ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:TSA-120

ここまでで、TSA-120 + Phoenixである程度の形になってきたので、一度きちんと撮影してみようと思います。


撮影のための撮影をしてみる

記事の(その6)で、TSA-120 + Phoenixでのある程度の撮影結果をタイムラプス動画や静止画で示しましたが、これらはあくまで大口径化のテストをしている最中に撮影したものです。毎回何か設定を変えてから撮影しているので、朝イチでは撮影できず、正午近くや、午後になることもあり、シーイングの悪化など撮影条件的にはあまり良くはありませんでした。今回は朝早くからいいシーイングを狙って、撮影を目的として撮影をしてみようと思います。

2026年5月25日、平日ですがこの日は休暇で朝6時くらいから起きて準備していました。でも朝イチは曇りで、結局晴れてきたのは8時過ぎです。それでもこの日のシーイングは素晴らしく、朝からの1本目だけでなく、結局2時間くらい撮影を続けて昼近くまでなってしまった2本目も、まだ十分に悪くないシーイングでした。


一本目

一本目の撮影は常時シーイングが良くて、ボケた画像の数がかなり少なかったです。このレベルのシーイングになると、かなり口径リミットに近いと思われるので、多くの画像ではシーイングにあまり左右されずに分解能は口径で頭打ちになっています。それでも一番良さそうなものをとりあえず1枚選びました。まずは静止画として画像処理します。

黒点AR4446、4444、4447を含む、見栄えのいいところを選んで、モノクロ、反転、カラー、反転カラーとしてみます。カメラの回転角を合わせるのをわすれてしまっていて、方角が少しずれてしまい、右斜め上くらいが北側になってしまっています。

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  • 撮影日時: 2026年5月25日8時46分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 (f900mm、F7.5) + ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: PlayerOne Apollo-M MINI
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (= 20dB)、露光時間5ms、200/200 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop

分解能に関しては、少なくとも真ん中らへんは十分満足しています。ただし、周辺部は少し落ちるので多少クロップしています。プロミネンスがあると縁の曲率からどれくらいのエリアを見ているかわかるために、結構ぼけていますが今回はあえて残しました。

更に動画です。8時56分から9時59分まで、約30秒おきの113枚を7.5秒のタイムラプス動画にしています。この動画がすごいのは、シーイングが平均的にかなり良かったので、これまでのような途中の霞んで見えるような画像がほとんどないことです。朝から撮影した甲斐があったというものです。


YouTubeは画質が悪くなることがあるので、その場合は下のAstroBinを見ていただければと思います。


面白いのは、ほとんど動いていない所と、パタパタと激しく動いているところが、かなりはっきり分かれていることです。この動いているところと動いていないところは、何が違うのでしょうか?背景にある物理がとても面白そうです。パタパタは、30秒間隔の撮影だとまだ粗すぎるのかもしれません。トータル10分くらいで、もっと短時間でもいいので、短い時間間隔で撮ってみると何かまた見えるのかもしれません。


二本目

二本目は1本目よりは多少シーイングは落ちるものの、それでも悪くはないです。同様にベスト画像を選びます。
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  • 撮影日時: 2026年5月25日11時31分
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (= 20dB)、露光時間2.5ms、200/200 frames

タイムラプス動画が結構面白いです。10時3分から11時33分まで、約30秒おきの159枚を10秒のタイムラプス動画にしています。2本目にどこを写すか迷っていた時に、たまたま伸びているジェットのようなものが見えたので、急いで撮影を始めました。ジェットがこれから伸びていくか、もうジェットの終わりで縮んでいくのかわからなかったのですが、少し経ってから見たら縮んでいたので、「あー、ダメだったか」と思い、一旦やめようかと思ったのですが、面倒なのでこのまま放っておいて朝昼ごはんを食べに行ってしまいました。その後帰宅して改めて処理してみると、どうやら縮んでいただけではなくて、かなり面白い動きをしていました。見てもらった方が早いでしょう。




どうでしょうか?右下のジェットらしきものが何度も出たり引っ込んだりで、激しく動いているのがわかります。


今更ながらIrfanViewについて

そうそう、AutoStakkertから出力された大量の枚数のTIFFファイルは、画像の大きさがバラバラで、例えばPixInsightのBlinkで全部を一度に読み取ることができなかったりします。これまでIrfanViewを使って大きさが同じになるように一括でクロップしていたのですが、今更ながらにIrfanViewはTIFFであっても8bitでしか出力できないことに気づきました。

太陽画像は処理のかなり最初の方の段階からある程度炙り出された状態なので、実際の弊害はそこまでないのですが、暗いプロミネンス部分を炙り出す時は8bitだと流石に影響が大きいでしょう。FIJIを使う方法もありますが、あまりに大袈裟なので、結局自分でpythonで組んだものを使うことにしました。モノクロでもカラーでも、16bitでも8bitでも、入力画像と同じフォーマットで、最小の大きさの画像に全てサイズを合わせて出力するようにしています。IrfanViewと同じように、クロップする起点を左上、右上、左下、右下、中央から選べるようにしています。GUI化してWindowsの実行ファイルにしているので、扱いはシンプルで使いやすくてかなり便利です。元々はpythonですが、軽くて、IrfanViewより速かったりします。


まとめ

とりあえず今回で、フェニックスの大口径化のTSA-120版は完了とします。まだ周辺の分解能の課題が残っていますが、これは視野の広いカメラでは、今の手持ちの機材だとどうしようもない気がしてきました。でもまあ、口径リミット近くまで出たと思うと、自分的にはかなり満足です。

次ですが、すでにこんなことをやっています。

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こちらはさらに前途多難です。


ここ数週間で撮影した画像を、いくつか鑑賞用に画像処理しておきます。


これまでの撮影

TSA-120 + Phoenixが稼働し始めてから何本かテストがてら撮影していますが、ここまでの記事はあくまでテスト比較で、画像処理もできるだけシンプルに、という方針で進めてきています。でもせっかく撮影したものなので、鑑賞目的で少しまとめておきます。

これまで、
  • 5月10日: 1. 黒点AR4432 (シーイング良)、2. 黒点AR4436 (シーイング良)
  • 5月16日: 3. 黒点AR4436 (シーイング最良)
  • 5月17日: 4. 黒点AR4436 (シーイング普通)、5. プロミネンス (シーイング駄目)
の5つ、それぞれ30秒に1ショット、各ショット200フレームで合計120ショット前後、合計約1時間ほど撮影しました。最後のプロミネンスはもうシーイングがボロボロだったのですが、それ以外の4つをタイムラプスにまとめてみました。大きなイベントとかではないのであまり見栄えはしませんが、TSA-120 + Phoenixでこれくらいの動画にはできるというところを示す意味合いが強いです。最後のプロミネンスは、ひどいシーイングの中で一番まともだったものを1枚ピックアップして、それを仕上げてみます。


タイムラプス映像

以下の動画ですが、とりあえずYouTubeに上げたものを貼っていますが、なかなか厳しいです。とりあえずYouTubeに飛んでもらって、解像度を上げてみてもらうのがまだマシかもしれません。

5月10日: AR4432
まずは、今回の連番記事 (その4) で見せた黒点画像のタイムラプスです。あまり動きはないですが、右の黒点あたりを見ていると激しく噴き上げているのがわかります。


5月10日: AR4436
同じ日の2ショット目で、東端に出始めた少し小さい黒点です。

プロミネンスが激しく動いています。黒点の上部にも小さなフレアのような吹き上げがあるのがわかります。

5月16日: AR4436
次は、(その5)で見せた5月16日のもので、上の動画のものが太陽の自転で真ん中過ぎまで進んできたものです。シーイングがかなり良かったので、多分これが一番見応えがあるのかと思います。

これはAstroBinにもアップロードしたので、そちらで見た方がいいかもしれません。


下のダークフィラメントが激しく動いています。他にもよく見るとたくさん動きがあって、この動画は1時間見ていても飽きませんでした。激しく動くところと、ピタッと止まっているところがあるのも面白いです。

この動画だと、以前ヘリオスター100Hαで撮ったような黒点周りの3分周期振動も見えていますね。黒点振動は、どうもシーイングがいい時が長く続かないとあまりはっきり見えないようです。ヘリオスターで撮影したときはたまたま晴れた日だったのですが、かなりラッキーだったのかもしれません。

面白いのは、この3分周期が他の場所も何か相関がありそうなことです。細かい模様もかなりの場所はあまり動かずピタッと止まっているのですが、一部モジャモジャ動いている場所があります。これが、シーイングなどのブレで動いて見えるのか、本当に太陽表面が動いているのか、もう少し精度が欲しいところですが、シーイングで一部だけずっと動き続けるというのはちょっと考えにくいので、やはり何か動いている可能性が高そうです。もしかしたら、今後面白い展開になるのかもしれません。

もう一つ面白いのが、ダークフィラメントを通して見る表面で、特に上の真ん中が顕著ですが、周りがボケボケになっているところです。最初エタロンの精度が一部出ていないのかとも思ったのですが、それにしては局所的すぎます。おそらくですが、ダークフィラメントは表面に吹き出しているので、太陽表面の大気相当のものに密度揺らぎみたいなのが起きていて、ユラユラして見えているのかと思います。

5月17日: AR4436 
タイムラプスの最後は、上の画像の次の日、5月17日(日)に撮影したもので、同じ黒点AR4436です。あまりシーイングが良くないので、途中結構ぼけてしまっています。

4つを見比べても、やはりシーイングがいい時間が長く続かないと、ハッキリしたタイムラプス動画にならないのがわかります。これは相当朝早くに撮るのが重要になりそうです。せっかくの休日で多少寝坊したいのもありますが、頑張って朝活しますか。もしかしたら、夏場は早くから日が昇るので、平日の仕事前の撮影でもいいのかもしれません。もし平日の朝の撮影も考えるとすると、方角が東と決まっているので、もうベランダに置きっぱなしで、撮影後はカバーをかけるだけでもいいかもしれません。


プロミネンス

次にプロミネンスも撮影したのですが、こちらは動画にすることは出来ないシーイングレベルだったので、120ショットのうち一枚だけたまたまよく撮れたものを静止画で画像処理しました。カラーにもしてみました。ちなみに、反転画像はダークフィラメントがプロミネンスに繋がっていく境界のところでうまくつながらなくて諦めました。もうちょっと処理方法を探る必要があるかもしれません。

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まとめ

テスト撮影続きでしたが、せっかく長時間撮影したものなのでタイムラプス映像にしてみました。でも難しいですね。シーイングが持続する時間を探す必要がありそうです。

TSA-120 + Phoenixの合成焦点距離は2000mmになっていて、これはすでにC8+PSTで撮影した時と同じです。TSA-120は口径ではC8に劣りますが、中央遮蔽のない屈折らしいクッキリとした見え味があり、実写上の分解能にはほとんど差がないように思えます。しかも、まだ視野の端にボケているところは存在しますが、すでにC8で見ていた視野内で比べると、以前はあった視野内での見え方の違いなどもなく、安定して全体が一様に見えるので、ある意味これまでの結果を超えたと言ってしまってもいいでしょう。PSTからフェニックスエタロンへ変更した甲斐があったというものです。

その一方、ヘリオスター100Hαで撮った画像を改めて見直すと、はるかに広視野で均一な画像を叩き出しています。焦点距離と視野と分解能をかなりバランスよく設定していることがわかります。

確かにフェニックスよりも値段ははるかに上ですが、これだけの苦労をしていてもまだ追いつけないところが多分にあることを考えると、もし懐に余裕があるのなら素直にヘリオスターに走った方がいいのかと思います。フェニックスに分があるとすれば、さらに大口径に行ける可能性を持っているということでしょうか。でもここからは更に茨の道になりそうです。集光力が高まり危険性も増えますし、フェニックスの400mm対物レンズだと合成焦点距離が長くなりすぎるでしょう。もう少し根本的にやり方を考える必要があるかもしれません。




フェニックスの大口径の記事のまとめです。

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フェニックス+TSA120の組み合わせは変えずに、確認の意味でいくつか検証できることをしてみました。今回の記事はその中の一つで、カメラのシャッターについてです。


ニュートンリングが出てしまう

大口径化記事の(その4) の先々週末の撮影では、下の画像のようにクロップ前は左下が切れていることから分かるように、TSA120の光軸に対してフェニックスの光軸、特に高さ方向の光軸がかなりずれていました。
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2026年5月16日土曜日の朝から、いろいろと改善をしました。

まず、フェニックスの方が高さ的に低い位置にあったので、フェニックスの下部に一枚板を挟んで、高さを揃えてやりました。

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アルミフレームとフェニックスの間に、一枚板を追加

実際には少し高くなりすぎたのですが、前回よりはかなりマシで、少なくとも画面で見て左右方向のずれはほぼ無くなりました。上の画面の上下のズレは、フェニックスの方向を左右 (水平) に変えることで、ある程度の調整はできます。

これらの調整をすることで、画面で見ても、左右も上下もほぼずれはなくすことができたので、一旦はこれで良しとしました。ところが、光軸が合ってくると今度はニュートンリングが目立つようになってくることに気づきました。
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とりあえずの解決策として、Apollo-M MINIの前にチルターを挿入してやりカメラを傾けてやると、一旦はニュートンリングは消えました。

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スクリーンショット 2026-05-16 090453


残る問題は、周辺のリング状の分解能が出ていないところ(原因は収差か、波長ずれか特定できていません)をどうするかです。前回の撮影では、シーイングがいい時は中心部では一本の線が1ピクセルに迫りつつあり、アンダーサンプル気味になっている可能性があるので、解像度を増やすために、2倍のバローレンズを入れてみました。すると、ニュートンリングが再びかなり目立ってきます。F値が大きくなるほど、ニュートンリングが目立つようになるんですよね。

すでにカメラは傾けていて、これでもニュートンリングが出てしまうということで、一旦はバローレンズはあきらめ、Apollo-M MINIよりある程度画角が狭く、ピクセルサイズが2.9μmと小さくなるASI290MMに交換しました。ASI290MMは比較的ニュートンリングが目立つカメラということがこれまでの経験でわかっていて、実際には同じ角度のチルターが入っていても、(Apollo-M MINIでは消すことができていた) ニュートンリングが再び目立ちます。なかなかうまくいきません。


ローリングシャッターのG3M678M

改善策として、これまでの経験でニュートンリングが比較的出にくいとわかっているG3M678Mにしてみました。このカメラだと、ピクセルサイズが2.0μmと小さくなり、4.5μmのApollo-M MINI + 2倍バローより分解能はよくなるので、この場合バローは必要ないです。視野が大きくなりすぎるのは、ROIでいらないところをカットしてしまえばいいかと思い、2400x1500に制限してみました。バローを外したこの時点で、ニュートンリングは確認することができないくらいに見えなくなっていました。下の画像を見るとわかりますが、視野的には、分解能が出ている範囲をほぼ全面でカバーできているので、かなりいいでしょう。

これでいつものように30秒ごとに1ショット200フレームで、全部で120ショット、トータル1時間撮影してみました。1ファイルのサイズも1.4GB程度なので、まあ現実的な範囲です。もう昼にかかったので、そこまでシーイングがいいわけではありません。全120ファイルを画像処理してみると、シーイングの時間変動もよくわかり、その中で一番いいと思われるベスト画像を選びました。

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一番の関心は、グローバルシャッターの有無で写りが変わるかです。パッと見は上の画像もそんなに悪いようには見えません。でも、先週末にグローバルシャッターのApollo-M MINIで撮れたような、滑らかな刷毛で細かく描いたような線は残念ながら出ていません。

収差に関しては先週よりもう少しフェニックスをTSA-120側に近づけたので、おそらく改善の方向のはずです。先週と今週の違いが、グローバルシャッターの有無によるものなのか、シーイングがたまたま先週の方が良かったのか、画像の比較から単純にこれらを判断するのは相当大変です。

ローリングシャッターでピクセルサイズが小さいG3M678Mの方が分解能よく撮れるか、もしくはApollo-M MINIと同等ならば、ローリングシャッターの影響は大きくないか、少なくとも無視できると言えるはずです。でも今のところそうはなっていなくて、グローバルシャッターが有利だという仮説を否定することはできません。


グローバルシャッター再び

もう少し比較検証を増やします。次の日の5月17日の日曜、再びカメラをApollo-M MINIに戻して、更に2倍バローを入れて撮影してみました。

前日に出たニュートンリングの影響を少なくするために、チルターの角度を調節する押し引きネジをより長いものに変更して、更に角度をつけることでニュートンリングはほとんど見えなくすることができました。チルターの角度が大きすぎるために隙間がかなり広がっていて漏れ光があるので、パーマセルテープで遮光しています。

この状態で、これまでのように30秒ごとに200フレーム、合計120ショット撮影し、ベストのものを選びます。

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この画像も十分な写りで、そこまで不満はありません。でも同じグローバルシャッターでも、前週に撮ったみたいな、フワッとするような感じまでは出ていないと思います。


比較

土曜のG3M678Mで撮った画像と、日曜のApollo-M MINIで撮った画像を並べて比較してみるとどうでしょうか?
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左が土曜のG3M678M、右が日曜のApollo-M MINIです。大きな画角で見ているとほとんど分かりませんでしたが、拡大して見てみると、どうやらApollo-Mの方が良さそうです。

シーイングに関しては、土日の全ファイルを見ていると、土曜のG3M678Mの時の方が平均的には良かったです。その上で、ベスト同士の比較では日曜のApollo-Mの方がいいという結果なら、グローバルシャッターの効果が出ていると言っていいのかもしれません。

そうは言っても、思ったより顕著な差ではないとも思います。ピクセルサイズと視野角から考えるとG3M678Mの方が有利で、値段差を考えたらG3M678Mの方が圧倒的にコストパフォーマンスがいいです。

でも、今回の結果のように、シーイングの差をひっくり返す可能性がグローバルシャッターにあるのなら、Apollo-Mに舵を切らざるを得ません。


まとめ

今回の段階では、グローバルシャッターの方が良さそうという結果ですが、まだ結論を出し切るには至っていないと思います。原理的にはもちろんグローバルシャッターのほうが有利でしょう。でもそれは、撮影時のシャッター速度と、対象天体が画面上でどのくらいの速度で移動しているかに依存するはずです。いまの太陽撮影の状況でこのグローバルシャッターが活きているかというと、シーイングの時間ごとの変化量が今回比較したベスト2枚の差よりもはるかに大きく、今の比較方法で結論づけるほどの判断をするのはまだ難しそうです。

全く同一の鏡筒で、同時に2つのカメラで撮影し、シーイングが全く同じになる状態で比較するしかない気がします。ある程度拡大して比べる必要があるので、焦点距離と口径も必要で、太陽だと同じ機材を揃えるのは難しそうです。月の方がまだ比較しやすいかもしれません。

この件、いつかきちんと比較して結論づけたいです。



Phoenixの大口径化でとうとう出ました。
ものすごい分解能です。

焦らずに順に説明していきます。


これまで

前回までで、フェニックスに口径の大きな鏡筒を組み合わせて太陽のHα画像を撮影してきました。

最初の記事 (その1) では、途中に入れたコリメートレンズの収差が分解能を制限していました。その後、(その2) で収差を改善し、 (その3) の撮影結果から、 (その2) で得られた画像ではシーイングが分解能を決めていたことを確認しました。

 (その3) では、口径12cmのTSA−120と組み合わせてある程度の分解能が出てきましたが、シーイングが良かった時の撮影ではなかったせいか、市販品の口径10cmのヘリオスター100Hαで出した分解能に比べると、まだ12cmの口径を活かし切っているとは言えません。シーイングが良くなればもっと改善するのか、それとも再び収差でリミットされた状態で分解能はここで頭打ちなのか、もう少し試そうと思ったのが、今回の記事の動機になります。


撮影

分解能を制限している原因を探ることは重要ですが、一番の目的は口径の大きさに見合った分解能を引き出すということなので、判明した問題点は随時気づいた時点で改善してきます。今回、撮影の前に2つのことをしました。

一つはカメラを普通のローリングシャッターのG3M678MからグローバルシャッターのApollo-M MINIに変えたことです。SharpCapの画像をリアルタイムで見ていると、大きなうねりのような歪みが見えます。特に赤道儀を動かした時は顕著です。撮影時は赤道儀は止めたままなのでそこまで影響はないかもしれませんが、風などが吹いて揺れた時は確実に影響があるでしょう。

今の設定では合成焦点距離が2000mm程度と、すでに結構長くなっているので、ピクセルサイズの細かいG3M678Mだと完全にオーバーサンプリングになってしまっています。Apollo-M MINIはピクセルサイズが4.5μmとオーバーサンプリングを解決するとともに、多少センサー面積が大きくなるため、さらに大きな視野を見ることができます。また、画素数が1944×1472とあまり細かくないため、撮影動画ファイルのサイズがあまり大きくならないことも助かります。これまで1ファイルで3GB超えでしたが、今回は1GB程度に抑えられます。使っているPCのトータルのSSDのサイズが1TBなので、120ショット撮って400GB程度になるのか、100GB程度で抑えられるかは大きな違いです。

もう一つの改善点は、TSA−120とフェニックスの距離を調整したことです。正確には、TSA-120に対するコリメートレンズの距離と言ってもいいかもしれません。コリメートレンズはより手前に置いた方が分解能が出るようです。これらの理由については、また別途記事を書くかもしれません。

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撮影は、2026年5月10日の日曜の朝早くからです。この日は快晴で、風もほとんどなく、しかも暑くもなく寒くもない、一年でも数少ない相当快適な日でしょう。しかも朝早いからか、肝心のシーイングもかなり良さそうです。撮影はいつものように、30秒ごとに1ショットで200フレーム、合計120ショットでトータル1時間程度になります。


すごい結果に

一番大きな黒点群AR4432付近を撮影します。最初の1枚を撮った段階で、すでに相当いい結果が出たので、速報としてすぐにXに投稿しました。前回とは比べるまでもないくらいに、はるかにはるかに分解能が出ています。

でもこれは、まだ最初の1枚目です。120ショット撮影し終えてから、全部を見比べてみると、最初に撮ったものは一番いいわけでは全然なく、それよりもっと分解能が出ている画像が何枚もありました。その中で一番いいものを示します。一部をクロップした画像になります。

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  • 撮影日時: 2026年5月10日9時46分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒:  ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5) + Takahashi TSA-120 (f900mm、F7.5)
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: PlayerOne Apollo-M MINI
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (= 20dB)、露光時間2.5ms、180/200 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight SolarTools、Photoshop


どうでしょうか?上の画像の黒点周りの画像は、このページにもあるヘリオスター100Hαの画像と比べても、よりシャープな線が出ていて、12cmの口径の性能を引き出し切ったと言っても過言ではなさそうです。

その一方、一番解像度が出ていないものを載せておきます。ここまで違うのかと思うくらいの分解能になってしまっています。

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全く同じ設定で、時間によってここまで変わるのはこれまでの傾向と同じで、長時間撮影してその中でいいものを選ぶことができます。C8ヘリオスター100Hαに続いて、TSA-120で3例目で、「いいシーイングを確実に選んで撮影する」という、一つの手法を確立できたと言っていいのかと思います。

さらに、少し小ぶりの東側の新しく出てきた別の黒点AR4436も撮影してみました。こちらも同様に120ショットのうちからベストを選んでいます。こちらも一部をクロップした画像になります。

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  • 撮影日時: 2026年5月10日11時44分
なんと、黒点周りの噴き上がりが立体的に見えています。これまで口径20cm+PSTでも上手く撮れなかった像です。

この日は全体的にシーイングが良かったこともあると思いますし、グローバルシャッターが効いた可能性もあります。口径としては20cmには劣る12cmで、ここまで撮れたのはかなり嬉しいです。エタロンがPSTのものから、半値幅が大幅に改善されたフェニックスのものにした甲斐があったのかと思います。

いずれにせよ、このレベルなら口径12cmの限界近くを引き出していると言ってもいいでしょう。市販品ではなく、改造品でここまで出せたのは、自由に機材を扱うことができるという、アマチュア天文冥利に尽きるのかと思います。

その一方、太陽望遠鏡は常に危険と隣り合わせなので、安全に対しての責任は自分が負うことになります。フェニックスの改造は世界的にも、日本国内でも例がどんどん出てきているので、今後も増えていくかと思われます。自分だけは大丈夫だとか、間違ったことなど起こるはずがないなど、思い込みはとても危険です。決して油断することなく、安全には十分に気を付けることが大切です。


課題

ここまではいいことばかりを示していますが、まだまだ問題点もあります。改めて、1枚目の全体像を、鏡像反転する前の状態で示します。
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左下が視野の範囲外になってしまっていて、撮影できていません。これはTSA-120とフェニックスの取り付け位置が相対的に平行にずれてしまっているからです。TSA-120とアルミフレームを固定するためのアルカスイス互換プレートが、TSA-120の中心軸に対して1cm程度のオフセットをつけて取り付けられていることは、以前述べた通りです。さらに、よく見ると高さ方向もTSA-120とフェニックスで相対的にずれていることに気づきました。

これらを直したとして、それでも分解能が出ている範囲が円状のエリア内だけになっていることは深刻です。先に見せた画像ではいい分解能の範囲だけを見せていますが、その外側にリング状にボケて見える部分があるのがわかるかと思います。これは収差なのでしょうか?それともエタロンの中心範囲がずれているからなのでしょうか?ここはもう少し探る必要がありそうです。

ただ、そうは言っても今回使ったカメラApollo-M MINIが2/3インチサイズで面積が大きいので、上の画像は相当広い範囲を見ていて、これまで使っていたような例えば1/3インチのASI290MMを使えば、ちょうど良像範囲がカメラ面積に一致するくらいになりそうです。ただし、今回のグローバルシャッターがどれくらい効果があったのかはきちんと把握しておくべきかと思っています。もしグローバルシャッターがこの分解能を出すのに重要ならば、カメラを替えることよりは、バローレンズなどで拡大撮影する方がいい結果になるかもしれません。


まとめと今後

まだ課題はありますが、画像の中の一部だけでもかなりの分解能を出せることを示すことができたということは非常に心強いです。今回のようなチャンピオンデータを出せたら、それを目指して全体を調整していくという方向性でいいでしょう。

ここまで分解能が出ると、口径20cmのC8にする必要性があるかどうかもちょっとわからなくなってきます。それでもやはり、更なる大口径とフェニックスエタロンの可能性をもう少し見てみたい気もします。ただ、20cmへの移行はまだあまり準備が整っていないので、もう少しだけ12cmで議論を続けたいと思います。特に、収差に関してはこの段階である程度はっきりさせておきたいです。




実際のフェニックスの大口径化作業がどんどん進んでいて、ブログ記事の方が追いついていないです。とりあえず連休中の分を書いておきます。


前回までは、エタロン前に置いたコリメーターレンズの収差と思われるのが原因で、像がボケボケだったものを、PSTのエタロンに付いていた対物側の焦点距離-200mmのレンズを使うことで、分解能が一気に出たことを書きました。でも、この分解能が果たしてまだ収差に制限されてしまっているのか、それともシーイングが制限になってしまっているのかが不明でした。今回はこれに決着をつけたいと思います。


分解能を制限しているのは何?

今回は、これまでのように30秒ごとに1時間程度、合計120ショット撮影を続けて、その中で前回撮影したものより明らかに分解能が良いものがあれば、前回の撮影はシーイングリミットだった、ほとんど変わらないなら収差リミットだったと言えるのかと思います。もう少し言うと、前回は12cmよりも10cmの方が若干分解能が良く、少なくとも10cmに比べて12cmの口径としての分解能は確認できていません。シーイングは時間によってばらつきがかなりあることはわかっているので、前回の10cmと12cmでみた逆転や差は誤差の範囲内の可能性が高いと思っています。

さて、2026年5月6日のゴールデンウィーク連休最終日、実際に撮影してみました。実際には前回の記事の撮影日の次の日に撮影していて、比較のためにもセットアップは何もいじっていなくて、全く同じ状況での撮影になります。

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シーイングができるだけいい時間帯ということで、撮影は午前中にしましたが、あいにく全体に薄雲が掛かっている状態で、時折晴れに近くなったり、時折熱い雲が通ったりと、状況的にはかなりイマイチでした。それでもその中で1枚でも前回よりいい分解能で見えるなら、前回の撮影は収差リミットでなかったと言えるので、撮影を敢行しました。

曇が通ると写らないこともあるので、結局合計235ショットを撮影しました。曇りのせいか、そもそもこの日はシーイングが悪いのか、ほとんどの画像は分解能は出ていませんでした。前回程度のものもありますが、前回よりも数多く悪いものもあります。でもその中の少なくとも9ショットは、やはり明らかに分解能が出ているものがありました。その中で、ベストのものがこれになります。
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前回のものが以下になります。明らかに上の方がいいですね。
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少なくとも前回を越すものが1枚でもあったということから、前回の結果は収差リミットではなく、シーイングが悪く、改善の余地はあったということがわかります。また、前回は10cmと12cmの分解能が逆転していましたが、今回は前回の10cmで撮影した結果よりも分解能も出ているので、前回はシーイングのばらつきでたまたま順位が変わったと考えてよさそうです。


まだ結論は出ていない

た、だ、し、だからと言って、今回撮影した結果がまだシーイングリミットなのか、これで収差リミットになったのかは判断がつきません。特にこの日は曇りで、平均的にシーイングがそもそも良くなかったと思われるので、まだシーイングリミットの可能性もあります。上の画像は、その中でもシーイングがいい時間帯を選んだことになるので、この画像の時は十分シーイングとしては良く、実際に分解能の制限に効いているのは改めて収差になった可能性もあります。というのも、上の画像でもまだ口径10cmのヘリオスター100Hαに迫っているとは言えず、口径12cmの性能を引き出し切っているとはとても思えないからです。

シーイングリミットにしろ、収差リミットにしろ、もしくはその他の原因にしろ、統計的に考えたら、無相関なバラツキの和になるので、それぞれのブレの2乗和のルートで効くと考えればいいはずです。全体で見ると、大きなブレが支配的になり、ブレが小さい成分は効きが一気に弱くなります。
  • 例えばシーイングのブレ成分が1として、それに収差のブレ成分が半分だとして混ざると考えたら、2乗和のルートで考えるとsqrt(1^2+(1/2)^2) = sqrt(1+0.25) ~ 1.18なので、ブレは2割も増えません。
  • シーイングのブレ成分が1で、収差のブレがその10分の1なら、sqrt(1^2+(1/10)^2) = sqrt(1+0.01) ~ 1.004と、それぞれの成分で見て1割あったはずの増加分は、全体で見るとわずか0.5%以下の増加になります。
  • 収差のブレが1で、シーイングのブレが同じ程度の1あったとしても、全体ではsqrt(1^2+1^2) = sqrt(2) ~ 1.4倍程度にしかなりません。
大きなブレがあると、それが支配的になりやすいということです。

なので今回言えることは、「このセットアップで、少なくとも今回撮影したところまでの分解能を出す性能があることはわかった」ということだけなのかと思います。繰り返しになりますが、今回の撮影で得た分解能を制限している原因はまだ分かっていません。でも、今回の撮影の結果から、前回の分解能が収差で制限されていたわけではなかったということは言えますね。


次は?

次に確かめるべきこととしては、明らかに今回よりもシーイングのいい時を狙って、さらに分解能が改善されるかどうかを見るべきでしょう。もうこれ以上改善されないなら、収差制限か、もしかして他の原因による制限かもしれないけれど、それが今のセットアップでの限界ということになるので、その原因を取り除くような改善をしていくべきなのでしょう。

さて次回ですが、実はもう撮影は終わって暫定的ですが結果も出ています。また記事にします。



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