ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:NGC4216

前回までに5分露光のトータル7時間コースでNGC4216、4時間コースでM104ソンブレロ銀河を撮影しました。





ところが両方ともどうも星像がボテっとしていて、いまいち不満が残ります。光軸調整やピント精度、シンチレーションなどいろんな原因が考えられますが、やはり一回の露光が5分と長いので、シンチレーションでの揺れがそのまま積分された星像になり、ボヤっとなってしまっている可能性が高いです。今回は露光時間を10秒と短くして、シンチレーションの影響をみようと思います。


短時間露光の効果

この手のことは以前ラッキーイメージ撮影と、その後の考察で試していて、やはり短時間露光の方が解像度が出るという結果でした。http://hoshizolove.blog.jp/archives/37040131.html

 
 

これと同様なことを銀河で試してみたかったのです。ただし、撮影枚数が膨大になるので、今回はLivestackを使いリアルタイムでスタックすることで撮影枚数を減らそうと考えています。露光時間は銀河なので淡いため、とりあえず10秒で始めます。これは以前のラッキーイメージのテスト(オリオン大星雲で、かなり明るかった)での一番長い露光時間にあたります。それでも前回の撮影の5分(300秒)と比べたら30分の1と相当短くなります。

最近注目なのはgotodebuさん。30cmのドブソニアンとASI294MM Proで、かなりの分解能で成果を出しています。素晴らしいです。

 

MMいいなあ。カラーでの分解能の限界を感じたら、そろそろモノクロに移るかもしれません。


3通りで比較

ターゲットはVISAC復帰第一弾で撮影したNGC4216、NGC4206、NGC4222です。
  1. 前回の撮影で4月5日にgain120で5分露光したもの
  2. 今回4月10日に改めてgain120で5分露光で撮影したもの
  3. 今回4月10日にgain420で10秒露光を30回LiveStackしたもの
の3通りです。撮影時間はいずれも22時半前後です。2.から3.でgainを300 = 30dB = 20dB+10dB = 10倍x約3倍 = 約30倍増やしました。1回の露光時間を300秒から10秒にした30分の1をちょうど相殺するため、得られた画像はほぼ同じ明るさになります。これを30枚Livestackすることでトータル同じ露光時間(同じ光子量)とします。それぞれの画像はABEでフラット化して、STFとHTでオートストレッチしています。


短時間露光、LiveStackの問題点

でもこの3番目の方法、もう一つ大きな欠点があります。例えガイドをしていてもLivestack中に微妙に位置がずれてしまうと、例えばホットピクセルが動いてしまい、後でダーク補正をしても補正しきれなくなります。フラットも同じことで、画面にゴミなどの影があったりするとそれが動いてしまうので、補正しきれません。周辺減光は後でABEやDBEをかければなんとかなるでしょう。

この欠点をリアルタイムでダーク補正することで緩和します。SharpCapには露光ごとにダークとフラットを補正できる機能があります(ただし有料版のみだったはず)。フラットはこれまでうまくいったためしがないので、今回はダーク補正のみです。10秒で64枚撮ったものをダークフレームとして使いました。でもこれが吉と出るか、凶と出るか、長時間撮影して画像処理までしないとわからないです。高々640秒、10分程度の露光のマスターダークなので、まだそこに残っているノイズはライトフレームの後のスタック時にそのまま加算されるはずです。それが縞ノイズとかになるかも知れません。

このダークフレームに残ったノイズの緩和や、ゴミの影を除去しきれない問題は、ディザーである程度解決します。十分揺すってやれば多少のコヒーレントなノイズは散らされて目立たなくなるはずです。「ディザーは七難隠す」はこんな時でも有効です。


一枚画像での比較

まず、スタックをする前の一枚撮りでの比較をします。それぞれ撮影した画像からわかりやすいところを一部切り出しました。左から、1.、2.、3.となります。

comp
左1: 4月5日の300秒露光、真ん中2: 4月10日の300秒露光、右3: 4月10日の10秒露光の30枚LiveStack

まず1.と2.を比べます。基本的にセッティングは全く同じで、同じ時刻なのでほぼ同高度。VISACの補強が違うのみです。あ、縦横入れ替えました。それでも2.の方が圧倒的に解像しているので、4月5日より4月10日の方が明らかにシンチレーションがいいことがわかります。

次に2.と3.を比べます。2を写した直後に3を写しているので、時間的な差はほぼないはずです。ピントなども前後でいじってないので、直接比較ができるはずです。一見そこまで差がないように見えますが、じっくり見るとやはり3.の短時間露光方が明らかに解像しているように見えます。その代わりに大きなゲインで増えた読み出しノイズを、30回ぶん読み込んでいるので、その分ノイジーになっているのかと思います。

でも、果たして露光時間を30分の1にしたにしては、星像の違いが少なすぎる気もします。これ数学的にモデル立てられないでしょうか?理論と実測を比較してみたいです。


10秒x30枚露光画像を12枚スタックしてみる

この比較撮影後、3.の状態で12枚、合計1時間分の画像を撮影したのでそれをスタックしてみます。

スタックはPixInsightのWBPPで最初やったのですが、ちょっとてこずりました。ダーク補正はリアルタイムでしているので、バイアス、フラット、フラットダークをそれぞれ撮影して、それらをWBPPに放り込んで処理したのですが、どうもうまくいきません。カラーバランスが全然崩れた暗い画像になってしまいます。

問題点は3つありました。
  1. ライブスタック後のfitsファイルは既にDeBayerされているらしく、ライトフレームのCFAをオフにする必要がありました。
  2. もう一つはリアルタイムダーク補正の時にバイアスも一緒に補正していたので、WBPPでバイアスを補正してしまうと過剰補正になってしまう点でした。なので結局WBPPではフラット(とフラットダークも合わせて)のみ補正しています。
  3. フラットも問題でした。できたフラットファイルはBayer配列でモノクロです。でもライトフレームはカラーなので、補正できません。そのためできたマスターフラットフレームを手作業でDeBayerして、それをWBPPで使っています。

スタック直後、ABEだけかけてオートストレッチしたものです。

integration_ABE

前回5分露光で、トータル7時間撮影したものと比較してみます。左が前回、右が10秒x30を12枚です。

comp

分解能だけ見ると、今回の右の短時間露光が圧倒的ですね。銀河の模様もはっきりしてますし、星像も鋭いです。一方、微恒星に関してはさすがに左の7時間の方が出ています。というよりノイズの差でしょうか。トータル時間でも差が出ますし、10秒露光の30回ということはその都度リードノイズ入ってくるので、ノイズ的にはやはり右は不利なようです。

実際には分解能の差は、まずは第一に日の違いによるシンチレーションの差が大きいでしょう。その上で、1枚で比べたときの差からも分かるように、やはり露光時間の差も出ているのかと思います。


試しに仕上げてみる

さて、その1時間ぶんのスタックした画像ですが、試しに画像処理をして仕上げてみます。

integration_ABE_DBE_PCC_ABE_DBE2


どうでしょうか?前回の仕上げた画像(縦横ひっくり返っています)と比べてみましょう。一部を拡大して向きを合わせました。左が前回4月5日の300秒露光をトータル7時間、右が今回4月10日の10秒露光の30枚LiveStackを12枚でトータル1時間です。

comop

色の濃さの違いは置いておくとして、分解能は銀河の模様も恒星も右が圧勝ですね。でもこの違いはシンチレーションの違いが大きいので、短時間露光がそのまま効いているわけではないことに注意です。短時間露光の効果を比べたい場合は、先に出した1枚画像の真ん中と右を比べるべきです。

ただ、色を出そうとしたりして炙り出すことや、微恒星(背景のノイズと言い換えてもいい)に関しては、左の7時間の方がさすがに圧勝です。ここらへんはトータル露光時間が正義といったところでしょうか。


まとめ

シンチレーションか短時間露光かわかりませんが、少なくともVISACでここらへんまでの解像度を得られることが分かりました。星像の鋭さも含めて、これくらいがコンスタントに出るのなら、そこそこ満足です。シンチレーションが悪い日に短時間露光をしてみるとか、シンチレーションがいい日に長時間露光を試すとか、今後も検討していくことになるかと思います。

いまのところまだ、短時間露光の効果と画像処理の煩雑さなども含めると、どちらが有利か分かりません。LiveStackでの重ね合わせはそこまで問題ない気がしています。これで枚数が多くなりすぎるのを避けることができるなら、有効かと思います。例えば10秒をそのまま保存して7時間撮影したら、360 x 7 = 2520枚と流石にちょっと処理するのに大変な数になっていました。

とりあえず今後いくつかの天体を、この短時間露光の手法で撮影してみたいと思います。

前回の撮影で、おとめ座銀河団をFS-60CBで一網打尽にしました。



その中でいくつか面白い領域があることがわかりました。画像を切り出して拡大とかもしたのですが、流石に口径6cmで短焦点355mmでは分解能に限界もあります。長焦点のVISACを使って、狭い領域を切り出して撮影しようと思っています。


VISACでの撮影

しばらく使っていなかった、口径200mm、焦点距離2000mmの VC200L、通称VISACを久しぶりに使います。最後の使用が約1年前、TSA-120と比較してM51などを撮影していました。星像がなかなか微妙で、うまく行く時とダメな時の差が激しいです。

今回狙うのは前回範囲の右下のNGC4216、NGC4206、NGC4222と3つの大きな銀河が見えるところです。3つ入れるとフォーサーズのASI294MCでちょうどいい範囲になりそうです。

ACEC8A1E-767B-4215-A2DD-B0C56992D4AC

4月3日と5日の二日間にかけて撮影しました。と言っても1日目はすごい風で、鏡筒が揺れまくって星像も伸びてしまっているのがほとんどで使い物にならなかったです。でもFS−60やTSA−120で同じくらいの風が吹いても、ここまで星像が崩れることはないので、焦点距離が長いことの難しさか、もしくはVISACやわ過ぎのどちらかです。2日目は平日でしたが、長い時間にわたり概ね順調でした。実際には軌道にのってからは寝てただけですが...。

撮影できた星像を見てみると、うまく真円に近いものもあれば、三角っぽくなっているものや、伸びてしまっているものなど、いろいろです。少なくともTSA−120みたいに、全部の枚数が使えるとかの安定性は無さそうです。それでもよほどひどくないものでなければ平均化されることを見越して、2日目に撮影した86枚中、81枚を使って画像処理をすすめます。

フラットフレームは部屋の明るい壁を写すだけです。最近はずっとこの方法です。安上がり、手軽で、ほとんど失敗していません。撮影時の機材を何もいじらずに壁に近づけ、影にならないように気をつけます。唯一の欠点は、部屋の外の明るさを光源とするので、昼間しか撮影できないところでしょうか。明るさの調整は、ヒストグラムのピーク位置がちょうど真ん中になるくらいになるように露光時間を調整します。今回は40ミリ秒で256枚撮影しました。その状態で鏡筒に蓋をして、フラットダークを撮影します。

ダークは新たに128枚撮影しました。冷却CMOSカメラは、当たり前ですが温度が一定にできるので、後からダークを撮影できて楽でいいです。IMX294センサーはアンプグローが目立つので、ダーク補正の時の最適化がきかないため、同じ露光時間の5分で撮影します。128枚なので撮影だけで半日作業です。


画像処理

いつも通りPixInsightのWBPPでスタックまでしてしまいます。今回はABEもDBEも全く必要がないくらいフラットが合いました。20cmの大口径に入ってくる部類でも壁際フラット法は十分有効なようです。Pinkstarを復元し、PCCをかけます。

銀河団の処理は前回やりましたが、銀河だけの画像処理は久しぶりです。ライトフレームはArcsinhStretchでストレッチしたのですが、長焦点の成果どうも恒星がぼやっとしています。見栄えを良くするためにExpornentialTransformationのPIPで恒星のピークを出しました。これをPhotoshopに渡します。

星マスクを作るのですが、StarNetが小さい銀河と恒星を分離できないことに困りました。星マスクはストレッチ前にクローンを作り、HTで控えめにストレッチして、ExpornentialTransformationのPIPで恒星のピークを出し、さらにMorphologicalTransformation (MT)で星像を小さくして、やっとうまく分離できました。これをMTで星像を少し拡大して星マスクとして、Photoshopに渡します。

トータル露光時間が長かったせいか、Photoshopでのあぶり出しはそこまで困ることはありませんでした。結果は以下のようになります。


NGC4216、NGC4206、NGC4222

masterLight_cut_ABE_pink_ASx4_ET_ok_tune4a

  • 撮影日: 2021年4月5日20時12分-4月6日4時14分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、gain120、露光時間300秒x81枚 = 6時間45分、ダーク128枚(gain120、露光300秒、最適化なし)、フラット256枚(gain120、露光40ミリ秒)、フラットダーク256枚(gain120、露光40ミリ秒) 
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

どうでしょうか?長時間の撮影のせいもあるのか、ノーフィルターにもかかわらず銀河内の模様もそこそこ出ているのではと思います。ただ、恒星がまだぼてっとしている気がします。もう少し鋭く撮影できればと思います。これは鏡筒の分解能と言うよりは、シンチレーションで揺れが積分しされてしまっているからだと思います。


ついでアノテーションです。

masterLight_cut_ABE_pink_ASx4_ET_ok_Annotated

こんな小さな領域の中にも20個以上の銀河が写っています。NGC4216とNGC4222を結ぶように、淡いリングがあるのですが、今回さすがにこれは出ませんでした。というか、少しは期待していたのですが、どれだけあぶり出してもかすりもしなかったです。もっと暗いところに行くか、口径の大きな望遠鏡を使うか、露光時間をもっと増やすか、まだかなりの努力をしなくてはダメなようです。


切り出し画像との比較

前回撮影した広域の画像から、同じ構図で切り出してみます。あれ?ここではじめて今回縦横間違えて撮影していたことに気づきました。なので、今回は左側が北側になります。

cut

もちろん今回撮影した方が分解能も色も何もかも良く出てるのですが、口径と焦点距離から考えたら広域で撮影したものも思ったより善戦している気がします。


そういえばAVX

今回久しぶりにVIASACを持ち出したのですが、この間のカリフォルニア星雲とかおとめ座銀河団の撮影あたりからAdvanced VXも久しぶりに引っ張り出してきました。いつも玄関にCGEM IIがおきっぱなしにしてあるので、FS-60とかの軽い鏡筒でもそのままCGEM IIで済ませてしまっていたのですが、最近2台撮影体制を考えているので、軽いものはAVXで済まそうという考えです。その過程でガタつきを無くすとかの調整をしてきました。



AVXの何がいいって、CGEM IIに比べてとにかく軽いことです。CGEM IIの持ち運びでコツを覚えたからか、AVXなら5kgのウェイトをつけたままでも移動することが出来ます。ケーブルとかもつけっぱなしにしておけば、玄関から運んでかなりの短時間で撮影が開始出来ます。おかげで玄関には赤道儀が二台。昔CGEM IIを買った時にバレないようにこっそりAVXと入れ替えて誤魔化して以来(結局カード明細でバレて修羅場となったのですが)、久しぶりに玄関にAVXが鎮座するようになりました。


まとめ

今回久しぶりにVISACを使い銀河を撮影しました。VISACでやりたいことがいろいろあります。春は銀河を少し撮影していきたいと思っています。

長焦点はMEADEの25cmとC8とVISACがあるのですが、前者二つはコマ収差が大きいので周辺像は流石に厳しいです。VISACが唯一周辺まで星像がいいはずなのですが、本当にこいつはじゃじゃ馬です。いい時はすごくいいのに、星像が不安定で突然悪くなったりします。いまだに原因ははっきりしませんが、まずは鏡筒の強化から始めたいと思います。またブログの記事にしていきます。



 

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