ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:CaK

昨日の撮影に引き続いて、日曜の今日も朝から晴れていたので記録撮影です。

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でも、特に新しいことをするわけでもないので、だんだん飽きてきています。この日は、昨日のセッティングが残っていたCaKを最初に撮影し、その後Hαで撮影しました。午前8時半くらいから始めたのですが、Hα撮影の途中で雲が徐々に濃くなってきたので、午前9時15分くらいには早々と撤収しました。暑くないので晴れたらまた再開しようと思いますが、どうなるでしょうか?

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Hα線

いつものようにHα線です。15ショット撮影して、その中で一番きれいなものを選びました。

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CaK線

CaKですが、少し色を変えました。ちょっと見やすくなったと思います。こちらは12ショット撮影して、午前8時40分の1ショットを選んでいます。

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土曜日の朝からそこそこ晴れていたので、太陽分光撮影です。今日の目的は、前回動画撮影で速度が一定でなかったのか、おかしな太陽画像になってしまったことの検証です。

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これは午後一で撮った撮影風景です。赤道儀が反転した後です。

この日気を付けたことが、赤道儀の赤経の左右バランスでした。定説通り、回転方向に多少荷重がかかるようにします。そうするとテスト撮影でも全く問題なく、きれいな太陽画像が再構築できました。途中曇ったりしたので、晴れ間を狙いながらHαを26ショット、テストも入れたら30ショットくらい撮影しました。

その後、12時を回って、CaK線を撮影します。赤道儀を反転したのですがウェイト位置は触らなかったので、今度は回転方向と逆に荷重が少しかかった状態になってしまっています。この状態で撮影すると、前回見たような、一部スピードが変わったような画像が再現できました。その後、ウェイト位置を少し外側に移動し、回転方向に荷重をかけると、今度はきちんと撮影きます。どうやら赤道儀の赤経体の回転方向と逆に荷重をかけてしまったことで起こったバックラッシュで原因は確定のようです。CaKの時も曇りが多く、晴れ間待ちで何度かに分けての撮影でしたが、13ショットを撮影しました。

いつものように撮影結果です。Hα線からです。今回は15ピクセル (0.13Å) 離れた画像を連続光として載せておきます。

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続いてCaK線です。モノクロとカラーを載せておきます。カラーはJSol’Exの色遣いはちょっとどぎついかもしれません。

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この日は午後から某天文台のリモート講習会に参加しました。再来週に試験があります。受かると晴れてリモートで望遠鏡を操作して撮影することができるようになります。


これまでSHG700を使った始動編として、基本的な太陽分光撮影の解説を、ハード面ソフト面に渡り記事にしてきました。今回からは徐々に応用編に入っていきます。と言ってもまだしばらくはJSol'Exの標準機能の範囲内の話です。でも、徐々にこれまであまり見ることがなかったものになってくると思います。

前回はSHG700始動編の(その5)でCaK線の撮影をしましたが、今回はもっと多波長で撮影してみました。


撮影途中で気付いたこともいろいろあるので、メモ代わりですが細かく書いておきます。


波長の選択

前回のCaKの分解能が悪かったので、まずはその再現性です。前回終了時の設定を何も変えずに、まずは1ショット撮影しておきました。その後、何が悪いのか見るために色々見てみると、輝線のピントがあった状態で、太陽光と背景の境目の縦線がボケボケでした。縦線は空間分解能に聞くはずなので、何か設定がおかしいようです。ちなみみ、撮影した動画ファイルからCaKの全景を再構築して見てみると、雲が通過していて全景を見るのが厳しかったですが、分解能は前回と変わらずやはりだめそうです。

CaKの分解能がダメそうだったので、次にHαに戻して分解能が回復するかを見ることにしました。その後、波長を順次短くしていっていくつかの代表的な波長を撮影し、再びCaKに再挑戦することにしてみました。

順序としては、
  1. Hα (6562.81Å)
  2. Na D1 (5889.95Å)
  3. Mg b1 (5183.62Å)
  4. Hβ (4861.34Å)
  5. Hγ (4340.47Å)
  6. CaK (3933.66Å)
としました。

この内、HγはJSol‘Exでの全景再構築時に選択肢として出てこないので、JSol‘Exのメニューの「Tools」から「Spectral ray editor」を選び、以下のように名前と波長を入れてやります。
スクリーンショット 2025-07-04 142837_cut
波長を入力するとそれに応じた色が勝手に付きます。でもこの色、ちょっと微妙で、出来上がる画像は設定通りになかなかならないことがわかりました。あとで画像と一緒に検討します。


ピント合わせの自由度

何度か波長を変えていくうちに、ピント合わせ方がある程度確立しました。前々回の記事でCaKに挑戦したときのピントは今思うと大幅にずれていたので、分解能が出なかったのも納得です。

まず自由度の数ですが、SHG700の部分に回折格子の回転 (固定ネジを緩めてラフに回転+マイクロメーターで微調整) と、レンズについているマイクロメーターが2つと、鏡筒のフォーカサーが1つで、合計4つあります。具体的に番号を振っておきます。
  1. 回折格子
  2. コリメーターレンズ
  3. カメラレンズ
  4. 鏡筒フォーカサー
調整を難しくしている一つの原因が、これらの自由度が独立ではなく、各自由度の調整が他の自由度に影響することです。ただし、順を追って調整することで、それぞれの位置が一意に決まることがわかってきたので、メモがわりに手法を書いておきます。ただし、今後もっといい方法が出てくるかもしれないので、とりあえず参考的な手順としてくらいです。また、この方法はSHG700で試しましたがSol'Exでも有効なはずで、また必要そうな精度も書いておいたので、どれくらい頑張って合わせれがいいかの目安にもなるかと思います。


波長を変えた時のピント合わせの具体的手順

A. まず最初に見たい波長を決め、回折格子の回転角度を決定します。
  1. 回折格子下部のネジを手で緩めて、回転台の切り欠き溝の真ん中を印刷されている目的の輝線にラフに合わせます。
  2. SharpCapの画面で見ながら、JSol‘ExのSpectrum browserで表示されるフランフォーファー線図と比較して、目的の波長の近くにいるか確認します。
  3. 似たような輝線模様が見つかったら、目的の輝線が画面の上下で真ん中になるように、回折格子についているマイクロメーターで合わせます。SharpCapで同心円と十字のレチクルを出しておくと合わせやすいでしょう。撮影時にはROIで上下100ピクセル内に輝線を入れる必要があり、そのために必要なマイクロメーターの精度は1-2目盛り程度になります。
付属のマイクロメーターは50目盛りが2回転すると1mm移動するので、1目盛りは10μmに相当します。回転角への変換係数がわからないので、角度の精度で議論はできないのですが、かなりの精度が必要なことがわかります。といっても、多少ずれていたとしても後からROIのTiltを変えてやることで、センサーのどこを見るかの位置調整ができるチャンスがあるので、ここではそこまで精度にこだわる必要はありません。ここで回折格子の回転角を決めたら、これ以上はもうこの自由度はこれ以上いじることはないです。というか、これ回折格子の回転角を以上いじってはいけません。もしいじると、また最初からやり直しです。

B. 次に、2のコリメーターレンズのマイクロメーターと、3のカメラレンズのマイクロメーターの2自由度を同時に動かします。
  1. SharpCapの画面を300%程度に拡大し、画面を右か左にスクロールさせて、太陽光が切れるところまで持っていき、ヒストグラムの一番右の線を左にかなり寄せて背景光の輝線が見えるようにします。
  2. 背景光で輝線がうまく出たら、さらに端に寄せて、スリットの境の光が見えるところと見えないところまで画面を持っていきます。ここで二段階目の調整をします。
  3. まずは3のカメラレンズのマイクロメーターを回して、画面の横向きの線のピントが合うようにします。
  4. 一旦横線のピントがあったら、次に2のコリメーターレンズのマイクロメーターを回して、縦の「光があるところとないところの境目」のピントを合わせます。
  5. ここを合わせると、3のカメラレンズのピントが少しズレるので、また3のカメラレンズのマイクロメーターを微調整します。この時に必要な精度は+/-2目盛りくらいです。かなりの精度が必要なことがわかります。
  6. 3を微調整したら、再び2のコリメーターレンズのマイクロメーターを微調整します。ここでの必要な精度は+/-7,8目盛りくらいでしょうか。こちらは多少大きく動かしてもいいでしょう。
  7. この2と3のマイクロメーターの調整を数回繰り返し、横の輝線と縦の光の境目の線の両方のピントが出るようにします。
うまく調整できると下の画面のようになるはずです。左の明るい部分が太陽の直接光で、真ん中の木線が見えている部分が背景光になります。

スクリーンショット 2025-07-04 092825
 
調整位置が決定したら、回折格子のマイクロメーターも含めて3つともこれ以上触ってはダメです。


C. 最後に、鏡筒のフォーカサーを調整します。
  1. ヒストグラムを調整するなどして、太陽の直接光の輝線が見えるようにします。
  2. フォーカサーのピントを調整すると、粒状斑や黒点などの瞬く縦線が濃く見えるところがあるはずです。
  3. 同時に、太陽光と背景光の境目のピントもぴったり合うはずです。
うまくいくと、下の画面のようになるはずです。
スクリーンショット 2025-07-04 092926

この段階で、縦線は見えるのに境目のピントが合わないとか、境目のピントを合わせると瞬く縦線が見えなくなる場合などは何かおかしいので、Bからやり直すことをお勧めします。ここでのフォーカサーの精度は使っている鏡筒に依るかと思いますが、微動減速装置が欲しくなるレベルです。まだ微動装置を付けていないので、ここのピント合わせに一番気を使います。

逆に言うと、SHG700にマイクロメーターが付いているために、回折格子と2つのレンズの調整がかなり楽になっているということです。この微調整の精度で、横向きの輝線のピントが波長分解能に効き、瞬く縦線や太陽光と背景光の境目の縦線のピントが空間分解能に効いてきます。画像の仕上がり精度にそのまま直結する部分です。Sol‘Exでは微調整の機構はないので、ここで苦労するのかと推測します。SHG700ではSol‘Exで大変だったところをきちんと改善しているのがわかります。

今回合わせたピントを合わせた状態で、前回分解能が出なかったCaKを改めて14枚スタックしてみました。見てもわかる通り、あからさまに分解能が増しているのがわかるので、とりあえずは子のピント出し方法でしばらくは続けていこうと思います。

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JSol'Exがよく止まる

今回、数多くの.serファイルをJSol'Exで処理して分かったのですが、処理中に結構頻繁にエラーが出ます。処理中にタスクマネージャーで見ていると、CPUパワーもメモリも9割以上使っていることが多いので、かなり重い計算をしているようです。撮影用のPCで画像処理もしているのですが、処理用のPCは別途もっと速くてメモリが多いものにするほうがいいのかもしれません。

エラーが出ると、途中で止まってしまったり、画像が最後まで生成されません。一見エラーが見えなくても、特にバッチ処理途中のエラーですでにログ上でスクロースされてしまっていてエラーじゃないと思っても、結局最後まで辿り着かずに止まってしまうこともあります。止まる確率は10%くらいでしょうか。バッチ処理ではいくつのserファイルは成功しても、一つでも止まってしまうものがあると、フォルダの中のどれが完了しているわからなくなるので、結局最初から全部やり直しています。複数のserファイルがあることになるので、全部が成功する確率は結構低くなってしまいます。完了したというメッセージが出ない時は、何か足りないファイルがあると思っていいでしょう。

JSol'Exのバージョン3.2.2がリリースされました。ちょっと重くなったように感じています。エラーの頻度も増したように思えて、最後までたどり着く率が下がった気がします。なので、私は今は3.2.1に戻して使っています。


特徴波長での画像

かなり寄り道をしてしまいましたが、今回撮影した各波長です。色はJSol'Ex標準にしています。細部出しとかも何もしていないので、拡大してみるとちょっと物足りないかもしれません。

各タイトルの波長の横に書いてある数字は、波長分解能になります。例えばHαなら
スクリーンショット 2025-07-05 101928
というように実測で0.091Å/pixelと評価できていて、実際に隣のピクセルとも有意な差が見えているので、分解能を0.091Åと言ってもよさそうです。この分解能は見ている波長によって変わってきて、波長が短くなるほど分解能が悪くなります。最初、あれ逆では?波長が短い方が精度がよくなって分解能もよくなるのでは?と思ったのですが、ピクセルサイズが決まっていてそこに短い波長を詰め込むと考えると、同じピクセルサイズなら見える波長の細かさは粗くなってしかるべきと理解できました。でも波長分解能の違いは、波長の違いの比のルートに比例するようです。1次でそのまま効きそうなので線形化と思いましたが、なぜルートに比例なのか?未だに疑問です。


1. Hα (6562.81Å), 0.091Å
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  • 撮影日: 2025年7月4日9時39分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: Touptek G2M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間0.75ms、ROI: 3840x100、平均381fps
  • 画像処理: JSol'Ex、ImPPG

2. Na D1 (5889.95Å), 0.100Å
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  • 撮影日: 2025年7月4日8時24分
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間0.75ms、ROI: 3840x100、平均381fps

3. Mg b1 (5183.62Å), 0.106Å
0000_08_34_13_colorized_0_00
  • 撮影日: 2025年7月4日8時34分
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間0.75ms、ROI: 3840x200、平均221fps

4. Hβ (4861.34Å), 0.108Å
03_Hbeta_0001_08_44_26_colorized_0_00
  • 撮影日: 2025年7月4日8時43分
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間0.75ms、ROI: 3840x100、平均381fps

5. Hγ (4340.47Å), 0.111Å
04_Hgamma_0000_08_56_44-trimmed_colorized_0_00
  • 撮影日: 2025年7月4日8時56分
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間1ms、ROI: 3840x100、平均381fps

6. CaK (3933.66Å), 0.113Å
05_CaK_0003_09_14_06_colorized_0_00
  • 撮影日: 2025年7月4日9時14分
  • 撮影: SharpCap Gain 400 (=12dB)、露光時間1.5ms、ROI: 3840x100、平均381fps

こうやって見ると、波長ごとに模様がかなり違うのがわかります。でもNa D1を見てもわかるように白色光とあまり変わらず特徴が無かったりもします。というか、ほとんどの波長はこのNa D1みたいに白色とほぼ同じに見えるようです。

実は他に、He-D3 (5875.62Å)というのが結構面白そうな模様を出しそうなのですが、Spectrum browserで確認したところ、あまりに淡そうなので今回は諦めました。
スクリーンショット 2025-07-05 090320

またいつか挑戦してみたいと思います。


JSol'Exでの色付け

実はJSol’ExではHαの色だけ、特別な処理をしています。Hαだけ他のものに食らえて派手すぎです。即別な処理を外して、JSol’Ex標準のルールに従って色付けすると、Hαといえど下のようにかなり地味になってしまいます。
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私は結構派手な色使いも好きなので、他の波長もHαでやる場合と同じように特別な処理をして派手目にしようとしてみました。でもうまくいきません。どうやらバグみたいで、Spectral rays editorでcolor curveオプションをオンにして色をいじってみるとわかるのですが、青を濃くしてしまうと、serファイルでカラー画像を出した時に変更できるstretchingの所で選択できる「Linear stretch」と「Curve stretch」で初期状態での色遣いが違ってしまっていて、しかもLinear stretchで調整したものは保存できないようです。Hαは青をほとんど出さないので、バグとして認識されていないのかもしれません。

というわけで、もう少し派手目に色付けするとして、Photoshopで自分でやってみました。参考にしたものはMLastroのこのページの一番下にある各波長の色付けです。

6colors

と、こんなカラフルな太陽画像はどうでしょうか?


まとめ

SHG700関連記事も応用編に入り、徐々に分光撮影の威力が発揮されてきました。全波長で本当に0.1Åオーダーで撮影できてます。これは結構すごいです。しかも今回は1枚画像での処理で、JSol'Exのオーとストレッチと色付けだけで、スタックや細部出しもしてません。必要なら、特定の波長は枚数を撮ってもっと凝った処理にしてもいいのかと思います。コンスタントな撮影ももう少し落ち着いたら続けて見たいと思います。

新しく撮影したものを含む、手持ちの撮影ストックはこれくらいです。これまで撮影した画像を使いまだ試したいことがあります。次回、次々回と、ドップラーシフト関連の記事になるかと思います。



前回までに、Hαについては撮影も画像処理も大体一通り試せたので、次は波長を変えてみます。



CaK線

今回はHα線(6562.8Å)に次いでメジャーなCaK線(3933.6Å)を見てみたいと思います。

分光以外でもCaKを見る機器はいくつもあって、PSTのCaKバージョンがFWHMで2.4Å、LUNT社の2.4Åのフィルター、Antliaの5Å3Åのフィルターなどがあります。Daystarのものも5Å、2Å、1Åとあるようですが、研究用途のようで値段も桁が違います。いずれにせよ、Hαがエタロンタイプで0.5Åクラスが普通に手に入ることを考えると、CaKでは半値幅の狭い製品を探すのは難しそうです。

その一方、分光では、眼視はできないですし、全体像を一度にそのままで写すなどはできませんが、波長透過幅は0.1Åオーダーで、一桁程度鋭い範囲で写し出すことができます。


回折格子の回転

SHG700で見る波長を変えるには、回折格子を回転する必要があります。マイクロメータの下部に固定ネジがあるので、手で緩めると回転体が回るようになります。凹型の矢印をCaKと印字されている線に合わせます。固定ネジを再び手で回し、固定します。微調整でマイクロメーターを初めて使います。

太陽光を視野から外し、背景光をSHG700に付けたカメラでとりあえず見てみます。可視光のかなり端の方に来ているからでしょうか、カメラの感度も悪くなっているからかと思いますが、Hα線より明らかに暗くなりました。露光時間を増やしたり、ゲインをあげたりして、ある程度明るくして見てみます。

ここでの一番の問題は、線がたくさんありすぎてどの線がCaKなのか全くわからないことです。何か比較できる画像はないかと探してみましたが、あまりいいのは見つかりません。今後の他の波長のこともあるので、何か波長を特定する手段を確立する必要がありそうです。ここでは、前回解説したJSol'ExのSpectrograph editorを実際に使ってみます。使い方は簡単で、メニューの「Tools」->「Spectrograph editor」を選んで、出てきた画面でCaK線を指定します。CaK周りと思われる輝線をSharpCapで映しながら、Spectrograph editorの画面を横に並べて、画面上の-(マイナス)ボタンで画面の波長幅を小さくしていくと、似たパターンの輝線が見つかるでしょう。

スクリーンショット 2025-06-18 151746

CaK線がわかったので、それを画面の真ん中に持ってくるように、回折格子のマイクロメーターを回して調整します。この状態でカメラレンズ側のマイクロメーターを回してピントを合わせます。また、線が左右で傾いていたら、ここでカメラの回転角を調整して補正します。

次に太陽光を導入し、太陽光をSHG700に入れます。それに合わせて、露光時間を短く、ゲインを下げたりして丁度いい明るさにします。私の場合、1msでゲインを1600(16倍、ZWO換算で240、24dB)にしました。ゲインを増やす代わりに、もう少し露光時間を伸ばしてもいいのですが、最長許容露光時間が1.8msというのを計算上で得ていたので、今回はゲインの方に振りました。

ここから少し迷いました。まず、鏡筒のピントが大きくずれている可能性があります。見ている波長が違うからしかたないかもしれませんが、ボケすぎていて最初ピントがずれていることにさえ気づきませんでした。鏡筒のフォーカサーを大きく動かしてまずは太陽光がきちんとした横幅である程度シャープに見えていることを確認します。分かりくい場合はROIを戻して全画面で見た方がいいでしょう。

次に、SharpCapで画面を300%程度に拡大し、画面を横にスクロールし、太陽光の右端か左端を画面に写し出します。SHG700の鏡筒側に近いコリメーターレンズのマイクロメーターを回して、太陽光の端がシャープになるように調整します。すると輝線のピントがずれるので、再び鏡筒のフォーカサーを調整してピントが出るようにします。次にまたコリメーターレンズのマイクロメーターを回して太陽光の端をシャープにします。これを何度か繰り返して、輝線のピントが合って、太陽光の端がシャープになるようにします。フォーカサーの精度によりますが、鏡筒によっては鏡筒のフォーカサーを調整して太陽光の端をシャープにし、コリメーターレンズのマイクロメーターを回してピントを出す方が楽かもしれません。FC-76にフォーカス微調整のために、余っている自作の減速器を付けたくなりました。

スクリーンショット 2025-06-18 153850_CaK_forcus_cut

輝線のピントは、前々回記事で書いた、ヒストグラムの真ん中の線を右にずらしてコントラストを上げ、縦線が最も濃くなる位置にします。ただしCaK線周りでは縦線は遥かに淡くなるので、SharpCapのヒストグラムの左の線を少し左に、右の線をかなり左に持ってくるなどして、うまくコントラスをあげる必要があると思います。それでも縦線は見えるので、それが全く見えなければ、まだコントラストが取れていないか、ピントが合っていないかどちらかです。ピントに確証を得るためにも、縦線を見える状態に頑張ってすることをお勧めします。

ここまでくれば、あとはHαで撮影した時と同じです。
  • ROIを設定して横長の画面にする。
  • CaK線が真ん中に入っていることを確認。
  • モーターの速度を4倍とか8倍の適した速度する。
  • 階調がRAW16になっているか確認。
  • FPSが100以上で十分なことを確認。
  • 一度テストでモータを回して太陽をスキャンして、一番明るいところでも飽和しないか確認。
などでしょうか。準備ができたら、一旦太陽の端を越えるところまでWかEの赤経のモーターで持っていって、時間無制限で録画されることを確認してから録画開始ボタンを押し、モーターを反対側に回します。太陽がスキャンできたら録画を停止します。

もちろん前々回の記事で示したように、スクリプトを使ってオートで連続撮影をするのもいいでしょう。


画像処理

撮影した動画を処理してみましょう。JSol'Exで撮影した.serファイルを開きます。その際出来上がる画像の向きは、午前と午後で赤道着が反転していることで左右が反転、SHGスクリプトで連続撮影をしたときに往復両方とも撮影すると動く向きによって上下が反転します。これだけで4通りあるので、一度Quick modeで正しい向きになるか確認した方がいいでしょう。もし向きが違っていたら、JSol’Exのオプションで処理時に画像をフリップさせてください。

JSol’Exで処理する際に、見ている輝線を指定してしてやると、カラー画像にはその貴賤に応じた波長の色が自動的に付けられます。今回はCaKと指定したので、400nm程度で紫色になります。下の画像は、colorizedフォルダにできる画像です。1枚だけでスタックなどはしていません。

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同じような画像でmixフォルダに入っているものが以下になります。

0001_15_55_41_mix_0_00

Hαの時はあまりきづかなかったのですが、mixフォルダにはプロミネンスをあぶりだして合成したものが入ることになります。そもそもCaKでもプロミネンスが見えることを全然知りませんでした。

CaK線画像で波長幅が小さいものはあまりないので、波長をシフトした時にどうなるか見てみるのは面白いです。モノクロですが、-3, 0, +3ピクセル = -0.336Å, 0, +0.336Åずらしたものを示します。

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0001_15_55_41_autostretch_0_00

0000_15_54_25_autostretch_3_00

3枚を比べてみてわかるのですが、
  • 中心波長では黒点があまり目立ちません。Hαでも同じような傾向が見られるのですが、結構一般的なことのようです。おそらくですが、一般的に吸収輝線の中心波長が一番暗くなるので、黒点が目立たなくなるのではと推測したのですが、どうでしょうか?
  • 中心波長の方がダークフィラメントが濃いです。これも黒点と同様で、中心の方がより全体的に暗いからでしょうか?改めてHα画像でも0, -3, 3ピクセルずれで比較してみたら、ちょっとわかりにくいですが 明らかに中心波長の方がより濃く出ているので、おそらく推測が正しそうな気がします。
  • 右下のプロミネンスの形が全然違います。
  • 全体的な模様に関しては中心波長が多少コントラストがよくなる程度で、傾向は変わらない。
などでしょうか。こう考えると、CaKはHαほど波長ずれの依存性が少なく、これまでのフィルターのようにHαに比べて多少広い範囲で見てもそこまで違いはないのかもしれません。


スタック画像

最後に、10枚スタックした画像です。CaKの画像処理が初めてで慣れていないせいもあり、かなり迷走しましたが、まあこんなもんでしょうか。解像度は1枚の時よりもあからさまによくなっていますが、なんか解像度がHαに比べてイマイチです。CaKだらかこうなってしまうのか、何か調整不足なのか、今後調べていきたいと思います。

Image06_ABE3

面白いのは、Hα画像の中心波長のみで見えていた、淡い白い模様は、CaK画像の明るい部分と一致するということでしょうか。同じ日に撮ったHα画像(スタックなしの1枚撮りですが)を載せておきます。白いところの位置を見比べるとよくわかるかと思います。

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これが何を意味するのか?HαでもCaKでも、中心波長に近くなって暗くなるとやっと隠れていた淡く明るい部分が見えてくるとかでしょうか?だとしたら、そもそもこの明るい部分は何なのか?まだまだ謎です。ほかの波長の画像も見比べてみたいですね。


まとめ

初めてのHα以外での太陽画像が撮影できました。分光器一台でHαだけでなく、CaKも撮影できるのは随分お得な気がします。しかももちろんCaKだけでなく、400nm程度から800nm程度まで、可視光の範囲内ならどの波長の輝線でも撮影できます。波長を変えられることだけでなく、その任意の波長で波長透過幅を鋭く狭められることのほうが真骨頂なのかと思います。

ここまでで5回の記事ですが、ハード、ソフト含めて基礎的なことは大体試すことができました。今後はこの機器を利用したもう少し応用的なことを試していきたいと思います。と言っても、撮影ストックはこれで尽きてしまったので、新たに撮影する必要があるのですが、とにかく暑いです。晴れている休日に朝早く撮影するのが良さそうです。最近休日も忙しくてあまりチャンスがないので、のんびりとしか進まないのですが、楽しみながらゆっくりやっていこうと思います。












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