ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:CGEMII

今年の夏は殺人的な暑さでした。9月に入ってやっと少しだけ暑さが和らいだのと、休日と晴れが重なったので、久しぶりに太陽撮影を試みました。2023/9/10の撮影分になります。前回の太陽撮影はゴールデンウィークの頃なので、もう4ヶ月も前のことになります。


今回の主な目的は2台のPSTを比較して2台目の方が良像範囲が広いと判断した5月の検証を再度確かめることです。




黒点

黒点群AR3423です。この日はシンチレーションも悪くなく、そこそこ細部まで出たのかと思います。

10_02_58_lapl4_ap530_cut
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 撮影時間: 2023年9月10日10時2分
  • 鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
  • エタロン: Coronado P.S.T.
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影ソフト: SharpCap 4.1 (64bit)
  • 画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCCで後処理

元のモノクロのカット前の画像が下になります。

10_02_58_lapl4_ap530_mono

左側がのっぺりしているのがわかると思います。これを見る限り良像範囲は8割程度でしょうか。前のPSTが3-4割といったところだったので、かなり使える範囲が増えたのかと思います。 細部もそこそこでているので、今後も2台目PSTでそのまま継続できるかと思います。

一つ心配なのが、真ん中から右にかけてなぜかピントがずれたように見えます。もっと右に行くと大丈夫そうなのですが、少し謎です。再発するようなら原因を探ってみます。


プロミネンス

この日はプロミネンスもたくさん出ていました。目立つものをいくつか載せておきます。画像処理はあまり気合が入っていません。

まずは、かなり広い範囲に渡ったプロミネンスですが、手前側の光球面上に広がっている様子もわかります。プロミネンス越しでは光球面の細部が出にくくなっているのがわかると思います。
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こちらも下部からプロミネンスが伸びて繋がっているのがわかります。やっとここら辺を出せるようになってきました。
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スピキュールがピンピンしてますね。こんなときはシーイングがいい日だということがわかります。
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粒状斑

前回C8にアルミシートを巻いて、少し熱流対策をしました。その効果かわかりませんが、2倍のPowerMATEで少し粒状斑が出ました。

11_43_47_F0001-1000_raw_lapl7_ap3392_IP._cutjpg

でもまだ動画の時点ではっきり出ているとは言い難いので、まだシーイングがかなりいいとは言えないでしょう。太陽撮影は休日に限られてしまうのでタイミングが難しいのですが、できるだけシーイングがいい日を探して継続していきたいと思っています。


まとめ

やっと昼間に太陽を見る気になるような気温になってきました。忙しくてブログをまとめてなかったのですが、明日から日曜、月曜と連休を利用しての京都の「星をもとめて」なので、それまでにまとめておこうと画像処理も含めて記事を書き上げました。

今日の夜は飛騨コスモス天文台で観望会、でも天気は微妙です。明日は朝から京都「星もと」へ移動です。星もとでは胎内に引き続いて、ユニテックブースでSWAT+AZ-GTI=SWAgTiの展示とデモをする予定です。関西の星仲間に会えるのを楽しみにしています。


一連のε130Dテスト撮影で、北アメリカ星雲とペリカン星雲網状星雲と撮ってきました。




今回は3例目で、光軸調整前にもう一つ撮っておいたものです。といっても網状星雲が昇ってくる前の夜の前半で撮るものがないので、春の残りのおとめ座銀河団をお遊びで撮ったというだけです。でも結果だけ見たら流石にすごいことになってたので、記事にまとめておきます。

おとめ座銀河団に関しては、2年前の2021年3月にFS-60CBとEOS 6Dで結構な広角で撮影しています。


さて今回は、2年前の結果をどこまで超えられるでしょうか?


撮影

今回の撮影でのポイントの一つは、カメラがASI6200MMで高解像度になったこと。頑張ってbin1で撮影したので、ピクセルサイズは3.74μmとなり、前回の6Dのピクセルサイズは6.5μmで、6.5/3.75=1.75倍。さらにカラーからモノクロになっているので単純に2倍をかけると一辺3.5倍の解像度になります。面積で見ると14倍なので、ピクセルを14ピクセルで表すことになります。もちろん光学性能の限界やシンチレーションなどから、ここまで差がつくことはないかと思いますが、どこまで光分解のに迫れるのか、少し楽しみです。

撮影画角ですが、前回のFS-60CBの焦点距離370mmに比べて、今回のε130Dは430mmなので、少し画角が小さくなります。前回は南北はM100からM87まで、東西はM90からNGC4216まで入れたのですが、今回はそこまで欲張れません。少し迷ったのですが、今回はM100とNGC4216は諦めました。その代わりにマルカリアンの鎖が画面真ん中に近くなるように、M87のさらに南側を少し入れています。

あ、そういえば初のε130DでのLRGB撮影になります。LRGBフィルターはZWOのものです。高くなく、性能もいいという評判でしたが、実際はどうでしょうか?


これまでの問題点

ε130Dの撮影に関しては、これまで問題点として
  • 北アメリカ星雲では四隅の星像が流れること、BlurXTerminator(BXT)でかなり補正できること
  • 網状星雲で迷光による明暗が残ってしまうこと
などがありました。今回特に、後者を今一度確認してみます。


背景ムラの確認

迷光についてですが、L画像の1枚撮りを見てみます。ABEの4次をかけて、その後オートストレッチをかけたものです。

_2023_05_15_21_01_13_L_10_00_300_00s_0001_ABE

背景が何もない銀河団の撮影なのでよく分かりますが、かなりひどい変なムラがあります。

試しに、今回の処理のために撮影したフラットフレームの1枚撮りの画像を、同様にABEの4次をかけ、オートストレッチをしたものがこれです。

2023_05_17_14_07_54_1x1_L_0_01s_g100_29_60C_0000_ABE

はい、ものの見事に再現できています。フラットは明るい部屋の中で壁に向かって撮影したものです。

最初は撮影時の自宅部屋の電気の明るさがカメラに漏れていったのかと思っていましたが、時間も状況も違うのに出るということは、鏡筒由来でしょうか?これは次の記事で検証しようと思います。


画像処理: 背景ムラ対策

上の画像の背景ムラは共に1枚撮りです。画像処理の際に、多少の背景ムラはフラット補正で消えてくれるのですが、ここまでひどいと完全には消えてくれないようです。例えば、WBPPの後にスタックされたmaster L画像にABEの4次をかけ、オートストレッチしてみてみると、以下のようにどうしても補正しきれない残差成分が残ってしまいます。

master_9576x6388_EXPOSURE_300_00s_FILTER_L_mono_integration_ABE

この取りきれない背景のムラを誤魔化すのに、かなり苦労をしました。今回は小さな銀河がメインで、背景に星雲に相当するようなものは(たとえあったとしても)無視するので、DBEをしつこく適用することにします。

一例ですが、以下のようなパラメータで自動でサンプルポイントを割り振り、さらに手動で銀河付近や恒星付近にかかっているものを削除又は移動して除きます。ポイントはsmoothing factorでデフォルトの0.25を0.05にしています。これは2次元のスプライン補完をどこまでスムーズにするかというパラメータで、0にすると最もスムーズに補完してくれるようです。
DBE
実際の打点がこれくらいです。
sample_cut

例えばRGB画像はスタックしてRGB合成した直後は以下のような画像でした。
ABE1_Image10_RGB_crop

補正された背景はこのようになります。かなりスムーズな除去になっているのがわかると思います。
ABE1_Image10_RGB_crop_backgroundのコピー

出来上がった画像ですが、これくらいまで補正することができました。
ABE1_Image10_RGB_crop_DBE_s
まだ少しリング状のムラが残っていますが、今回は銀河の画像なので後の画像処理で背景を暗くすることで、目立たなくすることができます。

でも分子雲が背景にもくもくしているような画像ではそう簡単にはいかず、前回の網状星雲では同様の形が残ってしまっているのが分かります。
AOO_crop_SPCC_BXT_HT_HT_NXT_bg_more_s


BXTによる星像ひずみの改善

まだ光軸調整をしていない状態で撮影しているので、今回もこれまで同様に四隅で星像が歪んでしまっています。

ABE1_Image10_RGB_crop_DBE_ok_SPCC_ABE4_DBE_SPCC_mosaic

下方向、もしくは右下方向に伸びてしまっています。これまでと同様な伸びなので、再現性はあるようです。

これらの歪みはBlurXTerminator(BXT)のおかげでかなりのレベルで改善されますが、残念ながら一部の伸びてしまった星は二重星のようになってしまいます。

ABE1_Image10_RGB_crop_DBE_ok_SPCC_ABE4_DBE_SPCC_BXT_mosaic

これは流石に許容範囲外なので、やはり光軸をきちんと直す必要があります。

bin1画像だからでしょうか、BXTによる恒星の縮小がちょっと効きすぎてしまい、星が全体に小さくなりすぎるので、今回は0.05と軽くだけかけました。一部を拡大して見た時に自然な大きさになる程度の大きさです。星雲部の細部出しも効きすぎるので、PSFはオート(数値を大きくするより機器が小さくなる)として、「Sharpen Nonsteller」も0.7と少し抑えました。これで十分な効果がありました。

最後にNoiseXTerminatorをかけ、背景のノイズを落としました。


画像処理結果

テスト撮影ですが、せっかくなので仕上げてみます。bin1のままだと画像サイズが大きすぎてアップロードできないので、一辺を50%に縮小してbin2相当にしています。

「おとめ座銀河団」
final_50
  • 撮影日: 2023年5月15日21時1分-16日0時7分、5月16日21時2分-23時23分、5月17日21時0分-23時6分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO LRGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、露光時間5分、L: 55枚、R: 11枚、G: 8枚、B: 11枚の計85枚で総露光時間7時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、37枚
  • Flat, Gain100、L: 0.01秒、128枚、RGB: 0.01秒、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、0.01秒、256枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ただし、仕上げたというには問題があることもわかっています。一つは、既に上で説明しましたが、一部の星がBXTで二重星のようになってしまうことです。もう一つは上下でピントにずれがあるため、明るい恒星の光条線が二重になってしまっていることです。

doubleline

これもみっともないので許容範囲外です。どう光軸調整するか、最優先事項でやらないと、今後撮影が進まなくなりそうです。

LRGBフィルターに関しては、特にハロなども出なくて、今のところ特に不満は感じません。2インチフィルターは根が張るので、安価なものが使えると助かります。ZWOのLRGBフィルターは見ている限り十分な性能を持っているようです。


Annotation画像

恒例のアノテーションですが、やはり銀河団はこれをやらないと気が済まないですね。すごいことになります。

ABE1_Image10_RGB_NXT_Annotated_s

一体幾つの銀河があるのか...。宇宙はすごいですね。

でもこれだと流石にちょっと分かりにくいので、PCGを除いたものです。メシエ、NGC、ICまでなのでずいぶんシンプルになるとはいえ、それでも結構な数の銀河です。
ABE1_Image10_NXT_Annotated2_s


マルカリアンの鎖

このままの大きさで見るだけだと細かすぎて面白くないので、ここから拡大していきます。まずはマルカリアンの鎖。

Markarian_large

Markarian_large_Annotated

過去画像と比較します。上から2017年3月: FS-60Q+EOS 60D2021年3月: FS-60CB+EOS 6D、同画角で切り出した今回のものとなります。

MARKARIAN_edit2

01_Markarian_comp

Markarian

こうやってみると、分解能、恒星、色など格段に進歩しているのがわかると思います。


更なる拡大

もっと変わりやすい比較をしてみます。2021年の時には完全にアラが見えていた、拡大しすぎた画像になります。まずはM99付近です。上が2021年、下が今回です。
07_M99_small

M99


流石に雲泥の差ですね。銀河の分解能もそうですが、特に肥大していない恒星、恒星の色など、前回の拡大画像はは出すのを憚られましたが、今回は十分に見ることができます。ここまで拡大しても破綻しないのはε130DとASI6200MM Proの分解の、さらにBXTの効果もあるかと思います。というか、ここまで出ていいのでしょうか?すごいです。

ついでにですが、前回はどうしてもできなかったAnnotationが今回は素直に通りました。恒星の写りが良くなったからでしょうか?これだけ見てても楽しいです。
M99_Annotated

最後、M88とM91回りの拡大です。同じく上が2021年で、下が今回です。こちらも分解能が格段に上がっているのがよく分かります。
10_M91_M88

M88_M91

Annotationです。
M88_M91_Annotated


まとめ

まだまだ光軸調整など問題も残っていますが、ε130Dのポテンシャルを十分に感じることのできる結果でした。BXTの効果もありますが、それでもここまで拡大しても恒星が十分鋭く写っているのはすごいと思います。

とりあえず、今回でテスト撮影は終わりです。とにかく早く光軸問題と、背景ムラ問題をなんとかして、早く本番撮影を迎えたいです。

2023/5/17(水)、平日ですが新月間近で夜の天文薄明終了から、朝の開始まで6h23minの撮影時間。この時期にしては長い撮影時間となるので、平日で初めて2台展開してみました。

一台はSCA260でM104:ソンブレロ銀河と、もう一台はε130Dで前半おとめ座銀河団、後半網状星雲です。

焦点距離の短いε130Dにフルサイズカメラだとかなり広角になるので、銀河が中心の春だと少し厳いので広角でおとめ座銀河団、夏の星雲がメインになってくる夜中からは迷いましたが今回は淡いところがどこまで出るかみたいので、網状星雲としました。

今回とりあえずε130D網状星雲のみ画像処理をしました。


これまでの網状星雲と今回の目的

網状星雲ですが、これまでの実績では、FS-60CBにDBPをつけてEOS 6Dで自宅で撮影したものがもっともよく出たものです。
masterLight_ABE_ABE_Rhalo_PCC_ASx2_HT3_cut

中心の淡い線も多少出ていますが、フルサイズの画角が欲しくて、その場合6Dしかなかったので、カラーセンサーとなり、DBPを使ってもこれくらいがやっとでした。

この時「広角のナローは試すことはないだろう」とか言っていますが、わずか1年半で前言撤回となってしまいました...。

実際今回、ε130Dで口径が約2倍になって、ナローバンドになった場合、自宅撮影のフルサイズ広角でどこまで出るのかを見極めたいのです。


撮影

今回もAOO撮影になります。網状星雲としてはその後5/17(水)と5/17(水)に撮影を続けましたが、青のOIIIがどこまで出るかが勝負です。とくに中心の淡い線。これをもっと出したいのです。

まだ高度が低いうちにAフィルターで撮影し、後半より昇ってくるので次にBフィルターで撮影です。初日は前半はまだしも、後半は風がかなり強くなってきたので、午前3次で中断しました。あとから画像をチェックしましたが、一応ブレずに撮れているようです。CGEM IIに小型のε130Dであることと、焦点距離が短いのでブレが効きにくいのかと思いますが、多少の風には耐えられることがわかったのはいい指標でした。

まる2日同じような設定で撮影して、3日目の撮影前にこれまでの画像を改めてチェックしてみました。でもよくみると青い線が全く出てないのです。え???と思い、改めていろいろチェックしなおしたのですが、なんとここで間違えてBフィルターで撮影していたことにやっと気づきました。はい、RGBのBフィルターで撮影していたというわけです。フィルターホイールの各フィルターの名前付けでHαを「A」としたのですが、次は「B」と思い込んでしまったのです。OIIIフィルターは「O」と名付けたのですが、とても間違えやすいです。多分これからも何回かやらかす気がします。

OIIIが全く撮れていなかったことがわかったので、気を取り直して3日目はすべて「O」で撮影です。


問題点

3日間の撮影後、改めて画像を見比べてみると大きな問題があることがわかりました。炙り出すと1日目の画像のみ、中心が暗くなっているのです。よくみるとリング状の明るい部分もあるようです。下は初日にとったHα画像です。同日に(間違えて)撮影したB画像にも同様の明暗がありました。
2023-05-16_03-27-08_A_-10.00_300.00s_0014

2日目のHα、B画像、3日目のOIIIの方はそのような現象は見ている限り確認できませんでした。

原因はおそらく迷光だと思います。時間帯によって部屋からなどの光が鏡筒付近当たったりすることがあるので、初日は自宅か、隣の家の窓が明るかったりしたのかと思います。屈折やSCA260などのこれまでの鏡筒と違い、カメラが鏡筒の先端近くに付いていることも周りの外光が入り込む原因かと思います。

フードを作ることが必須かと思います。とりあえず材料だけ揃えましたが、まだ製作まで手が回っていません。休日の時間がある時などに作りたいと思います。

あと、やはり四隅の星像が伸びます。特に下側が縦方向に伸びるのでスケアリングの可能性があることと、全体に外側に広がっている気がするのでバックフォーカスが問題かもしれません。

Image03_mosaic

これもBXTで劇的に改善するのは、前回の北アメリカ星雲と同じです。酷かった下側の縦方向の伸びなんかはほとんど目立たなくなります。

Image03_mosaic01

でもこのままだと流石にダメそうなので、次回晴れた日に光軸調整をすることにします。


ちょっとだけ光軸調整

実はこのブログを書いている今日(2023/5/31)ですが、晴れているので少しだけ星像を見ながら光軸を触ってみました。まずはカメラの回転角を90度とか180度とか変えてみたのですが、角度によってピントが合っている部分が変わるので、カメラが傾いている可能性が高そうです。副鏡と主鏡でこれを補正することはできるのか、スケアリングをいじる必要があるのか?今のCanon EFマウントアダプターを使っているとスケアリング調整はできないので、どこかのネジを緩めて何か薄いものを挟むなどの工夫が必要になるかもしれません。

その後、副鏡を少しだけ触ってみました。星像が多少良くなったりしますが、全部を合わせることは全然できなさそうです。自由度だけ見ても、副鏡、主鏡、バックフォーカス、スケアリングとかなりあります。いくつかは縮退していてもう少しいじるところは少ないでしょうが、夜に星像だけを見て闇雲に触るのは到底無理そうなのです。時間に余裕がある時にまずは明るいところで問題を切り分けながらじっくり試そうと思います。


AOO合成

テスト撮影ですが、せっかくなので仕上げてみます。

「網状星雲」
AOO_crop_SPCC_BXT_HT_HT_NXT_bg_more_s

  • 撮影日: 2023年5月16日2時14分-3時32分、5月17日2時1分-2時42分、5月17日0時12分-1時49分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 21枚、OIII: 19枚の計40枚で総露光時間3時間20分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、118枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.2秒、64枚、OIII: 0.2秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回の目的は自宅で網状星雲がどこまで出るかのテストなので、ギリギリまで淡いところを出してみました。一番上の去年の画像と比べてどうでしょうか?中心の青い縦線まではっきり出たのは成果の一つかと思います。また、本体周りの淡い赤も構造が見えているので、これもよしとしましょう。

今回は総露光時間が3時間強と大した長さでないのと、季節初めで撮影した時の高度も低いので、まだかなりノイジーです。今後高い位置で長時間露光すればもう少しマシになるでしょう。

実は網状星雲って、本体の外の左と右を比べると、右の方が一段暗くなっているようなのです。今回それがまだ全然表現できていません。これはもう少し露光時間を伸ばせば出てくるのか、それともただの勘違いなのか、いずれ答えは出るでしょう。

あと、迷光に起因すると思われる明暗が色ムラとして淡くあり、それも炙り出してしまっているので目立ってしまっています。ここも大きな課題の一つでしょうか。


まとめ

今回の新機材で、自宅撮影でも淡いところまで写す見込みはありそうなことはわかりました。フードと光軸調整をして、いつかそう遠くないうちに自宅スパゲティー星雲に挑戦したいです。

網状星雲としては一応作例として残しましたが、リベンジ案件です。できれば今シーズン中にもう一度撮影したいと思っています。



ε130Dでのセカンドライトとなります。とうとうテスト撮影です。今回色々トラブルはありましたが、結果を見る限りかなりの性能のようです。


カメラとフィルターホイール、フィルターの準備

電視観望でのε130Dのファーストライト以来、ちょっと時間はかかりましたが、ε130Dで最低限撮影するだけの機材は揃ってきました。用意したのは以下のものです。

  • 2インチのフィルターホイール。
  • 2インチフィルターはZWOのLRGBフィルターセットと、ナローバンドではとりあえずBaaderのHαとOIII。
  • カメラはASI6200MM Pro。
  • 接続アダプターとして、ZWO製のCanon EFマウント用のアダプターと、ε130側にタカハシのDX-WRカメラマウント。
鏡筒以外にも、撮影しようとするとこれくらいは必要なので、本格撮影は大変ですよね。あとはEAFを用意するくらいでしょうか。全部揃えると値段が値段なので、なかなか一度にパッとはいきませんが、着々と準備は進んできています。 


撮影用機材の取り付け

実際の撮影用機材の取り付けです。連休前の土日に時間をとってじっくり取り組みました。

まずは販売店のページなどで見つかる解説に従って、フィルターホイールのネジを外して分解し、CMOSカメラを取り付けます。センサー面にホコリがつくと、フラットフレームの使い回しができなくなるので、ホコリなどがつかないように細心の注意をはらいます。

カメラの固定が終わったら、とりあえずすぐにフィルターを一枚とりつけて、センサー面がこれ以上暴露しないようにします。この際、センサーの真上でフィルターを取り付けると、ねじ山の切り屑がセンサー面に落ちる可能性があるので、必ずねじ締めはフィルターホイールを回転させ、センサーの上から外れた位置で行います。

その後、各フィルターを順次取り付けていきます。フィルターホイールの付属品でフィルター押さえがついていますが、とりあえずフィルターに最初からついているリングをつけたまま取り付けてみました。装着の際はどうしてももホコリはある程度のっかってしまうので、できるだけ立てて垂直にして取り付けるとか、ブロワーでホコリを何度も吹き飛ばしながら、目で見て何もついていないことを確認しながら進めます。最終的にOKと確認して、さらに蓋の裏側のホコリもブロワーで十分に飛ばして、垂直に立てたまま蓋を閉めてネジを止めます。手で回してみてもぶつかったりはしていないようだったので、OKとしました(後でダメだったと分かった...)。


フィルターホイールと鏡筒の接続

フィルターホイールと鏡筒との接続は、Canon EFアダプターを使うことにしました。理由は、カメラを取り外して再度取り付けた際の回転位置の再現性が欲しいからです。ε130側にはTSA-120で使っていたタカハシのDX-WRカメラマウントを取り付けて、カメラ側は以前ASI2400MC Proを試したときに用意したZWOのEOS EFマウントを取り付けます。

今回使ってみてかなり便利そうだったので、ASI294MM ProもそのうちEFマウントにしてしまおうと思いました。こうするとモノクロCMOSカメラとカラーCMOSカメラの取り替えや、一眼レフカメラを使いたい時も、電視観望にしたいときも、センサー部を暴露してホコリまみれにすることなく、再現性よく交換することができるはずです。唯一の欠点がオフアキガイドをする手がなくなるということですが、今のところSCA260の1300mmまでは普通のガイド鏡で大丈夫そうなので、交換の手軽さを優先することにします。あ、フィルター面につくホコリは少しきになるかもしれませんが、キャップもCanonのものを使えるので、入手性もよくきっちり閉じることができそうなので、そこまで問題にならないかもしれません。


いよいよテスト撮影

5月2日の夜、いよいよ明日から連休です。天気がいいので、いよいよテスト撮影開始です。あいにくの月齢12.5日でかなり明るい夜ですが、ナローバンド撮影ならなんとかなるでしょう。ターゲットは北アメリカ星雲とペリカン星雲。せっかくの広角なのである程度面積のあるものがいいかと思いました。以前似たような焦点距離のFS-60CBとほぼ同じ大きさのカラーセンサーのEOS 6Dで、CBPフィルターを使って撮影したことがあるので、結果を直接比較することができます。

せっかくのフルサイズCMOSカメラなので、16bitと高解像度を活かしてbin1でgain120、露光時間5分撮影してみました。狙いはAOO撮影なので、HαとOIIIフィルターです。でも撮影されたHα画像を見るととても暗いです。ヒストグラムのピーク位置が1000/65536にも全然達していません。Hαでこれなので、O3だとさらに暗くなりそうです。10毎撮影したところで方針転換して、bin2でgain240、露光時間5分としました。bin1だとファイルサイズが100MB越えで大きすぎるということもあります。これだと明るさはbin1->bin2で4倍、gainが120->240で12dB分なので6dB+6dB=2x2=4倍と考えて、約8倍になります。bin2といってもソフトビニングなので、読み出しノイズも4回読み出しているので、S/Nは4/sqrt(4) =4/2=2倍しか得しません。gainを4倍にしているので、読み出しノイズに制限されているならS/Nはダイレクトに4倍得するので合わせて8倍のS/Nになるはずです。かなり暗い画像なのでこの効果は結構効いていて、実際にRAW画像をASIFitsViewerで撮影中に簡易的にみても明らかにノイズが小さくなっていました。もちろん、gainを上げたことでダイナミックレンジは13.5bit程度から11bit程度に落ちてしまいますが、それでもまだ余裕があるでしょう。

結局この日はbin2のHαをさらに10枚とって時間切れで終了となりました。


いくつかのトラブル

テスト撮影でいくつか問題があることが発覚しました。
  1. フィルターホイールとカメラが重かったので、鏡筒前方に荷重がかかりすぎでバランスが崩れた。ドブテイルプレート下面にとりつけたアルカスイスプレートが邪魔をしてパランスが合わせきれなかった。
  2. フィルターホイールが途中で引っかかるることがあり、ホイールを回転させるとうまくいくこともあるが、多くの場合エラーが出て止まってしまう。たとえうまく動いても位置が確定しないようで、撮影画面を見ると片側が暗くなることがある。これは許容範囲外。
  3. フィルターホイールと鏡筒を繋ぐカメラアダプターが、回転方向にがたつく。
1つ目ですが、これはアルカスイスプレートの位置を前に少しずらして全体を後ろに後ろに移動しましたが、ずらせる範囲に限界もあり少し前荷重が残っています。

2つ目ですが、フィルターホイール内を見直してみました。すると、ZWOフィルターよりもBaaderフィルターの枠の方が分厚くて、特にOIIIフィルターの枠は特別厚いことがわかりました。

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正面奥右に見えるOIIIフィルターの枠が一番背が高く、左隣のHαが次に高いです。

これがギリギリフィルターホイールの蓋の裏側の出っ張りに引っかかっていたようです。フィルターを新たに買ってもいいのですが、予算的にも時間的に直ぐにはためせなくなってしまうので、このOIIIの枠を背の低い手持ちのフィルターの枠と取り換えることにしました。

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忘れないようにテプラでシールを作り貼っておきました。

3番目は結局解決せずです。下の写真の向かい合った下のZWO製のアダプターの「爪」と、上のタカハシ製のアダプターの「切り欠き」でカチッとハマって固定されるのですが、この爪の径と切り欠きの幅が合っていないのです。外すときは爪がへこんで下がるので、この爪を接着剤とかで太くすることは出来ません。切り欠きの隙間を接着剤で少し埋めて細くすることも考えましたが、安くない部品なのでまだ躊躇しています。結局、あえて力を加えないと重力程度では回転しないこともわかったので、そのまましばらく使うことにしました。

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EAFも到着

これらの手直しをしている連休2日目、ちょうど発注していたZWO製のEAFが到着しました。スターベースで頼んだタカハシ仕様のものです。カプラーの径が標準のものと変更されていて、タカハシ鏡筒のフォーカサーの太い軸に合わせたものが入っています。特にトラブルもなく取り付けることが出来ました。

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撮影2日目

前日はHαだけしか撮影できなかったので、この日はOIIIを優先します。5分を12枚の1時間を1ターンとして、OIII、Hα、OIII、Hαと4ターンを目指します。あいにく月は最後まで出ていて、暗いOIII撮影には例えナローバンドといえ影響があるといいます。まあ今回はテスト撮影なのでよしとします。

撮影開始前に、早速NINAでEAFを使ってオートフォーカスを試してみました。ちょっと前の記事でオートフォーカスについて書きましたが、NINAのオーバーシュートを使う場合は「バックラッシュ補正をイン側かアウト側の片側だけ書き込む」とありました。今回それを試したところ、初めて右側の最初のステップのずれをなくすことができ、ほぼ完璧に曲線と一致させることができました。

AF_good

ここまでピッタリ合うとかなり気分がいいです。数カウント位の精度までいっているっぽいので、今後かなり正確にピントが合わせられるかと思います。

さて、この状態での四隅を見てみます。bin2の解像度で256ピクセル四方を9枚切り取っています。

_2023_05_04_00_51_54_A_9_90_300_00s_0001_mosaic

思ったより星像が伸びています。下の方が縦長になっていて、上の方が横長です。スケアリングだけだと説明できないかもしれません。光軸をもう一度見直す必要がありそうです。

今回はBXTの恒星の補正で直せることに期待したいと思います。


画像処理

夜の撮影後の次の日の昼間に、新しい鏡筒とカメラなので、bias(実際には処理には使わない)、flat、flatdark、darkなどをNINAで撮影して、画像処理に備えます。flatはついでなので全フィルター分撮影してしまいます。ホコリなどが顕著でなければ使い回しができるでしょう。

今回Hα画像を仮処理したところでなぜかすごい分解能が出たのですが、理由は前回の記事の通りで、bin2で撮影したと思ったらPixInsighのインテグレーションの際にbin1相当の高解像度になってしまい、そこにBXTをかけたことが原因でした。drizzleで2倍の解像度にしても同様の効果があることがわかりました。

 


その後、OIII画像と合わせて画像処理を進めます。Hαに比べて、さらに暗いOIII画像は見た目にもかなりノイジーだったので、OIIIのインテグレートの後のかなり初期の段階でNoiseXTerminator(NXT)を軽くかけました。普通はBXTの前にNXTをかけるのはご法度なのですが、ノイズの差がありすぎてBXTがそれを拡大しているような処理をしてしまったので仕方なくの判断でした。

といっても、画像処理にはこういった臨機応変な対応が実はとても重要だと思っていて、他人のいい処理フローチャートがあったりしても、たとえ自分で作った処理フローチャートでさえも、闇雲に信じたりせず、本当にきちんと処理できているか確かめながら進めるのが重要なのかと思います。そのためにはやはり、実際にどんな処理しているか、できる範囲でもいいのでその理屈を理解することは大切なのかと思います。


結果

結果を示します。

「北アメリカ星雲とペリカン星雲」
Image14_SXT_for_O_AOO_SPCC_ABE1_BXT_NXT_ABE4_MS3_s_cut
  • 撮影日: 2023年5月3日1時22分-2時9分、5月3日23時44分-5月4日3時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間5分、Hα: 30枚、OIII: 22枚の計28枚で総露光時間4時間50分
  • Dark: Gain 240、露光時間5分、温度-10℃、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain240、露光時間 Hα: 0.2秒、64枚、OIII: 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ε130Dの分解能は期待以上でした。特に解像度に関してですが、撮影はbin2でしましたが、画像処理は一番最初に処理した参照時にbin1相当に高解像度化されたものを使いました。BXTもこの状態でかけたので、相当高分解能で仕上がっているはずです。でも結局のところ、この解像度だとJPEGにしても画像サイズが大きすぎてこのブログにアップロードすることさえできません。結局全ての画像処理が終わってから、元のbin2相当の解像度に落としてアップしています。こうなるともう高分解能はただの自己満足です。おとめ座銀河団の時のように一部切り出して拡大するとかくらいしか使い道がありません。

あ、今思ったのですが、ε130DとASI6200MM Proでおとめ座銀河団高分解能バージョンを試してもいいかもしれません。これはまた楽しみが増えました。

問題があった四隅の星像に関しては、BXTの補正効果が圧倒的です。下の画像はbin1相当の解像度で256ピクセル四方を9枚切り出しています。なので、先に出した四隅画像より狭い範囲を見ていることになります。真ん中右の二つの並んだ明るい星が比べやすいかと思います。
Image14_SXT_for_O_AOO_SPCC_ABE1_BXT_NXT_ABE4_mosaic

先のbin2の画像より狭い範囲を見ていても、完全に許容範囲レベルになっています。ここまで直ってしまうと、光軸調整をもう一度やるかどうか迷ってしまいます。光軸とは別ですが、そーなのかーさんが進めてくれたHocus Focusが凄そうで、スケアリングが測定できるみたいです。こちらは次回試してみようと思います。


課題:
明るい輝星の周りにハロが出てしまっています。こちらは主にOIIIフィルターの影響です。撮影用ではなく、眼視用のものを使っているからかもしれません。それでもOIIIフィルターほどではありませんがHα用のも少しだけハロが出ています。これ以上を求めると、フィルター代だけで凄いことになりそうなので、今のところは我慢して画像処理で誤魔化すことにします。

今回はAOO合成なので、そもそもどう頑張っても色のバリエーションがあまり出ません。特に、Hαの明るいところはのっぺりした赤になってしまいました。Rはそれでもまだ暗くて階調を使い切れていないので、もっと最明部の輝度を上げても良かったかもしれません。でもあまりにやると飛んでるように見えてしまうので、バランスが難しいところです。また、OIIIはそもそも暗い上に撮影時間もあまり長くなかったために、少しノイジーでした。そのこともあって、OIIIの暗い所、特に背景部に関しては赤みがかってしまいました。

おまけの恒例Annotationです。

Image14_SXT_for_O_AOO_SPCC_ABE1_BXT_NXT_ABE4_MS4_s_cut_Annotated


まとめ

さてε130Dでのテスト撮影を試みましたが、できた画像を見る限りものすごいポテンシャルの高さを感じます。光軸の問題はまだあるものの、分解能に関してはかなりものです。BXTとの相性も良さそうなので、今後もうまく使っていこうと思います。

自宅で淡い天体を広角で出すというのが目標ですが、今後の本格的な撮影が楽しみになってきました。


少し前に到着したε130、色々準備をしていたり、あまり天気が良くなかったりで延び延びになっていましたが、やっとファーストライトと相成りました。といっても、撮影するにはまだ準備不足なので、まずは試しに電視観望です。


赤道儀への取り付け準備

まずは箱から出して組み立てです。タカハシの純正鏡筒バンドとプレートは一緒に購入したので、適当な位置に鏡筒を固定します。問題はどうやって赤道儀に取り付けるかです。

そもそもタカハシの鏡筒バンドはプレート固定のための二つのネジの幅がかなり広くて、一般的なロスマンディー規格のアリガタの幅よりも広いので、鏡筒バンドとアリガタを直接固定することができません。そのため、まずは同じくタカハシ純正のプレートに鏡筒バンドを固定して、このプレートに空いている穴を介して別のアリガタなどに固定する必要があります。

サイトロンで一緒に購入したAskarのドブテイルバー(ロスマンディー規格のアリガタ)はネジ位置が合わなくて取り付けることができないのはわかっていたので、手持ちのものを探しました。以前スターベースで特価で購入したロスマンディー規格のアリガタに、なんとか取り付けることができそうです。でもアリガタの先端の方のネジを2箇所で止めることができるくらいなので、もしかするとパタパタするかもしれなくちょっと不安定です。タカハシ純正プレートにはあまり加工したくないので、アリガタに穴を新たに空けるか、もしくは後でTSA120などで使ったMOREBLUEの軽量鏡筒バンドに替えるかもしれません。でもまだ予算を他に割り当てる必要があるので、優先度は低いです。

最低限赤道儀に取り付けることができるようになったので、一度実際に取り付けてみて、特にネジの頭とかの干渉などないかチェックします。赤道儀はCGEM IIを使うことを標準としました。Advanced VXでもよかったのですが、ε130の本体自体は5kgと重くはなくても、今後フィルターホイールやカメラ、ガイド鏡などをつけていくとそこそこの重さになるのと、やはり撮影がメインなので少しでも耐荷重が大きくて頑丈な赤道儀の方がいいと思ったからです。


ガイド鏡取り付け位置

ガイド鏡を取り付ける位置は少し迷いました。最初鏡筒上部に手持ちバーを兼ねたアルカスイスプレートを付けようとしたのですが、やはり鏡筒バンドの上部にあるネジ穴の幅が広すぎて直接取り付けることができないことがわかりました。色々考えた末、結局SCA260でやっているように小判鮫状態にしました。アリガタは40cmの長さでじゅうぶんながいので、前方に飛び出ている部分の下面にアルカスイルプレートを取り付けるわけです。

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ロスマンディーのアリガタの下に、
アルカスイスプレートが取り付けてあるのがわかりますでしょうか?

この方法の利点は二つあります。
  1. 一つは鏡筒を赤道儀に乗せるときにそのアルカスイスプレートがストッパーになって、鏡筒から片手を離してもずり落ちるようなことがないことです。
  2. さらにこのアルカスイスプレートは前後に長いネジ穴があいているので、前後位置をスライドさせることができます。そのため、一度前後の重量バランスを合わせてしまってアルカスイスプレートをその位置で固定してしまえば、それ以降は鏡筒の前後バランスを取る必要はなく毎回同じ位置に取り付けることができることです。
これらの利点はSCA260で同手法を運用しているうちに気づきました。


光軸チェック

このε130は展示されていたものなので、光軸がずれてしまっている可能性があります。そのため、コリメーションアイピースを使い、光軸をチェックします。あらかじめ副鏡も主鏡にもセンターマークが付いていたので、チェックは簡単でした。とりあえず見ている限り全てのセンターマークが、コリメーションアイピースで見てセンターに来ています。主鏡が作る大きな縁も同心円上になっているようです。気づいたのは、接眼部のアラインメント調整機構がないので、コリメーションアイピースで見た時に副鏡のセンターを指していない時は、副鏡自身を平行移動などしなくてはダメなところでしょうか。でもこれも原理的に自由度が足りないとかではないので、まあ問題ないでしょう。今回は特に問題なさそうなので、とりあえず何もいじらずによしとしました。あとは、実際の撮像を見て評価したいと思います。


電視観望準備

本当は休日前とかのほうがのんびり試せるのでよかったのですが、天気の関係で平日の夜になってしまいました。でもこの日が良かったかというと、黄砂か春霞なのかうっすら雲がかかっているようで、透明度がかなり悪く北極星さえ肉眼で全く見えません。でもこの日を逃すと次はいつになるかわからないので、とりあえず庭に機材を出すことにしました。

カメラはASI294MCで、そのままアイピイース口に取り付けます。でもこのままだとピントが出ませんでした。色々アダプターを付け替えたりして試しましたが、思ったよりフォーカサーの調整範囲が狭くて、結局補正レンズを外してやっとピントが合いました。そのせいなのか四隅の星像が崩れるのは仕方ないにしても、中心部の焦点が合い切らずに星像の鋭さが全く出ません。これは後日補正板をつけて、バックフォーカスもきちんと合わせてから評価し直すことにして、とりあえずこの日はこのまま進めることにしました。


M42: オリオン大星雲

春も半ば過ぎに来ているので、もうオリオン座は早いうちに西の空に沈みます。しかも最近は日も長いので、ますますオリオン座を見る時間が少なくなってきています。とにかくM42オリオン大星雲だけは派手で見やすく、冬季節の電視観望の基準の星雲と言うべきもので、これが沈まないうちに画面に映し出します。

下の画像はgain420で露光時間1.6秒、ライブススタックで22枚、総露光約35秒のもの、フィルターはCBPです。隣の家に沈む寸前(実は一旦屋根に沈んだのですが、今一度赤道儀の位置を変えて家と家の間に見えているところを電視観望したもの)で、しかも透明度が悪い日の西の低空なので、全く見栄えは良くないのですが、まず思ったことが「速い」でした。

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こんなひどい状況では綺麗に見えるまでにライブスタックを続けてかなり待つ必要があるのですが、さすがFS-60CBの約4倍の明るさです。「速く」星雲が浮かび上がってくるのは、ある程度わかっていたこととはいえインパクトが大きかったです。


バラ星雲

この印象は次のバラ星雲でも全く同じでした。

この日のフィルターはアメリカンサイズのCBPで、カメラにつけたノーズアダプターの先に取り付けています。ただ、この位置に取り付けると周辺減光が顕著になってきます。まずはCBPなしの場合。ゲイン420で3.2秒露光で一回露光だと、バラ星雲とはほぼわかりません。
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次がCBPありの場合です。30秒露光なので、上の画像と直接比べることはできませんが、朧げながらバラの形がわかります。見て欲しいのは周辺減光で、ストレッチ具合はそう変わらないのに、CBPをカメラ先端につけると明らかに周辺減光が増えています。ε130は明るい鏡筒でセンサーに対する光の入射角が急になるので、フィルターをつけるとしてももっとセンサーに近いところにつけた方がいいことがわかります。
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上の画像をライブスタックしていくと、わずか2分半で下の画像位になります。空は相当に悪い状況ですが、それでもこの速さはやはりε130の威力といったところでしょうか。
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三つ子銀河

しし座の三つ子銀河です。天頂に近いので透明度は低いところよりはマシですが、それでもこの日の透明度はかなりイマイチです。

まずは30秒露光です。これだけでも十分に存在はわかります。
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2分露光です。かなりきれいに見えてきました。
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10分露光です。周辺減光が目立つので、中心だけ少し拡大しています。画像を拡大してみるとわかりますが、そこそこ分解能も出ていて、銀河一つ一つの構造もよくわかります。
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M81とM82

M81とM82です。北の空で富山の街明かりで明るいのですが、高度はそこそこあるので先の西の低い空よりははるかにましです。繰り返しますが、肉眼で北極星は見えない状況に変わりはないので、それでここまで見えるなら上等でしょう。

2分露光です。
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10分露光です。10分露光すると、細部もそこそこ見えてくることがわかります。
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M51: 子持ち銀河

最後は同じく北の空でM51です。2分露光と
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10分露光になります。
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例えば観望会をやったとして、10分でここまで見えるなら、まあ十分ではないでしょうか。


まとめ

かなり状況の悪い日でしたが、やはりε130での電視観望は「速い」です。必要な露光時間は近い焦点距離のFS-60CBの4分の1くらいで、実感としてもこれくらいです。例えば40分待たなければならないのが10分ではっきり出てくるようになったと考えると、やはりかなりの威力でしょう。

ε130にフォーサーズのASI294MCと合わせるとすると、焦点距離としてはM31アンドロメダ銀河が画角一杯、北アメリカ星雲単体はなんとか入りますが、ペリカン星雲と一緒には入らないので、もう少し短焦点でもいいかもしれません。その一方、三つ子銀河がそこそこの解像度で見えるので、電視観望で銀河専門と考えなければ、これ以上長焦点にする必要もないでしょう。短時間の電視観望で次々と天体を入れてくのだと、(焦点距離はもう少し短くてもいいので)分解能的には少しオーバースペックな気がしますが、長時間ライブスタックして天体写真にも仕上げたいという場合には適度な焦点距離かと思います。

いっそのことASI2400MC Proのようなフルサイズのカメラと合わせるなら、ε130は最大限威力を発揮するのかもしれません。さらにこれ以上を求めるなら、あとはRASA8とかになるのでしょうか。


今後

やはりε130君は撮影鏡筒だと思うので、次はきちんと撮影で使ってあげたいと思います。準備状況ですが、
  • 今2インチのフィルターホイールはちょっと前に買ってあります。
  • 2インチフィルターですが、RGBフィルターはZWOのものを買い、
  • ナローバンドフィルターはBaaderのものをHαとOIIIを星まつりで安く買い漁ってあります。SIIはSAO合成よりLRGBやAOOの方がかなり楽しいので、少し優先順位を落としています。
  • カメラはASI6200MM Proでこちらはお借りしているものです。
  • 接続は以前ASI2400MC Proを試したときに、ZWO製のフルサイズクラスのCanon EFマウント用のアダプターを用意したので、ε130側には手持ちのタカハシのDX-WRカメラマウントを取り付けて、EOS EFマウントで接続しようと思っています。理由は、カメラを取り外して再度取り付けた際の回転位置の再現性が欲しいからです。

あとはEAFを用意したいくらいでしょうか。全部揃えると値段が値段なので、なかなか一度にパッとはいきませんが、着々と準備は進んでいます。


皆既月食の一連の結果です。前回の広角撮影の記事からの続きです。


今回の記事は天王星食です。

機材

天王星食は2つの機材で臨みました。一つはその2で示した、TSA120 + ASI294MC Pro (常温) + CGEM IIでの自由撮影です。もう一つは、拡大撮影にと思って、他3つの機材の設置が終わってから準備したVISAC (VC200L) + Uranus C + CGX-Lです。

でもVISACの方は結局失敗でした。調整がものすごく難しくて恒星がおにぎり型になりやすく、天王星を見たらツノがピンピン立っていました。このことは天王星を見た直後に気付いた(思い出した)のですが、時すでに遅しで、一応撮影はしましたがあまり公開するに値しません。

TSA-120の方は焦点距離が900mmとそこまで長くないので分解能が心配でしたが、まあさすがのタカハシです、下手な大口径長焦点よりもはるかに結像してくれます。潜入の瞬間と出現の瞬間は動画で撮影し、.ser形式で保存しました。ただし、フルの解像度だとフレームレートが10以下になってしまうので、ROIでクロップしてフレームレートが20以上になる範囲で一番広い画面(3104x2116)になるように設定しました。


潜入時

まずは潜入時です。


できればクリックして画面一杯で見ると迫力があります。いやホント、すごいです。何度見ていても飽きないです。

その中の800x600ピクセルを切り出して拡大したものです。


まるで天王星が月にめり込んでいくみたいです。ピントはかなり気をつけたと思いますが、もしかしたらめり込んで見えるのはピントがずれていたせいなのでしょうか?空気の揺らぎもあるので、多少はこのように見えるのは仕方ないのかもしれません。それとも一般的にはこれがまともな見え方でいいのでしょうか?


出現時

続いて出現時です。全体像は明るい部分が多すぎて少し見にくいのですが、最下部より少し右に天王星が出てくるのがわかるかと思います。

拡大版です。こちらもあまりコントラストがよくないですが、出現時の様子がわかるかと思います。




VISACは没

ちなみにVISACで撮ったものはというと...、動画から1枚だけ抜き出した画像を示しますが、よく見ると天王星に角が立ってしまっています。
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Uranus-Cで天王星(Uranus)を撮ったので使いたかったのですが、残念ながらお蔵入りです。


そのうちに追加

まだ未処理画像がたくさんあるのですが、ちょっと時間が足りなくて未消化気味です。時間のある時にもう少し処理を進めて、適時追加していきます。



 
 
 
 
 
 
 
 


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