ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:NINA

SWAT + AZ-GTi = SWgTi (スワッティ, gは発音せず)の開発の過程のまとめです。


SWAgTi始動

アイデアが出てから、実際の撮影に至るまでです。ディザーに挑戦しましたが、この時はまだ成功しませんでした。







番外編

プレートソルブなど、SWAgTiに付随する機能のテストです。







開発第2期

2023年の初期開発からおよそ1年経って、やっとディザー撮影に成功し、縞ノイズの回避に成功しました。しかも、オートガイドなしという手軽さは保っています。








SWAgTiの撮影例

オートガイドなしでも十分精度が出るSWAgTiの気軽な特徴を活かし、撮影が進みます。










星まつりでのデモ

Unitecさんのご好意で、星まつりで紹介させていただきました。







2024年12月2日、前回のM31 アンドロメダ銀河に続いて、同じくSWAgTiを使ってM45 プレアデス星団 (すばる) を自宅で撮影しました。画像処理もサクサク進んだので、早速記事にしておきます。

これまでM45に関しては二度撮影しています。前回は4年前の2020年で、TSA120での撮影になります。


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この時は2週に続けて撮影しましたが、1週目はFC-76で、多分結露か何かでおかしな画像になり、2週目にリベンジしたのですが、今思い出すと画像処理に疲れて途中で投げ出したような気がします。これは今の技術ならもっとよく出るのかと思います。

一度目は更に4年前の2016年11月に、牛岳での撮影です。前回の記事でM31も4年周期で撮影と書きましたが、M45も全く同じく4年周期ということになります。特に狙っていたわけではないのですが、それもそのはずで、2016年11月はM31もM45も同じ日に2対象で撮影しています。この時初めてオートガイド撮影が成功して喜んでいた覚えがありますが、回り回って今回はSWAgTiでガイド無し撮影になったので、進化なんだか退化なんだか...。まあ、研ぎ澄まされた退化とでもしておきましょうか。

と思って過去記事を調べていたら実は更に前に一度、これも2016年11月ですが、上の撮影より一週前にM31とM45を同じ日に2対象で撮影しています。


M45up

まだノータッチガイド(死語)で露光時間も伸ばせなかったことですが、画像処理に初めて有料ソフトしてステライメージを使ったので、私の中では本格DSO撮影の最も初期にあたります。

M31とM45は今後の撮影技術の進化の指標ともなるいい選択なのかと思います。前回までは私としては珍しく牛岳、数河高原と、自宅でない暗い環境での撮影です。今回は自宅なのではるかに光害の多いはずです。しかも前回のM31の撮影では使っていたUV/IRカットフィルターも外して、完全ノーフィルターです。すばるの青い淡いところが、この厳しい環境でどこまで出るのか?挑戦のしがいがあります。

といっても、以前半分遊びで企画したSCA260の拡大撮影で、自宅でM45を撮影しています。F5でそこそこ青も出ることは確証を得ているので、同じF5鏡筒のRedCat51でも同じくらいは出るのではないかと期待しています。



Image06_PCC3_cut


SWAgTiでの撮影

長い振り返りになってしまいました。とにかくポイントは、自宅で青い星雲がどこまで出るかの挑戦です。

北陸の天気はもう冬型になっていて、晴れの日はとても貴重です。月曜でしたが、天気予報ではほぼ一晩中晴れ。このチャンスを逃す手はないのですが、問題はかなりの強風だったことです。撮影開始時はまだましでしたが、夜中寝ている頃に風の音で何度が起きるくらいだったので、相当な強風だったと思います。撮影後の画像を見ても、基本的に星像は小さくなく、一方向にぶれている画像もたくさんあり、あからさまな雲を除くと、143枚中16枚撮影をブレで落としています。その16枚も結構甘く見積ったので、もう少し落とすべきだったかもしれませんが、今回星像はあきらめてBXTの力に期待することにしました。

機材は
  • SWAT350 V-Spec Premium + AZ-ZTiのSWAgTi。
  • 三脚はGitzo GT3840Cをシステマティック化したもの。
  • 鏡筒はRedCat51。
  • カメラはM45がちょうど入る画角ということで前回交換したASI204MC Proから今回はUranus-C Proにまた戻しています。ゲインはHCGがオンになる220としました。オフセットは定番の40です。露光時間は3分としました。
  • 極軸調整用にUnitecの極軸微動ユニット2を三脚とSWAgTiの間に挟んでいます。SharpCapの極軸調整機能とこの極軸微動ユニット2で簡単に極軸を取ることができます。
  • ハロなどを避けるために、今回はUV/IRカットも含めて、フィルター無しです。

撮影ソフトと手順は、
  1. 極軸調整とピント合わせ、カメラ回転角調整にSharpCapを使います。極軸調整はガイド鏡がないので、主鏡とメインカメラをそのまま使ってしまいますが、特に問題はありません。
  2. AZ-GTiの操作としてPCにインストールしたSynScan ProをWi-FiでAZ-GTi接続。初期アラインメントと、SynScan ProのSynMatrix AutoAlign機能を使いプレートソルブまでしてしまいます。プレードソルブが終われば、SynScan Proで初期導入まで済ませます。
  3. ここでSharpCapからNINAに切り替えて、カメラを接続し冷却開始。オートガイド無しでディザーのみ使うために、ガイドソフトとして「Direct Guider」を選択します。
  4. NINAのシーケンサーで露光時間や枚数などを設定後、撮影開始とともに、自動追尾をSynScan Pro (恒星追尾をオフにする) からSWAT (追尾モードを「DEC」から「STAR」に切り替える) に移し替えます。
  5. 最終的な画角をSynScan ProやNINAの望遠鏡の矢印ボタンなどで微調整します。
  6. 露光を開始します。

12月で新月期なので夜が長いです。天文薄明終了から開始までの撮影は11時間7分も取れるとのことでしたが、カメラ交換などで戸惑って撮影開始は19時56分だったので、2時間くらいロスしています。終わりも途中から雲が出てきて、午前3時38分までの画像が使えました。雲を除くと、合計で143枚撮影し、127枚使ったので、採択率は89.9%でした。除いた16枚は全て強風でのブレです。


SWAgTiでの子午線反転

今回の撮影は長時間に渡ったので、SWAgTiにとってはある特殊なことが必要でした。そうです、子午線反転です。なぜこれが特殊になるかというと、SWAgTiでは恒星追尾を精度の良いSWATに任せるために、AZ-GTiでの追尾を止めて撮影します。そのため、AZ-GTは自分ではもう追尾をしていないと思い込んでいるわけです。

この状態でもNINAとは「望遠鏡」として接続されていて、NINAからAZ-GTiに信号を送り赤経、赤緯とも動かすことはできます。でも天体が子午線近くになり、そのまま子午線反転してしまうと、AZ-GTiは撮影開始位置に留まっていると勘違いしているので、全然明後日の方向に向かって導入してしまうというわけです。

実際に試してみました。
  1. M45が子午線近くに達したので、撮影のための露光をストップします。その後、試しにSynScan ProでM45を導入してみました。
  2. AZ-GTiで自動導入すると、対象まであとどれくらいの角度があるかが表示されます。子午線反転にあたるので、自動導入直後は本来180度くらいずれていると表示されるはずです。でも表示されたずれは50度くらい。これは20時頃に撮影を開始した位置からAZ-GTiが動いていないと思っているため、正しい値と思われます。(実際にはさらに180度ズレるはずですが、どうも180度以上になると180度を引いた値が表示されていると思われますが、ちょっと不明です。)
  3. その結果、鏡筒は明後日の方向を向きます。同時に、SynScan Proの恒星追尾が自動的にオンになってしまいますが、これは仕様のようです。その結果、SWATの自動追尾と二重で追尾することになるので、星がずれていきます。ここで一旦SWATの自動追尾モードを「DEC」に戻して切ります。
  4. ここでおもむろに、再度SynScan ProのSynMatrix AutoAlign機能を使い、アラインメントし直します。これがかなり強力みたいで、数10度とかのオーダーで全然ずれていても、強制的にきちんとしたアラインメントに戻してくれます。しかも、今回2ポイントでアラインメントして、そのうち2ポイント目が建物の方を指してしまい星が何も写らなかったのですが、1枚目のプレートソルブだけで「完了した」と表示されました。
  5. その後、再びSynScan ProでM45を自動導入すると、かなり真ん中に近いところに導入されました。
  6. ふたたび、AZ-GTiの恒星追尾をオフにして、SWATの追尾モードを「STAR」に切り替えオンにします。
  7. 最終的な画角をSynScan ProやNINAの望遠鏡の矢印ボタンなどで微調整します。
  8. 露光を再開します。

これは大きな収穫でした。AZ-GTiから自動追尾をSWATに受け渡しているのは、SWAgTiで天体を再導入する時に原理的な弱点になります。今回のような子午線反転や、一晩に複数の天体を撮影する場合は、どうしても撮影中断時にアラインメント情報を失ってしまっているのです。これまでは一旦ホームポジションに戻して一から初期アラインメントをするなどして、対処療法的に回避していましたが、このSynMatrix AutoAlign機能を使うことで、いつでもSWAgTiとしてののアラインメント情報を再取得できることになります。


画像処理と結果

風は仕方ないのですが、子午線反転を含めて撮影は極めて安定でした。ShapCapを使い極軸をかなり正確に合わせてあるので、8時間程度の撮影でもドリフト(画像の一方向のずれ)も全く許容範囲内です。NINAでのガイド無しディザーも問題なく適用されています。

画像処理は、これもお気軽SWAgTi定番の、ダーク補正無し、フラット補正無し、バイアス補正無しです。今回、センサー面にホコリが付いてしまっていて、少しリング状の模様が出ましたが、そこまで深刻ではなかったので、淡いところを出しすぎない目立たない範囲での画像処理に抑えました。センサーを綺麗に保つことは、画像処理を楽する上でかなり重要だと再認識しました。センサー面を綺麗に保てないなら、お気軽画像処理は諦めてフラット補正は必須になります。

さて、お楽しみの結果ですが、どうでしょうか?

「M45: プレアデス星団 (和名: すばる)」
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  • 撮影日: 2024年12月2日19時56分-3時38分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: SWAgTi (SWAT-350V-spec Premium + AZ-GTi)
  • カメラ: Player One Uranus-C Pro(-10℃)
  • ガイド:  なし
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分 x 127枚 = 381分 = 6時間21分
  • Dark, Flat: なし
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

自宅で光害防止フィルター無しでここまで青が出たことに、まずは驚きです。これまで牛岳、数河高原と暗いところに行って撮影したものより、はるかに淡いところまで出ています。刷毛ではいたような模様もよく見えていて、背景の淡いところもそこそこ出ています。

アノテーションです。
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自宅撮影は不利ではないのか?

今回の方が光害は酷いはずなのに、なぜここまで出たのか?少し冷静になって考えてみました。
  • 鏡筒は4年前のTSA120がF7.5で、今回のRedCat51がF4.9なので、今回の方が有利です。でも明るさで高々(7.5/4.9)^2 = 2.3倍です。
  • S/Nは口径もセンサーサイズも関係無いのは前回のアンドロメダの時にも書きましたが、それよりも1ピクセルのサイズが重要で、6Dが1辺6.5μmでUranus-C Proが2.9μmなので明るさ比較で(6.5/2.9)^2 = 5.0倍前回の方が有利。
  • 露光時間は前回4時間15分で、今回6時間21分で、(381/255) = 1.5倍今回の方が有利。
機材としては明るさ比較で5/2.3/1.5 = 1.4倍なので、S/Nだと更にルートで高々1.2倍前回の方が有利なだけで、あまり差がありません。

空の明るさを考えると、
  • 数河高原は天の川が普通に見えるので、6等星は見えるとしましょう。
  • 一方自宅は、北極星はたまに見えない時もありますが、大抵見えます。こと座の形やはくちょう座の形はたまに見えるときがあり、年に1-2回ものすごく透明度のいい日に天の川がうっすら見えるくらいです。普通の日は3等星が見えるくらいと思っていいでしょう。
ざっくり3等分の差があるとすると、1等ぶんで2.5倍明るさが違うので、2.5^3で16倍くらい前回の方が有利になるはずです。スカイノイズの差と考えるとS/Nはやはりルートで効いてきて、√16 = 4倍くらい差が出ます。これは無視できない有意な差で、前回の方が有利で、今回の方が不利ということです。

こう考えると圧倒的に前回の方が有利なのです。この差を覆るものが何かと考えると、画像処理と考えることもできますが、今は私としてはカメラの違いだと考えています。前回まで使っていたEOS 6Dは低ノイズの一眼レフカメラで長らく天体写真に適したカメラとして使われていますが、発売開始が2012年でもう12年も前のことになります。ここを見ると分かりますが、撮影時のISO1600だとダイナミックレンジは11bitを切っています。


一方、最新のCMOSカメラに近いUranus-C Proはここにある通り、HCGでダイナミックレンジは12bit近くになります。


ホットピクセルやアンプグローなど、新しいセンサーではグラフに出てこない有利な点がかなりあるのかと推測できます。というのも、最新カメラに近いASI2400MC Proで青い馬星雲を撮影したときも、ノイズ処理が楽で、データだけでは説明しきれないような有利さがあったと感じました。

分かりやすい例はEOS 6Dで自宅で撮影した青い馬星雲です。光害地の自宅で6Dだと、どうしようもない限界を感じましたが、


牛岳でASI2400MC Proで撮影した青い馬星雲はもう雲泥の差で、もちろん牛岳の空が暗いのはありますが、カメラの根本的な性能差を実感して、この時にはじめてフルサイズ6DをフルサイズCMOSカメラに代えてもいいかと思いました、


結局フルサイズのカラーCMOSカメラはまだ手に入れていないのですが、サイズこそ違えど最新のCMOSカメラはさすがに10年以上前の一眼レフカメラとは一線を画す性能と思って良さそうです。

というか、これくらいしか今回自宅でM45がここまで出る理由が思いつきません。その一方、もちろんセンサーサイズが小さいので解像度は出ないのですが、すばるの大きな模様の変化を見るにはこれでも十分な気がします。drizzleなどを使う手もあるかと思いますが、お気軽撮影とお気軽画像処理も捨て難いので、ここまで出るならもう十分なのかと思っています。


まとめ

自宅で綺麗な青を出すのは、ある意味一つの目標でした。

SCA260のM45のRGBでの拡大撮影である程度出ていたのですが、今回こんなシンプルな機材で、ここまで青がきれいに出るとはあまり予想していませんでした。出にくい青と言っても、M45くらい明るくて、撮影時間さえ十分に確保できてS/Nが取れるなら、無理してあまり暗いところに行かなくてもいいのかもしれません。星を始めた時の「自宅でそこそこ写せたらいいなあ」というのが、やっと実現できてきた気がします。

「そこそこ」の中には、あまり無理をしないでという意味も入っていて、今回のSWAgTiはガイドやダーク、フラット補正を省いたりして簡略化できているので、その意味でも「そこそこ」がやっと本当に実現できてきたのかなと思っています。


ここしばらく彗星にかかりきりでしたが、明日の日曜の夜が、短時間ですが月の出ない時間に彗星が残るので、最後の大きなチャンスでしょうか。徐々にいつもの天文ライフに戻りそうなので、ブログ記事としてはSWAgTi関連に戻りたいと思います。

10月初めに少し晴れ間があり、前々回記事でSynScan Proでのプレートソルブによるアラインメント、前回記事で微動極軸ユニットをテストしてみました。今回の記事は、いよいよこれらの機能を実践で使用しての撮影です。




今回はさらに、SWAgTiの撮影ソフトとしてSharpCapの代わりにNINAを使ってみました。これまで縞ノイズを避けるためにディザリングをかなり苦労をしてきたのですが、NINAでも同様にうまく動くのでしょうか?NINAまで使えると、SWAgTi撮影での選択肢の幅が大きく広がるので、かなり嬉しいです。

ここでのポイントは
  • NINAでガイドなしのディザリングができるのか
  • NINAのプレートソルブは動くのか、またSharpCapの時のように不安定にならないか
です。


撮影準備

IMG_0100

まず、新アイテムの微動極軸ユニットを使って、前回に引き続き再度SharpCapで極軸をとってみます。直接RedCat51とUranus-C Proで見ている画像を使いました。その際にピントもきちんと出しておきます(ピント固定リングに初めて気づいてたので、いい位置で固定しました。これまでは片付けで鏡筒に蓋をするときに押し込んでしまい、毎回ずらしてしまっていました。)。

前回の記事にあるように、ネジの安定性もあり、今回も非常にスムーズに極軸を調整することができ、1度目は0.3分角程度に合わせました。もちろんSharpCapの評価はExcellentです。その後、折り返しで2度目の極軸調整を行いましたが、その時の誤差も1分角を切るくらいで、十分に実用レベルの精度です。その後の撮影された画像をチェックしましたが、ガイド無しで焦点距離250mm、180秒露光で星像の流れは見ている限り全く気になりません。歩留まりも雲とかで除いたもの以外は100%です。少なくとも、微動極軸ユニットを使う前の精度は出ていると言っていいと思いますので、実用レベルで十分使うことができるとの判断です。

次に、SynScan Proのプレートソルブ機能を使ってみました。今回のターゲットはRedCat51とUranus-C Proの画角からと、これまで撮影したことがない新規天体ということで、「NGC281:パックマン星雲」と決めました。ワンスターアラインメントでの初期アラインメントを終えて、すぐにSynMarix Alignに移ります。

以前繋いだカメラがあると、自動的に最初からカメラ接続までされるようなので、特に何か設定するでもなく、ただ「Run」ボタンを押すだけでした。ポイント数は今回も2点です。一番少ない数を選んでいるのは短時間に終わらせたいということもありますが、すでに極軸をきちんと合わせてあるので、位置さえ決まればあとは変に高度な追尾をする必要がないという意図もあります。

最初の1点目はやはり鏡筒が動かずに単に画像を撮り、プレートソルブも問題なく終わります。2点目は鏡筒が30-40度くらい適当な方向に動いてから撮像し、プレートソルブします。完了後はそこの位置から動かないので、この時点ではどこか適当なあさっての方向を向いています。でも、もし2点目で適当な方向に向いたときに星がある方向でなかったらどうなるのでしょうか?今のところはまだそんなケースには遭遇してませんが、当然エラーか何かになるのかと思います。その際、どうやり直すのかは少し興味があります。


撮影ソフトにNINAを使う

プレートソルブによるアラインメントが終わったら、SynScan Proでパックマン星雲を導入します。導入後、NINAを立ち上げて「撮像」タブでライブモードで循環撮影をオンにして確認しますが、ものの見事にど真ん中に入っていました。

本当は、この後にNINAでプレートソルブをして、SynScan Proとの接続の安定性を見るべきだったのですが、今回は撮影の方を優先させたかったので、この時は試しませんでした。でもその後、別の日の馬頭星雲の撮影の際、NINAのプレートソルブをやってみましたが、SharpCapのようにSynSca Proとの接続が不安定になるようなことはなかったので、NINA上ならプレートソルブも自由に使えそうだということがわかりました。

これでSWAgTiで使えるプレートソルブに関してはSynScan ProとNINAの2つの選択肢があることになります。
  • SynScan Proの方は、プレートソルブで精度を出してから自動導入で、自動導入後の補正はしない
  • NINAの方は、自動導入時の精度はあまりないが、自動導入してからプレートソルブで補正して天体を真ん中に入れる
という違いがあるので、使用目的も少し違ってきますが、(心持ちちょっとだけ特殊な使用方法である)SWAgTiにとっては、選択肢が増えることは非常にありがたいことです。

すでにターゲット天体がかなり真ん中に入っているので、この時点で自動追尾をSynScan ProからSWATに切り替えてしまいます。ここでチェックすべきことは、SynScan Proの自動追尾を切っても、NINAからAZ-GTiをコントロールができるかどうか?です。まず「架台」のところで赤道儀として「SynScan Apps」を選択し接続します。10秒ほどするとASCOM仕様の十字ボタンが画面に出てくるので、NINAの「撮像」タブでカメラの画像を見ながら方向ボタンを押してみます。すると、自動追尾なしでも星が見事に動くので、まずは第一関門突破です。


NINAでガイド無しディザーができるのか?

次に一番肝心な、NINAでオートガイド無しのディザーができるかどうか?です。少し前に調べたことによると、「Direct Guider」という機能を使うことで、ビルトインディザリングというのができるらしくて、今回の目的にあっていそうです。



実際に、
Built-in Dithering#
There are some cases where guiding equipment isn't needed or available, but you still want to dither. This can happen if you have a very high end mount with encoders or with small portable setups. N.I.N.A. can perform dithers directly via its Direct Guider which manually slews the telescope very small distances.
とか書いてあります。特に「ガイドがない場合や使えない場合で、ディザーしたいときのための機能で、例えばエンコーダー付きの高精度の赤道儀や、ポタ赤など小さくてかつ高精度な赤道儀の場合に、必要になる機能かもしれない」というようなことが書いてあるので、今回のSWAgTiそのものだと思ったわけです。この機能は、2024年の4月くらいのバージョンで搭載されたようなのですが、9月にこの記述を見てNINAをSWAgTiで使ってみようと思ったわけです。

「Direct Guider」を使うためには、左の「機材」タブの中の「ガイド」で「Direct Guider」を選択します。普段PHD2とかを選ぶところです。設定する箇所はほとんどなく、何ピクセルディザーするかくらいでしょうか。デフォルトは5ピクセルですが、効果をはっきり見たいために今回は20ピクセルとしました。

01_direct_guider


以前のSharpCapでのディザーは、SynScan Proの自動追尾がオフになった時点でディザー信号がAZ-ZTiのモーターに伝わらなくなるという問題がありました。方向ボタンの信号はきちんと伝わるのに、ディザー信号だけは伝わらないのです。SharpCapの時はバージョンアップで解決されたみたいなのですが、NINAでも同様の問題がないとも限りません。とりあえず撮影の準備だけして、といってもレガシーシーケンサーでLIGHTフレームを露光時間を180秒にして、必要枚数を指定して、ディザーをオンに指定するだけです。実際にはガイドはなくて、フォーカサーも、フィルターホイールもないので、設定はとても簡単です。

そうそう、今回NINAにUranus-C Proを接続するのは初めてだったのですが、SharpCapでのゲインとオフセットの設定がレジストリなどに記録されているようで、最初から同じ値になっていました。ソフト缶を移動して同じカメラを使う場合は、設定が残っていたりするので、これは一方では便利だったりするのですが、変な設定が残ることもあり得るので、注意が必要です。

NINAは撮影に特化されているだけあって、デフォルトでの各種値が撮影用にあらかじめ設定されているのがありがたいです。例えばファイル形式はfitsが最初から選ばれているとかです。もちろん変更することもできるのですが、撮影時のドタバタでミスが少なくなるような設計方針にとても好感が持てます。他にも、カメラのゲインやオフセットはカメラ機器のところで1箇所指定すれば、あとはここの撮影で同じ設定になるのでミスしにくいとか、センサー温度が十分下がっていないと警告が出るとか、撮影のことを第一に考えてくれています。これがSharpCapは撮影もできるし電視観望もできますが、撮影だけを考えるとNINAを使いたくなります。

さて、実際に画像を1枚撮影し終わって、いよいよディザリングが開始されるはずです。まずはNINAの下部のメッセージのところにはディザリングされていると表示されているので、何か動こうとはしているようです。でもまだ実際にうまくいっているかわかりません。実際の確認は、ディザリングが終わって、次の1枚の撮影を3分待って、プレビューが出た時にきちんと位置がずれているかを見てからです。

さて、結果を見てみると
03_dithring
ライブドアブログの問題でプレビューがうまくいかないみたいなので、
クリックしてみてください。うまくズレているのがわかるはずです。


ものの見事にディザー分ずれていました!!!これで、NINAもSWAgTiで使えることが判明しました。バンザーイ!


安定した撮影

その後の撮影は順調そのもので、21時過ぎから午前4時頃まで、約7時間の露光を安定に済ますことができました。途中の子午線反転はマニュアルで行う必要がありますが、SWATに自動追尾を引き渡したためにAZ-GTiの位置情報は既にずれてしまっているので、一度ホームポジションに戻して、一からSynScan Proでアラインメントをしました。でもSynScan  Proでのプレートソルブアラインメントもすぐにすますことができるので、反転もほとんど苦にならなく短時間で済ませて、そのまま撮影を実行しました。

朝になってファイルをチェックしましたが、途中から雲が出てきて、それでも4時間半くらいの画像を使うことができました。その時の一番最後の画像です。一晩このクオリティーで撮れているので、天体写真として十分使えるレベルの画像を撮影することができていると思います。

2024-10-10_02-45-38_NGC 281_LIGHT__180.00s_g100_-10.00c_0043_low

画像処理に関しては、また長くなるので次の記事に回します。


まとめ

今回、NINAでの撮影が選択肢に加わり、SWAgTiの可能性がかなり広がってきました。極軸微動ユニット、SynMarix Alignの導入も安定した撮影体制につながっています。

まだまだ進化過程のSWAgTiですが、実用かどうかでいうならもう完全に実用レベルです。手軽で稼働率が高いので、今後の可能性を求めて、まだまだいろんなことを試していこうと思っています。


EAF(電動フォーカサー)を使ったNINAのオートフォーカスはものすごく便利です。うまくいくとかなり正確にピンと位置を合わせることができます。でもうまくいっていない方も多いみたいなんですよね。私もL画像撮影時だとそこそこうまくいっていますが、Hαとかの暗くて恒星が少ない場合ではあまりうまくいかなかったりしています。

今回、M106の撮影時と次のM51の撮影時に、だんだん誤差が大きくなってきて、ある時からNINAのオートフォーカスが全くうまくいかなくなったのです。その原因を探りました。


Hアルファの場合

特に暗くなってしまうHα撮影時のオートフォーカス調整では、元々そこまで上手く測定できていたわけではなく、典型的にはこんな感じで最初の右端の2つくらいは星像の大きさが0と検出されてしまっていました。

A_original

ところが、ある時からこんなふうに星のサイズHFRが真ん中も含めて全然測定できなくなってしまったのです。

A_bad


何が問題だったか

何をしたかなあ?と思い出してみると、撮影中にオートストレッチのパラメータを触っていたことに気づきました。

オートストレッチは、撮影時のNINAの「撮像」タブの「画面」の見栄えを調整します。見やすくなるように、ちょくちょくいじっていて、その過程で星像の認識率が悪くなっていったようです。特に今回はM51の撮影中のある時に、見栄えを大きく変えたことが原因でした。

調整場所は、下の画面の右の真ん中らへんの詳細設定を開けた「自動ストレッチ因数」と「ブラッククリッピング」です。
stretch

撮像画面での見やすさと、星像を評価するHFRの最適値は結構違っていて、オートフォーカスはこのHFRを元に評価していることが原因です。どの値がいいのかは機材によって違うと思いますので一概には言えませんが、私は上の画像くらいの設定値にして、下の画面のように背景がそこそこ暗くなるくらいのストレッチになった時の方がHFRには適しているように思いました。

キャプチャ

改善の様子は、真ん中右の方の緑と黄土色のグラフを見てもらえばわかるかと思います。横軸は撮影枚数、縦軸の緑線がHFRで星像の大きさを示し、黄土色の線が検出できた星の数を示します。最初そこそこ安定して測定できていたのが、途中4枚目あたりでストレッチのパラメータを変えたのでグラフがぐちゃぐちゃになり、18枚目あたりで再度調整してからは星像の大きさがピタッと安定し、検出できた星の数も増えています。

でもグラフがぐちゃぐちゃの場合でも、これはストレッチした見掛け上の炙り出しでそくていしているだけなので、実際の画像には何ら影響していません。ただしこのぐちゃぐちゃした時のように、HFRがうまく測定できない場合にオートフォーカスをすると、上手くフォーカスが合わなくて実画像がピンボケになったりします。もっと言うと、オートフォーカス時にHFRが全く測定できない場合は元のフォーカス位置に戻るからまだいいのですが、中途半端に測定できてしまうと誤差が大きいピント位置決めになってしまい、撮影に大きな影響が出ることになります。

さて、オートストレッチをHFRに合わせて上手く調整できた時は、測定しにくかったHαの場合でも以下のように改善されました。オートフォーカスパラメータ以外は全く同じ設定です。

A_good

理論曲線からまだ少し形がずれてますが、はるかに綺麗に測定できているのがわかるかと思います。

調べている限り、日本語でNINAのオートフォーカスについて解説しているページでは、ステップサイズやバックラッシュについては言及していますが、オートストレッチに大きく依存するという記事は見つかりませんでした。これまでオートフォーカスがどうしても上手くいかなかったという方は、一度ストレッチパラメータをいじるのを試してみるといいかと思います。

でも英語も含めてよく調べると、なんとこのことNINAのマニュアルページにサラッと書いているんですよね。


長いページですが、真ん中近くの「Important considerations」あたりのところです。英語ということもありますが、それを差し置いてもサラッと書きすぎで、日本語だっとしてもそのまま読み飛ばしてしまいそうです。


Lフィルターの場合

ちなみに、Hαでなく測定しやすいL画像のオートフォーカスの場合、私の環境では毎回下のような結果になります。

L_typical

オートフォーカスとは関係なく、それどころか何をどう設定しても、必ず一番右が少し下がってしまい、フィッティングによる最適値が少し右にずれてしまいます。今のところ解決策は見つかっていません。オフセットを調整すると直るという話も聞いたことがあるのですが、色々試しましたが解決には至っていません。

でも実はこの解決策もマニュアルにサラッと書いてありました。かなり下の「Backlash IN/OUT」のすぐ下に、あまり目立たなく書いてあります。私はバックラッシュの設定は既にオーバーシュートにしてある(自分でも試しましたが、これが一番安定です)のですが、オーバーシュートにする場合はバックラッシュの値を片方だけに書き込むのが必須のようです。この情報は知らなかったので、次回の撮影の時に試してみようと思います。


ゴールデンウィーク中に遠征(30-40分くらいなので近征?)してSCA260とASI294MM Proで撮影したカラス座にあるアンテナ銀河の画像処理についてです。CGX-Lを持ち出したのでかなり大変でしたが、ここで大型赤道儀で外でも撮影できる目処が立ちました。

撮影時の詳しいことはすでに記事にしていて、近場のいつもの場所、


それと、牛岳で2日分です。




画像処理

撮影は計3日間ですが、初日の撮影分は風が強すぎて使い物にならなく、結局牛岳の2日分だけを画像処理に回しました。

露光時間は10分でBaaderフィルターでのRGB撮影です。確かこの撮影の頃にフィルターホイールを1.25インチの8枚のものにしたはずなのですが、まだLは撮ってないです。処理に使った枚数はRGBそれぞれ15枚、9枚、9枚の計5時間30分です。

フラットは撮影から帰った日の5月6日に、夕方の自宅の外で鏡筒に白い袋を被せて撮影したのですが、これは結局うまく合わずに、以前馬頭星雲の時に撮影したフラットを使い回しました。袋を被せたフラット撮影はFS-60CBの頃にやっていて、うまくいってたのですが、大口径ではまだうまくいったことがありません。普段フラットは晴れ、もしくは曇りの日の部屋の中の白い壁で撮影しています。これまで撮影のたびに毎回撮影していましたが、今回の結果を見るとどうも使い回しができそうな雰囲気です。使いまわすためには大きなホコリが入るとおそらくダメになるので、接眼部に着いているカメラなどの機器の取り外しは出来る限り避けたいです。

画像処理はWBPPまでは5月のうちに終わっていて、3ヶ月も放っておいたことになります。その間何度か仕上までトライしたのですがいまいち気に入らなくて、結局前回のM104の決着がつくまで落ち着いて進めることができませんでした。昨日からやっと仕上げにはいりました。

これまでに何度かに分けてPixInsightでストレッチやマスク作りまで終わっていたので、昨日からの作業はほとんどPhotoshopです。何度かやり直してもアンテナ部分がかなり淡く、マスク処理は多少複雑になりました。そのためマスクを作り直すなどの作業は少しありましたが、なんとか炙り出すことはできたかと思います。

「NGC4038: アンテナ銀河」
Image196_pink_deconv4
  • 撮影日: 2022年5月4日21時14分-5日0時5分、5月5日21時14分-6日0時51分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間10分、R: 15枚、G: 9枚、B: 9枚の計33枚で総露光時間5時間30分
  • Dark: Gain 120、露光時間10分、29枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 RGB: 0.07秒、RGBそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

出来上がった画像を見ると、まだ恒星サイズが大きいのではと思いました。露光時間が長くて揺れが出たのかと。やはり10分露光でなく、5分露光位に抑えておいた方がいいかもしれません。

下のアンテナ部は先っぽの巻き巻きも含めてそこそこ出たと思います。それでも上のアンテナの先端の広がりがあるはずなのですが、そこまでははっきりとは写りませんでした。

あと銀河の細部がもう少し出てくれてもよかったかと思います。銀河の下部にアンテナ部との境があるように見えて、最初画像処理のせいかと思いましたが、どうもリアルにあるようです。

いつものAnnotationです。

Image196_pink_deconv4_Annotated

少し斜めになってしまっています。もうなにも記憶はありませんが、あまり真面目に回転角を合わせていなかったようです。


まとめ

牛岳という、少なくとも普段撮影する自宅よりは十分暗い場所で、結局2日にわたって5時間半のアンテナ銀河の撮影でしたが、それでもアンテナ部分はかなり淡かったです。マスクを駆使してやっと出ましたが、結構大変でした。特に銀河もう少し解像度が出るかと期待していましたが、シンチレーションと露光時間によるのかと思います。またいつか機会を見て撮影してみたいと思います。

さて、さらに溜まっている画像処理を進めることにします。

ASI294MMで撮影後、画像処理をしていたのですが、一つトラブルがあったのでメモがてら記述しておきます。


ASI224MC Proでの天体撮影

NINAでライトフレーム
NINAを使い普通に天体を撮影しました。ASI294MMはセンサーにIMX492を使っていて、bin1だと8288x5644とかなりの高解像度になります。DSOだとそこまでいらないので、本来のASI294MC(IMX294使用)と同じ4144x2822になるようにNINA上でbin2モードでライトフレームを撮影しました。

SharpCapで補正用フレーム
画像処理用にバイアスフレーム、ダークフレーム、フラットフレーム、フラットダークフレームを撮影する必要があるのですが、画面のレスポンスやヒストグラムの見やすさなどから、SharpCapを使って、これらの後処理用のファイルを撮影しました。その時は解像度を 4144x2822にするために「11 megapixel」の方を選んでbin1を選びました。高解像度の場合には「47 megapixel」なのですが、この場合bin2は選べないようなので、4144x2822にするには「11 megapixelでbin1」が唯一の選択肢になります。


WBPPできない⁉︎

撮影自体はいいのですが、これらを使ってPixInsightで画像処理をしようとするとはまります。下の画像のように、ライトフレームに警告マークが入っていて、バイアス、ダーク、フラットどれも補正してくれにというのです。
binning2x2
最初何が悪いのかわからなかったのですが、色々触っているとどうもビニングの設定が、NINAで撮影したライトフレームは2x2、その他SharpCapで撮影したフレームは1x1となっているのが問題だとわかってきました。でもどちらも画素数は4144x2822です。


解決法

一番簡単な方法は、NINAで補正フレームをライトと同条件にして、全て取り直すことです。でもフラットフレームは撮り直すと合わないことがあるので、できればNINAでの撮り直しは避けたいです。

ここまで撮影してきたファイルをなんとか使うことはできないのでしょうか?

まずわかったのは、このビニング情報はFITSファイルのヘッダに書かれているテキスト情報をただ読んでいるだけなので、例えばライトフレームのヘッダの2x2を1x1に書き換えてやれば、PixInsight上で各種補正をしてくれることはわかりました。


本当にこの方法でいいの?

そうすると次は、そもそもNINAで2x2ビニングと、SharpCapの11 megapixelで1x1ビニングは同じ効果なのか?ソフトウェアビニングが入る余地はないのか?などが疑問になってきました。

海外のページをあたっていくと、特にSharpCapで初期にASI294MMに対応したときに結構な時間をかけてZWOともコンタクトを取りながら決めていった過程を辿ることができました。おそらくは多分混乱のないようにわかりやすくするために高解像度でビニングのない47 megapixelモードと、低解像度で14bitにしたハードウェアビンニングの11 megapixelモードと、あからさまに切り分けたのかと思います。おそらくこの切り分け方が、本来のASI294MMの294の名を冠したことから考えると、正しいのかと思います。

もう一つ重要なことは、ASI294MM Prp発売当初、ここら辺のことで混乱した人が何人もいたようなのですが、先人達の色々な検証の結果一つ言えることは「どんなソフトでも2x2のビニングを入れると確実にハードウェアビニングが入る」ということのようです。なので、NINAで単にbin2を選んだとしても、ソフトウェアビニングになっていることはないということが分かります。

実際のところは自分で検証しない限りは確実ではないですが、調べている限りこの情報は正しいようなので、画像処理を進めるためにもとりあえず1x1と2x2で名前は違うけれど、共にハードウェアビンニングが適用され、4144x2822の画像ができていると思うことにします。


実際のヘッダー情報の書き換え

となると、あとはどうやってFITSヘッダーを書き換えるかです。一枚一枚書き換えていってもいいのですが、ここにあるキーワードの値を書き換える、PixInsight上で動くスクリプトが公開されています。



今回はこれを利用しました。実際にはXBINNING、YBINNINGをそれぞれ書き換える必要があるため、2回走らせます。注意はソースの途中の拡張子が「.fit」になっているてため、「.fits」にしてやることと、最初の方のoldKeywordValueなどの値が「2.」とか小数点まで入れてやらないと動かない時があることくらいです。


WBPPで処理再開

これでライトフレームを1x1ビニングと騙してやることで、下のようにうまくPixInsightのWBPPを走らせ、
binning2x2_mod
きちんと各種補正も適用することができました。

さて、やっとこれでM27の画像処理を続けられます。

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