前回までの記事で、C8のコリメートレンズとして別の負レンズを使うことで、20cmの口径を活かし、フェニックスである程度の分解能が得られることがわかりました。
ただし、撮影は順調とは言い難く、結構苦労しての結果の画像です。この時の撮影に加えて、今回さらに2回の撮影をして、ある程度の結論を得ました。今回は、そんなお話です。
太陽撮影にC8を使うことで、いくつかの課題があります。まず、前回挙げた
更に今回の撮影で気づいたことがあって、
まず最初の撮影です。7月23日(木)の平日の朝5時半起きで、6時くらいから撮影を開始しました。最初の撮影は流石に高度が低すぎたのか、結果はボロボロで見せるまでもないのですが、一つ気づいたことがあります。ピントが時間とともにずれていくのは変わらないのですが、それに加えてエタロンのHα線の透過中心周波数が時間とともにずれていって、気づくと画面が明るくなっているのです。
これまで気づかなかったのに、今回どうやってこのことに気付いたかです。太陽の入射エネルギーを制限するために、現在はC8の接眼部、エタロンの手前に、UV/IRカットフィルターと、その後に赤色のR2フィルターを使用しているのですが、R2フィルターが結構な熱を持ってしまっています。以前R2フィルターを熱で破損したという黒歴史があるので、今回このR2フィルターを外してみました。すると、より多くの太陽光が透過し、エタロンが温められ、中心波長変化が顕著になり、あからさまに時間とともに画面が明るくなっていきました。確認のため再びR2フィルターを入れると、変化はゆっくりにはなりましたが、やはり変化が存在することがわかり、これまでも長時間撮影では影響があったのかと思われます。波長のズレは、エタロン部が熱せられ、エタロンの2枚の鏡の間の距離が変化して起こるものかと思われます。
これを防ぐために、R2フィルターの代わりに、昔星まつりでジャンクで格安で購入した36mm径のHαフィルターを、UV/IRカットフィルターの手前に取り付けてみました。このHαフィルターに太陽光を直接当てて反射光を見て確認したのですが、Hα以外はほぼ反射するような仕様になっているようで、フェニックスのエタロン内部に入る光を大幅に軽減できます。これを取り付けて再び試すと、エタロンの透過中心周波数の変化は見ている限りなくなりました。これで再び撮影を始めます。
この時に得られた画像が以下になります。まずはG3M678Mで1分ごとに30分撮影しました。次に2倍バロー + Apollo-M MINIで30秒ごとに1時間撮影しました。その中で、一番いい画像をえらびました。
面白いのは、これまでG3M678MとApollo-M MINIでピクセルサイズあたりの視野角を合わせるようにして同じ対象を撮影した場合に、毎回Apollo-M MINIのほうが分解能が出ていました。理由の一つが、グローバルシャッターかと思っていましたが、決定的な証拠はありませんでした。
今回、初めてG3M678Mの方が圧倒的に分解能が出ました。しかも相当いい分解能で、自己ベストだと思います。だからと言って、グローバルシャッターもローリングシャッターも差がないという結論が出るわけではないです。全く同じ状況が実現できてそれぞれ撮影したら、やはりグローバルシャッターのほうがいいという可能性はまだ残ります。
でもここで重要なのは、ローリングシャッターだとしても、もう口径20cmを活かすくらいの像は十分撮影できるという事実です。しかも、G3M678Mはセンサー面積が広い割に、ピクセルサイズは市販モノクロカメラではおそらく最小クラスです。さらにもっと重要なことに、なぜか鏡筒のF値を大きくしてもニュートンリングが出にくい、というか出ないことがあります。理由はよくわかりませんが、カメラをチルトしなくていいのはものすごく楽で助かります。
このように、グローバルシャッターでないということよりも、他のメリットが大きいので、今後しばらくはG3M678Mを使っていくことになると思います。画面周辺にHα中心波長が出ない部分が写ってしまいますが、それはクロップすればよく、クロップしたとしてもピクセルサイズが小さいのでまだ十分な解像度が残ります。
更に、次の日の金曜日は休暇をとっていました。この日も5時半に起きて撮影です。午前中に病院に行く必要があり、7時までが撮影時間になります。
前日の撮影で、Hαフィルターをエタロン前に取り付け、エタロンの透過中心周波数のズレを解決しました。これは、フェニックス内部に入っていく太陽エネルギーをかなりカットしていることになるので、もうフェニックス内の温度変化はほぼないはずです。なので、ピントのズレがなくなるかどうかを確認するのが目的でした。
今回はG3M678Mで30秒ごとに30分間撮影します。1ショット撮影するのに13秒ほどかかるので、1ショット終了してからのインターバルを17秒と設定して、大体30秒ごとに撮影しています。
結論としては、結局ピントズレはまだ存在していて、シーイングがいいとピントの山がはっきり見えて、つきっきりで数枚ごとにピントを合わせる羽目になりました。
よく考えると、前日撮影した像でも、一番最初の像、もしくは10分おきくらいにピントを合わせ直した後の像が一番分解能が出て、それ以降は時間とともに悪くなっていました。
この日は随時ピントを追っていたので、30分の中でいいシーイングの時間帯を選ぶことがやっとできていて、その時間は撮影開始時ではなく、きちんと撮影の途中に訪れていました。
ベスト画像は以下になります。
作品としても兼ねているので、波長のズレがある部分をクロップしています。これだけを見るなら、かなり満足のいく画像で、20cmの大口径の効果が十分生かされているのかと思います。撮影時のピントの変化はありますが、それさえ頑張って追うことができれば、言い換えると、30分とか1時間の撮影の間中、つきっきりで数枚ごとにピントを合わせ続ければ、かなりの高解像度で太陽Hα像が撮影可能だということがわかりました。
当然、自己ベストです。
ここまでの結果から、どうやらピントの時間変化は、C8側で発生していると考えるのが妥当という結論になってきました。これはなかなか大変です。C8の鏡筒内部は密閉されているので、あまり手を出せなくて、今のままでは改善の目処が立たないからです。
もしこれ以上次の手を考えるとしたら、C8を大幅改造して、筒の部分を無くし、何本かのフレームで主鏡とシュミット補正板、副鏡を固定する、オープン鏡筒の形をとることになりそうです。C8ではなく、手持ちの口径20cmのニュートンをオープン鏡筒にするのもいいかもしれません。実際、世界で市販されている20〜30cm級の大口径太陽撮影用望遠鏡ではオープン鏡筒を採用し、顕著な成果を出しています。
とりあえず、安定性はともかくとして、20cmでのある程度の分解能は得られたので、C8での太陽撮影は一旦ここまでとして、次の課題に移りたいと思います。次に何をやるかはまだ秘密です。アイデア段階なので、ちょっとやってうまくいきそうなら公開することにします。
ただし、撮影は順調とは言い難く、結構苦労しての結果の画像です。この時の撮影に加えて、今回さらに2回の撮影をして、ある程度の結論を得ました。今回は、そんなお話です。
じゃじゃ馬鏡筒
太陽撮影にC8を使うことで、いくつかの課題があります。まず、前回挙げた
- 時間とともにピントがずれていく
更に今回の撮影で気づいたことがあって、
- エタロンの最適位置が時間とともにずれていく
エタロンの温度変化によるずれ
まず最初の撮影です。7月23日(木)の平日の朝5時半起きで、6時くらいから撮影を開始しました。最初の撮影は流石に高度が低すぎたのか、結果はボロボロで見せるまでもないのですが、一つ気づいたことがあります。ピントが時間とともにずれていくのは変わらないのですが、それに加えてエタロンのHα線の透過中心周波数が時間とともにずれていって、気づくと画面が明るくなっているのです。
これまで気づかなかったのに、今回どうやってこのことに気付いたかです。太陽の入射エネルギーを制限するために、現在はC8の接眼部、エタロンの手前に、UV/IRカットフィルターと、その後に赤色のR2フィルターを使用しているのですが、R2フィルターが結構な熱を持ってしまっています。以前R2フィルターを熱で破損したという黒歴史があるので、今回このR2フィルターを外してみました。すると、より多くの太陽光が透過し、エタロンが温められ、中心波長変化が顕著になり、あからさまに時間とともに画面が明るくなっていきました。確認のため再びR2フィルターを入れると、変化はゆっくりにはなりましたが、やはり変化が存在することがわかり、これまでも長時間撮影では影響があったのかと思われます。波長のズレは、エタロン部が熱せられ、エタロンの2枚の鏡の間の距離が変化して起こるものかと思われます。
これを防ぐために、R2フィルターの代わりに、昔星まつりでジャンクで格安で購入した36mm径のHαフィルターを、UV/IRカットフィルターの手前に取り付けてみました。このHαフィルターに太陽光を直接当てて反射光を見て確認したのですが、Hα以外はほぼ反射するような仕様になっているようで、フェニックスのエタロン内部に入る光を大幅に軽減できます。これを取り付けて再び試すと、エタロンの透過中心周波数の変化は見ている限りなくなりました。これで再び撮影を始めます。
この時に得られた画像が以下になります。まずはG3M678Mで1分ごとに30分撮影しました。次に2倍バロー + Apollo-M MINIで30秒ごとに1時間撮影しました。その中で、一番いい画像をえらびました。
- 撮影日時: 2026年7月23日9時15分
- 撮影場所: 富山県富山市自宅
- 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10) + ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5)
- 赤道儀: Celestron CGEM II
- カメラ: ToupTek G3M678M
- 撮影: SharpCap Gain 800 (= 8倍)、露光時間4ms、200/200 frames
- 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop
面白いのは、これまでG3M678MとApollo-M MINIでピクセルサイズあたりの視野角を合わせるようにして同じ対象を撮影した場合に、毎回Apollo-M MINIのほうが分解能が出ていました。理由の一つが、グローバルシャッターかと思っていましたが、決定的な証拠はありませんでした。
今回、初めてG3M678Mの方が圧倒的に分解能が出ました。しかも相当いい分解能で、自己ベストだと思います。だからと言って、グローバルシャッターもローリングシャッターも差がないという結論が出るわけではないです。全く同じ状況が実現できてそれぞれ撮影したら、やはりグローバルシャッターのほうがいいという可能性はまだ残ります。
でもここで重要なのは、ローリングシャッターだとしても、もう口径20cmを活かすくらいの像は十分撮影できるという事実です。しかも、G3M678Mはセンサー面積が広い割に、ピクセルサイズは市販モノクロカメラではおそらく最小クラスです。さらにもっと重要なことに、なぜか鏡筒のF値を大きくしてもニュートンリングが出にくい、というか出ないことがあります。理由はよくわかりませんが、カメラをチルトしなくていいのはものすごく楽で助かります。
このように、グローバルシャッターでないということよりも、他のメリットが大きいので、今後しばらくはG3M678Mを使っていくことになると思います。画面周辺にHα中心波長が出ない部分が写ってしまいますが、それはクロップすればよく、クロップしたとしてもピクセルサイズが小さいのでまだ十分な解像度が残ります。
2回目撮影
更に、次の日の金曜日は休暇をとっていました。この日も5時半に起きて撮影です。午前中に病院に行く必要があり、7時までが撮影時間になります。
前日の撮影で、Hαフィルターをエタロン前に取り付け、エタロンの透過中心周波数のズレを解決しました。これは、フェニックス内部に入っていく太陽エネルギーをかなりカットしていることになるので、もうフェニックス内の温度変化はほぼないはずです。なので、ピントのズレがなくなるかどうかを確認するのが目的でした。
今回はG3M678Mで30秒ごとに30分間撮影します。1ショット撮影するのに13秒ほどかかるので、1ショット終了してからのインターバルを17秒と設定して、大体30秒ごとに撮影しています。
結論としては、結局ピントズレはまだ存在していて、シーイングがいいとピントの山がはっきり見えて、つきっきりで数枚ごとにピントを合わせる羽目になりました。
よく考えると、前日撮影した像でも、一番最初の像、もしくは10分おきくらいにピントを合わせ直した後の像が一番分解能が出て、それ以降は時間とともに悪くなっていました。
この日は随時ピントを追っていたので、30分の中でいいシーイングの時間帯を選ぶことがやっとできていて、その時間は撮影開始時ではなく、きちんと撮影の途中に訪れていました。
ベスト画像は以下になります。
- 撮影日時: 2026年7月24日6時58分
- 撮影場所: 富山県富山市自宅
- 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10) + ACUTER OPTICS Phoenix (f400mm、F5)
- 赤道儀: Celestron CGEM II
- カメラ: ToupTek G3M678M
- 撮影: SharpCap Gain 800 (= 8倍)、露光時間4ms、200/200 frames
- 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop
作品としても兼ねているので、波長のズレがある部分をクロップしています。これだけを見るなら、かなり満足のいく画像で、20cmの大口径の効果が十分生かされているのかと思います。撮影時のピントの変化はありますが、それさえ頑張って追うことができれば、言い換えると、30分とか1時間の撮影の間中、つきっきりで数枚ごとにピントを合わせ続ければ、かなりの高解像度で太陽Hα像が撮影可能だということがわかりました。
当然、自己ベストです。
まとめ
ここまでの結果から、どうやらピントの時間変化は、C8側で発生していると考えるのが妥当という結論になってきました。これはなかなか大変です。C8の鏡筒内部は密閉されているので、あまり手を出せなくて、今のままでは改善の目処が立たないからです。
もしこれ以上次の手を考えるとしたら、C8を大幅改造して、筒の部分を無くし、何本かのフレームで主鏡とシュミット補正板、副鏡を固定する、オープン鏡筒の形をとることになりそうです。C8ではなく、手持ちの口径20cmのニュートンをオープン鏡筒にするのもいいかもしれません。実際、世界で市販されている20〜30cm級の大口径太陽撮影用望遠鏡ではオープン鏡筒を採用し、顕著な成果を出しています。
とりあえず、安定性はともかくとして、20cmでのある程度の分解能は得られたので、C8での太陽撮影は一旦ここまでとして、次の課題に移りたいと思います。次に何をやるかはまだ秘密です。アイデア段階なので、ちょっとやってうまくいきそうなら公開することにします。






























