは、(その3)で対象天体をどう測定すればいいかを考えてS/Nで議論したことです。明るいところはいいのですが、淡いところは暗い環境が必要なことが如実にわかります。(その6)ではPixInsightではバイアスファイルを使わない方向が主流となっているのですが、その根拠も解説していて、かなり面白いかと思っています。でもこの一連のノイズ評価記事、自分の中では上手くまとめたと思っているのですが、どうも一般ウケはそこまで良くないみたいで、少し複雑すぎたのかもしれません。
太陽関連
太陽望遠鏡の仕組み:
ほしぞloveログでは太陽望遠鏡のファブリーペローエタロンの理解についても促してきました。もともと光共振器については詳しかったのですが、太陽望遠鏡がエタロンを使っているということを当時知らずに、ちょうどPSTを購入する直前の2017年の星まつりでその事を聞いて、なるほどうまいこと利用するなあと、ずいぶん納得しました。でもその後、アマチュア天文で太陽に詳しいという方と何人も話したのですが、誰もエタロンの仕組みについてきちんと理解している人に出会うことができませんでした。この状況はあまり良くないと思い、このブログでも2018年2月のPST購入当初のかなり初期の頃から解説を試みてきましたし、CP+でも2024年に結構ガチに解説してみました。他の日本語の記事でもエタロンについて書かれているのを見るようになってきたので、多少なりとも効果はあったのでしょうか。定性的なほんわかとした記述はいくつかありましたが、数値が入った説明がされていることはなかったか、あってもごくごく稀だったので、いい方向に向かっているのかと思います。
大口径化:
PSTなどの大口径化については、古くから日本でも行われてきました。このブログでも中古のジャンクPST入手直後から、口径8cm、10cmと試してきましたが、最後20cmまで試した例は、今でもあまりないと思います。このブログでは、うまく行った時だけでなく、失敗した例もできるだけ載せています。特に、20cmに挑戦するときに熱でフィルターが割れてしまったことがあるので、安全性についてもかなり呼びかけてきたつもりです。
分光関連:
2022年頃に日本でも流行ったSol'Exはスルーしてしまったので、その後に出たSHG700ではできるだけやったことをまとめておこうと思って記事を書いてきました。2025年の6月からですが、おそらくSHG700を手に入れたのは、日本の中ではかなり早かったと思います。実際、いまだに日本語でのSHG700関連の記事はあまりないので、何を書いても新しいことになってしまいます。その中でも、ジェットのドップラーシフトとか、Hαグレインとか、エタロンの透過特性を測るとか、アマチュア天文の中では世界的にみても結構珍しいことをしてきたのかと思います。
SWAgTi
できるだけ簡単で、かつ精度のいい撮影ということで、高精度低機能赤道儀SWATと、高性能低精度経緯台AZ-GTiのいいところどりで、2つを組み合わせて高精度高機能で、かつオートガイドもなしで簡単に、でも3分程度の露光ができるシステムを組みました。SWAgTiと名付けました。面白いのは、ガイドはしないけれどもディザーはするという、これまた変わった方法を取りました。これは縞ノイズを回避したいという要請からです。でもガイドする手間は省きたくて、最初はSharpCapを使ってかなり苦労して実現しました。その後、NINAでも同様にガイド無しディザーができることがわかり、ある程度システムとしては完成しました。軽くて300mm程度の短焦点鏡筒は、もうこのシステムで手軽に撮影するので十分です。
画像処理関連
画像処理でも、全く新しいこと、あまり知られていなかったことをいくつか取り上げています。縞ノイズの原因の一つが、暗い中で撮ったノイジーなフラットファイルであることを突き止めたり、BXTとDrizzleを併用すると更にBXTの効果が引き出されることや、ビニングについての解説などです。他にも、PCC時代にセンサー間の応答の違いの問題を指摘していて、今のSPCCのようなものが必要だと予言していますが、本当に思ったより早くSPCCで実現されたのはビックリでした。彗星の画像処理ではLarson-Secaninaフィルター原理の説明もしていて、核の回転がよく出ている画像を示しています。
上のことはTips記事にも書いてありますが、画像処理では各々記事で毎回色々議論しています。細かいことが多すぎて探りきれないので、またいい記事に気づいたらTips記事に追加していきます。例えば、LRGB合成に関する議論なんかは面白いと思います。LRGB合成はノンリニアで処理すべきという意見なのですが、私としてはまだ完全に納得できていません。
その他、細かいアイデアなど
まだまだこのブログで提案してきたアイデアなどはたくさんあります。個々それぞれの記事は基本的に「何か新しくあったこと」を書くようにしているので、細かいテクニックなどは普段のブログの記事に埋もれていることも多いです。細かいことを全部挙げるとかなり多いので、最初に述べたように別途記事にTipsとしてまとめました。本記事と多少重なることもあるかと思いますが、これまでの10年に限らず、新たに出てきたことも追加していこうと思っていて、今後リファレンス的に参照してもらえれば嬉しいかなと思います。
まとめ
こうして振り返ってみると、10年間で一貫していたのは、流行りの機材を紹介することではなく、実際に試し、測り、考え、失敗も含めて公開することだったのかもしれません。今後も同じように、まだ誰もきちんと整理していないこと、自分で納得できていないことを、一つずつ試して記事にしていければと思います。
