ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:C2023A3

お蔵入り?になりかけ

実を言うと、この記事書くのをあきらめてました。今回の彗星の核の撮影画像を見てみると、星像がかなり甘いのです。しかも星の数がかなり少なく、うまく画像処理できるか?と初めから疑問でした。実際途中まで全然うまく行かなくて、半ばお蔵入りするところでした。

というのも、ちょっと前に今回使ったSCA260のバッフル交換のアップグレードがあって、ちょうど販売店から返ってきたばかりでした。光軸調整はしてくれたとのことなのですが、その後、強度を保っているはずのアルミの長さ40cmトッププレーを自分で付け替えたため、鏡筒に歪みが残ったままになっている可能性が高いです。改めて光軸調整せずにそのまま持ち出してしまったためでしょうか、とにかく今回の撮影時にピントを合わせても星像が小さくならないのです。もしかしたら単に低空だったからかもしれません。いずれにせよ、普通だったら画像処理をする気にもならないくらいの画質でしか撮影できなかったのです。

とまあ、前置きはこれくらいにして、紫金山アトラス彗星の記事も今回で最後になるかと思います。10月20日に撮った、3セットの機材のうちの3つ目、焦点距離1300mmのSCA260にASI294MC Proを取り付けています。カメラは冷却可能ですが、今回は冷却せずに常温で稼働させています。

前回の記事で、焦点距離250mmのRedCat51とフルサイズの一眼レフカメラ6Dで撮影した画像の核の部分を拡大し、練習がてらLarson-Sekaninaフィルターで角度方向の輝度変化を強調して見てみましたが、広角画像の核の部分をかなり拡大しているため、粗いながらも回転している様子がわかりました。



今回は焦点距離が長く、それよりも遥かに解像度が良いはずなので、どこまで見えるかが楽しみです。


画像処理

とにかく、撮影した画像の処理をPIのWBPPで始めましたが、まずスタックが全然うまくいきません。各画像の位置特定でおそらく星の認識数が全然足りてないのでしょう、RANSACエラーが出まくりで、registeredにたどり着いたのが64枚のうちわずか20枚でした。Debayerまで普通に全部処理されているようなので、その後は自動のWBPPでなく、マニュアルで一ステップづつ処理することにします。

まずはStarAlignmentです。Star Detectionの基準をデフォルトの0.5から0.75にしたら、WBPPでは20枚しか認識されていなかったものが、30枚ほど位置合わせされていました。この方向で良さそうなので、さらに基準を相当甘くします。いろいろ試して、まず元々位置が大幅にズレていた15枚を省き、残り49枚で剃りを進めることにしました。さらにSensitivityとPeak responseを共に0.9程度にしたら、49枚全部を認識し、49枚分のImageIntegrationまでできました。その後、StarAlignmentした画像を、さらにCometAlignmentし、ImageIntegrationすることで無事に彗星核基準のスタック画像になりました。

今回は核の周りの構造を見たいために、基本的にスタックのみで他の処理はほぼ何もしません。ABEなどのソフト的なフラット化さえもしません。当然、恒星の分離もしませんが、核の周りだけ見るには恒星が流れていても基本的にはお構い無しのはずです。ただし、SPCCやPCCなどの恒星を使った色合わせができないことは認識しておくべきでしょう。なので最終画像はグレースケールに落として、モノクロとしました。


Larson-Sekanina フィルター

さて、核基準でスタックだけした画像に、早速Larson-Sekanina フィルターを適用してみます。パラメータを注意深く探りながら色々試して、最終的に距離2ピクセル、回転2度、量0.2であとはデフォルトと決まりました。

角度はあまり敏感ではなく、今回は2度から5度くらいまであまり変化はありませんでした。今回の画像では5度以上ずらすと根本的に違った構造が出てくるようです。そもそもズレを使って淡い輝度の違いを見やすくするものなので、ズレた時にある程度相関を持って重なる必要があるはずです。なので、今回の場合5度以上のズレになってくるとおそらくズレすぎで、全然相関がないところとのフェイク構造が出てしまうのかと思われます。前回、例え話で出した古文書などのズラしを考えてみても、一文字の中の狭い範囲内でズラすことに意味があるのであって、文字を超えて例えば上とか横の別の文字とのズレを見出い出してしまうのは、Larson-Sekanina フィルターでは距離や角度を大きくズラしすぎることに相当するでしょう。全く違う文字と重ね合わせてそのズレを見るのだと、たまたまそれぞれの文字の一部が重なるなどの偶然の相関が検出されるだけで、出てきた構造はフェイクで、結果に意味がないことは容易に想像ができるかと思います。

一方、今回入れた距離ズレの2はそこそこ敏感で、1とか3だと全然違う結果になります。前回の粗い画像でも2.5にしているのですが、これだけ分解能が違うのに、なぜ同じような値なるのかまだ謎です。彗星の核周りの構造の大きさ自身によるのでしょうか?焦点距離が前回250mmと今回1300mm、ピクセルサイズが前回6.3umと今回4.3umなので、焦点距離もピクセルサイズもより細かく見ていることになります。比を計算してみると、1300/250 x 6.3/4.3 =7.62となり、前回と今回の距離のズラしはピクセル単位で8倍くらいあっても良さそうです。前回2.5なら今回は20くらい、今回2なら、前回0.25くらいになっていいはずです。前回の画像でも、今回の画像でも、この比くらい大きくズラしてもみましたが、少なくとも有意な画像に見えることはありませんでした。もしかしたら、まだ私自身が大きな勘違いをしている可能性もあるので、今後の課題とします。

今回のLarson-Sekanina フィルターの適用結果ですが、回転のように見える構造がかなりはっきりと出ました。以下の画像は核まわりを見やすくするために、すでに縦横半分ほどにクロップしています。また、比較しやすいように良画像ともモノクロにしてあります。

フィルター適用前の画像と、
integration2_49files_normal_cut_mono

フィルター適用後の結果です。
integration2_49files_LS_cut_mono

核回りに明らかに時計回りの回転構造と、テイルに縞がはっきりと出ているのがわかります。ただ、Larson-Sekanina フィルターで出てきたテイルの縞は、フェイクの可能性もあるという情報をどこかで見たので、判断は慎重になるべきかと思います。


仕上がり画像

上記画像を、北向きを上にして、クロップして、核の周りをより詳しく見てみます。大きさを示す矢印も入れたので、スケール感もわかるかと思います。
integration2_49files_LS_cut_mono_middle_rot_cut_arrow

拡大してみると、更にはっきりと時計回りに回っていることがわかります。核の大きさがわからないのですが、調べたところによると直径20-40kmとのことです。ほとんどの彗星は直径10マイル(16km)を超えることはないとのことなので、この大きさが本当なら、やはりかなり大きな彗星ということになります。

撮影をした日の地球から核までの距離は、この日は0.595 [au] = 8.9e7 [km]とのことなので、核の直径30kmとすると、核の視野角は0.069秒角程度になります。クロップ前の画像の横幅が50分角程度でそれをCMOSセンサーの横幅の4144ピクセルで見ているので、1ピクセル辺り0.72秒程度です。すなわち、1ピクセルで核の10倍程度の幅があるということです。核は相当小さいことがわかりますし、核がガスを出すことでここまで大きく見えることも実感できます。

パッと見える回転の構造は10ピクセル程度あるので、核が回転しながら、核のすぐ周辺に核の100倍程度のくらいの太さでガスを出していると推測されます。

まだ全然大したことは引き出せていないですが、このはっきりとした回転が見えただけで、もう興奮モノの面白さです。Larson-Sekanina フィルター偉大です。数学的には単純と言いましたが、相当強力で、相当の汎用性を持っていると思います。逆に言うと、汎用性を持っているからこそ単純な数式で表すことができるといってもいいのかもしれません。

汎用的なLarson-Sekanina フィルターをもっと応用できないのかと思いましたが、もしかしたらステライメージに搭載されている「回転アンシャープマスク」は応用例にあたるのかもしれません。ステライメージの回転アンシャープマスクの解説ページを見ると、Larson-Sekanina フィルターにあたるローテーショナル・グラディエントより、微細構造の抽出と滑らかさを両立し、結果を確認しながら仕上げられると言うようなことが書いてあります。惜しむらくは、この回転アンシャープマスクの使用例がほとんど皆既日食で、彗星に使った例は極々わずかなことです。もしこれを彗星核にうまく使えたら、面白い結果が出るのかもしれないと思いました。


まとめ

回転らしきものが見えるのはわかってきたので、次回の大彗星では日を変えて連続で撮影して回転がどう変化していくのかなどに興味があります。日々の変化で、核の回転速度などもう少し何か意味が引き出せるかもしれません。次回の大彗星でどこまでできるかかなり楽しみです。

今回の大彗星の一大騒動、自分的にはやっと終局を迎えました。1ヶ月以上楽しめたので、かなり満足です。特に最後に辿り着いたLarson-Sekanina フィルターでの核の回転画像は、普段の画像処理とはまた違った方向性だったからでしょうか、自分の中でかなりインパクトがありました。その一方、今回の紫金山アトラス彗星では弧を描くようなテイルは見えなかったので、私の中ではそれでもネオワイズ彗星の方が印象が大きいです。これは最初に見た大彗星だったと言うこともあるのかもしれません。

次に大彗星が来るのはいつのことか?8年で2回見たペースの通り、4年後なのか?もっと先なのか?意外にすぐ来るのか?今から楽しみに待ちたいと思います。


前回記事で書いたように、昨日は尻尾がほんの辛うじて見えたくらいで、まあ見えなかったと言っていい、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。



今日は一転、ものの見事に大迫力で見えました!!!

昨日は悔しさに任せて書き殴っていたブログ記事ですが、今日は全然気分が違います。晴れ晴れとして書いているので、筆が進みます。


天気予報はイマイチ

2024年10月14日は連休3日目の月曜日。そもそもこの日は午前中こそ晴れていましたが、午後くらいから雲が出始め、夕方までかなり雲が多かったです。16時頃に外を見て、まあダメだと思い諦めてテレビを見てました。17時になる10分くらい前でしょうか、窓から少し弱いながらも太陽の光が差し込んでいたので、とりあえずダメもとで外にだけ出ようと、昨日と同じ場所へ向かいました。昨日の機材はそのまま車に積んであるので、17時には現地に着いていました。

空を見ると、天気は辛うじて昨日よりマシなくらいで、まだ雲がかなり残っています。最悪晴れている場所があれば移動することも考えて、機材は昨日よりもかなりシンプルで、シグマの105mmにEOS 6Dのみです。架台は固定三脚ですが、昨日のマンフロット三脚に自由雲台から変えて、ビデオ用三脚に近いような水平と垂直を独立して傾けれるものにしました。これは正解でした。撮影していると、あと少しだけ角を中央に移動とか、地面を少しだけ入れたいとか、微妙の角度を調整したくなるのです。

IMG_0209


早く見えないかな?

機材の準備はものの10分ほどすみました。昨日一度セットしている経験が効いています。最初に撮った写真のタイムスタンプを見てみると、17時13分でした。太陽が遠くの山に沈んだ直後で、流石にまだ明るすぎます。

太陽が沈む位置から、その時の彗星の位置は南へ7-8度、高さはまだ20数度あるはずです。105mmレンズとフルサイズの画角は19.3x13.0度あります。地面を画面内に入れると、まだ彗星は画面からはみ出るような位置にあります。そこで、地面から少し上くらいにカメラを向けて、彗星が確実に画面内に入るような位置にして、見えるようになるのを待ちます。

カメラは昨日と同じ、PCに繋いでBackYardEOSでシャッターを切り、モニターしています。ピントは、昨日合わせた時にパーマセルテープで固定しておたのですが、見る限りズレたりしていることはなさそうです。ここから1分おきくらいにシャッターを切って彗星が見えるのを待ちます。

17時20分、流石にまだ見えません。
17時30分、ちょっとくらい見えないかな?
17時40分、そろそろ見えてもいいのでは?
17時45分、流石に見えるはずでは?
17時50分、なんで見えない?何か間違っているのか?
17時52分、おお! 核が見えている!!

とこんな感じで、いまかいまかと待っていました。


まずは核が見えた!

LIGHT_Tv1s_200iso_f3-5_+22c_20241014-17h52m49s662ms_rot
核の位置は画面中央より少し左寄りでした。

その前の撮って出しJPG写真を注意深く見てみると、17時46分の画像では核は確認できませんが、17時48分の画像には写っていました。

その後さらにRAW画像をPixInsightで炙り出してみると、17時46分の画像にははっきりみえていますが、1分前の17時45分の画像以前には写っていません。これはまだ明るかったというよりは、残っていた雲が厚くて核を隠していたようでした。


尾も見えてきた

核が見えてからは順調そのものです。彗星の尾が左上に向かっているので、核の位置を中央右下になるように少しだけカメラの方向を変えます。

17時59分には核が完全に雲から出てきて、尾っぽが見え始めます。
LIGHT_Tv1s_400iso_f2-8_+21c_20241014-17h59m57s332ms_rot

5分後の18時4分には尾の全体も雲から出てきました。
_LIGHT_Tv1s_800iso_f2-8_+21c_20241014-18h04m59s158ms_rot

この辺りで双眼鏡で見てみましたが、尾がはっきりと見えました。ただ、肉眼だと周りが明るいからか、核も尾もあまりよく見えませんでした。


全体像が凄い

18時12分の画像では彗星の全体が確認できます。現地でWindowsの「フォト」を使って、少しだけ画像処理しました。
LIGHT_Tv2s_1600iso_f2-8_+20c_20241014-18h12m39s037ms_2_rot

つぎは18時26分の写真です。だいぶん下に降りてきたので、地面と一緒に写してみました。
LIGHT_Tv2s_1600iso_f2-8_+20c_20241014-18h26m04s845ms_rot

暗くなって核が雲に隠れる直前の18時29分の写真を、PixInsightで炙り出して尾の長さを見てみました。画面の長手方向の3分の2はあると言っていいでしょうか。

LIGHT_Tv2s_1600iso_f2_8_20c_20241014_18h29m04s229ms_ABE_HT_NXT

縦方向が19度ちょい程度なので、少し斜めに伸びていることも考えると、尾の長さはこの画面で見えているだけでも13度以上と言っていいでしょう。これは紛れもなく大彗星と言っていいのかと思います。


とうとう終わり

18時41分には低空の厚い雲の中に核が入ってしまいました。
LIGHT_Tv2s_1600iso_f2-8_+20c_20241014-18h41m09s592ms_rot

再び見えることはないのかと、少しだけ待ちましたが、これ以降は尾もどんどん低くなってきて見えなくなってきたので、この日はここで終了としました。

明日以降は少し天気が悪くなりそうですが、まだチャンスがあると思います。どこまで成長するのか?それとももう尾は短くなっていくのか?今後も楽しみです。


片付けと帰宅

興奮も冷めやらぬまま後片付けです。大した機材は出していないので片付けは簡単で、19時前には現地を出発しました。今日は自宅に息子しかいないので、すき家によって牛丼大盛と旨辛すき焼き牛丼中盛りを買って、自宅で子供と食べて、ブログを書いて、今に至ります。

今回の紫金山アトラス彗星はとにかくもう満足でした。やり残したことというと、タイムラプスを撮りたかったかもしれないのと、今使っている古いiPhone XRで写るかどうか試すことくらいです。ただ、肉眼ではっきり見えたネオワイズ彗星に比べて、今回は肉眼ではよく見えなかったので、自分の中の順位としてはやはりネオワイズ、紫金山アトラスでしょうか。ネオワイズは初めて見た大彗星だったので、そのインパクトもあるのかもしれません。でも、そもそも今日はダメもとで外に出てみたくらいの気分だったので、それを考えたら十分過ぎるくらいの結果です。

とりあえず今回の記事は速報で、撮って出しと簡易処理です。きちんとスタックしたりしての画像処理はもう少し時間をかけてやろうと思っています。


夕方に見えるようになり、大化けしつつある話題の紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。連休ということもあり、時間も少し取れそうなので私も挑戦してみることにしました。


場所をどうするか?

前回見た大型のネオワイズ彗星は、天気と暗い場所を求めて、能登半島を挟んだ富山の反対側の羽咋市の海岸にまで遠征しました。今回は月が出ているので、あまり暗いところに行くのは意味がありません。ただし、まだ高度がかなり低いので、西側が地平線近くまで開けている場所が必要です。というわけで、昼間のうちに一度偵察に行って、自宅から車で5分くらいの川の堤防を陣取ることに決めました。


セットアップ

18時くらいに日没なので、17時には準備を終えたいと思い、16時に自宅を出発。堤防に着くとまだそこそこ日が高く、日があたると暑いので車の影に隠れながら機材をセットします。

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撮影機材はRedCat51+ASI294MC Proと、シグマの105mm F1.4レンズ+ EOS 6Dの2セット。架台はCGEM IIとSWAgTiの2セットです。一応普通のカメラ三脚と自由雲台も用意しました。

結論としてはCGEM IIは全く使わなかったです。便利だったのはSWAgTiのAZ-GTiで、操作のためのSynScan Proをネットに繋いで起動すると、あらかじめ彗星の最新のデータをダウンロードでき、導入が楽に行えます。結局RedCat51をSWAgTiに載せ、105mmレンズと6Dは自由雲台で使うことにしました。

IMG_0201

PC側のアプリは、RedCat51がSharpCapで、6DがBackYardEOSです。両方ともPC上で画面が見えるので、特に6Dのモニターを覗かなくてよくて、確認がかなり楽でした。


なかなかうまくいかない

AZ-GTiの自動導入といっても、昼間なのでそもそも初期アラインメントがうまくできず、全く精度が出ません。水平を出して、iPhoneのコンパスアプリで方向を確かめて設置しましたが、結局かなりあさっての方向を向いていました。月が出ていればそれでワンスターアラインメントができるのですが、残念なことにその時間月は雲の中でした。しかたないので、鏡筒先端に蓋をして、(SynScan Proの太陽導入の制限を外してから)太陽を初期アラインメントで導入し、鏡筒の方向があっているかを目視で確かめたくらいでした。他にも、遠くの山でピントを合わせておくなどしたのですが、これらも結局最後星で合わせ直したので、昼間の精度はかなり出にくいということを実感しました。

そもそもの原因が、とにかく雲。準備の最中くらいはまだ西方向に晴れ間が広がっていたのですが、日没が近づくにつれ雲が広く厚くなっていきます。日没くらいには西から南がほぼ全面雲に覆われていました。その一方、北と東には青空が広がっています。

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iPhoneで適当に撮った画像です。17時ちょうど。

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同じくiPhoneで17時30分。日没直後は西側はほぼ全面雲でした。

今更場所を変えるわけにもいかず、もうここら辺で諦めモードで、とりあえず使わないCGEM IIを片付け始めます。一応RedCatは彗星と思われる方向に向け、6Dでは広角で多少位置が間違っても大丈夫なように見ていましたが、見えているのは雲ばかりです。遥か遠方に、山の上と雲の下に隙間があり、あわよくばそこから見えればと思って、最後に足掻いていました。

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17時50分。RedCatの画像。下の方にわずかですが、雲の隙間がずっとありました。

途中、彗星の位置思っていた方向と少しズレていることに気づきました。気づけたのは、太陽が沈む位置を写真で残しておいたことと、Vixenの彗星アプリで太陽が沈む位置と彗星が沈む位置が10度くらいズレているのを確認したからです。


なんか見える!

18時20分頃からでしょうか、雲の上の方が少し薄くなってきて、雲ごしに星が見えるようになってきました。改めて星を使ってピントなどを合わせ直し、彗星が出てそうな雲の薄いところを見ると、なんと真っ直ぐ上に伸びる尾っぽが見えているではありませんか!!!

ちょうどその時に妻から電話が!「今どこなの?ご飯食べるの?」とのことです。なんでやっと見えかけた時に限って!?と思いましたが。「今彗星。近くの川。帰ったら食べる。」とだけ答えて、すぐに撮影に入ります。その時に何枚か写したのがこれです。

LIGHT_Tv2s_1600iso_f2_+23c_20241013-18h32m27s118ms_rot
105mmレンズの画像です。縦に尻尾だけ見えます。時刻は18時32分。
核は多分山のちょうど天辺に隠れるか隠れないかくらいだと思います。

Capture_00001 18_37_33_WithDisplayStretch
RedCatの画像です。赤道儀に載っていて、上が天の北なので、尻尾が傾いて見えます。
時刻は18時37分で核が地平線に沈む直前です。 

あわよくば核も見えないかと思いましたが、結局下の方の暑い雲が退くことはなく、核も沈んでしまう時間になってしまいました。その頃には尻尾も再び見えなくなってしまい、上の写真が精一杯の結果でした。

CGEM IIは早くに片付けていたので、残りの後片付けも大したことはなく、そのまま自宅に帰り夕食にありつきました。


帰ってから

それでもなんとか尻尾だけは見えたので、彗星が全く見えなかったわけではありません。ほんの少しの満足感と、惜しかったというのと複雑な気持ちです。さらに、自宅に着いてから見たXの投稿で続々と綺麗な写真が投稿されているのを見て、全国的に見えたのに何故ここだけ?と、悔しくなってきてふてくされていました。

さらに時間が経ってくると、天リフのブログコーナーに「見えた!」という記事が次々とアップされています。みなさん素晴らしい結果です。はい、羨ましいです。それらを見て、一つくらいは見えなかった記事があってもいいのではと思い、今回のこの記事となりました。悔しさのあまり書いたので、わずか30分くらいで書き上げました。わかってます、本来ボツにするような記事です。

この記事を書き終えて、ふと思いついて尾っぽの写真をPixInsightで炙り出してみました。すると、ちょうどそれらしい位置に核のような白い点が見えます!

LIGHT_Tv2s_1600iso_f2_+23c_20241013-18h32m27s118ms_nueclear_cut

一応核も見えたということにしましょう。そう思うと少しだけ満足度が上がりました。

明日晴れないかな?天気予報だと夕方曇りですが、SCWだと場所を選べば晴れているところはありそうです。あまりぜいたくは言わないので、とにかく西が開けていて雲が少ない場所を探せればと思います。


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