ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:M20

2025年7月26日(土)、この日は朝は太陽撮影、少しお昼寝して、夕方から飛騨コスモス天文台の観望会と忙しい一日でした。

夕方から観望会

太陽はHαの通常観測モードなので別途また記事にします。朝早くから起きていたので、昼くらいには眠くなり、14時くらいからお昼寝してました。目が覚めて、夕方からの観望会の準備開始です。と言っても、暑くて暑くて、車に荷物を載せるだけで大変で、クーラーのついた部屋から荷物を運んで、車に積んだら一旦戻って涼んで、また運んで...というのを繰り返して、16時15分頃に自宅を出発しました。富山は結構晴れていたのですが、道すがら徐々に雲が多くなって来ました。

途中神岡町に寄って、いつもの「もりのや」で早めの夕食です。ちなみに、フードロスを避けるために夕食時は予約をしてくださいとのことです。今回頼んだのも、先月と同じ「飛騨牛の牛すじカレー」です。普通もりですが、量的には十分な大盛りクラスでお腹いっぱい。牛すじはトロトロで絶品、サラダもたっぷりついて、これで何と税込950円。かなり良心的な値段です。
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食べてる途中に、星友のかんたろうさんから電話がかかってきて「今神岡近くだけど、天気があまり良くなさそうなので今から伊吹山の観望会に行く」とのことです。確かに来る途中も雲が多かったので心配でしたが、とりあえず私は「飛騨コスモスの観望会に向かう」と伝えました。しばらくすると、またかんたろうさんから電話があって、「古川で晴れているので天気は回復しそう、なので飛騨コスモスに戻る」とのことです。後から聞いたら、伊吹山の観望会は人が多すぎて、夕方早々から車の入場規制がかかったそうです。「そのまま伊吹山に行ったら入れないところだった」とかんたろうさん。

私の方は、18時前に「もりのや」を出て、観望会会場の飛騨コスモス天文台に向かいます。


飛騨コスモス天文台

飛騨コスモスに着くとすでにかんたろうさんが到着してました。まだ雲はありますが、機材を出すことに。程なくしてスタッフの方達も到着。聞いたらちょっと前に雨が降ったらしくて、そのせいか東の低空にきれいな虹が出ていました。
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来てくれるお客さんの数は、その日の昼間から夕方の天気に大きく左右されます。この日はあまり天気が良くなかったので、今回の観望会の参加人数はそこまで多くなくて、せいぜい15人くらいだったでしょうか。それでも子連れの家族が何組か来てくれてました。あと、かんたろうさんのお知り合いで、以前長野県は宇宙県の講演でお会いした方がわざわざ愛知から来てくれました。なんでも、この日にこちらのほうで宇宙関連イベントのボランティアがあって、展示説明とかしてきたそのついでとのことです。


電視観望機材

先月の観望会ではトラブルだらけで失敗し、反省して前回記事でメンテナンスした電視観望機材ですが、今回は大成功だったと言っていいでしょう。今回用意したものは、
  1. メインの電視観望にFMA135+Uranus-C+トラバース
  2. 広角電視観望にNIKKOR 35mm F1.4レンズ+ASI294MC+自由雲台
  3. M1 MacのVMware上のArm WindowsでSharpCapを2つ立ち上げ、上記カメラ2台を同時接続
  4. 24インチモニター
  5. 星座ビノを8個
でした。スコープテック望遠鏡も用意しましたが、雲間も多かったことと、惑星や月がでていないので、結局使いませんでした。

夕方暗くなりかけるときに楽しいのは、一番星見つけ大会です。この時間帯はまだ雲が結構広い範囲にあったのであまり星もはっきり見えず、からなずしも明るい星が一番星になるとも限らず難しかったです。星座ビノを駆使したりで探すのですが、なかなか見つかりません。電視観望は流石に超高感度で、最初にドームの上の雲の合間の青空にある一番星を見つけました。時間と方角的にはいて座の星の一つだったように思います。星座ビノでもしばらくは見つかりませんでしたが、程なくして見えるようになり、その後さらにドームのすぐ近くに二番星、その後はデネブやベガ、北極星など次々と見え始め、肉眼でも確認できるようになってきました。

ただ、まだ市民薄明から航海薄明くらいの明るさなのと、雲が多いので、電視観望といえど星雲や天の川を見るにはちょっときついです。そんな中、かんたろうさんから「M57入りましたー」と声が上がったので、私も導入してみると、淡いながらも十分に見ることができます。飛騨コスモスの観望会は45cmドブソニアンと電視観望で同じ天体を見比べることができるので、かなり面白いのかと思います。

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この日の天文薄明終了は20時46分。上の画像は下の時計を見てもらえばわかりますが、20時17分でまだ暗く成りきっていません。それでも輝度の明るい天体は十分すぎるほど見えます。

実際にはもっと明るい20時前でも十分見えていました。自動保存されているM57の画像ファイルの一番早いタイムスタンプを見たら19時55分でした。いい例なので載せておきます。スタックなしの0.8秒露光の1枚画像なのでかなりノイジーですが、それでもM57の存在は十分わかります。
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その後は、部分的に曇ったり晴れたりをずっと繰り返していて、数少ない晴れ間の天体や、下の画像のような雲越しの天の川を見ていました。
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電視観望、2セット1モニター体制

今回の電視観望のポイントは、1台のPCに2つのSharpCapを立ち上げ、それぞれ別のカメラを同時に2台接続しているところです。これは見せ方のバリエーションをかなり増やします。デスクトップ画面を2つ用意し、画面切り替えで広角天の川と高倍率天体画面をすぐに切り替えて比較しながらお客さんに見せることができます。今回は外部モニターを1台用意し、PCの画面をミラーリングすることで、私は手元のPC、お客さんは対面のモニターを見てもらいます。こうすることで、真向かいでお客さんと話しながら進めることができます。

しかもこれを、M1 Mac上の仮想のArm版Windowsで実行します。Macにした一番の理由はバッテリーの持ちです。今回4時間くらいフルで2台カメラを駆動しましたが、外部バッテリーに繋ぐこともなく、内部バッテリーのみで余裕でした。終わってから自宅に戻って確認したら、まだ半分近く電池容量が残っていました。丸々一晩とかでない限り、バッテリー容量的にはこれで十分です。観望会で充電用のモバイルバッテリーとケーブルを減らせるのは、トラブル回避という意味からも大きな価値があります。

その一方心配だったのは、仮想Windows上で2台もカメラを繋いで大丈夫か?ということでした。1台の安定性は前回の記事で散々検証したので問題無いことはわかっています。でも2台同時接続で試すのはほぼぶっつけ本番だったので、ちょっと心配してました。結論としては大丈夫だったのですが、いくつか課題も見つかりました。
  • まず、カメラが認識されない時がまれにあることです。VMwareでMacに繋ぐかWindowsに繋ぐか選択が出るのですが、Windowsを選んでピロンと鳴ってもSharpCapでカメラを認識しないことがありました。これは一旦ケーブルを抜いて差し直すときちんと認識されました。これが1度ありました。
  • 次に、カメラが認識されてSharpCapでカメラを選んでも画像が出てこないことです。どうもうまく接続されていなくて、すべてのフレームがドロップされているようです。SharpCap上でカメラを一旦切断し、再度接続すると直ります。この現象は3度ほどありました。ちなみに、SharpCap上のメニューで「カメラを再接続」というのがあるのですが、これでは直りませんでした。一旦確実に切断する必要があるようです。
  • もう少しマシなのですが似た事例で、接続して画面は出るのにフレームのドロップ数が異常に多い場合です。これは露光時間を伸ばすと解決する場合もありましたし、どこをどういじってもドロップ率は変わらない場合がありました。いずれも、切断と再接続で改善します。これは5度ほどありましたでしょうか。
以上のことは、一旦設定できてしまって安定すると、あとはカメラを切断しない限り大丈夫だったので、観望会前に準備をしっかりしておけば大丈夫そうです。とにかく調子が悪かったら一旦切断して戻してやればなんとかなります。でも、なぜこんなことが起こるのかは不明です。エラー判定までの待機時間がギリギリなのかもしれません。ここら辺が仮想OSの弱点なのでしょうか? 次回、SURFACEでも2台接続を一度試してみて違いがあるかどうか見てみたいと思います。

  • 最後の問題は、ASI294MCで露光時間を伸ばした時にフレームが更新されない現象です。例えば800msは大丈夫なのに倍の1.6sにするとダメな場合です。Uranus-Cではこんな現象はなかったので、ASI294MCの画素数が多いのが原因かと推測しますが、露光時間が短いと良くて長いとなぜダメになるのかはちょっとよくわかりません。こちらは今回はぱっと解決しなかったので諦めました。実際には天の川を見るくらいなら800msくらいで十分でした。
と、こんなトラブルもありましたが、一旦動き出せば無問題で、2つを切り替えて見せる手法のメリットの方がはるかに大きかったです。


電視観望のオペレーション

機材の方はかなり良かったのですが、天気の方は最初イマイチで、時折全面を雲が覆って何も見えなくなる時もあり、子供達が退屈しているようでした。こんな時は曇りの時の定番ネタで、50mmレンズとASI294MCを使って、周りの地上の景色を見ます。駐車場の車や、シートを引いている家族の顔まではっきりわかってしまうくらいの感度に、子供だけでなく大人も驚いています。露光時間を800ms程度にしてヒストグラムで持ち上げてやれば、そこそこ動いて色まではっきり見えるし、そこらへんの暗視カメラなんか問題にならないくらいの映像になります。

その後、徐々に晴れ間も多くなり、かんたろうさんのドブと見るものを合わせたりして、晴れている箇所を狙って次々と天体を入れていきます。

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M27: 亜鈴状星雲。トータル2分46秒露光。

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M8: 干潟星雲。トータル4分22秒露光。

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M20: 三裂星雲。トータル57秒露光。

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M17: オメガ星雲。トータル2分21秒露光。

面白かったのは、最後の方に見たM11でしょうか。この頃には全面的に晴れてきていて、かんたろうさんはドブソニアンでM11をいれ、私も電視観望でM11を導入し、その間にかんたろうさんがいて座のスタークラウドやバンビの横顔の説明をしてました。
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M11。トータル12分29秒露光。

一方、広角電視観望でも南の天の川を広く見ることができるので、スラークラウドもバンビの横顔も全部入ります。M8、M20、M17、M16などの星雲も見えるので、どこに何があるかも全体を見ながら位置関係がよくわかります。下の画像の黄色の枠(後から書き込んだものです)が、上の画像で見ている範囲です。
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M11はたて座の上の方にあるのですが、目印となる赤い星が4つほぼ一列に並んでいて、その2つと2つの間にM11があります。下の画像はSharpCapで自動保存された露光時間6.4秒の1枚画像で、2枚上の拡大している画像の全域を表したものですが、M11をはさんで4つの星があるのがわかるかと思います。
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拡大の度合いを変えながら、広域と狭い領域の関係を示していきます。
  • 広角電視観望で見る目印の星
  • 拡大電視観望で見る近くの目印の星とM11
  • ドブソニアンで眼視でみる針を突いたような点々のM11をそれぞれ見比べ
  • さらには肉眼で天の川を直接見て、「あー、あそこら辺だと」確認する
など、一つの天体をいろんな見方で見ることができ、私自身もかなり至福の時でした。ドブソニアンでのM11の個々の星の鋭さは素晴らしかったです。しかもこういったことが、何人もの人たちと話しながら、同時に確認できたりするのです。広角電視観望と高倍率拡大電視観望を瞬時に切り替えて見分けることで、見ている天体がお客さんに実際の空のどこら辺にあるかをわかってもらう強力な武器になることがわかりました。

その一方で、天の川を肉眼で見る際にはPCのモニターが明るすぎるのが欠点で、天の川だけ見たい時はモニターの電源を臨機応変に切ったりもしていました。今回のような暗い空では目が慣れるまで時間がかかったりするので致命的な問題になりかねませんが、街中のような比較的明るい場所で行われる観望会では問題はもう少し緩和されるはずです。

と、まだトラブルや問題点もありますが、メリットもはるかに大きいので、今後もこの手法を探っていきたいと思います。


片付け

最後の方はまた全面曇りだし、機材の片付けを始めました。でも天文あるあるで、片付けが終わる頃には低空以外は全面快晴になり、天の川が南から北まで天頂を一直線に走り、カシオペアに繋がるまではっきりと見えたのは見事でした。周りの全部の明かりを消してしばらくの間、最後まで残っていたかんたろうさんとスタッフの方と少し話しをながら、しばし天の川を楽しみました。ものの10分もするとまた曇りだしたので、ここで現地を後にします。車を出した時点で時計を見たら23時20分でした。

自宅に到着したのは0時半過ぎで、空を見上げると、めずらしく富山でも天の川がうっすら見えるほど透明度が良かったのです。でももう疲れていたのと、次の朝も太陽撮影があるかと思い、でパッとだけ片付けて寝てしまいました。


まとめ

晴れと曇りの振れ幅が大きく、状況がコロコロ変わるような天気でしたが、十分に楽しめた観望会でした。やはり、暗い空での観望会はものすごく充実します。子供連れの家族のお客さんはどうしても早めに帰ってしまうので、最後の方のいい空を見せてあげられなかったのが心残りです。

来月の飛騨コスモス天文台の観望会は、8月12日(火)のペルセウス流星群のお祭りです。平日ですが、夏休みでお盆期間なのでたくさんの人が来るかと思います。大きなシートを引いて、寝転びながらみんなで流星群を観察します。でも今年は月が明るく、あまり好条件ではありません。私は別件が入る可能性がありそうで、今のところ参加できるかは不明です。



SWAgTiのセッティングが楽なので、短い時間でも撮影する気が起きます。まだテスト撮影なので、お気楽にM20です。今年は本当に天気が良くなくて、たまに晴れてもそれが長い時間続きません。結局今回撮影できたのは、3分露光で16枚の合計わずか48分です。月が出るまで2時間くらいはあったのですが、途中で曇ってしまいました。まあ南の低空なので、雲も出やすく仕方ないですね。

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夏場の非冷却のテスト?

今回のテーマは「冷却はなくてもいいのか?」です!

前回のSWAgTiの記事で、ケーブルの数を減らしたいと書きました。夏の暑い日に冷却がないとどうなるかを試してみました...とか言いたいのですが、実はこれ全く嘘で、単に冷却するのを忘れただけです。NINAだと冷却されてないと警告が出るのですが、SharpCapはそういった親切設計にはなっていません。

NINAってできるだけ撮影を失敗しない設計になっています。冷却設定も親切で、まだ冷えている途中だと完全に冷えるまでは警告を出してくれます。例えばファイル形式はデフォルトfitsで、形式を変えるときは結構奥の方で「あえて」変更してやる必要があります。SWAgTiだと必要ないですが、例えばガイドソフトがつながっていないと警告を出してくれます。SharpCapは撮影「も」できる汎用ソフトですが、撮影「専用」ではないので、色々「設定できる余地」が残っていて、ミスもあり得てしまうというわけです。

でも今回はさらにしょぼいです。もっと言い訳するんですが、最初はSharpCap上でちゃんと冷却したんですよ。でも、一度SynScan Proとの接続がトラブって、一旦「あえて」SharpCapを落としたんですよね。後から考えたらわざわざ落とさなくてよかったんです。でも落とした後の復帰で他に気を取られていて、冷却をオンにするのを忘れて撮影を開始してしまったというわけです。そういえばライブスタック画像を見た時に「なんかノイジーだなー」とか思ってたんですよ。でも気づいたのは撮影も終了して、次の日に画像処理を始めてからでした。なんかおかしいと思ってfitsのヘッダ情報を見たら、センサー温度が32度とかになっていました...。


プレートソルブをなんとか使う

冷却は忘れてしまいましたが、その分トラブルに対して色々試したおかげで、SWAgTiでの撮影までのコツが少しわかりました。

前回報告した通り、やはりプレートソルブをすると、しばらくして接続がおかしくなるのはもう間違いないようです。今回もそうだったので、再現性があります。今回試して、接続がダメになった後にSharpCapを立ちあえげる必要がないのはわかりました。SynScan Proのみ一旦落として再起動すると、うまく再接続されるときもあるし、再接続されずにエラーが再度出るときもあります。うまくいかないときは更に、SynScan Proの「アラインメント」の「リセット」を押すと、再起動でエラーが出ることがなくなるようです。たとえリセットしたとしても、実際のアラインメント情報はAZ-GTiの方に残っているため、再度SharpCapから接続すると今向いている方向の情報がきちんと出てきます。

というわけで、こんな順序がいいのかと思います。
  1. SharpCapからSynScan Proに接続する。
  2. SynScan Proで、ワンスターアラインメントを実行する。
  3. SharpCapからプレートソルブを実行して、初期アラインメントの天体が画面中央に入るのを確認する。
  4. (この時点で落ちることは多分まだないので)SynScan Proで、撮影対象天体を導入する。
  5. SharpCapからプレートソルブを実行して、撮影対象天体が画面中央に入るのを確認する。
  6. 必要なら、SynScan Proの矢印ボタン、もしくはSharpCapの矢印ボタンで画角を調整する。
  7. (プレートソルブを何度かしたり、しばらく時間が経ったりして)接続が切れたり、接続エラーが出たら、一旦SynScan Proを落とし、SynScan Proを再起動して、アラインメントの「リセット」を押す。
  8. すでに対象天体はプレートソルブされていい位置にいるはずなので、自動追尾をSWATに切り替える。
  9. ライブスタックを始める。同時にAZ-GTiの自動追尾が強制的にオンになるので、すかさずAZ-GTiの方の自動追尾をオフにする。
  10. ライブスタックの撮影時間を希望の長時間に設定する。
  11. ライブスタックのクリアを押して、長時間露光を開始する。
くらいでしょうか。とにかくポイントは、SharpCapとAZ-GTiの接続が切れたら、一旦SynScan Proを再起動、アラインメントの「リセット」を押すことです。

あ、前回までSharpCapがそこそこ古いバージョンだったのですが、今回最新にしても基本的に接続の安定度が大きく変わることはありませんでした。プレートソルブはやはり何か問題を引き起こすようです。ただ、最近AZ-GTiの方が大幅アップデートされて、AZ-GTi単独でプレートソルブ機能が実現されたようです。これがうまく動くなら、今の不安定な原因のSharpCapからのプレートソルブをしなくていいかもしれないので、期待できそうです。


撮影開始

と、こんなテストを色々していたら、いつのまにか天文薄明終了時間になったので、撮影を開始しました。上の通り、最低限のプレートソルブは使えた(一旦SynScan Proでのアラインメントからのリセットは必要でしたが)ので、かなり楽でした。その後は、SWAgTiならではの、ガイド無し、SWATの精度の良さに頼った、AZ-GTiを利用しての簡単ディザー撮影でした。

実用上は前回からかなり進歩していて、前回は一旦AZ-GTiをホームポジションまで戻して、ワンスターアラインメントもさらには目標天体の自動導入も、プレートソルブ無しで頑張って導入していました。


非冷却ではやはり...

さて、冷却忘れの結果ですが、なかなか悲惨なことになりました。処理は前回と同じ、ダーク補正も、フラット補正も、バイアス補正も、何も無しのライトフレーム単体でのスタックです。下の画像が、スタック直後の画像をオートストレッチしたものです。
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拡大するとわかりやすいでしょうか。
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ディザーは効いているので、縞ノイズのようにはなっていませんが、ホットピクセルが出まくりです。今回はこれでもSharpCapで簡易ホット/クールピクセル除去をオンにしています。でも全くダメだったので、WBPP時にCosmeticCorrectionでホットピクセルをソフト的に緩和しようとしましたが、焼け石に水でした。上の画像はそのCosmeticCorrectionも効かせた状態です。

この状態から、なんとか頑張って画像処理を進めましたが、やっぱりどうやってもダメでした。ホットピクセル起因のノイズが多すぎて、M20本体を炙り出すこともままならないです。


仕方ないのでダーク補正

仕方ないので、ダークファイルを別途撮影しました。一手間増えますが、これで非冷却のホットピクセルが補正できるなら、かなりマシです。
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やっと画像処理

このまま画像処理を進めても、十分耐えるようです。低空で少し下にカブリがあるみたいなので、ABEの4次だけかけて、SPCC、BXT、iHDR、GHSと進めて、最後StarNetで星と背景を分離してPhotoshopに渡します。まあ、通常やっている処理をもう少し簡単にした程度でしょうか。結果はというと、かなりマシになりました。
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M20のあたりだけ切り出してみます。

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トータル露光時間が48分と、1時間にも満たないので青いところはまだ全然不十分です。今回DBPを使っていますが、比較的青がでにくい強いフィルターにしては、かろうじて青い所も出たのかと思います。


SWAgTiの利点

今回は焦点距離250mmの3分露光ですが、BXT前でも流れるようなことは全くなく、曇る前の画像は、何かで揺れてしまった1枚を除いたので、採用率94.4%でした。この追尾の安定度はSWATならではで、AZ-GTiが途中にあっても撮影中にモーターに信号さえ行かなければ全然揺れないことがわかります。

今回は、予期せず非冷却になってしまい、SWAgTiでどこまで手を抜けるか試したことになるのですが、結論としては夏場は少なくとも冷却するか、ダークファイルを別途撮影してダーク補正すれば、ホットピクセルに関しては許容範囲になるということでしょうか。

冬場ならなんとかなるか... ?


最初の予報だと28日の水曜に富山かとか言っていた台風10号ですが、ずっとノロノロで進んでいるのか止まっているのか、予報でもどちらに行こうとしているのかわからないのですが、結局富山に来るのは週明けの月曜とか火曜とかになりそうです。そんな土曜の夕方、家族は外で食べてくるとのことなので、自分は近くのかつ家でカツ丼を食べ、外に出てみると意外に晴れています。ちょうど科学博物館の観望会が始まりそうな時間だったので、ちらっと寄ってみることにしました。

それでも台風前なので、何か少しでも見えたらいいやくらいの気持ちで科学館に到着して広場に出てみると、何と一面の晴れです!

実はほとんど何も準備してこなかったので、車にある機材で最低限の電視観望です。いつものFMA135とトラバースとUranus-Cは積んであったのでラッキーでした。PCはカバンの中に入っていたM1 MacのVMware上のエミュレータ上のArm Windowsです。机は車に積んであったのですが、いつもの天文椅子は玄関に置きっぱなしだったので、キャンプ用の椅子で代用です。機材は何とかなったので早速セットアップを始めますが、流石に全く準備をしてこなかっただけあって、トラバースは電池切れ、Arm Windowsのディスプレイの解像度は全然安定せず。土壇場での観望会はやはりなかなか厳しいです。

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それでもリクエストされた北アメリカ星雲を入れてみると、透明度がかなり良いのか、富山の中心街に近いのによく見えます。悲しいのは、流石にこんな台風前に星を見ようとは思わないようで、お客さんがすごく少なかったことです。せいぜい3−4組でしょうか。このひはカターレ富山の試合があり、24時間テレビもあり、台風前なので皆さん自宅でおとなしくテレビでも見ているのではとのことでした。

最初北アメリカ星雲を見ていたのですが、バラフライ星雲を見たいというリクエストが小さな女の子からありました。さそり座方向ですが、低いのと何より小さいんですよね。焦点距離135mmでは如何ともしがたく、代わりにM8: 干潟星雲とM20: 三裂星雲を見てもらいました。あまり高い空ではないのですが、雲も少なく、よく見えていました。
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そんな中もう一人、すごい女の子がいました。北アメリカ星雲を見せたら北アメリカ大陸の地質とかを話し出すし、アンドロメダ銀河を見せたら30億年後に天の川銀河と合体するんだとか、なんか異常に詳しいです。年齢を聞いたらなんと5歳。「将来は天文学者かな?」と聞いたらキッパリと否定して「違う、古生物学者!」と一言。お母さんによると、恐竜も大好きだなんだそうです。宇宙も大好きらしくて、この富山市科学博物館の観望会もここ半年くらいほぼ毎週来ているとのことです。多分これまでも会っているはずですが、話したのは今回が初めてだと思います。帰る時に「また来週」と言っていたので、これからも会えるかと思います。将来どうなるか、今から楽しみです。

今回の電視観望は眼視との比較が多かったです。M13: ヘルクレス座球状星団とM31: アンドロメダ銀河は眼視でも見えたようです。
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電視のほうではM31の渦もなんとかわかり、M32とM101もわかったので面白かったみたいです。
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M27は眼視では厳しかったようです。M57は輝度が高く見えるのですが、M27はそれに比べると大きけれども淡いんですよね。
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眼視では土星やアルビレオも見せていたようです。C11が出ていて、終了間際に海王星を入れてくれていました。私も見せてもらいましたが、きちんと面積があり、青っぽく見えていました。

お客さんが少なかったので、アットホームな観望会の雰囲気でした。来ていた子供は小さい子ばかりだったので、21時には終了して撤収です。撤収後、スタッフさんとボラティアさんの何人かで室内に入りお茶を飲みながら話していたのですが、ボランティアさんの一人がSORA-Qという月探査の小型ロボットを持ってきて、机の上で動かしていました。JAXAとタカラトミーの共同開発で発売しているロボットらしくて、昨年発売開始ですぐに完売してしまい、一年経ってやっと次の配布が始まったそうです。この方は春に予約して、やっと購入できたそうです。金属製で、カメラもついていて、値段もそこそこ。スマホで操作できます。おもちゃメーカーが作っていると言っても、おもちゃというよりロボットです。でも、本物の月探査機のように、砂の上を走らせようとするとギヤに砂が噛んでしまうので「あくまでホビーだ」と、オーナーの方は言っていました。

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帰り際に空を見上げたら、もうすでに全面曇り。自宅についてからもずっと曇りなので、本当に観望会の時だけ晴れてくれていたようです。

台風で全く期待していなかった観望会ですが、透明度もかなり良く、多分科学博物館で見せた電視観望ではこれまでで一番綺麗に見えた口ではないでしょうか。せっかくの好条件だったので、もっとお客さんが来てくれればよかったのに...。

実は福島の星まつりでSWAT350を手に入れました。UNITECさんのところで話していて盛り上がり、後日レポートを書くということで、特価で譲ってもらうことになりました。実際に試してみて、忌憚のない意見が聞きたいということなので、思う存分楽しみます。


SWAT到着

福島の星まつりの後、しばらくしてから自宅にSWATが到着。ご存知の方はご存知かと思いますが、そもそもSWATは1軸での追尾精度を追求したコンパクトなポータブル赤道儀です。

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青いボディーがかっこいいです。

今回手に入れたものは、PEC付きのSWAT-350V-spec Premiumという機種で、SWATの中でもフラッグシップモデルに当たります。ピリオディックエラーの精度はノーマルでも+/-4.5秒前後と相当なもので、PECが効く片側荷重だとなんと+/-2.8秒前後と驚異的な性能を出すそうです。基本的にはその高精度な追尾を利用した、ガチ撮影用のポータブル赤道儀なので、元々考えていた使用法は、
  • 海外での撮影のための軽量機材
  • もしくは本格撮影の横で、簡単に設置しての撮影
とかです。


SWAT超進化

でも今回SWATで試したのは精度を測るとか、そんな高尚なことでは全然ありません。代わりに超面白いアイデアを思いついてしまったのです!!

SWATは1軸のポタ赤なので、赤緯にあたる2軸目をそもそも持っていません。できることは基本的に精度のいい自動追尾のみ。当然自動導入はできませんし、最近流行りのプレートソルブなんかは夢のまた夢です。もちろんそれを納得して手に入れました。でも実際に撮影しようとすると、これまでずっと自動導入とプレートソルブに頼り切っている軟弱な私には、DSOのマニュアル導入はめんどくさすぎることに気づいてしまったのです。天気もあまり良くなく、実際テスト撮影しようとしても画角もなかなか定まらずで、しばらくSWAT君放っておいてしまいました。

ある日、SWATのことを考えながら風呂場でシャワーを浴びていたら、ふと思いついてしまいました。追尾精度は全然無いが超高機能のAZ-GTiを、超シンプル機能だが超高精度のSWATに載っけたらどうなるんだろう?

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「えーっ??」と思った方もいるかもしれませんが、でもこれかなりすごいですよ。


SWATで自動導入とプレートソルブ!?

SWATは普通に三脚にネジ止めします。底面が斜めに傾いているので、日本だと北方向に置くと、ちょうど回転軸が北極星方向を向くようになります。

AZ-GTiはデフォルトでは経緯台ですが、ファームをアップデートすれば(メーカー保証はありませんが)赤道儀モードで動かすことができます。今回はセットアップといっても、赤道儀モードのAZ-GTiを、本当にそのままSWATに載っけるだけです。AZ-GTiを赤道儀モードで使うときに大変なのは、極軸方向に向けるための傾いたアダプターを用意することです。タカハシなどで販売していますが、それでもそこまで頑丈ではなくて揺れてしまうこともあり、気にする人は自作したりしています。今回はこの斜めアダプターもSWAT自身が兼ねてくれます。

鏡筒は北極星方向に向けて取り付けます。天体導入完了まではSWATの電源は入れず、AZ-GTiだけを使います。なんならPC上のSynScan Proと接続して、さらにASCOM経由でSharpCapと繋いでおけば、初期アラインメントの時からプレートソルブすることさえできます。もちろん、自動導入の際もプレートソルブ機能を使えます。

導入が完了したら、駆動をAZ-GTiからSWATに切り替えます。撮影は精度のいいSWATを使うということです。ちなみに、以前測定したAZ-GTiの追尾精度が実測+/-75秒くらいだったので、SWATの精度が+/-4.5秒とすると17倍、+/-2.8秒だとしたら27倍の精度向上になります。なので、こんなことができます。

キャプチャ

え?何がこんなことかって?露光時間をよく見てください。望遠鏡接続パネルでは確かにSynScan Proに接続しているにもかかわらず、何と1枚180秒の3分露光ですよ!もちろんノータッチガイド(死語?)です。

鏡筒はFMA135で、カメラがUranus-Cと、とりあえず普段の電視観望そのままですが、画角的には撮影対象に困ることはない、ちょうど良いくらいです。これくらいの焦点距離なら、このSWATの性能で3分露光だと、1ピクセルさえも動かないくらいで、ガイドなしで全然余裕です。

SWATの精度とAZ-GTiの機能のいいとこ取りというわけです。


実際の設置

実際に試した手順を書いておきます。まず、組み立ては簡単そのも。三脚とSWATとAZ-GTiと鏡筒とカメラをネジで止めていくだけです。全部組み合わせても、片手で持てるくらいの軽さで、持ち運びも余裕です。

電源はというと、カメラを駆動させるためのPCからのUSB、SWATを駆動させるためのDC12Vだけなので、ケーブルは全部でわずか2本です。ケーブルの数が少ないのも簡単撮影ならではだと思います。ケーブル数が少ないのは、トラブルを起こす率も下がるので、実用上もメリットがあります。

設置ですが、今回はSharpCapの極軸合わせを使いました。ドリフトでズレていく量を抑えたいからです。1分角程度のGoodまで出せばもう十分です。

次にAZ-GTiで初期アラインメントをします。最近は面倒くさいので、本格撮影の時でも極軸は合わせても水平は取っていないです。そのため、一番最初の導入では少し目標とズレてしまうこともありますが、気にせずアラインメント完了にして、そのままプレートソルブしてしまいます。プレートソルブはすごく便利で、これが使いたくてAZ-GTiをくっつけたといっても過言ではありません。同期までうまくいくと、初期アラインメントした天体が画面に出てきます。SWAT使用でこんなことができるとは感無量です。初期アランメント完了後は、目的の天体に自動導入します。今回はM8干潟星雲とM20三裂星雲としました。

天体が画面内に入ってきたら、SWATに切り替えます。きちんと撮影位置まで来なくても、そこそこの位置に見えたら、SWATに切り替えてしまって構いません。この切り替えがまたポイントで、まずSWATの電源を入れますが、その際にAZ-GTiの電源を切るのではなく、恒星追尾をオフにするだけします。そうするとAZ-GTiはこれ以上追尾はしませんが、モーター駆動は2軸ともまだ生きているので、画角の微調整がSynScan ProやSharpCapの望遠鏡制御パネルなどからできてしまうのです。AZ-GTiは追尾さえしなければ精度が悪くなることはなく、構造的にはかなり頑丈です。

AZ-GTiをワイヤレスのリモートコントロールができる強固な微動雲台と考えると、ある意味とんでもなく格安です。AZ-GTiと組み合わせることで、SWATが精度そのままで根本的にアップグレードされたみたいで、便利すぎる使用感となります。


撮影の開始

準備ができたので、実際に撮影までしてみましょう。

撮影ソフトは簡単のためにSharpCapを使います。SWATの精度が期待できるので、ガイドはしません。なので、わざわざガイドにきっちり対応したNINAとかを使う必要もありません。EAFも使わないのでピントはマニュアルです。カメラの冷却さえもしないので、PlayerOneのカメラのDPS(Dead Pixel Suppression)機能でホットピクセル除去を期待します。一応今回はSharpCapの簡易ホットピクセル除去も念のため使いました。できるだけ簡単撮影がモットーで、後でダーク補正をする気など全くありません。

露光時間ですが、とりあえず今回は3分で試します。電視観望を利用した撮影に比べて、1枚あたり十分な露光時間が取れるため、合計撮影枚数を減らすことができるます。このことは二つのメリットがあります。
  1. 1回の露光のたびに入ってくる読み出しノイズの緩和が期待できること。
  2. カメラのアナログゲインを下げることもでき、ダイナミックレンジを十分に残した撮影ができ、飽和を防ぎやすくなります。今回はHGCモードが発動するゲイン200を選びました。
これまでのAZ-GTiを利用した電視観望的な撮影(1回の露光時間が10秒とかの短い撮影のこと)とは一線を画します。

撮影は後の画像処理を簡単にするために、試しに電視観望的な撮影としてライブスタックを使ってみました。一旦撮影が始まったらあとは放っておくだけです。たまにライブスタックされている画面を見てみますが、順調にノイズが軽減さていきます。

調子に乗って、3分露光で合計2時間くらいライブスタックしてしまいました。それだけ撮影しても、見ている限り恒星の流れはなく、SWATの精度とAZ-GTiが動いていないことでその精度を壊す様なことはなく、全体として非常に精度良く追尾してくれているようです。

取得できた画像ですが、3種類あります。
  • 全てスタックされて見た目も画面そのままのPNGフォーマットの画像が1枚
  • ストレッチなどしていないRAW画像のFITSフォーマットの画像が1枚
撮影終了時にすでにスタックや、PNGファイルはストレッチまで完了しているので、その後の画像処理もかなり楽になります。

今回は比較のために、
  • 毎回の露光ファイルも全て保存
の計3種類です。

SharpCapで自動的に1枚にスタックされたPNGとRAW、さらに自分でスタックしたものでそれぞれ仕上げて、後で出来を比べることにします。


画像処理しての比較

3種の画像で最後まで処理してみます。

ライブスタックされたものを見たまま:
まずはライブスタックされ、ストレッチまでされたPNGファイルです。あらかたの画像処理はすでに終わっているようなものです。これに5分程度Photoshopで処理しただけのものになります。

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8bitで出力されるので、あまり大したことはできませんが、それでもかなり出ていますね。周りの分子雲がノイジーなことと、恒星が少しうるさいかもしれません。それでも3分x39枚=1時間57分の露光で、星は全くズレていません。これだけでも驚異的かと思います。


ライブスタックされた1枚画像をストレッチなしで:
上のように、これくらいまで出るならもう十分かとも思いますが、ここから次の画像と比較していきます。二つ目はスタックまではされてますが、ストレッチはされていない暗いままで、RAWフォーマットに近いものになります。RAW画像なのでPixInsightでSPCCなどのリニア処理をして、ストレッチした後にPhotoshopに渡します。

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さすがに画像処理も多少凝ったことができるので、PNG画像よりはマシになります。StarNetを使うことで特に恒星がうるさいのを消すことができています。BXTは比較するにはチートすぎるので、今回は使っていません。


ライブスタック時の1枚1枚を個別に保存し、マニュアルでスタック:
最後が一番手間のかかる、3分露光が48枚あるファイルを、自分でスタックするところから始めます。ホットピクセルはほとんど出ていないとして、ダーク補正はなし、公平を期すためにフラット補正も無しとします。

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一から手間をかけただけあって、多少滑らかになってます。でも、輝点が少し目立ってしまっています。やはりここまでやるなら真面目にダーク補正をしてもいいかもしれません。


SWAT+AZ-GTiの威力

今回のアイデアですが、もしかしたらすごい組み合わせかもしれません。ガイド無しで本格的な撮影がかなり楽にできる可能性を秘めています。というかなんか楽しくて、早く次の撮影を試したいです。梅雨で天気待ちなのですが、メイン鏡筒の横で気楽に試せそうなのが良いです。

あまりに楽なので、是非みなさんにこのアイデアをオススメしたいです。
  • SWAT持ってる人はAZ-GTiを買おう!
  • AZ-Gtiを持っていて精度のいい撮影をしたい人はSWATを買おう!
  • SWATとAZ-Gtiの両方を持っている人はすぐにでも試してみてください!

SWATを高いと思うかもしれませんが、1軸に絞っていることもあり、この価格でこの精度を出せるのはむしろ格安というか、多分最安です。一気に長時間露光の本格撮影に手が届きます。


反省点と次回挑戦

今回の撮影の失敗点ですが、ノータッチガイドだけありどうしてもわずかなドリフトが出てしまい、数時間という露光時間のオーダーだとゆっくり画角が一方向に流れていきました。これが結果として、縞ノイズとなって出てしまいました。画像処理である程度誤魔化しましたが、やっぱりガイド必須かなあと思ってしまったのは事実です。それでもやはり「簡単撮影にしたいのになあ」、「ケーブルが増えるのやだなあ」との思いがあります。

そんなことを考えていたのですが、「そういえばSharpCapのライブスタックにディザー機能があったはずで、確かガイドなしでも単独で動いたはずだ」と思い出しました。マニュアルを確認してみたのですが、どうやらうまく動きそうです。次回はこれでリベンジしたいと思います。

今回はテストで135mmと短い焦点距離にしましたが、まだまだ全然大丈夫そうなので、今度はもう少し長焦点で試して、SWATの性能に迫りたいと思います。当然ガイドなしです。

他にも次回以降、検証、挑戦したいことを書いておきます。
  • 焦点距離と、カメラのピクセルと、追尾精度の関係の確認
  • ギヤの大きさと精度の関係の確認
  • 精度の実測
  • SWAT各機種との比較と、それぞれどこまでガイドなしでできるか計算
などです。たくさんやりたいことありますが、無理のない範囲で進めていきたいと思います。


 
 
 








皆既月食の敗北で打ちのめされ、仕事が忙しいのと、天気がイマイチでしばらく立ち直れなかったのですが、5月29日の土曜日、晴れたので今度山に行くための準備をしました。超コンパクトな電視観望システムの構築です。でもその後も、しばらく乗り気にならず、記事も今になってしまいました。

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皆既月食の日に一瞬だけ見えた月です。その後撤収まで二度と出てきてくれませんでした。夕方青空が見えてきたのでTSA-120とFS-60CBと50mm+6Dで広角とフル体制だったのに...。

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歩きでも持っていける電視観望システム

来週6月12日、久しぶりに立山に行きます。スターウォッチングの講師です。車は駅に止めてそこからケーブルカーとバスなので、持っていける荷物の量が限られます。立山のスターウォッチングも最初の頃は張り切ってAdvanced VXを丸々海外旅行用の大きなトランクに入れて持っていってたりしたのですが、そのうち機材の軽量化とともにNexstar、AZ-GTiと楽になっていきました。それでも鏡筒はずっとFS-60CBでした。前回FMA135で電視観望を試したのですが、口径3cmにもかかわらず、その性能の良さとコンパクトさもあり、すこぶる快適でした。



でも欲望にはキリがなく、これだけコンパクトになってくるとAZ-GTiでさえ大きいと思ってしまうのです。立山は歩きもありますし、荷物は軽ければ軽いほどいいです。もう少しコンパクトにならないか試してみました。ポイントは3つです。
  1. AZ-GTiを無くしてただの自由雲台に
  2. ついでに三脚も超コンパクトなものに
  3. ASI294MC Proの広いセンサー面積を利用
組み上げた様子はこんな感じです。

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重さは三脚まで合わせても1550g。これなら歩きでもほとんど苦にならないでしょう。でもコンパクトにしても使いにくかったらしょうがありません。そのため検証したいことが3つあります。
  1. 手動できちんと導入できるか?
  2. 星雲はリアルタイムで見えてすぐに見つかるか?
  3. M57などの小さな星雲を解像できるか?
ここら辺を順次確認してしていきたいと思います。


まずはいつものM57

立山でのスターウォッチングが20時くらいからだと思います。6月なので、その時間M57は確実に昇ってきています。M57を見るべく、まずはベガを目印として導入します。導入といっても自由雲台のネジを緩めて、ベガの方向に向けるだけです。ちょっと狙いをつけるのに手間取りますが、さすがに明るいのでPCの画面で見てもすぐに分かります。ただ視野角から言っても、こと座全体が入るか入らないかくらいなので、注意深くM57に向かいます。

問題はこの視野角で見るとM57は相当小さくて、恒星と区別がつきません。

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どこにあるかわかりますか?場所としては真ん中少し下の明るい2つの星の間です。拡大していくと見えてきます。

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明るい星2つを拡大します。明るい星が上下にあって、その真ん中らへんです。これでもまだ厳しいくらいですかね。

すごいのは、FMA135はかなりの解像度なので星が肥大することがほとんどありません。マイクロフォーサーズサイズのASI294MCなら四隅までほぼ完璧です。もっと拡大するとM57がちゃんと見えてきます。SharpCap上で600%まで拡大したものをiPnoneで撮影したものが下になります。これだけ拡大しても恒星とはっきりと区別できるのはさすがの性能です。

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それでもこれだけ拡大しているので、解像度はギリギリと言ったところでしょうか。中心星は残念ながら見えませんが、M57とはっきりと認識できます。


早速トラブル

でもいきなり問題点が露呈しました。気軽に机の上に置いて見ていたのですが、PCの操作をするたびに机ごと揺れるのです。

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そのため、まずM57の導入を済まし、Livestackを立ち上げたところでPCを膝の上に置いて、Livestackをリセットして画像をスタックします。そうしないとブレブレになってしまうのです。地面に置くか、別の独立した机に置いた方がいいかもしれません。

M57の結果:
  1. は一応手動で導入できたので合格。
  2. はリアルタイムで見るには小さすぎ。
  3. はギリギリ合格。
としました。


かわいいM27

次に昇りはじめのM27亜鈴状星雲です。

これはとにかく難しかったです。M57から下に下がっていけばいいのですが、目印がないと星図などと比べながらかなり注意深く移動していく必要がああります。ゆっくりやればいいのですが、お客さんがいて早く見せなくてはと焦ると多分導入できないと思います。M27はM57と比べると大きいですが、それでもかなり広角でとても小さいので、よほど注意深く画面を見ていないと見逃してしまいます。

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解りますでしょうか?下の木の左上、ぼやけた電線の少し上です。かわいいM27が見えています。時間的にも昇りはじめの頃です。

見つかった後は拡大すれば十分きれいに見ることができます。
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M57よりはだいぶん大きいので、M27ならもう十分な解像度かと思います。

M27の結果:
  1. の導入は難しい。
  2. はかろうじて星雲と認識できる。
  3. は十分解像する。
となりました。


屋根から昇る北アメリカ星雲

北に向かって白鳥座を見ます。ある程度時間が経ってくると白鳥座も昇ってくるので、観望会途中から見えてくると思います。北アメリカ星雲は相当大きいので、導入は簡単です。デネブを見つけたらその少し下にあります。ただし、やはりFMA135のF値では暗いのか、リアルタイムで見るには少し淡いです。でも場所は大体わかるので、露光時間を伸ばすかLivestackするかですぐに出てきます。

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屋根から昇る星雲シリーズですが、このネタ以前もやったことがあり、 私のお気に入りです。面白いのは、屋根と星雲の位置を調整するのに気軽に机を持ち上げて、ちょうど両方が視野に入るようにできることです。初期アラインメントとかが存在しないので、途中でも机ごとだろうがなんだろうが移動できます。

北アメリカ星雲の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. はもちろん余裕。
大きな星雲は楽です。


M8干潟星雲とM20三列星雲ここに文章を入力

一度南のほうに行きます。白鳥座が見えている頃には天の川中心も見えるようになっているでしょう。まずは大物のM8干潟星雲とM20三裂星雲です。

これは一発で導入できました。ここら辺まで明るい星雲だとFMA135でも探しながらリアルタイムで見ることができます。

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今回は自宅でのテストで、月がでいないと言っても光害もあるのでQBPをFMA135の先端に取り付けているので、三裂星雲の青はほとんど出ていませんが、立山でフィルターなしで試してみたら周りの青色も見えてくるかもしれません。本番が楽しみなところです。

M8とM20の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は探しながらリアルタイムで見える。
  3. 3はもちろん余裕。
明るくて大きな星雲は超快適です。


M16とM17

すぐ上のM16わし星雲、M17オメガ星雲も見つけるのは簡単です。

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評価はM8とM20と同じです。


最後は網状星雲

最後は白鳥座に戻って網状星雲。こちらは目印のデネブとサドルから少し離れているのと、やはり淡いのでリアルタイムでは見えず、導入に少し時間がかかりました。

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網状星雲結果:
  1. の導入は少し時間がかかる。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. は視野角的にもいい感じ。
この頃には月も雲も出てきて明るくなってきたので、ここで撤収としました。

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ちなみに月も拡大するとこれくらいの解像度で見えます。

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月としては少し解像度不足の感もありますが、機材を変更しなくても見えるので、観望会ではこれくらいでも重宝するのではないでしょうか?


まとめ

FMA135とASI294MCProと自由雲台を使った超コンパクト電視観望システムですが、大きな星雲はマニュアル導入で問題ないでしょう。立山はかなり暗くて環境の良い空なので、淡くてもさらに見やすくなると思います。ただし、M57とかM27とかの小さな星雲はお客さんがいる場合はAZ-GTiがあった方が安全な気がしました。でもお客さんと一緒に導入の苦労まで楽しむとしたら、マニュアル導入でも良いかと思います。

FMA135の性能は特筆すべきだと思います。これだけ短焦点で、これだけの分解能で、この値段。相当小さいM57から大きな網状星雲の全景まで、かなりの範囲で見ることができます。鏡筒の性能が遺憾なく発揮され、これまでとは一線を画した電視観望システムです。

今回、相当コンパクトなシステムとなりましたが、ASI294MCがProでないノーマルモデルならさらにコンパクトになって、超々コンパクトシステムとか言えたかもしれません(笑)。

でももうこれだけコンパクトならカバンに常時入れておいてもいいくらいです。夜になったら突然サッと取り出して電視観望!なんかかっこよくないですか?

いや、普通の人から見たらかなり変な人ですね...。


みなさんこんにちは、ほしぞloveログのSamです。最近「ほしぞloveさん」とか呼ばれたりしますが、ハンドルネームは「Sam」です。「ほしぞloveログ」と書いて星空ブログ(ほしぞらぶろぐ)と読みます。

前回
前々々回の記事で、先週金曜日にペルセウス座流星群と天の川の撮影をしてたと書きましたが、本当は今回書く記事が一番試したいことでした。少し時間がかかってしまいましたが、やっと画像処理も終わったのでまとめておきます。

QBPのこれまでのまとめ

これまで好んで使っていた、サイトロンのQBP(Quad Band Pass)はHα、SII、Hβ、OIIIの4つ(Quad)の基線を通すためこの名前がついています。このフィルターかなり便利で、自宅のような光害地でも、多少の月明かりがあっても、星雲を相当炙り出すことができます。

QBPの作例については以下をご覧ください。

















さらになんと、私がTwitterで電視観望でも使いたいと呟いたリクエストで、QBPのアメリカンサイズまで作ってくれ、もうサイトロンさんには感謝しても仕切れないくらいです。



私にとって、QBPは撮影にも電視観望にも、すでに無くてはならないフィルターになっています。


QBPの不満

このQBP、ものすごく便利なのですが、実は2つ不満があります。
  1. 一つは、最初の方の作例を見てもらうとわかるのですが、普通に赤を出そうとするとどうしても朱色がかった赤になってしまうのです。他の方の作例を見ても同様の傾向が多いので、これはQBPの特徴の一つなのかと思います。でもこれは何度か画像処理をしていて、青を少し強調してやると赤の色バランスがよくなることに気づきました。QBPの特性として、どうも相対的に青色が弱く写ってしまうようです。最後の方のバラ星雲なんかは適度に補正してあるので、初期の頃とだいぶ色合いが違うのがわかるかと思います。
  2. もう一つは記事の中で時々書いているのですが、恒星の色、特にオレンジとか緑とかが出ないのです。これは結局解決に至らず、適当に色が抜けたような状態でごまかしています。なので、どうしても色を出したい場合はQBPをあえて使わない時もありました。
そもそもQBPは青が強いM45プレアデス星団や、恒星の色に近い銀河はあまりきちんとした色が出ないようで、今のところ主にHαを出したい時にQBPをよく使っています。

そうは言っても、QBPはこの手のフィルターにしては比較的波長帯の制限をゆるくしてあるために、色バランスが崩れにくいというのが大方の評判で、私もその意見に賛成です。ただ、上記のような不満もあるのも事実なので、これをなんとか改善できないかとずっと思っていました。


CBPの検証開始

今回やったことはサイトロンから少し前に発売されたCBP(Comet Band Pass)フィルターの検証です。

 

一方、今回使ってみたCBPは彗星用に開発されたフィルターということもあり、青や緑の波長帯を通すとのことで、QBPの弱点であった、赤以外の色が意外にバランスよくでるのではという期待があります。ただ、星雲用に開発されたわけではないので、これは自分で試してみないとよくわからないでしょう。

というわけで、毎度のこと前置きが長かったですが、やっと検証の開始です。

今回のターゲット天体は青色を適度に含むM20、三裂星雲です。機材はTSA-120に35フラットナーをつけ、ASI294MC Proで撮影をします。もう8月後半なので、M20は宵のうちから高い位置にあり、しかもこの日はちょうど下弦の月のころなので、M20が沈むくらいまでは月は出てきません。さらに前回の記事でも書いたとおり、この場所は天の川が結構はっきり見える(2つに分かれているのは十分に分かります)場所なので、光害の影響があまりないところです。条件としてはいいのですが、光害のカットという意味での検証にはならないということは注意が必要です。

今回はM20を
  1. フィルター無し
  2. 48mmのCBPを取り付ける
  3. 48mmのQBPを取り付ける
という3つのケースで撮影して比較したいと思います。時間的にはこの順番で、それぞれ上から17枚、9枚、6枚撮影しました。枚数が違うのは、だんだん時間が無くなってきて焦ってきたからです。同じ日で撮った方が公平になると思ったので時間が限られてしまいました。ここら辺はご容赦ください。

高度から考えると、時間と共に位置が下がってくるので、1のフィルター無しが一番有利で、順にCBP、QBPとなるはずで、QBPの7枚目以降はまだそこそこ高度はあったのですが、背の高い木が少し入ってしまったので、そういったうまく撮れていないのは省いた枚数になります。


結果の比較

今回非常に面白い結果が得られたので、早速撮影された画像を見て見てみましょう。画像はどの場合も、1枚のRAWファイル(fits形式)をPixInsightでDebayerして、STFでオートストレッチをかけただけです。画角が同じなので、オートストレッチが公平に働いて、画像の質によって星雲などのコントラストがそのまま表されてきます。

1. フィルター無し

まずはフィルター無しのノーマルです。
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フィルターなしの場合。

特に色をあぶり出したりしているわけではないので、のっぺりした色合いになっています。それでも暗いところなのでM20の赤と青はそこそこ出ています。


2. QBP

先にQBPを見せます。
masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
QBPフィルターを適用。

QBPの実力通り、フィルター無しに比べて赤が相当強調されています。実際に画像をスタックして画像処理までして比較してもみたのですが、一枚でこれだけ差が出ていると、スタックしても結果に大きな違いが出ます。フィルターなしの方が枚数が多いので当然ノイズは少ないですが、淡いところの赤を出そうと思っても最初から色が出ていないものは後から処理してもなかなか出てきません。枚数が少ないQBPの方が遥かに簡単に色が出ます。


3. CBP

ではお待ちかね、最後はCBPです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180
CBPフィルターを適用。

明らかに青がノーマルの時よりはもちろん、QBPの時よりも強調されています。赤はフィルターなしの場合より濃くなっていますが、QBPよりは若干薄いでしょうか。


分かりやすいように並べてみます。

com1

左から、フィルターなし、QBP、CBPの順です。CBPで青が明らかによく出ているのがわかるかと思います。赤い三裂(4裂?)の周り、特に上部や下部の青なんかは違いが顕著です。

赤はやはりQBPが一番出ていますが、ノーマルと比べるとすでに朱色がかっているのがわかるかと思います。CBPは赤に関してはある意味ノーマルとQBPの中間で、まだそこまで朱色がかっていないです。

これは期待通りというか、期待以上の結果です。


光害に対する効果

QBPよりもCBPの方が波長の透過域が増えるので、光害に対しての効果は減ると推測されます。今回は光害の影響があまりない場所での撮影だったので効果が分かりにくいため、あくまで暫定的ですが少しだけ評価してみます。

PixInsightのSTFのオートストレッチは、画像の持っている明るさによってストレッチ(あぶり出し)のパラメータを決めます。撮影したRAWファイルを何倍くらい明るくするかは、(同じ画角で撮った場合)光害に依るという意味です。光外の少ない暗い画像ほど大きな倍率をとって明るくするはずですし、光害が多く明るく写った画像ほど倍率は小さくなるはずです。出来上がった画像の(背景の)明るさはあまり変わらなくなります。

そのため、撮影した画像の背景の明るさと天体(淡い星雲)の明るさに差があるほど、背景を同じ明るさにした場合には天体がよりコントラスト良く浮き上がってくるはずです。この時のオートストレッチの倍率を比較することで、光害がどれだけ軽減されるか、言い換えると光害防止フィルターがどれくらい働いているか推測することができるはずです。

オートストレッチの値から、フィルターなしを1としたときにQBP、CBPでそれぞれ何倍明るくしたかを表にしました。色によって倍率が違うのでRed、Green、Blueで別々に計算しています。具体的にはSTFのスパナマークを押すと表が出ます。最初なかなか意味がわからなかったのですが、いろいろ試して、結局真ん中の列の逆数が元の画像から何倍ストレッチしたかに相当することがわかりました。結果は以下のようになります。

 RGB
No filer111
QBP3.983566944.486127173.40584795
CBP3.537339063.440159572.7432878

さて、結果をじっくりみていきましょう。


QBP:


この結果を見ると、まずQBPはフィルターなしに比べて4倍くらい明るくできるので、言い換えると余分な光を4分の1くらいにしているということがわかります。以前、波長帯の広がりからざっくり4倍くらい得すると推測していましたが、実測もかなりこの推測に従っているようです。




CBP:

次にCBPです。まず第一に、結果の数値だけを見るとそこまでQBPとは大きく違わないというのが印象です。CBPの方がかなり(下手したら何倍も)明るく出るのではと思っていたのですが、平均だと1.2倍程度です。

R関しては除去比は少しQBP劣りますが、ほとんど違いがありません。GとBに関してはCBPの方が光害を除去しないことになります。と言っても高々1.3倍とか1.2倍です。これはCBPが彗星の核や尾のCN, C2, C3らの基線を透過させるように、主に紫外から青を新たに通すように設計してあるため、この波長での光害に対する除去効果は軽減されるので納得です。ただ、青よりも緑の方が違いが大きいというのが少し疑問ですが、Gセンサーも青の帯域に感度はあるので、これはあり得るのかもしれません。

ここでパッと疑問に思ったのは、青に対する明るさの倍率が低いCBPがなぜQBPよりもより青色を出すか?です。これは当然、これまでカットしてしまっていた青い光をより通すようになったからと考えることができます。倍率が低くても、捨てていた青い光を拾った方が得だったということです。


結論

というわけで、ここでの結論は「CBPはQBPよりも光害に対する効果は多少低いが、違いは全然大きくはなく、むしろ青を通すことでより強調する効果がある。これは青い成分を持つ星雲に有効である。」と言っていいのかと思います。もちろんこの値は光源に依ります。繰り返しになりますが、今回は光外の影響があまりないところで試したので、街明かりの場合や月明かりの場合は結果が違ってくる可能性もあるかと思います。

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さらなるCBPの効果

でもでも、実は面白いのはここからだったのです。この検証の過程で3つの画面を見比べていて、一つ気付いたことがあります。もしかしたら勘のいい人はもう気付いているかもしれません。

上で出した3つの比較画像のそれぞれの左上の明るい星に注目してください。その左横に2つの星があると思います。これを3つで見比べてみてください。わかりやすいように拡大して並べて比較します。左からフィルターなし、QBP、CBPです。

com2


わかりますでしょうか?

なんと、CBPの星像が一番小さくて、しかも色がきちんと出ているのです。ピントの違いの可能性もありますが、他の星の大きさが大きくは変わっていないので、おそらくピントは関係なく、フィルターの違いから来ていると思われます。これは最初の方で書いた2つ目の不満「恒星の色が出ない」を解決する可能性があります。特にオレンジに近い色が出なかったので、期待できます。


なぜこんなことが起きるかというと、ここからはまだ推測なのではっきりとは言えませんが、QBPは実は赤外を通すのではという推測があります。シベットさんがここらへんの話に詳しくて



に記述があります。また、あぷらなーとさんの最近の実験でもその推測を推す結果となったようです。

QBPは赤外を素通しで、赤外の方では収差を補正しきれていない鏡筒ではハロとなって出るが、それに比べて、CBPはきちんと赤外の波長が透過しないように処理もしてあるのではという推測です。このハロを除去したい場合、QBPでは別途フィルターを入れる必要があるが、CBPでは1枚で済んで、恒星の色の再現性も高いということが考えられます。

これまでQBPで恒星の色が出なかったという方は試してみてもいいかもしれません。


まとめ

というわけで長かったですが、CBPの検証はこれで終わりです。赤はもちろん青も出て、色バランスも良く、恒星の色もきちんと出て、光害にも効果がありそうというので、私的にはある意味理想的なフィルターになりそうです。CBPはQBPであった不満をほとんど解決してくれそうです。かなり期待できそうなので、今後CBPの作例を増やしてもう少し検証していきたいと思います。


次の記事で今回撮影した三裂星雲を画像処理して仕上げています。



 

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