ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:SharpCap

以前、SHG700用に新しい10mm長のスリットを手に入れて、TSA120で分光撮影を試みたのですが、カメラのセンサー拡大も必要で、手持ちのASI294M Proを使ってみたところ、ROIの設定が限定されていてい結局使えなかったという記事を書きました。新しいIMX183系のカメラを買えば済む問題なのですが、最近フェニックスを買ってしまったので、しばらくはお預け状態になっています。




ASI294MM Proが使えるかも!

でも捨てる神あれば拾う神ありで、ASI294MM ProのROIを任意に設定する方法があることがわかりました。SharpCapのフォーラムに投稿されていたのですが、やはり悩みは全く同じで、新しいスリットで手持ちのカメラを使えないかというのが発端です。



それによると、Windowsのタスクバーの検索欄に「regedit」などと入れて、出てきた「レジストリエディター」をクリックして立ち上げます。
「\HKEY_CURRENT_USER\Software\AstroSharp Limited\SharpCap\4.1」まで行き、「CustomResolutions」をダブルクリックします。「値のデータ」に例えば「;8000x180」などを加えます。

スクリーンショット 2025-12-06 112732_cut

SharpCapが立ち上がっていた場合は再起動して、ASI294MMProを接続し直すと、設定したROIが選択できるようになっています。


実際の撮影

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最初8000x180で試しましたが、seeファイルの大きさが10数GBと大きくなってしまったので、もう少し攻めて結局5400x150に落ち着きました。一時、縦幅を120まで攻めたのですが、Hα線をうまく読み出せないことがあったので少し余裕を持たせています。頑張れば5000x130くらいでも実用的になるかと思います。でも、撮影時のファイルサイズが大きいのはそんなに問題ではなくて、JSol'Exで処理するときにserファイルを時間、サイズともに同クオリティで小さくするオプションがあるので、それを使うと結局どんなサイズで撮影してもほぼ同じ小さいサイズで保存することができます。今回も小さくしたファイルでもきちんとHα画像を再現することを確かめました。撮影時7GBくらいのファイルが1.5GBくらいの大きさになるので、撮影時にさえディスクが溢れないように気を付けておけば、処理した後はディスク容量などそこまで問題になることはなさそうです。

問題はフレームレートです。8000x180で70fps、5400x150で76fpsでした。fpsは縦幅のみに依存していて、横幅はほとんど関係ないみたいです。縦幅を120にしてももう大きくは上がらず80fps程度で高止まりです。これまでのG3M678Mは縦幅にも依りますが、実測で450-570fps程度は出ていたので、これまでの6分の1以下のスピードと相当遅くになります。

これは1枚あたりの撮影時間に直結します。出来上がる画像の横の空間分解能はserファイルの撮影枚数で決まります。縦幅が5400ピクセルなので、横幅も同じくらいのピクセル数にすると考えると、ざっくり5400枚撮影する必要があります。撮影時間はこれをフレームレートで割った、5400/76=71秒くらいは必要なわけです。実際には太陽が映っている部分はもう少し小さいとしても、これまでFC-76とG3M678Mだと1回16秒くらいで撮影を済ましていたことを考えると、大幅な撮影時間の増大となります。

また、時間をかけて撮影する必要があるということで、赤道儀のスキャンスピードも16倍から4倍程度にまで落とす必要があります。以前、16倍と32倍で試したのですが、赤道儀としてはどうも速いスピードのほうが安定っぽかったので、ここまでスピードを落としてうまく撮影できるかも心配になります。

最初、1回あたり90秒でスキャンしてテスト撮影していました。一応太陽全景は入るには入っていたのですが、連続撮影のための「SHGスクリプト」の初期位置を最初に太陽中央に置くと、撮影時間ギリギリになってやっと太陽の終わりが入るくらいになってしまいます。その一方太陽の写り始めは録画開始時刻のはるか後になってしまいます。できた動画は前半は何も映っていなくて、後半にのみ太陽が入っているという時間的にもファイルサイズ的にも無駄が多い状態になってしまいました。

本来このSHGスクリプトでは、太陽中央を初期位置にするので正しいはずなのですが、赤道儀のスキャンスピードが4倍と遅いのが原因なのか、それともスクリプトにまだ対応しきれていないところがあるのかわかりませんが、とりあえずあらかじめ初期位置をずらすことで回避することにしました。具体的には、太陽の進む方向に先回りしたところ(具体的には赤道儀のWestボタンを押して太陽が見えなくなるところから、16倍速で10回ボタンを押すくらい離れたところ)に初期位置を設定してスクリプトを開始すると、動画の真ん中の時間帯に太陽が入ります。この設定で動画の長さを60秒くらいまで短くすることができ、前後5秒くらい余裕が残る程度になりました。これで撮影動画をJSol'Exで処理すると太陽の縦横比が0.98と出たので、ちょうどいいくらいのスピードでしょう。例えば縦横比が0.5とかだと、赤道儀のスピードが速過ぎて潰れたような太陽になってしまい、それを無理に円形にするので、解像度が出ないというわけです。

結局これらの
  • ROI5400x150
  • フレームレート76fps
  • スキャンスピード4倍速
  • 撮影時間60秒
  • 初期位置が太陽端から16倍速で10回ボタンを押したところ
というパラメータを見つけるのに12月7日(日)と13日(土)とほぼまる2日使ってしまい相当苦労してしまいましたが、とにかく、TSA-120とASI294MM Proで撮影することは可能だということがわかりました。


実際の撮影画像

下の画像は、テスト中に撮影した30枚くらいのがぞうのなかから、30分間くらいの間に撮影した10枚をスタックしたものになります。

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残念ながらこの日はかなりの強風で、さらにシーイングも見るも無惨な日でした。特に分光撮影ではスキャン時間の間の風による鏡筒のブレの影響は結構深刻で、画像自体の分解能はまだ議論できるレベルではないと思います。それでも口径がこれまでの76mmから120mmになって分解能が得している様子はある程度伺うことができているように見えます。今回はとりあえず撮影ができることがわかったということで、細かい比較は今後余裕が出た時にしようと思います。


同日のフェニックスで撮影した画像

ちなみに、フェニクスでSharpCapのライブスタックで同じような時間帯に撮影したものが下になります。この画像はライブスタックでの簡易撮影ということと、シーイングが相当悪かったこともあり、分解能は前回より相当落ちてしまっています。

Snapshot of 13_48_07_Sun-Halpha_RA+_4x_00001 13_48_07_PI_cut

先の分光撮影の画像と比較したいのは、波長分解能(波長透過幅)です。白く明るいところはプラージュと呼ばれている領域です。このプラージュ以外にも、先の分光の撮影ではもっと広い領域に白いモヤモヤしたものが写っています。これは波長分解能が相当良くなると見えてくるもので、私的にはこのモヤモヤがどれだけ見えているかで波長透過幅どれくらい狭いかを評価する指標としています。

また、先の分光撮影の方が黒いダークフィラメントがより濃く見えるのも、波長分解能がより細かい証拠で、背景光の影響がより少なくなるためによりコントラストがよくなります。

白いモヤモヤ部分ですが、どのように呼べばいいのか、少なくとも私はまだ名前を知りません。波長分解能がものすごく良くなってから初めてわかるものなので、これまであまり認識されていなかったのかもしれません。どなたかこの名前がわかる方いらっしゃいませんでしょうか?フェニクスはそのモヤモヤが少しですが、実際に見えているところがすごいです。エタロンですが、昔のものよりも性能が確実に上がっているのがよくわかります。

ここら辺の詳しい話は、以前SH700で波長透過幅が分光よりも広いエタロンの写り具合を再現した時の記事で詳しく議論しています。


今回のフェニックスも同程度の写りかと思うので、エタロンの性能としては前回お借りしたフェニックスと大きな差はないものと思われます。フェニクスエタロンの波長透過特性は、そのうちに測定するつもりです。これまでの手持ちのPSTと比べてどれくらい差があるのか、とても楽しみです。


まとめ

とうとう、SHG700+長めの新スリットと、より口径の大きいTSA-120と、手持ちでセンサ面積の広いASI294MM Proで、太陽全景の分光撮影が成功しました。このカメラのフレームレートが遅いのでかなり苦労しましたが、カメラを新規で購入するまでには至らずになんとかなったので、まあよかったでしょう。

これで以前計算した結果によると、空間分解能は2.2 arcsecから1.4 arcsecと大幅に改善されたことになります。その一方、波長分解のは0.091Åから0.105Åと少し悪くなっていますが、そこまで大きな違いではないでしょう。

トータルとしては大きな改善なのですが、今回の撮影では天候のせいでまだその性能を引き出せたとは言えないので、風もなくシーイングがいい日を狙って再度評価してみたいと思います。


今回はフェニックスでできるだけ高分解能で撮影したという話です。


以前より高分解能カメラで

以前CP+でフェニックスをお借りしていた時
は、手持ちで太陽の全景が入るモノクロカメラでちょうど良さそうなものはApplo-M miniくらいでした。このカメラはグローバルシャッターが付いていて、シーイングなどで素早く動く太陽の模様を撮影するのには向いているのですが、ピクセルサイズが4.5μmとそこそこ大きく、高分解能撮影にはちょっと厳しいです。当時、分解能の比較として手持ちのピクセルサイズ2.9μmのASI290Mで画像比較をしてみました。下の画像はCP+で使ったスライドの1ページです。

スライド76

下の2段は同型のASI294で、カラーとモノクロ(ただし、センサーはIMX294とIMX492で違うものです)で比較したもので、同じピクセルサイズならやはりモノクロの方が分解能的に有利なことがわかります。ピクセルサイズの違いは、上の段の2枚を比べてもらえばわかるように、ピクセルサイズが高々2/3になっただけなのに、小さい方がかなり有利ということがわかると思います。その一方、このASI290MMはセンサー全体のサイズが小さいため、フェニックスでの撮影では太陽の全景が入らないので不便で、その当時のフェニックスには常用使いにはなりませんでした。

その後SHG700での分光撮影のために、センサーサイズが大きくさらにピクセルサイズも2.0μmと小さい、ToupTekのカメラG3M678Mを手に入れました口径8cmの鏡筒にPSTをつけた状態で、ASI290MMとG3M678Mの比較は以前していますが、今回はフェニックスでこのカメラを使って撮影してみます。全景が入るのはもちろん、分解能がどこまで向上しているのか楽しみです。


とりあえず眼視をもう少し

試したのは2025年12月6日のことです。前回フェニックスのファーストライトの続きで、まずは眼視で楽しみます。

ところが、エタロンの様子がちょっとおかしいです。元々回転リングの動く角度は60度程度と大きくないのですが、その範囲でHα線の周りを走査できるようになっているはずです。ですが今回は接眼側から見てエタロン回転リングを反時計方向に回していくと徐々にプロミネンスが濃く大きくなっていき、大きくなりきっているかどうかわからないくらいで回転できる範囲が終わってしまい、それ以上エタロンを調整できないのです。

少なくとも、先々週のファーストライトではこんなことは気づきませんでした。夕方間近で時間がなくて気づかなかっただけかもしれませんが、流石にこれだけ不自然だと気づいていておかしくないレベルです。

前回と大きく違っていることは、ここ最近で気温が急激に下がったので、エタロンの振る舞いが違っている可能性があることです。そういえば、CP+で借りたフェニックスも同じ方向にHα線の中心波長が寄ってしまっていたことを覚えています。季節もちょうど同じ冬だったので、元々暖かい時期に回転中心に調整したものが、気温変化で同方向にずれてしまっていると考えてもおかしくなさそうです。

さて、これで撮影してもつまらないでしょう。せっかくの透過幅の狭いエタロンの能力を引き出すことができません。販売店に相談して送り返してもいいのですが、それだとまた時間がかかってしまいます。

フェニックスのエタロンは、裏にスポンジがついていて、PSTのエタロンと似た構造になっています。下の画像はCP+講演のときのスライドの1ページですが、裏から見たエタロン部のところにオレンジ色のスポンジのようなものが見えるのがわかるかと思います。

スライド32

PSTエタロンの特許が切れたので同型のエタロンを作ることができるようになったとの噂もあり、構造は酷似していると考えられます。PSTのエタロンならエタロン本体(2枚鏡の心臓部)以外は完バラしているので、構造はよく理解しています。手で触れる外側の回転リングの内側にもう一つ回転リングがあり、実際の調整は内側のリングで圧力をかけてエタロンの2枚の鏡の間の距離を変えています。外側のリングと内側のリングは一本のネジで固定されていて、しかも内側のリングには円周上にネジ穴がいくつも開けられているために、ネジをそのうちのどれかに締め込むことによって、内側のリングと外側のリングの相対的な位置が決められています。

もしフェニックスのエタロン部の構造が同じなら、同様のネジがあるはずで、そのネジを緩めて外側の回転リングを独立して回してやり、ネジを別の穴に挿して締めてやることで調整範囲を変えることができるはずです。


Hα中心位置の調整

フェニックスのエタロン部の外観を見ると、ちょうどそれらしいネジがありました。

IMG_2259

これから示す方法は、決して難しい方法ではありませんが、マニュアルなどには記載されていない方法で、あくまで自己責任での調整になります。これで故障などしても販売店の保証は受けられなくなる可能性があります。それを理解した上で、必要な方はお試しください。中心波長が回転範囲内に入っていないと思っても、心配な方は販売店に修理依頼などをお尋ねください。このブログではあくまで調整方法があるということを示すだけで、それによって生じた不具合などを補償することはできません。繰り返しになりますが、あくまで自己責任ということを理解した上で実行するようにしてください


事前準備1: 外側リングをどちら方向にずらした方がいいかをあらかじめ確認しておきます。
  1. 太陽を見ながら、Hα線の中心と思われる位置に外側回転リングを回して合わせます。
  2. 波長中心に持って行ける場合は、そこからリングを回して、回転端までどちらの方向が狭いか、どちらの方向が広いかを確認します。
  3. 回転端まで狭い方向にリングを回しきってしまいます。
  4. もし、Hα線の中心に行く前に回転端に到達してしまった場合はそのままにしてください。こちらも下の調整では回しきった反対側の方向に回転リングを回します。

事前準備2:
  1. 金色の金属の回転リングの対物側の端と、エタロンを上から固定している文字が印刷されている金色の金属円盤との黒い溝状の隙間の長さを確認しておきます。3-4mmくらいかと思います。

実作業:
  1. 上の写真で見えている、外側リングに埋め込まれているネジをマイナスドライバーで緩めてネジを引き出します。
  2. ある程度緩めるとそれ以上出てこなくなるので、つまんで少し引っ張ってやります。
  3. ネジが内側リングの穴から抜けると、外側のリングが独立して軽い力で回転方向にも、前後にも動くようになります。その際、ネジが外側リングからスッポリ抜けてしまっても構いませんが、その際は再び外側リングに挿し込んで、尚且つ内側リングからは抜けた状態になるようにネジをもっていってください。
  4. 事前準備2で確認した、黒い溝の隙間の距離を保ちながら、事前準備で確認した、回転端に達したのと反対方向にリングをゆっくり回します。
  5. 黒い溝の隙間の距離を保つことに気をつけつつ、ネジの頭を少し押しながら回していくと、ネジが少し押し込める場所があることがわかります。ここが隣のネジ穴になります。
  6. 一度ネジを数回転回して仮止めしてから、実際の太陽像を見ながら外側回転リングを(内側回転リングと一緒に)回して、Hα線が回転範囲の中心に来たかどうか確認します。
  7. ネジ穴をずらした距離が不十分なら、さらに隣のネジ穴を探して同じことを繰り返します。

私の場合はHα中心が丁度回転端付近にまで達していたので、3つくらいネジ穴をずらしたところで、回転範囲の中心にHα線の中心が来るようになりました。


スマホアダプターでの撮影

上のように調整した後は、眼視で見てもプロミネンスがちょうど回転中心付近でよく見えるようになりました。表面の複雑な模様もよく見えます。大きな黒点が出ていてちょうど真正面にきているので、眼視でも迫力がありました。

付属アイピースは焦点距離を調節できるタイプのものなので、拡大もできて便利です。また、スマホアダプターも付属されているので、使ってみました。うまくスマホを固定するのに少しコツはいりますが、固定さえできればあとは簡単に撮影することができます。普通に写すとかなり明るくなってしまうので、スマホのカメラ機能で輝度を落とすといいのかもしれません。

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jpegで保存されていますが、これでも多少の画像処理をするだけでプロミネンスや表面の模様が見えてきます。
IMG_2265


G3M678の効果

スマホの殺絵だけでも楽しいかもしれませんが、ここからはモノクロCMOSカメラを使った本格的な撮影にうつります。カメラはG3M678Mです。このカメラはピクセルサイズが2μmと天体用カメラとしてはかなり細かい部類で、分解能を上げることができると思われます。その一方、センサーサイズも1/1.8インチとそこそこ大きく、今回のフェニックスの焦点距離400mmだと太陽全景がプロミネンスも含めてちょうど入るくらいの大きさです。

フェニックスの鏡筒の口径は8cmですが、エタロンを取り付けたときはエタロンの開口径の4cmに制限されるため、実効的には口径4cmとなります。その場合の分解能は例えばドーズ限界を考えると11.6秒 / 4cm = 2.9秒となります。

その一方、センサーサイズが7.7x4.3mmなので、焦点距離400mで画角を計算すると1.10 x 0.616度となります。解像度が3840x2160なので、1ピクセル当たりの画角は1.03秒となります。上のドーズ限界と比べると、カメラの分解能の方がすでに十分細かいので、オーバーサンプリングになります。うーん、こうやって改めて比較してみると、すでにオーバースペックのカメラですね。

それでも、ドーズ限界は眼視における2つの星を輝度で見たときの分離限界とも言えるので、撮影の際にはのちの画像処理も考えると輝度差を拡大できるので、分解能はもう少しよくなるはずです。例えば、かなり昔に惑星撮影でドーズ限界をどれくらい超えることができるかを議論したことがあって、ざっくり1.5-2倍程度まで改善できそうだという検討結果でした。

また、カメラのピクセルサイズと分解能について議論したこともあり、ピクセルサイズがレイリー限界やドーズ限界よりも細かい方がより分解能を上げる効果があるのではないかと、当時は結論付けています。

なので、おそらくですがまだこのレベルだとピクセルサイズが小さくなることは効果があって、今回のカメラは分解能に対してまだ貢献できるのかと思います。実際には口径4cmの分解能にかなり近いところを攻めるくらいになっているはずで、言い換えると、フェニックスの性能限界にちょうど迫るくらいになっているのかと思います。

ここら辺の検証は、カメラを例えば手持ちの2.9μm/pixelのASI290MMにわざと分解能を落として比較するとか、バローレンズを入れて分解能が上がるのか上がらないのかを見るなどで実際に確かめることができるのかと思います。余裕があったら試してみたいと思います。


G3M678での撮影

実際にG3M678Mで見てみます。まずはSharpCapで簡易的にライブスタック機能を使います。この時点で黒点周りのHαの模様もかなりの分解能で見えることがわかります。

スクリーンショット 2025-12-06 095839

この時にそのままPNGで保存したファイルになります。
Snapshot of 09_56_57_Stack_00001 09_56_56

どうでしょうか?画面にWaveletの設定が出ていますが、ほぼオート設定です。500枚のライブスタックで、簡単にここまで見ることができますが、これは楽でいいです。実際ここまで出るのはかなり楽しいと言わざるを得ません。

せっかくなので、serフォーマットで動画で撮影し、マニュアルでスタックして、画像処理までしてみました
10_32_12_lapl2_ap3783_IP

直接比較してみるとどうでしょうか?左がSharpCapのライブスタック、右がserファイルからのマニュアル処理です。
comp

さすがにライブスタックそのままだと差が大きいので、別途画像処理してみましょう。左がSharpCapのライブスタックを画像処理したものです。右は上と同じでserファイルからのマニュアル処理です。
comp2

どうでしょうか?両方とも画像処理することが前提なら、ライブスタック画像もマニュアル処理にかなり迫ることができます。それでもやはり差はあって、特に明るいところと暗いところの階調の滑らかさや分解能など、きちんと出すならやはり動画からマニュアルで処理した方が多少いいようです。

今回のフェニックスとG3M678Mは、太陽全景を一度に写しつつ、口径4cmのフェニックスの限界近くに達しているものと思わ、ある意味ベストに近い組み合わせなのかと思います。これ以上分解能を上げるには大きな口径の鏡筒を使うのが正しい方向です。口径を増やして、さらに拡大して撮影して分解能を上げるのが、次に考えることになるのかと思います。


まとめ

今回の組み合わせは、フェニックスが15万円強、G3M678Mが4万円強で、合計20万円程度です。決して安い価格ではありませんが、一昔前の太陽望遠鏡ではこの値段ではここまでの性能を出すのはかなり難しかったと思います。太陽望遠鏡としてはまだ入門機なのですが、それでもフェニックスの透過波長幅は0.6Å以下とかなり優秀で、ここまで太陽Hα画像が出るのなら、しかも簡単なライブスタックでもこれくらいは出るのなら相当なコストパフォーマンスです。

上の全景画像のように簡単に全面がムラなくほぼ一様にHα中心に見えるというのは、実は驚異的なことだと思います。例えば手持ちのPSTエタロンでは、均一範囲は3-4割と言われています。フェニックスエタロンは製品ごとのばらつきもほとんどないと聞いているので、安心して手に入れることができる入門用の太陽望遠鏡なのかと思います。いい時代になったものです。フェニックスエタロンの詳しい性能については、CP+での講演動画をご覧いただければと思います。




その後、お客さんが

この日は天気は良かったのですが、思ったより風が強かったので、フェニックスでの撮影を終えてからは少し気が抜けてしまって、自宅でのんびりしていました。そんな折、お客さんがきてくました。以前、太陽を見に来てくれたMさんの所の中3のお嬢さんです。私が朝からXでつぶやいていたのを見てお母さんと一緒に訪れてくれました。

まだフェニックスのセットアップは残っていたので、アイピースに戻して実際に太陽を見てもらいました。と言ってももう夕方近くで、太陽が隣の家の高い木にかかってしまっていたので、わざわざ赤道儀をずらして太陽が見える位置に移動しての観察になります。星座ビノに太陽フィルムを付けたもので、太陽黒点も直接見てもらいました。

満月の次の日でちょうど月の話が出たので、望遠鏡を一本持って帰ってもらいました。ビクセンのポルタで、昔星まつりで中古で特価で手に入れたものです。振動比較で使ったくらいでほとんど使っていなかったので、長期貸し出しということで自由に使ってもらいたいです。うまく月が見えたかどうか、今度会ったときに感想を聞いてみたいです。


最近ずっと太陽で少し疲れてきたので、たまには夜もと思い、少しメンテナンスも兼ねて電視観望関連のテストをしました。


メンテナンス

先月末の飛騨コスモス天文台での電視観望は散々な結果に終わりました。やはり普段から触っていないと、いざというときに使い物になりません。今回はちょっと反省して、きちんとメンテナンスすることにしました。


現在電視観望用としては3台のPCを運用しています。Windows SURFACEの7と8、M1 MacのVMware上で動くArm Windowsです。その中でメインはSURFACE 7で、予備がM1 Macだったりします。理由は仮想上でない普通のWindowsの方がなんだかんだ言って安定していることと、予備も含めてWindows PCを2台も持っていきたくないことです。SURFACE 7はSWAgTiなど撮影用にも使っていて環境を壊したくないので、いまだにWindows 10で、電視観望に用の環境も整っています。SURFACE 8はWindows 11で、太陽用に使っていたりでそこまで電視観望用の整備をしてませんでした。

今回いい機会なので、3台とも関連ソフトをアップデートをすることにします。想定ハードウェアはFMA135+Uranus-C+トラバースと、50mmレンズ+ASI294MC+自由雲台の広角電視観望の2種類です。そのための関連ソフトは最新のバージョン番号も書いておくと
となり、これらを3台のPCで全て最新版にアップデートしました。年単位でアップデートしていなかったものも結構あったので、いい機会となりました。

最新版にするにあたり設定も少し見直しました。特に以下の4点は、おまじないかもしれませんが、SharpCapとSynScan Proとの接続の不安定性の解決に効く可能性があります。
  • SynScan Proの「設定」「接続の設定」の「リードアウトタイム」をデフォルトの200msから1000msにしました。これで最初に接続に失敗することが少なくなります。
  • ファイヤーウォールでパブリックでの接続を許可しました。これは効果があるか不明ですが、プライベートだけだとダメだったことがあります。
  • SynScan Proの「設定」「観測値」の緯度、経度情報を自動ではなく手入力すること。
  • SharpCapのプレートソルブ設定の所の鏡筒の焦点距離をきちんと入力すること。
3台とも、ソフトアップデート後、上のような設定に気を付けてセットアップしましたが、どれもSharpCapとSynScan ProのWiFi接続も安定していて全く落ちることはなく、以前あったSharpCapのプレートソルブを3回実行すると必ずSynScan Proとの接続が落ちるという謎の現象も無くなりました。


ZWOカメラのArm Windows対応状況は1年たっても進展なし

広角電視観望ではできるだけ大きいセンサー面積が欲しいので、ASI294MCを使っています。手軽さ優先なので冷却は無しです。問題はM1 MacのArm版 Windowsです。カメラドライバーだけはArm版専用のものを必要とします。逆にカメラドライバー以外では今のところ大丈夫で、ASCOM用ドライバーなどカメラ以外の全てのドライバー、その他全てのアプリはArm用ではなく普通のWindowsのものがそのまま使えます。これは結構驚きでした。

カメラドライバーのインストールは以前かなり苦労しました。


その苦労もあり、PlayerOneのドライバーは安定して動いています。

問題はZWOカメラで、ドライバーをインストールはできて一応動くのですが、Windowsを再起動するたびに署名を無効にしなくてはならずに、そのためだけにWindowsをさらに2回再起動する必要があるなどかなり面倒です。しかもその署名無効方法があまり直感的でなく、覚えきるのが大変で、手順を間違えると深刻なことになる可能性もあり、毎回手順を確認しながら実行するようにしています。そのためやる気が大きく削がれてしまい、観望会においてM1 MacでASI294MCを稼働することはかなり稀な状況になってしまっています。

今回約1年以上たって状況が改善されていることも期待したのですが、調べた限りは状況は全く変わっていないようで、相駆らわず今も署名オフが必要なようです。これは結構残念でした。VMwarewを落とさないか、レジューム機能でWindowsを停止状態にしておけば復帰後もカメラドライバーが生きているので、観望会前は事前に一度認識させておくのがいいのかもしれません。


SynMatrixでのカメラの認識

M1 Macで電視観望を控えるもう一つの理由が、SynScan Appのプレートソルブ「SynMatrix AutoAlign」でUranus-Cが認識されないことでした。SURFACE 7ではきちんと認識されているのに、なぜかM1 MacのArm Windowsでは認識されていないのです。この問題、SynMatrixが必要になるときは結局SURFACE 7を使ってしまって、M1 Macのほうでは長らく解決せずという状態が続いていました。

今回は少し気合を入れて調べてみます。まず、SynMatrixでPlayerOneカメラを認識しているのがSURFACE 7のみ、しかもよく見てみるとZWOカメラもSURFACE 7のみでしか認識されていません。M1 Macだけでなく、今回SynScan ProをアップデートしてSynMatrixが使えるようになったSURFACE 8の方もカメラを全く認識していません。どうやらArm Windowsだからという問題ではないようで、Armが悪いというのは単なる思い込みだったようです。

結局この問題はかなり単純で、少し調べると、SynMatrixがリリースされた時のどこかのコメントに、カメラ用のASCOMドライバーが必要だという記述がありました。まずSURFACE 8に、ZWOカメラ用のASCMOMドライバーと、PlayerOne用のASCMOドライバーをインストールしたら、無事に両カメラとも認識され実際に画像を取り込むことができました。特に、PlayerOneの方はASCOM platformの6.5を必要とすると書いてあったので心配でしたが、7.0.2でも普通に動くようです。

さて問題のM1 Mac上のArm Windowsですが、こちらもZWOとPlayerOneの ASCMOドライバーをインストールしてみました。すると何の問題もなくSynMatrixで両カメラとも認識され、(ZWOの方は署名をオフにしてから)無事に画像を取得することができました。

これで3台ともSynScan Proでのプレートソルブ、SharpCapでのプレートソルブ、安定なSharpCapとSynScan Proの接続が実現され、今後の観望会での電視観望運用に目処をつけることができました。


フィルターなしの広角電視観望で見る天の川

広角電視観望で、カメラレンズとZWOカメラを接続するアダプターをAmazonで見つけた安物にしたところ、飛騨コスモス天文台の観望会でピントが出なかったという致命的な欠点がありました。その時は時間がなかったので結局諦めたのですが、あらためて見直してみました。

まず一番の原因が、QBPが入っていて、それが薄型のT2と1.25インチフィルターをつけるアダプターでカメラにねじ込んで取り付けてあったので、接続アダプターのねじ込みが足りなかったことが問題でした。薄型といっても厚さが数mmはあるので、影響があるみたいです。

まず、フィルターをねじ込みアダプターごと外して、接続アダプターを一番奥までねじ込んで試してみると、ギリギリですがなんとかピントが出ます。このテスト自宅でやっていたのですが、ここでちょっと驚きました。この状態で見る天の川があまりにはっきりしているのです。これまで天の川電視観望は何度もやってきましたが、いずれもCBPやQBPを入れた状態で試していました。これは同時に主に赤い星雲を見るためなのですが、天の川自身の見え方はかなり犠牲にしていたようです。

wde_nofilter2

ただし、当然ですが星雲の見え方はかなり犠牲になります。上の画像は天の川の一番濃いところらへんで、M8干潟星雲などが映り込んでいるのですが、どこにあるかわかりますでしょうか?

この写りだと星雲を見てもらうにはちょっと厳しいので、試しに何とか元々使っていたQBPを入れてなんとかピントが出ないか試してみることにしました。結局、カメラ側に取り付けるのではなく、接続アダプターとレンズの間の隙間に、ねじ込むことをせずにポンと置くだけのような形で入れ込みました。

IMG_1609

揺らすとちょっとカタカタ鳴りますが、T2アダプターが防波堤になってレンズを傷つけるとかもなさそうなので、実用上は問題ないでしょう。

QBPを通して見た天の川ですが、上と同じような画角で見るとこうなります。
wide_QBP

今度はM8、M20、M17、M16など星雲がはっきりとわかりますが、逆に天の川が随分と淡くなります。

見栄えがかなり違うので比較してみるのが面白いかと思います。なので、できるならフィルターの取り外しがすぐにできるといいのですが、これは今後の課題としたいと思います。


SharpCapの新機能

SharpCapのアップデートに伴い、ライブスタックで恒星の色合わせを実現する機能が追加されていました。調べたら6月30日のバージョン4.1.13447.0で搭載されたようなので、まだ出来立てホヤホヤみたいです。どの星の色かを特定するために、プレートソルブと合わせて働く機能のようです。
スクリーンショット 2025-07-25 220910

それに合わせて、背景を自動で調整する機能も搭載されたようです。
スクリーンショット 2025-07-25 220910_cut

各色の上にある白いマーカーの左側をずらすことで、マニュアルでどれだけ引くか調整することもできるようです。

これまでも色バランスと輝度のストレッチなどを駆使して恒星の色を調整するとかはできることはできたのですが、今回はPixInsightのPCCみたいに、より客観的に、安定して色をそろえることができるようになったということかと思います。


まとめ

以上久しぶりの電視観望ネタでしたが、先月あったトラブルはメンテナンスでかなり状況は改善されたと思います。3台体制で、どれも機能に差がなく、同様の動作が期待できます。

今週末にまた飛騨コスモス天文台で観望会があることと、夏休みで8月にも何度か観望会の予定があるのでこれでちょっと安心です。さらに、今回試したノーフィルター天の川も含めて来てくれたお客さんに披露できればと思います。



前回記事で、やっと1枚分の画像を処理しました。


それでも、細かい部分は分光撮影特有のブレが生じてしまっています。今回はこれを改善します。

今回の紹介するスクリプトは、SHG700に特化しているわけではないので、Sol’Exユーザーにも有効な撮影方法になるかと思います。


分光特有のブレ

改めて拡大して細かいところを見てみます。

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黒点部分も、プロミネンス部分も、潜在的な分解能はそこそこあるのに、縦縞のようなブレが起きてしまっていて実質的な分解能が落ちてしまっています。

このブレを理解する前に、分光撮影から太陽画像の再構築がどうやって行われているかのプロセスをきちんんと理解しておく必要があります。


どうやって太陽画像をつくるのか

まず、鏡筒から出てきた光が7μmという細いスリットを通り抜け、細長い形をした光が回折格子にあたります。回折格子では波長ごとに分光され、空間的に広がりを持ってカメラに向かっていきます。カメラのところでは、その分解された光がセンサーの縦方向に広がって記録されますが、ROIで縦方向を200ピクセルに制限して記録しているので、(分解能が約0.1Å/pixelと分かっているので) 合計で約20Å幅ぶんが記録されます。

一方、センサーの横手方向は、赤道儀のモーターでRA方向にスキャンすることで、太陽を縦方向にスライスしていった線が、横向きになって記録されていきます。この横に長い線は、センサー上の縦方向に波長ごとに広がって記録されるので、面積を持った像になります。この時の一本の線から得た面積を持った画像が1コマとなり、それを連続してスキャン撮影することで動画として記録しています。

同じ波長の線、ここではHα線を考えましょう、この線は一直線にはならずに今回の場合上に凸の曲線になります。

07_13_53_0000_07_13_53_average

暗い部分がHα線に相当し、赤い曲線はその中で最も暗い部分をフィッティングした線です。この曲線に沿った同波長の部分を1コマの画像から取り出し、直線に変換します。その直線が太陽全景を描くための一本の縦線となります。それら一本一本の線をプリンタのように書いていくことで、一枚の太陽の全景画像が出来上がるというわけです。


なぜブレるのか?

このように全景画像をどう再構築するかを理解しておくと、なぜ分光撮影の場合に細かいブレがしょうじてしまうのかが理解できます。直接の原因は、スキャンしている間に機材に揺れが起きてしまうことです。ある一本の線を撮影するときの揺れと、次の一本の線を撮影するときの揺れは、撮影する時間が違うために揺れの分だけずれてしまいます。

一般的な撮影でこのようなズレが起きないのは、画面全体を面積として一度に撮影しているからです。画面内では分光の時の線のような時間的、相対的なズレはなく、全体的な揺れが撮影時間で平均されたものになっているだけだからです。

改めて最初の拡大した画像を見てみます。特に太陽表面とプロミンセンスの境のところを見るとよくわかりますが、縦方向に細かい線のようになっているブレが目立ちます。一瞬スピキュールと思うかもしれませんが、スピキュールなら表面とプロミネンスの境界線に対してほぼ垂直に立つはずです。でもこれらの線は、境界線の上でも横でも下でも、たとえ太陽表面内の真ん中でも、全部縦方向のみに表れます。これは縦線を並べていく際に、縦線の縦位置がブレているものを並べたからだということがわかります。

スクリーンショット 2025-06-23 195202_cut

一本の縦線は一度に撮影するので、相対的なズレはないが、各縦線は別時間に撮影しているために、縦線同士ではどうしても相対的なブレが生じてしまっているということで、これは分光撮影では原理的に完全に取り去ることは難しいでしょう。

また、一本一本の線が完全にバラバラにブレているというわけではなく、何本かまとまってゆらゆら揺れているのがわかります。この揺れのエンベロープをたどっていくと、機材が時間的にどのように揺れていったのかがわかります。この揺れは情報として残っているので、それを補正するように線を置いて行けば、一枚画像でももっとブレの少ない画像になるはずですが、探した限りではそのような補正をしているソフトは見つかりませんでした。(2025/7/4 追記: JSol'ExのImage Enhancedに「Jagged edges correction」という似たような試みがありました。でも実験レベルとのことで、試してみましたが、プロミネンスを段差と認識してしまったり、確かに実用レベルにはなかなかならないようです。)このような試みも、次に書く改善方法の一つだと思います。


改善方法

これらのブレを改善するためには、まず直接的には揺れを抑えることです。この機材の揺れはどこが大きいかというと、やはりネックとなっている鏡筒とSHG700の接続部が弱いので、鏡筒に対してSHG700本体が大きく揺れていると考えていいでしょう。もちろん赤道儀や鏡筒部分も揺れてはいますが、特に風邪などが吹いた場合にはSHG700自身がどうしても一番揺れてしまうのかと思います。実際、分光撮影では風が一番効くという記述が多くあります。シーイングがいい日を選ぶのも大事ですが、分光撮影ではまずは風の静かな時を選んだ方がいいというのは理にかなっている気がします。

もう一つの改善策は、惑星撮影での画像処理のように、多数の枚数を撮影して、画像を歪ませて位置合わせをしてスタックすることです。通常の太陽撮影でもスタック処理はしますよね。太陽でも私の場合、最近は200フレーム、必要なら500フレームとか1000フレームとかをスタックします。

今回はこの多数枚スタックを試してみたいと思います。

ただし、分光撮影では1枚の画像を作るのも結構な手間なので、そこまで枚数を増やすことはできません。いかに手間をかけずに多数枚撮影するかが鍵となります。


SharpCapで自動連続スキャン

ここまでが前振りで、やっと今回書きたいことに辿り着きました。多数枚のスキャンをどうやって楽にやるかです。ここでは、SharpCapのスクリプト機能を使います。

まずはこのページで紹介されているスクリプトをダウンロードします。SharpCapで連続スキャンを実現するスクリプトです。上の方にあるオリジナルは中国語ですが、英訳されたバージョンが下にスクロールすると見つかります。落としたZIPファイルを適当なフォルダに展開します。

SharpCapを立ち上げ、メニューの「ファイル」->「SharpCapの設定」から「起動スクリプト」タブを選択します。「追加」ボタンを押し、上記スクリプト(SHG_SharpCap-Script-202XXXXX.py) をSharpCap起動時に読み込むように設定します。SharpCapを再起動すると、アイコン群の中の右のほうに「SHG」と書かれたボタンができるはずなので、それを押すと次のような画面が出てくるはずです。

スクリーンショット 2025-06-22 111159

設定はある程度見ればわかると思いますが、
  • 「Target」はとりあえずSun-Hαを選びます。
  • 「Slew Rate」の値は赤道儀によりますが、4とか8とか16になるかと思います。この値は先に一度マニュアルで撮影した値と同じでいいはずですが、私の場合その時の8だとなぜが遅くなったので、最終的には結局16としました。
  • 「Duration of each Video Record(sec)」は何秒間撮影し続けるかです。上のSlew Rateにも依存します。一度マニュアルで太陽の端から端までスキャンして、時間を測るといいと思います。それより多少長めに設定します。私の場合、太陽が通る時間は15秒くらいですが、ここでは30秒と指定しています。なかなかぴったりとは収まらないので、ある程度余裕がないと、像が途中で切れてしまいます。
  • 「Delay before Record(sec)」は録画前に何秒待つかですが、決めにくいパラメータの一つです。私はとりあえずデフォルトの3秒にしておきました。
  • 「Fine tuning(sec)」はモーターが加速しはじめてから一定のスピードになるまでの時間のようなのですが、あまりよくわかりません。説明には1とか1.2がいいと書いてあります。とりあえず1.0で試しました。
  • 「Scanning Count」は何往復するかの繰り返し回数です。
  • 「Scan Axis」はSHG700の場合はRAになるかと思います。
  • 「Record Direction」はどちらの方向に動く時に撮影するかです。最初は「Foward only」でやってましたが、途中から時間がもったいないので「Forward & Backward」にしました。ただしForward & Backwardは1往復で2回撮影するので、Scanning Countを10とかにすると20本動画ファイルができます。またプラス方向とマイナス方向でそれぞれ.serファイルを処理する必要があるので、2度手間になったりします。結局私はForward & BackwardでScanning Countを5とかにし、プラスとマイナス2回処理するのをデフォルトにしました。
  • それ以降の2つの「per Round」と「--> ROI...」と「--> Click...」はよくわかりません。説明にもないもので、後から追加で付けたみたいです。全部0にしています。
ちなみに、これらの設定は、解凍したスクリプトと同じフォルダにある、SHG_SharpCap-Script-202XXXXX.profile.iniを編集することで、プロファイル名と設定内容を保存でき、再度SHGスクリプトを起動したときにプロファイル名を指定することで呼び出すことができます。例えば上の設定なら、

[76/600APO_SHG700_Touptek678m_r80-916fps]
TargetName = Sun-Hα
MoveRate = 8
RecSeconds = 30
DelayBeforeRec = 3
AdjustSec = 1.0
Count = 10
ScanAxis = RA
RecDirection = 1
ForceGotoSun = 0

のようになります。最初の行のプロファイル名は任意なので適当です。


撮影

ここまでの設定がOKなら、撮影テストと、本番の連続撮影になります。
  1. まず、RAモーターを動かして、太陽の丁度真ん中くらいの位置に来るようにします。とりあえず繰り返し回数は1にして「Start batch Scan Record」ボタンを押してみてください。
  2. ピッと音がして、バック方向(East)に動き出します。
  3. 太陽の端を通り過ぎてしばらくしたところで止まって、今度はフォワード方向(West)に動き出します。
  4. 録画開始とか出るので、その時点でまだ太陽が見えていないこと、ちょっとしてから太陽が見え始めること、太陽がもう一方の端に到着すること、その後に録画終了とメッセージが出ることを確認します。
  5. しばらく(10秒くらい)すると最初にあった位置に戻るので、それまで何も触らないほうがいいです。
  6. 撮影した.serファイルを改めて確認します。もしここで、録画内に太陽が全然収まりきらないなら、Duration of each Video Record(sec)を長くします。もしくは最初か最後の片側だけ切れているなら、最初が切れている場合はバックのEast方向に少しずらし、最後が切れている場合はEast方向に少しずらし、撮影初期位置を調整します。
  7. 再び「Start batch Scan Record」を押して、きちんと太陽が全て録画時間内に収まるまで、録画時間もしくは撮影初期位置の調整を繰り返します。
  8. 無事に録画時間内に太陽が入るなら、「Scanning Count」を例えば10に増やし、Start batch Scan Recordを押して、10往復するのを待ちます。
  9. 全てが終わると、元の位置に戻るはずです。この元の位置への再現性はそこそこ正確なので、もし戻る位置が違うなどがある場合は、何かハード的にトラブルが起こっている可能性が高いです。
2025/6/27 追記: 特に赤道儀の極軸がずれていると、何度か撮影している間に徐々にずれてしまう可能性があります。昼間なのでそもそも極軸を合わせるのが難しいこと、赤道儀のモーターを回しながらの撮影なので原理的にオートガイドはできないことなど、太陽の位置がずれていく可能性は十分にあります。回数にもよりますが、連続撮影は10分程度はかかるので、その間太陽が画面内に保たれるような曲軸合わせの精度が必要になります。


連続撮影ファイルの画像処理

保存された.serファイルが問題ないなら、次はJSol'Exで複数のファイルを一度に処理しましょう。JSol'Exのメニューの「File」->「Open SER file」から撮影したserファイルを開いて、出てきた画面の下の真ん中の「Quick mode」ボタンを押してください。

ここではメニューの「File」->「Batch mode」から撮影した複数の.serファイルをまとめて開きます。出てきた画面のいくつかの横バーの一番下の「Miscellaeous」を開いて、「File naming pattern」を「Batch」にしておくといいでしょう。ここからは前回と同じ簡易処理で、真ん中の「Quick mode」ボタンを押します。しばらく待つと同じ種類の画像ファイルがまとめて一つのフォルダに保存されます。

あとはこれらをスタックします。JSol'Exにもスタック機能はありますが、使ってみた限りあまり精度がよくないようなので、ここは普段のようにAutoStakkert!4を使います。AutoStakkert!4を立ち上げ、ファイルを開くときに「Images」を選択し、先ほどできた画像ファイルを全て選択し処理します。今回はdiskフォルダ以下に入っていたストレッチと化していないRAWに近いような13枚の像をスタックしました。

出来上がった画像を下に示します。どうでしょうか?
IP_crop_lapl2_ap23267

比較のための拡大図です。この記事の最初に載せた画像と同じ画角です。
IP_crop_lapl2_ap23267_cut_prom

IP_crop_lapl2_ap23267_cut_sot

明らかに細かいブレが軽減されているのがわかります。これ以上は枚数を増やすか、風やシーイングが穏やかな日を選ぶとかになるかと思います。


画像処理

ここからの処理は普通の太陽画像と同じです。まだRAWファイルをスタックしたような状態なので、画像処理で細部を出すことができます。

ImPPGを使ったり、SolarToolboxを使ったりすればいいでしょう。今回はImPPGで細部出しとプロミネンス強調までして、さらにPixInsightでSolar Toolboxは使わずに細部出しをしてみました。

最終的にはこのようになりました。まずはモノクロです。
IP_crop_lapl2_ap23267_IP_2

解像度もかなり出ていて、プロミネンスの淡いところも出ています。縦方向のブレは完全には消せませんでしたが、そこそこ見えるくらいにはなっているかと思います。

次にモノクロの反転です。
IP_crop_lapl2_ap23267_IP_inv

更にカラー版と、その反転です。
IP_crop_lapl2_ap23267_IP_color

IP_crop_lapl2_ap23267_IP_inv_col


まとめ

これでやっと満足できるレベルの太陽全景画像になりました。普通の撮影と違い、多少手間もかかりますが、0.18Åという波長分可能と、全景でここまで空間分解能がでるなら、これだけの手間をかける価値も十分にあるというものです。

次回はJSol'Exの使い方です。これも面白いですよ。いろんな種類の画像が出てきます。












最近ものすごく忙しくて、土日も仕事のことが多いです。先週末の福島も行けずじまいでした。そんな忙しい状況ですが、先週のある晴れた平日に朝早く起きて、色々と試しました。結局この日は自宅にいたので、セッティングだけして撮影中はほったらかしにしておきます。しばらく梅雨で何もできそうにないので、しばらくこの日にやったことを記事にしていきます。


SharpCapでのリアルタイム処理

最初はSharpCapを使っての太陽全景のタイムラプス映像です。SharpCap単体で、リアルタイムでスタックして細部出し、さらにはカラー化からプロミネンスの炙り出しまでできるので、撮影さえしてしまえば、あとは動画化するだけになります。


上記記事にSharpCapでの太陽全景撮影のための設定は説明していますが、実際の長時間タイムラプス映像はまだ試せていませんでした。なので今回の記事はその続編ということにもなります。


撮影設定など

実際の撮影です。全景撮影で太陽の細かいところまでは見えないためシーイングはあまり関係ないので、午後からの撮影としました。シーイングがいい午前の撮影については、C8で高解像度のテストとしましたが、これについてはまた後日記事にします。

20秒に1枚で、トータル2時間25分の撮影で、数えたら422枚の大量の画像です。枚数は多いですが、ファイル量としてはトータルで高々10GB程度です。同じカメラで動画撮影する200フレームのserファイル換算だと、たった3本分程度です。ちなみに動画の場合は100本レベルで撮影したりしています。しかも処理ずみの画像が保存されるので、それ以上の画像処理も必要なく、心理的にもかなり気楽です。

撮影中はPHD2でのガイドと、SharpCapでのセンタリングを併用しています。SharpCapでの設定内容は以下のようにしました。
スクリーンショット 2025-06-05 150152_cut

以前に示した設定よりも少し凝った設定になっていますが、これでほぼ完全にセンターに保つことができました。後々の位置合わせは全く必要なく、全コマに渡り、見ている限りピッタリ位置が揃っていました。これはすごい。

ただし、このことは快晴だったからというのが大きいと思います。これまで雲がある時にタイムラプス用の連続撮影を試していますが、小さな雲の通過でも影響が大きく、長時間撮影では途中で位置がずれてしまったり、スタックがうまくいかなくなったり、プロミネンスの炙り出しがうまくいかなかったりしていました。なので、このSharpCap単体でのタイムラプス映像のための撮影は(あまり設定にかかわらず
)、本当に雲がないという意味での快晴の時でないと、うまくいかないと思います。


出来上がったタイムラプス映像

繰り返しにもなりますが、今回のやり方の利点をまとめておきます。
  • リアルタイムで、スタック、細部出し、カラー化、プロミネンス炙り出しなど、それ以上の画像処理が必要ないレベルで、画像を保存していくことができる。
  • トータルファイルサイズを節約できる。
  • 各画像の位置合わせの必要が、全くない。
  • あとは、動画化するだけ。
なので、ホントに保存された画像をそのままアニメ化します。今回はPixInsihgtのblinkで動画化しました。blink上でtifから一旦pngにして、mp4で書き出しています。その後、ブログに載せるために以下のコマンドでYoutubeに適したフォーマットにしています。

 ffmpeg -i .\Blink.mp4 -vf "scale=1920:1400" -vcodec libx264 -pix_fmt yuv420p -strict -2 -acodec aac .\Blink_X.mp4

実際に出来たタイムラプス映像です。

見てもらってもわかりますが、はっきり言って全然面白くないんですよね。理由はひとえに動きが少なすぎるからです。でも実際には一部動いていて、たとえば左の大きなプロミネンス部分を拡大してみると以下のようになります。

たしかに動いていはいるのですが、いつものC8のタイムラプス映像と比べると、まあ当然ですが解像度不足なのは否めません。また、拡大して見るレベルだと太陽表面とプロミネンスの境がさすがに不自然です。

全景動画をよく見てみると、まだ他にも動いているところはありますが、上の動画よりはるかに小さな動きでしかありません。

結局、実際に長時間撮影したものをタイムラプス化して面白かったことは、2時間半で太陽の自転がわかったことでしょうか。これはタイムラプスというよりは、最初と最後の画像を比べればいいでしょう。
Blink3

赤道付近の自転の周期が25日程度というので、半回転180度として、それをざっくり12日で回転するとしたら、1日あたり15度、2時間半だと1.5度程度回転するはずです。高々2時間半でこれくらいわかるので、夏場の朝から晩まで、1時間おきくらいに撮影して12時間くらいの自転を見るのも楽しいかもしれません。


問題点

さて、今回長時間撮影してわかった問題点もあります。今後の改善のために列挙しておきます。
  • SharpCapで保存されたtif画像が、階調8ビットで保存されてしまっています。SharpCapのタイムラプスの設定画面の下の方に、画面のストレッチをしたら8bitで保存されると書いてあるので、逆に言うとストレッチしていなければ16bitで保存されるはずなのかと思います。実際、以前PhoenixとASI290MMで撮影した過去画像を調べたらきちんと16bitで保存されていたので、何か方法があるはずです。でも8bitで保存されたとしても、すでにプロミネンスまで炙り出し済みなら、階調は問題でないのかと思います。
  • 黒点やダークフィラメントなど、何か構造が見えるところだけボケてしまっていて、アニメ化するとブレてしまっています。SharpCapから保存されてtifファイルの時点でもうボケが見えているので、スタックの問題か、変なノイズ処理が入っているからとかかと思うのですが、今の所不明です。今回はアニメ化してからこのことに気づきました。次回からは画像をとにかく1枚保存して、きちんと撮れているか確認しようと思います。ちなみに、このボケのため、太陽表面が動いているように見えるものはほとんどフェイクです。
  • 太陽表面の模様があまり出ていない気がします。シーイングがものすごく悪かったのか、設定が悪かったのか、今となっては確認できません。短時間でいいので、serファイルを別途撮影しておけばよかったです。
  • やはり全景では変化がなさすぎてつまらないです。拡大してみるとプロミネンスの変化などがわかるので、拡大を前提に楽しむべきか、それでも拡大するとすぐに分解能の限界でアラが見えるので、どこまで拡大するかのバランスが大事なのかと思います。
  • プロミネンスの境が不自然に見えます。リアルタイム処理なので仕方ないのかもしれません。
  • プロミネンスの境がブレるようです。アニメ化すると目立ちます。

色々問題点もありますが、それでもこれだけ簡単にタイムラプス映像ができるのは、魅力なのかと思います。


まとめ

やっとSharpCapのリアルタイムスタックを利用して長時間のタイムラプス映像まで辿り着きましたが、あまり面白くもないので、これを今後継続するかはちょっと迷っています。ただ、問題点はまだあることはわかったので、もう少しはマシになるはずです。これらの問題点をある程度解決してから判断しようかと思います。







CP+のセミナーの中で、SharpCapを使うと太陽をリアルタイムでスタックして画像処理ができるので楽だという説明をしましたが、ブログ記事にはしていなかったのでまとめておきます。この記事を書く気になったのは本ブログのコメントで、リュウさんから設定画面を見てみたいというリクエストがあったからです。


太陽の導入

カメラをPCに繋いでSharpCapで太陽を映すまではいいでしょうか?特に昼間の導入は意外に面倒だったりするので、少しだけコツを書いておきます。
  1. まず、赤道儀や経緯台の水平をきちんと取ることは必須です。水平出しは、これ以降の精度全てに効いてきますので、水準器を使ってきちんと水平になっているのを確認します。(補足: 昔の記事で赤道儀の場合は極軸さえ合っていれば水平出しは原理的にどうでもいいと書いていますが、それはあくまで極軸が正確に合わせられる場合です。昼間はほぼ太陽しか出ていなくて、極軸を精度よく合わせることは無理なので、最低限水平をきちんと取ってから始めたほうが遥かに楽です。)
  2. 鏡筒をホームポジションの方向に向けます。ホームポジションは赤道儀や経緯台の機種によるのでマニュアルをきちんと見てもらえばいいのですが、赤道儀の場合は北極星方向、経緯台の場合は北向き水平が多いでしょうか。太陽ファインダーを持っていない場合は、ここはできるだけ精度よく合わせたほうがあとあと楽です。
  3. 経緯台の場合、水平方向は鏡筒に水準器を当てるといいでしょう。
  4. 北向きにするのはなかなか精度が出ません。最近ではスマホにコンパスアプリがついているので、それを使うといいでしょう。その場合、設定で「真北」を選んでください。デフォルトでは「磁北」になっている場合が多いので、これだと6−7度ずれてしまいます。
  5. 次に進む前に、ここで重要な確認です。望遠鏡は太陽を見ることができる状態になっていますか?白色光の場合は太陽用減光フィルター、Hα線の場合はエタロンとブロッキングフィルターなど確実に付いていますか?私は必ず指差し確認をするようにしています。慣れてしまうとどうしても確認が疎かになる可能性が出てくるからです。
  6. 次に、カメラを鏡筒にセットし、カメラをPCに繋ぎます。SharpCapの上部メニューの「カメラ」から接続したカメラと同じ名前のカメラを選択します。
  7. ここまできたら、やっと赤道儀や経緯台の自動導入を使って、太陽を導入します。昼間の太陽導入は安全のために機能的に制限されている赤道着や経緯台が多いので、その制限を解除します。解除方法は機種に依ります。
  8. 必要なら導入前に念のため、赤道儀や経緯台の現在位置の設定と、時刻の設定を見直してください。現在位置や時刻がずれていると、これ以降導入がズレが出る可能性が高いです。緯度と経度を入力する場合は、スマホのコンパスアプリなどで今いる場所の緯度経度を確認できるので、その値を入力するのが楽です。
  9. 太陽を自動導入後、SharpCapで画面を確認しますが、大抵の場合は太陽は画面内に入ってこないと思います。
  10. 太陽ファインダーを持っているなら、太陽光がファインダーの投影板の真ん中に来るように、赤道儀の場合は架台部分の「ネジ」を使って水平方向と垂直方向を合わせます。この時点ではモーターを使わないように注意してください。この時点では、設置時の赤道儀の極軸からのズレを補正するためです。経緯台にはネジがついていないと思いますが、ネジの代わりに三脚をの足を伸ばしたり、水平にずらしたりして、水平方向や垂直をある程度合わせてもいいでしょう。
  11. 太陽ファインダーがない場合は、次のようにSharpCapの画面で確認するしかありません。
  12. 太陽ファインダーの真ん中に来たら、SharpCapの画面に入ってきているか確認してください。露光時間は機材に依りますが、1msとかかなり短くていいはずです。ゲインも0とかせいぜい200(=20dB=10倍)までで大丈夫かと思います。
  13. 太陽が画面内に入りかけているか確認するために、SharpCapの右側パネルのヒストグラムのところにあるオートストレッチボタンを押して、画面を明るくします。端の方が明るかったりしたら太陽が近くまで来ているということなので、ここからはモーターを使って明るいのが真ん中に来るように合わせます。太陽が入ってきて、極端に明るくなったら、今一度オートストレッチボタンを押して明るさを調整します。太陽の一部でも入ればあとはモーターで真ん中に持ってくるだけです。
  14. 最後に、赤道儀もしくは経緯台の追尾設定を、デフォルトの恒星から太陽に変更するのを忘れないでください。

ピント合わせ

太陽が導入できたら、次はピントを合わせます。ピント合わせも少しコツがあります。
  1. 赤道儀や経緯台のモーターを利用して、見たい位置に太陽を持ってきます。
  2. SharpCapの画面を見ながら、とりあえずそこそこフォーカサーなどでピントを合わせます。
  3. SharpCap右側パネルのヒストグラムで、オートストレッチをかけます。
  4. ヒストグラムの3本ある線の、左の線を背景光を表す左のピークより少し右側に、右側の線をヒストグラムの盛り上がりの右端くらいに合わせます。
  5. 画面を見ながら、真ん中の線を少し右に寄せ、細かい模様がよく出るところを探ります。グラフが下に凸の形になるはずです。
  6. ピントを微調整します。
スクリーンショット 2025-05-11 105533
ヒストグラムで調整するとこれくらいになるので、
かなりピントが合わせやすくなるはずです。


必要ならフラット化で見やすく

もし画面全体が太陽表面だけを見る場合(太陽の縁より外が画面に入っていない場合)は、常時フラット補正をしておくといいでしょう。これを行うことで、上記ピント合わせも遥かに精度よく見ることができます。
  1. 黒点周りなど、太陽表面の見たいところを赤道儀のモーターを使って導入する。
  2. 鏡筒のフォーカサーでピントをかなりずらす。その際、つまみをどちら向きに何回転くらい回したかを覚えておくといいでしょう。
  3. ボケボケになったところで、SharpCapのメニューの「キャプチャ」の「フラットフレームキャプチャ」を選びます。
  4. 出てきた画面でフラット撮影の設定をします。枚数は16枚とか32枚もあれば十分でしょう。スタートボタンのすぐ下の「撮影後新しいフラットを適用する」とかいうオプションにチェックを入れておくと楽です。
  5. スタートボタンを押します。
  6. フラットが適用されていることを、画面(真っ白になるはず)や下部に出ているヒストグラム(一本の細い山になるはず)で確認します。
  7. 画面下部に出ているヒストグラムを閉じ、ピントを元に戻します。ピントの再調整は、必要なら上の手順に従ってください。今回は太陽表面の輝度差が補正されているので、かなり合わせやすくなっているはずです。

これでセンサーやフィルターのホコリ、太陽表面の輝度の違い、エタロンの中心波長のずれで見えにくくなっていたエリア、ニュートンリングなどが補正され、圧倒的に見やすく、コントラストを上げて撮影できるようになります。この状態では、露光時間やゲインはある程度変更できますが、あまりに違う設定の場合はフラットを取り直してください。また、位置などが大きくズレると補正もずれてしまうので、その場合もまたフラットを取り直してください。


SharpCapの撮影設定

太陽が導入できてピントもあったなら、太陽が見えているはずです。まずはカメラの設定をします。
  1. モードはモノクロカメラならMONO16一択です。カラーカメラの場合はRAW16でしょう。
  2. 明るすぎたり暗すぎたりしないように、露光時間とストレッチ度合いを今一度合わせます。
  3. 露光時間は撮影のことも考え1ms程度、ゲインは0 ( = 0dB = 1倍) とか100( = 10dB = ~3倍) から、せいぜい200( = 20dB = 10倍) くらいまでで、ゲインがその範囲に入らなければ露光時間を長くしたり短くしたりします。適度な明るさとは、ヒストグラムで見て山が右も左も切れていなく、かつ山が全体的に広がっている状態です。
  4. ストレッチは適時オーとストレッチボタンを押します。露光時間やゲインを変えたとき、雲が通過して画面の明るさが変わった時も押すといいでしょう。


太陽画像のリアルタイムスタック

明るさが適度に調整出来、ピントもあっていたとしても、まだシャキッとした画像にななりません。ここでいよいよライブスタックを開始します。
  1. メニューの「ツール」の「太陽/月/惑星のライブスタッキングと強化」を選択します。
  2. 出てきた画面で「Sharping&Adjunstment」を選んで、下の画面を参考に調整します。
  3. 左側の「Gaussian Wavelet Sharpening」は十分な解像度が出ているなら「Fine」を上げるだけでほとんど大丈夫です。Level1以降は画面を拡大しながら上げてもいいですが、たいていは強すぎるのでほどほどにした方がいいと思います。画面を引いてみる場合と拡大してみる場合は、いいと思われる設定は違うと感じると思います。好みで設定すればいいと思いますが、私は拡大したときに強くなりすぎずに、引いてみたときにあっさりしすぎなくらいでちょうどだと感じています。
  4. 同画面右側の「Image Adjustments」はかなり便利です。でもその前に、オートストレッチをリセットしてヒストグラム画面で出ている曲線をきちんと直線にするのを忘れないでください。ヒストグラムで画像調整してしまうと、画像を保存するときに二重に調整効果がかかってしまって、変なことになる場合が多いです。
  5. 画面が明るすぎたり暗すぎたりするときは「Brightness」を調整します。「Gamma」は見栄えに大きく関係するので、毎回いいところを探してください。
  6. その後は好みで「Solar Colorization」をオンにするとカラー化されます。カラーの度合いはあまりいじることはできないはずです。
  7. 次の「Corona Boost」は、全景の場合はもうデフォルトオンでいいでしょう。ただし雲などが通過するとずれて強調されたりするので、その場合はオフにしてください。「Radius Offset」は適時変えてみて、いいところを選んでください。これも好みかと思います。

スクリーンショット 2025-05-11 113714

次のタブは「Frame Filtering」です。これでラッキーイメージ的なことができます。下の画面では250フレームにわたって画質の良さを評価して、上位85%をスタックするという意味です。
スクリーンショット 2025-05-11 113731
ここに出ているグラフはピント合わせに利用することもできます。主にコントラストを見ているようなので、特に全景の場合は太陽と背景のコントラスト比に比例して数値が出ます。言い換えると、ピントを前後させて、一番値が大きいところがピントが合っているところということです。先に説明した方法でうまくピントが出ない場合は、こちらを利用してみてもいいかもしれません。

最後は「Stabilizatin/Alignment」です。私はガイド鏡を使ってPHD2の太陽バージョンでガイドすることが前提なので、個々の設定はかなりシンプルにしています。こうしないと、PHD2とけんかしたり、正しい状況が見えにくかったりするからです。
スクリーンショット 2025-05-11 091737
全景の場合は「Stabilization Mode」は「Planet/Full Dis」のほうがいいのかもしれませんが、「Surface」でも普通にズレずにスタックできています。「Stacking Mode」も「Single Point」で十分なようです。というよりも、雲が来るとどんな設定でもだめで、雲が来なければどんな設定でもいいと言うような印象です。

その一方、フル設定だと以下のようになると思います。今回の記事のために設定してみただけなので、あまりあてにしない方がいいかもしれません。上で書いたように、ここまでしてもアラインメント精度はあまり違いがない印象です。いい時はいいけど、ダメな時はどう設定してもダメっぽいです。「Stabilize to cente...」はカメラの画角の中に太陽全景が入っていさえすえば、太陽を常に画面中心に持ってきてくれます。タイムラプスなどの時は便利だと思いますが、カメラの画角から太陽が出てしまったときは途端に像が崩れます。問題はこのオプションがオンになっていると、画角の端まであとどれくらい余裕があるのかわかりにくいことです。

「Track Planet with Camera ROI」は普段ROIを使うことがないので、私の場合は意味がないです。ROIで画角を制限したときに、fpsが上がればいいのですが、実用的なROIの範囲ではfpsは変わらないので、フルで撮影するようにしています。動画ファイルが大きくなりすぎるなら、ROIを設定するのもありだと思います。

さらにチェックしていない「Re-align...」と「Overlay...」は試してみましたが、何が変わるのかいまいちよくわかりませんでした。モノクロ撮影だからなのかもしれませんが、よくわかりません。

スクリーンショット 2025-05-11 113509

最後、「Time Lapse」タブですが、これもまだあまり試してはいません。できるだけ階調良く保存したいのでフォーマットはSERかTIFFです。でもSERではバグなのか、いまだにうまく保存できないようなので、今がにTIFF一択です。

「Apply Display Histgram...」はここではオンになっていますが、オフの方がいいでしょう。これがオンになっている、もしくはヒストグラムでリセット状態のまっすぐな線になっている場合以外は、たとえTIFFフォーマットだとしても8bitで保存されると下部のノートに書かれています。

「Create short animated GIF...」がオンになっていますが、いまだにうまくGIFファイルが生成されたことがありません。オフでいいかと思います。

あとは何秒ごとに画面を保存するか設定してスタートボタンを押せばいいのかと思います。動画よりもはるかにファイルサイズが小さくなるので、多少間隔を短くしても大したファイル量にはならないでしょう。「Reset stack after...」は経緯台の場合には画面の回転を防いで枠が回っていくのを防ぐことができるので、うまくフレーム数を設定してみるといいでしょう。ただ、タイムラプス撮影をするなら、あえて回転を見たいとかでなければ太陽の場合は素直に赤道着を使った方がいいかと思います。

スクリーンショット 2025-05-11 120116

いくつかはうまく動かない機能があるので、私の環境が悪いのか、バグなのか不明ですが、タイムラプスに関してはまだそこまで期待しない方がいいのかもしれません。

右から二つ目のタブで設定が3通りまで保存、再現できます。設定を変えた時の比較などに使えるので随時使うといいでしょう。


まとめ

以前は惑星も太陽も画面センターにキープできる機能が便利で、FireCaptureで撮影することが多かったのですが、SharpCapの機能が圧倒的に進んでしまい、少なくとも私は太陽用にはもうSharpCapオンリーです。今回はかなり基本的な太陽の導入の仕方から解説したので、よかったら参考にしてください。私なりのテクニックも随所に入れ込んでいます。







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