ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:Hα

2週連続の太陽撮影です。七夕の日の日曜の朝の撮影です。


3度目の朝の撮影

朝の撮影は5月18日(土)6月29日(土)に続いて今回で3回目です。過去2回解像度もそこそこ出て、前回は粒状斑を出す手法も少しわかってきました。今回はどうだったでしょうか?

まずHα画像ですが、これを撮影して画像処理をすることでシンチレーションの指標になるようになってきました。 具体的には、ImPPGのLucy-Richardson deconvolutionのsigmaの値が小さくて済む場合はシンチレーションがいいです。細かい模様が残ると言う意味です。シンチレーションが悪いとそのsigmaをある程度大きくせざるを得ず、解像度はそれなりに悪くなっていきます。前回は1.5程度、今回は2-3程度が良かったので、シンチレーションは少し落ちたくらいかと思います。それでも十分良かった方だと思います。

撮影条件は前回とほとんど同じです。違うところは三脚にゴム板を置いたこととだけですが、風が結構強かったので、揺れは結構大きかったです。やりたかったPSTの調整は暑くて、やる気になりませんでした。この日は朝8時頃からもう30℃になっていてたので、準備も含めて、Hαも白色撮影も短時間で済ませました。

まず一番大きな黒点AR3736です。
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東側のAR3738群です。プロミネンスも同じ画面に収めてみました。
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西端に近いAR3733です。
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この結果を見る限り、シンチレーションはやはり前回の方が良くて、それに隠れてか地面の揺れを防止したことの影響は見えていなさそうです。


粒状斑

今回も白色光を撮ってみました。違いは、前回初めて使ったGreenフィルターに加えて、UV/IRカットフィルターを加えたことです。後のセットアップは同じで、C8にOD5のAstroSolar Safety filmをつけ、Apollo-M MINIで撮影しています。まだOD3.8のフィルターは準備ができていません。

まずは前回撮り忘れたPowerMATEなしの画像です。黒点の数はだいぶ寂しくなっているのがわかります。1週間で結構変わるものです。
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次にx4のPowerMATEを入れた画像です。前回試したように、事前にser playerで模様をある程度出しておきます。
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まあ、前回と同じくらいのレベルまで出ているので、再現性もあると言えるかと思います。でももう少し出て欲しいです。何が問題なのでしょうか?


まとめ

朝の撮影はやはり良さそうです。特に夏は暑くて早くから太陽も高くなるので、早いうちにパッと撮影してしまうことがいいでしょう。粒状斑はまだ一段階くらい何か謎がありそうな気がしています。実は今回PSTでHαから大きくずらして白色光に近いものを撮影したり、Photosphereも使ってみましたが、前者は解像度は出るものの粒状斑はでず、後者は解像度がでずで諦めました。次の一手が機材なのか、シンチレーションなのか、画像処理なのか、もう少し考えたいと思います。

先週の土曜、この日は梅雨の合間の珍しく晴れ間が見える日でした。この天気も夕方くらいまで、夜からはまた曇りで次の日からは2週間予報でずっと雨です。せっかくの休日なので、朝から起きて太陽撮影を開始しました。


朝のシーイング

機材はいつものC8+PST+ASI290MMをCGEM IIに載せています。前回の5月18日の撮影も、朝でまあまあのシーイングでしたが、今回も解像度がそこそこ出たので、やはり朝の方がシーイングがいいことが多いようです。何枚か見栄えがいいものを撮影したので結果だけ示します。

まずは一番大きな黒点のAR3727です。黒点の番号はここ「宇宙天気ニュース」で確認しています。黒点の南にあるダークフィラメントも結構大きくて見栄えがします。
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クリックして拡大してもある程度耐えられるくらいの解像度になっているので、シーイングは良かったことがわかります。

私はスタック後の細部出しにImPPGをよく使うのですが、シーイングがいい時の撮影ほど画像処理に負担がないです。今回のImPPGのパラメータはLR deconvolutionのsigmaが2.0、Unsharp Maskingのsigmaが5.0、Amountが3.0とかなり小さい値で十分でした。特にLRの値は大きくするとせっかく撮れた細かい模様が荒く潰れてしまいます。

課題はPSTのHαの良像範囲が限られていることと、ピントが出る範囲が限られていることです。そのため今回の画像は端部をある程度クロップしています。良像範囲に関してはちょうどこの日にgariさんがPSTのペンタプリズムの光軸を合わせてかなり改善したという報告がされていたので、近いうちに私も試してみたいと思います。

続いて東の方のAR3729です。上の黒点よりは迫力は落ちますが、小さいものが3つ並んで賑やかです。
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黒点最後は西端のもう間も無く裏に回ってしまうAR3719です。こちらはダークフィラメントが端までかかっていて、プロミネンスが飛び出している様子がわかります。スピキュールを見る限りそこそこ解像度は出ていると思うのですが、光球面の解像度が少し落ちてしまったようです。
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あとはプロミネンス2つです。上の黒点のすぐ下に大きく出ていたものです。
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もう一つは東側にでていたものです。少しジェットのようなものが見えています。
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ところで、今回もドップラーシフトしたサージ(ジェット)が見えないか、PSTのエタロンの角度を大きく回して太陽全面を見てみましたが、それらしいものはありませんでした。やはり前回はかなりラッキーだっのかもしれません。今思ったのですが、ドップラーシフトを見るだけなら波長は多少Hαからズレていいので、もっとセンサー面積の大きなフォーサーズのASI294MCとかで全面を一度に見た方がいいのかもしれません。もしくはモノクロがいいなら1/1.2インチと294よりは少し小さいですが、Apollo-M MAXでもいいかもしれません。


粒状斑

撮影した時間は前後するのですが、Hαの前にC8にBaaderのAstroSolar Safety film(ただしOD5の眼視用)をつけ、PlayerOneのApollo-M MINIで白色光を見てみました。

フィルターは、これまではBaaderの青緑色とかを使ってましたが、今回新たに緑色のフィルターを使ってみました。一枚やっと余ったからです。青緑だと波長粒状班の波長から少しずれるはずで、多分緑の方があっているのかと思います。

画像を保存し忘れましたが、全体を見渡すと黒点がたくさん出ています。小さいものまで合わせると結構な数です。Appolo-M MINIはグローバルシャッターで速い撮影に向いているのですが、ピクセルサイズが4.5μmといつも使っているASI290MMの2.9μmより少し大きいので、4倍のPowerMATEを使って拡大して分解能を出します。そのまま普通にAS!4でスタックしてからImPPGで細部出しをします。
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それでもやはり、何か少し見えるものの、粒状班らしき形には全然なりません。シーイングが十分でない可能性もあるのですが、ここでふと気づきました。Hα画像の細部に全然敵わないことです。

同じ時間帯、同じ鏡筒で撮影した場合、シンチレーションはそこそこ同じなので、分解能はそれほど変わらないはずです。今回は朝の撮影ということもあり、シーイングはそこそこよさそうなので、Hαは結構細部が出ています。それに比べて白色光はより細部があからさまに出ていない気がします。なぜそうなるのか?可能性はパッと思いつくだけで
  1. 見ている波長域が広いため、色収差などの影響でシャープさに欠けること
  2. 背景が明るいために模様のコントラストが出なくて、スタック段階でうまく位置合わせができていないのでは
の2つあります。

今回はまずは後者を疑ってみました。実際撮影したserファイルを見ても、黒点以外の背景はフワッとした淡いモヤモヤが見えるだけです。AS!4は画面上に打ったたくさんのポイントが合うように画面を歪ませながらスタックしていくのかと想像します。でも、模様がはっきり見えないと位置合わせのしようがないのではないかということです。

serファイルの動画の中に情報としては何か模様は残っているはずなので、その模様を参照して位置合わせをした方がいいはずです。そこで、ser playerのPreprocessingでガンマ値とゲインをいじって動画の段階で模様を見えるようにしてみました。その状態で、一旦別のserファイルに書き出し、それをAS!4でスタックしてみました。

結果は、同様にImPPGでいじるだけでかなり粒状斑らしきものが出てきます。それも、LR deconvolutionのsigmaを上げると粗い点々のようになってしまうので今回は0.5として、ほぼ何も効果を出さずに抑えます。Unsharp Maskingのsigmaが4.5、Amountが5.0とこちらも抑え気味でも十分粒状斑らしき形になりました。どうやら明らかに効果があるようです。
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一つ上の画像と全く同じパラメータで処理しています。明らかに構造が出ています。

よく考えると、模様が出ない可能性の1も密接に関連しているはずです。粒状斑が見える波長域は限られています。今回はGreenフィルターを使いましたが、まだ波長域が広すぎか、このフィルターは特価で買ったものなので、もしかしたら眼視用でUV/IRに透過領域がある可能性もあるので、動画の背景が明る過ぎる可能性があります。以前使っていたPlayerOneのPhotosphireフィルターは透過波長幅が10nmとかなり暗かったので使わなくなってしまったのですが、減光フィルターを眼視用のOD5から撮影用のOD3.8のものに変えるとかなり明るくなるはずなので、撮影時からコントラストをよくすることができるかもしれません。

ImPPG後にPixInsightのABEの2次をかけフラット化し、MultiscaleLinearTransformをかけさらに細部出しをし、最後にPhotoshopで仕上げたのが以下のものになります。
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以前はかなり無理な画像処理で無理やり何か出していましたが、今回は無理な画像処理はしなくても、粒状斑に見えるようなものが出始めています。とりあえずの、ポイントはスタック前の処理だったわけです。

少なくとも少し手がかりは見えたので、今後はもう少し方針立てて改善できそうです。改善ポイントは
  • OD3.8フィルターに交換
  • Green+UV/IRカットにするか、Photosphireフィルター
  • 地面の揺れをカットするために三脚の足にゴムを挟む
などでしょうか。まだシンチレーションが悪い可能性もあるので、いい時間帯を狙うことも続けていきたいと思います。



非常に有益な情報が!

昨日の太陽撮影の記事に、hasyamaさんという方から早速有用なコメントをいただきました。どうやら黒点から伸びるあの謎の線は、ガスの噴出現象とのことです。

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上昇方向で地球方向に向かってくるガスだとすると、ドップラーシフトで波長が青側に移るために、エタロンを波長が短くなる方向に回転すると、このようガスが見えることがあるということです。逆に、下降方向などで地球から遠ざかる向きの場合は赤側にシフトするとのことです。

コメントにはFacebookへのリンクも書かれていて、以前にも同様のものが波長がずれたLUNTで撮影されたとのことです。その投稿によると、やはりこのガスの噴出はそこそこ珍しいもので、あまり頻繁に撮影されているものではないようです。

今回は実際に何をみているのか、矛盾点はないかなど、自分なりに評価してみました。新たに疑問点が出たりしていますが、ある程度納得できたので記事にしておきます。


そもそもHαで何を見ているのか?

でもそもそも、なぜガスがHαで見えるのか、理由がまだよくわかっていません。光球面は納得できます。Hαに吸収線があり、Hαの653.6nmに合わせたエタロンでそこだけ透過させると、他の波長の明るい部分を除外することができ(吸収されながらも残った)Hα固有の光で作られる模様を見ることができます。要するに、吸収された光なのでHα部分は周りの波長より暗いということです。その一方、例えば彩層面からはるかに高いところまで写る派手なコロナまで含む30.4nmや19.3nmの光は、吸収線ではなく輝線です。すなわち周りの波長より明るいということです。

Hα領域の光は太陽表面に出てくるまでに吸収されるので、プロミネンスや噴出するガスも同様にHαに吸収線を持っていることは容易に想像がつきます。でも上で書いたように、Hα領域は周りの波長より暗いので、他の波長では明るく光っていることになります。光球面上は明るすぎるので、その明るさをエタロン除いてやるとHαがよく見えるようになるのはわかります。でもプロミネンスを見ている太陽の縁のところの背景は、光球面よりはるかに暗く、それに比べてHα以外の波長で明るいはずのプロミネンスが、エタロンの調整角をHαからずらしたら見えなくなるのかが、まだ理解できていません。

私の太陽の知識はせいぜいこれくらいです。まずはこの疑問を解決したいです。


波長のずれを見積もってみよう

とりあえず上の疑問は疑問として置いておくとして、その上で今回見えたガスも、プロミネンスと同様に元々はHαのみで見えるものなのでしょう。仮にそうだとして、エタロンで光球麺を見た時、狭い透過波長のみで見ることになるので、その周りの波長は暗く見えて、その結果ガスも見えることになるのかと思います。

この仮定の元、今回Hαからずらしたエタロンで見えたガスがドップラーシフトによるものだとして、ガスの速度から計算できる波長のズレと、エタロンの調整角から推定できる波長のズレが、一致するのか、それとも全然おかしいのか、簡単に評価してみたいと思います。

まずガスの速度からの見積もりです。
  1. ガスの長さは太陽直径の100分の1よりは大きくて、10分の1には届いていないくらいですが、ざっくり1/10とします。
  2. 太陽の直径はざっくり地球が100個並ぶくらいで、地球の直径はざっくり1万kmとすると、100万kmのオーダーです。
  3. なのでガスの長さはざっくり10万kmとします。
  4. ガスが伸びる時間は1分よりは長くて1時間よりは短いと思うので、とりあえず1000秒としましょう。
  5. そうするとガスの速度は10万km / 1000秒 = 100km/秒程度となります。
  6. 光の速度は30万km/秒で、それが100km/秒程度ぶん圧縮されるとすると、ドップラー効果で波長も同様の比率100/300000 = 1/3000くらいで短くなるので、653.6nmは0.2nm程度短くなります。

次にエタロンの回転で変わる波長です。
  1. PSTのエタロンの透過波長性能は、1Å = 0.1nm程度です。
  2. エタロンは半回転くらいしかしませんが、半回転の4分の1くらい回すと見えているHα領域がほとんど見えないくらいになります。ということは8分の1回転で変化する波長が1Å程度と考えてオーダー的にはおかしくないでしょう。
  3. 今回エタロンは波長の長い側か短い側かはわかりませんが、完全に端に回し切ったところにに行っていました。ということは、真ん中がHαに合っているとして、半回転のうちのさらに半分回っていたことになるので、4分の1回転回っていたことになります。
  4. 1/8回転で1Å = 0.1nmなので、4分の1回転回っていたとすると、エタロンでは2Åぶん、すなわち0.2nm程度Hαから波長がズレていたことになります。

おおっ!!

ものすごいラフなオーダー計算ですが、ものの見事に0.2nmで、両者ドップラー効果の波長のズレとエタロンの波長のズレが一致しました。多少のファクターのズレはありますが、少なくともオーダー的にはドップラー効果でHαからズレたガスを見ていたと結論づけておかしくなさそうです。


以前の撮影でもジェットが!

そういえば、以前もジェットのようなものを見たと報告したことがあるのを思い出しました。


この時はHαで見ていたはずですが、真横に出ているので地球方向に向かう速度成分はほとんどなかったのかもしれません。また、ジェットが数分で伸びていると書いてあるので、もしかしたらジェットの速度は今回見積もったものよりもかなり速いのかもしれません。ただし、それに地球方向の速度成分をかける必要があるので、それでもオーダー的にはそこまで間違っていないかと思います。


プロミネンスでも波長のずれは起こる?

ところで、プロミネンスもタイムラブスで見ると非常に高速に動いていることがわかります。下の動画は以前撮影したものですが、わずか19分間でこれだけ動いています。
Blink

プロミネンスの移動速度もそこそこ出ているはずで、地球に向かう速度成分も多少はあるとすると、エタロンを回転して調整する時に、いつも光球面とプロミネンス部でエタロンの最適位置が合わないように思えるのは、もしかしたらこちらもドップラーシフトが起こっているからなのでしょうか?


まとめ

簡単なオーダー見積もりでしたが、少なくともドップラー効果で波長がズレたものが見えていたようだということは納得しました。

でもまだなぜプロミネンスやガスがHαだけでよく見えるのかは納得できていません。どこかにいい説明はないのでしょうか?

でもこうやって、自分で撮影した謎の現象が理解できているというのは、とても面白いです。天文趣味の醍醐味の一つなのかと思います。






やっと退院して初の週末の土曜日。この日は一日快晴のようです。

病院では検査で毎朝早く起きていたので、その名残で朝早くに目が覚めてしまうのと、まだ外食も控えていていつものコメダも行けないので、朝から太陽を見ることにしました。そもそもGW中に大きな黒点が話題でしたが、寝ているだけで全く何もできなかったので、今回出てきた黒点でその不満がやっと解消されそうです。

最初に見えた謎の2本の線

セットアップはいつものC8+PST+ASI290MMで、それをCGEM IIに載せています。PCとカメラを繋いで太陽を導入し、まず最初に見えたのが「えっ???」と思った、黒点から飛び出ている変な2本の曲線です。リアルタイムの動画状態でもそのまま確認できます。

ピントを合わせて、次にエタロンの回転を調整しようとして気づいたのですが、見ている画像はHαから全然ずれていて、エタロンの回転の端まで行っているような状態で、ある意味白色光に近いような画像です。とりあえずAutoStakkert!4で1000フレームをスタックして、ImPPGで少しだけ細部を出す画像処理した物です。
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2本の線がはっきりと確認できるかと思います。その後しばらくしてから気づいたのですが、手前側にも何か黒い模様が出ています。

最初はフレアかなと思いました。でも2分後に撮影したHα画像には何も写っていません。
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フレアなら白いスパークのような模様があってもおかしくないと思います。同時刻で調べたのですが、特に何かフレアのようなイベントが起こっているようなこともなさそうでした。

X上でダークフィラメントが伸びているのでは?とのコメントがありましたが、こちらももしダークフィラメントならHα画像に暗い線が写っていてもおかしくないと思いますが、やはりそれらしいものは見当たりません。

先ほど白色に近いと書きましたが、エタロンでHαから外しているだけなので、結構Hαに近いことでしょうか。もしかしたらそれがヒントになるのかもしれませんが、今のところ謎のままです。


大きな黒点群と、大きなプロミネンス

その後はしばらくHα画像を幾つか撮影しました。見栄えのする黒点と、すぐその下に出ていた大きなプロミネンスです。

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モザイク合成に挑戦

かなり大きな範囲で黒点、プロミネンス、ダークフィラメントが出ていたので、東側をモザイク合成してみました。

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結構頑張ったのですが、まだ境目がわかります。PSTは画面内でHα付近のいいところが限られるので、モザイクは相当難しいです。さらに一枚一枚を見て分かったのですが、どうも上部はピントが出ずに、下部のみピントが出ているようです。しかもこれ、撮影中はほとんど分からず、スタックしてImPPGなどで細部出しまでしてやっとわかるのです。

今回ニュートンリングが残っているのが分かったので、最初の方でカメラをチルトアダプターでさらに傾けました。そのことが原因でピントずれの部分が出ているのかもしれません。一度チルトアダプターの向きをかえて、もう少し小さいチルトでニュートンリングが消えるところがないかなど、一度探る必要がありそうです。


フィラメントとプロミネンス

これまでも何度かチャンスがあったのですが、縁の近辺にあるダークフィラメントから、連続して縁に出ているプロミネンスに続く画像をうまく撮りたいとずっと思っていました。でも画像処理が未熟で、その接続部、特に光球面側のフィラメントをうまく出して、明るさをプロミネンスに合わせる方法が確立できずにいました。

プロミネンスをぐるっと一回り見ている最中に、ちょうどうまく繋がっていそうな場所がありました。今回、光球面とプロミネンス部を別々に処理することで、うまく繋がるのが表現できたのかと思います。
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白色光

その後、今度はNDフィルターを使って、本当に白色光で撮影してみました。PowerMATEの4倍を使っています。
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最初の変な線が出た撮影から約30分が経っていますが、時間が過ぎたせいなのか、本当に白色光にしたからなのかわかりませんが、あの目立っていた線は見えませんでした。今一度、エタロンをHαからはずして同様のものが見えることがあるのかどうか、試してみたいと思います。

白色光は粒状斑らしきものが少し見えてきています。動画時でもごく僅かそれらしいものが見えていました。以前、粒状斑がきちんと出るくらいの、シンチレーションのいい時の動画を見せてもらったことがあるのですが、今回はその動画には遠く及びません。そもそも、この30分ですでにシンチレーションが悪くなったようで、朝イチの時の方が(バローとかつけてないので)カメラの解像度としては悪いはずなのに、明らかに分解能が良かったように見えます。

実はブログに書いてこなかったのですが、休日で晴れている時はたいてい太陽撮影を敢行していました。ただし、休日の午前はほとんとコメダかガストに行っていたので、朝早くに太陽を撮影することは実は一度もありませんでした。なかなかいい結果が出ず、ほとんどお蔵入りになっています。今回入院でまだ外食は控えているのでたまため朝早くに撮影をしたのですが、朝の早い時間というのはやはりシンチレーションがいいのかもしれません。しばらくは日が長いので早い時間でも太陽は高い位置にくるはずです。できるだけ朝早くに撮影することを今後しばらくしてみようと思いました。


まとめ

久しぶりにブログを書く気になる太陽撮影でした。モザイクに時間がかかってしまい、記事にするのが遅くなりましたが、肝心なモザイクはまだ課題がありそうです。

やはり太陽はシンチレーションがかなり重要です。これまで動画の段階で粒状斑が出るようなのが撮れていなかったのですが、機材のせいかともずっと疑っていました(まだ疑っています)。でも朝早いとシンチレーションが全然マシかもしれないと今回思えたのは収穫でした。

今後は休日の晴れの日は、早起きして、撮影を済ませ、その後にコメダに行くことにしたいと思います。休日の天国のコメダは外せません。





前前々回の記事でクワガタ星雲のSAO合成をしました。



せっかくなのでいつものようにAOO合成もするのですが、普通にAOO合成をするとHαの淡い構造とかが一切出てきません。これが不満で、色々試してみました。


Hαの情報量

AOO合成をして、オートストレッチすると大体これくらいです。
Image21s

きちんとクワガタの形が出ています。でも、Hαだけの画像を見るとまだまだ模様がいっぱい残っているんです。

Hα画像を強オートストレッチしてみます。
FILTER_A_mono_drizzle_2x_integration_ABE1_ABE2_ABE4s
すごい模様が出てきます。一番暗いところが背景だとしたら、多少なりとも明るいところはなんらかのHα成分が存在していると考えていいでしょう。普通にAOO合成した画像に、このHαの模様が活かされ切っているとはさすがに言い難いのかと思います。今回はこれをどこまで表現できるかやってみたいと思います。


まずはどこまで出そうか、テスト

まずAOO合成させたものを、強オートストレッチして、さらに微調整します。
Image21_strongs
ここらへんまで出せたらHαを使い切っていると言えそうですが、いくつか問題点があります。
  1. 右真ん中に大きな黒い窪みがある。
  2. 赤がサチりかけているところがある。
  3. 星がうるさい。
くらいでしょうか。一つづつ片付けます。


1. フラット化の大切さ

まず1の黒い窪みですが、普通にAOO合成したら対して問題にならないのですが、淡いところを頑張って出そうとすると目立ってしまいます。これはOIII画像に残っていた、ε130Dの迷光の残りのようです。今回は撮影時に鏡筒にフードもつけていますし、もちろんフラット補正もしています。それでも強あぶりで、これくらいのフラットの誤差が出てくるようです。ここまででもHα、OIII共にABEの1次と2次と4次をかけていますが、さらにOIIIにDBEをかけて窪みをとることにしました。その結果が以下になります。
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窪みは目立たなくなり、さらにもう少し炙り出すことができるようになりました。

しかしながら窪みが目立たなくなったことで、今度は右上に注目すると、赤が構造なしでのっぺりしている気がします。本当にHα成分があるのか、カブリなのか見極めが難しいところです。仮にカブリだとすると、ここだけをうまく取り除くのは結構難しそうです。

今回は、ABEの2次を再度かけ、右上と、左下の赤も少し緩和するようにしました。もっとはっきり除いてもいいのですが、そもそもここら辺の領域を強度に炙り出しいる参考画像がほとんどなく、何が正解かよくわかりません。これ以上やると恣意的な操作になると判断し、今回はそのままで残しました。
Image24_ABE1s
こういったカブリ問題は、将来PixInsightのMARSプロジェクトがうまくいったら解決するのかもしれません。



情報を余すところなく引き出して炙り出す場合、上の操作のように「正しい背景にするというよりは、あぶり出しやすいように、できる限りあらかじめフラット化させておく」方向になるのかと思い思います。そのため、フィルターやセンサー面についているゴミはうまくフラット補正で除けないと、強あぶり出しの際にとんでもなく目立ってしまったり、周辺減光や迷光もフラット処理がうまくいかないと、そこの輝度差で制限されてしまって炙り出しが十分できないなど、致命的になる可能性があります。

先日の記事のように
最近はソフトの力でかなりの補正が効くようになってきていますが、BXTは分解能は出せても淡いものを出すことにはほとんど助けになりません。ソフトで補正が効かないこともたくさんあり、今回のように淡い構造を引き出し切ろうとすると、光学機器の段階での丁寧な汚れの除去や迷光処理、確実なフラット補正がとても大切だと言うことも肝に銘じておきたいものです。

次に、SPCCでナローバンドを選び、AOOの正しい波長と、手持ちのフィルターの波長幅を入力します。重要なことは、ニュートラルバックグラウンドをどこにするかです。プレビューで一番暗いところを選択して「Region of interest」に設定しておいた方がいいでしょう。これをしないと、赤が再び出にくくなったり、暗いところが緑がかったりしてしまいます。RGB画像を別撮りなどしていない場合は「Oprimize for stars」にチェックを入れておくと、星の色を優先的に最適化するとなっていますが、試したところ少なくとも今回は大きな違いはわかりませんでした。SPCCがうまくいくと、赤がかなり残った状態で色バランスが取れるようになります。


2. 恒星にはBXT

次に2の星がうるさいことですが、やり方は色々あると思います。今回は簡単にBXTを使ってしまいましょう。恒星も併せて十分にあぶり出しても、恒星自身が小さければ、全体を見た時のうるささは緩和されるはずです。今回はHαの淡いところを画面全体で見せたいので、トリミングやバブル星雲のところのみを拡大することなどは考えていないです。そのためSAO合成の時よりもBXTの効果は緩和させて
  • Sharpen Stars: 0.25, Adjust Star Halos: -0.30, Automatic PSF: on, Sharpen Nonsteller: 1.00
としました。


3. ストレッチは迷うところ

最後に3のサチり気味(=飽和気味)の赤をどう扱うかです。ストレッチをいかにうまくするかと言う問題です。

既に赤は色が十分出ているので、ArcsinhStretchは色が濃くなりで使えませんでした。意外なのがMaskedStretchが本来マスクで、本来はきちんとサチるのを保護してくれるはずなのに、赤のサチりを強調してしまい使えなかったことです。結局ここでは、HistgramTransformationで恒星が飽和しない範囲で軽くストレッチして、ここでStarNet2で恒星と背景を分離し、その後背景のみ必要なところまで強調しました。その後、私の場合はPhotoshopに引き渡して最終調整します。


仕上げ

最後のPhotoshopは個人の好みによるところも大きいでしょう。今回は赤の淡いところを残します。OIIIの青を少し持ち上げて色調を少しでも豊かに見せるのは、いつもの手段です。赤ももう少しいじって、強弱をつけたりします。それでも色相(RGBをそれぞれどれだけストレッチするかと、各色のブラックポイント)自体はSPCCで決めたので、それ以上は触っていません。

結果です。
Image24_ABE1_SPCC_BXTSS025_HT2_s_cut

元がHαとOIIIの高々2色なので、前回のSAOと比べてもどうしても赤でのっぺりしてしまうのは避けられません。実はAOOにする前に、なんとかSIIを使えないか、いろいろ比率を変えて試しました。複雑な比率にして、そこそこよさそうな候補はいくつかあったのですが、結局AOOのシンプルさを崩すほどいい配色は見つからず、結局今回はSIIは使わずじまいです。いつかHαとOIIIとSIIまで使った擬似RGB配色で自然に見える組み合わせが見つかるといいですが、少なくともAOOを凌駕するものでないとダメだと思うので、そんなに簡単ではないと思います。

今回のHαを余すことなく引き出すAOOですが、懸念事項の一つは画面全体が赤に寄ってしまう印象を受けることです。でも赤にのみ構造がある限り、そこを出そうとすると赤を底上げする以外に今の所いい方法を思いつきません。アメペリも同じように処理をしていて、こちらも背景が赤いですが、それでも暗いところは存在していて、それ以上明るいHαが全面近くに渡り散らばっています。

今回、やっとこのAOO手法を言語化して記事にしたことになります。他に、全体をもう少しニュートラルに寄せて、Hαにふくまれる淡い構造もきちんと強調できる方法を探していきたいと思います。


まとめ

前回の記事で年末の挨拶をしてしまったのですが、今回の記事が本当の2023年最後の記事になります。 年が明けてからのんびりまとめようと思ったのですが、大晦日に少し時間があったので、まとめてしまいました。

クワガタ星雲をとおしてSAOとAOOの議論を少ししたことになります。でもまだ十分かというとそうでもなく、SAOの色がまだハッブルパレットと違う気もしますし、AOOは全画面真っ赤問題をなんとかしたいです。所詮人工的な色付けになるので、多少色相とかいじってもいい気もするのですが、今のところはまだ躊躇しています。理由は再現性がなさそうなところです。複雑になりすぎないというのも重要かと思います。何かいい方法はないのか?今後も探していくことになるでしょう。またいい方法があったら記事にします。


日記

最近はブログ記事を休日のガストのモーニングで書くことが多いです。以前はコメダのモーニングのみでしたが、最近はガストと半々か、ガストの方が多いくらいです。ガストのドリンクバーが飲み放題でいいのと、最近はマヨコーンピザが安くて美味しいからです。多分田舎のガストなので、朝はガラ空きで、混んでくるランチタイムくらいまでは長居も可能なので、とても居心地がいいです。同じようにPCを広げている常連さんも何人かいます。この記事も最後の仕上げを大晦日にガストで書いています。

これから実家の名古屋に向かいます。元旦は実家で、おせちをつまみながらのんびり過ごす予定です。残念ながら新年2日の北陸スタバ密会は中止になってしまいました。時間が少しできるので、またノイズ計算の方を進めたいと思っています。


2023/10/12、久しぶりに新月期で晴れです。平日なのであまり無理をしたくないのですが、せっかくなので撮影を敢行しました。


久しぶりの撮影

実は前日の10月11日も晴れていたのですが、ε130Dの光軸調整で時間を潰してしまい、何の成果もありませんでした。実際光軸調整も大したことはできず、せっかくの晴れでもったいないです。なんとか撮影の成果だけは残そうと思い、SCA260+ASI294MM Proで簡単な撮影をしました。この日の撮影は、前半がM27、後半がM45です。でも結局撮影が忙しくて、せっかくε130Dを出してセットアップまでしたのに、光軸調整はやっぱりできないんですよね。平日に二つのことは厳しいです。

今回M27にした理由ですが、5月にHα画像を写していました。その後続けてOIIIも撮ったはずなんです。でも撮影後に確認したら、実際に撮影していたのはB...。AOO撮影のはずなのに、Aの次はBと思い込んでしまったようです。今回はそのリベンジで、OIIIの撮影です。でもここでも痛恨のミス。縦横を合わせ損なって90度ずれてしまい、使えるのは重なる正方形の部分だけとなってしまいました。

前回M27を撮影したのは2年前のTSA120を使ってです。2021年9月になります。この時が、そこそこセンサー面積があるモノクロカメラを使った初のナローバンド撮影で、まだフィルターホイールも持っていなかったので、手でフィルターを付け替えてのAOO撮影でした。本体周りの羽の部分を出したくてOを重点的に出そうとしました。羽はそこそこ写ったのですが、意外にAが出なくて、Aのリベンジが課題だったことを覚えています。



それでもこの時のM27には結構満足していて、もうしばらく撮ることはないなと思っていましたが、2年経つとアラも見えてきますし、SCA260でさらに光量が稼げるとか、BXTが台頭してきたとかで、状況も大分変わってきています。高度も高く、夏を中心に一年のうちのかなりの期間撮影が可能なので、ベンチマークがわりに再びM27を撮影しようとここしばらく思っていて、やっと実現できたというわけです。


撮影

SCA260での撮影は久しぶりです。少しづつ思い出しながらのセットアップになりますが、それでもほとんどトラブルもなく、比較的順調に撮影開始となりました。一つだけミスがあって、StickPCを使っているのですが、SCA260+ASI294MM Proで使っているStickPCと、ε130D+ASI6200MM Proで使っているStickPCが入れ替わっていて、気づかずにカメラの設定やフィルターごとのEAFのピント位置とかの設定でファイルを上書きしてしまいました。気づいたのはプレートソルブがどうしてもできなくて、ε130Dの焦点距離の400mmが入っていた時でした。でも面倒なのでそのままStickPC交換せずに使い続けたのですが、色々不具合が出てきて、すぐに交換すればいいと後から後悔しました。
M27
撮影中のNINAの画面。ガイドも順調です。

撮影は順調に続き、OIII画像が溜まっていきます。23時位になるとM27が隣の家の屋根にかかってしまい、次に考えたのが、ずっとやってみたかったモザイク撮影です。以前拡大撮影したM45: プレアデス星団が次のターゲットですが、これは別の記事で書きたいと思います。


追加撮影

OIIIの撮影直後は5月に撮影したHαと合わせて仕上げてしまおうと思っていましたが、縦横の間違いが悔しかったので、結局10月17日にHαを、OIIIと同じ方向にして撮影し直してしまいました。こうなってくるとOIIIもHαももう少し追加したくなり、18日にも追加撮影して、5分露光でHαが44枚、OIIIも44枚で、合計88枚、総露光時間440分で7時間20分となりました。17日から18日にかけては庭に望遠鏡を出しっぱなしにしていたので、すぐに撮影に入ることができ、18時台から撮影を開始できています。


フラットでトラブル

久しぶりの撮影なので、フラットを撮り直しています。フラット撮影は、昼間に明るい部屋で白い壁を映しています。ところが、今回条件を一緒にしようとして「冷却して」撮影したのは失敗でした。結露が起こってしまったことに後から気づき、結局常温で全て撮影し直しです。DARKFLATも温度を合わせるため、こちらも全部取り直しです。
2023-10-14_14-00-20_M 27_2x2_FLAT_R_-10.00C_0.01s_G120_0000
フラット撮影中にオートストレッチして、こんな風に真ん中にシミのような大きな模様ができていたら、結露しています。拡大すると、おかしな黒い点々が見えたりします。

普段はフラットは昼間に部屋が明るい時に撮っていましたが、雲があると明るさがバラバラになるのでダメですね。今回は早く画像処理を始めたかったため、暗くなってから部屋のライトをつけて撮影しました。でもこれ、もしかしたらダメなのかもしれません。特にHαですが、微妙にフラット補正が合わずにムラになってしまいました。

以前記事に書いたことがあるのですが、ナローバンド系はフラットファイルそのものがどうしてもムラムラになってしまいます。



当時、センサー自身のムラではないかと予測したのですが、その後ZWO自身がこのムラはセンサーの特徴だと言及しているページを見つけました。



当時このページの存在は知らなかったのですが、後からやはり推測は正しかったと分かりました。でもいずれにせよ、このムラはフラット補正で解決できましたし、ZWOの説明でも同様のことが書いてあります。

でも今回は、フラット補正をしてもどうしても、ムラの形が残ってしまいました。まず、今回撮影したフラット画像のうちの1枚です。ナローバンド特有の大きなムラ構造が出ています。
masterFlat_BIN-2_4144x2822_FILTER-A_mono

次に、AOO合成した直後の画像です。上のフラット画像と比べてみると、ムラの形がよく似ていて、暗いところが赤くなってしまっているのがわかると思います。
Image11_ABE

まだ未検証ですが、部屋の明かりを使ったのが悪かった気がしています。明かりとしては、蛍光灯と電球を合わせたのですが、それぞれ波長が違っていて、違った種類の光源が複数方向から来ているので、複雑な形の輝度勾配ができてしまっていた可能性があります。もし時間が取れるなら、再度晴れた日の明るい部屋の中で自然光を光源に、再度撮影してみたいと思います。あ、多分ですが、晴れた日にの薄明時に鏡筒を空に向けるのが一番いいのかとは思いますが、時間が限られるので、壁での方法を確立しておきたいということです。

今回問題だったフラットのムラはHα、OIIIともにDBEを細かくかけることで、なんとか見える程度にすることができました。


ダークの撮影

あと、今回ついでにダークも久しぶりに撮影しました。ダーク系を撮るのも昼間は注意が必要です。カーテンを閉めてできるだけ部屋を暗くするのはもちろんですが、鏡筒や特にフォーカサー部などにきちんと暗幕(タオルとか、服とか)をかけて撮影しないと、完全にダークになりません。今回は二度に分けてダークを撮りましたが、最初の暗幕が甘くて、十分暗くなりませんでした。
IMG_8668
こんな風に望遠鏡をくるんで、さらに部屋を暗くしてダークを撮影してます。


最新版PixInsightと、Mac M1でのStarNet

私は画像処理にMacのM1を使っているのですが、最近PixInsightを1.8.9-2にアップデートしたら、StarNet V2が使えなくなりました。その後StarNet V2もアップデートされ、最新バージョンのPIでも使えるようになったということでしたが、再インストールの方法を忘れてしまい少し手間取りました。Niwaさんのページやその参照元のCloudy Nithtsに解説があるのですが、自分の環境とは微妙に違っていて、そのままではうまく動きません。うまく動いた方法を書いておきます。

まず、ダウンロードページに行って、



をダウンロードします。その後、ファイルを解凍します。
  1. StarNet2_weights.pbとStarNet2-pxm.dylibは/Applications/PixInsight/bin/にコピーします。
  2. libtensorflow.2.dylibとlibtensorflow_framework.2.dylibはApplications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/にコピーします。PixInsight.appの中身は、PixInsight.appを右クリックして「パッケージの中身を表示」を選ぶとアクセスすることができます。
  3. 以下のコマンドを、一つ一つコピペしてターミナルから実行します。
  • sudo chown root:admin           /Applications/PixInsight/bin/StarNet2_weights.pb
  • sudo chmod 644                  /Applications/PixInsight/bin/StarNet2_weights.pb

  • sudo chown root:admin      /Applications/PixInsight/bin/StarNet2-pxm.dylib
  • sudo chmod 755             /Applications/PixInsight/bin/StarNet2-pxm.dylib

  • sudo rm -f             /Applications/PixInsight/bin/libtensorflow*
  • sudo chown root:admin  /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/libtensorflow*
  • sudo chmod 755         /Applications/PixInsight/PixInsight.app/Contents/Frameworks/libtensorflow*

あとはREADME.txtに書いてある通りに、
  • PI上でPROCESSES=>Modules=>Install Modulesで'Search'を押すと、StarNetが出てきます。
  • その後他のボタンは何も押さずに'Install'を押します。
  • うまくいくとStarNet2がPROCESSES-><Etc>もしくはPRECESSES-><All Processes>に出てくるはずです。
怖かったのは、マニュアルに「ちゃんと手順を踏んでやってもサーチでStarNetが出てこない場合は、AVXに対応してないから仕方ないとか、心を折るような記述があることです。でもM1のMacでPIの最新版で、確実にStarNet V2をインストールできたので、諦めずに正しい手順でやってみてください。


結果

画像処理に関しては、あとはほとんど問題はありませんでした。ナローなので、色決めに一意の解はなく、SPCCも恒星の色を合わせるように設定したので、星雲の色は自由度があります。他の画像を見ていてもM27の色は様々で迷いますが、前回TSA120で出した色が比較的好みなので、今回も近い色としました。

画像処理の結果が下のようになります。
masterLight_BIN_2_300_AOO_SPCC_BXT_DBE_MS_MS_BG2_cut_X3
  • 撮影日: 2023年10月12日20時59分-22時52分、10月17日20時34分-23時29分、10月18日18時18分-22時35分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260 (f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα, OIII
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、Hα:44枚、OIII:44枚の計88枚で総露光時間7時間20分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、42枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 Hα, OIII:10秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ちなみに、2年前に撮ったTSA120の画像が以下になります。
Image09_DBE2_stretched7_cut_crop_b


比較と評価

2年前と今回を比較してみます。
  • 最初のスタック画像を見ていると、微恒星に関してはどうも前回のTSA120の方がより出ている気がしました。これまで同じ対象でTSA120とSCA260を比べて、SCA260が負けたことはないので、意外な結果でした。原因はシンチレーションくらいしか考えらないです。もう夏の気候は終わってしまったので、揺れは大きくなっているのかもしれません。それでもBXTをかけて改善する余地があったので、結果としては今回の方が微恒星は数も鋭さも出ています。
  • 狙いの本体外側の蝶の羽の部分は、今回の方が明るい鏡筒で露光時間も倍以上と長いため、明らかに綺麗に出ています。羽の部分はOIIIの青よりも、Hαの赤の方がやはり淡いようで、前回よりも出てはいますが、フラットムラのこともあり、まだ露光時間を伸ばすか、このレベルの淡さになってくると自宅よりはさらに暗いところに行ったほうが効率がいいのかと思います。ここ最近の記事で、明るいところと暗い所のスカイノイズの影響が数値で定量的に出るようになってきたので、いずれこの淡さならこの場所に行くべきというようなことが言えるようになるのかと思います。
  • 中心部の微細構造は、口径とBXTの効果で圧倒的に今回の方がいいです。ただし、淡い羽部分の分解能との差がありすぎるので、多少なりともバランスを取るために、あえて少し分解能を落としてあります。
今回のM27、羽の部分、中心部分の分解能、微恒星の鋭さ、背景のノイズなど、ほぼ全てを2年前の結果を上回っていて、自己記録更新です。あえていうなら、透明度みたいなのだけは以前の方が良かったように思いますが、これは画像処理に依っていて、まだ私も確信を持って(少なくとも見かけの透明度さえも)透明度をコントロールできていないので、偶然によってしまっています。それ以外はトータルとしてはかなり満足しています。


まとめ

久しぶりのSCA260での本気撮影でしたが、かなり満足な結果でした。自宅庭撮りで、M27の羽がここまで出るのなら、十分なのかと思います。その一方、これ以上出すのは撮影時間がかかりすぎることなどから難しく、暗いところに行く必要があると思います。次のシーズンに飛騨コスモスでしょうか?

ε130Dの光軸調整がなかなかはかどっていないので、しばらくはSCA260での撮影も継続していこうと思います。


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