ゴールデンウィーク中の太陽の目玉は、何と言っても大型黒点でしょう。
5月3日の4連休の初日に実家の名古屋に行った際、名古屋市科学館に行きました。9時10分頃に到着したのですが、運よく10時からの一般向けの回のチケットを、残り10席くらいでとることができました。ゴールデンウィークなので次の11時20分からのファミリー向けの回の方が人気があったようです。
今回のプラネタリウムは土星の輪の消失の解説が面白かったです。名古屋市科学館はいつも生解説なのが魅力です。今回も素晴らしいトークでした。解説によると、3月24日に地球が土星の輪の平面内を通過するので一度輪が見えなくなっていて、次が5月7日なのですが、その時は今度は太陽が土星の輪の平面内を通過するために輪に平行にしか光が当たらなくなり見えなくなるとのことです。このことを、CGで土星の輪に乗っかって地球と太陽を見るという試みをしていました。非常に直感的でわかりやすくてよかったです。
科学館の常設展示の中で今回特に面白かったのは、太陽のリアルタイム映像でした。プラネタリウム中にも解説していたのですが、同じフロアで太陽の白色光を減光して投影していて、この日は話題の大型黒点がよく見えました。
他にも、5階の天文コーナーがいろいろ変わっていました。円形の部屋の壁全面を利用して、一周で宇宙のスケールを距離で表している展示があって、かなりわかりやすい試みだと思います。
この日は特別展で科学館の地下で「鳥」展が開催されていました。かなり人気らしくて、入場のところから並んでいて、中もすごい人でした。いろんな鳥が各「目」に分かれていて、たくさんのはく製が展示されています。「目」での分類は、ある意味鳥の進化の歴史でもあるようで、鳥の進化そのものがわかるという内容で、とても充実していました。
私は鳥にはそこまで興味はないごくごく普通ののですが、非常に興味を引くように展示が工夫されていて、鳥に詳しくないとしてもとても面白いと思います。
その後、大須方面まで歩いて移動し、上前津から地下鉄に乗り、伏見で東山線に乗り換えて八田駅まで行き、天文ショップのスコーピオに顔を出しました。早速店長さんが口径76mmの太陽望遠鏡Heliostarを見せてくれました。
CP+で話したPhoenixも良かったですが、Heliostarは口径が76mmとPhoenixの40mmの倍近くになり、特にアイピースの焦点距離を短くして拡大した時は、見応えも格段に良くなります。今回は標準の20mmアイピースに加えて、10mmと5mmのアイピースで見させてもらいました。5mmは126倍とかなり拡大して見ることになるので、流石に少しは暗くなりますが、それでも元の口径が76mmと大きいので、不満のない十分な明るさで見ることができます。ここまで拡大しても細かいところまでよく見えるのは、やはり76mmの恩恵でしょう。これで拡大して見た大型黒点は、かなり細かい模様も見えて大迫力でした。
この大黒点は肉眼黒点の可能性もあり、スコーピオの店長さんと太陽フィルムで見てみました。肉眼黒点としてはそこまで大きなものではないので、かなり小さかったですが確かに何の拡大もなく見ることができました。
次の日の4日には富山の自宅に帰ってきて、今回の黒点を撮影しようとしました。午前中は曇りで諦め、午後からHαで撮影したのですが、少しの晴れ間を狙っての撮影だったので時間をかけられずに、大した解像度は得られませんでした。むしろこの日はいろんな調整に時間を費やしました。この日のことはまたまとめて記事にします。
天気予報では次の日の5日は朝から快晴のはずです。張り切って朝の5時半には起きたのですが、外はなぜかどん曇りです。その場でSCWを見直してもWindyを見直しても雲はないはずです。もう状況がよくわからないので、ふてくされてガストのモーニングで時間を潰します。10半頃にはかなり晴れてきたので自宅に戻り、11時頃にはほぼ快晴、11時半頃には準備も完了して、前日あまりうまくいかなかった撮影を始めました。機材はいつものC8+PST+ASI290MMです。赤道儀は簡単に出せるCGEM IIです。
30秒インターバルで1ショットあたり200フレームで120ショット余り撮影しましたが、シーイングは普通よりは多少いいくらいだったでしょうか。撮影した中の、連続の2ショットがかなりシーイングが良かったので、2ファイル分の合計400フレームのうちPIPPで上位300フレームを選び、その300フレームをすべてAS4!でスタックしました。その後はImPPGで細部出しですが、最近の精細な画像ではsigmaは0.5一択で、あとは適時調整します。コントラスト出しやカラー化などはPixInsightのSolar Toolboxで、その後仕上げにPhotoshopに回しています。
結果はモノクロ、カラー、カラー反転の3つを示しておきます。
今回のゴールデンウィーク中の目的の一つ、大黒点の撮影がある程度分解能よくできました。このように目立つ黒点が出た時も、確実に分解能よく撮影する手法が確立して、それが実践できるようになってきたのかと思います。また、少なくとも静止画に関しては撮影、選別、画像処理のルーチンはほぼ出来上がったと言っていいので、処理もその日のうちに終わり、今回も当日のうちにXに投稿しています。太陽は時間勝負のところもあるので、ここら辺の早い処理というのも目的の一つでした。
C8での撮影を終えて、全景用に鏡筒を変更しようとして家の中に入っているときに、玄関のチャイムがなりました。最近近くに引っ越してきた、アメリカ在住時代からの古くからの友人が、お嬢さんを連れてやって来ました。何でもお嬢さんの方が、私のXの投稿で朝から太陽をやっているのを見て、興味を持って来たとのことです。実はお嬢さんは赤ちゃんの頃に顔を見ているだけで、聞いたらもう中3とのことで、はじめましてではないのですが、実際にははじめまして状態でした。わざわざ太陽なんかに来てくれるくらいなので、星のことには結構興味があるみたいで、話してみると色々詳しくてちょっとびっくりでした。
まずは、太陽グラスで黒点を見てもらいますが、大黒天と言っても肉眼だとやはり小さくてわからないようです。そこで、星座ビノに太陽グラスをテープで固定して見てもらうことにしました。
これだとさすがに黒点も十分に見えるはずで、二人とも「見えた!」と叫んでました。
太陽と言っても、C8の撮影は撮り続けて待っているだけなのですが、太陽全景ならSharpCapでリアルタイムで色付きで見えるので、多少は楽しいはずです。というわけで、鏡筒交換の準備を続けながら太陽全景を一緒に見てもらうことにしました。
口径8cmの鏡筒も改良が進んでいます。玄関のチャイムが鳴った時は、ちょうど太陽ファインダーを取り付ける準備をしているところでした。C8の場合は鏡筒内からの反射光のスポットが補正版に当たるので、それが中心に来るようにアラインメントを取ればいいので目安があって簡単なのですが、口径8cmの場合はそのような指標がなくて、毎回導入に手こずっていました。10cmに取り付けていた太陽ファインダーがあったのを思い出し、それアルカスイス互換のクイックシューを取り付け、8cm鏡筒の下部に取り付けたアルカスイス互換プレートにそのまま取り付けられるようにしました。
写真のようにアルカスイスプレートの前方にファインダーを取り付けるのですが、導入後は取り外して、撮影時は下に写っているガイド鏡に交換します。今後は、この後に出てくる新カメラで一度に太陽全景が撮れるようになるので、タイムラプスなどの長時間撮影をしたい時にガイド鏡が活躍するはずです。
こんなふうに実物を見せながら、ファインダーの動作原理から、取り付けの際のアルカスイス互換リリースの取り付け、鏡筒に固定してからの導入などもお客さん二人に説明しながら、いよいよ太陽像を見てもらいます。
今回の目玉は新カメラの投入です。ToupTekのG3M678Mという機種です。
IMX678センサーを使っていて、ピクセルサイズが2μmとかなり細かい撮影が可能です。これまでのASI290MMが2.9μmなので、約1.5倍くらい細かくなるわけです。同センサーのカラータイプはZWOからもでていますが、モノクロで天体用はToupTekからだけのようです。 (追記: 2025/5/8) ZWOでも同センサーでASI678MMが出ていますが、いずれも売り切れや取り寄せなど、日本の代理店を通してだと入手が大変そうなのと、値段がかなり上がります。海外では太陽でG3M678Mの実績が多数報告されているので、初期不良や故障の場合は少し面倒かもしれませんが、今回はG3M678Mを選びます。(追記ここまで) 分解能を考える場合は、カラーとモノクロではモノクロの方が単純に2倍細かくなるので、単波長の太陽撮影では同じセンサーならモノクロタイプの方が圧倒的に有利です。センサーサイズは1/1.8''と、これまでのASI290MMの1/3インチよりこちらも1.5倍くらい大きくなるので、今回は大きな面積を取ることができ、かつ細かく撮影できると、いいことずくめです。
その一方で、もちろん犠牲にするものがあって、それはピクセルサイズが小さくなることによる感度の低下と、センサー面積が大きくなることで高価になることでしょうか。でも太陽撮影で十分明るいものを見るので感度はそこまで問題ではないでしょう。またセンサー面積が大きくなったと言っても、たかだか惑星用カメラの面積なので大したことはなく、CMOSカメラとしてはまだ安価な部類でしょう。しかも今回はじめてAliExpressを使って安いところを探して購入してみました。ToupTekの日本語のページもありましたが、ただ単に日本語化しているだけのようで、ドル払いで、しかも割高なので、結局AliExpressにしました。支払いもPayPalでできたので、直接カード番号を入れるとはしなくてよく、多少安心です。発注から到着まで20日ほどかかるとのことでしたが、実際には15日くらいで少し早めに来て、ちょうどこの日C8から8cm鏡筒に交換している最中に到着したので、タイミング的なこともありますが、ゴールデンウイーク中に使うことができて、結構好印象です。
さて、今日の太陽全景です。まずはいつものようにASI290MMで撮影し、特に問題ないことを確認します。その後、今回の新カメラに交換します。このカメラはアイピース径と同じ筒タイプのカメラなので、アイピース口の中に押し込んでセンサー面をより鏡筒側に近くにすることができます。
今回はカメラの差し込み位置などの最適化はまだできていないので、適当な位置に入れてピントが出るかどうか試したくらいです。ドライバーとかはあえて何もインストールしなかったのですが、SharpCapではそのまま認識して、接続までできました。
さて実際にSharpCapで見てみると太陽全景が一度に入っていることがわかります。こんなふうに撮影まで何のトラブルもなくできたので一安心です。
PCでこの画面を見て、高分解、モノクロで、やっと一度に太陽全体が入って、かなり嬉しかったです。このカメラは今後の太陽撮影に色々使えそうで、今回の全景撮影はまだほんの一例に過ぎないです。
この状態で、とりあえずリアルタイムスタックでカラー化とプロミネンス鏡長をしたものを、PNGで画像を保存してみました。SharpCap以外での画像処理はしていません。(ブログにアップロードする関係でサイドの黒いところをクロップして、jpgに変換だけしてあります。)
ここまでがワンステップで出るので、これまでやっていたかなりのことを省くことができて、相当楽になります。今後は、気軽に全景のタイムラプスとかもできそうなので、どんどん試していきたいと思います。
今回はASI290MMで撮影したものもありますが、まだG3M678Mの方の最適化ができていないので、比較は次回以降にします。とりあえずのパッと見では差がほとんどないか、まだASI290MMの方が少しいいみたいです。たとえ口径8cmだとしても、焦点距離が400mmと短いために、ピクセルサイズの小ささが効くような状況ではないからだと推測しています。この件はもう少し詳細に調べます。
今年のゴールデンウィークは太陽三昧でした。大黒天の撮影もうまくいきましたし、新カメラも到着して全景撮影にも進展がありました。もう少し晴れの時間が欲しかったですが、天気が悪い時には画像処理やブログを書いていました。名古屋に行ったり、お客さんが来たりもしたので、かなり充実していて楽しかったです。
ブログに書いたこと以外でも、まだエタロン良像範囲の調整を数週間前からずっと続けています。こちらは今の段階でも進展はありますがまだ途中なので、もう少し結論が出てからまとめるようにします。
名古屋市科学館での太陽
5月3日の4連休の初日に実家の名古屋に行った際、名古屋市科学館に行きました。9時10分頃に到着したのですが、運よく10時からの一般向けの回のチケットを、残り10席くらいでとることができました。ゴールデンウィークなので次の11時20分からのファミリー向けの回の方が人気があったようです。
今回のプラネタリウムは土星の輪の消失の解説が面白かったです。名古屋市科学館はいつも生解説なのが魅力です。今回も素晴らしいトークでした。解説によると、3月24日に地球が土星の輪の平面内を通過するので一度輪が見えなくなっていて、次が5月7日なのですが、その時は今度は太陽が土星の輪の平面内を通過するために輪に平行にしか光が当たらなくなり見えなくなるとのことです。このことを、CGで土星の輪に乗っかって地球と太陽を見るという試みをしていました。非常に直感的でわかりやすくてよかったです。
科学館の常設展示の中で今回特に面白かったのは、太陽のリアルタイム映像でした。プラネタリウム中にも解説していたのですが、同じフロアで太陽の白色光を減光して投影していて、この日は話題の大型黒点がよく見えました。
北が上になるように写しました。おおがた黒点が間も無く正面にくるくらいです。
他にも、5階の天文コーナーがいろいろ変わっていました。円形の部屋の壁全面を利用して、一周で宇宙のスケールを距離で表している展示があって、かなりわかりやすい試みだと思います。
ここがスタート。
壁全面に、宇宙の果てまでの距離に応じた展示があります。
この日は特別展で科学館の地下で「鳥」展が開催されていました。かなり人気らしくて、入場のところから並んでいて、中もすごい人でした。いろんな鳥が各「目」に分かれていて、たくさんのはく製が展示されています。「目」での分類は、ある意味鳥の進化の歴史でもあるようで、鳥の進化そのものがわかるという内容で、とても充実していました。
こんな展示が44目(多分)まで続きます。
私は鳥にはそこまで興味はないごくごく普通ののですが、非常に興味を引くように展示が工夫されていて、鳥に詳しくないとしてもとても面白いと思います。
天文ショップスコーピオでの太陽
その後、大須方面まで歩いて移動し、上前津から地下鉄に乗り、伏見で東山線に乗り換えて八田駅まで行き、天文ショップのスコーピオに顔を出しました。早速店長さんが口径76mmの太陽望遠鏡Heliostarを見せてくれました。
CP+で話したPhoenixも良かったですが、Heliostarは口径が76mmとPhoenixの40mmの倍近くになり、特にアイピースの焦点距離を短くして拡大した時は、見応えも格段に良くなります。今回は標準の20mmアイピースに加えて、10mmと5mmのアイピースで見させてもらいました。5mmは126倍とかなり拡大して見ることになるので、流石に少しは暗くなりますが、それでも元の口径が76mmと大きいので、不満のない十分な明るさで見ることができます。ここまで拡大しても細かいところまでよく見えるのは、やはり76mmの恩恵でしょう。これで拡大して見た大型黒点は、かなり細かい模様も見えて大迫力でした。
スマホで撮影してみましたが難しいです。
目で見た方がはるかに迫力があります。
目で見た方がはるかに迫力があります。
Hαで太陽大黒点を撮影
次の日の4日には富山の自宅に帰ってきて、今回の黒点を撮影しようとしました。午前中は曇りで諦め、午後からHαで撮影したのですが、少しの晴れ間を狙っての撮影だったので時間をかけられずに、大した解像度は得られませんでした。むしろこの日はいろんな調整に時間を費やしました。この日のことはまたまとめて記事にします。
天気予報では次の日の5日は朝から快晴のはずです。張り切って朝の5時半には起きたのですが、外はなぜかどん曇りです。その場でSCWを見直してもWindyを見直しても雲はないはずです。もう状況がよくわからないので、ふてくされてガストのモーニングで時間を潰します。10半頃にはかなり晴れてきたので自宅に戻り、11時頃にはほぼ快晴、11時半頃には準備も完了して、前日あまりうまくいかなかった撮影を始めました。機材はいつものC8+PST+ASI290MMです。赤道儀は簡単に出せるCGEM IIです。
30秒インターバルで1ショットあたり200フレームで120ショット余り撮影しましたが、シーイングは普通よりは多少いいくらいだったでしょうか。撮影した中の、連続の2ショットがかなりシーイングが良かったので、2ファイル分の合計400フレームのうちPIPPで上位300フレームを選び、その300フレームをすべてAS4!でスタックしました。その後はImPPGで細部出しですが、最近の精細な画像ではsigmaは0.5一択で、あとは適時調整します。コントラスト出しやカラー化などはPixInsightのSolar Toolboxで、その後仕上げにPhotoshopに回しています。
結果はモノクロ、カラー、カラー反転の3つを示しておきます。
今回のゴールデンウィーク中の目的の一つ、大黒点の撮影がある程度分解能よくできました。このように目立つ黒点が出た時も、確実に分解能よく撮影する手法が確立して、それが実践できるようになってきたのかと思います。また、少なくとも静止画に関しては撮影、選別、画像処理のルーチンはほぼ出来上がったと言っていいので、処理もその日のうちに終わり、今回も当日のうちにXに投稿しています。太陽は時間勝負のところもあるので、ここら辺の早い処理というのも目的の一つでした。
お客さんと太陽を見る
C8での撮影を終えて、全景用に鏡筒を変更しようとして家の中に入っているときに、玄関のチャイムがなりました。最近近くに引っ越してきた、アメリカ在住時代からの古くからの友人が、お嬢さんを連れてやって来ました。何でもお嬢さんの方が、私のXの投稿で朝から太陽をやっているのを見て、興味を持って来たとのことです。実はお嬢さんは赤ちゃんの頃に顔を見ているだけで、聞いたらもう中3とのことで、はじめましてではないのですが、実際にははじめまして状態でした。わざわざ太陽なんかに来てくれるくらいなので、星のことには結構興味があるみたいで、話してみると色々詳しくてちょっとびっくりでした。
まずは、太陽グラスで黒点を見てもらいますが、大黒天と言っても肉眼だとやはり小さくてわからないようです。そこで、星座ビノに太陽グラスをテープで固定して見てもらうことにしました。
これだとさすがに黒点も十分に見えるはずで、二人とも「見えた!」と叫んでました。
太陽と言っても、C8の撮影は撮り続けて待っているだけなのですが、太陽全景ならSharpCapでリアルタイムで色付きで見えるので、多少は楽しいはずです。というわけで、鏡筒交換の準備を続けながら太陽全景を一緒に見てもらうことにしました。
8cm鏡筒用に太陽用ファインダーとガイド鏡
口径8cmの鏡筒も改良が進んでいます。玄関のチャイムが鳴った時は、ちょうど太陽ファインダーを取り付ける準備をしているところでした。C8の場合は鏡筒内からの反射光のスポットが補正版に当たるので、それが中心に来るようにアラインメントを取ればいいので目安があって簡単なのですが、口径8cmの場合はそのような指標がなくて、毎回導入に手こずっていました。10cmに取り付けていた太陽ファインダーがあったのを思い出し、それアルカスイス互換のクイックシューを取り付け、8cm鏡筒の下部に取り付けたアルカスイス互換プレートにそのまま取り付けられるようにしました。
写真のようにアルカスイスプレートの前方にファインダーを取り付けるのですが、導入後は取り外して、撮影時は下に写っているガイド鏡に交換します。今後は、この後に出てくる新カメラで一度に太陽全景が撮れるようになるので、タイムラプスなどの長時間撮影をしたい時にガイド鏡が活躍するはずです。
こんなふうに実物を見せながら、ファインダーの動作原理から、取り付けの際のアルカスイス互換リリースの取り付け、鏡筒に固定してからの導入などもお客さん二人に説明しながら、いよいよ太陽像を見てもらいます。
太陽撮影用新カメラG3M678M
今回の目玉は新カメラの投入です。ToupTekのG3M678Mという機種です。
中身は至ってシンプルで、マニュアルもドライバー関連も入っていません。
左上の黒いアダプターを使うと、
アメリカンサイズのフィルターを取り付けることができます。
左上の黒いアダプターを使うと、
アメリカンサイズのフィルターを取り付けることができます。
IMX678センサーを使っていて、ピクセルサイズが2μmとかなり細かい撮影が可能です。これまでのASI290MMが2.9μmなので、約1.5倍くらい細かくなるわけです。
その一方で、もちろん犠牲にするものがあって、それはピクセルサイズが小さくなることによる感度の低下と、センサー面積が大きくなることで高価になることでしょうか。でも太陽撮影で十分明るいものを見るので感度はそこまで問題ではないでしょう。またセンサー面積が大きくなったと言っても、たかだか惑星用カメラの面積なので大したことはなく、CMOSカメラとしてはまだ安価な部類でしょう。しかも今回はじめてAliExpressを使って安いところを探して購入してみました。ToupTekの日本語のページもありましたが、ただ単に日本語化しているだけのようで、ドル払いで、しかも割高なので、結局AliExpressにしました。支払いもPayPalでできたので、直接カード番号を入れるとはしなくてよく、多少安心です。発注から到着まで20日ほどかかるとのことでしたが、実際には15日くらいで少し早めに来て、ちょうどこの日C8から8cm鏡筒に交換している最中に到着したので、タイミング的なこともありますが、ゴールデンウイーク中に使うことができて、結構好印象です。
太陽全景撮影
さて、今日の太陽全景です。まずはいつものようにASI290MMで撮影し、特に問題ないことを確認します。その後、今回の新カメラに交換します。このカメラはアイピース径と同じ筒タイプのカメラなので、アイピース口の中に押し込んでセンサー面をより鏡筒側に近くにすることができます。
今回はカメラの差し込み位置などの最適化はまだできていないので、適当な位置に入れてピントが出るかどうか試したくらいです。ドライバーとかはあえて何もインストールしなかったのですが、SharpCapではそのまま認識して、接続までできました。
さて実際にSharpCapで見てみると太陽全景が一度に入っていることがわかります。こんなふうに撮影まで何のトラブルもなくできたので一安心です。
とりあえずの細部出しです。今後パラメータを調整していきます。
Stabilization/Alignmentの設定を見たいというリクエストがあったので、
フォルダーモニター機能で保存してあったファイルを再生し、追加しました。
ガイドが前提なので、最低限の設定になっています。
フォルダーモニター機能で保存してあったファイルを再生し、追加しました。
ガイドが前提なので、最低限の設定になっています。
PCでこの画面を見て、高分解、モノクロで、やっと一度に太陽全体が入って、かなり嬉しかったです。このカメラは今後の太陽撮影に色々使えそうで、今回の全景撮影はまだほんの一例に過ぎないです。
この状態で、とりあえずリアルタイムスタックでカラー化とプロミネンス鏡長をしたものを、PNGで画像を保存してみました。SharpCap以外での画像処理はしていません。(ブログにアップロードする関係でサイドの黒いところをクロップして、jpgに変換だけしてあります。)
ここまでがワンステップで出るので、これまでやっていたかなりのことを省くことができて、相当楽になります。今後は、気軽に全景のタイムラプスとかもできそうなので、どんどん試していきたいと思います。
今回はASI290MMで撮影したものもありますが、まだG3M678Mの方の最適化ができていないので、比較は次回以降にします。とりあえずのパッと見では差がほとんどないか、まだASI290MMの方が少しいいみたいです。たとえ口径8cmだとしても、焦点距離が400mmと短いために、ピクセルサイズの小ささが効くような状況ではないからだと推測しています。この件はもう少し詳細に調べます。
まとめ
今年のゴールデンウィークは太陽三昧でした。大黒天の撮影もうまくいきましたし、新カメラも到着して全景撮影にも進展がありました。もう少し晴れの時間が欲しかったですが、天気が悪い時には画像処理やブログを書いていました。名古屋に行ったり、お客さんが来たりもしたので、かなり充実していて楽しかったです。
ブログに書いたこと以外でも、まだエタロン良像範囲の調整を数週間前からずっと続けています。こちらは今の段階でも進展はありますがまだ途中なので、もう少し結論が出てからまとめるようにします。