ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:RedCat51

先日のパックマン星雲に引き続き、同じセットアップで、馬頭星雲と燃える木を撮影しました。撮影日的には近くて、10月9日がパックマン星雲、10月11日に馬頭星雲と燃える木という感じです。今回は時間的には大した枚数は撮影できませんでした。少し流れた画像があったので、それらを省くと1時間半ちょっとです。これでどれくらいまで出せるのかを見ます。


これまでの馬頭星雲と燃える木

そもそも前回馬頭星雲と燃える木を撮影したのは2017年11月と、もう7年も前のことになります。EOS 6Dを手入れて初の天体撮影でした。

その後、初のマスクを使って再画像処理をした後、天体写真で使われ始めた初のAIノイズ処理ツールと言ってもいいDeNoise AIで同じ画像を再処理をしたのが2020年2月で、これももう4年近く前のことになります。この時は同じ元画像を使ったとは思えないほどノイズ処理が進化したのですが、同時にAIに対する不安感や否定的な意見が出たのも、当時のインパクトを思えばある意味当然だったのかもしれません。今ではBXTをはじめ、AI関連の画像処理も順当な進化をしています。まだ根強い偽構造を疑う声もありますが、今後もしばらくは天体画像処理においてもAI関連の進化が止まることはないと思います。


NINAによるSWAgTiでの撮影

前回の処理が当時一気に進んだと言っても、元の画像が7年前とすでに古すぎるのと、AIツールも進化していて、今見るとかなりアラも見えます。画角的にもSWAgTiに積んであるRedCat51と Uranus-C Proに丁度いいので、自宅でε130Dで撮影していた横で、ついでに気軽に撮影してみたというような状況です。

フィルターもパックマン星雲のときのままで、DBPを付けています。SWAgTiの動作も軌道に乗ってきていて、もう普通の撮影プロセスで、あまり特筆すべきことはありません。普通にの撮影になっているということが、SWAgTiにとってはある意味、意味があることになっていますでしょうか。あ、すでに何回か前の記事で書きましたが、この撮影の時に初めてNINAでASTAPを使ってプレートソルブで天体を画面内に入れてみました。SharpCapでプレートソルブした後は、AZ-GTiとの接続が毎回不安定になっていたのですが、NINAのプレートソルブではそのようなことはなく、安定に撮影を続けることができました。もちろん撮影中にディザー信号をAZ-GTiに送って、ディザリングもずっと継続してできていました。


お手軽画像処理

SWAgTiのお気軽セットアップ、お気軽撮影の基本を崩さないよう、画像処理も手軽にフラット補正も、ダーク補正も、バイアス補正も無しで進めます。パックマン星雲で一通り画像処理も進めているので、PixInsightのプロジェクトファイルがほぼそのまま使え、簡単にスタック済み画像とリニア処理、ストレッチまで進めることができます。

スタック直後の画像を見てみます。オートストレッチでない、マニュアルで超炙り出しをしてみると、少し縦横方向の線が残っているのがわかります。
80_00s_drizzle_2x_integration_ABE_HT_HT

自宅撮影で光害地ですが、DBPを使っているのでそこそこ暗くできる状況です。なので背景光はそこそこ暗いこと、また背景光でこの手のノイズは出にくいので、この縦横線は読み出しノイズかダークノイズだと思います。もう少し一枚あたりの露光時間を伸ばして読み出しノイズの効きを抑えるか、トータルの露光時間を伸ばしてノイズ全般を抑えるかしたほうが良かったかもしれません。まだオリオン座はシーズン初めなので、もしかしたら今後追加撮影して、ノイズを減らして再び画像処理するかもしれません。

ただし、ここで示した炙り出しは相当に強調したもので、実際の仕上げのところに出てくるノイズのレベルではないでしょう。画像処理もできるだけ簡単にということで、パックマン星雲と同じく、フラット、ダーク、バイアス補正は無しで進めたいと思います。

各種補正がないと、WBPPの処理時間も全然短くて楽です。その後、PixInsightでABEをかけたのですが、1次でも淡いモクモクが不自然になってしまったので、ABEなどもかけていません。ただし、トータル露光時間はそこまで長くないので、今回の撮影分ではやはりまだ少しノイジーです。淡いところを出すのに、画像処理で多少無理をしました。


結果

結果は以下のようになります。先ほどの縦横の縞は全く気にならないレベルです。

「IC434: 馬頭星雲と、NGC2024: 燃える木」
180.00s_drizzle_2x_SPCC_BXT_MS_SCNR_HT6_cut_s
  • 撮影日: 2024年10月12日2時29分-4時45分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: サイトロンDBP
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: PlayerOne Uranus-C Pro (-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 100、露光時間3分 x 36枚 = 108分 = 1時間48分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

2時間弱の撮影ですが、燃える木の構造も細かいところまで出ていますし、馬頭の上の赤いところは縦の流れもそこそこ見えています。背景の淡いところも多少出ていますが、茶色にならずに赤色になってしまうのは、ナローバンドフィルターの宿命かと思います。きちんとした色で撮りたい場合は、暗い場所に行ってRGBで撮る必要があるのかと思います。アルニタクに少しハロっぽい円が出ていますが、これを消すのは至難の業でしょう。おそらくDBPが原因の一つかと思いますが、この程度で抑えているの、むしろ十分な性能なのかと思います。

お気軽撮影、お気軽画像処理ですが、それでもこれくらいは出てくれるので、個人的にはもう十分なのかと思います。天体写真の楽しさを気軽に味わえるという観点では、かなりポイントが高いです。


Annotation

Annotationです。ちなみに、Sh2やLBN、LDNも追加してアノテートとすることができます。全部出しに近いですが、暗黒帯を含め、いろんな番号がついていて、かなり賑やかです。
180_00s_drizzle_2x_SPCC_BXT_MS_SCNR_HT6_cut_s_Annotated


前回画像から

前回の画像を示しておきます。遠目ではわかりにくいですが、拡大して比べると今回の画像で自己更新していることは間違いないことがわかります。

HORSE_LIGHT_6D_180s_3200_+7cc_20171128-00h09m41s_x34_SNP_star_ok

流石に画像で7年、処理で4年近くの進化の違いは有意に存在していると言えるでしょう。特に当時はStarNetも出た当初で、まだ使い方もよく理解していなくて、恒星処理がかなり苦手でした。また、DeNoise AIも効かせすぎでしょう。

機材も進化しているはずです。特にRedCat51の分解能は特筆すべきで、口径こそFS-60Qの60mmから51mmに減ったものの、焦点距離が600mmから250mmと短くなっているので、実質かなり明るくなっています。カメラは一眼レフのフルサイズの6Dから、センサー面積こそ1/1.2インチと小さくなっていますが、ノーアンプグロー、ホットピクセル除去機能のDPSがついた最新に近い CMOSカメラになっています。撮影時間は共に1時間40分台とほぼ同じなので、機材と画像処理の進歩と言っていいかと思います。


馬頭星雲の拡大

もう一つ、SCA260で撮影した馬頭星雲の拡大と比べてみます。これはなかなか面白いです。2022年3月に撮影したものです。
Image34_PCC_AS_HT5a_cut

下は今回の画像を同じ画角で切り出したものです。
180.00s_drizzle_2x_SPCC_BXT_MS_SCNR_HT6_SCA260

微細構造と微恒星の数はやはり圧倒的にSCA260です。口径が260mmと51mmと5倍違うとこれくらい差が出るということがよくわかる比較だと思います。星の数は口径というよりは、むしろ焦点距離の違いの1300mmと250mmが効いているかもしれません。恒星と背景のコントラスト比は、撮影の場合焦点距離のみで決まります。眼視では恒星と背景のコントラストが口径によらずに倍率のみで決まるのと同じ理由です。今回のような撮影の場合は、広角で撮影して背景を広げ切っていないので、恒星とのコントラストは上がらずに、その中心のみを狭い面積のカメラで一部切り取っているのと同じ状況なので、恒星の数は増えることはないということです。

それでも逆に、RedCat51もよくここまで頑張ったなとも思えます。かなりの拡大になってしまうわけですが、よく破綻せずにある程度の細部はきちんと描写してくれています。


まとめ

今回の馬頭星雲と燃える木ですが、前回撮影がもう7年前だなんて、信じられないくらい月日が早くすぎてしまっていることに気付かされます。いつか撮り直そうと毎年思っていたのですが、SWAgTiで気楽に撮影できることで、やっと実現しました。新規天体でない場合はよほど改善の見込みがないと、モチベーションがどうしても低くなってしまいます。これがAdvanced VXだったら多分撮影してないです。最近Adbanced VXの出番がほとんどなくなってきています。

トータルの撮影結果としてはとしては十分満足です。空き時間に気軽に設置して、短時間でもこれくらい写ってしまうのは、私自身も少しびっくりで、今後もSWAgTiが活躍してくれそうです。というか、最近ε130Dより小さい鏡筒は、ほぼSWAgTi一択です。もしかしたらε130Dもいけるかも?SWAT350の対荷重は15kg、AZ-GTiは公式15kgですが撮影中はモーターが静止していることを考えると、ただのごついアダプターとも思えるので、多少重くても大丈夫な気がしています。いつか試すかもしれません。

今回の撮影は、10月初めでしたが、実はその頃少し晴れが続いたので結構大量に撮影していて、
  • 10月9日にε130Dで前半に網状星雲の撮り増し、後半に勾玉星雲、同日並行で一晩SWAgTiでパックマン星雲
  • 10月11日後半にε130Dで勾玉星雲、並行でSWAgTiで馬頭星雲と燃える木
  • 10月12日後半にε130Dでアンドロメダ銀河のHα、並行でSWAgTiで同じくアンドロメダ銀河をカラーで
と、まだ大量に未処理画像が残っています。ある意味うれしい悲鳴で、簡単に2台を出せるようになったので仕方ないのかと思っています。加えてそこに彗星が来たので、もうどっちつかずで、残りの画像も彗星もまだまだほったらかし状態です。焦らずに進めていきます。


彗星の画像処理が残っていますが、彗星前にSWAgTiで NINAを使って長時間撮影したパックマン星雲が仕上がったので、先に記事にしておきます。




撮影

詳しくは前回記事を見て頂ければいいのですが、撮影時間は7時間に及びました。朝起きて画像を確認してみたら途中から雲が出たようで、使えたのは94枚で、1枚当たり3分露光なので合計282分 = 4時間42分です。この間、NINAでも順調に動いて、特にSWAgTiの長時間撮影で縞ノイズを避けるために必須であるディザリングも問題なく動いていました。SharpCapではこれまで最長でも2時間程度しか試していなかったので、NINAという新しい撮影ソフトの選択肢が増えたことに加えて、さらに長時間露光できたということは大きな前進です。

パックマン星雲は電視観望で見たことはあっても撮影は初めてで、私的には新規天体なので、またギャラリーページに載せるネタが増えることになります。




冷却時のダーク補正の有り無し

SWAgTiシリーズでは以前、冷却を(忘れて)してなくて、センサー温度が高い状態で撮影した場合の、ダーク補正有り無しの比較をしましたが、結果は大きな違いが出ました。


さすがに夏場で温度が高いと、ホットピクセルの影響が大きくなり、何も補正しないと相当ノイジーになります。冷却がなくても、ダーク補正することで、なんとか見える画像になるということがわかりました。

その一方、冷却さえしてしまえば、たとえダーク補正なしで十分見える画像になるということも示しました。


その時の天リフさんのピックアップ配信で、冷却した場合の、ダーク補正した場合としない場合でどう違いが出るかを知りたいとか言われていたので、今回その比較をしてみます。


SWAgTiでのダーク補正の効果

セットアップですが、鏡筒がRedCat51で、カメラはUranus-C Proを−10℃に冷却しています。1枚あたりの露光時間は180秒で、カメラのゲインは本当はHCGがオンになる220にすべきを間違えて100としてしまいました。NINAでのカメラのオフセット設定は40です。ライトフレームは10月9日に合計139枚撮影しそのうち94枚を使い、ダーク補正比較のためのダークフレームは後日77枚撮影して使いました。

SWAgTiの簡単撮影の特徴を活かすために、バイアス補正、フラット補正などは無しで処理します。解像度を上げたいので、drizzle x2を選択しておきます。今回はダーク補正の有り無しだけを比較します。

PixInsightのWBPPで出来上がったdrizzle x2のマスターライトファイル画像を、ダーク補正有り無しで比較してみます。

comp_dark
左がダーク補正無し、右がダーク補正ありです。ダーク補正なしの方がクールピクセルっぽい落ち込みが少しきついくらいでしょうか。でも見ている限りダーク補正の有り無しはわずかの差のようで、細かくこだわらなければ、ほとんど問題になることはないでしょう。これ以降はSWAgTiの簡単撮影の特徴をキープするために、少なくともUranus-C Proを冷却した場合ではダーク無しで進めることにします。


結果

画像処理は至ってシンプルです。今回のセットアップでは周辺減光もほとんどないのですが、念の為ABEの2次だけをかけました。その後SPCCをかけましたが、使った光害防止フィルターがDBPとそこそこきついので、色の諧調がどうしても乏しくなってしまいます。そのため、Photoshopの段階で色バランス、特に青系を少し強調しています。また、WBPPの際にDrizzleを2倍で適用しているので、BXTを使い相乗で解像度の向上効果を狙っています。

画像処理としてはこれくらいでしょうか。PixInsightでの処理もPhotoshopの過程も、私的にはかなりシンプルです。SWAgTiのシンプル撮影には、あまり時間をかけないシンプルな画像処理がいいのかと思います。

結果です。

「NGC281: パックマン星雲」
180_00s_RGB_drizzle_2x_ABE2_SPCC_BXT02_0_10_MS_HT_2_5s
  • 撮影日: 2024年10月9日21時3分-10日2時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: サイトロンDBP
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: PlayerOne Uranus-C Pro (-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、露光時間3分 x 94枚 = 282分 = 4時間42分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

さすがSWAgTiのお気楽撮影、画像の説明も情報が少なくていいので楽です(笑)。出来上がった画像を見る限り、星雲本体も十分な解像度も出ていますし、微恒星まで綺麗に出ていて、そこそこ満足です。

恒例のアノテーションです。ちょっと斜めになってしまいました。カメラの回転角の調整を忘れてしまっていたようです。
180_00s_RGB_drizzle_2x_ABE2_SPCC_BXT02_0_10_MS_HT_2_5s_An


まとめ

これまでSWAgTiでいろいろ工夫してきたのが、やっと実を結んできています。ポタ赤クラスなので普通の赤道儀よりもコンパクトで軽いです。それでいてプレートソルブなども含めて今時の機能は全て使え、かつ追尾精度は大型赤道儀にも負けないくらいいいので、ガイドも必要ないです。パッと出して、実際の撮影時の設置も、撮影中の手間もかなり楽です。カメラを選べばダーク撮影もフラット撮影もしなくてもいいので、画像処理も短時間で済み、それでこれだけの画像が得られるなら、かなり楽しいと言わざるを得ません。彗星の時もそうだったのですが、カメラレンズや軽量鏡筒の場合は、ここ最近はSWAgTi一択になっています。

あと、今回試したダーク補正有り無しの比較を、定量的に数値で示そうと思っています。かなり面白い結果になりそうなので、またまとまったら記事にします。

夕方に見えるようになり、大化けしつつある話題の紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。連休ということもあり、時間も少し取れそうなので私も挑戦してみることにしました。


場所をどうするか?

前回見た大型のネオワイズ彗星は、天気と暗い場所を求めて、能登半島を挟んだ富山の反対側の羽咋市の海岸にまで遠征しました。今回は月が出ているので、あまり暗いところに行くのは意味がありません。ただし、まだ高度がかなり低いので、西側が地平線近くまで開けている場所が必要です。というわけで、昼間のうちに一度偵察に行って、自宅から車で5分くらいの川の堤防を陣取ることに決めました。


セットアップ

18時くらいに日没なので、17時には準備を終えたいと思い、16時に自宅を出発。堤防に着くとまだそこそこ日が高く、日があたると暑いので車の影に隠れながら機材をセットします。

IMG_0196

撮影機材はRedCat51+ASI294MC Proと、シグマの105mm F1.4レンズ+ EOS 6Dの2セット。架台はCGEM IIとSWAgTiの2セットです。一応普通のカメラ三脚と自由雲台も用意しました。

結論としてはCGEM IIは全く使わなかったです。便利だったのはSWAgTiのAZ-GTiで、操作のためのSynScan Proをネットに繋いで起動すると、あらかじめ彗星の最新のデータをダウンロードでき、導入が楽に行えます。結局RedCat51をSWAgTiに載せ、105mmレンズと6Dは自由雲台で使うことにしました。

IMG_0201

PC側のアプリは、RedCat51がSharpCapで、6DがBackYardEOSです。両方ともPC上で画面が見えるので、特に6Dのモニターを覗かなくてよくて、確認がかなり楽でした。


なかなかうまくいかない

AZ-GTiの自動導入といっても、昼間なのでそもそも初期アラインメントがうまくできず、全く精度が出ません。水平を出して、iPhoneのコンパスアプリで方向を確かめて設置しましたが、結局かなりあさっての方向を向いていました。月が出ていればそれでワンスターアラインメントができるのですが、残念なことにその時間月は雲の中でした。しかたないので、鏡筒先端に蓋をして、(SynScan Proの太陽導入の制限を外してから)太陽を初期アラインメントで導入し、鏡筒の方向があっているかを目視で確かめたくらいでした。他にも、遠くの山でピントを合わせておくなどしたのですが、これらも結局最後星で合わせ直したので、昼間の精度はかなり出にくいということを実感しました。

そもそもの原因が、とにかく雲。準備の最中くらいはまだ西方向に晴れ間が広がっていたのですが、日没が近づくにつれ雲が広く厚くなっていきます。日没くらいには西から南がほぼ全面雲に覆われていました。その一方、北と東には青空が広がっています。

IMG_0197
iPhoneで適当に撮った画像です。17時ちょうど。

IMG_0202
同じくiPhoneで17時30分。日没直後は西側はほぼ全面雲でした。

今更場所を変えるわけにもいかず、もうここら辺で諦めモードで、とりあえず使わないCGEM IIを片付け始めます。一応RedCatは彗星と思われる方向に向け、6Dでは広角で多少位置が間違っても大丈夫なように見ていましたが、見えているのは雲ばかりです。遥か遠方に、山の上と雲の下に隙間があり、あわよくばそこから見えればと思って、最後に足掻いていました。

Capture_00001 17_50_42_WithDisplayStretch
17時50分。RedCatの画像。下の方にわずかですが、雲の隙間がずっとありました。

途中、彗星の位置思っていた方向と少しズレていることに気づきました。気づけたのは、太陽が沈む位置を写真で残しておいたことと、Vixenの彗星アプリで太陽が沈む位置と彗星が沈む位置が10度くらいズレているのを確認したからです。


なんか見える!

18時20分頃からでしょうか、雲の上の方が少し薄くなってきて、雲ごしに星が見えるようになってきました。改めて星を使ってピントなどを合わせ直し、彗星が出てそうな雲の薄いところを見ると、なんと真っ直ぐ上に伸びる尾っぽが見えているではありませんか!!!

ちょうどその時に妻から電話が!「今どこなの?ご飯食べるの?」とのことです。なんでやっと見えかけた時に限って!?と思いましたが。「今彗星。近くの川。帰ったら食べる。」とだけ答えて、すぐに撮影に入ります。その時に何枚か写したのがこれです。

LIGHT_Tv2s_1600iso_f2_+23c_20241013-18h32m27s118ms_rot
105mmレンズの画像です。縦に尻尾だけ見えます。時刻は18時32分。
核は多分山のちょうど天辺に隠れるか隠れないかくらいだと思います。

Capture_00001 18_37_33_WithDisplayStretch
RedCatの画像です。赤道儀に載っていて、上が天の北なので、尻尾が傾いて見えます。
時刻は18時37分で核が地平線に沈む直前です。 

あわよくば核も見えないかと思いましたが、結局下の方の暑い雲が退くことはなく、核も沈んでしまう時間になってしまいました。その頃には尻尾も再び見えなくなってしまい、上の写真が精一杯の結果でした。

CGEM IIは早くに片付けていたので、残りの後片付けも大したことはなく、そのまま自宅に帰り夕食にありつきました。


帰ってから

それでもなんとか尻尾だけは見えたので、彗星が全く見えなかったわけではありません。ほんの少しの満足感と、惜しかったというのと複雑な気持ちです。さらに、自宅に着いてから見たXの投稿で続々と綺麗な写真が投稿されているのを見て、全国的に見えたのに何故ここだけ?と、悔しくなってきてふてくされていました。

さらに時間が経ってくると、天リフのブログコーナーに「見えた!」という記事が次々とアップされています。みなさん素晴らしい結果です。はい、羨ましいです。それらを見て、一つくらいは見えなかった記事があってもいいのではと思い、今回のこの記事となりました。悔しさのあまり書いたので、わずか30分くらいで書き上げました。わかってます、本来ボツにするような記事です。

この記事を書き終えて、ふと思いついて尾っぽの写真をPixInsightで炙り出してみました。すると、ちょうどそれらしい位置に核のような白い点が見えます!

LIGHT_Tv2s_1600iso_f2_+23c_20241013-18h32m27s118ms_nueclear_cut

一応核も見えたということにしましょう。そう思うと少しだけ満足度が上がりました。

明日晴れないかな?天気予報だと夕方曇りですが、SCWだと場所を選べば晴れているところはありそうです。あまりぜいたくは言わないので、とにかく西が開けていて雲が少ない場所を探せればと思います。


SWAgTiのセッティングが楽なので、短い時間でも撮影する気が起きます。まだテスト撮影なので、お気楽にM20です。今年は本当に天気が良くなくて、たまに晴れてもそれが長い時間続きません。結局今回撮影できたのは、3分露光で16枚の合計わずか48分です。月が出るまで2時間くらいはあったのですが、途中で曇ってしまいました。まあ南の低空なので、雲も出やすく仕方ないですね。

IMG_9916


夏場の非冷却のテスト?

今回のテーマは「冷却はなくてもいいのか?」です!

前回のSWAgTiの記事で、ケーブルの数を減らしたいと書きました。夏の暑い日に冷却がないとどうなるかを試してみました...とか言いたいのですが、実はこれ全く嘘で、単に冷却するのを忘れただけです。NINAだと冷却されてないと警告が出るのですが、SharpCapはそういった親切設計にはなっていません。

NINAってできるだけ撮影を失敗しない設計になっています。冷却設定も親切で、まだ冷えている途中だと完全に冷えるまでは警告を出してくれます。例えばファイル形式はデフォルトfitsで、形式を変えるときは結構奥の方で「あえて」変更してやる必要があります。SWAgTiだと必要ないですが、例えばガイドソフトがつながっていないと警告を出してくれます。SharpCapは撮影「も」できる汎用ソフトですが、撮影「専用」ではないので、色々「設定できる余地」が残っていて、ミスもあり得てしまうというわけです。

でも今回はさらにしょぼいです。もっと言い訳するんですが、最初はSharpCap上でちゃんと冷却したんですよ。でも、一度SynScan Proとの接続がトラブって、一旦「あえて」SharpCapを落としたんですよね。後から考えたらわざわざ落とさなくてよかったんです。でも落とした後の復帰で他に気を取られていて、冷却をオンにするのを忘れて撮影を開始してしまったというわけです。そういえばライブスタック画像を見た時に「なんかノイジーだなー」とか思ってたんですよ。でも気づいたのは撮影も終了して、次の日に画像処理を始めてからでした。なんかおかしいと思ってfitsのヘッダ情報を見たら、センサー温度が32度とかになっていました...。


プレートソルブをなんとか使う

冷却は忘れてしまいましたが、その分トラブルに対して色々試したおかげで、SWAgTiでの撮影までのコツが少しわかりました。

前回報告した通り、やはりプレートソルブをすると、しばらくして接続がおかしくなるのはもう間違いないようです。今回もそうだったので、再現性があります。今回試して、接続がダメになった後にSharpCapを立ちあえげる必要がないのはわかりました。SynScan Proのみ一旦落として再起動すると、うまく再接続されるときもあるし、再接続されずにエラーが再度出るときもあります。うまくいかないときは更に、SynScan Proの「アラインメント」の「リセット」を押すと、再起動でエラーが出ることがなくなるようです。たとえリセットしたとしても、実際のアラインメント情報はAZ-GTiの方に残っているため、再度SharpCapから接続すると今向いている方向の情報がきちんと出てきます。

というわけで、こんな順序がいいのかと思います。
  1. SharpCapからSynScan Proに接続する。
  2. SynScan Proで、ワンスターアラインメントを実行する。
  3. SharpCapからプレートソルブを実行して、初期アラインメントの天体が画面中央に入るのを確認する。
  4. (この時点で落ちることは多分まだないので)SynScan Proで、撮影対象天体を導入する。
  5. SharpCapからプレートソルブを実行して、撮影対象天体が画面中央に入るのを確認する。
  6. 必要なら、SynScan Proの矢印ボタン、もしくはSharpCapの矢印ボタンで画角を調整する。
  7. (プレートソルブを何度かしたり、しばらく時間が経ったりして)接続が切れたり、接続エラーが出たら、一旦SynScan Proを落とし、SynScan Proを再起動して、アラインメントの「リセット」を押す。
  8. すでに対象天体はプレートソルブされていい位置にいるはずなので、自動追尾をSWATに切り替える。
  9. ライブスタックを始める。同時にAZ-GTiの自動追尾が強制的にオンになるので、すかさずAZ-GTiの方の自動追尾をオフにする。
  10. ライブスタックの撮影時間を希望の長時間に設定する。
  11. ライブスタックのクリアを押して、長時間露光を開始する。
くらいでしょうか。とにかくポイントは、SharpCapとAZ-GTiの接続が切れたら、一旦SynScan Proを再起動、アラインメントの「リセット」を押すことです。

あ、前回までSharpCapがそこそこ古いバージョンだったのですが、今回最新にしても基本的に接続の安定度が大きく変わることはありませんでした。プレートソルブはやはり何か問題を引き起こすようです。ただ、最近AZ-GTiの方が大幅アップデートされて、AZ-GTi単独でプレートソルブ機能が実現されたようです。これがうまく動くなら、今の不安定な原因のSharpCapからのプレートソルブをしなくていいかもしれないので、期待できそうです。


撮影開始

と、こんなテストを色々していたら、いつのまにか天文薄明終了時間になったので、撮影を開始しました。上の通り、最低限のプレートソルブは使えた(一旦SynScan Proでのアラインメントからのリセットは必要でしたが)ので、かなり楽でした。その後は、SWAgTiならではの、ガイド無し、SWATの精度の良さに頼った、AZ-GTiを利用しての簡単ディザー撮影でした。

実用上は前回からかなり進歩していて、前回は一旦AZ-GTiをホームポジションまで戻して、ワンスターアラインメントもさらには目標天体の自動導入も、プレートソルブ無しで頑張って導入していました。


非冷却ではやはり...

さて、冷却忘れの結果ですが、なかなか悲惨なことになりました。処理は前回と同じ、ダーク補正も、フラット補正も、バイアス補正も、何も無しのライトフレーム単体でのスタックです。下の画像が、スタック直後の画像をオートストレッチしたものです。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

拡大するとわかりやすいでしょうか。
180.00s_FILTER-NoFilter_RGB_cut

ディザーは効いているので、縞ノイズのようにはなっていませんが、ホットピクセルが出まくりです。今回はこれでもSharpCapで簡易ホット/クールピクセル除去をオンにしています。でも全くダメだったので、WBPP時にCosmeticCorrectionでホットピクセルをソフト的に緩和しようとしましたが、焼け石に水でした。上の画像はそのCosmeticCorrectionも効かせた状態です。

この状態から、なんとか頑張って画像処理を進めましたが、やっぱりどうやってもダメでした。ホットピクセル起因のノイズが多すぎて、M20本体を炙り出すこともままならないです。


仕方ないのでダーク補正

仕方ないので、ダークファイルを別途撮影しました。一手間増えますが、これで非冷却のホットピクセルが補正できるなら、かなりマシです。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

180.00s_FILTER-NoFilter_RGB_cut


やっと画像処理

このまま画像処理を進めても、十分耐えるようです。低空で少し下にカブリがあるみたいなので、ABEの4次だけかけて、SPCC、BXT、iHDR、GHSと進めて、最後StarNetで星と背景を分離してPhotoshopに渡します。まあ、通常やっている処理をもう少し簡単にした程度でしょうか。結果はというと、かなりマシになりました。
180_00s_ABE4_SPCC_BXT_iHDR_GHS2

M20のあたりだけ切り出してみます。

180_00s_ABE4_SPCC_BXT_iHDR_GHS2_cut

トータル露光時間が48分と、1時間にも満たないので青いところはまだ全然不十分です。今回DBPを使っていますが、比較的青がでにくい強いフィルターにしては、かろうじて青い所も出たのかと思います。


SWAgTiの利点

今回は焦点距離250mmの3分露光ですが、BXT前でも流れるようなことは全くなく、曇る前の画像は、何かで揺れてしまった1枚を除いたので、採用率94.4%でした。この追尾の安定度はSWATならではで、AZ-GTiが途中にあっても撮影中にモーターに信号さえ行かなければ全然揺れないことがわかります。

今回は、予期せず非冷却になってしまい、SWAgTiでどこまで手を抜けるか試したことになるのですが、結論としては夏場は少なくとも冷却するか、ダークファイルを別途撮影してダーク補正すれば、ホットピクセルに関しては許容範囲になるということでしょうか。

冬場ならなんとかなるか... ?


前回記事でSWAgTiのディザー撮影ができたことを書きましたが、書ききれなかったこともあるので、少し補足します。


機材

鏡筒ですが、最近手に入れた新機材でRedCat51です。と言っても新品ではなく、譲り受けたもので、IIでもIIIでもなく初代です。

富山県天文学会のK会長が4月に逝去されました。2016年の5月、星を始めたときに牛岳で誘われて入会して以来、折につけお世話になっていました。会内では最もアクティブな方で、とにかく天気さえ良ければいろんなところに顔を出して星を見てた方です。星や宇宙の解説が大好きで、普通に来てた一般の人にも、いつも分かりやすく説明されていました。昨年末くらいからでしょうか、急に痩せられて、体調を悪くされているようでしたが、3月の役員会には顔を出されていたのに、まだ60代半ばで、あまりに早すぎるお別れでした。熱心な方だったので、当然大量の天文機器があるのですが、遺族の方のご好意で、できれば皆さんで使ってくれないかということで、私はRedCat51とEOS 6Dを格安で譲っていただくことになりました。ちなみにK会長、6Dがよほど気に入っていたのか、3−4台もあって、私はその中であえて1台だけあった無改造機を選びました。私が持っている一眼レフカメラは全て天体改造をしてあるもので、ノーマル機を一台も持っていなくて、普通の景色も少しは撮ってみたいと思っていたので、実はとてもありがたかったのです。

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撮影用のコンパクト鏡筒としてはこれまで主にFS-60CBを使っていましたが、赤ハロ青ハロ問題を避けたいというのがありました。これはFS-60CB特有の問題で、ピント位置が赤と青で微妙にずれていて、赤か青のどちらかのハロがどうしても出てしまうというものです。ジャスピンが難しく、赤と青を均等になるように合わせたりしてきました。また、FS-60CBにレデューサをつけると焦点距離が250mm程度になるのですが、周辺星像がすこし流れるのも気になっていたこともあり、250mm程度の短焦点で性能の良い鏡筒を狙っていました。実は最近はBXTがあるので、これらのFS-60CBの欠点はソフト的にかなり解決できますが、やはり撮影時に解決したいという思いがあります。

RedCat51を使ってみて驚いたのは、周辺減光の少なさです。今回使ったカメラがUranus-C Proでセンサーサイズが1/1.2インチと決して大きくはないのですが、オートストレッチで強あぶり出ししてもほとんど周辺減光が確認できませんでした。なので、簡単撮影という目的も考えて、今回あえてフラット補正をしませんでした。さらにいうと、PixInsight上でもなんのフラット化もしていません。普通は周辺減光とかあると、輝度差で淡い部分のあぶり出しがうまくいかないはずです。でも今回はフラット補正も、ABEも、DBEも、GCも、本当に何もしていないのですが、きちんとM27の羽まで見えるくらい問題なく炙り出しができています。これは今までにない経験で、RedCat51の性能の高さの一端を見た気がしました。

前回記事でも見せましたが、改めて何のフラット補正もしていない、WBPP直後の画像を載せておきます。M27の周りを広い範囲で撮っているのってあまり見当たらないので、本当は背景の構造を出したかったのですが、今回の2時間では全然ノイジーです。でももうSWAgTiで長時間露光も楽にできるので、天気がいい時に放置で10時間とか露光しても面白いと思います。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

カメラですが、M27は結構小さいので、センサー面積が小さく、夏場なので冷却ができるものというので、PlayerOneのUranus-C Proを使いました。CP+で使わせてもらったカメラです。PlayerOne社のカメラの特徴の一つ「DPS」も魅力で、これでホットピクセルはかなり軽減されるはずです。実は今回、ダーク補正を全くしていません。PixInsightのCosmetic Correctionのみ使いました。それでホットピクセルやクールピクセルは全く問題にならないレベルになったので、お気楽撮影にふさわしいカメラだと思います。

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iHDRがすごい!

今回初めて使いましたが、PixInsightのストレッチの中でも比較的新しい「iHDR」がすごいです。M27の星雲本体とその周りの淡い羽の部分には相当な輝度差があり、普通のストレッチでは両方を同時にうまく出すことができません。そのため、一般的にはマスク処理が必要となるのですが、今回は部分的なマスクを使うことなく、ほぼ自動で輝度差が出ないようにストレッチすることができました。

iHDRの説明についてはこちらをご覧ください。
 

インストールは

https://uridarom.com/pixinsight/scripts/iHDR/

をレポジトリに登録して、アップデートをチェックするだけです。インストールされたiHDRはメニューの「Scripts」の「Sketchpad」の中に入っています。

パラメータですが、iHDRでMaskStrengthを倍の2.5にしてより明るい部分を抑え、Iterationを3にしだけで、あとはデフォルトにしました。中心の明るい部分を十分に抑えることができました。
  1. まず、背景が何回くらいIterationすれば適した明るさになるか、何度か繰り返して試してから確定します。
  2. 星雲本体の輝度差がまだ残るようならMaskStrengthの値を増やして、これも何度か調整してみます。
一度試すたびに、Undoで元に戻してから再度パラメータを変えて試し、値を確定していくと楽かと思います。その際、Undoは一度で元に戻らないことがあるので、Undoアイコンのところにカーソルを持っていって、ちょっと待って、何の作業を戻すのか表示されるのを確認すると良いと思います。これがPixelMathと表示されるうちは、まだUndoしきれていないです。

iHDRの後は、NXTでノイズを軽く落として、StarNet++で恒星と背景を分離して、最後Photoshopに渡して仕上げますが、ストレッチまでかなり仕上がりに近い形で済んでいるので、Photoshopでは軽く好みに処理するだけで済みました。


SPCC

もう一つ、PixInsightでの色合わせツールのSPCCを少し使い込んでみました。実際にはWBPPでスタック後にすぐに試したことです。

今回は光害防止フィルターとして、サイトロンのDual Band Pass (DBP) フィルターを使いました。これまではSPCCのナローバンドモードを使って適当な波長幅を指定していましたが、いい機会なのでフィルターをきちんと設定することにしました。参考にさせて頂いたのはだいこもんさんのこのページです。
 

同ページにだいこもんさん自身が作ってくれたフィルター用ファイルが紹介されていて、その中にDBPのファイルもあったので、それを使わせて頂きました。フィルターを設定して公開してくれているだいこもんさんと、さらにオリジナルのJason Coonさんに感謝です。

だいこもんさんによると、カメラがASI294MCの場合はSonyのCMOSの標準フィルターでいいとのことでしたが、Uranus-Cで使っているIMX585は特に赤外の感度が高く、標準の応答とは少し違っています。いい経験になると思い、ついでにIMX585用のカラーフィルターを作ってみました。

実際自分でフィルターデータを作ってみるとわかりますが、cvsファイルの1箇所に波長情報を全て入れるとか、透過率も1箇所にいれるとか、結構面倒です。また、メーカーのグラフから値を読み取るのですが、読み取りソフトはだいこもんさんお勧めのPlotDigitizerを使いました。面倒だったのは、赤外の領域ではRGBの線が重なっていて、グラフで一番上の色(この場合青でした)しか読み取ることができず、後から赤と緑に同じ波長の青の線を近似的に追加するなど、少し加工が必要だったことです。

IMX585_R
IMX585のR曲線ですが、長波長側は青線と重なっていて直接読めないので、
青線から起こしています。


自分で作ってIMX585とDBPの応答を合わせて、今回の撮影に合わせた応答を作りましたが、結局2つのグラフを合わせると、ただの一本線になってしまうので、IMX585のデータを作った意味があるかどうかはちょっと疑問です。でも面白いのは、例えば下のBグラフでは、長波長の赤の領域にも線があるんですよね。
DBP_IMX585_B2

これはIMX585がRGBともに長波長に感度があるからです。だからBもGも実は赤を少し含みます。どれくらいの割合かというと、B曲線ではBが0.44に対してRが0.07と16%程度、G曲線ではGが0.78に対してRが0.17と22%程度と、無視できないくらいの結構な割合で含まれることになります。カラーカメラとDBPはモノクロカメラで撮ったAOO相当になると思うのですが、DBPでは赤と青でのっぺりせずに多少なりとも色調が豊かに見えるのは、この余分な色の成分のせいなのかもしれません。ちなみに、R曲線にもGがすこしまざりますが、Rが0.96に対してGが0.03とごく僅かなので、こちらはあまり効いてこないでしょう。

上の重ねたグラフを使い、SPCCで測定した結果を見ると見事に直線に載ったので、ちょっと嬉しかったです。

SPCC

でもSPCCのフィルター制作は完全に蛇足で、SWAgTiの簡単撮影のためにはこんなことまでやる必要は全くないと思います。


SWAgTiについて

SWAgTiを改めて振り返ってみます。

高精度追尾で1軸単機能のSWATに、低精度でも2軸で高機能のAZ-GTiを組み合わせることで、SWATがまるで高精度高機能赤道儀のように生まれ変わります。実際、SWAT350のピリオディックエラーはPremium仕様で+/-2.8秒を実測して出荷しているそうです。これだけの精度を有している赤道儀はポータブル型ではほぼ皆無で、大型の高級機と比較しても何ら遜色ない素晴らしい値なので、ガイドなしでの簡単撮影が生きてきます。

AZ-GTiを赤道儀化される方も多いかと思いますが、その際の極軸を北極星方向に向ける35度の角度をつける台座に苦労します。揺れてしまわないためにも、台座の強度も重要になります。SWATには底面に角度がつけてある、SWAT自身が強固な35度の台座を兼ねることができます。

AZ-GTiは、自動導入、プレートソルブ、エンコーダー内蔵など、値段から考えたら非常に高機能で汎用性が高く、ユーザーも多いため情報に困ることはまずないと思います。プレートソルブだけは今回ディザーと併用できませんでしたが、元々できていたことなので単なるバグの可能性が高く、いずれ解決するものと思っています。AZ-GTiは精度があまりないと言っても、モーターさえ動かさなければその強固な筐体と合わせて、極めて安定しています。追尾中はSWATのみが動き、AZ-GTiのモーターは動かないので、撮影時の精度はSWATのみで決まります。AZ-GTiのモーターが動くのは、導入時や、撮影の合間のディザーの時のみです。

PCとAZ-GTiとの接続はワイヤレスなので、ケーブルの数も一本減らせています。それでも少なくとも今回の2時間は全く接続が落ちることなどなく、安定でした。なのでケーブルの数は、PCとCMOSカメラを繋ぐUSB3.0ケーブル、CMOSカメラの冷却電源ケーブル、SWATの電源ケーブルの3本です。PCは内臓バッテリー駆動です。ダーク補正しないなら、特に冬場なら、冷却カメラでなくてもいい気もするので、冷却用の電源ケーブルは減らせるかもしれません。SWATも乾電池駆動が可能なので、SWATの背中側に電池をおいてしまえばさらに長いケーブルの数を減らせます。AZ-GTiも私は電池駆動にしています。こう考えると、最小構成ではPCとカメラを繋ぐUSBケーブル一本で稼働可能かもしれません。あ、StickPCを使えばさらにUSBケーブルも短くできるので、超シンプルになるかもしれません。こうなってくるとASIAirみたいですね。どこまでシンプル化ができるか、ちょっとやってみたくなってきました。

重量に関しても少しコメントを書いておきます。SWATもAZ-GTiもそこそこの重さはあるので、二つ合わせると決して軽量とは言い難くなります。一般的な小型赤道儀程度の重量と言っていいでしょうか。それでも十分に軽くてコンパクトなので、私は鏡筒を取り付けたまま運んでいます。玄関においてあるのですが、そのままなんの組み外しも組み立てもなしで運べるのはかなり便利です。超高精度と考えると、最軽量クラスの赤道儀と言ってもいいのかと思います。

逆に、今のところの欠点ですが、SharpCapでの極軸調整を三脚をずらすことでやっているので、ちょっとテクが必要です。微動雲台を使ったほうがいいのかもしれません。ただ、微動雲台は双刃の剣で、揺れを導入するかのうせいがあるので、以前テストさせていただいた迷人会の微動雲台クラスのものが欲しいレベルかと思います。

プレートソルブが使えなかったのはかなり痛いです。でもこれはソフト的な問題のはずなので、いずれ解決するでしょう。短期的にも、何か回避策がないか少し試したいと思います。


まとめ

アイデアが出たのが去年の6月、星まつりでデモなどしましたが、今回ディザーができ縞ノイズが解決して、ある程度のキリがついたと思います。1年以上にわたるテストでしたが、(プレートソルブを除いて)何とか形になりましたでしょうか。今後は鏡筒やカメラを変えて、実用で使っていきたいと思っています。

そうそう、Unitecさんにディザーが成功したことを伝えたら「諦めないところがすごいです」と言われてしまいました。結構嬉しかったです。その経緯でUnitecさんのページでもSWAgTiがまた紹介されてます。

今週末の胎内はちょっと時間的に厳しそうなので、参加は見送ることになりそうですが、9月15日の京都の「星をもとめて」でUnitecさんのブースでまたSWAgTiをお披露目できるかと思います。その際は、お気軽にお声掛けください。


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