ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:EOS6D

本記事は、一連のSWAT+AZ-GTi=SWAgTi (「スワッティ」gは発音せず) の関連記事になります。




目的

今回は、
  1. SharpCapの極軸調整を一眼レフカメラでやれるかどうか?
  2. プレートソルブを一眼レフカメラでできるかどうか?
という2つのことに挑戦したいと思います。

元々の動機は「SWATユーザーには一眼レフカメラを使って撮影している人が多い」という、開発元のユニテックさんからの情報です。せっかくAZ-GTiで自動導入ができるので、一眼レフカメラでもプレートソルブができないかと考えたことが始まりです。ついでにプレートソルブができるなら極軸合わせもできるのではないかと考えました。

本当は、胎内星まつりのSWAgTiの実演でEOS 6Dで試すところを披露したかったのですが、そこまで全く辿り着かず、いつもやっているCMOSカメラでさえ極軸調整がうまくいかなかったので、その後自宅に帰ってからやっと試すことができたというわけです。胎内で期待されていた方がいましたら、申し訳ありませんでした。この記事で代替とさせてください。


セットアップ

実際のセットアップです。鏡筒はFS-60CBにマルチフラットナーで、鏡筒とフラットナーの間にサイトロンのDBP(Dual Band Pass)フィルターを入れています。そのため恒星が多少暗くなり、極軸調整でもプレートソルブでも影響があるかもしれません。それでも簡単のために撮影時の設定を崩したくないので、今回はフィルターを外したりせずにそのまま試すことにしました。一眼レフカメラとしては天体改造済みのEOS 6Dです。これらをSWAT+AZ-GTiのSWAgTiに載せます。SWAgTiはいつものようにGitzo製のバサルトのミニ三脚に載せます。

鏡筒とカメラである程度重くなっているので、ホームセンターで買った12mmのネジが切ってある金属棒をAZ-GTiにつけ、そこにウェイトをつけています。胎内でユニテックさんにデモを見せてもらったように、SWATの回転方向のバランスをきちんと取らないとSWATのギヤに大きな負担がかかることを学んだので、今後はウェイトを使って赤経方向のバランスを取ることを心がけるようになりました。CMOSカメラの時はウェイト側が重過ぎてバランスが取りきれていなかったのですが、一眼レフカメラになってちょどバランスが取れる範囲になりました。

IMG_8504


極軸合わせ

まずはSharpCapで6Dを認識させることからです。今のSharpCapはASCOM経由で一眼レフカメラのかなりの機種を接続することができます。



ポイントは、SharpCapで一眼レフ用のASCOMドライバーを立ち上げる際には、カメラをケーブルで接続をしない状態で行うか、ケーブルで接続をしてもカメラの電源を入れないことです。こうすることで、エラーなど出ずに下の画面のように設定画面でカメラの設定をすることができます。

11_canon

ISOですが、設定画面で設定しものが反映されないことがあるようなので、その場合は一度接続ケーブルを外し、カメラ本体側で操作できるようにしてから設定します。

設定が完了したらカメラを接続して、さらにカメラの電源を入れて、上記設定画面の「OK」ボタンを押します。「カシャーン」とシャッターが上がる音がして動作開始です。おそらく初めて繋ぐときはライブビューモードになっているので、自動的にSharpCapでカメラからの撮影画面が出ますが、これだとシャッターを切り続けてしまい落ち着かないので、すかさず画面右上の「ライブビュー」ボタンを押して以下の画面のようなスティルモードにしてシャッターを切り続けるのを止めます。

10_still

露光時間を設定しますが、今回は16秒で試してみました。シャッター回数が増え過ぎず、一つの動作をあまり待たないくらいの時間という意味です。

ここからはSharpCap上で普通に極軸調整をします。どうやら極軸調整を選ぶと自動的にライブビューモードに切り替わるようです。なので、少なくともここに来るまでに適した露光時間にしておいてください。

12_polar
極軸合わせでは自動的にライブビューモードになるようです。

ここからは単に、一コマ一コマに16秒かかる極軸調整になるだけです。星の認識も問題なくできます。
01_polar

通常通りNextを押して途中SWAT側で赤経つまみを緩めて90度回転し、どれだけずれているか計算してもらいます。下の画面は2度くらいずれてますね。
03_polar

あとは三脚の足の伸び縮みと、三脚をずらしての水平方向の回転で調整します。今回は下のように、30秒角程度まで合わせこむことができました。ここまで合わせると、ずれは4分間かかっても0.3秒程度になるので、今回ターゲットとしている3分間程度の露光では極軸のずれによる星像の流れは完全に無視できるレベルです。おそらく機材のたわみによるズレの方が支配的になってくると思われます。

07_polar

でも露光時間が長いので合わせこむ回数にどうしても制限ができてしまいます。あまり突き詰めなくても、3分角程度まで合わすことができれば十分でしょう。これでも最大で4分間で3秒角程度ずれていく程度なので、SWATの精度と同等くらいになります。


極軸合わせのまとめですが、試してみた結果、露光時間が長いので少し時間はかかりますが、それ以外はCMOSカメラでの極軸合わせと何ら変わりはなく、一眼レフカメラでも十分に極軸を合わせられることがわかりました。

ちなみに、最初はASCOMドライバーでライブビューモードを選び、動画モードで極軸合わせができればと考えていたのですが、感度が全く足りませんでした。そもそも動画レベルなので露光時間が1秒より遥かに短くしか撮れていないことが原因です。1等星クラスの明るい星なら見えるかもしれませんが、ほとんどの星はSharpCapの画面上で見ることができません。

bad
ライブビューモードは使い物になりませんでした。 


プレートソル

極軸合わせでうまくいったので、気を良くして次はAZ-GTiでの初期アラインメントです。ここではちょっと冒険をしてAZ-GTiを使ったプレートソルブを試してみます。

SharpCapからAZ-GTiまでの接続ですが、まずAZ-GTiはSWATの上に乗っかっていて、PC上で立ち上げたSynScan Proから WiFiで接続されています。接続時には赤道儀モードを選んでいます。SharpCapからはASCOMドライバーを介してSynScan Proに繋げます。

この際気を付けることは、SharpCapとSynScan Proがきちんと接続されているか確認することです。きちんと接続されると、SharpCapのコントローラ部に今どちらの方向を向いているかの数字が表示され、その数字が時間とともに動いている様子が見えます。数字が動いていなかったり、0付近になっているとか実際に向いている方向と明らかに違う数字が出ている場合はうまく接続されていません。この場合は、PC上のSynScan Proを一旦閉じて、再度立ち上げてから繋ぐとうまく接続できるかと思います。うまくいかない場合は、PC上のSynScan Proの緯度経度情報を確かめてみてください。スマホやタブレットで繋いだときはGPSがあるので自動的に緯度経度情報は取得できますが、PCは通常GPSがないので緯度経度情報がうまく設定されていないかもしれません。

プレートソルブの設定はSharpCapの設定画面のプレートソルブタブから行います。

14_ps_gauss

私はASTAPとAll Sky Plate Solver(ASPS)を併用していますが、普段はほとんどASTAPです。まれにASTAPでうまく解決できなくてASPSだとうまくいくことがありますが、ASPSのほうが少し余分に時間がかかります。あと注意は、焦点距離をきちんと入れておくことでしょうか。自分の機材にあった焦点距離を大体でいいので入力しておきます。ここが大きくずれているとどうやってもプレートソルブはうまくいかないです。

設定画面には、ズレを計算した後にどうやってAZ-GTiに返すかですが、4つのオプションがあります。以前は2つ目のオプションのきちんと同期するところまでやっていたのですが、最後のAZ-GTiに返すところでうまく動いてくれないことも多くて、最近は4つ目のオプションの「マウント位置をオフセットして、天体を中央に配置する」を選ぶことが多くなりました。

とりあえず実際にプレートソルブをやってみましょう。まずはPC上のSynScan Proから初期アラインメントをします。赤道儀の極軸がかなり合っているので、ワンスターアラインメントで十分でしょう。適当に星を選びます。今回はアルタイルで試しました。一番最初に初期アラインメントで自動導入した後、下のように「マニュアルで中心に」と出ますので、この時にマニュアルで合わせる代わりに上で書いた「4つ目のオプションをえらんで」プレートソルブを使います。

22_PS_ok

うまくいくと、赤道儀が見ていると思っている方向と、実際に今見ている画面から計算した方向のずれが角どで上の緑のバーのところに表示されます。
20_PS_ok

その後、自動的にターゲットの星が真ん中に来ます。
21_PS_ok

このようにターゲット星が真ん中に来て、赤道儀が見ていると思っている方向と、実際に今見ている方向が一致している状態で、SynScan Proの初期アラインメントを完了してください。これで同期が完了し、これ以降は、(SWATの水平出しに依りますが)自動導入でターゲット天体がほぼ正しい位置に来るはずです。


うまくいかない時:
実は今回、初期アラインメントのテストにあたり、一番最初アルタイルでなくベガを選びました。実際初期導入すると、すでにベガが画面の端の方に入ってきました。ところが真ん中に持っていこうとプレートソルブをかけますが、なぜか全然位置を解決できません。ASTAPもASPSも両方ともダメです。一眼レフカメラなので何か弊害があるかと思い、露光時間、ISO、その他各種設定を色々いじっても全くダメです。もしかしたら本当にダメなのか...と、諦めかけていたのですが、ターゲットをベガからアルタイルに変えたら、一発で解決しました。しかも露光時間など多少設定を変えても全部きちんと解決してくれます。もしプレートソルブがうまくいかない場合は、早々に諦めてべつのターゲットにしてみるというのも手なのかと思います。


まとめ

この日は月も明るく、平日だったので、プレートソルブのテストまでで、撮影は敢行しませんでした。極軸調整もプレートソルブも、SharpCapを一眼レフカメラで使う時特有の、ライブビューモードとスティルモードをきちんと意識して使い分けることで、CMOSカメラと比べてもほとんど遜色なく使うことができるとわかりました。この際、露光時間を16秒としたのですが、やはりこのくらいが適当かと思います。短かすぎると操作性はよくなりますが、シャッターを切りまくるのでメカニカルシャッターの寿命が気になりますし、長すぎると操作性が悪くなるかと思います。

次は実際の撮影をどうするかですが、月のない天気の良い日を待ちたいと思います。SharpCapで撮影すべきか、これまで通りBackYardEOSを使うべきか、それともソフトなど使わずにシャッターを切るだけにするか。まだちょっと迷っています。


皆既月食の一連の結果です。前回の記事の続きです。


今回は広角で月食の全景を撮影したものです。


広角撮影セットアップ

全過程を広角で撮影したものです。機材は
  • 35mm、F1.4のNIKKORレンズをF8で使用
  • Canon EOS 6D、HKIR改造、フィルターなし、1/400s(2.5ms) ISO100
  • Manfrottoの固定三脚とVelbonの自由雲台PH-173
になります。

レンズは最初50mmを考えていたのですが、今回は4時間と長丁場で、Stellariumで画角を計算してみると全景は全然入りきらずに持っていた古い35mmレンズとしました。広角なので手持ちの唯一のフルサイズの6Dをここに投入します。

露光設定ですが、こちらもSharpCapのシーケンサーを使って、1分に2枚明るさを変えて撮影します。
  • 1枚は露光時間1/400s(2.5ms)、ISO100で、月の明るい部分に合わせた暗い設定
  • もう1枚を露光時間1/2s(500ms)、ISO800で、月食部分にあわせた明るい設定
とします。SharpCapのシーケンサーの詳細です。

seq

撮影後、撮って出しJPGを見たらかなり暗く写っていたので、最初失敗かと思いました。でも画像処理をして炙り出すことで、特に問題ない画像となりました。1分間に2枚撮影して、4時間強の撮影になったので、1セットあたり263枚、合計526枚の画像がありました。多量のファイルがあるのでどう画像処理を進めようかと思い、LightRoomや動画にしてからPremireで加工するなども試しましたが、結局PixInsightでContainerを使うのが一番小回りが効きやすかったです。


画像処理詳細

かなり暗めに撮影したため、炙り出すとBiasノイズのような縞ノイズが見えました。しかも縞は一定ではなく、ランダムで出るので厄介です。今回はCanonBandingReductionが有効なことがわかったので、これを全てのファイルに適用します。263枚を一度に処理する必要があり、さすがに一枚一枚処理するのは大変なので、
  • ImageContainer
  • ProcessContainer
を使うことにしました。心配だったのは、CanonBandingReductionはScritpsに所属するUtilityなのですが、これでも一括処理できるようです。やり方は、
  • ImageContainerに処理したいファイルを登録し、出力フォルダを設定したりします。
  • ImageContainerのインスタンスを作ります。
  • CanonBandingReductionを開き、適当に設定し(今回はデフォルトのまま)、そのインスタンスを作ります。
  • ProcessContainerを開き、CanonBandingReductionのインスタンスを投げ込みます。
  • ProcessContainerのインスタンスを、先ほど作ったImageContainerのインスタンスのインスタンスに投げ込みます。
すると順次各ファイルの処理が進みます。

ここで一つ注意です。CanonBandingReduction単体の処理なので、ProcessContainerが余分な気がしますが、試した限りUtilityはImageContainer単体には適用することができないようです。

さらに画像処理して、PixInsightで適度にストレッチします。今回は途中で明るさをいじったりしたくなかったので、MaskedStretchなどは使わずに、HistgramTransformationのみ使いました。全部のファイルに適用するのはImageContainerを使いました。ここではProcessContainerは必要なく、直接ImageContainerにインスタンスを投げ込むだけで適応できました。

さらに出来上がった.xisfファイルをjpegに変換します。変換はのちに動画にしたいこともあるので、Blinkを使います。ここでjpegを指定し、一旦仮の動画にしてしまいます。


結果の画像と動画

これらの過程を満月に合わせた暗い設定、月食に合わせた明るい設定の2つに適応し、できた多量のjpegファイルを合成します。合成は、皆既になる前後を境にして、暗い設定->明るい設定->暗い設定としてファイルをまとめるようにします。Blinkを通した時点でファイル名のタイムスタンプはなくなってしまっています。なので、Blinkを通す時点で1分で2回取れたファイルのみを変換しておくことに注意です。そうしないと2種の明るさのファイルの時間がずれてしまい、合成した時に境目でズレが起きます。(それでも境目で30秒のずれはどうしても発生していますが、これは今回は無視するとことにします。)

まずは5分おきに比較明合成したものです。これが一番メインの結果となるでしょうか。
StarStaX_Blink00001-Blink00261_lighten

ついでに、1分おきに比較明合成すると以下のようになります。
StarStaX_Blink00001-Blink00263_lighten_500ms

月食に合わせた、明るい設定だけを1分おきに比較名合成してみました。最初の頃と最後の頃に雲が多かったので、全部は使わずに部分月食が終わってからの画像はカットしました。
StarStaX_Blink00001-Blink00200_lighten

次にタイムラプスです。アニメ化する際には、必要なファイルを入れたフォルダに移動して、ターミナルで

ffmpeg -y -r 20 -i Blink%05d.jpg -vf scale=1920:-1 -b:v 20000k Blink.mp4

などと打ち込みます。横幅がHDMIの1920ピクセルになるようにしています。ただしこれだと横長の動画になってしまうので、次のコマンドで回転させます。

ffmpeg -i Blink.mp4 -vf "transpose=2" Blink_rot.mp4

こうしてできた動画になります。


動画にするとかなり月が小さく見えるので迫力があまりないです。できるだけ画面いっぱいに拡大してみた方が良さそうです。ついでに、明るい設定のものだけをタイムラプスにしたものをアップしました。こちらのほうが見やすいかもしれません。

最初と最後に雲がそこそこあったことがよくわかります。

次の記事は天王星食です。


 
 
 
 
 
 
 
 

 

もう小海の星フェスの前のことになってしまいますが、11月8日の皆既日食で撮影した画像処理を進めています。これから数回に分けて、月食関連の記事を書いていきます。

今回はどういう方針かと、リハーサルの様子などです。


今回の方針

今回の皆既月食はかなり気合が入っていました。本番は11月8日ですが、その前の5日の土曜からいろいろ準備開始です。

前回の限りなく皆既に近い月食の時の撮影の反省から、いくつか方針を立てます。



前回のブログを読み直すなどして、今回の皆既月食で達成したい大きな目標を3つ立てました。
  • 一つのカメラで一つの設定だけだと、満月時と皆既時で輝度差がありすぎるので、写す時は毎回露光時間と輝度を変えて複数枚撮影すること。
  • 太陽時で撮影し、後から月の位置をずらすことなく、何枚か重ねて、地球の影を出すこと。
  • 天王星食を動画で撮影すること。
です。

具体的な撮影機材のセットアップは4種類考えます。
  1. 固定三脚の短焦点距離のカメラレンズで広角で、1分ごとに撮影し、月食の初めから終わりまでの全景を。
  2. FS-60CB+ASI294MCで赤道儀の同期レートを太陽時に合わせて、月が画面内で移動していく様子を撮り、あとで影で地球の形を出すもの。
  3. TSA120+ASI294MC Pro(常温)で、タイミング、位置など、被強に応じて自由に撮影するもの。
  4. 天王星食を拡大で撮影するもの。
としました。

これらを実現するために、当日までにリハーサルで特にやっておくことは、
  1. 1分の撮影に2つの設定(露光時間とゲインを自由に変えること)ができるかどうか試すこと。
  2. 満月の時の露光時間とゲインを各機器で確かめておくこと。
としました。


1つのカメラに、2つの設定での撮影テスト

特に1の、一つのカメラで複数の設定を切り替えながら繰り返し撮影というのはこれまでやったことがないので、本当にできるかどうかよくわかっていません。

試したソフトは4種。
  1. FireCapture
  2. NINA
  3. SharpCap
  4. BackYard EOS
実際に試してみて、これらのソフトの中でCMOSカメラと一眼レフカメラ両方に対応しているのは2と3ということがわかりました。さらに試していくと、例えば1分で2回、30秒ごとに設定を変えるようなことを繰り返し撮影できるのも2と3のみのようです。NINAはアドバンスド・シーケンス、SharpCapはシーケンサーというちょっと複雑なスクリプトようなものを使うと、設定を変えながら繰り返し撮影できるようです。

どちらでもよかったのですが、NINAで6Dを繋いで撮影したことがほとんどないことと、ガイドを使う必要はないので、今回はSharpCapを使うことにしました。実はNINAの方が「月の照度」というパラメータがあり、明るさがあるところになると条件を変えるというようなことができるようなのですが、複雑になりすぎるのと、当日は天気が良くないことが予想されたので、SharpCapで十分だったように思います。

SharpCapのシーケンサーはかなり直感的でわかりやすく、CMOSカメラの場合動画で撮影したいので
  1. 「Repeat」の中に
  2. 露光時間設定、ゲイン設定、キャプチャ開始、ウェイト、キャプチャ停止、ウェイト
  3. を露光時間とゲインを変えて2回書き
  4. ウェイトを含めた一回のループの時間を1分間になるように設定し、
  5. トータルの回数を4時間分の240回にする
というような設定になります。部屋の中で試しながら、色々スクリプトを書き換えて、上記の状態に行きつきました。保存ファイルは.ser形式になりますが、一つ一つのファイルサイズが大きくなりすぎないように、5秒間だけ撮影することにしました。それでも1つ800MB程で、4時間で240枚x2(30秒ごとなので1分で2枚)で約500個のファイルができることになり、トータル約400GB!となる予定です。

SharpCapのシーケンサーの設定はCMOSカメラの方が遥かに楽でした。一眼レフカメラの場合は静止画撮影になるので、「Still Mode」にして、キャプチャ開始とかではなく、1静止画をキャプチャとかになります。難しいのは、PCとカメラの接続がUSB2で転送が遅く、しかもそのダウンロード時間がばらつくので、1分間ごとのループにならないことです。そのため、ストップウォッチで計測しながら1分間になるようにウェイトを調整します。これも後から気づいたのですが、NINAのアドバンスド・シーケンスにはループする時間を直接指定できるコマンドがあるようです。次回からはもしかしたらNINAを使うかもしれません。でもNINAって大原則DSOが対象なんですよね。msオーダーの極短時間露光の月とかでもうまくいくのかどうかはきちんとテストする必要があるかと思います。

とにかくこのようにすることで、CMOSカメラも、一眼レフカメラも、30秒ごとに
  • ゲインが低く露光時間が短い満月用の設定
  • 皆既時用のゲインが高く露光時間が長い設定
の2種類を一つのカメラで撮影することができます。頑張れば20秒ごとに3種類の撮影もできますが、撮影後のファイルの数と容量ともに膨大になるので、2つの設定に抑えたほうがよさそうです。


明るさの設定

次に暗くなってからの調整です。こちらは実際には月食前日の月曜に行いました。満月に近い月齢13日のかなり明るい月が出ているので、露光時間とゲインをその月の明るさに合わせます。

問題は皆既時の明るさの設定です。これまでの月食の経験から、露光時間とゲインをかけた明るさの比が100倍(TSA120+ASI294MC)、400倍(FS-60CB+ASI294MC)、1600倍(35mmレンズ+EOS 6D)とかになるように設定しました。明るさの比にかなりばらつきがありますが、TSA120は自由撮影機なのであとから変更することもあり、かなり仮の設定です。

重要なことは、サチると何も情報は残りませんが、暗い分には画像処理で持ち上げることで十分な明るさにすることができると考え、少し暗めの設定にしておきました。この判断は正しかったようで、実際に撮れた画像は最初思ったより暗いと感じたのですが、DSOの時の炙り出しに比べたら全然大したことなく、十分すぎる情報があるので、どの設定も最終的には全く問題がなかったです。ただし、暗いと背景がノイジーになることがあるので、そこは画像処理時に適したレベル補正や、もしくはノイズ処理が必要になる場合がありました。


当日の撮影

前日までの予報では、日本海側の天気はかなり絶望的でした。もうあきらめるか、一時期は休暇を取って太平洋側に行こうかと思っていました。でも当日になり、夕方くらいから晴れそうな予報に変わってきたので、結局自宅で撮影することにしました。

雲が出るなどの、天気によっては連続撮影は意味が無くなってしまうので、様子を見ながらのセットアップになります。最初は天気が悪くても雲間からでも狙えるように、自由撮影のTSA-120とASI294MCをセットしました。途中からどんどん雲も少なくなってきたので、次に広角35mmとフルサイズのEOS 6Dを置き、さらに太陽時に合わせて連続撮影で写すFS-60CB+ASI294MCもセットします。

暗くなりかけてきたところでまずはFS-60CBの方から、ガイド鏡を仮載せしてSharpCapで赤道儀の極軸を取ります。でも雲がまだ北の空にそこそこ残っているので、雲が薄くなっているところを狙います。今回は赤道儀の精度が肝なので、Excellentがでる30秒角を切るくらいまで合わせこみます。

IMG_7046

18時には撮影を開始したかったのですが、最初の頃は雲が多くてかなり戸惑っていたため、実際に撮れた画像の時刻を確認してみると、35mmの方が部分月食開始の18時7分から、FS-60CBの方が部分日食開始が過ぎた18時13分からになってしまいました。

FS-60CBの連続撮影を開始し、ついでにTSA-120の極軸とりと連続撮影も開始したらやっと少し余裕が出て、最後にCGX-LにVISACを載せてUranus-Cを付けたものをセットアプしました。天王星食の拡大撮影用です。でもこれ、後で詳しく書きますが結局失敗でした。

途中、お隣のご夫婦がきて、一緒に月食をみました。撮影の面倒を見ていたのであまりお世話ができなくて申し訳なかったのですが、それでも双眼鏡を出してみてもらったりしました。今回は皆既の時間がかなり長かったので、そこまで焦らずに見ることができたと思います。


撮影結果は次の記事から

次の記事から、セットアップの詳細と結果を順に書いていきます。ファイルを見たら全部で900GB近くあったので、まだ処理をしている最中です。

とりあえず今回の記事では撮影の最中に、iPhoneでSharpCapの画面を撮ったものだけ載せておきます。

IMG_7044
FS-60CBで連続撮影をしている画面です。
欠け始めていて、雲がまだ多いのがわかります。
シーケンサーが走っているのが分かると思います。

IMG_7047
皆既に入って間も無くくらいの時です。
TSA-120での撮影です。右上が明るいです。

IMG_7049
天王星が認識できたところです。TSA-120で拡大して写しています。  

IMG_7053
VISACでの撮影です。天王星が出てくるところです。

最後の写真ですが、月食も終わりの頃でFS-60CBで露光を変えて2種類撮っているところです。
IMG_7055

IMG_7056
最初は画面左下から始まった月の位置も、月食が終わる頃には真ん中のかなり上まで移動してきました。太陽時に合わせてあるので、地球の影が固定されているはずで、その影を映すスクリーンのように月が動いていく様子を見ることができました。

さて、次の記事からは実際に撮影した画像を載せていきます。


 
 
 
 
 
 
 
 


冬はなかなか遠征がいけないのとで、ゴールデンウィークで久しぶりの遠征です。といっても近征で、車で30分くらいの所です。

最近天文関連の活動が多すぎて書く暇がなく、ブログの更新が滞っているのですが、遠征はその場の雰囲気を忘れてしまうので、画像処理はまた後にするとしてとりあえず書いておきます。


久しぶりの遠征で準備に四苦八苦

GW中の5月3日、この日は朝10時からZoomで天文関連の打ち合わせ。その後は太陽撮影で忙しく、ドタバタしながらの遠征準備です。最近はずっとSCA260とCGX-Lでの撮影が多いので、今回の遠征はいい機会とばかりに、この大型セットを持ち運びできるかテストしてみます。

まずは特等席の助手席にSCA260を積みます。少し背もたれを倒して安定するように積み込みますが、最近はホコリ問題でカメラをできるだけ外さないと決めたので、カメラに変な力がかからないように気を使います。

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CGX-Lの赤道儀部分は後ろの座席に、シートベルトを一旦伸ばし切って縮めることで、シートベルトが(一旦外すまで)伸びないようにします。三脚は巨大なので苦労しました。今回初めて気づいたのですが、下から押し上げる巨大な台座があるのですが、三脚を畳むときはちょうど脚が収まるように3箇所カットされています。取り付けるネジも2段階になっていて、緩めるだけだとネジが落ちないように工夫されていて、その状態で三脚をたたむことができるというわけです。ただえさえ大きくて重くてあつかいがたいへんなので、運ぶことやしまうことも考慮してあります。使って初めてわかるありがたさです。結局後ろ座席の床に横向きに倒して置きました。台座の幅が結構あるので、出し入れの時は前の座席を一旦前に移動する必要がありましたが、なんとか収めることができました。

まだスペースがあるのでCGEM IIも持っていくことに。赤道儀は後ろ座席の空いている側に、三脚は床に、今度は立てて置きました。というのはCGX-Lの三脚で床がいっぱいで、重ねておくしかなく、木津着くのが嫌だったからです。足を多少開いて立てて置いたらそこそこ安定しました。

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トランクはその他機材でいっぱいです。ちょっと前に大型の防湿庫を買って、ほとんどのレンズやCMOSカメラ、小型鏡筒を入れることにしたので、遠征時はここから必要なものを毎回ピックアップする必要があります。

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心配性なので、今回使わないもの(電視観望関連とか)もたくさん持っていきますが、次の日(今書いている今日)、夕方から牛岳で富山県天文学会の観望会なので、そのまま使えるのかと思います。仲のいい(4月から中学生になった)Mちゃんにも声をかけておいたので、来てくれると思います。

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と、準備に戸惑って、自宅を出たのが18時過ぎ。途中の「すき家」に入って腹ごしらえ。お腹が空いていたので特盛と豚汁卵セットです。お腹も一杯になり、さらに途中ファミマによりおやつと夜食を買い込み撮影現場に向けて出発です。といっても、そこから15分くらいなのでもう近いものです。

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セットアップはトラブル続き

現場に到着したのは結局19時過ぎでした。雪解けでまだほとんど人が入った形跡がなく、途中道路のど真ん中に大きな岩が落ちていて、車幅ギリギリで怖かったです。到着後すぐにセットアップを始めますが、すぐにバッテリーを一つ忘れたことに気づきました。普段バッテリーを3つ持っていくのですが、出発直前に1つを充電し始めて、「忘れないようにしよう」と気をつけてたのですが、案の定忘れました。しかも今回はめずらしく撮影の方が2台体制だったので、バッテリー2台だとギリのギリでした。天文あるあるかと思いますが、遠征の時は大抵何か忘れます(笑)。私が結構あるのがガイド鏡を忘れることです。一応予備が入れてあるのですが、予備の方は焦点距離が短くて苦労したりします。

もう一つのトラブルが、リモートデスクトップでStickPCにつながらなかったことです。外ではミニワイヤレスルータにつなぐのですが、このStickPCは以前きちんとテストしていたはずです。しかたないので、別途USBタイプの外部モニターを取り付け、メイン機で見ながら、マウスとキーボードもつないで設定など見てみますが、IPアドレスはきちんと割り当てられています。それぞれのPCからルーターにはアクセスできます。それでもpingは互いに通りません。結局ファイヤーウォールが問題だったのですが、ファイヤーウォールの設定が(プライベート、ドメイン、パブリックの)3種類あり、外部に繋がないLAN状態なのでプライベート設定かと思っていたら、最後に試したパブリック設定のファイヤーウォールが原因でした。前はきちんと繋がったのを確かめているので、アップデートとかの際に勝手にオンになってしまったのかもしれません。出発前に直前チェックをしておくべきでした。

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やっと撮影開始

これで全てOKで、撮影開始は21時半近く。ちょうど子午線を越えるかどうかというところだったので、自動導入で赤道儀が反転する時間まで待ってから撮影を開始しました。ところがいざ撮影を始めてみると妙にバタバタします。撮影後は車の中で暖まっていたのですが、確かに外に出ると結構な風が吹いています。この時点で元々やろうと思っていた10分露光をあきらめて、3分露光にしました。多少星像は歪むときもありますが、そこそこ円を保っています。ある程度の星像肥大は避けることができなさそうです。

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一応アンテナも写っているみたいでます。

おやつタイム

撮影も軌道に乗って落ち着いてきたので、おやつタイムです。今日はファミマで買ったホイップメロンパン。遠征の楽しみの一つです。

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この時に、なんとアイスを買っていて食べ忘れていたことを思い出しました。袋の中で当然クタクタに。家に帰ってまた冷やして食べます...。


SQM測定で空の暗さを確認

ちなみにこの場所、南側はiPhoneのDark Sky Meterで測るとSQM21.31です。自宅から車で30分でこれならまあまあかと。北側は富山の町あかりで全然ダメです。北側を撮るときはもっと南まで下がります。

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SQMが測定できるといっても、専用機と違うのでどこまで精度があるかわかりません。それでも使っている限りそこそこの指標にはなるのかと思っています。値段も値段(250円)なので、趣味の範囲で使うのなら手頃でいいのかと思います。


2台目のセットアップもトラブル

時計を見ると22時半頃、少し落ち着いたので、2台目のセットアップにかかります。もう一つの狙いは夜中からのアンタレス付近です。CGEM IIにEOS 6Dと借り物のSIGMAの105mmを載せます。F1.4の化け物レンズです。レンズにはアルカスイス互換の脚がついているので、そこに小判鮫状態でガイド鏡を取り付けます。

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ターゲットはアンタレス全域と青い馬、天の川の一部が入る構図です。でもこの構図、その場で気づいたのですが、カメラを縦に固定する必要があるんですよね。6DにはL字のブラケットがついているのですが、縦に固定するとPCと接続するUSB端子が塞がれてしまうのです。仕方ないので、PCからの BackYardEOSとの接続は無しで、ガイド時のDitherはしない覚悟で、MagicLanternのバルブ撮影に切り替えました。ところがです、このバルブ撮影はこれまで何度もやっていてうまくいっているのですが、今回全くうまく動きませんでした。シャッターを押している時だけ露光するという、本当にごく普通のバルブ状態になってしまって、全然長時間露光になりません。改めてネット調べてみても設定は正しそうです。

すでにこれだけで30分以上ロスしてます。一度カメラを外して車に戻り、冷静になり考えてみました。そうだ!L字ブラケットを裏返せばいいのではないか!と思い、ネジを緩めて外そうとしたところ、わざわざ裏返さなくても、横にスライドすればいいのではと気づきました。

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これでUSB端子に接続でき、かつ縦方向でアルカスイスクランプに固定できます。時計を見ると0時半過ぎ。

さらに、撮影し出してから星像を改めてBYE上で拡大してみてみると、コマ収差が結構出ています。ここでレンズをF1.4からF2.0に変更するとかなりましになりました。カメラレンズだとF値の変更もBYEからできるのに改めて気づきました。ISO800の30秒露光でもちょうどいい明るさなので、F2.0でもかなり明るいレンズなのがよくわかります。


おやつタイム2

ここからは順調に撮影できたので、ホッとして夜食の冷やし中華と、本日2度目のおやつタイムのクリームパンです。え、おやつタイムの「2」ですって?食べ過ぎですね。でも遠征時は何を食べても美味しいです。

あ、冷やし中華で思い出しました。この日むちゃくちゃ寒かったんですよ。念のためスキーウェアを持っていったのですが、それでちょうどいいくらいでした。でも手袋を忘れてしまっていて、寒い中アンタレスで苦労して、ブルブル震えていたところ「冷やし」中華。車で暖房をつけて、しばらくして暖まってからやっと食べる気になりました。お腹もいっぱいになり急激に眠気が。午前1時半頃でしょうか、仮眠をとります。


後片付けとフラット撮影

次に目が覚めたら3時半頃、でもまだ眠くて動き始めたのはもうかなり明るくなりかけてる4時過ぎ。すぐに片付ければいいものを、せっかく明るい時までいるのでフラットを取ろうと画策し始めました。撮影している最中に片付けもやれば時間短縮だ!と思っていたのですが、フラット撮影の最中でPCへの接続が突然止まりました。バッテリー切れです。バッテリーを一つ忘れたつけが最後にきました。

というわけで、フラット撮影も中途半端、意気消沈して片付けもダラダラやっていたら現地を出たのは5時半過ぎ。6時過ぎに自宅に戻り、やっと就寝です。でも仮眠が長かったせいか、寝付けたのが多分7時過ぎ。10時半に起きて、ブログを書きながら今に至ります。

まとめと今日これから

トラブルだらけの遠征でしたが、それでも楽しいものです。うまく撮れているといいなあ。アンテナ銀河は風が強くてダメだったかも。あ、アンテナ銀河沈む頃にM57に切り替えたの今になって思い出しました。風がピューピュー言ってたので、ヤケになって10秒露光、ゲイン450の多数枚撮影。でも眠気の中セットしたのでどうなっているかよくわかりません。アンタレス付近はそこそこ撮れているとは思いますが、どうでしょうか。

程良い疲れと眠気が気持ちよく、充実した一日でした。GW中まだチャンスがあるならもう一度くらい遠征に行ってもいいかもしれません。

そんな感じで、明けて今日現在、ブログを書いています。時間があれば今日は少し太陽も見たいし、今晩は県天の集まりで牛岳です。荷物を車に乗せたままなので、準備時間は短縮できるとおもいます。牛岳は一般の人も夜景を見にたくさん来ていると思います。人がいると話してしまうので、撮影は難しいかもしれません。電視観望にするかも。しかもまだ天文ガイドの原稿を描いてる途中です。連休はやりたいことだらけで忙しいです。


 

2021年11月19日は、月の97.8%が欠ける限りなく皆既に近いと言われる月食です。前回の2021年5月26日の皆既月食は、ブログ記事にすることがほぼ何もないくらい雲が厚くて全滅でした。さて今回はどうなることやら。


準備

実は私、まだまともな月食の撮影はしたことがありません。星を初めてまだそこまで年数がたっていなくて、初の皆既月食は2018年でした。



同じ2018年にもう一度チャンスがありました。


この2回はいずれも雲に悩まされ、かろうじて雲越しの月を救い上げたか、皆既時には雲で撃沈だったりでした。その他部分月食の機会もありましたが、いずれも天気が悪かったりで、まだまともな撮影を実現できたことはありません。

そんな中、今回は北陸は天気が悪いとの予報だったので、もともとあまり気合は入らず、しかも月食当日の11月19日は平日で仕事もあるのであまりたいした準備もしていませんでした。でも当日になると予報に反して天気が良さそうです。仕事が終わってそれこそ超特急で準備をして、いつもの東が開けている近くの河原に陣取りました。とにかく時間がギリギリでした。

地平線(と言っても遠くの立山連峰が5度くらいの高さまでありますが)までひらけて見える前回の撮影場所にしようとしたのですが、冬の月に近いので出てくる位置が思ったより北に寄っていることに気づきました。そのため少し場所をずらし、月の出から見えるような位置に陣取りました。もう準備の途中ですでに肉眼でぼやけた、それでも既に欠けている月が見え始めているのに気づいてました。山の際の低空に雲があるため、最初は月が霞んでいたので、まだ少しだけ準備に時間をかけることができそうです。


機材1: 広角

まずは急いで、簡単な方の広角撮影の準備をします。EOS 6DとNikkor 50mmオールドレンズで月の出始めから月食終了まで1分ごとの連続撮影です。準備の間にやったことは
  1. 三脚にカメラをセットし、月を拡大してピントのチェック。
  2. 設定はF値2.8、露光1/5秒、ISO400で、かけている部分の模様が見えるくらいに。
  3. 画角のチェック。縦長で最下部に地面が入るように、かつ月が左端に来るように。これで月食終了時に月が右上のはずです。
1分ごとの撮影は、Magic Lanternのインターバル撮影の機能を使っています。バッテリーは長時間っ撮影でも電池切れにならない様に、2系統のUSBから電源を取得できる外部バッテリーを使っています。とりあえず撮影を始めて、月食が終わるまで3時間近く放っておきました。

その中から5分おきのものを抜き出して、比較明合成したものが以下になります。

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ちなみに1分ごとのものを全部合わせるとこうなります。

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これをタイムラプス映像としてみると、


画像処理までして実感したこの撮影の反省です。1分という時間間隔はそこそこokです。それでもタイプラプスにするなら30秒の方がスムーズかもしれません。一番の問題は月食で欠けている部分に露光を合わせると、月の明るいところは完全に飽和してしまうことです。この写真も途中から露光を切り替えて、明るい部分の模様が見える様にした方が良かったかもしれません。でも長時間撮影なので、一度撮影を始めたら触りたくないんですよね。

そこで次回に向けて考えたのは、撮影は1分おきなので、その間に露光を3種類くらい変えればいいのではないかと思うのです。今回の設定と、2018年の7月の皆既月食のときの設定から考えて
  1. 明るい部分: F4、露光1/200秒、ISO100
  2. 今回の設定と等価F4、露光1/2.5秒、ISO400
  3. 欠けた部分: F4、露光1秒、ISO800
くらいでしょうか?

こういった複数の設定を繰り返すのは、いつも6Dで使うBackYardEOSはちょっと面倒かと思います。なので、NINAかSharpCapのASCOM接続とかになるのでしょうか、いずれ次回の月食までにテストしたいと思います。

あと50mmのもう少しいいレンズが欲しいですが、他にもほしいものがたくさんあり、なかなか優先度が上がりません。


機材2: FC-76での連続撮影

2台目は、FC-76 + ASI294MC + Advanced VXで、もう少し大きな月のタイムラプス映像と、地球の影を炙り出すために、5秒間のワンショットを1分おきに2時間半近く、合計150ショット近く撮影。撮影ソフトはFireCapture、露光時間は25ミリ秒でゲインが220です。5秒で70枚ほどが撮影されます。

画像処理ですが、AutoStakkert!3でスタック、あとはPhotoshopのアクションとLightroomの同期機能を使い、全数同じような処理をします。最大食だけは見やすいように少し目立つ処理をしました。

最大食時から前後20分おきの画像を並べてみました。フィルターなどは入れていません。

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参考にしたのはこのページです。



この位置に合う様に、月を一直線に並べていくと影がきちんと円を描きます。

FC-76での撮影も問題点は広角の場合と同じで、月食で欠けている部分に明るさを合わせると、月の明るいところは完全に飽和してしまうことです。なのでこちらも2種類か3種類程度に露光を変えるといいのかもしれません。今回、一つのファイルが1分のうち5秒撮影で1.5GB程度です。1時間で90GB、皆既月食の初めから終わりまでの約3時間撮ると270GBです。トータル1TBのディスクなので、1分に15秒までならなんとかぎりぎり撮影できそうです。

あとは追尾をどうするですが、かんたろうさん情報によると極軸の精度さえ出ていれば、追尾レートを太陽時に合わせておけば、比較明合成だけで位置が合うそうです。ただし、数時間にわたり位置がずれない様に極軸を合わせるのもなかなか大変なので、むしろ恒星時に合わせる様にガイド鏡とPHD2を使うのもいいのかもしれません。

太陽に合わせても、恒星に合わせても、いずれにせよ画面の中を走っていくので、ある程度の画角をあらかじめとっておくことが必要になります。

もう一つのやり方は、FireCaptureで形を認識してガイドした方がいいかのかもしれません。でも月食時に形が変わっても可能なのでしょうか?

この問題、位置がきちんと後から計算できるなら、月にある程度合うように撮影してしまえば楽です。もし太陽の見た目の位置と月の見た目の位置が情報としてわかっているなら、そして太陽、地球、月間の距離がわかっているなら、簡単な作図で計算できるのかもしれません。時間があるときにやってみようと思います。

FC-76では2時間半ほど撮影を続けたので、タイムラプス映像を作ることも可能です。でも撮影した全画像を見ると結構ずれてしまっていて、センター合わせがかなり難しいです。手動で合わせるには150枚近いのでさすがに大変。PIPPの位置合わせ機能を試しましたが、明るいところがサチっていると認識がうまくいかないようです。位置認識ソフトを自分で書くかどうか迷ってます。ハフ変換というのを使うと画像から円が認識できるらしいのですが、これでうまくいくのか?まだ処理で悩んでいるので、うまくいったら公開します。


極軸精度と月食撮影時のずれの見積もり

ついでなので、今の極軸の精度で足りるのかどうかザックリ見積もってみます。まず極軸の精度ですがSharpCapで50秒から1分角の精度がでます。誤差もあったりするので1分角としましょう。そうすると簡単な計算から、最大で4分間で1秒角ずれていくことになります。

 

1時間で25秒角、3時間で1分と15秒角ずれるというわけです。月の視直径が30分角くらいなので、これくらいなら大丈夫そうですね。やはり次回は十分な画角をとって太陽時で追尾でしょうか。


機材3: TSA-120による自由撮影

最後のセットアップは、TSA-120 + ASI294MC Pro(常温) + 35フラットナー + UV/IRカットフィルター +
CGEM IIで、画角いっぱいの月を自由な時に撮影するものです。SharpCapで25ミリ秒露光でゲインが220で100枚撮影をワンショットとします。

でもこの撮影画像、なかなか青い成分が出てこなくて、パッと処理しただけではターコイズフリンジらしいものが出てきません。明るい部分と暗い部分の境が出る様にかなり苦労して処理すると、青成分が含まれていることがわかりターコイズフリンジらしいものが見えてきます。

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でもかやはり無理をしている気がします。ここまで画像処理を必要とするほど大変なのでしょうか?

ネットに上がっている写真を見ると、ターコイズフリンジが全然出ていないものと、かなりはっきり出ているものに分かれている気がします。はっきり出ているのは簡単に出たものなのでしょうか?それとも私がやったようにかなり苦労したのでしょうか?

ここら辺でかなり迷走しました。この画像処理、月食の本来の色のことなど考えだすとものすごく長くなりそうなので顛末は別の記事で書きたいと思います。


まとめ

ある意味初のまともな月食撮影でした。でもやはり準備をさぼっていたため、いまいちだった感は否めません。今回の反省をもとに、次回はもう少し撮影体制を見直したいと思います。

それとは別に、ターコイズフリンジとタイムラプスでいまだに色々迷っています。既にかなり時間がかかっていますが、もう少し結果が出たらまたメモがてらですが、ブログ記事にしたいと思います。



FMA135とCBPを使って、とうとう念願の自宅からアンタレス付近のカラフルタウンを撮影してみました。赤と青と黄色が混ざったあの綺麗な色を光害地から再現できるのか?、特に青色が出るのか?

これまでのいろいろな準備とタイミングが整い、やっと挑戦することができました。


これまでのみちのり

アンタレス付近はこれまでにも撮影しています。昨年もちょうどこの時期に撮影しました

すごく綺麗なエリアで、私も大好きで、みているだけでウットリしてしまいます。

これだけカラフルだと、下手な光害防止フィルターだと青とか黄とかの色が出ない恐れがあるので、当然環境の良い暗い空でフィルターなしで撮影するのが当然と思っていました。でもこんな色、特に青色を自宅から撮影するのも面白いのではずっと思っていました。

自宅でどれだけ淡い天体まで撮影できるかは、結構長期にわたり挑戦してきました。淡いという意味では始まりは魔女の横顔でしょうか。この時はノーフィルターです。


M78の自宅撮影もその一つで、これもノーフィルターです。


フィルターをつけた場合ですが、自宅から非常に淡いレムナントSh2-240を撮影したのは、超長時間撮影と強度な画像処理の良い練習になりました。


青い星雲に関しては自宅からの青い馬星雲を最近撮影しています。これは青の出方がわからなかったのでまずはフィルターなしで試しました。

4時間20分程度の撮影でしたが光害の影響は決して小さくなく、一応青は出たものの十分とは言い難く、ノーフィルターでISOを上げられなかったことも要因の一つかと思っています。


CBP

自宅アンタレス 付近撮影作戦のもう一つの大きな柱は、昨年5月にSIGHTRONから発売されたCBP (Comet BandPass)フィルターです。CBPについてはこれまでかなりテストしてきて、最初の頃の解析撮影で、光害を3分の1ほどに軽減しつつ、青色も十分に出すことができるという結果を得てきています。




今回は光害地でCBPを使って青が出るかどうかのある意味最終テストということになります。


短焦点の鏡筒 

あとは鏡筒です。前回のアンタレス 付近はFS-60CB+レデューサーで撮影しましたがちょっと窮屈で、せっかくなのでもう少し広い画角で撮影したいと思っていました。そこに今回のFMA135の話が舞い込んできました。

視野的にも青い馬星雲が入ってちょうどよさそうです。しかも3cmで青い馬まで写るならそれはそれで面白いのではないかと思ったのです。


さあ、撮影だ

最初にアンタレス付近を自宅で撮りたいと思ってから、もう数年が経っています。技術的にも、機材的にも、時期的にも、やっと準備が整ったのかと思います。

撮影は休日の前日がよかったのですが、新月期の5月8日の夜はあいにくの天気で諦めました。次の日の日曜ですが、昼間はなんだか微妙で、すごい風と、黄砂のせいでしょうか晴れてるのにモヤーっとしています。次の月曜の朝は仕事で、しかもいつもより早く家を出なくてはいけません。天気と仕事のことでかなりやる気が失せてたのですが、夜になって風が弱まってきて、外に出ると意外に透明度が良さそうです。

俄然やる気になってきて、セットアップ開始です。


CBPのとりつけ

前回の撮影で、QBPはアメリカンサイズでFMA135に直接取り付けることができました。CBPはアメリカンサイズは無いのと、アメリカンサイズで画像に円形状の段差が出た可能性があるため、今回は大きなフィルターを試したかったというのがあります。

ところが48mmのフィルターはそのままFMA135には取り付けられません。前回の撮影記事の最後に書きましたが、M36からM46の変換リングとM46からM48の変換リングを組み合わせる方法で取り付けられます。早速注文はしましたが結局この日には間に合わず、手持ちのM37からM48の変換リングを利用して、グラグラするのをテープで固定しました。

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ピント固定ネジ

FMA135で一度ピントを合わせた後に小さなピント調節ネジを固く締めると、ピントが少しずれてしまうようです。なので緩めに締めるか、少しずれることを見越してずらして合わせる必要があるようです。前回のピントもこれが原因でずれてしまっていた可能性があります。

今回はかなりピントは気を使いましたが、それでも少し左右でズレてしまったようです。

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不思議なのは、APS-Cサイズでも少し流れてしまっていることです。ファーストライトのテストの時は下のようにほとんど目立ちませんでした。
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私のピント合わせがまだ不味かったか、大きく違うところがCBPをテープで適当に取り付けているところです。もしかしたら少し斜めにとりついていたとかかもしれません。機会があれば今一度確かめたいと思います。


ISOの決定

淡いものを出す場合には一般的にはISOを上げたほうが有利です。なのでダイナミックレンジを極端に損なわない範囲でISOを上げたいのですが、CBPがない場合は6Dだと露光時間を分の単位でとろうとするとISO800くらいが最大です。リードノイズを減らすために5分もしくは3分と露光したかったのですが、CBPをつけても3分でISO1600が最大取れるくらいでした。この状態でヒストグラムのピーク値が半分近くまで達していたので、ISO3200は現実的ではありません。背景光の大きさにもよりますが、自宅での低い空では街明かりの影響がどうしても大きく出てしまいます。


たかだか135mmにオートガイド?

今回は撮影途中で寝る予定だったので、ちょっと大袈裟ですがオートガイドをすることにしました。FMA135は小さいのでほぼカメラレンズです。なので6D側を赤道儀に固定するのですが、ガイド鏡をどうつけるのかかなり迷いました。ガイド鏡はプレートの長手方向に平行につけますが、6DはL字プレートを取り付けてあるためプレートの長手方向と垂直に取り付けるためです。写真を見てもらえばわかると思いますが、今回かなり変則的な取り付けかたをしました。鏡筒とガイド鏡の向きを直交させているのです。
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もしかしたら鏡筒とガイド鏡は平行にしないとダメと思っている方もいるかもしれませんが、原理的には全然そんなことはありません。今回の場合、南天するまでは鏡筒が南東から南の低い空の方向を向き、ガイド鏡は北東の高い空から天頂少し北の方向までを向きます。なので、ガイドとしてはよりよく動く領域で合わせることができるので実は精度が良くなるなずです。これは例えば北極星近くの天体を撮影する場合に、その方向でガイドするのか、それとは垂直に真東から昇り真西に沈む星を見ながらガイドをするのか、どちらが精度がいいか考えればすぐにわかると思います。

さすがに直角に置くのは初めてでしたが、撮影を始めても想定通りガイドもうまくいっています。

ところがです、これいいアイデアだと思っていたのですが、南天して赤道儀を反転させた時に決定的な欠点が露呈しました。ガイド鏡の向きが地平線の下に沈んでいるのです。

仕方ないので、ガイド鏡とカメラの位置を入れ替え、再び北東方向を向くようにしました。でもこれもまたトラップがあったのです。オートガイドを始めると、途端に揺れが増大して発振し始めました。それもそのはず、PHD2はガイド鏡の向きが変わったなんて知らないので、フィードバックしていいと思った方向は全く逆の方向になり、発散してしまうのです。そのためキャリブレーションをやり直したのはいうまでもありません。

このことから一つ推測できることがあります。Twitterでj_evil_clef 2さんが「最近際キャリブレーションしなくてもそのままガイドできるのが不思議だ」とかつぶやいていたのですが、赤道儀を反転させても普通はキャリブレーションし直さなくても大丈夫なように、PHD2が赤道儀の向いている方向の情報を取得していて、方向によってキャリブレーションのパラメータを変えていると思われるということです。まあ、PHD2は赤道儀を操作するくらいですから、使える情報は使うというのは至極真っ当なやり方だと思うので、キャリブレーションに関してはかなり柔軟に対応できるように考慮しているのでしょう。


ゴースト?

撮影の段階でわかったことですが、ゴーストのような変な赤い銀河の形のようなものが出てしまいました。左上の方です。

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ところがこの輝点、赤道儀を反転させると位置が変わって真ん中にきてしまいました。
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反転以外では、撮影中は「ほぼ」同じ位置にいたので、何か光学系の反射が原因かと思われます。「ほぼ」と書いたのは、ディザーすると周りの星の位置はズレても、輝点の位置だけはズレないのです。いや、正確にいうとズレます。でも恒星のズレ方とは別方向に動き、動きの量もディザーの量より少ないです。とすると、やっぱり光源恒星で、明るさから言ってアンタレスなのでしょうか?

実はカリフォルニア星雲の時も似たようなものが出たのですが、こちらもいまいち原因がわからないです。

 
一番明るい恒星の左にあるやつです。このときはCBPを付けていないと思い込んでいたら、結局CBPを付けっぱなしで撮影していたことに後から気づきました。なのでCBPが原因かと一瞬思ったのですが、後日CBPも付けたままのほぼ同じ構成でISOだけ4倍の3200にして撮影し直した時には、そんなゴーストは出ませんでした。なのでCBPが原因とは限らないです。
 

原因は不明なのでそのまま残しても良かったのですが、さすがに目立つので画像処理でごまかしました。


Windowsアップデート!?

今回の撮影は結構な広角なのと、低い空で、地面近くの木とかが視野に入ってしまうため、ある程度高度が上がる22時半頃からの撮影となりました。次の日仕事で早いのですが、0時過ぎまで起きていて南天前でしたが、強制的に赤道儀を反転させてから、先に書いたガイド鏡の向きを変え際キャリブレーションして、問題なく撮影が再開できることを確認してから寝ることにしました。

朝5時頃に目を覚まし片付けたのですが、確認してみると何故か午前2時半頃で撮影が終わってしまっています。しかもWindowsが再起動されたみたいです。後で調べたらなんとWindowsアップデートがぁーーっ!そういえば今回2台目のStickPCで夜の時間帯のアップデートを禁止にしておくのを忘れてました...。

でもさらに調べたら、午前2時位から南西方向にある高い木が視野に写ってしまっていたので、どうせダメだったということで納得しました。


光害地の淡い天体は画像処理が大変

画像処理は結構大変でした。いつものようにPixInsightのWBPP、ストレッチまでしてあとはPhotoshopに渡します。トータル2時間45分ですが、口径わずか3cmのF4.5なのでやはり光量は十分とは言えないようです。

焦点距離135mmとかだとカメラレンズでもっと明るいのがあります。例えばシグマのArtシリーズなら135mm F1.8というのがあります。もしこのレンズを使った場合は(4.5/1.8)^2 = 5.25倍の明るさということになります。今回の2時間が45分はF1.8だと約30分露光したのと同じということになります。なので青い馬とかうまく出るか心配でしたが、少なくとも写ってはいて、相当強調すれば見えることはわかりました。結果を示します。

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  • 撮影日: 2021年日5月9日22時37分-5月10日2時7分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: FMA135
  • フィルター: CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: : f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO1600, 露光時間: 180秒 x 52枚 = 2時間36分、dark: ISO1600, 180秒x67枚、flat: ISO1600, 1/50秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/50秒x128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ただし、青もそうなのですが、黄色も、赤の淡いところもどうしてもノイジーになってしまい、画像処理の方に負担がいってしまうことは避けられませんでした。CBPをつけてあっても住宅街の光害地で背景光からくるノイズが、それに拍車をかけます。

あと、CBPのせいかと思いますが、青がどうしても水色っぽく出てしまうようです。CBPの青側透過範囲が360-410,460-530nmと結構広いのですが、カラフルタウンの特徴の真っ青に近い青は450nmを切るくらいでちょうどカットされているためかと思います。そのため、少し色の調整をして見かけ上真っ青に近くなるように色をいじっています。黄色と赤もイメージとは違っていたので少しいじってますが、こちらは青よりは素直に出ていると思いました。色をいじることには賛否あるかと思いますが、そもそもCBPなどの一部の波長のみを拾ってくるフィルターの色バランスは合っていないと考える方が普通なので、色バランスを取ろうと思うときはどうにかいじるしかなく、ある意味宿命かと思っています。

あと、画像処理の途中で、前回の白鳥座を撮影したときに出た円形の段差はでないことを確認しました。なので、アメリカンサイズのフィルターを取り付けたせいだと思っていいでしょう。今回は48mmのCBPにしたために、変に絞られるようなことがなかっためだと思います。

この画像処理ですが、まだ少し不満なところもあるので、時間のある時にもう少し処理しなおしたいと思っています。これから梅雨時なので、ネタもなくなりちょうど良いかもしれません。あ、ポチリヌス菌防止にもなるかもしれませんね。


まとめ

今回の挑戦は、ある意味これまでの集大成です。やっと自宅での撮影で念願だったアンタレス付近のカラフルタウンを撮影することができました。

そもそも自宅から南の低い空の淡い領域の赤以外の色を出すのはものすごく難しいと覚悟していたので、この点についてはかなり満足しています。ただ、やはり光量不足なところは否めなくて、露光時間をさらに伸ばすか、明るい光学系で撮影することでいつかもう一度挑戦したいと思います。

FMA135ですが、星像テスト電視観望デネブからサドルの撮影、アンタレス付近の撮影と試してきましたが、今回でテストは終了にしたいと思います。この他にもちょっと高級なガイド鏡として使うのも良いかもしれません。

Askarブランドの機材は初めて使いましたが、今回試した一番小さなものでさえも噂通りかなり気合が入ったもので、持っていて嬉しくなるような作り込みだと思います。SIGHTORN様、非常に面白い機材を試させていただき、本当にありがとうございました。

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