ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ASI294MCPro

皆既月食の一連の結果です。前回の広角撮影の記事からの続きです。


今回の記事は天王星食です。

機材

天王星食は2つの機材で臨みました。一つはその2で示した、TSA120 + ASI294MC Pro (常温) + CGEM IIでの自由撮影です。もう一つは、拡大撮影にと思って、他3つの機材の設置が終わってから準備したVISAC (VC200L) + Uranus C + CGX-Lです。

でもVISACの方は結局失敗でした。調整がものすごく難しくて恒星がおにぎり型になりやすく、天王星を見たらツノがピンピン立っていました。このことは天王星を見た直後に気付いた(思い出した)のですが、時すでに遅しで、一応撮影はしましたがあまり公開するに値しません。

TSA-120の方は焦点距離が900mmとそこまで長くないので分解能が心配でしたが、まあさすがのタカハシです、下手な大口径長焦点よりもはるかに結像してくれます。潜入の瞬間と出現の瞬間は動画で撮影し、.ser形式で保存しました。ただし、フルの解像度だとフレームレートが10以下になってしまうので、ROIでクロップしてフレームレートが20以上になる範囲で一番広い画面(3104x2116)になるように設定しました。


潜入時

まずは潜入時です。


できればクリックして画面一杯で見ると迫力があります。いやホント、すごいです。何度見ていても飽きないです。

その中の800x600ピクセルを切り出して拡大したものです。


まるで天王星が月にめり込んでいくみたいです。ピントはかなり気をつけたと思いますが、もしかしたらめり込んで見えるのはピントがずれていたせいなのでしょうか?空気の揺らぎもあるので、多少はこのように見えるのは仕方ないのかもしれません。それとも一般的にはこれがまともな見え方でいいのでしょうか?


出現時

続いて出現時です。全体像は明るい部分が多すぎて少し見にくいのですが、最下部より少し右に天王星が出てくるのがわかるかと思います。

拡大版です。こちらもあまりコントラストがよくないですが、出現時の様子がわかるかと思います。




VISACは没

ちなみにVISACで撮ったものはというと...、動画から1枚だけ抜き出した画像を示しますが、よく見ると天王星に角が立ってしまっています。
_2022_11_08_1136_1_RGB_VNG
Uranus-Cで天王星(Uranus)を撮ったので使いたかったのですが、残念ながらお蔵入りです。


そのうちに追加

まだ未処理画像がたくさんあるのですが、ちょっと時間が足りなくて未消化気味です。時間のある時にもう少し処理を進めて、適時追加していきます。



 
 
 
 
 
 
 
 


前回の記事で皆既月食の作戦立てとリハーサル、当日の撮影の様子まで書きました。今回はその続きです。



皆既月食とその前後

まずは一番オーソドックスで解像度も出る
  • TSA120+ASI294MC Pro(常温)+CGEM II
で撮影したものからいくつか処理します。このセットアップもSharpCapのシーケンサーを使い2種類の明るさで撮影しています。シーケンサは以下のような設定になります。1分間のうちにgain120で1ms、gain240で25msの撮影を4時間分240回繰り返しているだけです。

seqencer_TSA120

赤道儀の追尾レートは月時に合わせていますが、撮影中は月が画面の中でどんどん上に上がっていくので、適時ハンドコントローラーで月の位置を真ん中に移動しながらになります。全部で277ファイルが保存されていました。途中の天王星食などにはシーケンサーを止めて好きな設定で撮影していますので、連続撮影にはなっていませんが、保存された.serファイルからいくつか見栄えがいいものを画像処理をしました。

まずは皆既に入る前です。
ZWO ASI294MC Pro_25ms_240_2022_11_08_19_09_33__lapl5_ap2594_RS2
ターコイズフリンジが出てくるような画像処理としました。

次は皆既月食中で、天王星の食に入る少し前です。
ZWO ASI294MC Pro_50ms__2022_11_08_20_29_59__lapl5_ap689_IP
天王星が月の左側の真ん中ら辺に見えています。繋がって見えるのは動画で撮っていたからで、60秒間さつえいしたので、60秒で天王星が移動している分だけ繋がって見えているというわけです。

もう一つは皆既月食終了直後です。こちらもターコイズフリンジが見えるように処理しました。
ZWO ASI294MC Pro_25ms_340_2022_11_08_20_46_29__lapl2_ap1098_RS3


月時レートでも月が画角内を移動!?

今回使ったCelestronの赤道儀では、追尾レートを「恒星時」「太陽時」「月時」の3つから選べます。

実はリハーサル時に、「月時」に設定してしばらく追尾を試したんです。でも長時間追尾すると画面内で月が動いていくんですよね。極軸はそこそこきちんと合わせたつもりだったのですが、ずれていたのかと思い、再び極軸を合わせます。この時にまず大気収差の補正をするのを忘れていたことに気づきました。新しいPCを使ったので、設定し忘れていたのです。気を取り直して再度極軸合わせ。今度は大丈夫なはずです。でもでもやっぱり月は動いていってしまいます。見ていると、どうやら必ず上に向かうようです。

ここでじっくり考えました。そもそも月は28日かけて全天を一周します。ざっくり30日で360度とすると、1日12度もずれていくわけです。1時間あたり0.5度、月食の間の4時間では約2度もずれていきます。その一方、恒星は1年かけて360度全天を一周するので、ざっくり1日1度、1時間では約0.04度、4時間でも0.16度程度しか進みません。

この角速度の差は、月食観測中も恒星に対して月が移動していくことを示していて、しかもその動きは赤道儀の追尾の動きに対して水平に動くだけでなく、上下に動く成分もあることにやっと気づきました。地球に対する月の公転軌道は、地球の自転軸に対して水平ではないからです。ここにたどり着いてから、たとえ赤道儀の月時で月を追尾しても、画面内で上下に動いていくことにやっと納得できました。

でもそうすると大変です。上下に十分な余裕があれば別ですが、画角一杯に月を入れたい場合にはすぐに上下に逃げて行ってしまいます。それをマニュアルで適時上下に追い続けなければダメです。

これを回避するために、ガイド鏡を用いて、月をターゲットにして動かないようにすることも考えました。太陽撮影の時はこのようなガイドをすることがあります。でも今回は月食で、形が劇的に変わるような過程です。こちらもどうも難しそうで、本番一発で成功させるのは流石に自信がありません。

本当は月が画面内にピタッと動かずにずっと連続で撮影したかったのですが、それが無理だとわかったので、今回は「TSA-120は自由に好きなタイミングで撮影する機材とすると決めた」という経緯があります。

この考察は、この後の記事で書くつもりのFS60CBで画角を一切変えずに、太陽時で追っていくことにつながっていきます。


さらなる画像
 
TSA-120で撮影したものだけでも、まだまだ未処理の画像が大量にあります。特に、天王星食は別ページでまとめます。

またTSA-120で撮った画像の処理が進んだら、随時ここに追加していくかもしれません。


 
 
 
 
 
 
 
 


 

ずっとネタ不足でブログの更新が滞っていましたが、久しぶりの更新です。

シリウスB

北陸の冬は星好きには本当につらいです。もうほとんど晴れてくれません。

2022年1月22日(土)、天気予報では短時間の晴れだったのですが、この日は本当に久しぶりにしばらくの間快晴でした。21時頃でしょうか、外に出るとかなり雲が少なくなってきています。早速赤道儀を出します。鏡筒をどうするかは迷ってましたが、シンチレーションを見てあまり良くないのでSCAとしました。

と言うのも、シリウスBキャンペーンが始まっていて久しぶりに見たくなり、満月の少し前の日にTSA120でチャレンジしたのです。結果は惨敗。眼視ではリゲルBも見えなくて、カメラで撮ってスタックして炙り出してやっと見えたくらいです。当然シリウスBは影も形もなく、シリウスBキャンペーンはとりあえず2年近く前に撮影したもの投稿しました



当時の記事を読んでもわかりますが、少なくとも夜空を目で見てチカチカしているようでは小口径の場合は問題外ですね。

というわけで、この日は目で見てシリウスがチカチカしていたので普通にSCA260で撮影することにしたというわけです。 シンチレーションがよくないのでFS-60CBとかでもっと広角とかいう手もありますが、SCA260はまだまだ試したいことがたくさんあるのでこちらが優先です。


トール兜星雲

今回のターゲットはNGC2359: トール兜星雲です。おおいぬ座のシリウスの近く、カモメ星雲のすぐ下あたりにあります。2つの星がちょうど兜の目の様になっているのが特徴です。1月あたりだとちょうど日が落ちる頃に東から出てきて、ほぼ一晩中出ています。南天時で40度とそこまで高度が上がらないので、いい状態で撮れる時間はそれほど長くないかもしれません。

実は昨年12月2日にSCA260とEOS 6Dと DBPフィルターを使い、これまでで最長の3分露光でトール兜星雲を撮影していました。
masterLight_ABE_ABE_clone_cut.ajpg

たまたま地面振動の影響を見ようとして三脚の下に柔らかい防振シート(手で赤道儀を揺らすと全体が簡単に動くくらいの柔らかさ)を入れたのですが、風が強くてグワングワン揺れたみたいです。撮影時間はほぼ3時間なので、淡いところもそこそこ出ていますが、シンチレーションもかなり悪く、ピントを合わせきれなかったこともあるかと思いますが、見るも無惨な分解能で、SCA260の性能を全く引き出し切れていないのでお蔵入りです。今回の撮影はこれのリベンジの意味もあります。


今回の目的

今回のSCA260での撮影の目的は
  1. 3分露光で揺れの影響なく星がきちんと点像になるか確認すること
  2. SCAでナローバンド撮影(今回はAOO)を試すこと
  3. EAFの導入テスト
とします。

IMG_4285
雪を避けての撮影でした。

前回12月の6Dの撮影では防振シートの柔らかさと風で揺れ過ぎていたので、今回は防振シートを無くして、3分露光できちんと揺れずに撮影できるかを見ます。

さらに月夜なのでカメラをASI294MM ProにしてAOOのナローバンド撮影としました。


EAF

あとピント合わせの不定性をできるだけ無くしたいので、今回新たにZWOのEAF(Electronic Auto Focuser、電動フォーカサー)を導入しもう少し定量的にピント合わせができないか試しました。

IMG_4289


EAFは現行バージョンではなく、2020年の福島のスターライトフェスティバルで特価で購入した旧バージョンで12V電源が別途に必要なものです。長い間塩漬けになっていました。

とりあえずはオートフォーカスとかではなく、単なるマニュアルでいいところを探します。でもオフセットをきちんと入れておかないと、バックラッシュが大きいのであまり精度よく合わせられないことに気づきました。とりあえず今回ドライバーレベルで100程度の値のオフセットを入れておきましたが、あまり真面目に合わせていないので、もっと大きい値になるかもしれません。精度的には50ステップくらいの差でピントが変わるのがわかります。そこそこは合っているはずなので、これで星像が出なければ赤道儀の揺れか、シンチレーションが原因ということになりそうです。

このEAF、ピントの精度が出るのはもちろんいいことなのですが、それよりもリモートでピントが合わせられるという事が私にははるかに大きなメリットでした。一旦取り付けると手でピント合わせをするのができなくなってしまうので、撮影専用鏡筒とするまでは取り付けるのを躊躇していたのですが、いもねじを緩めればマニュアルフォーカスも可能なので、現行機種にして数を増やしてもいい気がしています。

EAFを導入することで、撮影前の準備は極軸調整、初期アラインメント、カメラ視野回転を終えてしまえば寒いのでとっとと家の中に入ってしまうことができます。ピントは結構な頻度でチェックするので毎回外に出るのが辛かったのですが、今回はそれがなくなるだけで相当楽になりました。


撮影

実際に撮影した画像を、撮影途中で見てみると、何枚かが右斜め方向にずれていることがわかりました。風があるとやはり一方向にずれが出るようです。それでも点像になっているものもあるので、3分露光がなんとか実用といったレベルでしょうか。SCA260自身の軽量化が効いてきたようです。

一方向のずれとは別に、四隅のうち右上のみ放射方向に流れてしまっています。鏡筒の接岸部に(星を始めた頃に買った御三家クラスの格安の)オフアキとフィルターホイールが入っています。さらにねじ込みでオフアキ、ホイール、カメラの回転角を合わせるために、クリアファイルをサークルカッターでカットしたリングと厚さ微調整のためのセロテープなどを使ってあるので、もしかしたらカメラのスケアリングがずれている可能性もあります。

OIIIを10枚、Hαを10枚撮ったところで、少しSCA260の主鏡の向きを調整しました。これで右隅の流れはかなりマシになったのですが、光軸がすでにずれている可能性があるので一度見直す必要がありそうです。

オフアキは買い替えたいです。一応星は確認できるのですが、AS120MM miniの感度では星の数がかなり少なく、PHD2のマルチスターガイドではせいぜい2-3個しか認識してくれません。もう少しプリズムが大きい(幅広い)ものがよくて、ZWOのか、Askarからも新製品出るらしいので、それを見て良さそうな方を買ってみようと思います。

撮影中は月齢19日の月が出ていたので影響も気になりますが、冬の北陸で贅沢なことは言ってられません。晴れた日というだけで貴重で、月のことまで気にしていると本当に撮影日が冬の間中0になってしまいます。以前ノーフィルターで月夜でM78を写しましたが、今回はナローなのでまだマシでしょう。

結局2時間強の撮影時間でした。OIIIとHαを30分ごとに交互に撮影したので、枚数のバランスはそこまで悪くはありません。ここからどれだけ救い上げることができるかです。


画像処理

フラットとフラットダークはいつもの様に別の日に明るい壁を写しました。フラットフレームを見るとすごい数のホコリが存在することがわかりました。

masterFlat_BIN_2_FILTER_HA_Mono_integration_ABE

4次のABEをかけて強いオートストレッチで強調しているとはいえ、ひどいです。HαフィルターでもOIIIフィルターでも同じような位置に見えているのと、リングの大きさが同じなので、おそらくカメラの保護ガラス面かと思います。でもこのモノクロカメラまだそんなに使っていないのでここまで汚れているのが信じられないです。SCA260はF値が5程度なのであまり目立たないはずなのですが、もしかしたら別の理由で目立つような光学系なのかもしれません。これだけ目立つのに、撮影時のライトフレームのオートストレッチでは全く気づかなかったのでそれほど深刻ではないかと思います。さらに、フラット補正をしたスタックしたライト画像でも、たとえ強度に炙り出してもこれらのリングは一つも確認することができなかったので、とりあえずは大丈夫だとは思うのですが、一度チェックして必要なら清掃する必要がありそうです。

ダークは今回初めての3分露光なので、改めて撮影します。カメラのゲインは120が感度的にもダイナミックレンジ的にも有利なので、基本120を使うことにしています。露光時間は今後3分を最長とするとして、淡い天体の場合は今後ゲイン200(ゲイン0の10倍)とか、220(ゲイン120の3倍)とか、300(ゲイン0の30倍)とかキリいい値にする可能性がありますが、その際はそれぞれまたダークライブラリーを増やすことになります。ゲイン120のダークフレームは今後使うことも考え、少し多めの100枚ほど撮影しました。

結局使ったライトフレームは星像が流れているものなどを除いたHα17枚、OIII19枚の計36枚でした。全撮影枚数がHα23枚、OIII31枚の計54枚なので、採用率は67%となります。最初のころのブレブレのひどい星像から考えると、まあなんとかギリギリ実用範囲になったのかと思います。



画像処理はいつものようにPixInsightのWBPPです。

画像処理の過程で、まだいくつか問題がありました。一つはOIIIとHαを合成する時に、背景があまり合わなくてムラができることです。フラットがうまく撮れていない可能性があります。確かに部屋の中の壁だと窓側から光が一方向で入ってくるので、ライトフレームの背景に比べて1次の傾きのようなものが出ます。でもその傾きをABEで省いても、それより高次のムラが残ってしまいます。結局今回はHα画像とOIII画像がスタックされてすぐにAOO合成をした後、ABEを使わずにDBEで点をたくさん打ちムラを取りました。本当にムラなのか、それとも本当は大きな構造が存在するのか判断ができませんでした。

あと、バーダーのHαとOIIIフィルターは何故か周辺減光が大きいです。同じバーダーでもRGBフィルターはそんなことはないので少し不思議です。この周辺減光はSNのかなりの低下を引き起こし、画像処理で取り切ることができる範囲を超えています。ナロー版とフィルターはフィルターフレームから取り外してホイールに取り付ける方がいいのかもしれません。また、上記のムラのことも考えると、ライトフレームの撮り方を根本的に考えた方がいいかもしれません。


格子模様ノイズ

画像処理をしている途中で、深刻な格子状のノイズが出てくることがわかりました。スッタクした直後は気づかなかったのですが、炙り出しの途中で目立つようになってきました。少し強調して画像を載せておきます。
Image07_DBE_DBE_ABE
わかりにくいかもしれないので、クリックして拡大してみてください。

以前もSCA260での撮影時に同様のノイズが出たことがあって、その際マスターフラットによく似た格子模様があったのでフラット撮影時の壁の模様が怪しいと睨んでいました。今回もフラットに格子状模様は見つかったので、フラットダークを無くした処理を試したり、フラットを撮り直すことを考えたりしましたが、結論としては原因は別にありました。

格子模様を見てみると、完全に水平垂直ではなく、少し斜めになっています。もしかしたら何か回転に関連することかと推測しました。結局原因はPixInsighのDynamicCropだったのです。前々回の記事でカメラの回転角を合わせる方法を書いたのですが、今回はそれをやるのをサボって光条線とSharpCapのクロスラインを合わせてしまい2°位の誤差が出ました。これを補正することと、フィルター径による周辺減光部分をカットしようとしてDynamicCropを初期のリニア処理の段階で使ったのですが、この影響が炙り出しで出てきてしまったようです。この過程を省くことで格子状ノイズを回避することができました。上と同様の処理をした画像を載せておきますが、格子模様は出てません。クロップしてないので、少し大きな範囲になっています。

Image28_DBE_DBE_ABE_norot

ただし、まだDynamicCropの何が悪いのか特定まではしていなくて、おそらくは拡大縮小よりは回転が原因かと推測しています。もう少し言うと、DynamicCropの回転とSCA260でのフラットの格子状ノイズ(こちらはどうやらflatdarkから、もっと言うとbiasフレームからきているように思われます)の複合要因の気がしています。これまでも回転は使ってきたことはあって、そこでは問題になった記憶がないからです。

今回はDynamicCropをストレッチが終わった後に適用することで回避しましたが、それでも強度の炙り出しでは少し出てきてしまいました。この件、もう少しつっこんで解析する必要がありそうです。


仕上げ

その後の画像処理は通常の様にASとHTでストレッチして、その後はPhotoshopに渡し炙り出します。

「NGC2539:トール兜星雲」

Image11_DBE_DBE_AS_HT_HT_crop7

  • 撮影日: 2022年1月22日22時2分-23日2時5分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα:7nm、OIII:7nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: オフアクシスガイダー + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間3分、Hα17枚、OIII19枚の計36枚で総露光時間1時間45分
  • Dark: Gain 120、露光時間3分、107枚
  • Flat, Darkflat: Gain 120、露光時間0.2秒、Hα、OIII各:128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
一応淡い部分もなんとか出ましたが、今回は撮影時間が1時間45分と短く、また月夜だったこともあり、かなりノイジーで、炙り出すのも限界があります。そのこと自身は露光時間を伸ばすことで解決できるのでいいのですが、不満なのが微恒星が全然シャープでないことです。この日はシーイングがかなり悪かったので、シーイングの良い時を狙って撮影し直してみたいです。というよりは、やっとシーイングについて議論できるくらいに揺れが収まったと言っていいのかと思います。

背景のに青カブリの残りも微妙です。撮り増しとフラットの見直しが必要かと思います。


まとめ

揺れに関しては3分露光でなんとかなりそうなので、ある程度解決しつつあると思います。EAFもかなりいいので、買い増しすることになるでしょう。オフアキも買い替えたいし、なかなか予算が追いつきません。細かいものでも数万はすぐにいってしまうので、計画的に進める必要がありそうです。

いずれにせよ、撮り増しして撮影時間を伸ばす必要がありそうですが、冬の登山の天気の悪さは如何ともしがたく、果たしていつになることやらといったところです。あせらず、気長に進めます。

今回は初のナローバンドです。まずは簡単なAOOから、ターゲットはM27: 亜鈴状星雲です。


M27をAOO撮影

M27は、昔コスモス天文台で25cmのMEADEのシュミカセを使って撮影したことがあります。


低F値の明るいシュミカセなのでコマ収差が避けられていないことと、この時は全く気づけなかったのですが、どうやら淡ーい赤や青の領域が周りにあるようなのです。

AOO撮影はナローの中でもシンプルな方で、HαとOIIIの2波長でR、G、BにHα、OIII、OIIIと当てはめると自然な色で(カラーで撮影したような色)出てくるようです。大きさ的にTSA-120の900mmとVISACの1800mmと迷ったのですが、VISACの三角星像が出ると嫌なので、TSA-120にしました。もしかしたらBKP800にコマコレクターでも良かったかもしれません。

カメラはASI294MM Proです。このカメラではM57のRGBフィルターで撮影で10秒露光のラッキーイメージのようなものを試みたのですが、中心星を含めそこそこの解像度になりました。


今回の目的は
  • ナローバンド撮影の感触を掴むこと
  • M27の周りの淡いところを出してみたいこと
です。

フィルターはこれまで星まつりなどでちょくちょく特価品を買い揃えていたもの。大抵は国際光器さんで購入したバーダーの中古やB級品で、サイズは1.25インチです。フォーサーズのASI294MMなので1.25インチで事足りるのですが、これ以上大きなセンサーサイズだとフィルターからまた考えなくてはならなくなります。ここしばらくはフォーサーズとアメリカンサイズフィルターでまずは色々試そうと思っています。また、手持ちの5枚用のZWOのフィルターホイールはRGBで埋まっているので、今回はフィルターを個別にCMOSカメラの先端にとりつけ、1枚ごとに交換します。


撮影

撮影はいつもの通り自宅庭撮り。今の時期、M27は天頂近くの方向にあります。

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撮影はCMOSカメラなのでNINAを使います。撮影中にディザーを使いたいことが理由です。SharpCapも最近はディザーに対応してきてますが、まだこなれきっていない感じです。最近はAPTよりもすっかりNINAという感じです。6Dの場合はBackYardEOSですが、それ以外はNINAといったところでしょうか。

撮影は合計3日に渡りました。いえ、長時間撮影したとかではなく、曇りで撮影時間がほとんど取れなかったというのが実情です。

出にくいと言われている青に目処をつけたかったので、まずは月が出ていないうちに、OIIIの撮影からです。撮影日は9月6日。もう一月近くも前になります。露光時間は5分とし、ゲインは一番得をする120。もしこれで何も出ないようなら、次回はゲインを300にするか、露光時間を10分とかにするかもです。こちらは25枚撮影して18枚使えました。最後は曇って中断です。

対してHαは青より出やすいだろうとタカをくくって、半月期の月がかなり明るい時に撮影しました。というより、最近全然晴れることがなくて、それでもかろじて天気が良かった9月23、24日に渡って撮影しているのですが、両日と月が出ている時です。しかも2日とも曇りに近くて雲越しの像になってしまい、ハロっぽくなったり淡いところが見込みがなさそうでした。結局使えたのは24日の分だけで、枚数で言うと65枚中22枚が使えただけでした。両日もやはり曇って中断です。


各種補正フレームの撮影

上述の通りライトフレームはNINAで撮影しましたが、後日バイアス、ダーク、フラット、フラットダークの各フレームの撮影をSharpCapで撮影して、ビニングの名前の定義の違いで画像処理にトラブったという話を前回の記事で書きました。



でもそれは画像処理になって初めて発覚したことで、撮影自体はなんの問題もなかったです。撮影条件は
  • バイアス: 0.0032ms露光、ゲイン120、500枚
  • ダーク: 300s露光、ゲイン120、31枚
  • フラット: 1s or 16s露光(部屋の明るさに依る)、ゲイン120、50枚
  • フラットダーク: 1s or 16s露光(部屋の明るさに依る)、ゲイン120、50枚
となります。

あえて言うなら、OIIIとHαでフラットフレームを個別に撮っているところくらいでしょうか。もしかしたら一緒にできるかもしれませんが、まだよくわかっていません。フィルターによってムラの出来方が違うと言う話もあるので、念のため各フィルターでフラットフレームを撮っています。そのため、ライトフレームの撮影が数日に渡ってしまったのはラッキーでした。一日での撮影だと、フィルターを交換するたびに途中でフラットを撮らなくてはならなくなります。

これを考えると早めにフィルターホイールに入れてしまった方が良さそうです。今のRGBフィルターを入れ換えるか、8枚入るのを買ってRGBもHα、OIII、SIIも全部入れてしまうか、5枚のをもう一台買ってナローバンドフィルター用に別で作るか、迷ってます。


画像処理

画像処理の最初はいつものようにPixInsightです。ビニングの問題でWeighted Batch PreProcessing (WBPP)ができなかった以外は、極めてストレートフォワードでした。

Hα画像とOIII画像の合成はChannelCombinationを使います。R、G、BにHα、OIII、OIIIをそれぞれ当てはめます。

あとはStarNetで恒星と星雲部のマスクをHα、OIIIと別々に作っておきました。でも結局使ったのはHαのマスクだけでした。最近StarNetのマスク作りはトラブルが少なくなりました。コツはSTFのオートストレッチとHTで恒星がサチり気味なストレッチをかけて、そこにStarNetをかけることです。こうするとかなり綺麗に分離できるようです。

一つトラブルを思い出しました。PCCがどうしても上手くいかないのです。位置特定のPlate solveの方は問題ないのですが、色を決めるところでどうやっても最後エラーで終了してしまいます。かなりパラメータいじったのですが、最後諦めてしまいました。もしかしたらAOOで2色が同じなので、そもそも原理的に出来ないのかもしれません。今後の検証項目です。

ストレッチはArcsinhStretchとMaskedStretchを併用しました。それでもASが強すぎて恒星の色が強く出過ぎたのと、MaskedStretchで恒星がサチらないようにしたので、少し眠い恒星になってしまった気がしています。恒星は多少サチるくらいが鋭く見えて好みかもしれません。

ここまできたら、16bitのTIFFにして、あとはPhotoshopに受け渡します。

炙り出している過程で気づいたのですが、青はまだ出ているものの、赤の出がいまいちはっきりしません。淡いところがどうしてもノイジーになるので、一部DeNoise AIを使いました。


なぜ赤色が弱いのか?

赤が出ない理由ですが、私は単純に月夜の晩に撮影したからかと思っていたのですが、Twitterで先に画像だけ投稿したところ、おののきももやすさんから同じように月夜でもないのに赤が出ないという報告がありました。

さに、gotodebuさんから、そもそも水素のバルマー系列じゃなくて窒素の禁制線が出てるのでHαフィルターだと通りにくいのではと言う指摘もありました。Hαは656.3nm、窒素の禁制線は654.8nm,658.4nmとのことで、ともに2nm程度しか離れていません。今回使ったHαフィルターは7nmです。半値全幅が7nmだとしても、十分中に入っていて7−8割は透過してもおかしくないと思います。gotodebuさんによると、もう少し幅の広いQBPだと赤がはっきり出るとのことなので、一度QBPで撮影してみるのも面白いかもしれません。


結果

さて、画像処理の結果です。M27が見やすいようにトリミングしてあります。

Image09_DBE2_stretched7_cut_crop_b

  • 撮影日: 2021年9月6日21時14分-23時23分(OIII)、9月24日22時13分-9月24日0時12分(Hα)
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: Barder 7nm Hα, 7nm OIII
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、露光時間300秒x18枚 = 1時間30分(OIII)、300秒x22枚 = 1時間50分(Hα)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI
目的の一つだった回りの淡いところはそこそこ出ているようです。ただ、やっぱり赤が出ていない気がします。もう少し出てもいいと思うのですが、やはりリベンジ案件でしょうか。

それでも前回のM27の撮影よりははるかに進化しています。2018年11月なので3年くらい前です。
integration_DBE_DBE_PCC_st4_cut

3年前と今回の違いですが、口径は25cmと12cmで半分以下、焦点距離は1600mmと900mm、カメラはカラー常温とモノクロ低温、フィルターなしとナローバンドフィルターなどがです。画像処理の進歩も大きいです。3年前はそこそこ写ったと思っていましたが、比べてみると違いは明らかで、ずいぶん進化したことがわかります。

あと、トリミング前の画像はこちらになります。どのくらいトリミングしたかがわかるかと思います。

Image09_DBE2_stretched7_cut_b

いつものアノテーションです。
Image09_DBE2_stretched7_cut_b_Annotated


まとめ

初めてのナローで、今回は比較的簡単なAOOに挑戦してみました。自宅でもナローなら淡いところも出ることがわかったのは大きな収穫です。ただし月がある場合とない場合ではまだ写りは変わるのかもしれません。

あとトータルの撮影時間も実は大したことありません。いや、時間はかけたのですが使える枚数が少なかったです。倍くらいの露光時間があればもしかしたら劇的に変わるのかもしれません。

天気のせいで日数はかかってしまいましたが、今まで見えなかったものが見えてくると思うとナローバンド撮影もかなり面白いです。AOOにとどまらず、SAOとかにも挑戦してみたいと思います。

一晩に2回も機材を出し入れすることになるとは。そして同じネタで2回もブログ記事を書くことになるとは。

前の記事で雨が降りそうで撤収したと書きました。21時頃です。21時20分にはブログを書き終えてました。その後、テレビを見ながらソファーでうたた寝。22時30分過ぎ「もう眠いから今日は寝るか」と思いつつふと外に出てみると、まさに月が顔を出しそうなところでした。

IMG_3369

もう全部片付け終わっていて機材を、急遽再セットアップです。面倒なのと、どれだけこの転機が持つか分からないので、極軸も取らずにとりあえず導入。

IMG_3370

とりあえず1ショット、1000フレーム分撮影しました。

一旦落ち着いてカメラの回転角やピントを再度調整し、思ったより揺れているな(もしかしたら温度順応が不十分で筒内気流だったかも)と思いながら、あと500フレーム撮影して、その場で画像処理。先にTwitterにだけ投稿しておきました。

E_0Tb3QVQAERd4_
  • 月齢14.6日
  • 撮影日: 2021年9月21日23時00分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120
  • フィルター: なし 
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro(常温で使用)
  • ガイド: なし
  • 撮影: SharpCap、露光時間2ミリ秒x250/500枚  
  • 画像処理: AutoStakkert!3、Registax6


撮影終了後、改めて周りを見渡してみました。

月は南の高いところに昇り、中秋の名月の名にふさわしく周りを明るく照らしています。
誰もいなくて、虫の鳴き声と涼しい風が秋の気配を漂わせます。
月を独り占めした夜の世界の帝王のような、それでいて誰かが入ってきてすぐに壊れてしまいそうな、そんな緊張感のある世界でした。

こんな雰囲気まで記録できるのはまだ記憶だけなのでしょうか。文章はそれを思い出すきっかけになりますね。いつか写真にそんなことまで写しとれるようになれればと思います。月を撮影していると、いつもこんなことを考えてしまいます。

皆既月食の敗北で打ちのめされ、仕事が忙しいのと、天気がイマイチでしばらく立ち直れなかったのですが、5月29日の土曜日、晴れたので今度山に行くための準備をしました。超コンパクトな電視観望システムの構築です。でもその後も、しばらく乗り気にならず、記事も今になってしまいました。

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皆既月食の日に一瞬だけ見えた月です。その後撤収まで二度と出てきてくれませんでした。夕方青空が見えてきたのでTSA-120とFS-60CBと50mm+6Dで広角とフル体制だったのに...。

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歩きでも持っていける電視観望システム

来週6月12日、久しぶりに立山に行きます。スターウォッチングの講師です。車は駅に止めてそこからケーブルカーとバスなので、持っていける荷物の量が限られます。立山のスターウォッチングも最初の頃は張り切ってAdvanced VXを丸々海外旅行用の大きなトランクに入れて持っていってたりしたのですが、そのうち機材の軽量化とともにNexstar、AZ-GTiと楽になっていきました。それでも鏡筒はずっとFS-60CBでした。前回FMA135で電視観望を試したのですが、口径3cmにもかかわらず、その性能の良さとコンパクトさもあり、すこぶる快適でした。



でも欲望にはキリがなく、これだけコンパクトになってくるとAZ-GTiでさえ大きいと思ってしまうのです。立山は歩きもありますし、荷物は軽ければ軽いほどいいです。もう少しコンパクトにならないか試してみました。ポイントは3つです。
  1. AZ-GTiを無くしてただの自由雲台に
  2. ついでに三脚も超コンパクトなものに
  3. ASI294MC Proの広いセンサー面積を利用
組み上げた様子はこんな感じです。

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重さは三脚まで合わせても1550g。これなら歩きでもほとんど苦にならないでしょう。でもコンパクトにしても使いにくかったらしょうがありません。そのため検証したいことが3つあります。
  1. 手動できちんと導入できるか?
  2. 星雲はリアルタイムで見えてすぐに見つかるか?
  3. M57などの小さな星雲を解像できるか?
ここら辺を順次確認してしていきたいと思います。


まずはいつものM57

立山でのスターウォッチングが20時くらいからだと思います。6月なので、その時間M57は確実に昇ってきています。M57を見るべく、まずはベガを目印として導入します。導入といっても自由雲台のネジを緩めて、ベガの方向に向けるだけです。ちょっと狙いをつけるのに手間取りますが、さすがに明るいのでPCの画面で見てもすぐに分かります。ただ視野角から言っても、こと座全体が入るか入らないかくらいなので、注意深くM57に向かいます。

問題はこの視野角で見るとM57は相当小さくて、恒星と区別がつきません。

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どこにあるかわかりますか?場所としては真ん中少し下の明るい2つの星の間です。拡大していくと見えてきます。

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明るい星2つを拡大します。明るい星が上下にあって、その真ん中らへんです。これでもまだ厳しいくらいですかね。

すごいのは、FMA135はかなりの解像度なので星が肥大することがほとんどありません。マイクロフォーサーズサイズのASI294MCなら四隅までほぼ完璧です。もっと拡大するとM57がちゃんと見えてきます。SharpCap上で600%まで拡大したものをiPnoneで撮影したものが下になります。これだけ拡大しても恒星とはっきりと区別できるのはさすがの性能です。

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それでもこれだけ拡大しているので、解像度はギリギリと言ったところでしょうか。中心星は残念ながら見えませんが、M57とはっきりと認識できます。


早速トラブル

でもいきなり問題点が露呈しました。気軽に机の上に置いて見ていたのですが、PCの操作をするたびに机ごと揺れるのです。

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そのため、まずM57の導入を済まし、Livestackを立ち上げたところでPCを膝の上に置いて、Livestackをリセットして画像をスタックします。そうしないとブレブレになってしまうのです。地面に置くか、別の独立した机に置いた方がいいかもしれません。

M57の結果:
  1. は一応手動で導入できたので合格。
  2. はリアルタイムで見るには小さすぎ。
  3. はギリギリ合格。
としました。


かわいいM27

次に昇りはじめのM27亜鈴状星雲です。

これはとにかく難しかったです。M57から下に下がっていけばいいのですが、目印がないと星図などと比べながらかなり注意深く移動していく必要がああります。ゆっくりやればいいのですが、お客さんがいて早く見せなくてはと焦ると多分導入できないと思います。M27はM57と比べると大きいですが、それでもかなり広角でとても小さいので、よほど注意深く画面を見ていないと見逃してしまいます。

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解りますでしょうか?下の木の左上、ぼやけた電線の少し上です。かわいいM27が見えています。時間的にも昇りはじめの頃です。

見つかった後は拡大すれば十分きれいに見ることができます。
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M57よりはだいぶん大きいので、M27ならもう十分な解像度かと思います。

M27の結果:
  1. の導入は難しい。
  2. はかろうじて星雲と認識できる。
  3. は十分解像する。
となりました。


屋根から昇る北アメリカ星雲

北に向かって白鳥座を見ます。ある程度時間が経ってくると白鳥座も昇ってくるので、観望会途中から見えてくると思います。北アメリカ星雲は相当大きいので、導入は簡単です。デネブを見つけたらその少し下にあります。ただし、やはりFMA135のF値では暗いのか、リアルタイムで見るには少し淡いです。でも場所は大体わかるので、露光時間を伸ばすかLivestackするかですぐに出てきます。

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屋根から昇る星雲シリーズですが、このネタ以前もやったことがあり、 私のお気に入りです。面白いのは、屋根と星雲の位置を調整するのに気軽に机を持ち上げて、ちょうど両方が視野に入るようにできることです。初期アラインメントとかが存在しないので、途中でも机ごとだろうがなんだろうが移動できます。

北アメリカ星雲の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. はもちろん余裕。
大きな星雲は楽です。


M8干潟星雲とM20三列星雲ここに文章を入力

一度南のほうに行きます。白鳥座が見えている頃には天の川中心も見えるようになっているでしょう。まずは大物のM8干潟星雲とM20三裂星雲です。

これは一発で導入できました。ここら辺まで明るい星雲だとFMA135でも探しながらリアルタイムで見ることができます。

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今回は自宅でのテストで、月がでいないと言っても光害もあるのでQBPをFMA135の先端に取り付けているので、三裂星雲の青はほとんど出ていませんが、立山でフィルターなしで試してみたら周りの青色も見えてくるかもしれません。本番が楽しみなところです。

M8とM20の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は探しながらリアルタイムで見える。
  3. 3はもちろん余裕。
明るくて大きな星雲は超快適です。


M16とM17

すぐ上のM16わし星雲、M17オメガ星雲も見つけるのは簡単です。

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評価はM8とM20と同じです。


最後は網状星雲

最後は白鳥座に戻って網状星雲。こちらは目印のデネブとサドルから少し離れているのと、やはり淡いのでリアルタイムでは見えず、導入に少し時間がかかりました。

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網状星雲結果:
  1. の導入は少し時間がかかる。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. は視野角的にもいい感じ。
この頃には月も雲も出てきて明るくなってきたので、ここで撤収としました。

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ちなみに月も拡大するとこれくらいの解像度で見えます。

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月としては少し解像度不足の感もありますが、機材を変更しなくても見えるので、観望会ではこれくらいでも重宝するのではないでしょうか?


まとめ

FMA135とASI294MCProと自由雲台を使った超コンパクト電視観望システムですが、大きな星雲はマニュアル導入で問題ないでしょう。立山はかなり暗くて環境の良い空なので、淡くてもさらに見やすくなると思います。ただし、M57とかM27とかの小さな星雲はお客さんがいる場合はAZ-GTiがあった方が安全な気がしました。でもお客さんと一緒に導入の苦労まで楽しむとしたら、マニュアル導入でも良いかと思います。

FMA135の性能は特筆すべきだと思います。これだけ短焦点で、これだけの分解能で、この値段。相当小さいM57から大きな網状星雲の全景まで、かなりの範囲で見ることができます。鏡筒の性能が遺憾なく発揮され、これまでとは一線を画した電視観望システムです。

今回、相当コンパクトなシステムとなりましたが、ASI294MCがProでないノーマルモデルならさらにコンパクトになって、超々コンパクトシステムとか言えたかもしれません(笑)。

でももうこれだけコンパクトならカバンに常時入れておいてもいいくらいです。夜になったら突然サッと取り出して電視観望!なんかかっこよくないですか?

いや、普通の人から見たらかなり変な人ですね...。


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