ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:DeNoise

昨日光軸調整したVISACですが、その日の夜遅くに晴れてきたので、少し見てみました。

結果だけ言うと、シンチレーションがいまいちで星が揺れていて、いろんな方向にぶれていたので評価は保留です。まだ3つの固定具を視野から隠してないこともあるので、きちんとした評価はそれが終わってからにしようと思います。ただ、一応ある程度きちんと星には見えていたので、少なくとも光軸調整が全然間違っていたということはなさそうです。


満月間近の月

その後少しだけ月を撮影しましたが、画面で見ていても細かい揺れが多く、細部を比べると前回ほどの解像度は出ませんでした。やはりシンチレーションがよくなかったのかと思います。それでも全体を写した月と思えば、強拡大しない限り細部にそこまでこだわる必要もないので、私的には満足です。

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  • 月齢12.7日
  • 撮影日: 2021年7月23日0時22分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: SIGHTRON IR640 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MM Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間5ミリ秒x125/250枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、ImPPG、ICE、DeNoise AI
でもこれ実は画像処理で少しインチキしています。画素数が多過ぎてRegistaxが使えないので、ImPPGを使っているのですが、どうしても細かいノイズがのってしまいます。ノイズ除去をするために、ここにDeNoise AIをSharpを1と最低にして、ノイズ除去を20と軽くかけてみました。

DeNoiseの処理としてはかなり軽くて、暗い部分のノイズはてきめんに減りましたが、明るいところのノイズがまだ残っています。ただ、やはり月の場合は偽線が出る可能性が否定できなく、今回は試しに使ってみましたが、明るいところのノイズが消えるくらいまで強くするとどうしても不自然に見えてしまい、あまり使いたくないなあというのが正直な感想です。今回は最低限のノイズ除去だけという感じです。ちなみに、Sharpen AIも試しましたが、こちらは偽線が出まくりでさすがに使うのを躊躇しました。

Registaxが使えないという理由でImPPGを使い続けるなら、うまく相性が合うノイズ処理を見つけるのが課題かと思います。


赤外の透過波長の違いの比較

今回の撮影は少し余裕があったので、IRパスフィルターの比較をしてみました。使用したのはサイトロンのIR640、IR720、IR800で、それぞれ640nm、720nm、800nm以上の波長のみを通します。

撮影したのは上の画像の左上の方。上の写真は撮影後回転しているので、下の写真では右上に見えてしまっています。ASI294MM Proを常温で、Bin1モードにして分解能を上げ、画角を一辺4分の1の2072x1410にしました。露光時間を5ミリ秒に固定していますが、ゲインは画面の明るさに合わせてヒストグラムがフルになるように変えています。IR640、IR720、IR800の順にそれぞれゲイン200、270、340です。

撮影中の動画で見ている分にはIR640、IR720はあまり変わらなかったですが、IR800は明らかに見た目で揺れが少なくなっているようでした。もちろんその分IR800では暗くなります。

画像処理はAS!3でRegistaxになります。Waveletのパラメータは比較しやすいように全て同じにしてあります。画素数を少なくしたのでこれらの画像はRegistaxを使うことができました。RegistaxのDenoiseが細かいノイズに結構効くので、ImPPGよりももう少し攻めることができます。

とりあえず3枚並べます。

00_50_43_lapl2_ap3043_RS
IR640

00_52_38_lapl2_ap3189_RS
IR720

00_56_05_lapl2_ap3279_RS
IR800

わかりやすいように一部切り出して拡大します。

comp

左からIR640、IR720、IR800です。IR640、IR720はほとんど変わりませんが、細かいところを比べるとIR800は解像度が明らかによくなっています。ただ、IR800の場合は光量が減ったのを補正するためにゲインを上げたせいかと思いますが、ノイズが少し残っています。

波長が長くなれば揺れが小さくなるという、まあそこそこ予測通りの順当な結果ですが、分解能の違いがあると言ってもごくごくわずかで、シンチレーションの違いで出るさの方が遥かに大きい気がします。なので無理してIR800以上で撮るとかよりは、揺れの少ない日を狙った方が素直な気がします。


かゆくて、かゆくて

本当はもっと続けたかったのですが、とにかく蚊が多くて、あまりにかゆくて自宅に引き返しました。明るいところで見たら三十箇所くらい刺されてました。自宅なのでゆるゆるの格好で、Tシャツ、短パン、サンダルとかなので、そりゃあだめですよね。

ムヒを塗って痒みが収まってきたところで再び外に出たら相当曇ってきてました。雨の心配もあったのでその時点で撤収することにしました。


まだまだ連休

連休中は天文イベント目白押しです。

今回の月の撮影は木曜夜のことで、ブログは次の日の金曜夜に書いてますが、この金曜の夜はMちゃんが自宅に来てくれました。そのことも記事にしたいのですが、ネタがどんどん溜まって書ききれなくなりそうです。

しかも明日の土曜は13時から天リフの「星と宇宙の夏ライブ2021」です。こちらもかなり楽しみです。




わたくしSamがオススメの重力波のお話、よかったら聞いてみてください。





めずらしく晴れた!さあ撮影だ!

1月20日と21日、珍しく1日半程度、撮影ができるくらいに晴れました。しかも昼間の立山があまりにきれいにくっきり見えました。透明度はいいに違いありません。

もうずっと晴れてなくて、途中短時間の電視観望や太陽撮影はありましたが、星雲に関して言えば前回の撮影日が12月9日でオリオン大星雲なので、もう一月以上撮影できていません。



M42は楽しかったですが、昔撮ったものの取り直しも飽きてきたので、今回はあまりにメジャーな明るいものでなく、少し淡いモクモクしたものを撮りたくなってきました。そのための最初の一歩になります。平日なので自宅撮影です。でもそもそもそんな淡いモクモク、遠征せずに撮れるのでしょうか?

ターゲットですが、この時期でTSA-120と6Dで撮れる画角のものから選びます。いろいろ考えてオリオン座の上の方のM78としました。まだ真面目に撮影したことがないので、初撮影になります。かなり昔、電視観望では見たことがありましたが、中心以外はかなり暗いのでほとんど何も映らなかった記憶があります。


半月が出ててもフィルター無しで撮影

今回は少し課題をつけます。
  1. 平日なので自宅になるため光害は気にしない
  2. 冬の北陸で天気のいい日がかなり限られているので、月があっても厭わない。この日は月齢7日で、ほぼ半月。沈むのは0時頃ですが、そのころにはオリオン座も結構西に傾いてしまっているので、夜の早いうちから撮影を始めます。
  3. M78は白色や青色が豊富なので、フィルターを入れるとどれくらい色が変わってしまう可能性があります。なのでNo光害フィルターでいきます。ただし、恒星にハロが出る可能性があるのがわかっているので2インチのUV/IRカットフィルターを入れます。
要するに、ほとんど光害対策をしなくてどこまで淡い天体が出るかということです。

これまでQBP、CBPなどを使って、自宅でも輝線スペクトルをそこそこコントラスト良く出せることを示してきました。しかしながら、これらはかなり強力な光害防止フィルターのようなものなので、たとえ輝線スペクトルをきちんと通すとしても、カラーバランスが崩れてしまうことはどうしても避けられないのかと思います。例えばQBPではかなり赤によりがちになります。CBPは青をもう少し出してくれるのでまだマシかと思います。ところが、特に今回のM78のように、反射星雲だと波長は恒星によるはずで、QBPやCBPでは本来あるべき波長がカットされてしまっている可能性があります。また、暗黒星雲とその周りのモクモクの色なんかも光害カットフィルターで様子が変わってしまうのでは思っています。これはCBPで網状星雲を撮影したときに、右側に出るはずの広い暗黒星雲が全く出てこなかったことに起因します。

実はこのフィルター無しでとこまで写るのか、ずっとやってみたかったのです。だってHIROPNさんが都心で低ISOで成果を出しているし、トータル露光時間を伸ばせば背景光ノイズは相当小さくできるはずで、必ず記録はされているはずの天体情報は、うまくすれば引き出すことができるはずだからです。でも失敗してせっかくの撮影時間をまるまる潰す可能性があるので、なかなか勇気が出ませんでした。


撮影開始、でもやはり光害の影響はすごい

そんなこんなでいろいろ考えながらも、準備を焦らずゆっくりして、22時近くから撮影を始めました。6DでISO800、露光時間は3分です。ところが途中で試しに1枚、ABEで滑らかにしてオートストレッチ後、HTしてみたのを試しに見てみたのですが、もうひどいものです。

LIGHT_180s_ISO800_0c_20210120_23h55m36s483ms_RGB_VNG_ABE

リングは多分ABE由来ですが、M78自身が中心以外ほとんど何も写ってません。センサーの汚れも目立ちます。衛星もたくさん写り込んでそうです。どうもこの超ノーマル状態での光害下での撮影はだめそうです。

ちなみに撮って出しJPEGだとそれこそほとんど何も写ってません。

LIGHT_180s_ISO1600_+8c_20210120-21h32m46s782ms

この時点でかなりやる気をなくしたのですが、また設定し直すのも面倒なので、そのままフテ寝してしまいました。朝起きて確認すると夜中の1時頃でカメラのバッテリー切れで止まっています。トータル3時間、月が沈むのが0時だったので、最初の2時間分はまだ月が出ていたことになります。もうだめそうだし、時間も途中で切れてかけれなかったのでここで諦めても良かったのですが、次の日も途中までは晴れそうです。

結局二日目も同じ構図で、少し撮り増し。というか、どうせ途中で曇る予報なので新たに別の天体を撮り切る時間もなさそうですし、M78なら前日の設定が全て残っているので、楽だったからと言うのが実際の理由です。二日目は準備もほとんどできているので、少し早めの18時過ぎから撮影を始めました。天気予報通り、21時すぎで雲が出てきたのでここで終了。この日も3時間程度の撮影時間でした。


スタックした画像を見てみると!

こんな状態だったので、画像処理もあまりやる気にならずに半ば諦めて放っておいたのですが、一応後日フラットとフラットダークを撮影してPixInsightでスタックまでの画像処理をしてみました。

ダークとバイアスは以前の使い回しなので、最近は楽なもんです。ISOと露光時間を合わせておくと、冷蔵庫法のダークライブラリの構築がそこまで大変でないです。スタック後の画像を見てみると、なんと意外にいけそう。下はオートストレッチ後、HistgramTransformation (HT)で適用したものです。

masterLight-BINNING_1-FILTER_NoFilter-EXPTIME_180.8

失敗画像を除いても5時間越えぶんの露光時間が効いたのでしょうか?色もきちんとついてますし、暗黒体の部分も結構出ています。

これは俄然やる気になってきました。


フラット補正とカブリ

ただし上の画像、フラットフレームを部屋で別撮りで撮ったので、実際の空とは違いどうしても1次的なカブリが残ってしまっています。

今回フラットフレームの撮影も簡易的な方法に置き換えました。昼間に太陽が出てる時、もしくは全面曇りの時に、部屋の中の窓から少し遠い白い壁を写すだけです。注意点は
  • 鏡筒の影を避けるために、壁に近づけすぎないこと。
  • 以前は鏡筒の先にスーパーの白い袋をかぶせていたが、今回はそれも外したこと。
  • ISOを同じにして、露光時間を短くしてヒストグラムのピークが中央らへんにくるようにすること。
  • その場で蓋をしてフラットダークも一緒に撮影してしまうこと。
などです。以前は晴れの日を選んで、スーパーの袋をかぶせていました。太陽が出ていて雲が横切ると明るさが変わってあまり良くなかったのですが、空一面の曇りなら大丈夫ではということです。あと、どうせピントは合わないので(多少壁はざらざらしているが)スーパーの袋はなくてもいいのではと言うところが改善点です。

さて、上の画像に残るカブリを取りたいのですが、左下の赤い部分はバーナードループなのでこれは残したいです。こんなときはABEはあまり使えません。実際にABEを1次で試しましたが、赤い部分が大きく取り除かれてしまいした。こんな時はDBEの方がよく、しかも点数をかなり制限してやります。実際打ったアンカーは数えたら10個ちょいでした。

DBE
(アンカーが見やすいように少し画面を暗くしています。)

これでできたのが以下のようになります。カブリが取れて、かつ左下の赤いのはしっかりと残ってます。

masterLight_180_8_integration_DBE4


ここでPCCのトラブルに直面

この後はPCCで、恒星の色を合わせます。ところがところが、肝心な時にPCCがなぜかうまく動きません。これで2日ほどストップしてしまいましたが、その顛末は前回の記事にまとめてあります。




ストレッチからPhotoshopに渡して仕上げへ

PCCがうまくいったあとはArcsinhStretch (AS)を何度かに分けてかけ、ストレッチします。ASは彩度を落とさない利点があるのですが、恒星の鋭さが無くなるので、StarNetで恒星が分離しきれない問題があります。そのため、ストレッチ前の画像から改めてScreenTransferFunctionでオートストレッチして、HTで適用することで恒星を鋭くしました。こうすることでStarNetできちん恒星と背景を分離できるようになります。分離した恒星画像から星マスクを作ります。実際にMaskとして使うにはMohologiacalTransformationのDilationをかけて少し(1.5倍位)星像を大きくします。

あとはPhotoshopに渡していつものように仕上げです。基本はほとんどが先ほど作った恒星マスクを当てての作業になります。DeNoiseも使います。そういえばDeNoiseのバージョンが2.4.0に上がり、Low Lightモードのノイズがさらに改善されたとのことです。DeNoiseは非常に強力ですが、それでもやはりマスクの境や、モコモコしたカラーノイズのようなものが出るなど、悪影響がどうしても残ってしまうことは否めません。今後はいかにDeNoiseから脱却することが課題になってくるのかもしれません。

結果を示します。少しトリミングして90度回転しています。

「M78」
masterLight_DBE4_crop_PCC_pink_AS3_cut

  • 撮影日: 2021年1月20日21時51分-1月21日1時12分、1月21日18時12分-21時20分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: タカハシ TSA-120 (口径120mm, 焦点距離900mm) + 35フラットナー + 2inch UV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • センサー: Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: PHD2 + 120mmガイド鏡 + ASI120MM miniによるディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO800,  露光時間: 180秒 x 108枚 = 5時間24分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC, DeNoise
どうでしょうか?光害下で、Noフィルターとは思えないくらい出たのではないかと思います。自分でもびっくりです。M78はこれまでも何度か挑戦しようとして諦めていたので、これくらい出ればそこそこ満足です。

ついでにAnotationです。

masterLight_DBE4_crop_PCC_pink_AS3_cut_Annotated



考察

今回の結果はある意味一つの挑戦です。

光害や月明かりが、実際の仕上げまでにどこまで影響するかです。はっきり言って、庭で半月でフィルターなしでここまで出てくるとは全く思っていませんでした。少なくとも1枚画像を見たときはこのチャレンジは失敗だと思っていました。

色バランスを考えた場合、フィルターは少なからず影響を与えます。なので色の再現性だけ考えたときには、フィルター無しの方が良いのかと思います。その代わり当然ですが、フィルターが無いと光害地では明るい背景光やカブリが問題になります。

明るい背景光は大きなノイズ(ノイズは明るさのルートに比例します)を出すので、淡い天体はノイズに埋もれてしまいます。それでも背景光に比べて、天体の明るさの分、少しだけ明るく記録されます。背景光のノイズは多数枚スタックすることで小さくなります。ヒストグラムで考えると、ピークの広がりが小さくなるということです。ノイズピークの広がりが小さくなれば、その一定値に近くなった明るさの中央値をオフセットとして引くことで、天体をはっきりと炙り出すことができるようになります。トータルの露光時間が増えれば、多少の光害地でも淡い天体を炙り出すことは不可能ではないということです。

ではフィルターの役割はなんでしょう?まずは背景光のノイズを光の段階で軽減させることが一番の理由でしょう。もちろん程度問題で、暗いところで撮影したら光害防止フィルターの効果は小さいでしょう。逆にあまりにひどい光害地でフィルターなしで撮影しても、一枚あたりの露光時間をろくにとれなくなったりするので、どうしてもフィルターが必須という状況もありえるでしょう。

あとこれは個人的な意見ですが、フィルターのメリットの一つは画像処理が圧倒的に楽になることではないかと思います。今回の光害下での撮影の画像処理は結構というか、おそらく初心者から見たらかなり大変です。例えばカブリ取りなんかは相当戦略を考えて進めることになります。こういった困難さを避けることができるのなら、光害防止フィルターは大きな役割があると言っていいのかと思います。

逆にフィルターのデメリットの一つは、すでに書きましたがカラーバランスが崩れるということがあると思います。画像処理で多少は回復できますが、それはそれで負担になってしまいます。あと、高級なフィルターの場合、値段もデメリットの一つと言えるのかと思います。

フィルターを使う使わないは、状況に応じて臨機応変に考えれば良いのかと思います。それでも今回、光害地で半月が出ている状況で、フィルターなしでも、画像処理によっては淡い天体をある程度炙り出すことも可能であるということが、多少は示すことができたのではないかと思います。このフィルター無しの方法が、どのくらいひどい光害まで適用できるのか、ここら辺は今後の課題なのかと思います。

今回は失敗かと思ったところからの大逆転、かなり楽しかったです。



 

昨年9月に自宅に遊びに来てくれたあんとんシュガーさん。その時はまだ機材を揃え始めたばかりで、長時間の撮影はできてませんでした。その後自宅前でアンドロメダ銀河を、FS-60CBをポラリスUに載せ、FUJIFILMのX-T2で約1時間半を切るくらいの時間で撮影したそうです。撮った画像は自分自身で、時にはTwitterでの猛者たちの力も借りて、PixInsightの練習も兼ね画像処理を熱心に進めてきてました。その様子はあんとんしゅガーさんのTwitterでの投稿を見てるとよくわかり、私もいくつかコメントを返し、いつかまた一緒に画像処理やりましょうと約束してました。


直前に訪問が決まる

1月22日の金曜日「そろそろどうですか?」と聞いてみたら「それでは明日の土曜日に」となり、急遽自宅に来てもらうことに。新潟の考太郎さんも以前から参加したいと表明されていたので、声をおかけしたのですが、直前のお誘いのためにやはり仕事で都合がつかないとのこと。とても残念がってくれたので、次回こそはぜひ参加していただきたいです。


到着

久しぶりのお客さんなので、午前中少し部屋を片付けました。午後1時過ぎ、あんとんシュガーさんが到着。早速見せてくれたのが、大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会の井戸端さん製作の自由微動雲台の改良版。

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以前テストしたものよりも見た目もシンプルに、より頑丈そうになっていて、動きもスムーズそうでした。ただ、星を見てのテストまではできてないので、できれば実測でテストしてみたいです。ちょうどTwitterで井戸端さんと繋がって聞いてみると、揺れを収めるための制振用の柔らかい金属を挟み込んでいるとのことでした。でもこれは後から聞いた情報で、その場で見ただけではわからなかったです。これを聞いてますます実際の星で見てみたくなりました。Twitter上でも、他に手に入れられたからの意見で「相当頑丈に固定できる」との意見が出ていたので、かなりいいものに仕上がっているのかと思います。数は出ていないと思うので、手に入れられたユーザーは多分相当ラッキーなのかと思います。末長く実用レベルで使えるのか思います。


画像処理へ

さて、会話のままに引き続き画像処理になだれ込んでいったのですが、どうやってやるかが考えものでした。あんとんシュガーさんは見事にPixInsight (PI)門下になってしまって(笑)、WeightedBatchPreprocessing (WBPP)でIntegrationしたくらいの画像までは出せるようにはなっています。ただ、それ以降の炙り出しをPIの中だけでやろうとしているため、なかなか苦戦しているようです。まずはあらかじめPIでIntegrationまでした画像を用意して、今回はストレッチまで進めるところを実際にやってもらって、その後は別のソフト(今回はPhotoshop)に移して(あんとんシュガーさんはPhotoshopは持っていないので)やり方を「見て」もらう、としました。


PixInsightにて

まずIntegrationした直後の画像は、当然ですがPI上では真っ暗です。あんとんシュガーさんは、そもそもきちんと撮影できているかどうか不安で、この画像にどれくらいの情報が入っているのか理解し切れていないようでした。なかなか細部まで出てこなかったことから来ている不安だと思います。少し安心してもらいたくて、以前Twitterに投稿された画像(JPEG)から、私の方でStarNetで分離して、少しだけ炙り出した画像をTwitterで再投稿したことがあります。

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JPEGから出したものなので、情報は既に欠落しているはずです。それでもこれくらいの淡いところまで残っているので、もう素材としては十分なものが撮れているわけです。その眠っている情報を引き出すことはやはり多少の技術がいるので、今回はそこを重点的に説明することになりました。

といってもやったことは当たり前のことで、
  • AutomaticBackgoundExtractor(ABE)、DynamicBackgroungExtraction(DBE)で周辺減光など、できるだけフラット化しておくこと。
  • PhotometricColorCalibration(PCC)で恒星の色を正しいと思われるものに合わせること。
  • 主にArcsinhStretch(AS)を使って、彩度を落とすことなくストレッチすること。
がメインです。

まずABEですが、2次と4次で個別に処理してみましたが、どちらも結果にあまり変わりはなく、銀河の周りに大きなリングが残ってしまいました。ここでABEは諦めてDBEに。今回は銀河なので、暗黒帯や広い範囲にわたる星雲もなく、DBEでのアンカーは銀河以外のところに数多く、明るさの差があるところは細かく打っていきます。その結果、ABEの時よりはかなりマシになりましたが、それでもリングはうっすらと残ってしまっています。ちょうど良いタイミングでniwaさんがDBEの面白い使い方を示してくれていました。



この情報はあんとんシュガーさんが帰ってから読んだので、今回は試せませんでしたが、これでうまくリングが消えるかもしれません。それでもDBEで相当フラットになったので、M31のかなり淡いところまで出てくるようになります。ここがまず一つ理解してもらいたかった点です。

PCCはデフォルトの12等星まででなく15等星くらいまでにすること、Apartureをデフォルトの8でなく12くらいまで増やすことで、おかしな色バランスになることを防ぎます。詳しくはniwaさんたち委員会の結果を見るといいです。ちなみに私は(どこで知ったか、もう覚えていないのですが)おまじないのように15等星までやっていたので、これまで色バランスがおかしいと思ったことはないです。




次ですが、あんとんシュガーさんは色を出すのに苦労しているようなので、ASで彩度を落とさないようにストレッチしてみます。ASにはハイライトを防ぐオプションがあるのですが、これは通常オンにしておきます。ところが今回はこれをオンにしたことで少し苦労しました。ASを何段階かに分けてかけ、最後のみScreenTransferFunctionとHistogramTransformationで微調整して以下のようになりました。

_60_30__ABE_DBE1_Sam_toPS

最大にストレッチしきる手前で止めてあります。ASのハイライト防止のオプションのために恒星がサチることはいです。この状態でStarNetをかけると、一部の恒星が銀河や星雲などととして認識され、うまく分離できないという問題が出ました。恒星としての鋭さがないことが原因です。そのため、別途ストレッチを戻してから再びSFTとHTをかけて、あえて恒星をサチらせるようにすると、きちんと恒星と背景を分離できました。ここで作った恒星部をMorphologicalTransformation(MT)でDilationをかけて少し恒星を拡大してマスクとしました。

そうそう、このときあんとんシュガーさんから「サチる」がわからないと質問されました。Twitterとかでも使われてるのをみるけど意味が分からないというのです。多分これ理系用語なんですよね。「飽和」を意味するSaturationからきていますが、実験とかして電圧が測定範囲外で上に張り付いたりするときに「あ、サチってる」とか普通に使っています。

恒星をサチらせていない上の画像と、別で恒星をサチらせて作ったマスクを、16bitのTIFFフォーマットで保存して、Photoshopで開きます。でもここからはあんとんシュガーさんがPhotoshopを持っていないので、あらかたの作業工程を見せるだけになります。


Photoshopにて

Photshop上ではアルファチャンネルを利用して星マスクをかけて、銀河部分をあぶりだし、且つ銀河以外の背景のノイズを軽減します。特に銀河部の色出しは彩度、明度をともに調整しつつ自分の好みになるように調整します。中でもCamera Rawフィルターは便利なので初心者にも使いやすいと思います。

今回は星マスクを使いPhotoshopで処理しましたが、StarNetで分離した恒星画像とその他銀河を含んだ背景画像に分けた状態で処理し、レイヤーで重ねる方法もあります。ただ、PI上でArcsinhStretchを使ったために恒星が一部分離できなかったので、今回はこの方法を取ることができませんでした。後のレイヤーでの合成をうまくできるなら、初心者にはこちらの方がやりやすいと思います。

ノイズに関してはNik CollectionのDfine2やDeNoise AIが強力です。それでもこれらツールには限界はあるのと、ときには強力すぎることもあるので注意が必要です。

_60_30__ABE_DBE1_Sam_low

Photoshopに持ってくる前の画像と比べると、銀河の色は出ていますが、どこまで淡いのが出てるかに関しては、Photoshopで処理してもそこまで変わらないのかと思います。背景は銀河の炙り出しとともに荒れてきたのでDeNoiseをかけています。本当は銀河部だけのマスクを作って、銀河だけ炙り出すようなことをやるともう少しましになるのかと思いますが、今回はそこまで時間をかけることができませんでした。


課題

それらのことを含めて、まだできそうな改善の余地をあげておくと
  • DBEでもう少し銀河回りのリングをうまく除去する
  • Pink starの除去
  • 銀河部だけのマスクを使った処理、そのための銀河以外の背景のノイズ処理
  • 最後の微調整に時間をかけること
などかと思います。

結局午後6時くらいまででしょうか、5時間くらいずっとほぼ休憩なく画像処理でした。私自身いつものように紆余曲折しながら長い時間かけましたが、こういったごちゃごちゃした過程を、丁寧に一つ一つ潰しながら、時に後ろに戻って時間をかけてやっていくということを見せたかったのです。

あんとんシュガーさんはすごく熱心なので、多分今回やったこと、見てもらったことを、また自分で繰り返してくれるのかと思います。その場でも話していたのですが、前回9月にきたときにはまだ処理する画像ファイルも無いような状態だったので、すでに今回までに相当大きく進歩しています。春になれば北陸も晴れる日が増えてくるはずなので、撮影もどんどん重ねていくのかと思います。

重要なのはせっかく撮影した画像からいかに情報を引き出してやるか。環境の良いところで長時間撮影したものは処理も楽なのですが、自宅前で撮影したようなものは、画像処理もある程度手間をかけてやらなければなかなか見栄えのするものにならないです。これからも楽しんで画像処理をすすめて頂けたらと思います。



すごい雪

もう天気があまりに悪くて、全くネタがありません。たまに昼間晴れるときや、たまに雲間から星が見える時もありますが、長くは続かず、撮影も電視観望も厳しいような状況です。それにまして雪が酷すぎます。今日あたりやっと少し溶けてきましたが、庭に望遠鏡を出すのを躊躇してしまうような雪の量でした。先週末はずっと降り続いていました。自宅周りでの積雪は1mを優に超えました。

IMG_1430


日曜、久しぶりに青空を見ました。太陽望遠鏡を出そうとも思いましたが、庭も犬走りも雪で埋まって断念。それよりも車の雪かきの方が優先です。

IMG_1441

IMG_1449


際画像処理

何もネタがないので、昔の画像の再処理をしてみました。約2年前に撮影したIC443くらげ星雲です。自宅庭撮りの一環で、QBPを手に入れて結構すぐのものです。FS-60QとEOS 6Dで、ISO3200で300秒露光、約2時間半の露光時間になります。

これがBeforeで
light_DBE1_PCC_stretched_sat_ps_denose_ps2a

これがAfter

masterLight_cut_ABE_PCC_AS_MS_STF_star_Saturation2_cut


QBPを手に入れて初期の頃の上の画像と、いろいろクセなど分かった上での画像処理を施した下の画像を比較すると、随分変わっていることがわかります。細部が出ているのはもちろん、恒星の色の再現がかなりマシになりました。恒星の肥大も防げています。Hαも赤一辺倒から、青成分、緑成分も入り階調豊かになっています。


相違点

画像処理において前回と違うところがいくつかあります。
  • 同温度のダークフレームのストックがあったので枚数を増やしたこと。
  • バイアスを枚数の多いものに変えたこと。
  • PixInsightでの処理もBPPからWBPPになったこと。
などありますが、ここら辺はあまり影響ないです。大きく違うところの一つは、ストレッチ方法が柔軟になったこと。以前はおそらくArcsinhStretchで恒星が真っ赤になって、STFだけで済ませてたのが、今回は
  • ArcsinhStretchとMaskedStretchを併用したこと、その結果恒星の色がかなり豊かになっています。
多分一番影響が大きかったのがStarNetの存在です。
  • StarNetで背景と恒星部分に分けることで、背景を思う存分いじることができます。
背景の炙り出しに集中できる状態にして、どこまで炙り出せるか限界を知ることができます。いちばんの問題は、どうやって恒星を合わせるか。Photoshopで背景と恒星を合成できますが、やはりどうしても不自然さが残ってしまいます。なので最近は恒星部分をマスクとして保存し、StarNetで分ける前の画像にPhotoshop上で適用しています。それでも星マスクをうまく適用しないと、不自然さが出てしまうので大変さは残ります。Before画像の2年前はマスクを使ったりしていなかったので、背景を炙り出し切ることができていませんでしたし、逆に恒星は肥大化してしまっています。


QBPの色について

恒星に関してですが、QBPの欠点でオレンジの恒星はやはり出にくいのは補正し切れなくて、赤い星のようになってしまっています。これはUV/IRカットフィルターを併用すると解決するかもしれません。もしくはCBPだと星のオレンジ色は出ているので、再度撮影からするときはQBPよりもCBPの方がより自然になるかもしれません。

あと、星雲の色に関しての処理も初期のQBPの時の扱いから大きく変わっています。QBPはその名の通り4つの輝線スペクトルを取り出すようなフィルターのため、カラーバランスがどうしても崩れてしまいます。PCCで恒星の色は合わせますが、そのことが星雲部の色を合わせている保証は何もないはずです。しかも、そもそも恒星の色も限られた波長から、既存のデータベースとできるだけ一致するように合わせたというだけなので、一見合っているように見えても元のスペクトルが全然違い、正しいとは限りません。とりあえずは見た目で合っている恒星の色のバランスは崩さないように、星雲の方の色バランスは結構ずらしています。具体的には
  • トーンカーブで星雲の青と緑の成分を増やすことで、階調よく見えるようにしている。正しい色はわからないので、これは自分の好みに。
と言ったところでしょうか。この方法が正しいかどうかは全くわかりませんが、少なくとも赤一辺倒の、のっぺりした色よりは(見た目だけでも)良くなるのではと思っています。


ノイズ

あと、ノイズに関しはそもそも露光時間がそこまで長いわけではないので、素材としてまだノイジーなのは否めません。
  • 今回DeNoiseを使っているので、ノイズに関してはかなり軽減できています。
それでも拡大すると分かる通り背景のノイズが取り切れてなくて、多少星雲部も不自然なところが残っています。DeNoiseは細かいノイズは得意なのですが、大きなノイズがどうも苦手みたいです。もやもやのカラーノイズのようなものがどうして残ってしまいます。Nik CollectionのDfine2を掛けてからDeNoiseを施すと比較的カラーノイズが出にくくなることもあるのですが、今回は細部が出にくくなってしまったのでDfine2は使ってません。


今後の課題

この背景のモコモコカラーノイズは課題の一つです。露光時間を伸ばすのが一番の解だと思うのですが、露光時間が稼げない時もあり、画像処理でもっとうまくなんとかならないかといつも思っています。

いまだにPixInsightでのノイズ除去や、細部出しの処理を実戦投入できていません。かと言って、使ったことがないわけではなく、毎回いろんな方法を試しています。でも今のところPhotoshopとDeNoiseなどのツールとの組み合わせに結果として勝つことができていないような気がして、結局元に戻ってやり直してしまっています。DeNoiseを使うのは少し悔しい気もするのですが、今のところまだ他の手法を確立し切れていません。


 

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