ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:TSA-120

実際のフェニックスの大口径化作業がどんどん進んでいて、ブログ記事の方が追いついていないです。とりあえず連休中の分を書いておきます。


前回までは、エタロン前に置いたコリメーターレンズの収差と思われるのが原因で、像がボケボケだったものを、PSTのエタロンに付いていた対物側の焦点距離-200mmのレンズを使うことで、分解能が一気に出たことを書きました。でも、この分解能が果たしてまだ収差に制限されてしまっているのか、それともシーイングが制限になってしまっているのかが不明でした。今回はこれに決着をつけたいと思います。


分解能を制限しているのは何?

今回は、これまでのように30秒ごとに1時間程度、合計120ショット撮影を続けて、その中で前回撮影したものより明らかに分解能が良いものがあれば、前回の撮影はシーイングリミットだった、ほとんど変わらないなら収差リミットだったと言えるのかと思います。もう少し言うと、前回は12cmよりも10cmの方が若干分解能が良く、少なくとも10cmに比べて12cmの口径としての分解能は確認できていません。シーイングは時間によってばらつきがかなりあることはわかっているので、前回の10cmと12cmでみた逆転や差は誤差の範囲内の可能性が高いと思っています。

さて、2026年5月6日のゴールデンウィーク連休最終日、実際に撮影してみました。実際には前回の記事の撮影日の次の日に撮影していて、比較のためにもセットアップは何もいじっていなくて、全く同じ状況での撮影になります。

IMG_3129

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シーイングができるだけいい時間帯ということで、撮影は午前中にしましたが、あいにく全体に薄雲が掛かっている状態で、時折晴れに近くなったり、時折熱い雲が通ったりと、状況的にはかなりイマイチでした。それでもその中で1枚でも前回よりいい分解能で見えるなら、前回の撮影は収差リミットでなかったと言えるので、撮影を敢行しました。

曇が通ると写らないこともあるので、結局合計235ショットを撮影しました。曇りのせいか、そもそもこの日はシーイングが悪いのか、ほとんどの画像は分解能は出ていませんでした。前回程度のものもありますが、前回よりも数多く悪いものもあります。でもその中の少なくとも9ショットは、やはり明らかに分解能が出ているものがありました。その中で、ベストのものがこれになります。
09_33_59_lapl3_ap2178_IP_ST

前回のものが以下になります。明らかに上の方がいいですね。
16_25_20_lapl3_ap2029_IP

少なくとも前回を越すものが1枚でもあったということから、前回の結果は収差リミットではなく、シーイングが悪く、改善の余地はあったということがわかります。また、前回は10cmと12cmの分解能が逆転していましたが、今回は前回の10cmで撮影した結果よりも分解能も出ているので、前回はシーイングのばらつきでたまたま順位が変わったと考えてよさそうです。


まだ結論は出ていない

た、だ、し、だからと言って、今回撮影した結果がまだシーイングリミットなのか、これで収差リミットになったのかは判断がつきません。特にこの日は曇りで、平均的にシーイングがそもそも良くなかったと思われるので、まだシーイングリミットの可能性もあります。上の画像は、その中でもシーイングがいい時間帯を選んだことになるので、この画像の時は十分シーイングとしては良く、実際に分解能の制限に効いているのは改めて収差になった可能性もあります。というのも、上の画像でもまだ口径10cmのヘリオスター100Hαに迫っているとは言えず、口径12cmの性能を引き出し切っているとはとても思えないからです。

シーイングリミットにしろ、収差リミットにしろ、もしくはその他の原因にしろ、統計的に考えたら、無相関なバラツキの和になるので、それぞれのブレの2乗和のルートで効くと考えればいいはずです。全体で見ると、大きなブレが支配的になり、ブレが小さい成分は効きが一気に弱くなります。
  • 例えばシーイングのブレ成分が1として、それに収差のブレ成分が半分だとして混ざると考えたら、2乗和のルートで考えるとsqrt(1^2+(1/2)^2) = sqrt(1+0.25) ~ 1.18なので、ブレは2割も増えません。
  • シーイングのブレ成分が1で、収差のブレがその10分の1なら、sqrt(1^2+(1/10)^2) = sqrt(1+0.01) ~ 1.004と、それぞれの成分で見て1割あったはずの増加分は、全体で見るとわずか0.5%以下の増加になります。
  • 収差のブレが1で、シーイングのブレが同じ程度の1あったとしても、全体ではsqrt(1^2+1^2) = sqrt(2) ~ 1.4倍程度にしかなりません。
大きなブレがあると、それが支配的になりやすいということです。

なので今回言えることは、「このセットアップで、少なくとも今回撮影したところまでの分解能を出す性能があることはわかった」ということだけなのかと思います。繰り返しになりますが、今回の撮影で得た分解能を制限している原因はまだ分かっていません。でも、今回の撮影の結果から、前回の分解能が収差で制限されていたわけではなかったということは言えますね。


次は?

次に確かめるべきこととしては、明らかに今回よりもシーイングのいい時を狙って、さらに分解能が改善されるかどうかを見るべきでしょう。もうこれ以上改善されないなら、収差制限か、もしかして他の原因による制限かもしれないけれど、それが今のセットアップでの限界ということになるので、その原因を取り除くような改善をしていくべきなのでしょう。

さて次回ですが、実はもう撮影は終わって暫定的ですが結果も出ています。また記事にします。



先週試したフェニックスに口径10cmの鏡筒を付ける試みですが、半分成功、半分失敗といったところでしょうか。少なくとも口径4cmのオリジナルのフェニックスよりは分解能は出ましたが、なんかボケボケで、まだ口径10cmの性能が出ているとは思えません。今回は、なぜ分解能が期待通り出ないのか、どうすればいいのかを試してみました。


3枚レンズの合成焦点距離

前回の記事のコメントで、銀命堂さんが合成焦点距離に関して有益な情報を提供してくれました。銀命堂さんには、以前VISACの光軸調整のシミュレーションのページでお世話になり、このブログにもコメントをいただいた方で、光学設計に詳しく、同ブログにある天体写真を見ても相当な実力をお持ちの方です。

3枚レンズの合成焦点距離は、銀命堂さんがコメントに式も書いてくれていますが、、今回の合瀬焦点距離はきちんと計算にはこのページが便利です。



物体距離を1000000とかかなり大きな数にして、物体距離 
  • 第1レンズの焦点距離: 1000
  • 第1-2レンズの間隔: 800
  • 第2レンズの焦点距離: -200
  • 第2-3レンズの間隔: 50
  • 第3レンズの焦点距離: 400
と順次数値を入れて計算を実行すると、合成焦点距離が2000mmと出ます。これも便利なのですが、簡易的な計算としては銀命堂さんがおっしゃるとおり、1000mm/200mm =5 倍のガリレオ式望遠鏡と考え、この倍率にフェニックスの対物レンズの焦点距離400mmを掛けた 5 x 400mm =2000mmと出すのが、暗算でも求められるので簡単です。

ちなみに、C8+PSTだと合成焦点距離は2000mmでした。これはC8の2000mmに-200mmのレンズで10倍、それにエタロン後部の200mmを掛けて2000mmと同様に暗算でも計算できます。今回焦点距離が1000mmの鏡筒なのに合成焦点距離が伸びてしまったのは、コリメートレンズを-200mmにして、フェニックスの対物レンズが倍の400mmと絶対値に違いがあるからです。

コリメートレンズの焦点距離を決めると、平行光の条件 (1/f = 1/f1 + 1/f2 - d/(f1*f2) で f=∞ を解くとd = f1+f2、今回の場合d = 1000 -200 = 800mm) でレンズ間距離が一意に決まります。鏡筒の焦点距離の手前に、コリメートレンズの焦点距離部だけ鏡筒側に食い込んで置かなければならず、今回のMagellanもフォーカサー部を外すことでこの条件の位置に置くことができました。前回記事のコメントでエレキさんが言われたように、もっと焦点距離が負側に長いコリメートレンズを置けば収差が減っていいのかもしれませんが、そうなってくると鏡筒を切断するとか、別途鏡筒に変わる何かを用意する必要がありますし、そもそもパッと探した限り-300mmくらいの凹レンズが最長で、それ以上は簡単には手に入れることができません。


エタロンの中央遮蔽が問題?

ここら辺までが、前回のブログ記事をアップしてからジタバタ考えていたことでした。今回まず試したいことは、前回ブログの最後の方にも書いた、このボケがフェニックスエタロンの中方遮蔽から起こるのではないかという推測の確認です。方法は、手持ちの口径8cm、焦点距離400mmの鏡筒に同じ-200mmのコリメートレンズを付けてフェニックスを接続してやります。エタロン位置での平行光条件から、最初のレンズから200mmの位置にコリメートレンズを置くようにすると、エタロン位置でのビーム径が40mmになり、前回のビーム径20mmに比べて十分に大きく、中央遮蔽を避けることができるはずです。これでボケボケなのが解決されるなら、中央遮蔽が悪かったということになります。

10cm鏡筒が載っていたアルミフレームには、アルカスイス互換のクランプが取り付けてあります。鏡筒側にアルカスイス互換のプレートを取り付けていれば、クランプの開け閉めだけで、鏡筒をを容易に取り替えることができます。

持ち手代わりのためと、ガイド鏡やファインダーを付け替え可能にするために、ほとんどの鏡筒にアルカスイス互換プレートをつけるようにしています。なので10cmの鏡筒を8cmのものにすぐに交換することができます。ただし今回の場合は、二つの鏡筒の光軸を合わせるために、特に「高さ」を調整して合わせなければいけません。8cm鏡筒と10cm鏡筒はまた交換したくなるかもしれないので、今回はフェニックス側の高さは変えずに、8cm鏡筒の高さを間にプレートを挟むことで調整しました。

高さ調整後、アルミフレームに2つの鏡筒を載せた状態にします。2つの鏡筒の相対的な距離に関しては、アルカスイス互換のクランプを緩めることで、かなりの範囲を位置を調整できます。

IMG_3093

結果はというと、SharpCapの画面上で見ても相当ボケボケでした。ピントが合う位置が無いような状態で、10cmの時より全然ひどいです。

スクリーンショット 2026-05-05 100244

全く改善がないということで、中央遮蔽は関係なく、コリメートレンズの収差が問題だという可能性が高くなってきました。

ここで疑問が湧きます。今回のコリメートレンズはAmazonで見つけた安いもので、直径50mm、焦点距離-200mmの球面の凹型の単レンズです。単レンズでは収差を避けることができないので仕方ないのですが、ではなぜPSTでは8cmや10cmと組み合わせてもきちんと見えていたのでしょうか?

改めてPSTのエタロンの対物側のレンズを外して確認にしてみたのですが、やはり以前見たとおり単レンズにしか見えません。

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理由がよくわからないのですが、少なくともPSTの大口径化ではうまくいっていたと考え、とりあえず試しにこのPSTエタロンの対物側のレンズを使ってみることにしました。

このレンズは焦点距離は-200mmで同じですが、径が23mmで、Amazonで買った50mmのレンズに比べて小さいです。光はこの径しか通り抜けることができないので、フェニックスエタロンの中央遮蔽の影響はより出るはずですし、このレンズ径で制限されるとすると8cmになった口径を生かしきれないので、分解能的に不利になるはずです。不利なことしかない気がしますが、それでも像が改善されるなら、収差がなくなるような何らかの理由が存在すると思っていいでしょう。

こちらも簡単に、テープでフェニクス前面に貼り付けてやります。さらにその上にUV/IRカットフィルターを付けます。
IMG_3107

結果はどうなったかというと、SharpCapで見る段階で大幅に改善しています。
スクリーンショット 2026-05-05 111938

うーん、なぜなんでしょう?それでも、少なくともこの結果から、中央遮蔽の影響は象には関係ないと言えそうです。


10cmをPSTレンズで再び試す

中央遮蔽の問題ではないことが確認できたので、ビーム径は小さくてもいいと考え、再び口径8cmから口径10cmに戻します。その際に、PSTレンズも10cmの方に付け替えてやります。F10鏡筒なので、エタロン位置でのビーム径が20mmになり、PSTレンズにほぼぴったりの径になります。

IMG_3111

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SharpCap上で確認すると、口径10cmの場合でも、PSTレンズを使えばかなりの分解能が出ることが確認できました。
スクリーンショット 2026-05-05 115822

せっかくなので、動画で撮影して画像にまで仕上げてみました。
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これならば十分な解像度が出ていると言えます。

ついでにフェニックスオリジナルと比較してみましょう。左がフェニックス単体、右が口径10cm+フェニックスになります。
スクリーンショット 2026-05-05 124156

前回のアマゾンで買ったコリメートレンズの時よりも、明らかに細かい線が出ていて、分解能が上がっていることがわかります。

あと、それぞれの画像の下にある倍率を見ると505%と100%となっていて、5倍の違いになっているのがわかります。これはフェニックスの400mmの焦点距離が、2000mmになって5倍になったのと一致しているので、実際に合成焦点距離が計算通りに出ていることがわかります。



TSA-120を使い、口径12cmに

調子に乗って、口径12cmのTSA-120で試します。こちらは合成焦点距離が900mm / 200mm x 400mm =1800mmとなり、エタロンでのビーム径が120mm x 200mm/900mm = 27mmとなります。その手前のレンズ径が23mmなので、120mmの口径は完全には生かしきれず、単純には120mm x (23mm/27mm) = 104mm相当になります。 

ただし、TSA-120は鏡筒の外径が大きいため、光軸を合わせるために、今度は高さの低いフェニックス側の高さを調整する必要があります。それだけならいいのですが、TSA-120に取り付けてあるアルカスイス互換プレートは、ネジ穴位置の関係から鏡筒バンドの中間に取り付けられていなくて、中心から1cmくらいオフセットがあります。下の写真でわかりますでしょうか?
IMG_3122
鏡筒バンド上部に取り付けてあるプレートが、
3つあるねじ穴の2つを利用して固定されているので、
片側に寄ってしまっています。

このオフセットを取り除くのはネジ穴加工が必要となるため、今回はとりあえず保留としました。TSA−120とフェニックスをきちんとアルミフレームに合わせて平行に取り付けると、1cmくら光軸がずれてしまいますが、まあなんとかなるでしょう。うまくいったらプレートの方を加工し直そうと思います。

赤道儀に乗せる際ですが、もともとアルミフレームの下側にVixen規格のアリガタを取り付けてあるのですが、ちょっと心もとないので、上下をひっくり返してTSA-120についているLosmandy規格のプレートで赤道儀に固定することにしました。そのため、フェニックスは上から吊り下げられたような状態になってしまいますが、これで問題なく安定に固定できています。

IMG_3120
なんか魔改造っぽくなってきました。

さて、結果はというと、
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と遜色ない分解能が出ています。10cmの場合と比べると、今回の12cmの方が少し分解能が落ちているようですが、シーイングは時間的にかなりのばらつきがあることはわかっているので、誤差の範囲内でしょう。


コリメートレンズの謎

分解能を出すという意味では、一応ここまでの結果を見る限り、大成功と言っていいのかと思います。

ただし、なぜAmazonで買ったレンズではダメで、PST付属のものだと収差がなくなるのか、その理由がまだわかっていません。焦点距離は同じで、両方とも単レンズです。同じようなレンズなので、単純に考えても収差がなくなる理由がよくわかりません。それとも収差ではない、何か他の原因があるのでしょうか?

色々考えていて、ふと思いつきました。もしかしたらPST付属のレンズを使った場合は「テレセントリック条件に近くなっているのではないか?」ということです。テレセントリック系を構築するには絞りが必要になります。平行光に近い焦点位置近くに絞りを入れることにより、その後のレンズで平行光に戻す際にはどの光束も全て平行になります。今回はコリメートレンズ以降が平行光になり、そのコリメートレンズの径が小さくなったということは、絞りを入れたことと同等の効果があります。もちろん完全なテレセントリック条件ではないですが、近いことは起こるはずです。

もっと単純に言い換えると、レンズ系を絞ったことにより、レンズの端の影響の球面収差を抑えることができたり、光束が細くなりコマ収差や非点収差が軽減されると考えてもいいでしょう。

いずれにせよ、収差に関してはレンズ径が小さい方が有利そうです。その一方、暗くなったり、エタロンの径を生かしきれないという不利な点が出てくることになります。


まとめと今後

PSTレンズを使うことで、口径8cm、10cm、12cmのいずれの場合も分解能が出るということがわかりました。実際には、PSTのレンズというよりは、小さいレンズ径が有利ということもわかってきました。

でも、このレンズ径の小ささで十分収差は除去されているのかというと、それはまた別の問題のはずです。今の像がまだ収差で制限されているのか、それともシーイングなどで制限されているのかというのが疑問として残ります。

シーイングリミットならもうシーイングのいい時を待つしかないのですが、もしまだ収差が問題だというのなら、これ以上径を小さくするのは分解能を制限する方向なっていって、あまり現実的ではなくなってきます。そうなると次は、収差の小さいレンズを作ることが次の課題になります。

次回は、今の疑問のシーイングリミットか、収差リミットかの切り分けをしてみたいと思います。希望的観測としては、PST+C8でもシーイングリミットが大半で、(収差が問題になるようなことはなく) きちんと分解能が出ていたという事実があります。


最終的には口径20cmのC8と繋ぐことを目指しているのですが、フェニックスをC8にそのまま繋ぐと合成焦点距離が4000mmとさすがに長すぎになってしまいます。前回と今回の検討から、今後の合成焦点距離も課題として持ち上がってきたことになります。



ASO294MM ProのROIを変更することで、TSA-120での分光撮影ができるようになったのですが、その日は風が強くて撮影した画像はブレブレでイマイチでした。エタロンを使ったフェニックスでのHα画像撮影とも比較しようとしましたが、ミスでライブスタックした画像しか残っていなかったので、年末休暇の2日目の28日(土)、満を持しての比較検討です。


機材の違い

3パターンの分光撮影と、参考として口径4cmのエタロンを使った
  1. TSA120+ASI294MMPro
  2. FC76+ASI294MMPro
  3. FC76+G3M678M
  4. Phoenix+G3M678M
の計4種で撮影しました。上3つが分光、最後がエタロンです。見たいポイントは、波長分解能と、空間分解能です。

IMG_2314

IMG_2315

波長分解能は分光の3つはほとんど差が出ないことは計算上わかっています。厳密にはカメラのピクセルサイズが効いていて、G3M678Mを使ったFC-76の方がいいですが、高々1割程度の違いなので見た目ではわからないでしょう。今のセットアップでの分光撮影とフェニックスエタロンとはFWHMで5倍くらいの差があるので、ここまで差があると見た目にもわかるかと思われます。

空間分解能に関してはFC-76の口径で制限されていることがわかっているので、TSA-120が有利です。計算上はカメラの分解能は2.0umのG3M678Mでも2.3umのASI294MMのbin1でも効いていなくて(bin2だと効いてきて分解能が悪くなる)、口径の1.5倍の違いだけが効いてくるので、空間分解能は単純に1.5倍良くなるはずです。を1の1.5倍ほどいいはずです。空間分解能の1.5倍は見た目にも顕著なはずで、こちらも画像で見て確認できるはずです。

というわけで、波長分解能は計算上

3>1=2>>4

でFC76+G3M678Mが一番よく、空間分解能は計算上

1>3~2>4

でTSA120+ASI294MMProが一番いいはずです。

さて、実際の結果はどうなるのでしょうか?


撮影

撮影は、1→4→2→3の順になりました。前回のTSA120+ASI294MMPでの再現をまずして、次に簡単なフェニックスでの撮影、その後エタロンとカメラをくっつけたままFC-76につかけえて撮影、最後にカメラをG3M678Mに取り替えたという手順になります。

時間と撮影枚数などは
  1. 11時41分-12時16分で10枚
  2. 13時3分-13時27分で10枚
  3. 14時20分-14時31分で10枚
  4. 12時38分で1500枚の内上位50%
となります。撮影した時間にある程度の開きはありますが、天頂を挟んでいることと、天候も一定で風もほとんど無く、条件はそこまで変わらないと思います。

画像処理もある程度条件を揃えています。分光撮影はJSol'Exで処理後、ストレッチなどしていない「disk」フォルダのtifファイルを上記枚数分AutoStakkert!4でスタック、ImPPGで細部出しとコントラスト出しをするところまでです。前回の記録ではさらにPixInsightとPhotoshopで加工などしていますが、今回の比較ではできるだけ未加工の状態で比べたいので、それらの最後の仕上げはしていません。フェニックスの方は、動画をAutoStakkert!4スタックし、ImPPGで細部出しをしています。


全体像の比較

結果を1、2、3、4の順に並べます。

IP_aligned_lapl2_ap21123_IP
1. TSA120+ASI294MMPro

IP_aligned_lapl2_ap8066_IP
2. FC76+ASI294MMPro

IP_aligned_lapl2_ap11969_IP
3. FC76+G3M678M

12_38_40_lapl2_ap3724_IP_flipcut
4. Phoenix+G3M678M

波長分解能は上の4枚の比較でわかるかと思います。予想通り、1、2、3はほとんど同じかと思いますが、4はやはり違って見えます。見るべきところは、分光の1、2、3はダークフィラメントのコントラストが良いこと、プラージュの明るい領域の他に、もっと広域で白いモヤモヤが広がっているところでしょうか。細かい模様は4のフェニックスの方が一見よく見えています。これはHα線からズレたところに出てくる模様で、波長分解能としては悪くなっていることを表しています。分光撮影で波長幅をあえて大きくしてHαからズレたところも含めると、同様の画像が再現できることがわかっています。

TSA-120の画像はコントラストがいまいちな他に、上下に周辺減光の影響が出ていることがわかります。細長い領域で撮影し、それを赤経でスキャンするので、その端の暗い部分の影響が上下に出るというわけです。もっと言うと、コントラストが悪いのもこの周辺減光が原因です。輝度差のために簡易な画像処理の段階ではまだコントラストを補正しきれないのです。


拡大像の比較

次に、真ん中右の黒点部分をそれぞれ拡大して比較してみます。左上から1、右上が2、左下が3、右下が4です。
スクリーンショット 2025-12-30 204222_cut


空間分解能は拡大した画像を比較すると良くわかります。予想は

1>3~2>4

でしたが、結果は意外なことに

2>3>1

となりました。4のフェニックスの画像は少し出方が違うので比較が難しいのですが、あえて言うなら

2>3>4>1

くらいでしょうか。これは画像処理を進めていくとわかる結果で、FC-76はもっと細部を出しても耐えられますが、フェニックスは無理をすると破綻してしまいます。口径わずか4cmなので、限界に近い分解能が出ているのかと思います。ざっくり計算で口径4cmだと分解能は4秒、カメラの1ピクセル2umでが焦点距離400mmだと分解能が1秒くらいなので、口径からくる光学限界が見えている可能性が高いです。

問題はTSA-120で、なぜここまで出ないのかよくわかっていません。


なぜ実際の分解能が予測と違うのか?

いずれにせよFC-76のカメラ違いの順序も含めて、予想と全然違います。これにはさすがに???となってしまいました。何か順序とかに間違えがないか見直しても、特におかしなところはありません。単純なミスではなさそうなので、いくつか可能性を考えてみます。
  • まずパッと思いついたのは、撮影した時間が違うことです。でも、普通は朝早い方が条件がいいので、TSA120の結果が悪くなることはないはずです。
  • 撮影に長い時間をかけると模様が変わってくるのでぼやけたような結果になります。確かに1のTSA-120での撮影に一番時間をかけていますが、2と3のFC-76の撮影では3の方がはるかに短い時間で撮影していても、2の方が分解能が出ているので、うまく説明できません。
  • たまたま2の撮影の時だけシーイングが良かった可能性もあります。でも、いいシーイングがある程度続くのはせいぜい10分くらいで、特にいいシーイングは1時間のうちほんの30秒くらいです。機材1パターンの撮影が30分程度にわたって続いているので、こちらもある程度平均化されているかと思います。でも、シーイングの可能性は捨てきれないことも確かです。
  • 分光器の調整や、ピントがあっていなかった可能性もあります。できる限り同じような精度で調整していますが、今回は分光器の付け替えや、カメラの付け替えで、調整の精度がばらついている可能性は否定できません。でも今回は1=2>3の順で精度がいいのかと思っています。1は前回も合わせていていつもの手順通り。2は太陽像が小さくなるので、同じ手順で調整できます。3はカメラのセンサー面積が小さくなり、スリットの端が見えないので、太陽像と背景のエッジ、フラウンホーファー線のピント、粒状斑ので具合の3つを見ながら、コリメートレンズ、カメラレンズ、鏡筒の焦点の3つの自由度を合わせ込む必要があります。これら3つの自由度は独立ではないため、合わせ込みが難しく、3番目の調整が一番大変でした。もしかしたら3番目に一番時間をかけて調整したので、ここだけ逆に精度が出ている可能性もなくはないですが、いずれにせよ1番と2番に差はあまりないはずで、この調整が原因で1番と2番の順序の逆転を説明できるとは思えないです。

色々考えていて、ふと思いついたことがあります。撮影時の赤道儀のスキャンのスピードの違いです。
  • 1番と2番はASI294MMPでフレームレートが70fps程度低いので、スキャン時の赤径の移動スピードを4倍にまで落としています。その一方、3番はG3M678Mのフレームレートが300fps程度とかなり速いので、赤径の移動スピードを16倍にしてあります。
  • 1番と2番のスキャンスピードは同じですが、TSA-120とFC-76で焦点距離が違うので、太陽像自身が小さくなります。太陽の径は同じなのでスキャンしている角度は同じですが、焦点距離が短い分仕上がり画像で言う縦幅が小さくなるので、縦横比が大きくなります。要するにより仕上がり画像の横方向を相対的により(ゆっくり)細かくスキャンしていることになります。その分情報量が多くなるので分解能も増すという考えです。
  • 3番は縦横比を保つくらいの速度でスキャンしているので、分解能はそこまで上がらないはずです。
  • でも相対的には縦に比べて横方向は情報量は増えたかもしれませんが、TSA-120の画像に比べたら縦横比が増したというよりは、縦の情報量が減っただけと考えることもできるので、あまり説明できない気もします。

まとめ

TSA-120での分光撮影から久しぶりにFC-76での分光撮影にもどって思ったのは、TSA-120での撮影はかなり無理をしているなということです。スリット長を長くしましたが、焦点距離900mmはスリット長ギリギリまで太陽像が大きくなります。極軸が合っていないと撮影していてもすぐに位置がズレてしまい、スリットからはみ出してしまいます。カメラも大きなセンサーサイズを必要としますし、その分フレームレートも落ちます。単発の撮影ならまだしも、スタックすることを考えて連続撮影しようとしても、撮影時間が長くなってしまい、かつ成功率も低いので、さらに撮影時間が長くなってしまいます。毎回記録撮影をするとしたら、ここまで苦労するのは大変ではないかと思っています。しかも苦労の割に今回口径の大きいはずのTSA-120の方が分解能が悪いという結果になってしまいました。周辺減光も深刻そうだと改めて今回思いました。

分解能が出ない理由がまだはっきりしなくて、結局結論は出ないので、天気が良くなったら今一度撮影してみようと思います。簡単なのは、FC76+G3M678Mで赤道儀のスピードをx4、x8、x16、x32倍速でそれぞれ撮影し比較してみることです。x4があからさまに分解能がよくなったなら、今回のことは説明ができる可能性が出てきます。

その一方、TSA-120はASI294MMPの4倍速の一択なので、こちらも何かおかしなところがないか、またFC-76の撮影の前後で撮影するとか、FC-76の4回の撮影と交互に撮影するとかで、状況変化の影響をなくせればと思います。

とにかく、TSA-120の方がいいのか、FC-76の方がいいのか、今後の撮影の大変さに大きくかかわるので、はっきりさせたいです。もっと正直に言うと、今回のFC-76くらいの結果がコンスタントに出るならもう十分で、機材が楽なこともあり、今後もこの設定で記録していく方が楽な気がしています。

今回はTSA-120の優位性を示したかったのですが、予想外の結果となってしまいました。でもこれはこれで面白いので、かたをつけたいと思います。

今回はTSA-120の優位性を示したかったのですが、予想外の結果となってしまいました。でもこれはこれで面白いので、かたをつけたいと思います。


日記

実は次の日曜にC8で粒状斑の撮影を試みたのですが、強風で画面が揺れまくり、合計400GBくらい撮影した画像は全て無駄となりました。休暇のうちはもう富山は晴れそうにないので、実家の名古屋に年末年始で帰る時に機材一式を持っていって、今一度チャレンジしようと思っています。太平洋側が羨ましいです。

IMG_2317

ちなみに土曜の夜も撮影しています。新機材のテストです。こちらもまたまとまったら記事にします。



以前、SHG700用に新しい10mm長のスリットを手に入れて、TSA120で分光撮影を試みたのですが、カメラのセンサー拡大も必要で、手持ちのASI294M Proを使ってみたところ、ROIの設定が限定されていてい結局使えなかったという記事を書きました。新しいIMX183系のカメラを買えば済む問題なのですが、最近フェニックスを買ってしまったので、しばらくはお預け状態になっています。




ASI294MM Proが使えるかも!

でも捨てる神あれば拾う神ありで、ASI294MM ProのROIを任意に設定する方法があることがわかりました。SharpCapのフォーラムに投稿されていたのですが、やはり悩みは全く同じで、新しいスリットで手持ちのカメラを使えないかというのが発端です。



それによると、Windowsのタスクバーの検索欄に「regedit」などと入れて、出てきた「レジストリエディター」をクリックして立ち上げます。
「\HKEY_CURRENT_USER\Software\AstroSharp Limited\SharpCap\4.1」まで行き、「CustomResolutions」をダブルクリックします。「値のデータ」に例えば「;8000x180」などを加えます。

スクリーンショット 2025-12-06 112732_cut

SharpCapが立ち上がっていた場合は再起動して、ASI294MMProを接続し直すと、設定したROIが選択できるようになっています。


実際の撮影

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最初8000x180で試しましたが、seeファイルの大きさが10数GBと大きくなってしまったので、もう少し攻めて結局5400x150に落ち着きました。一時、縦幅を120まで攻めたのですが、Hα線をうまく読み出せないことがあったので少し余裕を持たせています。頑張れば5000x130くらいでも実用的になるかと思います。でも、撮影時のファイルサイズが大きいのはそんなに問題ではなくて、JSol'Exで処理するときにserファイルを時間、サイズともに同クオリティで小さくするオプションがあるので、それを使うと結局どんなサイズで撮影してもほぼ同じ小さいサイズで保存することができます。今回も小さくしたファイルでもきちんとHα画像を再現することを確かめました。撮影時7GBくらいのファイルが1.5GBくらいの大きさになるので、撮影時にさえディスクが溢れないように気を付けておけば、処理した後はディスク容量などそこまで問題になることはなさそうです。

問題はフレームレートです。8000x180で70fps、5400x150で76fpsでした。fpsは縦幅のみに依存していて、横幅はほとんど関係ないみたいです。縦幅を120にしてももう大きくは上がらず80fps程度で高止まりです。これまでのG3M678Mは縦幅にも依りますが、実測で450-570fps程度は出ていたので、これまでの6分の1以下のスピードと相当遅くになります。

これは1枚あたりの撮影時間に直結します。出来上がる画像の横の空間分解能はserファイルの撮影枚数で決まります。縦幅が5400ピクセルなので、横幅も同じくらいのピクセル数にすると考えると、ざっくり5400枚撮影する必要があります。撮影時間はこれをフレームレートで割った、5400/76=71秒くらいは必要なわけです。実際には太陽が映っている部分はもう少し小さいとしても、これまでFC-76とG3M678Mだと1回16秒くらいで撮影を済ましていたことを考えると、大幅な撮影時間の増大となります。

また、時間をかけて撮影する必要があるということで、赤道儀のスキャンスピードも16倍から4倍程度にまで落とす必要があります。以前、16倍と32倍で試したのですが、赤道儀としてはどうも速いスピードのほうが安定っぽかったので、ここまでスピードを落としてうまく撮影できるかも心配になります。

最初、1回あたり90秒でスキャンしてテスト撮影していました。一応太陽全景は入るには入っていたのですが、連続撮影のための「SHGスクリプト」の初期位置を最初に太陽中央に置くと、撮影時間ギリギリになってやっと太陽の終わりが入るくらいになってしまいます。その一方太陽の写り始めは録画開始時刻のはるか後になってしまいます。できた動画は前半は何も映っていなくて、後半にのみ太陽が入っているという時間的にもファイルサイズ的にも無駄が多い状態になってしまいました。

本来このSHGスクリプトでは、太陽中央を初期位置にするので正しいはずなのですが、赤道儀のスキャンスピードが4倍と遅いのが原因なのか、それともスクリプトにまだ対応しきれていないところがあるのかわかりませんが、とりあえずあらかじめ初期位置をずらすことで回避することにしました。具体的には、太陽の進む方向に先回りしたところ(具体的には赤道儀のWestボタンを押して太陽が見えなくなるところから、16倍速で10回ボタンを押すくらい離れたところ)に初期位置を設定してスクリプトを開始すると、動画の真ん中の時間帯に太陽が入ります。この設定で動画の長さを60秒くらいまで短くすることができ、前後5秒くらい余裕が残る程度になりました。これで撮影動画をJSol'Exで処理すると太陽の縦横比が0.98と出たので、ちょうどいいくらいのスピードでしょう。例えば縦横比が0.5とかだと、赤道儀のスピードが速過ぎて潰れたような太陽になってしまい、それを無理に円形にするので、解像度が出ないというわけです。

結局これらの
  • ROI5400x150
  • フレームレート76fps
  • スキャンスピード4倍速
  • 撮影時間60秒
  • 初期位置が太陽端から16倍速で10回ボタンを押したところ
というパラメータを見つけるのに12月7日(日)と13日(土)とほぼまる2日使ってしまい相当苦労してしまいましたが、とにかく、TSA-120とASI294MM Proで撮影することは可能だということがわかりました。


実際の撮影画像

下の画像は、テスト中に撮影した30枚くらいのがぞうのなかから、30分間くらいの間に撮影した10枚をスタックしたものになります。

0_lapl2_ap21049_IP_PI

残念ながらこの日はかなりの強風で、さらにシーイングも見るも無惨な日でした。特に分光撮影ではスキャン時間の間の風による鏡筒のブレの影響は結構深刻で、画像自体の分解能はまだ議論できるレベルではないと思います。それでも口径がこれまでの76mmから120mmになって分解能が得している様子はある程度伺うことができているように見えます。今回はとりあえず撮影ができることがわかったということで、細かい比較は今後余裕が出た時にしようと思います。


同日のフェニックスで撮影した画像

ちなみに、フェニクスでSharpCapのライブスタックで同じような時間帯に撮影したものが下になります。この画像はライブスタックでの簡易撮影ということと、シーイングが相当悪かったこともあり、分解能は前回より相当落ちてしまっています。

Snapshot of 13_48_07_Sun-Halpha_RA+_4x_00001 13_48_07_PI_cut

先の分光撮影の画像と比較したいのは、波長分解能(波長透過幅)です。白く明るいところはプラージュと呼ばれている領域です。このプラージュ以外にも、先の分光の撮影ではもっと広い領域に白いモヤモヤしたものが写っています。これは波長分解能が相当良くなると見えてくるもので、私的にはこのモヤモヤがどれだけ見えているかで波長透過幅どれくらい狭いかを評価する指標としています。

また、先の分光撮影の方が黒いダークフィラメントがより濃く見えるのも、波長分解能がより細かい証拠で、背景光の影響がより少なくなるためによりコントラストがよくなります。

白いモヤモヤ部分ですが、どのように呼べばいいのか、少なくとも私はまだ名前を知りません。波長分解能がものすごく良くなってから初めてわかるものなので、これまであまり認識されていなかったのかもしれません。どなたかこの名前がわかる方いらっしゃいませんでしょうか?フェニクスはそのモヤモヤが少しですが、実際に見えているところがすごいです。エタロンですが、昔のものよりも性能が確実に上がっているのがよくわかります。

ここら辺の詳しい話は、以前SH700で波長透過幅が分光よりも広いエタロンの写り具合を再現した時の記事で詳しく議論しています。


今回のフェニックスも同程度の写りかと思うので、エタロンの性能としては前回お借りしたフェニックスと大きな差はないものと思われます。フェニクスエタロンの波長透過特性は、そのうちに測定するつもりです。これまでの手持ちのPSTと比べてどれくらい差があるのか、とても楽しみです。


まとめ

とうとう、SHG700+長めの新スリットと、より口径の大きいTSA-120と、手持ちでセンサ面積の広いASI294MM Proで、太陽全景の分光撮影が成功しました。このカメラのフレームレートが遅いのでかなり苦労しましたが、カメラを新規で購入するまでには至らずになんとかなったので、まあよかったでしょう。

これで以前計算した結果によると、空間分解能は2.2 arcsecから1.4 arcsecと大幅に改善されたことになります。その一方、波長分解のは0.091Åから0.105Åと少し悪くなっていますが、そこまで大きな違いではないでしょう。

トータルとしては大きな改善なのですが、今回の撮影では天候のせいでまだその性能を引き出せたとは言えないので、風もなくシーイングがいい日を狙って再度評価してみたいと思います。


3連休の週末記事 (その2) です。前回記事で、真ん中の日曜のことを書いてしまいしたが、今回は初日の土曜のことに戻ります。


3連休初日の朝

土曜は朝から晴れていたので、早速太陽です。先週日曜は久しぶりにC8+PSTでリハビリでしたが、最低限画像が撮れたくらいというレベルなので、今週はもう少し進めました。

撮影は昼からなのでシーイングはもうそこまで良くはないですが、黒点周りを2箇所、プロミネンスを1箇所、それぞれ30秒間隔で1時間弱くらい約120ショット撮影し、その中で一番シーイングのいいものを1枚選んで処理しました。同じ午後撮影でもシーイングのいい時は短時間ですが必ず訪れるので、前回のへっぽこ画像よりははるかにましになります。


撮影結果

左の東の方です。黒点が2つ出ています。この時間帯はあまりシーイングはよくなかったです。
12_24_19_lapl2_ap2544_IP_cut

東端にでてきた新しい黒点です。ちょっとマシなシーイングの時がありました。
13_12_00_lapl3_ap1920_out_cut

東に大きなプロミネンスがいくつかあり、そのうちの一つです。カメラの向きを90度変えて、横手方向にプロミネンスが広がるように撮影しています。この時はもう少しマシなシーイングでした。
13_56_29_l3_ap1607_IP_color_inv_cut

処理はAutoStakkertで、120ショットの動画を全部まとめてバッチ処理してスタックし、120枚の画像にします。できた画像に、ImPPGのバッチ処理をかけて細部出しなどをします。その中でベストのものを選びます。ベスト画像を改めて一からImPPGで細部出して、あとはPixInsightのSolarToolsで処理し、
最後Photoshopで仕上げました。


TSA-120でHα

追加でTSA-120にPSTを取り付けて撮影してみました。もう夕方近くで隣の家の屋根に沈みそうだったので、とりあえずパッと撮っただけです。フラット化もできなかったので、画面内で輝度差がありますが、さすがに分解能は特筆すべきものがあるでしょう。時間があるときにもう少しTSA-120で太陽で遊んでみるのもいいのかもしれません。
15_19_22_lapl2_ap2227_IP

この撮影をした時間帯はまだ15時半前です。もうずいぶん日が短くなって、太陽高度も下がっているのを実感します。


まとめ

C8とPSTのリハビリはまあこれくらいでいいでしょう。TSA-120が意外に楽しそうです。高級機を太陽に使うのはちょっと心配だったのですが、今のところトラブルは無さそうです。今後どんどん活用していきたいと思います。(というので、前回の粒状斑の記事になったというわけです。)



前回までの先週末の記事に続き、今週11月22日からの週末の記事になります。しかも3連休なのでネタがかなり豊富になりそうです。まあ、焦らずに記録の意味も込めて書いていきます。

土曜日も色々やったのですが、ネタ的には今日の日曜のことの方が面白いので、順序は多少前後しますが、2025年11月23日のことを先に書きます。

3連休の中日になりますが、朝から何をするか迷っていました。分光は新しいスリットでまだ撮影して無いですが、TSA-120はまだセンサー面積の大きいカメラが用意できないのであまり進歩はなさそうです。
  1. C8とPSTの撮影で午前のシーイングのいい時に分解能を出すのは試してもいいかもしれませんが、以前やっていたことを確認するくらいになるので、新しいことはなさそうです。
  2. 前日最後に少しだけ試したTSA-120とPSTでHαを楽しむのも良さそうですが、分解能がシーイングに制限されることはないと思うので、午前中にやる価値はあまりなさそうです。
色々考えていて、粒状斑の挑戦をしてみようと思いました。これまで粒状斑はC8を使って撮影しようとしていて、これまで最も移った時でこれくらいです。


鏡筒はこれまで通りC8にするか、最近再び活用しつつあるTSA-120にするか迷いました。というか、TSA-120みたいな高級機を太陽に使うのはちょっと怖かったんです。どこか内部の黒い所に焦点があってしまい、内部で焦げて煙が発生したとかになると、簡単に掃除もできないので手が出なくなります。分光撮影で恐る恐る TSA-120を太陽に使ってみましたが、問題無さそうなことがわかってきたので、今回も試しに使ってみることにしました。

これまではC8に薄いフィルム上ののOD=5のNDフィルターを使って光を10万分の1にして、そのまま白色光で撮影していました。緑系や青系のフィルターを使ったりもしましたが、どうしてもうまく見えることはありませんでした。今回口径が小さくなったので、いっそのことNDフィルター無しでなんとかならないか考えてみました。

まず、口径が120/200=0.6倍なので、エネルギーではその2乗で0.36倍。2インチ径のUV/IRカットフィルターは焦点を外せば十分耐えられることはこれまでC8のPST前部に入れていてわかっているので、それを入れてエネルギーは更に半分で0.18倍。

今回はここにさらに、2インチ径の6.5nm透過のOIIIフィルターを重ねて使おうと思います。どうやら、OIIIはフィルターは粒状斑をみるのにも適しているようです。このOIIIフィルターは反射型っぽかったので熱くなることは無さそうで、徐々に光を入れて試しましたが、ほとんど温まることもなく全く問題ないようです。可視光の幅が350nmから700nmとして、OIIIの約7nmの透過幅と考えると、ここでエネルギーはざっくりですが100分の1になります。

口径とフィルター2枚ででトータルで500分の1くらいの明るさになっているはずで、まあこれで大丈夫じゃないかと試しましたが、それでもカメラの露光時間を最短の0.032msにしてもまだ明るすぎました。

らちが明かないので、さらにカメラ手前に1インチの、これまで全然使ってこなかったHβフィルターを入れてみました。だんだん何をやってるかわからなくなりつつありますが、OIIIの波長が495.9nmと500.7nm、Hβの波長が486.1nmとかなり近いので、透過率が重なる部分が多少はあるだろうという目論見です。これでgain=0で露光時間が最短の0.032msでちょうどいいくらいの明るさなりました。TSA-120の焦点距離は900mmで粒状斑を見るには短すぎますが、この時点で粒々っぽいものが見えています。ここに手持ちのExplorer Scientificの5倍のバローを入れると、1msくらいの露光時間でちょうどよくなりました。画面を改めて見て見ると、

「おお!見える!見えるぞー!」

実はこの時点で曇っていたのです。雲越しなのですが、リアルタイムの画面でチラチラしてますが、これまでにないくらい粒状斑が見えています。雲は多少心配ですが、このままシーイングのいい時間帯を狙えればと思って、30秒ごとに200フレーム、計120ショットを撮影してみます。

最初の撮影ではガイド無しだったので、しばらくすると画面からずれていきました。ガイド鏡を用意して、PHD2のソーラー版でガイドします。ついでに黒点を探して、黒点周りの粒状斑を移すことにしました。120ショット撮影して、途中雲でかなり暗くなることもありましたが、その中のベストショットを示します。モノクロ版と、疑似カラー版です。

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11_00_34_l2_ap3983_IP_color_cut
  • 撮影日: 2025年11月23日11時0分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120(f900mm、F7.5) + Explore Scientific x5バローレンズ
  • フィルター: UV/IR cut、Baader 7nm OIII、7nm Hβ
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2 solar
  • 撮影: SharpCap Gain 0、平均79fps、露光時間0.75ms (10時45分から11時50分まで、30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200をスタック)
  • Dark、Flat補正: 無し
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight、Photoshop CC

どうでしょうか?長年苦労してきましたが、やっとここま写るようになりました。

120mmと決して大きいわけではないので、口径的には分解能ギリギリに近いと思います。カメラは今回ASI290MMでピクセルサイズが2.9μmですが、分光で使っているG3M678Mにすればピクセルサイズが2.0μmになるので、もう少し分解能が出るかもしれません。

これまでのC8と違って、どうしてここまで出たのか?

シーイングが特別良かったとは思えません。TSA-120のシャープさが効いたのでしょうか?それともNDフィぃルター無しのナローバンドフィルターが効いたのでしょうか?おそらく後者かと思いますが、次はC8でも同じナローバンドフィルターで試してみたいと思います。


まとめ

とうとう念願の粒状斑を満足できるレベルで撮影することができました。そもそも朝に何をするか迷っていたくらいでしたが、試してみてよかったです。

TSA-120を使い、NDフィルターなしで、ナローバンドで撮影していますが、何が一番効いていたかはまだ不明です。それでも今回、少なくとも方法はわかったので、今後もう少し色々試してみて、効く所と効かない所をはっきりさせ、最適化をしていきたいと思います。



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