ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ImPPG

分光撮影で、太陽のコロナの構造を一部見ることができます。これはすごい!


コロナは簡単には見えない

太陽のコロナは非常に淡いため、通常の観測では見ることができません。そのため皆既日食で暗くなった時に、周りの放射状に広がっていくコロナが観測されるのはよく知られています。

コロナは太陽の周りだけでなく、光球面にもその複雑な構造が存在しています。コロナは100万度以上の高温で、可視光よりもX線での放射が大きく、その構造はX線で観測することで見ることができます。X線を見るカメラは、研究レベルでは民生品(浜フォトなど)が手に入ります。ですが、太陽からのX線は地球の大気で吸収されてしまうため、たとえX線のカメラを使ったとしても、地上から観測することはできません。そのため、通常は衛星からの撮影に限られてしまうので、どうしてもアマチュュア天文では手が出ない、研究ベースのものになってしまいます。

ですが、可視光の範囲にもコロナの情報を含む波長が存在するのです!今回利用したのは、以前撮影したHe D3線です。



といっても普通にHe D3線を撮影しただけだとノイズに埋もれがちなので、He D3画像を50枚とか100枚とか、枚数を稼いで統計的にノイズを減らして、より淡い構造を見ることでやっと出てくるくらいのもののようです。


なぜHe D3にコロナの情報が含まれるのか?

例えば1975年のこの論文に、太陽表面ではなく縁(へり)についてですが、比較的わかりやすく議論されています。PDF版が右のアイコンをクリックすると無料で読めるので、興味がある方は読んでみてください。

ごく簡単に説明すると、ヘリウムがコロナのXUV 放射(X 線および極端紫外線放射)で励起されるならうまく説明できるだろうと書かれています。その励起のアイデアはなんと1939年に提唱されていて、さらに1971年このアイデアが支持されたということで日本人の論文が参照されています。

論文ではコロナの放射がHe I及びHe IIにどれくらい影響するかを定量的に見積もり、最終的にD3線の輝度で見えるレベルになるのかどうかの評価を数値的に確認し、D3線で十分なコントラストで見えることが示されています。議論は主に縁についてですが、最終的にはコロナホールなどの構造でもうまく適用できるとして、実際にうまく撮影ができている例があると結論づけています。

50年以上も前からこんな議論がされていたことに驚くのですが、それでも研究レベルのことがアマチュア天文の機材で簡単に楽しめる時代になったということは、やはり機材や画像処理のものすごい進歩を感じざるを得ません。


撮影

撮影ですが、以前のHe D3の撮影の記事でも説明した通り、D3線は輝線のみなので基本的に明るく、そのまま見ても構造は全く見えません。撮影した画像から、少し波長をずらした連続光を、画像処理においてさっ引く必要があるため、D3線を含みながら近くにある暗線を含めて、多少広い波長範囲で撮影してやる必要があります。

さらに今回は枚数を稼ぐ必要があります。分光での撮影は早くても1回につき30秒から1分程度かかります。50枚とか100枚撮影しようとすると1時間オーダーのそれなりに長時間撮影になるので、太陽方向からずれていかないように赤道儀の極軸合わせの精度が重要になります。昼間の撮影になるため当然北極星は見えず、赤道儀の極軸の精度があまり出ないので、最初のうちは数枚連続撮影するだけで、徐々に見えている太陽が東西方向にずれていってしまいました。

前回の撮影時の経験から、太陽が画面で見ていて左側にずれていった場合、赤道儀を水平方向に(モーターでなく、赤道儀の根本のネジで)東方向(上から見て時計回り)に回転させることで補正できることが分かっていました。今回は画面で見て右にずれていったので赤道儀を西方向に回転させ調整します。でも何故かどんどんズレが大きくなっていく気がするんですよね。何度か回転させた後やっと気づきました。あ、昼ですでに天頂越えして赤道儀が反転してるから、画面で動く方向が逆になっているんだと。単純なことですが、最初からはなかなか気づかないものです。極軸調整後は10枚以上撮影しても全くずれなくなりました。

撮影時間は2025年11月4日の昼前11時から40分くらいです。11時の時点で赤道儀はすでに反転していたので、その後も画像を反転などする必要がなく一定方向で撮影できました。今回は52枚撮影し、その中の51枚を使用しました。もう少し枚数を稼ぎたかったのですが、最後は雲が出てきて終了となりました。


画像処理

撮影した51枚のスタックですが、まずImPPGで位置合わせして、その後PixInsightのFFTRegisgtrationでさらに位置合わせをします。その際は「拡大縮小」に加え、「回転」と「大きな変換」オプションもオンにしましたが、ログでずれを見ている限りImPPGだけでもほとんど位置は合うのかと思います。FFTRegisgtrationはスタックも同時にやってくれるので、今回はそのままこちらのスタック機能を使用しました。まずはスタック直後の画像です。この時点ではコロナの構造などはまだほとんどわかりません。JSol'ExではP角の補正を自動でしてくれるので、一般の画像と比べるためにこの時点でその日の傾きの約24度ぶんを時計回りに回転させています。
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コロナ構造の比較

JSol'Exの出力の時点で十分明るい画像になっているので、極端なストレッチは必要ありません。それよりも、どの程度の輝度の変化を見やすくするかという観点でのストレッチが重要になります。あと、輝度を反転させると構造がわかりやすくなります。He D3線の結果です。波長は5875.62Åになります。

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下は、同日11月4日のX線の比較画像です。残念ながら、いつも見ているSDOが機器の故障で9月13日を最後に更新が止まってしまっています。それでもこれもいつも見ている宇宙天気ニュースが日別に更新てしてくれていますし、SOHOが動画になってしまいますが、各波長で公開してくれています。今回は宇宙天気ニュースの画像を使用しました。元はGOES衛星のSUVI 195カメラとのことなので、195Åになります。X線なので、上のHe D3線の30分の1程度のかなり短い波長になります。

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どうでしょうか?全然波長が違うにもかかわらず、X線で見えるコロナホールと呼ばれる暗い大きな面積部分と、その周りにある黒い筋のような線が、He D3線でもかなりかなり再現されていることがわかります。上下に暗い部分が出てしまうのは機材によるわずかなムラで、どうしても上下が明るく写ってしまいます。それが反転して、ここまであぶり出した結果暗くなってしまいます。白い明るい部分はこの日の活動領域で、コロナではないですがこの部分の形も同じようなものが再現できています。


まとめ

He D3を使ったコロナ構造の観測は古くから行われていますが、Solexの広がりきっかけで、アマチュアレベルでここまで見えるようになってきました。今回、私もやっとSHG700を使って自分で確かめることができました。

今後も機器の発達や、新しいアイデアで日食でなくてもコロナを観測する方法が出てくるのかと思います。例えば、「コロナグラフ」と呼ばれる、円盤などで光球面を覆う遮蔽を使って人工日食を作りコロナを観測するというアイデアは昔からあって、最近ではProba-3が本当の日食で撮影したかのようなコロナ画像を出しています。アマチュア天文の範囲コロナグラフがうまくいったという例は探した限り見つかりませんでしたが、分光を使った方法やさらに全く新しい手法が出てくるかもしれません。将来どこまで見えるようになるのか、とても楽しみです。


前回記事で、やっと1枚分の画像を処理しました。


それでも、細かい部分は分光撮影特有のブレが生じてしまっています。今回はこれを改善します。

今回の紹介するスクリプトは、SHG700に特化しているわけではないので、Sol’Exユーザーにも有効な撮影方法になるかと思います。


分光特有のブレ

改めて拡大して細かいところを見てみます。

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黒点部分も、プロミネンス部分も、潜在的な分解能はそこそこあるのに、縦縞のようなブレが起きてしまっていて実質的な分解能が落ちてしまっています。

このブレを理解する前に、分光撮影から太陽画像の再構築がどうやって行われているかのプロセスをきちんんと理解しておく必要があります。


どうやって太陽画像をつくるのか

まず、鏡筒から出てきた光が7μmという細いスリットを通り抜け、細長い形をした光が回折格子にあたります。回折格子では波長ごとに分光され、空間的に広がりを持ってカメラに向かっていきます。カメラのところでは、その分解された光がセンサーの縦方向に広がって記録されますが、ROIで縦方向を200ピクセルに制限して記録しているので、(分解能が約0.1Å/pixelと分かっているので) 合計で約20Å幅ぶんが記録されます。

一方、センサーの横手方向は、赤道儀のモーターでRA方向にスキャンすることで、太陽を縦方向にスライスしていった線が、横向きになって記録されていきます。この横に長い線は、センサー上の縦方向に波長ごとに広がって記録されるので、面積を持った像になります。この時の一本の線から得た面積を持った画像が1コマとなり、それを連続してスキャン撮影することで動画として記録しています。

同じ波長の線、ここではHα線を考えましょう、この線は一直線にはならずに今回の場合上に凸の曲線になります。

07_13_53_0000_07_13_53_average

暗い部分がHα線に相当し、赤い曲線はその中で最も暗い部分をフィッティングした線です。この曲線に沿った同波長の部分を1コマの画像から取り出し、直線に変換します。その直線が太陽全景を描くための一本の縦線となります。それら一本一本の線をプリンタのように書いていくことで、一枚の太陽の全景画像が出来上がるというわけです。


なぜブレるのか?

このように全景画像をどう再構築するかを理解しておくと、なぜ分光撮影の場合に細かいブレがしょうじてしまうのかが理解できます。直接の原因は、スキャンしている間に機材に揺れが起きてしまうことです。ある一本の線を撮影するときの揺れと、次の一本の線を撮影するときの揺れは、撮影する時間が違うために揺れの分だけずれてしまいます。

一般的な撮影でこのようなズレが起きないのは、画面全体を面積として一度に撮影しているからです。画面内では分光の時の線のような時間的、相対的なズレはなく、全体的な揺れが撮影時間で平均されたものになっているだけだからです。

改めて最初の拡大した画像を見てみます。特に太陽表面とプロミンセンスの境のところを見るとよくわかりますが、縦方向に細かい線のようになっているブレが目立ちます。一瞬スピキュールと思うかもしれませんが、スピキュールなら表面とプロミネンスの境界線に対してほぼ垂直に立つはずです。でもこれらの線は、境界線の上でも横でも下でも、たとえ太陽表面内の真ん中でも、全部縦方向のみに表れます。これは縦線を並べていく際に、縦線の縦位置がブレているものを並べたからだということがわかります。

スクリーンショット 2025-06-23 195202_cut

一本の縦線は一度に撮影するので、相対的なズレはないが、各縦線は別時間に撮影しているために、縦線同士ではどうしても相対的なブレが生じてしまっているということで、これは分光撮影では原理的に完全に取り去ることは難しいでしょう。

また、一本一本の線が完全にバラバラにブレているというわけではなく、何本かまとまってゆらゆら揺れているのがわかります。この揺れのエンベロープをたどっていくと、機材が時間的にどのように揺れていったのかがわかります。この揺れは情報として残っているので、それを補正するように線を置いて行けば、一枚画像でももっとブレの少ない画像になるはずですが、探した限りではそのような補正をしているソフトは見つかりませんでした。(2025/7/4 追記: JSol'ExのImage Enhancedに「Jagged edges correction」という似たような試みがありました。でも実験レベルとのことで、試してみましたが、プロミネンスを段差と認識してしまったり、確かに実用レベルにはなかなかならないようです。)このような試みも、次に書く改善方法の一つだと思います。


改善方法

これらのブレを改善するためには、まず直接的には揺れを抑えることです。この機材の揺れはどこが大きいかというと、やはりネックとなっている鏡筒とSHG700の接続部が弱いので、鏡筒に対してSHG700本体が大きく揺れていると考えていいでしょう。もちろん赤道儀や鏡筒部分も揺れてはいますが、特に風邪などが吹いた場合にはSHG700自身がどうしても一番揺れてしまうのかと思います。実際、分光撮影では風が一番効くという記述が多くあります。シーイングがいい日を選ぶのも大事ですが、分光撮影ではまずは風の静かな時を選んだ方がいいというのは理にかなっている気がします。

もう一つの改善策は、惑星撮影での画像処理のように、多数の枚数を撮影して、画像を歪ませて位置合わせをしてスタックすることです。通常の太陽撮影でもスタック処理はしますよね。太陽でも私の場合、最近は200フレーム、必要なら500フレームとか1000フレームとかをスタックします。

今回はこの多数枚スタックを試してみたいと思います。

ただし、分光撮影では1枚の画像を作るのも結構な手間なので、そこまで枚数を増やすことはできません。いかに手間をかけずに多数枚撮影するかが鍵となります。


SharpCapで自動連続スキャン

ここまでが前振りで、やっと今回書きたいことに辿り着きました。多数枚のスキャンをどうやって楽にやるかです。ここでは、SharpCapのスクリプト機能を使います。

まずはこのページで紹介されているスクリプトをダウンロードします。SharpCapで連続スキャンを実現するスクリプトです。上の方にあるオリジナルは中国語ですが、英訳されたバージョンが下にスクロールすると見つかります。落としたZIPファイルを適当なフォルダに展開します。

SharpCapを立ち上げ、メニューの「ファイル」->「SharpCapの設定」から「起動スクリプト」タブを選択します。「追加」ボタンを押し、上記スクリプト(SHG_SharpCap-Script-202XXXXX.py) をSharpCap起動時に読み込むように設定します。SharpCapを再起動すると、アイコン群の中の右のほうに「SHG」と書かれたボタンができるはずなので、それを押すと次のような画面が出てくるはずです。

スクリーンショット 2025-06-22 111159

設定はある程度見ればわかると思いますが、
  • 「Target」はとりあえずSun-Hαを選びます。
  • 「Slew Rate」の値は赤道儀によりますが、4とか8とか16になるかと思います。この値は先に一度マニュアルで撮影した値と同じでいいはずですが、私の場合その時の8だとなぜが遅くなったので、最終的には結局16としました。
  • 「Duration of each Video Record(sec)」は何秒間撮影し続けるかです。上のSlew Rateにも依存します。一度マニュアルで太陽の端から端までスキャンして、時間を測るといいと思います。それより多少長めに設定します。私の場合、太陽が通る時間は15秒くらいですが、ここでは30秒と指定しています。なかなかぴったりとは収まらないので、ある程度余裕がないと、像が途中で切れてしまいます。
  • 「Delay before Record(sec)」は録画前に何秒待つかですが、決めにくいパラメータの一つです。私はとりあえずデフォルトの3秒にしておきました。
  • 「Fine tuning(sec)」はモーターが加速しはじめてから一定のスピードになるまでの時間のようなのですが、あまりよくわかりません。説明には1とか1.2がいいと書いてあります。とりあえず1.0で試しました。
  • 「Scanning Count」は何往復するかの繰り返し回数です。
  • 「Scan Axis」はSHG700の場合はRAになるかと思います。
  • 「Record Direction」はどちらの方向に動く時に撮影するかです。最初は「Foward only」でやってましたが、途中から時間がもったいないので「Forward & Backward」にしました。ただしForward & Backwardは1往復で2回撮影するので、Scanning Countを10とかにすると20本動画ファイルができます。またプラス方向とマイナス方向でそれぞれ.serファイルを処理する必要があるので、2度手間になったりします。結局私はForward & BackwardでScanning Countを5とかにし、プラスとマイナス2回処理するのをデフォルトにしました。
  • それ以降の2つの「per Round」と「--> ROI...」と「--> Click...」はよくわかりません。説明にもないもので、後から追加で付けたみたいです。全部0にしています。
ちなみに、これらの設定は、解凍したスクリプトと同じフォルダにある、SHG_SharpCap-Script-202XXXXX.profile.iniを編集することで、プロファイル名と設定内容を保存でき、再度SHGスクリプトを起動したときにプロファイル名を指定することで呼び出すことができます。例えば上の設定なら、

[76/600APO_SHG700_Touptek678m_r80-916fps]
TargetName = Sun-Hα
MoveRate = 8
RecSeconds = 30
DelayBeforeRec = 3
AdjustSec = 1.0
Count = 10
ScanAxis = RA
RecDirection = 1
ForceGotoSun = 0

のようになります。最初の行のプロファイル名は任意なので適当です。


撮影

ここまでの設定がOKなら、撮影テストと、本番の連続撮影になります。
  1. まず、RAモーターを動かして、太陽の丁度真ん中くらいの位置に来るようにします。とりあえず繰り返し回数は1にして「Start batch Scan Record」ボタンを押してみてください。
  2. ピッと音がして、バック方向(East)に動き出します。
  3. 太陽の端を通り過ぎてしばらくしたところで止まって、今度はフォワード方向(West)に動き出します。
  4. 録画開始とか出るので、その時点でまだ太陽が見えていないこと、ちょっとしてから太陽が見え始めること、太陽がもう一方の端に到着すること、その後に録画終了とメッセージが出ることを確認します。
  5. しばらく(10秒くらい)すると最初にあった位置に戻るので、それまで何も触らないほうがいいです。
  6. 撮影した.serファイルを改めて確認します。もしここで、録画内に太陽が全然収まりきらないなら、Duration of each Video Record(sec)を長くします。もしくは最初か最後の片側だけ切れているなら、最初が切れている場合はバックのEast方向に少しずらし、最後が切れている場合はEast方向に少しずらし、撮影初期位置を調整します。
  7. 再び「Start batch Scan Record」を押して、きちんと太陽が全て録画時間内に収まるまで、録画時間もしくは撮影初期位置の調整を繰り返します。
  8. 無事に録画時間内に太陽が入るなら、「Scanning Count」を例えば10に増やし、Start batch Scan Recordを押して、10往復するのを待ちます。
  9. 全てが終わると、元の位置に戻るはずです。この元の位置への再現性はそこそこ正確なので、もし戻る位置が違うなどがある場合は、何かハード的にトラブルが起こっている可能性が高いです。
2025/6/27 追記: 特に赤道儀の極軸がずれていると、何度か撮影している間に徐々にずれてしまう可能性があります。昼間なのでそもそも極軸を合わせるのが難しいこと、赤道儀のモーターを回しながらの撮影なので原理的にオートガイドはできないことなど、太陽の位置がずれていく可能性は十分にあります。回数にもよりますが、連続撮影は10分程度はかかるので、その間太陽が画面内に保たれるような曲軸合わせの精度が必要になります。


連続撮影ファイルの画像処理

保存された.serファイルが問題ないなら、次はJSol'Exで複数のファイルを一度に処理しましょう。JSol'Exのメニューの「File」->「Open SER file」から撮影したserファイルを開いて、出てきた画面の下の真ん中の「Quick mode」ボタンを押してください。

ここではメニューの「File」->「Batch mode」から撮影した複数の.serファイルをまとめて開きます。出てきた画面のいくつかの横バーの一番下の「Miscellaeous」を開いて、「File naming pattern」を「Batch」にしておくといいでしょう。ここからは前回と同じ簡易処理で、真ん中の「Quick mode」ボタンを押します。しばらく待つと同じ種類の画像ファイルがまとめて一つのフォルダに保存されます。

あとはこれらをスタックします。JSol'Exにもスタック機能はありますが、使ってみた限りあまり精度がよくないようなので、ここは普段のようにAutoStakkert!4を使います。AutoStakkert!4を立ち上げ、ファイルを開くときに「Images」を選択し、先ほどできた画像ファイルを全て選択し処理します。今回はdiskフォルダ以下に入っていたストレッチと化していないRAWに近いような13枚の像をスタックしました。

出来上がった画像を下に示します。どうでしょうか?
IP_crop_lapl2_ap23267

比較のための拡大図です。この記事の最初に載せた画像と同じ画角です。
IP_crop_lapl2_ap23267_cut_prom

IP_crop_lapl2_ap23267_cut_sot

明らかに細かいブレが軽減されているのがわかります。これ以上は枚数を増やすか、風やシーイングが穏やかな日を選ぶとかになるかと思います。


画像処理

ここからの処理は普通の太陽画像と同じです。まだRAWファイルをスタックしたような状態なので、画像処理で細部を出すことができます。

ImPPGを使ったり、SolarToolboxを使ったりすればいいでしょう。今回はImPPGで細部出しとプロミネンス強調までして、さらにPixInsightでSolar Toolboxは使わずに細部出しをしてみました。

最終的にはこのようになりました。まずはモノクロです。
IP_crop_lapl2_ap23267_IP_2

解像度もかなり出ていて、プロミネンスの淡いところも出ています。縦方向のブレは完全には消せませんでしたが、そこそこ見えるくらいにはなっているかと思います。

次にモノクロの反転です。
IP_crop_lapl2_ap23267_IP_inv

更にカラー版と、その反転です。
IP_crop_lapl2_ap23267_IP_color

IP_crop_lapl2_ap23267_IP_inv_col


まとめ

これでやっと満足できるレベルの太陽全景画像になりました。普通の撮影と違い、多少手間もかかりますが、0.18Åという波長分可能と、全景でここまで空間分解能がでるなら、これだけの手間をかける価値も十分にあるというものです。

次回はJSol'Exの使い方です。これも面白いですよ。いろんな種類の画像が出てきます。












昨日光軸調整したVISACですが、その日の夜遅くに晴れてきたので、少し見てみました。

結果だけ言うと、シンチレーションがいまいちで星が揺れていて、いろんな方向にぶれていたので評価は保留です。まだ3つの固定具を視野から隠してないこともあるので、きちんとした評価はそれが終わってからにしようと思います。ただ、一応ある程度きちんと星には見えていたので、少なくとも光軸調整が全然間違っていたということはなさそうです。


満月間近の月

その後少しだけ月を撮影しましたが、画面で見ていても細かい揺れが多く、細部を比べると前回ほどの解像度は出ませんでした。やはりシンチレーションがよくなかったのかと思います。それでも全体を写した月と思えば、強拡大しない限り細部にそこまでこだわる必要もないので、私的には満足です。

00_36_22_lapl2_ap8304_IP-denoise2-standard_stitch

  • 月齢12.7日
  • 撮影日: 2021年7月23日0時22分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: SIGHTRON IR640 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間5ミリ秒x125/250枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、ImPPG、ICE、DeNoise AI
でもこれ実は画像処理で少しインチキしています。画素数が多過ぎてRegistaxが使えないので、ImPPGを使っているのですが、どうしても細かいノイズがのってしまいます。ノイズ除去をするために、ここにDeNoise AIをSharpを1と最低にして、ノイズ除去を20と軽くかけてみました。

DeNoiseの処理としてはかなり軽くて、暗い部分のノイズはてきめんに減りましたが、明るいところのノイズがまだ残っています。ただ、やはり月の場合は偽線が出る可能性が否定できなく、今回は試しに使ってみましたが、明るいところのノイズが消えるくらいまで強くするとどうしても不自然に見えてしまい、あまり使いたくないなあというのが正直な感想です。今回は最低限のノイズ除去だけという感じです。ちなみに、Sharpen AIも試しましたが、こちらは偽線が出まくりでさすがに使うのを躊躇しました。

Registaxが使えないという理由でImPPGを使い続けるなら、うまく相性が合うノイズ処理を見つけるのが課題かと思います。


赤外の透過波長の違いの比較

今回の撮影は少し余裕があったので、IRパスフィルターの比較をしてみました。使用したのはサイトロンのIR640、IR720、IR800で、それぞれ640nm、720nm、800nm以上の波長のみを通します。

撮影したのは上の画像の左上の方。上の写真は撮影後回転しているので、下の写真では右上に見えてしまっています。ASI294MM Proを常温で、Bin1モードにして分解能を上げ、画角を一辺4分の1の2072x1410にしました。露光時間を5ミリ秒に固定していますが、ゲインは画面の明るさに合わせてヒストグラムがフルになるように変えています。IR640、IR720、IR800の順にそれぞれゲイン200、270、340です。

撮影中の動画で見ている分にはIR640、IR720はあまり変わらなかったですが、IR800は明らかに見た目で揺れが少なくなっているようでした。もちろんその分IR800では暗くなります。

画像処理はAS!3でRegistaxになります。Waveletのパラメータは比較しやすいように全て同じにしてあります。画素数を少なくしたのでこれらの画像はRegistaxを使うことができました。RegistaxのDenoiseが細かいノイズに結構効くので、ImPPGよりももう少し攻めることができます。

とりあえず3枚並べます。

00_50_43_lapl2_ap3043_RS
IR640

00_52_38_lapl2_ap3189_RS
IR720

00_56_05_lapl2_ap3279_RS
IR800

わかりやすいように一部切り出して拡大します。

comp

左からIR640、IR720、IR800です。IR640、IR720はほとんど変わりませんが、細かいところを比べるとIR800は解像度が明らかによくなっています。ただ、IR800の場合は光量が減ったのを補正するためにゲインを上げたせいかと思いますが、ノイズが少し残っています。

波長が長くなれば揺れが小さくなるという、まあそこそこ予測通りの順当な結果ですが、分解能の違いがあると言ってもごくごくわずかで、シンチレーションの違いで出るさの方が遥かに大きい気がします。なので無理してIR800以上で撮るとかよりは、揺れの少ない日を狙った方が素直な気がします。


かゆくて、かゆくて

本当はもっと続けたかったのですが、とにかく蚊が多くて、あまりにかゆくて自宅に引き返しました。明るいところで見たら三十箇所くらい刺されてました。自宅なのでゆるゆるの格好で、Tシャツ、短パン、サンダルとかなので、そりゃあだめですよね。

ムヒを塗って痒みが収まってきたところで再び外に出たら相当曇ってきてました。雨の心配もあったのでその時点で撤収することにしました。


まだまだ連休

連休中は天文イベント目白押しです。

今回の月の撮影は木曜夜のことで、ブログは次の日の金曜夜に書いてますが、この金曜の夜はMちゃんが自宅に来てくれました。そのことも記事にしたいのですが、ネタがどんどん溜まって書ききれなくなりそうです。

しかも明日の土曜は13時から天リフの「星と宇宙の夏ライブ2021」です。こちらもかなり楽しみです。




わたくしSamがオススメの重力波のお話、よかったら聞いてみてください。




皆様、新年明けましておめでとうございます。ほしぞloveログのSamです。今年も頑張って星活動を楽しみたいと思います。

さて、新年初記事になりますが、内容は年末の太陽黒点のことです。


12月後半の大黒点

2020年12月後半、また大きな黒点が出ているようです。21日の週の初めくらいだったでしょうか、黒点が出てきたという情報が聞こえてきましたが、仕事もありますし、相変わらず北陸の天気は全然だめです。

それでも休みの12月27日の日曜日、ほんの少しだけ太陽が見えました。と言っても薄ーい雲がほぼ全面にあるような状態だったので、いずれも薄雲越しです。機材はまだテスト段階といっていい口径20cmのC8にPSTを取り付けた状態での撮影となります。

ほんの30分くらいでしたが、なんとか撮影だけはできました。シンチレーションは良くもなく悪くもなくでしょうか。少なくとも前回の最悪の時よりは遥かにマシでした。撮影できた時間は30分くらい、その後は雲が厚くなり撮影も諦めました。


結果

画像処理はAutoStakkert!3とImPPGとPhotoshopとSharpen。とりあえず結果だけ示します。どの画像も少しトリミングしています。

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_12_59_24_lapl4_ap2549_IP_ABE_cut

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  • 撮影日時: 2020/12/27 12:58から13時4分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 3.3beta (64bit)
  • 撮影条件: ser形式でgain 150-300, 1.25ms x 2000フレーム中上位30-50%を使用
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCとShapen AIで後処理

考察

解像度はさずがにシンチレーションが酷かった前回より普通に出ています。撮影時にもわかるくらいだったので、ある意味当然の違いかと思います。口径20cmのC8の性能が効いてきていると言ってもいいくらいにはなっているのかと思います。

ただいくつか問題も露呈してきました。
  • まずはセンサー面に細かいゴミがあったこと。細部を出そうとするとそのゴミが目立ちます。今回は画像処理でごまかしてしまいましたが、これは邪道です。センサーの掃除を相当気合を入れてやる必要がありそうです。もしくはフラット補正、しかもリアルタイムの補正が役に立つのでしょうか?
  • あと、プロミネンス を見てもわかるのですが、いまいち細部が出切っていません。やはりシンチレーションがそこまでいいわけではなかったというのはここからの判断です。
  • 一番の疑問は、画像処理においてここまで細部を出していいものなのか?Sharpenの威力は相当なものです。炙り出していくと擬線のようなものも出てくるのかと思います。あまりにおかしくなるような設定は避けているつもりですが、どこまで出すのが正しいのか?まだ私には判断できていません。
  • あと、周辺部改善のために前回の撮影からERFを外してHαフィルターに交換したのですが、周辺部がよくなかったかどうかの判断はまだつきません。これはもう少し時間をかけて直接比較したいです。今回は晴れている時間も限られていたので、結論は出せずじまいでした。


まとめと今後

撮影日は日曜は実は天気予報は悪くて期待してなかったのですがなんとか撮影できました。さらに月曜と火曜は天気予報はそこそこ晴れだったので期待していました。でも実際には晴れることはほとんどなく、その後の年末年明け以降もしばらく天気が悪そうなので、一旦ここで記事にしてしまいました。

せっかく解像度が出るようになってきたので、もう少し時間をかけていろいろ試したいのに、天気がどうしようもないです。晴れてくれー!

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