ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:TSA120

4月25日(土)、朝から晴れていて時間が少しあったので、久しぶりに粒状斑を見てみることにしました。

前回粒状斑を見たのは2025年11月のことで、2021年からずっと挑戦していて、長年の苦労でやっと見えたと報告したのが以下の記事です、



撮影セットアップ

今回のセットアップも、カメラ以外は前回と同じになります。

TSA120に2インチのUV/IRカットフィルターと、眼視用の2インチのOIIIフィルターを取り付け、カメラに1.25インチのHβフィルターをつけています。1インチのアイピース口をつけて、そこにExplor Scienteticの5倍のバローを取り付けています。

カメラは前回はピクセルサイズが2.9μmのASI290MMを使いましたが、今回はピクセルサイズ2.0μmのG3M678Mを使ったので、分解能的に少し有利になるかもしれません。

ただしTSA120の口径は120mmなので、口径からくるレイリー限界がOIIIだと1.05秒角になります。焦点距離が4500mmの場合、ピクセルサイズ2.9μmだと、1ピクセルあたりの画角は0.13秒角、2μmだと、画角は0.091秒角と、いずれにせよ十分すぎるくらい細かいので、実際の改善はほぼないと思われるかもしれません。

でも、粒状斑の大きさが1000km程度で、視野角としては1秒角程度にしかならないので、そもそもがレイリー限界程度です。1秒角のものを、ASI290MMの0.15秒角程度の分解能で見るか、G3M678Mの0.1秒を切る分解能で見るかという違いです。言い換えると、粒状斑を一辺6ピクセルくらいで見るか、10ピクセルで見るかという違いになります。

レイリー限界を信じるなら、そもそも粒状斑は全然見えないのでしょうし、ピクセルサイズの違いで改善はないでしょう。レイリー限界を超える何かがあるなら、ピクセルサイズで多少の効果はあってもおかしくないかもしれません。果たして、どちらが正しいのでしょうか?


撮影時のシーイング

この日はそこそこ大きな黒点群が出ていて、G3M678Mの画角にちょうど合うくらいなので、そこを狙いました。ただ、時間的に午前の少し遅い時間帯なので、そこまでシーイングは期待できなさそうです。30秒程度ごとに1ショット、合計1時間程度で120ショットを撮影しました。

撮影を開始してからはそのまま放っておいて、朝昼ご飯を食べにいきます。この日は近所のガストでした。モーニングギリギリに入って、クーポンで少し安くなったトンん汁定食を食べました。

午後12時ころに帰ってきて、今度はもう少し小さな黒点を、ROIで縦横半分にして撮影しました。こちらも1時間程度で120ショット撮影しました。

撮影終了後、AutoStakkertt!4のバッチ処理で一気にスタックし、ImPPGで細部を出して比較しますが、どうやらこの日はシーイングは全然ダメだったようです。基本的には粒状斑が全く出て来ない画像がほとんどでした。午前中の画像は、粒状斑が画面の1部にある程度写っていたものが16枚、画面全体に粒状斑が写っていたものはわずか4枚でした。午後はもっとひどくて、粒状斑らしきものがある程度見えるのがわずか4枚で、全体が写っているものはそのうち1枚だけでした。

実は、前回の粒状斑の撮影後に、試しにC8でも同じような手法で120ショット撮影したのですが、全然うまくいかず、粒状斑の画像としては全滅でした。その後はC8という機材が悪いと思い込んでいたのですが、TSA120でもシーイングで写り方が全然違うので、もしかしたらC8のときはやはり撮影時間帯の間中シーイングが悪かった可能性も捨てきれなくなりました。口径の差は効くと思うので、いつかC8とTSA120で撮影して比較できればと思います。

ちなみに、次の日曜の午前にも同じTSA120のセットアップで粒状斑を120枚撮影しましたが、この日のシーイングはもっと酷くて、全面に粒状斑が映っているものは1枚もなく、全ボツでした。シーイングの影響はものすごく大きいです。


結果

さて、今回の撮影結果です。まずは土曜午前の分のG3M678Mのフル視野角で、巨大黒点群AR4420周りです。

10_15_41_lapl2_ap2096_out_cut_cut
  • 撮影日: 2026年4月25日10時15分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120(f900mm、F7.5) + Explore Scientific x5バローレンズ
  • フィルター: UV/IR cut、Baader 7nm OIII、7nm Hβ
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ToupTek G3M678M
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2 solar
  • 撮影: SharpCap Gain 100 (= 0 for ZWO camera = 0 dB = 1倍)、平均23fps、露光時間0.8ms (10時11分から11時15分まで、約30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200フレームをスタック)
  • Dark、Flat補正: 無し
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop CC

次が、午後の撮影で、少し離れた単独黒点のAR4421をROIで縦横半分のサイズにして撮影したものです。
13_31_16_lapl2_ap492_out_cut
  • 撮影日: 2026年4月25日13時31分
  • 撮影: SharpCap Gain 100 (= 0 for ZWO camera = 0 dB = 1倍)、平均23fps、露光時間0.6ms (13時31分から14時36分まで、約30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200フレームをスタック)
  • Dark補正: 無し、Flat補正: Gain 100、露光時間0.6ms x 32枚
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop CC

惜しむらくは、上の両画像とも画面内で分解能が出ているところと、分解能が出ていないところがシミのような形で分かれていることです。これは元の動画の1コマ1コマを見るとわかるのですが、シーイングがいいところと悪いところが画面内で分かれているからです。その中でもシーイングがいい時の画像を瞬間的に持ってきているのですが、画面内でいいところだけを選ぶという技術はまだないので、このように時間平均して悪いところが残ってしまうようです。

とにかくシーイングは全然良くなくて、それにもかかわらず、1時間にわずか1-2ショットだけですが、かろうじていい瞬間があるというのは、統計的に見ても非常に面白いと思います。


前回ベストと比較

前回のベストをいま一度比較のために下に掲載しておきます。
11_00_34_l2_ap3983_IP_cut

シーイングは前回のほうがよかった印象にもかかわらず、今回の方が分解能が出ているので、やはりピクセルサイズの小さいカメラの効果はあったのかと思います。ただし、シーイングの良かったせいもあると思いますが、画面内の安定度は前回の方が上なのかと思います。


デジタル時代のレイリー限界の意味

こうやって見てみると、レイリー限界の意味がだんだん薄れてくる気がします。レイリー限界は、眼視時代に定義された、人間の目で2つの星を見分けることができる一つの目安です。具体的には、2つの星のエアリーディスクの重なりが大きくなると中心の間に明確な輝度の落ち込みがなくなるような状態で、 片方の星の明るい中心が、もう片方の星の最初の暗い輪に重なるのが限界になります。

レイリー限界は鏡筒の口径とターゲットの波長のみで決まって、今回のTSA120の場合はOIIIで1.05秒角となります。これが本当に限界だとしたら、そもそも1秒角程度の大きさでしかない粒状斑はほとんど何も見えないことになります。でも、実際にはよく見えてるんですよね。

今回は焦点距離を伸ばすことで、この1秒角程度の粒状斑を10ピクセルくらいを使って見ています。レイリー限界を信じるなら、より細かいピクセルを持ってきてもオーバーサンプリングになってしまい分解能は上がらないはずなのですが、目で見る場合と違いカメラで撮影した画像データでは、例えば少しの輝度差も、輝度のオフセットを除き、輝度さを画像処理で拡大などすることで、S/Nよく明るい部分と暗い部分が区別できるので、レイリー限界で考えるよりももっと分解能は上がってもおかしくありません。

今回の結果だけ見ると、粒状班の形や、更には粒状班の中の様子まで見えつつあります。レイリー限界だけで考えると勿体無くて、例えばこの結果からレイリー限界の10分の1くらいのサイズのピクセルで見ることには、十分に意味があるということが言えそうです。


まとめ

口径120mmで見る分解能としてはかなり限界に迫っているのかと思います。ここまで迫るためには、シーイングの極めていい瞬間を狙うことがかなり重要になります。1時間撮影して、シーイングが良くなるあるある時間帯のうちの、その中でも一番いい16ミリ秒ぶんを使ったということになります。確率で言うと、20/(200*120) = 0.083%です。いい分解能を得るのは、このくらいの確率を考えなければならないということもなんとなくわかってきました。

ただ、日としては悪いシーイングだったので、シーイングのいい日を狙うとまだ改善する余地があるのかと思います。あとは、やはりもう少し大きな口径で同様なことを試してみたいです。


皆既月食の一連の結果です。前回の広角撮影の記事からの続きです。


今回の記事は天王星食です。

機材

天王星食は2つの機材で臨みました。一つはその2で示した、TSA120 + ASI294MC Pro (常温) + CGEM IIでの自由撮影です。もう一つは、拡大撮影にと思って、他3つの機材の設置が終わってから準備したVISAC (VC200L) + Uranus C + CGX-Lです。

でもVISACの方は結局失敗でした。調整がものすごく難しくて恒星がおにぎり型になりやすく、天王星を見たらツノがピンピン立っていました。このことは天王星を見た直後に気付いた(思い出した)のですが、時すでに遅しで、一応撮影はしましたがあまり公開するに値しません。

TSA-120の方は焦点距離が900mmとそこまで長くないので分解能が心配でしたが、まあさすがのタカハシです、下手な大口径長焦点よりもはるかに結像してくれます。潜入の瞬間と出現の瞬間は動画で撮影し、.ser形式で保存しました。ただし、フルの解像度だとフレームレートが10以下になってしまうので、ROIでクロップしてフレームレートが20以上になる範囲で一番広い画面(3104x2116)になるように設定しました。


潜入時

まずは潜入時です。


できればクリックして画面一杯で見ると迫力があります。いやホント、すごいです。何度見ていても飽きないです。

その中の800x600ピクセルを切り出して拡大したものです。


まるで天王星が月にめり込んでいくみたいです。ピントはかなり気をつけたと思いますが、もしかしたらめり込んで見えるのはピントがずれていたせいなのでしょうか?空気の揺らぎもあるので、多少はこのように見えるのは仕方ないのかもしれません。それとも一般的にはこれがまともな見え方でいいのでしょうか?


出現時

続いて出現時です。全体像は明るい部分が多すぎて少し見にくいのですが、最下部より少し右に天王星が出てくるのがわかるかと思います。

拡大版です。こちらもあまりコントラストがよくないですが、出現時の様子がわかるかと思います。




VISACは没

ちなみにVISACで撮ったものはというと...、動画から1枚だけ抜き出した画像を示しますが、よく見ると天王星に角が立ってしまっています。
_2022_11_08_1136_1_RGB_VNG
Uranus-Cで天王星(Uranus)を撮ったので使いたかったのですが、残念ながらお蔵入りです。


そのうちに追加

まだ未処理画像がたくさんあるのですが、ちょっと時間が足りなくて未消化気味です。時間のある時にもう少し処理を進めて、適時追加していきます。



 
 
 
 
 
 
 
 


前回の記事で皆既月食の作戦立てとリハーサル、当日の撮影の様子まで書きました。今回はその続きです。



皆既月食とその前後

まずは一番オーソドックスで解像度も出る
  • TSA120+ASI294MC Pro(常温)+CGEM II
で撮影したものからいくつか処理します。このセットアップもSharpCapのシーケンサーを使い2種類の明るさで撮影しています。シーケンサは以下のような設定になります。1分間のうちにgain120で1ms、gain240で25msの撮影を4時間分240回繰り返しているだけです。

seqencer_TSA120

赤道儀の追尾レートは月時に合わせていますが、撮影中は月が画面の中でどんどん上に上がっていくので、適時ハンドコントローラーで月の位置を真ん中に移動しながらになります。全部で277ファイルが保存されていました。途中の天王星食などにはシーケンサーを止めて好きな設定で撮影していますので、連続撮影にはなっていませんが、保存された.serファイルからいくつか見栄えがいいものを画像処理をしました。

まずは皆既に入る前です。
ZWO ASI294MC Pro_25ms_240_2022_11_08_19_09_33__lapl5_ap2594_RS2
ターコイズフリンジが出てくるような画像処理としました。

次は皆既月食中で、天王星の食に入る少し前です。
ZWO ASI294MC Pro_50ms__2022_11_08_20_29_59__lapl5_ap689_IP
天王星が月の左側の真ん中ら辺に見えています。繋がって見えるのは動画で撮っていたからで、60秒間さつえいしたので、60秒で天王星が移動している分だけ繋がって見えているというわけです。

もう一つは皆既月食終了直後です。こちらもターコイズフリンジが見えるように処理しました。
ZWO ASI294MC Pro_25ms_340_2022_11_08_20_46_29__lapl2_ap1098_RS3


月時レートでも月が画角内を移動!?

今回使ったCelestronの赤道儀では、追尾レートを「恒星時」「太陽時」「月時」の3つから選べます。

実はリハーサル時に、「月時」に設定してしばらく追尾を試したんです。でも長時間追尾すると画面内で月が動いていくんですよね。極軸はそこそこきちんと合わせたつもりだったのですが、ずれていたのかと思い、再び極軸を合わせます。この時にまず大気収差の補正をするのを忘れていたことに気づきました。新しいPCを使ったので、設定し忘れていたのです。気を取り直して再度極軸合わせ。今度は大丈夫なはずです。でもでもやっぱり月は動いていってしまいます。見ていると、どうやら必ず上に向かうようです。

ここでじっくり考えました。そもそも月は28日かけて全天を一周します。ざっくり30日で360度とすると、1日12度もずれていくわけです。1時間あたり0.5度、月食の間の4時間では約2度もずれていきます。その一方、恒星は1年かけて360度全天を一周するので、ざっくり1日1度、1時間では約0.04度、4時間でも0.16度程度しか進みません。

この角速度の差は、月食観測中も恒星に対して月が移動していくことを示していて、しかもその動きは赤道儀の追尾の動きに対して水平に動くだけでなく、上下に動く成分もあることにやっと気づきました。地球に対する月の公転軌道は、地球の自転軸に対して水平ではないからです。ここにたどり着いてから、たとえ赤道儀の月時で月を追尾しても、画面内で上下に動いていくことにやっと納得できました。

でもそうすると大変です。上下に十分な余裕があれば別ですが、画角一杯に月を入れたい場合にはすぐに上下に逃げて行ってしまいます。それをマニュアルで適時上下に追い続けなければダメです。

これを回避するために、ガイド鏡を用いて、月をターゲットにして動かないようにすることも考えました。太陽撮影の時はこのようなガイドをすることがあります。でも今回は月食で、形が劇的に変わるような過程です。こちらもどうも難しそうで、本番一発で成功させるのは流石に自信がありません。

本当は月が画面内にピタッと動かずにずっと連続で撮影したかったのですが、それが無理だとわかったので、今回は「TSA-120は自由に好きなタイミングで撮影する機材とすると決めた」という経緯があります。

この考察は、この後の記事で書くつもりのFS60CBで画角を一切変えずに、太陽時で追っていくことにつながっていきます。


さらなる画像
 
TSA-120で撮影したものだけでも、まだまだ未処理の画像が大量にあります。特に、天王星食は別ページでまとめます。

またTSA-120で撮った画像の処理が進んだら、随時ここに追加していくかもしれません。


 
 
 
 
 
 
 
 


 

前回記事で試したASI2400MC ProとFS-60CB +旧フラットナーで試した電視観望。

お気軽電視観望というところからは程遠いことがわかり、今回は満を辞してのTSA120の登場です。さて、どうなることやら。


TSA-120にASI2400MC Proを取り付ける

前回FS-60CBでの反省を踏まえ、TSA-120でのセットアップです。

IMG_5226

  1. まず、カメラセンサーの近くにホコリがついていた可能性があるので、ブロアーで吹き飛ばしました。
  2. 周辺が歪まないようにフラットナーを鏡筒側に取り付けます。
  3. FS-60CBで苦労した接続も、2インチアイピースが標準のTSA120なら楽勝です。カメラに付属の2つのアダプターは、2インチアイピース口の差し込み口の径に合うような48mmのものになっています。落下防止の意味も含めて、アダプターを2つ連結してカメラに取り付けます。
  4. 月は出ていないですが街中で明るいのでCBPをカメラのアダプターの先に取り付けます。
  5. カメラ本体をアイピース口に差し込みます。
  6. 架台もAZ-GTiでは当然荷が重いので、CGEM IIにします。
IMG_5235


さあ、豪華セットで電視観望開始!

この状態でM42オリオン大星雲で比較します。今回も、西の空低くの沈みかけになります。FS-60CBではなかなか出なかったのですが、TSA-120では細部までかなり出ていることがわかります。ランニングマンも写りかけています。基本的にピクセルサイズが6μmと大きいため感度が高いためか、西のかなりひどい状況の空でも十分に映し出すことができています。
03_M42
ただし、FS-60CBの時よりはましみたいですが、それでも周辺減光があります。実はこれ、周辺減光はひどいわけでは全くなく、普通の撮影時で出てくる周辺減光と同レベルです。電視観望では強度の炙り出しをリアルタイムでしてしまうために、どうしても周辺減光が必要以上に目立ってしまいます。

次に、馬頭星雲と燃える木です。一応見えてますが、あまりはっきりしません。周辺減光で炙り出し切れていないせいもありますが、そもそも隣の家の屋根に沈む寸前。これ一枚ライブスタックした次の画像は、屋根が入ってしまいました。

01_hose

次はこちらも沈む少し前のバラ星雲です。画面をiPhoneで撮影したものです。
IMG_5233

この時にSharpCapでキャプチャした画像が下になります。
Stack_48frames_307s_WithDisplayStretch

この一部を拡大してよく見るとホットピクセルが多少あります。
Stack_48frames_307s_WithDisplayStretch_hot

でも解像度が高いので、引きで全体を見ている限りはそこまで目立たないようですが、スタック時間が長くなるとミミズのように伸びていきます。これはリアルタイムダーク補正でだいぶマシになります。

下はダーク補正をした場合。少し残りますが、細くなっていて実際の電視観望で全体で見ている限りはまず気になりません。
Capture_00001 20_41_36_WithDisplayStretch_hot

これ以降はの画像は全てダーク補正をしてあるものになります。


周辺減光をなんとかしたい

周辺減光を緩和できないか試してみました。次の画像はリアルタイムフラット補正をしたものです。iPad ProでColor Screenというアプリを使い、灰色に近い色を画面に出し、鏡筒の先端に当ててフラットを撮影しました。その際、画面が明るすぎたので露光時間を100msと短くしました。ちなみにLiveStack時は露光時間6.4秒ですが、一般にゲインさえ変えなければフラットフレームの露光時間を変えても問題ないはずです。
Stack_65frames_416s_WithDisplayStretch
でもこれを見ると、どうも赤が過補正になってしまっています。この時はモノクロのフラットフレームを作成しました。

色別で補正具合が違うということのようなので、各色で補正しなくてはダメなのかと思い、次はカラーのフラットフレームを作成してフラット補正した場合です。ダーク補正が何か影響するのかとも考え、この一枚はダーク補正もなしです。
04_rose
今度は白で過補正になっていますね。これまでも何度かSharpCapでフラット補正を試していますが、うまくいったことがありません。この日もこの時点で諦めました。以後はフラット補正はしていなくて、ダーク補正はしてあります。


春の銀河を電視観望

オリオン座が沈む頃の時間帯、春はあまりカラフルな天体はなく、鮮やかさでは寂しくなってしまいます。その代わり銀河はよりどりみどり。フルサイズなので広角ですが、十分に見応えがあります。

例えばしし座の三つ子銀河ですが、やはり周辺減光が大きいですが...、この画角だと拡大して一部だけ見た方がいいと思います。
Stack_169frames_1082s_WithDisplayStretch

実際、高解像度のカメラなので、拡大画像でも全く破綻しないんですよね。むしろこれがASI2400MC Proの真骨頂で、拡大しても得られた画像は素晴らしいの一言です。実際に見ているのに近い、iPhoneで撮影したものです。
IMG_5249
もうツルッツルですよ。これで6.4秒露光で、ライブスタックでトータル20分ちょいです。

参考に、画面をキャプチャしたものも載せておきます。
06_triplet

中心部を拡大すればこんなふうにかなり見えるようになるので、たとえ2インチ対応の鏡筒でも電視観望の炙り出しで周辺減光がある程度残ってしまうことを考えると、フルサイズの広角なのを利用して導入で楽をして、目的の天体を画面中心に持ってきて、画面上で拡大というのが使い方としては現実的なのかもしれません。

ちなみに下は、10分の1の時間、ライブスタック2分の時の画像です。
05_triplet
20分と比べるとザラザラ感は残りますが、これでも電視観望なら十分過ぎるくらい綺麗なものになります。

拡大して比較してみます。左が20分スタック、右が2分スタックです。2分のほうがノイジーですが、逆に20分は画像が流れた縞ノイズが少し出ています。
comp
ただ、拡大してこの程度なので、通常の電視観望ではたとえ2分露光のものでもかなり綺麗に見えたという印象になるかと思います。

20分スタック画像を簡易処理してみました。10分程度でパッとやったくらいです。流石に長時間かけた天体写真と比べるとダメですが、それでも十分鑑賞できるくらいにはなるのかと思います。
Stack_16bits_169frames_1082s_ABE_ABE_DBE2


次はソンブレロ銀河です。20分露光です。周辺減光が目立たないように中心部を拡大しています。これだけ見えれば十分でしょうか。
08_sonblero

最後はM51子持ち銀河です。これも20分露光で、中心部を拡大。少しノイジーですが、かなり細部まで出ています。これは結構すごい!
23_M51

少しノイジーだったので、あっと思い、この段階でこれまで冷却していないことに気づきました。そのため、では冷却したらどうなるかを試しました。
24_M51
ただし、その際、SharpCapを最新版にアップデートしたのですが、少し状況がわかったようです。ほぼ同じ条件で冷却をオンにしただけですが、明らかにノイジーになってしまっています。必ずしも最新版がいいわけではないようです。インターフェースは白の明るい部分がなくなり、改良されているようです。

そもそも電視観望は長時間露光ではないので、冷却がどこまで効くかは疑問で、今回は冷却に関しての効果の判断は保留としたいと思います。

とここら辺まで試して月が出てきたので終了。ASI2400MCとTSA-120での贅沢電視観望いかがでしたでしょうか?このレベルを観望会で、しかも大型画面やプロジェクターで見せることができたら、結構すごいと思います。


まとめ

ASI2400MC Proでの電視観望である程度わかったことをまとめておきます。
  • 鏡筒をかなり選んでも、フルサイズの電視観望では周辺減光はどうしても目立ってしまう。
  • リアルタイムダーク補正は結構効く。
  • リアルタイムフラット補正は結構難しい。
  • 感度、フルサイズの解像度、ダイナミックレンジは素晴らしく、電視観望でも撮影に近いレベルで画像を得ることができる。
などです。苦労もありますが、それに見合う結果は出るのかと思います。

ただし、このカメラの値段を調べてもらうとわかりますが、ちょっとというか、かなりのものです。電視観望のためだけに購入するのはなかなか勇気が必要で、今回は借り物だから実現できたのかと思います。撮影のためにこのカメラを購入し、そのついでに電視観望をするとかならまだ現実的でしょう。予算がある公共の天文台とか、個人でも余裕がある方は電視観望用途でも検討する価値はあるかと思います。ただ、今回私も口径や焦点距離、周辺減光などで結構苦労したので、ある程度のスキルも必要になってきます。こう考えると個人で電視観望のみの用途だとは少しもったいないレベルの機材の気がしますが、ただし、得られる画像はかなりのものであることは間違い無いので、興味がある人は検討する価値があるのかもしれません。

今回はこれまでとは方向性の違った豪華機材での電視観望でしたが、かなり楽しかったです。結論としては「ASI2400MC Proは価格はすごいが、得られる画像もやはりすごい!です。
 

2022年2月14日、晴れているのですが月齢13日と満月期に近いので、TSA120を出してシリウスBにチャレンジです。

IMG_4582

ブログの記事になっているシリウスBの挑戦は、TSA120を購入した約2年前のことです。


今シーズンは同じTSA120で3-4回挑戦していますが、いずれもシーイングが悪く諦めました。今日のシーイングは瞬き具合を見ても、そこまで悪くはなさそうです。


20時頃、まずは眼視でリゲルを導入。Pentax XW3.5mmで余裕でリゲルBは分離します。

次にシリウスです。同じくPentax XW3.5mmで見ますが、かなり瞬いていて惨敗。21時過ぎまで粘って、多少高度も上がって明らかに瞬きは減りましたが、それでもどうしても見えません。

いったん諦めて、カメラに切り替えてみます。手近にあったCeres-CをTSA120に取り付け、SharpCapで御t見ます。とりあえずの画面では露光時間やゲイン、ヒストグラムを色々いじってもやはり見えません。

ここで6.25ミリ秒、ゲイン0で1000コマ、serフォーマットの動画で撮影します。動画を再生してみてもやはりシリウスBらしきものは確認できません。

この画像をAutoStakkert!3で上位20%をスタックし、PixInsightのSTFで炙り出すと、主に緑と青を攻めてみるとやっとシリウスBが出てきました。赤をいじってもシリウスBの出現にはほとんど影響がなく、波長が短い方が影響があるようです。

その後、Regitaxでエッジを出すと、かなりはっきりしてきました。

21_17_40_lapl6_ap1_ST_RScut
  • 撮影日: 2022年2月14日21時17分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: TAKAHASHI TSA120(f900mm)
  • フィルター: 無し
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Player One Ceres-C
  • 撮影: SharpCap、Gain 0、露光時間6.25ms、上位200/1000をAutoStakkert!3でスタック
  • 画像処理: PixInsight、Registax6、Photoshop CC

上が北で方角的にはシリウスBは北東で左上方向に出るはずです。1ピクセル0.856秒程度なので、11.3秒角離れているシリウスBはシリウス中心から13.2ピクセルくらい離れているはずです。撮影した画像からピクセルを数えてみるとほぼ13ピクセル。なので間違いないでしょう。

シンチレーションで眼視では見えなくても、多数枚スタックで多少のシンチレーションの悪さは回避できそうです。ただし、PixInsightで炙り出したとき、見える範囲は意外に小さく、落ち着いてやらないと見えないと判断してしまうかもしれません。


過去M33は2回撮影しています。いずれも自宅での撮影です。どうしても満足できていなかったので今回再びM33の撮影です。

3回目のM33

最初の撮影は2018年の1月、PixInsightを始めた頃で、3時間の長時間露光と頑張ったのですが、その長時間露光が原因で縞ノイズ(縮緬ノイズ)に悩まされました。


これは後の解析で、フラットファイルを暗いところで撮っていたためフラット情報を持つべき信号が足りずに、結果としてS/Nが悪いフラットファイルになっていたことが明らかになりました。


2回目は2020年の11月なので約1年前です。TSA-120とASI294MCでの撮影でした。

この時は露光時間が1時間半ほどで、どうしてもノイジーになってしまうのに悩んだ覚えがあります。


土、日の2日間の撮影

撮影は2日に分かれました。10月9日(土)と、10月10日(日)です。前回の画角が少し狭かった気もするので、今回はTSA-120とEOS 6Dで撮影してみました。これでうまくいかないなら、次はASI294MMのモノクロでRGB撮影にするかもしれません。銀河なのでフィルターは赤外でのハロ防止のためのUV/IRカットフィルターのみです。

土曜は昼間快晴だったのですが、夕方からずっと曇り。0時頃に一旦快晴になり機材を出し、0時半頃に準備を終えたら再び曇りで、一旦自宅に退散します。1時過ぎにまた快晴で、結局撮影開始が午前1時40分頃でした。この日は明け方まで撮影しましたが、露光時間が1枚あたり5分で、薄明までに34枚撮影できてそのうち29枚を使うことができました。これだけだと2時間半くらいなので、もう少し枚数が欲しくて次の日も撮影。

日曜は朝からずっと快晴なので、赤道儀も前の晩から置きっぱなしです。昼間は太陽撮影とかしていたので、そのまま移動していないため夜の撮影でも極軸を取る必要もなし。連日晴れの撮影だと準備は楽なものです。この日は45枚撮影して37枚を画像処理に回すことができました。

2日間トータルで66枚なので、5時間30分の露光になります。

でも本当はもう2時間程度長くなる予定でした。初日の撮影で、一番最初はISO1600で始めたのですが、ヒストグラムのピークが半分近くまできてしまっていたので、すぐにISO800に切り替えました。問題は2日目で、同じISO800で始めたのですが、天頂越えで赤道儀を反転させた際に、間違えてISO1600にしてしまいました。最初違うISOを混ぜて処理しようと思ったのですが、画像処理の時に見比べたら、ISO1600の方が明らかに星像が肥大していたので、泣く泣く25枚分諦めることに。

そういえばもう一つトラブルが。いつも使っているStickPCにリモートデスクトップで全くつなげなくなってしまったのです。とりあえずその場は代理のノートPCで撮影を始めましたが、後でStickPCを調べたら結構面倒でした。接続できなくなったのはWindowsのアップデートが始まってしまったのが原因のようですが、アップデートのせいなのかWi-Fiアダプタをうまく認識できなくなってしまったようです。

Wi-FiアダプターはIntelの9462で「コード10」エラーでうまく開始できないというようなメッセージが出ています。ドライバーをアンインストールして、Intelのページからあらわに最新ドライバーをダウンロードしてきたりして色々試すのですが、
  • 一瞬起動してネットワークにつながるがすぐにだめになる。
  • 起動してネットワーに繋がるが、切断と接続をずっと繰り返す。
  • 起動してネットワークにつながり安定だが、再起動するとアダプターを認識しなくなる。
などのトラブルがずっと続きました。10回くらい色々とドライバーを入れ替えたり再起動したりを繰り返していると、ある時突然安定になって、再起動とかしても普通に動くようになりました。原因はわかりませんが、とりあえず動いたのでこのままそっと使おうと思います。安定運用の観点からは、Windowsのアップデートはできるなら避けるように設定しておいた方がいいのかもしれません。

もう一つのしょぼいトラブルですが、撮影が長時間にわたるので6Dの駆動は電池切れを防ぐために外部バッテリーにしてあるのですが、その外部バッテリーが切れてしまって、2日目の天頂越えの後1時間以上にわたって撮影が中断していたことです。目が覚めた時に外にチェックしに行って発覚しました。でも結局後半は先に書いたようにISO1600で撮影してしまって、星像肥大で使わない画像となったのでまあいいかと。ISO800のままでバッテリートラブルがなかったら、9時間越えになっていたかもしれません...。

撮影時の状況はこんなところでしょうか。後日フラットとフラットダーク、足りなかったダークファイルを、ISO800の分とISO1600の分をぞれぞれ追加撮影し、やっと画像処理です。


画像処理

PixInsightのWBPPで何パターンか試しました。
  1. ISO800
  2. ISO1600
  3. ISO800とISO1600を混ぜたもの
を比べて、ISO1600が星像肥大と判断し、2と3を棄却。

でもなぜISO1600で肥大していたのかは謎です。ピントはずらしていないし、ISO800と1600で天頂に対象に撮影したようなものなので、空の高低では影響は同じくらいになってもおかしくないはずです。明け方に向かって温度が下がっていくはずなので、その温度変化でピントがずれていったのかもしれません。

あと、6Dのダーク特性がちょっと気になったのでホット/クールピクセルはPixInsightのCosmeticCorrectionで取り除くようにしてあるので、
  1. ISO800でダーク補正あり
  2. ISO800でダーク補正なし
で比較。結果、ダーク補正なしの方が少しだけ縞ノイズが残るので、ダーク補正ありを採用としました。

何でこんなことをしたかというと、もしかしたら6Dのダークノイズって素性が良くてあまり気にしなくてもいいのではと思ったからです。ダークフレームを撮影するのは時間がかかりますし、少ない枚数での補正だと逆にノイズを加算することもあります。まあ結果はほんの少しですが違いがわかったので、これからもダーク補正はしようかと思います。冬でもっと温度が低くなればダーク無しでも良くなるのかもしれません。

ABE、DBEで残りの背景補正をして、PCCで恒星の色合わせ、ASと最後は恒星を尖らせるためにHTでストレッチ。StarNetで星マスクだけ作り、MTのDilationで少しだけ製造を大きくしてPhotoshopに渡します。あとはほとんどPhotoshopで調整です。


結果

私は青紫っぽいのが好きなので、以下のようにしました。

「M33:さんかく座銀河」
Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b
  • 撮影日: 2021年10月10日1時41分-4時37分、2021年10月10日20時34分-10月11日0時47分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: 2インチUV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x66枚 = 5時間30分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

ちょっと中心がサチってしまっていること、赤ポチがわざとらしいところが反省点でしょうか。淡いところはそこそこ出たと思います。解像度はまあまあ。以前ASI294MCで撮ったのよりは、ピクセルサイズが4.6μmから6.3μmと大きくなっているにもかかわらず解像しています。シンチレーションが効いているのでしょうか?でも潜在的にはもう少しでてもいいのかもしれません。これは次回以降にチャレンジとします。

画像処理でいろいろいじっていたのですが、もしかしたら色味は真ん中をもっと黄色に持っていって、青紫よりも青に寄せるほうがいいような気もしてきました。近いうちに再処理するかもしれません。

あとは、いつものAnnotationです。

Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b_ok_annotation


まとめ

いつもの自宅撮影でしたが、露光時間も5時間越えで、そこそこ出てきたと思います。解像度はもう少し出ても良さそうなので、次やるとしたら少し画角が小さくなりますが、ASI294MMでLRGBでしょうか?他の銀河でのLRGBも、今後挑戦していきたいと思います。


おまけ

以前撮影したものの再掲載です。

2018年1月のもの。縞ノイズがひどいです。
integration_Maximum_No_normalization3c

2020年11月のもの。
masterLight_180_integration_DBE_AS_hakiOK_all4

上の2020年と同じ画角で、今回のものです。
Image17_DBE_DBE_ASx2_HTx2_4_cut_b_ok_cut

うん、こうやって比べると3年では劇的に、1年でも進化していますね。微恒星まで出て、分解能もよくなっています。でもやっぱり中央の処理は前の方がいいかも。これは再画像処理案件か?


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