ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ASI290MM

前回記事の「エタロン良像範囲改善 (その1)」の続きになります。今回は主に新カメラG3M678Mを使ってエタロンの良蔵範囲を調査してみました。




ニュートンリング

7. ニュートンリングをあらわに見てみる

前回の記事は5月4日までにやったことですが、その次の5月5日に、やり残してあったニュートンリングのテストをしました。新カメラG3M678Mが到着したのがちょうどこの日なのですが、このテストはまだASI290MMを使っています。

元々、チルトアダプターの角度をほぼ最大限まで傾けて使っていました。ニュートンリングを完全に消すためにはほぼ最大角度まで傾ける必要があったからです。下の写真を見てもらえばわかりますが、USBケーブルが見えている方向の裏側から出てることからわかるように、センサーの長手方向が傾くようにチルトアダプターに角度をつけています。

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太陽を実際に撮影した画像だと模様がグシャグシャしていてわかりにくいのですが、ピントをずらしてフラットフレームを撮影するとニュートンリングがどれくらい出ているかよくわかります。その状態で比較してみます。まずは傾ける角度を0度にしてニュートンリングが最も出る場合です。かなり目立ちます。
スクリーンショット 2025-05-05 132111

いくつか角度を変えて試したら、センサーの上側方向に角度をつけるとニュートンリングが小さくなりました。上側を傾けて、その角度は最大の半分くらいにした場合です。干渉縞の幅が大きくなって多少ましになっているのがわかります。角度0度だと目立ちすぎるのと、かといって最大角度ではピントずれの場所が出てしまいます。ピントずれが出るか出ないかくらいの、とりあえずこれくらいを基準とします。
スクリーンショット 2025-05-05 133748_tilt_upper_half

多少ましとはいってもこんなに目立つニュートンリングですが、実際の撮影時にはフラット化するとほぼ目立たなくなります。

まず、フラット化をしない画像ですが、撮影中でもすぐにわかるくらいです。特に黒点下など、横に走る縞が多数見えているのがわかります。
スクリーンショット 2025-05-05 133932_tilt_upper_half

次にフラット化した画像です。前回の記事で示したものとほぼ同じですが、ニュートンリングは全く見えないと言っていいでしょう。
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ところが、このまま撮影を長時間続けていくと、フラット補正ががずれてくるのかと思いますが、ニュートンリングが見えてきてしまいます。真ん中上部に明らかに縞模様が見えるのがわかるかと思います。
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フラット補正直後の撮影始めは大丈夫かもしれませんが、これだと長時間撮影するタイムラプス映像は厳しいかと思います。

ちょっと結論が出ないので、とりあえずこの問題はこのままにして、次は新カメラのテストに移りました。


カメラ位置のテスト

8. より広角なG3M678Mでカメラ位置を変えて良像範囲を探る

その後は天気が悪くてじっくりとした時間が取れなかったので、せいぜい8cmの全景のテストだけが進み、再びC8でテストができたのは5月18日になります。ここからは新カメラG3M678Mでのテストになります。
  • 大きな違いは、長辺、短辺ともにセンサーの大きさが1.5倍程度になるので、面積だと2倍くらいになり、より広い範囲を見ながら判断できます。
  • もう一つの重要な違いが、アイピース型なので、センサー面よりPSTの奥まで押し込むことができることと、さらにBFとの距離を縮めることができることです。これは光束の径が最も小さくなるところを、一番径の制限されるBFのより近くに持ってくることができる可能性高くなります。

カメラの差し込み位置を変えるということは、結局のところエタロンとセンサー面の間の距離を変えるということになります。その距離に合わせたピント位置を、C8の主鏡の位置で合わせるということなので、相対的には実質C8とエタロン間の距離を変えていることに他なりません。エタロンカメラ間の距離を保ったまま、C8エタロン間の距離を変えても結局C8主鏡でのピント合わせで補正してしまうので、実質ほとんど状況は変わらないということは、前回記事の「3. C8に対して、どれだけPST本体を押し込むか」で示しました。

ここからカメラ位置を変えた結果を、違いがわかる代表的なところをA-Eまでの5ヶ所で示していきます。

A. まずは、カメラを最も中に入れた位置です。ここを0mmとします。
スクリーンショット 2025-05-18 063445_01_0mm_min

B. カメラをPSTから約15mm引き抜いてねじで固定た場合です。周辺の黒いケラレが減っているのがわかります。
スクリーンショット 2025-05-18 063837_02_15mm_blueallout_noblackpart

C. カメラにフィルターを付けるための延長ノーズアダプターをカメラ側に取り付けて長くし、その分最初の位置から35mm引き出した状態です。明らかに良蔵範囲が広がっています。黒点と白いプラージュ間の距離を比べても、拡大しているだけではなくて、見える範囲が広がっていることがわかります。
スクリーンショット 2025-05-18 064615_04_35mm_oneringoutest

D. 別途手持ちのアイピース口の延長等をつけて、カメラを最初の位置から55mm引き出した場合です。良蔵範囲がほぼ全面に広がっています。また、ヒストグラムを見るとわかりますが、明らかに山の位置が左に行っていて、全体に暗くなっているのがわかります。
スクリーンショット 2025-05-18 065033_06_55mm_onering_extender_longest

E. カメラを最大引き出した70mmの状態です。ねじでカメラの伸ばしたアダプターの一部を固定しているだけなので、撮影をするには不安定ですが、テストのために確認してみました。55㎜よりも明らかに左右が改善されているのがわかります。ヒストグラムが示すように、さらに暗くなっています。
スクリーンショット 2025-05-18 065334_07_70mm_onering_exteder_longets

ここまでの結果でいくつかのことが判明しました。
  • カメラを引き出せば引き出すほど、良蔵範囲が広がり、全体が暗くなることがわかりました。
  • それにしても、これだけの違いで良蔵面積が2倍以上になっているのは驚きでした。
  • ただ、暗くなっている理由がまだわかっていません。制限がBFの径からきているのなら暗くなるのはわかりますが、その場合良蔵面積は小さくなるセンスだと思います。
  • 時間経過もあり、ピントがきちんとあっている保証がないので、どこまではっきり言えるかはわからないのですが、カメラを引き出せば引き出すほど分解能も増しているようにも見えます。これはエタロンにより平行光に近い光が入ったということなのでしょうか?
かなり大きな進展です。まだいくつかミステリーはありますが、とにかく引き出した方が面積、分解能がよくなる傾向で、暗くなることだけが不利なので、これはもう引き出す方向のほうがメリットが大きいと言っていいでしょう。


新カメラでのニュートンリング

新カメラG3M678Mに変えて一つ気づいたことがあります。それはニュートンリングが全く目立たなくなったことです。

これまでのASI290MMとの大きな違いは、センサーの前に保護ガラスが無くなったことでしょうか。もしそうだとすると、ZWOカメラでニュートンリングが出てくるのは、保護ガラス単体か、保護ガラスとセンサー面でニュートンリングが出ていた可能性が高いです。いずれにせよ、チルトアダプターをつける必要がなくなって、さらにアイピース口に差し込むタイプのカメラなので、これまでより対物側にかなり押し込めるようになりました。今回のC8での結果では、センサー面をより遠くにする方がいい結果が得られているので、逆センスなのが残念ですが、全景を8cm鏡筒で撮る場合は有利な方向に働きます。


PSTの光軸調整

9. PSTのC8に対するセンタリング(光軸調整)

5月18日にやった最後の検証です。実はここからC8に対してPSTを回転させて、良蔵範囲が変わるかテストしようとしてました。回転する前にPST固定のねじを緩めて、何の気なしにPSTを横に動かしてみると、画面の右手方向にさらに良蔵範囲が広がっていることに気づきました。最良のところは、これまで見ていた位置から画面の横手方向の半分くらいの長さ行ったところにあるようです。

これまでの固定位置です。いいところと悪いところがわかるように、フラット化を外して輝度差をあえて目立つようにしています。フラット化していないと、実質分解能が落ちたようにも見えるため、左側が暗く、ボケたように映ります。
スクリーンショット 2025-05-18 071127_11_70mm_longest_noflat_0deg

次に、最良方向に向けて黒点を画面中心あたりに持って来ました。これもフラット化はなしですが、明るさは均一に近くなっています。左端の分解能は上がっています。その一方、黒点右側の分解能が悪くなっているように見えます。さらにその右側は再びよくなっているようにも見えます。
スクリーンショット 2025-05-18 071557_12_70mm_longest_noflat_0deg_center

なぜこんな風に画面内途中で複雑に良蔵範囲が変化して見えるのかはまだ謎です。

その後、PSTのねじを固定すると「安定に」毎回最良位置から左側の所に固定されることがわかってしまいました。これまでずっと悪い位置で見ていたということです。また、前回の検証でASI290MMでPSTを回転させて良蔵範囲が改善していたのは、最良方向へ位置が少し移動しただけということもわかりました。

さて、どうやったらいい位置で固定できるかですが、とりあえず今回は対処療法で、PSTの差し込み部に1枚テープを張り、ねじを締めたときに良蔵方向へ傾いて固定されるようにしてみました。また、C8とPSTの固定部分がおそらくネックになっていて最も弱く、今のセッティングではここが一番揺れる可能性が高いこともわかってきました。固定方法はいずれ、強固にする方向で解決する必要がありそうです。


その後の撮影

ここで長時間撮影に移りました。その結果が、前々回の記事で示したものになります。



まとめ

5月後半はなかなか晴れなくて、太陽関連のやりたいことが溜まってしまっています。しかも最近は休日も忙しかったりするので、さらにチャンスが少なくなっています。今週末の福島も残念ながら参加できません。

ゆっくりですが、エタロン調整は一応進んではいます。そうは言っても、結局のところエタロン関連でここまでで有効だったことって、
  • 2のカメラのチルトをなくしたこと
  • 4、6、8のカメラ位置を遠くにしたこと
  • 9のC8に対するPSTの光軸調整
くらいです。どれもたいして難しいことはしていなくて、ある意味単純なことしかしていないんですよね。その一方、これだけ単純なことでもある程度検証しようとすると、手順は丁寧に、問題を切り分けて、一つ一つ確認していく必要があります。ここまででもいろんな不具合がわかり、ある程度改善もできてきましたが、今後必要ならもっと大変になってくるエタロンそのものにメスを入れることもあるかと思います。

そもそもPSTエタロンで自分が望むものが得られるいのか、もしくはより高性能なエタロンを手に入れる必要があるのか、はたまた自分が望んでいるものとはいったいなんなのか?

まだまだ道は長そうです。







今回は、4月から撮影の合間にずっと続けているエタロンの調整についてです。現段階でまだ結論は出てませんが、かなり溜まってきたので、途中経過を一旦記事にまとめておきます。


はじめに

4月30日に書いた記事の中で書いた目標の最後の9番、C8+PSTでの良像範囲の改善です。今回の記事の範囲ではカメラはASI290MMを使っています。次回以降の記事では新カメラも使っていきます。

エタロンの調整はなかなか難しいので、簡単でわかりやすいところから順番に丁寧にやっていきます。この記事の後に試したことで、答えがわかっていてすでに意味がないこともありますが、それを飛ばして書くと意味がつながらなくなることもあるので、基本はやったことを順に書いておくことにします。

作業に入る前に、前提条件を書いておきます。
  • エタロンの回転角の自由度による不定性をどうするか? -> 画面中央が暗くなる位置で、ほぼ一意に決まると考える。
PSTのエタロンは、調整リングを回転させ、エタロンに圧力を加えることで鏡間の距離を変化させ、透過波長を調整します。現在の手持ちのエタロンは良像範囲は狭いのですが、暗い部分が画面中心にくることで中心波長を判断していて、その位置さえ再現すれば回転角はほぼ一意に決まるので、毎回その角度に持ってくるようにして一連の作業を進めています。もちろんん多少の誤差はありますが、今回の調整範囲程度では十分再現性もあると考えています。

(補足) 以前は入射光に対するエタロンの角度を変えて中心波長を調整すると思っていましたが、それだと計算上十分な角度変化が取れなさそう (今考えるとFSRの10%くらいは変わっていいはずで、当時の計算は2%) なので、ずっと疑問に思っていました。PSTを作ったCoronado社が持っている特許と、実際に実装されている方式を見る限り、圧力式と思って間違いないと思われます。2024年春までに一連の特許が切れたために最近のエタロンに採用されたようです。Phoenixのエタロンも、後部のスポンジの存在など、見ている限りPSTのものに酷似しています。

もう一つ、今回の一連の作業で困難と思われることを書いておきます。
  1. エタロンへの入射光の平行光度と、エタロンがきちんと働いているかの関係がまだよくわかっていない。
  2. 良像かどうか、スタックして細部出しをしないとわからないことがある。
  3. ニュートンリングが撮影時に確認できない。
などです。

1については、前回前々回の記事で、8cmでエタロン位置を0-5cm程度動かして、エタロン内に入射する光を平行光からずれた状態を作ったはずなのですが、結局エタロンの働きに差を見出すことはできませんでした。鏡間距離が短いことと、フィネスが低い( = 光の折り返し回数が少ない)ことが要因だと推測していますが、もっと動かしたら違いがわかるのか、実はすでに影響が出ていて気づいていないだけなのか、もう少し検証が必要です。

2は結構厄介です。はっきりとした悪い像はリアルタイム見てもわかるのですが、中にはリアルタイムで(まだボケた状態で)見て問題無いと思っていても、スタックした後で(これもまだボケた状態で)見て問題無いと思っていても、ImPPGで細部を出すと、なんかボケ気味だという場所が画面の中の部分的に存在することがあります。撮影時に確かめられるといいのですが、かなり最後の方まで画像処理して出てくるので、すぐに判断ができなくて調査が進みません。この一部がボケる原因そのものも、まだよくわかっていません。

3は、今回以降の一連の検証作業の途中で、カメラの角度が問題だということがわかってくるのですが、カメラの角度を変えるとニュートンリングが出てくることがあります。ニュートンリングを避けたいのですが、軽いものだと太陽表面の模様などに隠れて、撮影中はよくわからないのです。これも画像処理を進めていく過程、特にタイムラプス映像まで作ると、リング上の模様が動いているのがわかることがあります。撮影時に判断ができないので、困りものです。


PSTを回転

最初にやったのはかなり簡単なことです。

1. PSTとC8の取り付け相対角度を変える

まずいつもの通りC8+PST+ASI290MMで太陽表面のHα画像を撮影します。上に書いた通り、エタロンリングの調整は画面中央付近が一番暗くなるところを選ぶので、ほぼ一意に決まります。少しわかりやすいところを選びましたが、いつものように画面右側が明らかに模様が出ていないのがわかります。

スクリーンショット 2025-04-26 141939

次に順次PSTをC8に対して90度づつ回転していきます。その際、同時にCOMSカメラも順次90度回転させていき、視野の角度が回転しないように補正するようにします。PSTを90度や180度回転させただけではそこまで違いがわからなかったのですが、270度回転させた時には明らかに改善が見られました。

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その時の画像です。見ている場所が違うので少し比較しにくいですが、明らかに右側が改善しているのがわかると思います。

スクリーンショット 2025-04-26 141435_270

この状態で、500フレーム撮影し、改善するかどうか比較してみました。
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うーん、右側は思ったより改善してません。この日(4月26日)はここでおしまいとなりました。


もしかしてエタロンのではない?

2. チルト角度調整

4月30日の記事で書いたように、上のテストの次の日 (4月27日) に粒状斑を撮影しています。そこでふと気づいたのですが、ここでも同じように右側がボケボケなんですよね。クロップしていない画像を改めて載せておきます。

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PSTで右側がボケていたのはエタロンの透過中心波長がHαからズレていたと思い込んでいたのですが、粒状斑の撮影では白光なのでエタロンは全然関係ないはずです。ということは、これはC8かカメラから来ているでは?と考えたわけです。

ここで怪しいのは、カメラの手前に入れてあるチルトアダプターです。もともとの目的は、焦点距離が長くなりF値が大きくなると、直線的に入ってくる光が多くなるためにニュートンリングが発生しやすくなるので、それを回避する目的でカメラを傾けて取り付けるために入れています。ただ、その傾き角をかなり大きく取ってしまっているので、もしかしたらそれで焦点が合っていないだけなのではないかと思ったわけです。

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しかも、午前と午後では赤道儀が反転するので、画面で見て上側を北に保つためにCMOSカメラを午前と午後で180度回転するのですが、たまにこの180度回転を忘れてしまう時があって、その忘れた時はボケが右から左に移動してるのを思い出しました。もしこのボケがエタロンからきているなら、ここでボケの左右反転は起きないはずですが、もしこのボケがチルトアダプターからきているとしたら、カメラとチルトアダプターの取り付けはねじ込み式なので相対角度は常に保たれているので、左右反転が起きるはずで、今ある現象を説明することができます。

この推測を確かめるために、ゴールデンウィークの5月4日の午後の曇りの中の晴れ間を利用して、実際にチルトアダプターを変更してみました。

結果は上から順に、チルトアダプターが 1. これまで通りほぼ最大角、2. 半分の角度、3. 傾きなしとなります。
スクリーンショット 2025-05-04 152454_01_original
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下にフラット補正時のヒストグラムが残ってしまっているので少し比較しにくいですが、右側が明らかに改善されていきます。傾きをなくした時にもニュートンリングはパッと見は確認できません。傾きなしが一番いいので、とりあえずこれ以降は傾きなしでさらに調整を進めます。(その後、別の黒点画像を連続撮影し、タイムラプス映像にしたところで、明らかにニュートンリングの存在がわかりました。なので、傾きをなくす場合は、何らかの対策が必要です。)


C8に対するエタロン位置調整

3. C8に対して、どれだけPST本体を押し込むか

次に試したかったことは、鏡筒に対するPST固定位置の変更でした。でもその前に、カメラ位置の自由度を高めるために、ここでいったんチルトアダプターを外してカメラをより押し込む方向に動かしました。その結果を載せます。

スクリーンショット 2025-05-04 154255_04_notilter

右側の見え方が有意に悪くなっていますが、理由はまだよくわからないので、一旦は放っておきます。ここでのテストは上の画像がスタートになります。

鏡筒に対して、レンズ込みのエタロン位置を相対的に変えるために、手持ちの2インチの延長アダプターをC8とPSTの間に挟み込みます。これでエタロン位置も含めてPST全体が3cmほど後ろに下がったことになります。ここから更にPSTの入れ込み度合いを調整することで、もう少し位置を変化させることができ、最大で6cmくらい下げることができます。その際のピントは、C8側で合わせます。C8の主鏡の位置をずらすということですが、この調整範囲がかなり広くて、以降のテストで様々な個所の位置を変えていますが、すべてピントを出すことができます。この調整範囲の広さはC8を選んだ利点の一つです。

結果になります。上から順に 1. 2インチ延長アダプター挿入後で初期位置から3cm下がった状態、2. さらにアダプターに浅くPSTを入れることでさらに3cmほど、合計で6cmほど後ろに下げた後となります。
スクリーンショット 2025-05-04 154649_05_2inch_adapter

スクリーンショット 2025-05-04 155148_07_2inch_adpter_faresr

上3枚を比較してみると、最初の位置からエタロンを変化させても、予想に反して右側の映り具合はほとんど変化しません。これは8cm鏡筒でのコメントの議論がヒントになって謎が解決しました。gariさんが「PSTの黒箱を望遠鏡に挿してピントを合わせられる場合、対物がいずれの場合でも焦点位置からだいたい200mm手前の位置に-200mmのレンズが配置されることになるので、いずれの対物でもほぼ平行光になります」と言っていて、その後、私から「PSTの場合、レンズ位置とカメラの位置が固定だから、ここをいじれない限り大きく状況は変わらないということですね」と返しています。今回はPSTのピント調整を使わずに、この段階ではカメラ位置も調整していなくて、手前のC8のみでピントを合わせていることになります。結局エタロン以降でのセンサー面までの光の状態に(ほぼ)違いはないので、コメントでの議論が実証されたような形になるのかと思い、納得できました。


カメラ位置の調整

面白いのはここからです。

4. カメラの位置を変えて、エタロンとカメラセンサー面の間の距離を変える

上の最後の状態から、カメラをPSTに対して浅く差し込むようにして、エタロンから遠くで固定するようにしてみました。右側に明らかな改善が見られ、細かい模様が出ています。
スクリーンショット 2025-05-04 155839_09_2inch_adapter_faethest_tilter_far

ここに載せている状況以外でもいろいろ試してみましたが、やはりカメラを遠くに付ける方が右側のボケが少なくなるのは確実なようです。なので結局、C8とPSTの間の2インチ延長アダプターは外して、チルトアダプターを再度取り付けました。その時の画像が以下です。

スクリーンショット 2025-05-04 160149_10_no2inchadapter_tilter_camera_far

ただしこれがベストかというと、たぶんまだ結論を出すのは早そうです。まず画面右側はいいのですが、逆に左側の分解能が出ていない気がします。また、画面上にニュートンリングっぽい回転状の模様が出ているようにも見えます。でも見分けはかなり微妙で難しくて、明らかな差が出るような状況にない限りは自信をもってこれがいいというのは難しいです。


再度PSTを回転

5. PSTをC8に対して、再び回転させてみる

上の状態をもう少し改善できないかと思い、ここから、再度前週に試したPSTの取り付け角度を探ることにしました。書き忘れてましたが、この日のテストは再びPSTを0度で取り付けていて、前週の270度ではなくなっています。正直に言うと、単に270度のことを完全に忘れていただけで、何の疑いもなく最初からいつも通りに0度に取り付けてしまっていました。

0度から順に変えていきます。上から0度、90度、180度、270度です。
スクリーンショット 2025-05-04 162401_01_0deg_original_tilter0deg
スクリーンショット 2025-05-04 162931_03_90deg
スクリーンショット 2025-05-04 163133_05_180deg
スクリーンショット 2025-05-04 162709_01_270deg

これら4枚を比べると、特に画面左側が、有意に180度 > 90 or 270度 > 0度となっていると言えそうです。前週の270度がよかったというのは、やはりチルトアダプターでの右側のピンボケの効果が含まれた複合原因だったといってよさそうで、今回の180度の方がより独立した正しい判断だと言うことができそうです。


更にカメラを遠く

6. カメラを最大限遠くに固定

この日の最後に、カメラ位置をもっと遠くにしたらどうかということで、カメラのところに1インチの延長アダプターを挟み込んでみました。下が結果になります。

スクリーンショット 2025-05-04 164049_06_180deg_externder_best_but_darker

大きく変わったことが2つあります。まず、明らかに全体が暗くなりました。画面での見かけ上はストレッチを駆使して同じくらいになるように調整していますが、ヒストグラムの山の位置を比べて見ると明らかに左に移動しているので、実際は暗くなっているのがわかります。この暗くなるのが、BFの径が小さいことによる制限からきているのか、エタロンの働きが変わってよりHαに合ったので暗くなったのか、もしくは全く別の理由なのかは今のところ不明です。ただ、全体的に分解能はよくなったようにも見えますが、これは時間にも依るものなのかもしれないのでまだ結論は出ていません。

まとめ

と、今回の記事はここまでとしたいと思います。

ここ最近ずっとこのエタロン調整のことを考えています。週末の天気が悪くて、何の検証もできなかったのが不満なのか、昨晩はとうとう夢の中にエタロンが出てきて、全く訳のわからない調整を延々としていました。もうちょっとした末期症状です。

この後、より画角の広いG3M678Mが来て、さらにいろんなことがわかるのですが、これまた長くなるので、次回以降に書くことにします。







4月26日と27日の土日は太陽三昧でした。特に26日は朝から1日中快晴で、多くの撮影と機材のテストができました。26日の撮り逃し分を27日に撮ったのですが、風が強くて結構大変でした。


足回りの強化

待ちに待った週末の休みです。しかも土曜は快晴の予報。実際、金曜夜の23時頃から晴れてきて、朝までSCA260とRedCat51+SWAgTiで撮影してました。SCA260を出したので、赤道儀はCGX-Lと大型のものになります。いつも太陽でC8を載せて使っているCGEM IIよりも一回り大きいので、安定度が増すはずです。太陽撮影時に細かい揺れがちょっと気になっているので、いい機会だと思い、出しっぱなしのCGX-Lを使うことにしました。

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ついでに、今の構造で一番弱そうだと思われるC8下のVixen規格のアリガタを、Losmandy規格の幅広のものに載せ替えました。それでも鏡筒バンドの下部の接続部が一番細くてそこがネックになりそうなので、以前VISACでやったような、真ん中のネジ加えて2本のイモネジを左右に入れて、押しネジ状態にして強度を増しています。

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実際かなり揺れは収まったようで、PHD2のガイドグラフを見てても明らかに静かになりました。ただし、風の状況などにもよるので、もうしばらく様子を見てから結論を出そうと思います。


この週の目標

今週末にやりたいことは
  1. いつもの口径20cmのC8+ASI290MM+PSTでプロミネンスを1時間撮影し、ベストの静止画を作り、あわよくばタイムラプス映像を作る。
  2. 同セットアップで黒点周りを1時間撮影し、ベストの静止画を作り、あわよくばタイムラプス映像を作る。
  3. 太陽減光フィルムをC8先端に取り付け、PST部分を2倍のバローに置き換え、粒状斑の撮影を1時間程度。
  4. 口径8cmの鏡筒+PST+ASI290MMで、太陽の全景を見ながら、手持ちの2つのPSTを比較。
  5. 同セットアップで、太陽の全景を見ながら、エタロンの位置の違いで分解能が変わるかのテスト。
  6. 同セットアップで、ベストの選択肢で太陽の全景を撮影。
  7. 同セットアップで、SharpCapのリアルタイムスタックで撮影したらどうなるかのテスト。
  8. PST付属の4cmと、口径8cmで分解能は得するかの再検証。
  9. C8+ASI290MM+PSTに戻して、エタロン視野拡大の初期テスト。
と、結構な量があります。


1時間の撮影を3本

午前中のシーイングのいい時を逃さないために、まずは撮影で1と2と3です。この日のシーイングは普通か、それより少しいいくらいでしょうか。朝だからといって、必ずしもものすごくいいというわけではなさそうです。

大きなプロミネンスがいくつも出ていますが、いいシーイングを探すために撮影場所を一箇所に絞って長時間撮影したいので、全部のプロミネンスを撮影することは大変です。とりあえず今回は一番見栄えの良い、リング状に広がっている10時半方向のものを選びました。太陽周辺に沿ってかなり広がっているので、カメラの横手に入るように向きを変えて撮影しました。

露光時間は1.25ms、ゲインは100で、1ショットあたり200フレーム撮影しています。1ショット撮影した後に30秒のインターバルが入って、トータル120枚撮影しました。これまで誤解していたのですが、SharpCapで指定できるのはインターバルタイムなので、例えば何かのトラブルでフレームレートが落ちたりするとその分撮影にかかる時間が増え、1枚1枚の間隔もずれてしまいます。1枚目が7時46分22秒、120枚目が8時54分30秒なので、1枚1分計算より8分8秒余分にかかっています。これを120枚で割ると、1枚あたりの平均撮影時間は4.07秒ということになります。タイムラプス映像のためには、フレーム数で指定するより撮影時間で指定する方がいいのかもしれません。できればキリのいい等間隔で、フレーム枚数も揃えたいのですが、可能なのかどうかまだ調べられていません。

撮影を開始て少し落ち着ついたので、1時間後にアラームかけて、ここで自宅に入り朝食をとりながら少しのんびりします。1時間後、アラームが鳴って続いて黒点の撮影です。この時点で午前9時くらいです。条件はプロミネンスの時と同じで、30秒インターバル毎に200フレームでトータル120枚です。

こちらも撮影を開始すると時間ができるので、早速先ほどのプロミネンスの画像処理を並行で進めます。とりえあえず選別のために、全部を上位90%をスタックします。AutoStakkert4!でのスタックは結構時間がかかり、120枚をバッチ処理すると1時間では収まりません。待っているのも時間がもったいないので、処理ができた端からImPPGにかけてチェックしていきます。

見たいのはシーイングの度合いです。やはりそこまでいいわけではありませんでしたが、中には飛び抜けて分解能が出ている画像が何枚が見つかりました。なので、この時点で少なくとも静止画用の画像は確保できたと思って良さそうです。

そうこうしているうちに黒点の撮影時間が終わり、続いて粒状斑の撮影に移ります。減光フィルターを鏡筒先端に取り付け、PSTを外して、2倍のPowerMATEを付けて午前10時20分くらいから撮影開始です。この撮影中も画像処理を続けました。

その後、黒点周りと粒状斑撮影分も画像をチェックしましたが、この日の粒状斑ぶんは画像処理をする価値がないほどのシーイングになってしまっていました。明らかにプロミネンスや黒点を撮影していたときよりは悪化しています。やはり午前の早いうちの方がシーイングがいいことが多いようです。


静止画

この日の粒状斑撮影ぶんは諦めて、プロミネンスと黒点周りのみ画像処理を進めます。この時点で私としては珍しく粒状斑を撮影した動画ファイルはすべて削除しました。流石に使うことはもうないという判断ですが、それでもまだ少し心配なのは性格ですね。

まずはプロミネンス、黒点共にベストのものを選びます。それぞれ120本のserファイルから、上位90%をスタックし、ImPPGで細かいところを出したものを見比べます。

やはりシーイングは4月5日には程遠かったですが、何枚かは突如分解能がいいものがありそうです。分解能がいいのは10分から20分に1回くらい出てきて、そのいい時は2-3枚続くこともあるいった状況でしょうか。一番いいものでも、4月5日の6つのレベルのうち、せいぜい上から2番目の内の悪い方くらいでしょうか。全体的には4月12日よりは幾分いいのかと思います。


プロミネンス:
静止画のために選んだプロミネンス画像は、8時0分9秒と8時1分15秒。一つ飛ばしの比較的近い2つの画像で、その二つの元の動画のserファイルをTIFFに分解し、再びAS4!で上位75%をスタックしたものを使いました。チェックの最中で、プロミネンスの方には途中で大きな吹き上がりがありそうなことがわかり、タイムラプス映像も楽しみになってきました。

プロミネンスの静止画を仕上げたものですが以下になります。シーイングはそこまで良くはなかったですが、そこそこ細部も出ているので、まあ十分な仕上がりかと思います。

TIFF_lapl3_ap2603_IP_ST_color_inv_cut


黒点周り:
一方、黒点周りの画像はあまり時間的な変化が大きくないので、少し飛ばして9時31分41秒と9時36分38秒のserファイルをTIFFに分解し、AS4!で上位75%をスタックしました。

2つのseeファイルを使った理由は、200フレームだとどうしてもノイズが目立つというのが主です。75%を使ったので結局合計300フレームですが、これでもまだ少しノイジーで、画像処理でノイズ軽減ツールが必須です。ノイズレスにするためには少なくとも500フレームは必要そうですが、1ショットにこれだけ撮影するとディスク容量を食いすぎます。実際今回は、1時間の撮影でserファイルだけで100GB近くになります。3種撮影で300GBで画像処理も含めるともっと大きくなります。現在1TBのSSDを使っていますが、でこれが2倍とか3倍になると考えると今のセットアップではもう無理で、さらに外部の速い接続でのディスクなどが必要になってしまいます。それに付随して、電源やケーブル、ファイルの転送速度などまで考えると、どんどん大変になってくるので、今の所はこの複数のファイルを使うという方法になっています。

結果です。通常のカラーと、反転したもの2枚を載せておきます。

TIFF_lapl2_ap3951_IP_ST_color_2_mod

TIFF_lapl2_ap3951_IP_ST_color_inv

こちらも最良のシーイングからは劣りますが、自分的には十分満足な結果です。


タイムラプス映像

プロミネンス:
続いてタイムラプス映像です。今回は4月5日の分に続き2度目ということもあり、処理手法に関しても大分こなれてきました。前回はいろんなテストも兼ねていたので、1週間ほどかかってしまいましたが、今回はプロミネンスの方は2日後の月曜には動画になるまでに完成し、一旦Xに投稿しています。

手法はこなれたので、仕上げのためのなめらか具合とかも出るようになってきましたが、やはり良シーイングには勝てなくて、分解能に関しては前回の方が上かと思います。プロミネンスは途中で大きな速い噴出があったので、結構なインパクトがあります。こんな面白さがあるのは太陽ならではですね。夜の天体でここまで激しいのは余程のイベントとかでない限り、なかなか無いです。


このタイムラプス動画ができたときに、噴出のところを得意げに妻に見せました。

私: 「見て見て! これすごくない?飛び出てるよ!」
妻: 「うーん、要するに炎でしょ? たき火やるとこんなのよく見るよ。」
私: 「え?... 違う... これ...太陽の...」

残念ながらすごさは全く伝わりませんでした。


黒点周り:
プロミネンスが面白かった一方で、黒点周りはほとんど動きがなく、途中まで処理してやる気を無くしました。このままお蔵入りにしようと思っていたのですが、1時間程度ではこれくらいの動きだということで、カラー化も仕上げもしてないですが、参考程度に公開しておきます。左側のダークフィラメント以外、ホントに動かないのでつまらないです。むしろ、動かないこと自体に価値があるのかもしれません。


やはり動画は、動かない黒点周りよりも、動きがダイナミックなプロミネンスの方が面白いです。

今後は1本あたりを撮影時間をトータル30分くらいにして、プロミネンスの本数を増やし、黒点は静止画だけにするのも手かと思います。動きの少ない黒点の動きを見ようとしたら、最低2時間くらいの撮影時間が欲しいです。


粒状班の再現性

ちょっと時間は前後しますが、先に粒状斑のことを書いておきます。4月26日は10時半頃からの撮影でしたが、この時点でシーイングはボロボロで、処理は諦めました。その晩も晴れていたので、夜はSCA260
に載せ替えてM101を撮影。そのまま27日の日曜の朝も晴れだったので、昨晩は午前3時頃に寝たにもかかわらず、午前6時半ころから起きて、気になっていた粒状斑の撮影のみ再開しました。

ただし、風が部屋の中にいてもビュービュー音が聞こえるくらいだったので、細かい分解能が必要な粒状斑の撮影は厳しそうでした。午前は何度かに分けて30分程度の撮影を繰り返しましたが、結局全部使い物にはならず、もう諦めて撮影を開始して放っておいて外にモーニングを食べに行ったりしてました。自宅に帰ってからは少し雲も出始めたので、もう半分以上諦めていたのですが、風も収まってきた午後1時過ぎに雲の合間に撮影したものが意外なほど分解能がよく出ました。なので必ずしも午前だけがシーイングがいいのではなく、午後にもチャンスはあるということがわかりました。

粒状斑はまだタイムラプスにできる見込みは全くないので、途中曇って暗くなっても構わないですし、ダメだと判断した動画ファイルはすぐに捨てることができます。なのでディスク容量が許す限り撮影して、判断した端から捨てていけば、かなりの時間撮影することができそうです。

午後に撮影したものの中から、分解能が良さそうな4本の動画ファイルを選び、今回は一旦全てTIFF画像に分解するのではなく、PIPPでゲインとガンマ補正をした後に、一つのserファイルに結合しました。合計800フレーム分になります。これをAS4!で上位10%、20%、50%、80%とスタックして、細部出しは同じ条件にしたImPPGを使い、それぞれの画像を比較してみました。

上位画像を絞った方が分解能が出ると思ったのですが、見た限り有意な違いは認識できませんでした。それよりも、ノイズが残るかどうかの差の方がはるかに大きく、10%や20%ではImPPGの炙り出しの時点で粒状のノイズが目立ってしまい、ノイズ軽減処理が必須になりそうです。50%や80%ではノイズ感はかなり軽減され、ノイズ軽減処理なしでもなんとかなりそうです。

これに関連して、最近はImPPGの「Lucy-Richardson deconvolution」の「Sigma」の値をいつも最低の0.5にして使っています。これを少しでも上げると、つぶ状のノイズが一気に目立つようになるからです。このことは結構以前から気づいていて、大きな値はシーイングが悪く分解能が出ていない時には有効のですが、最近のようにシーイングいい時を選べるようになると、デフォルトの1.3でも仕上がりの分解能が劣ってしまいます。さらに最近の撮影のようにフレーム数が少ないとつぶ状のノイズがどうしても目立ってしまいます。シーイングを選んで撮影したときは結局0.5一択になってしまい、ImPPGを使う意味が薄れてきてしまいました。

そのため今回はPixInsightのMultiscaleLinearTransformでwavelet変換をしてみました。Registaxでも良かったのですが、もう流石に古すぎるのと、PIのMLTの方がもう少し細かいパラメータ設定ができること、将来的にContainerを使ってバッチ処理もできることなどが理由です。

MLTで画像処理してみると、先週の4月19日に撮影したものよりも少し劣る程度で、一応は粒が見えるくらいの画像が得られました。

13_34_29_pipp_lapl3_ap3858_PI_cut._modjpg

粒状斑については、結局二日かけてもベスト更新はなりませんでしたが、これである程度の再現性もある程度あることがわかったので、次はもう少し条件を変えてみる予定です。


まとめ

今回の記事は目標の1から3までです。残りの4以降もまだまだ盛り沢山なので、一旦区切って今回の記事はここまでにしておきます。

とにかく、プロミネンス画像と黒点画像はコンスタントに撮れるようになってきました。タイムラプス映像も工程がこなれてきたので、処理にかかる時間は大幅に減っています。次の記事の分はすでに大体のテスト結果が出たのですが、その結果を元にまたやりたいことが出てきてしまいました。連休中に進められるといいのですが。





これまで何度となく粒状班の撮影を試みてきましたが、どれも全く満足とはいかずに、撮影手法が正しいのかさえわからないような状態でした。今回、シーイングのいい状態をものにする方法がわかったので、再挑戦してみました。


これまで

これまでのベストは、昨年かなりシーイングがいい日に撮ったもので、それでもこの程度です。
_08_10_59_F0001_1000_lapl3_ap680_IP_0_5_4_5_5_ABE_MLT_cut

かろうじて粒々らしきものが見えていますが、まだ粒状班と言うにはほど遠いです。それでも画像処理も無理しない範囲でこれだけ出たので、やはりシーイングが重要だということは少し理解できていました。でもシーイングをこれ以上劇的によくする方法は、まだ全然見通しが立っていませんでした。

その後も何度が挑戦はしていますが、上の結果をどうしても超えることができずに、もう今の機材や方針では無理なのではないかと、だんだんあきらめるようになってしまっていました。同時に、太陽全体に対するモチベーションが下がる原因にもなってしまっていて、太陽に関してhPhenixを触るまでずっと盛り上がらない日が続いていました。


悪条件なのに

最近の太陽の成果でいいシーイングを確実にものにする方法がやっと確立したことになるので、満を持して長年の課題だった粒状班に再挑戦してみました。

と言ってもこの日は午前がずっと天気が悪く、午後になって少し晴れた程度で、まだまだほんのテストで、そこまで気合入っていません。フィルターもBaaderのOD5の減光フィルムのみで、その他はノーフィルターです。撮影中もずっと薄雲が出ていて、しかも間違えてRAW8で撮影という、普通で考えたらそのまま却下なくらいの状況でした。それでもまあ、休日の晴れ間ということで、セッティング時はしーいんぐもよさそうだったので、撮影を開始してから2時間ほど放っておきました。

30秒間隔で1ショットあたり200フレーム、合計240ショット撮影したのですが、半分くらいの時間は雲で暗くなっていて使い物にならなかったです。残りの半分切るくらいのうち、セッティングして少し経ってくらいの3本だけが分解能よく撮れてました。ベストの1本だけだとノイズがまだ目立ってしまったので、200フレームだと少し足りないのかもしれません。試しに近い時間だった3本を合わせて、600フレームのうちAS4!で上位50%を処理してみると、もう少しマシになりました。その結果です。

all_lapl2_ap3866_IP_cut2

天気や自分の設定ミスなどもありかなりの悪条件だと思うのですが、初めてここまで粒状斑が出て、あっさりベストを更新してしまったと言っていいでしょう。やはりこの、連続して長時間撮影していいシーイング時間を選択するという方法はかなり有効なのかと思います。

今後の課題は、OD5のフィルムだとまだ暗いようなので、同じBaaderのOD3.8フィルムに変えることと、540nm付近のフィルターを入れることでしょうか。


まとめ

粒状斑についても少し見通しがついてきました。とういか、むしろ粒状斑を出したくてシーイングのいい時をみるける方法を探っていたと言ってもいいのかと思います。天気もあまり良くなくて、まだ大した時間は試せていないので、もう少し条件のいい日で試したいと思います。まだまだ改善するはずです。





前回の記事で4月12日にシーイングの持続時間を評価してみましたが、もう一つ試したことが太陽の全景撮影です。


4月5日の挑戦

全景撮影に関しては、前週の4月5日にも口径102mm 焦点距離1000mmの国際光器のMAGELLAN 102で試しています。面積の広いフォーサーズを使い、一応全景を入れて撮影はできました。でもPST的には、BFの5mmという径も、エタロンの良透過波長エリア的にも、プロミネンスがほとんど出ていなかったことからも、限界を超えていると言っていいでしょう。


問題点は焦点距離が長すぎるために、太陽の径が大きくなりすぎてしまい、BFで蹴られることでした。これはBFのマウントの穴径を広げることで、ある程度回避しました。もう一つは、エタロンの良像範囲がリング状に変化していき、Hαに一致する範囲に制限があることです。焦点距離1000mmでの太陽径では、この波長が合う面積内に全体を入れることが難しかったということです。

いずれにせよ、焦点距離が問題なので、鏡筒を変更する必要があります。レデューサーは像が決まった後に入れるものなので、今回は使えないでしょう。


口径8cm、焦点距離400mmで挑戦

とにかく全景に関しては、焦点距離1000mmではこれ以上解がなさそうなので、焦点距離の短い鏡筒を考えます。

また、カメラもフォーサーズのASI294MM Proはそもそも冷却も使う必要がないのでちょっと勿体無いです。しかも、冷却をしないとしても12V電源を別途繋がなければ使えないので、余分なケーブルが必要となり取り回し的にも面倒です。元々は、高分解能目的でbin1のピクセルサイズ2.3μmを狙っていたのですが、bin1だと(いまだに理由はわからないのですが) 4x4のピクセルパターンがどうしても出てしまうので、bin2での撮影にせざるを得ないということがわかりました。このことは、Phoenixで試したときもそうでしたし、4月5日に試したときもそうだったので、今のところ少なくとも太陽にASI294MM Proのbin1を使うことはできないという結論です。DSOにどこまで影響があるのかは、今のところ気付いたことはないのでよくわかっていません。

というわけで、カメラはモノクロでピクセルサイズが小さいものという観点から、とりあえず手持ちのASI290MMで入る範囲ということにしました。センサーサイズは1/3''とかなり小さいので、全景を入れようとしたら、計算上は焦点距離は400mmよりもかなり短くなってしまいます。実際、焦点距離400mmのPhoenixでもASI290MMだと全景は一度に入りませんでした。ただ、400mm以下だと分解能がかなり悪くなってくるので、とりあえず今回は焦点距離400mmにASI290MMで2枚のモザイクというので妥協します。今後センサーサイズの大きいカメラを使うことを検討しているので、そのうち1枚で写せるようになるかと思います。

さて口径です。順当に行くとPSTの鏡筒がちょうど焦点距離400mmなのでそれでもいいのですが、以前手持ちの口径8cmで焦点距離400mmのiOptronの安価な鏡筒を太陽で試して、口径4cmのPSTよりも分解能がよくなったので、今回も同じことをやってみます。


適当にレールを組み合わせ、PSTを無理やりっぽいですが、何とか鏡筒に取り付けます。でも全然ピントが出ません。上の記事を改めて見て写真を確認してみると、PSTをかなり鏡筒内部に入れ込むような状態で取り付けています。同じような距離になるくらいに組み直してみると、やっとピントが出ました。やっぱり記録のための写真は撮っておくものですね。

IMG_1169
今回、PSTをこれくらい鏡筒の中に入れ込みました。


太陽全景画像

その状態でそれぞれ1000フレーム撮って上位75%をスタックしたもの2枚をモザイク合成したものになります。細部出しはImPPG、カラー化にはSolar Toolboxを使いました。カラー化後にモザイク合成を、Photoshopを使って手作業でやりました。
16_22_23_lapl2_ap2102_cut

中心部の分解能と周辺部のHαの出方にまだ違いがあるので少し不満はありますが、口径10cm、焦点距離1000mmのMAZELLANで撮ったものよりも、はるかにHαの模様が出ています。全然出なかったプロミネンスも、少なくとも形が判断できるくらいには十分出ています。分解能も、モザイクで2枚に分けている効果もあり、同じASI290MMで1枚で撮ったものよりも出ています。

まあとりあえず全景撮影用として何とか使えると思うことにしますが、特にHαのコントラストでPhoenixには劣るので、いいエタロンが欲しくなります。

分解能は口径10cmの時よりもよくなっているので、10cmという口径は全景撮影には全然貢献していなくて、ほとんど意味がないことを示しています。カメラの解像度や、Hαの良像範囲のほうが聞いていたと言っていいでしょう。では、今回の口径8cmは分解能に貢献しているのでしょうか?同じ焦点距離で口径4cmと比較してみればわかるはずです。一応以前の結果では意味があったと結論づけているので、もし時間があれば今一度同じことをやってみてもいいかもしれません。


あれ?、F値は?

さて、ここで疑問になってくるのが、そもそも「PSTのエタロンはF10を仮定してあるはずのでは?」ということです。もう少し正確にいうと「エタロンのところで平行光になるようにエタロン手前にレンズ(調べた限り焦点距離200mmの凹レンズらしい)が入っていて、そのレンズがF10の光に対してエタロンに平行光を作り出すはずなのでは?」という意味です。

でも今回使った鏡筒は口径10cmで焦点距離400mmなので、F5です。今のレンズだと平行光にならないはずなのに、なんでこれでうまくエタロンが働くのでしょうか?

いくつかわからないことが出てきました。
  • 平行光を生み出す200mm凹レンズの位置に対する要求はあるのか?焦点より後ろにレンズを置いた場合は、光がさらに広がっていくのダメなことはすぐわかります。じゃあ焦点の前ならば、どこでも平行光になるのか?特に、焦点に近づくと変なことは起こらないのか?
  • エタロンは本当に平行光しか受け付けないのか?鏡の間の距離が短くてフィネスが10程度のオーダーなら平行光にこだわる必要はないのではないか?
  • そもそも、F値ってなんなのでしょう?今の口径8cm、焦点距離400mmの鏡筒の対物側に、直径4cmの穴を中心に空けたキャップをつけたらF10になるのでしょうか?
  • 口径を制限する穴は、カメラレンズで言う「絞り」と同等なんだと思いますが、絞りの位置はどこでもいいのでしょうか?エタロンの後に入れたら無意味なのはわかるのですが、例えばエタロンより前の対物側にだったらどこにつけてもいいのでしょうか?

ここら辺の疑問が、なぜPSTのエタロンは現状リング状に良像範囲が変わっていくのか?という疑問につながります。これまでは単純にモードが合っていなくてLaguerre-Gaussianモードが見えていると思っていたのですが、これだと上の疑問に全く答えられません。


まとめと今後

ちょっとトリッキーですが、何とか太陽全景をそこそこの分解能で写し出すことができました。でも、なんでF5鏡筒でPSTエタロンが問題ないのかがよくわかっていません。とにかく事実としては、特に平行光を注意して作らなくてもエタロンは少なくとも働いているように見えることから、もしかしたら全くの思い違いをしている可能性もあります。ちょっとまだ答えは出ていないので、もう少し考えて、今後色々試していこうと思います。




前回の記事で、4月7日にタイムラプス用に1分おきに撮影した画像を使って、シーイングの時間変化を検証してみました。今回の記事では、翌週の4月12日にもっと短い間隔で撮影し、シーイングの持続時間を検証してみました。


撮影条件

4月5日の撮影では、
  • 1分毎に1.25ms露光で200フレーム、2時間で合計120本
を撮影したもので検証しました。1本あたりのserファイルの容量は800MB越えです。

次の週の4月12日に、どれくらいの時間間隔で撮影すればいいのかと、必要フレーム数のあたりをつけるために
  • 20秒毎に1.25ms露光で200フレーム、30分で合計90本
  • 10秒毎に1.25ms露光で100フレーム、30分で合計180本
で撮影してみました。1本あたりのserファイルの容量はそれぞれ800MB越えと、400MB越えで、トータル量は共にそれぞれ75GB程度になります。


4月12日のシーイングの評価

この日は4月5日と比べると、(昼近くからだったこともあるのか) シーイングは全然良くありませんでした。といっても特別悪い日でもなくて、これまで見てきた経験から言うと、ごく平均的なシーイングなのかと思います。そのため、前回分けた
  1. ベストに近いもの
  2. ベストクラスからは劣るけれども、そこそこいいもの
  3. 特別いいわけではないけれど、普通にいいもの
  4. それより分解能があからさまに劣るもの
  5. 仕上げには絶対使いたくないもの
  6. ワーストクラス
というようなランク分けで言うと、6クラスが半分以上、5クラスが3割程度、4クラスでさえも1割くらい、3クラスが数えたら7枚 / 270枚 ~ 2.5%程度あるだけといったところです。1、2クラスはありませんでした。

2025/4/5 太陽(その1): 望遠鏡2台での撮影」で見せた、4月5日の中で適当な時間に撮ったものが「ランク4の悪い方か、5のいいほうくらい」という評価だったので、シーイングがいい日に適当な時間に撮影するよりも、シーイングが悪い日に最もいいものを選んで採用した方がいい確率が高いということが言えそうです。


シーイング継続時間

一番興味のある、同じようなシーイングがどれくらい続くかということを検証してみます。

前回の4月5日での結論は
  • 1分おきに3−4秒ほど撮影していて、1分毎にシーイングが大きく変わっているのがわかった
  • 撮影中の3−4秒でもシーイングは変化しますが、1分毎の平均的な大きな変化には至らず、いい時はいい中での変化、悪い時いは悪い中での変化
というものになります。

今回の4月12日の画像からわかったことですが、
  • 20秒おきの撮影ではそこまではっきりとした傾向は見られない。
  • その一方、10秒おきの撮影ではある程度はっきりとした傾向が見られた。
  • 悪いシーイングの画像がほとんどで、その分いいシーイングが目立ち、一旦いいシーイングになると、2から4枚とか連続して続く。
  • ただし、その2−4枚の中でも良い悪いは結構変わるが、他の悪い時画像よりは明らかにいい。
  • シーイングがいい時間は、20秒ごとの撮影では30分間で2回、10秒ごとの撮影でも30分で2回だった。

もし今回のことが典型的なケースとすると、
  • ごく一般的な、そこまで良くないシーイングの日でも、1時間も連続で撮影すれば、少なくとも数回はいい時があり、そのいい時間は数十秒程度続く。
  • 1分毎の撮影だといい時を逃す可能性があり、30秒毎の撮影ならとりあえずチャンスを逃すことはない。
  • ただし、いい時の数十秒の中でも良い悪いがあるので、ベストの時を得たいなら更に半分の15秒毎程度の撮影が安全そう。
というようなことが言えそうです。


ワンショットあたりの必要フレーム数

もう一つ、一回あたりのフレーム数についても検討してみましょう。前回の経験から
  • 200枚撮影して、そのうちの上位100枚程度を処理すれば、多少ノイズは目立ちますが、ノイズ処理前提なら十分な枚数
ということがわかりました。

今回10秒毎の撮影を処理してみたところ、
  • 100フレームでの撮影だとちょっと心許なく、ノイズがかなり目立つ。多少きつめのノイズ処理をしても、ノイズを消し切ることができない、もしくは無理して不自然になってしまう
という結論です。

なのでやはり
  • 1回で最低200フレーム撮るか、
  • 1回100フレームで撮影して、いい分解能の何本分かを合わせて使う
とかでしょうか。


現実的な値

こう考えると、静止画を作るのにいいシーイングを探すのには、30秒毎に200フレームくらいをトータル1時間くらいが限界な気がします。これでもファイル総量は100GB程度になります。

タイムラプスの場合は、プロミネンスで30秒毎に200フレームでトータル1時間、太陽表面で1-2分毎に200フレームでトータル2時間とかになるのでしょうか。

もう一つの方法は、ダメだった動画ファイルはすぐ捨てることを前提で、10秒毎に200フレームとかで1時間でしょうか。これだと300GBくらいになるので、トータル1TBの空きスペースがあっても高々最大3セットで、いかにいらないファイルを早く消せるかの判断が重要になってきます。私の場合、性格的に本当に要らないとわかるまではすべてのファイルをとっておくタイプなので、この方法はちょっと厳しいかと思います。


この日のベスト画像

この日の、悪いシーイングながらも、その中でいいシーイングの時を選んで画像処理をしたものを載せておきます。11時22分1秒のもので、200フレームのうちAS!4で上位90%を選んでスタックしています。細部出しはImPPG、コントラストとカラー化はSolar Toolboxで仕上げにPhotoshopです。

11_22_01_lapl2_ap3580_IP._S_noinvtif

以前までの基準から言うと相当いい部類ですが、シーイングがいい時に選びぬいたベストとは流石に比べるまでもなく劣ってしまいます。でもこのレベルの画像が、シーイングが多少悪くてもほぼ確実に撮れるとしたなら、 全然悪くないのかと思います。


シーイングが効く状況

少し補足です。前回記事はシーイングの時間変化の話でした。この記事は結構インパクトがあったらしくて、個別にネットや電話で何人もの方から直接質問がありました。


質問に答える中で一つ気づいたことがあります。それは「シーイングが効くのはある程度の分解能が出てから」ということを伝えるべきだったということです。

例えば口径4cmのPhoenixなどは、実際にはシーイングはほとんど効かないでしょう。実際にはもっと長焦点、大口径になってきて初めてシーイングが効いてきます。

太陽撮影の分解能に関係することとして、より効くものや、簡単に改善できそうなものから順に挙げていくと、
  1. カラーカメラかモノクロカメラか
  2. カメラのピクセルサイズ
  3. 鏡筒の焦点距離
  4. 口径
  5. シーイング
などといった感じでしょうか。もちろん、機材の質、環境、撮影状況などによって順序は多少入れ替わりますし、実際の分解能はこれら全ての項目できまる個々の分解能の2乗和のルートになります。一つでも悪い分解能があるとそれが支配的となり、それを解決しない限り他のものをどう改善しても無駄になります。そのため、分解能を改善しようとするなら、一番効いているところ( 一番悪いところ)を改善するのが鉄則となります。

  1. 例えばカラーカメラかモノクロカメラかは、ピクセルサイズが同じだとしても単純に分解能が倍になるのでかなり大きな効果です。Phoenixのような鏡筒の焦点距離が短い400mm程度の場合でも、カラーかモノクロかの違いは効いてくるでしょう。
  2. 同様に、モノクロにしたとしてもピクセルサイズが小さい方が分解能としては有利になってきます。
  3. 小口径の太陽望遠鏡は焦点距離も短いので、例え4cmクラスの口径でも焦点距離を伸ばすと分解能が増えるケースが多いと思います。焦点距離を伸ばす代わりに、簡単にはバローレンズを入れてもいいでしょう。
  4. カメラのピクセルサイズを小さくしたり、焦点距離を伸ばしていっても、あるところで望遠鏡の口径で分解能の限界がきます。こうなった状態で口径を大きくすると、大きな改善の効果が見えるはずです。逆にいうと、分解能を制限していないところを改善しても改善の効果はほとんど見られません。例えば、焦点距離が短い状態、ピクセルサイズが大きすぎる状態で口径を大きくしても、分解能に関してはほとんど改善が見られないということです。
  5. バローなどで焦点距離を伸ばしても、ピクセルサイズが小さいカメラを選んでも、口径の大きな太陽望遠鏡を手に入れても、いずれ分解能には限界が出てきます。その場合は、やっとシーイングが効いていると思っていいでしょう。特に日によって分解能が変わることが認識出るなら、おそらくシーイングが原因です。この状態なら、前回の記事でやったように、いいシーイングの時間帯を探すということが効果的になるはずです。
エタロンの性能差や精度差による透過波長幅の差はまた少し別の話で、解像度というよりはコントラストに効くといったほうがいいのでしょう。


まとめ

ある程度ですが、いいシーイングの持続時間みたいなものが見えてきました。現実的にはディスク容量からの制限の方がきつそうで、最もいいところを完全に逃さずにというのは難しそうです。でもまあ、1分くらいまでなら多少時間感覚を増やしても、かなりの確率でいい分解能を拾えるでしょうし、たとえベストでなくても適当な時間に撮るよりははるかにいいはずので、今後しばらくは現実的に処理できるくらいの時間とフレーム数で試そうと思います。

加えて、今後検証したいのが、動画ファイルからいいフレームを自動できちんと選べるかです。今はまだAutoStakkertの選択を信頼できないでいるので、自分で手作業でいいものを選んています。これが十分な信頼度で自動でうまく上位フレームを選択できるなら、何本かの動画を合わせて処理するとか、枚数が多くなっても対応できそうです。

太陽関連でまだまだやりたいことがたまっているのですが、未処理の撮影ファイルが残っていて、ブログ記事に書くことも追いつていないです。もっと時間が欲しいです。今後もしばらくは太陽ブームは続きそうです。





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