ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:青い馬星雲

BlurXTerminator (BXT)を使った、過去画像の再処理の第二弾です。

第一弾は三日月星雲でした。


この時は主に背景の改善が特徴でしたが、今回は特に恒星の改善がすごいです。

BXTの収差補正能力

昨年ゴールデンウィークに、近くの牛岳においてFS-60CBにASI2400MC Proを取り付けて撮影した青い馬星雲。



当時出来上がった画像はASI2400MCの能力が思う存分発揮されたもので、背景の淡い部分が十分に表現され、遠目で見る限り素晴らしいものです。自分的にも十分満足していました。その一方、遠征先で撮影時に接眼側の延長筒の長さが手持ちで合わず、バックフォーカスがずれてしまい、四隅が思いっきり流れてしまいました。
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これはさすがに救いようがないとずっと思っていたのですが、BXTはこのレベルでも大幅に改善してくれます。しかも今回使ったのは「Collect only」だけで、恒星を小さくしたりハロを押さえたりする機能は使っていません。
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左上だけまだ少し流れていますが、他の8枚は完全に許容範囲です。これだけでもBXTの収差改善は圧倒的にすごいです。

しかもFS-60CBには、昔から指摘されている弱点の一つとして、撮影の際に赤と青とでピント位置がどうしてもずれてしまうという問題があります。現場において赤に合わせるか、青に合わせるか、もしくはその中間に合わせるかいつも大問題です。どうするかは場合によるのですが、今回は青い領域なので青にピントを合わせたために、全ての恒星周りに赤いハロが出てしまっています。ところが、これらの赤ハロも今回のBXTはものの見事に綺麗に除去してくれています。これはFS-60ユーザーにとっては大きな福音となるのではないでしょうか。


背景と仕上げ

この四隅で仕上げた画像です。今回はNXTも使いノイズをある程度除去しています。また、青い馬付近は意外に赤い領域もあり、前回はこの特徴をあまり出せなかったので、今回は少し強調してあります。

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下はこれまでの画像ですが、今回のと比べると、やはり少し緑に寄っている気がしますし、赤が弱いと思います。
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これまでと、今回の再処理の2枚を比較して検討してみます。まず恒星ですが、明らかに分解能が増しています。特に首元にある青い明るい2つの星の下の方のものは、2つの星がかなり近接しています。前回のものでは明るすぎて分離できていませんでしたが、今回のでは余裕で分離しています。また、微恒星に関しても、拡大して比べるとよくわかりますが、より暗い星までかなりはっきりと写っています。恒星に関してはほとんどの処理がPixInsightで閉じるようになったのでずいぶん楽になったのと、その恩恵でしょうか仕上がりも大分良くなったと思います。BXTのおかげですね。

その一方、分子雲に関しては今回かなり苦労しました。前回のレベルまで全然持っていけないのです。前回の時点ですでにかなりのレベルで淡いところを引き出し切っていて、しかも最後のところをPhotoshopでやっていたので、肝心要の最淡の部分でどうやったか記録が全く残っていません。元々の素材が良かったので、画像処理はかなりシンプルだったはずです。色々試しても、ごくわずかのところでどうしても前回のレベルまで持っていけません。結局今回は第9バージョンまで処理し直して、やっとそこそこ満足しました。ポイントはマスクの使い方だったのですが、前回シンプルにやっていたのを、今回凝りすぎていたというのが原因でした。本当にシンプルに星マスクをうまく適用することで、背景の分子雲モクモクを再現することができました。

あと今回はNXTも使ったので、背景が全体的にノイジーだったのが改善されています。ある程度拡大して比較するとよくわかります。


まとめ

BXTを使い再処理すると、やはり有意に違いがわかるレベルで改善します。今回に関しては主に恒星です。その一方、今回実感できたことは、BXTは恒星や星雲部の分解能は向上させることはあっても、諧調に関してはほぼ何も貢献しないということです。前回の三日月星雲の再処理では背景の階調が改善しているように見えますが、あくまで副次的な効果で、基本的にはこれまで通り丁寧に階調のある部分をうまく拡大させることが必要となるということがよくわかりました。


BXTによる再処理シリーズの第三弾はトールの兜星雲です。
 

ゴールデンウィークに3連続撮影の3日目、地元牛岳において青い馬星雲を撮影しました。撮影時の顛末などは当日の記事をご覧ください。



今回はその後の、画像処理などについてです。


分子雲がここまで出た!

まずは結果を見てください。

「IC4592: 青い馬星雲」
masterLight_180s_ABE_PCC_ASx4_SCNR_bg2_cut_s
  • 撮影日: 2022年5月6日0時10分-2時57分
  • 撮影場所: 富山県富山市牛岳
  • 鏡筒: TAKAHASHI FS-60CB+マルチフラットナー(f370mm)
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI2400MC Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: SharpCap、Gain 150、露光時間3分x55枚で総露光時間2時間45分
  • Dark: Gain 150、露光時間3分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 150、露光時間 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

一見してわかるように、分子雲がものすごい階調ででました。正直ここまで出るとは思っていませんでした。自分でもびっくりしています。

鏡筒はFS-60CBで、撮影時間は2時間45分。そこまで明るい鏡筒でもなく、そこまで露光時間が長いわけではありません。今回の大きなポイントは間違いなくASI2400MC Proでしょう。このカメラ、三つ子銀河の時もものすごく画像処理が楽でした。



今回も実は画像処理はかなりシンプルです。ASI2400MC Proで撮影した2回の撮影で、2回とも同じような状況なので、あながち気のせいというわけでもないと思います。

一方、この画像の反省点です。まず、撮影時の記事で述べたように、11mmの EWFの代わりに適当なFC76用のマルチフラットナーリングをいれたので、バックフォーカスが少しずれていて四隅が流れています。また、赤い部分があるのでもう少し強調しても良かったかもしれません。

とまあ、欠点もありますが、青い馬星雲としてはそこそこ表現できているので、個人的にはかなり満足です。


シンプルな画像処理

元々私は凝った画像処理は嫌いではなく、マスクなども多用しますし、ノイズ処理も必要なら強力なものを使います。でも今回はそれらのものがほとんど必要ありませんでした。

やったことはひたすら諧調を残すように、見えている分子雲を壊さないように、目で見える範囲の輝度に落とし込んでいくだけです。その際、星雲にかけるようなレンジマスクの類は一切使っていません。唯一使ったマスクが、PixInsight上で使ったStarNetで作った星マスクだけです。ノイズ処理もPhotoshopにある標準的なものを軽く使ったのみです。ちなみに今Photoshopの作業工程を数えてみたら「開く」から数えてわずか16工程でした。

よくある話ですが、素材がいい場合は色々凝った画像処理をすると、素材の良さを潰してしまうというのがあります。事実、この画像は2回目の画像処理で、最初はいつも通り凝った処理をしていました。 ちょっと恥ずかしいのですが、最初の処理を載せておきます。

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一見するとそこまで悪くないようにも見えますし、そのまま出しても特に変とも思われることもないでしょう。私も最初はこれでそこそこ満足していました。でも一旦PixInsightを閉じようと戻って、StarNetをかけた直後の背景画像を見た時に、ちょっとまずいと思ったわけです。

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この背景画像と比べると、最初に処理した画像では青い馬本体や分子雲などの淡いところの階調がほとんど潰れてしまい、のペーっとしてしまっていることがわかります。

ここで一旦戻って、2度目の画像処理となりました。分岐点はPixInsightでストレッチをした後の、Photoshopに手渡すところです。PixInsightの最終段階ではきちんと階調が残っていたということで、Photoshopでそれを生かせたかどうかだけが違いとなります。


ASI2400MC Proについて

シンプルな画像処理で仕上がることは、その撮影画像の素性の良さ、ひいてはこのカメラASI2400MC Proのポテンシャルの高さを示しているのかと思います。ASI2400MC Proのスペックだけ見ても、もちろんスペックも申し分ないのですが、メーカスペックに出てこない安定性というか、素直さが出ていると思います。例えばASI294MC Proはダイナミックレンジは同じ14bitで同じですが、三つ子銀河と合わせてASI2400MC Proで味わえたようなシンプル処理にも関わらず、ハッとするようなインパクトと、分子雲の透明感のような表現はこれまで経験したことがありません。

今日たまたま届いた「CCD/CMOSイメージセンサの性能と測定評価」という本を読んでいたのですが、例えば今ZWOが出しているカメラのスペックでは、この本で論じられているような細かいノイズなどは全然違いを表現できていません。また、ノイズについてはこれまで私もそれなりに気にしてきましたが、画像を作るはずの信号の方についてはあまり検討してこなかったことを実感させられました。この本についてはまた別記事で書評を書こうと思っていますが、我々ユーザーが知り得ない、表には出てこない性能差というのはあって然るべきなのかと思います。カメラセンサー自身の性能になってしまうので、ユーザー自身がどうこうできるものでありませんが、撮影した画像としてその違いが認識できるのかと思います。

一方、画像処理の途中で起こったハード的な不安定性のことも書いておかなければいけません。今回ASI2400MC Proを使うにあたり、テスト撮影時にNINAでは一度きちんと画像が撮れましたが、それ以降うまく画像がPCにダウンロードできません。SharpCapの方がまだ安定ですが、いい時はいいのですが、ダメな時は画像を落とす段階になりdroppedになりその数が増えていきます。

ダメな時の解決策は、一旦ROIでかなり小さい画面にして、うまくいったら元の画像に戻すことですが、これも完璧ではなく失敗する時もあります。一旦うまくいくと、それ以降は問題なくダウンロードできるのですが、そこまで持っていくのが何度かトライしなければなりません。どうも転送関係でうまくいかないのが原因かと思います。ケーブルを変えたりしましたが、同様でした。もしかしたら同様の現象の方もいるかと思います。少しでも情報共有ができればと思います。


Annotation

いつものAnnotationです。

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過去画像との比較

ちなみにこれまで青い馬星雲は過去に自宅で撮ったのみ。今回と同じFS-60CBですが、カメラはEOS 6D。青がでただけマシで、自宅だとこれくらいが限界です。今回牛岳に行ってせっかくの暗い場所だったので、自宅で撮りにくい青い馬星雲にしたのは正解だったようです。

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まとめ

あくまで個人的な感想なのですが、このASI2400MC Proは間違いなく素晴らしいカメラでしょう。

普段フルサイズの撮影はEOS 6Dですが、ASI2400MC Proの冷却機能はダークフレームの管理ができるとかはすぐに見えるメリットです。6Dもノイズが少なく、かなり素直でとても信頼できるカメラです。それでもこのASI2400MC Proならば6Dを置き換えたくなります。

問題はその価格。欲しいと言ってなかなかすぐに手が出るものではありません。でも欲しい。カラーはこれがあれば満足な気がします。

今回はお借りしただけですが、いつか手に入れられるのか...。


FMA135とCBPを使って、とうとう念願の自宅からアンタレス付近のカラフルタウンを撮影してみました。赤と青と黄色が混ざったあの綺麗な色を光害地から再現できるのか?、特に青色が出るのか?

これまでのいろいろな準備とタイミングが整い、やっと挑戦することができました。


これまでのみちのり

アンタレス付近はこれまでにも撮影しています。昨年もちょうどこの時期に撮影しました

すごく綺麗なエリアで、私も大好きで、みているだけでウットリしてしまいます。

これだけカラフルだと、下手な光害防止フィルターだと青とか黄とかの色が出ない恐れがあるので、当然環境の良い暗い空でフィルターなしで撮影するのが当然と思っていました。でもこんな色、特に青色を自宅から撮影するのも面白いのではずっと思っていました。

自宅でどれだけ淡い天体まで撮影できるかは、結構長期にわたり挑戦してきました。淡いという意味では始まりは魔女の横顔でしょうか。この時はノーフィルターです。


M78の自宅撮影もその一つで、これもノーフィルターです。


フィルターをつけた場合ですが、自宅から非常に淡いレムナントSh2-240を撮影したのは、超長時間撮影と強度な画像処理の良い練習になりました。


青い星雲に関しては自宅からの青い馬星雲を最近撮影しています。これは青の出方がわからなかったのでまずはフィルターなしで試しました。

4時間20分程度の撮影でしたが光害の影響は決して小さくなく、一応青は出たものの十分とは言い難く、ノーフィルターでISOを上げられなかったことも要因の一つかと思っています。


CBP

自宅アンタレス 付近撮影作戦のもう一つの大きな柱は、昨年5月にSIGHTRONから発売されたCBP (Comet BandPass)フィルターです。CBPについてはこれまでかなりテストしてきて、最初の頃の解析撮影で、光害を3分の1ほどに軽減しつつ、青色も十分に出すことができるという結果を得てきています。




今回は光害地でCBPを使って青が出るかどうかのある意味最終テストということになります。


短焦点の鏡筒 

あとは鏡筒です。前回のアンタレス 付近はFS-60CB+レデューサーで撮影しましたがちょっと窮屈で、せっかくなのでもう少し広い画角で撮影したいと思っていました。そこに今回のFMA135の話が舞い込んできました。

視野的にも青い馬星雲が入ってちょうどよさそうです。しかも3cmで青い馬まで写るならそれはそれで面白いのではないかと思ったのです。


さあ、撮影だ

最初にアンタレス付近を自宅で撮りたいと思ってから、もう数年が経っています。技術的にも、機材的にも、時期的にも、やっと準備が整ったのかと思います。

撮影は休日の前日がよかったのですが、新月期の5月8日の夜はあいにくの天気で諦めました。次の日の日曜ですが、昼間はなんだか微妙で、すごい風と、黄砂のせいでしょうか晴れてるのにモヤーっとしています。次の月曜の朝は仕事で、しかもいつもより早く家を出なくてはいけません。天気と仕事のことでかなりやる気が失せてたのですが、夜になって風が弱まってきて、外に出ると意外に透明度が良さそうです。

俄然やる気になってきて、セットアップ開始です。


CBPのとりつけ

前回の撮影で、QBPはアメリカンサイズでFMA135に直接取り付けることができました。CBPはアメリカンサイズは無いのと、アメリカンサイズで画像に円形状の段差が出た可能性があるため、今回は大きなフィルターを試したかったというのがあります。

ところが48mmのフィルターはそのままFMA135には取り付けられません。前回の撮影記事の最後に書きましたが、M36からM46の変換リングとM46からM48の変換リングを組み合わせる方法で取り付けられます。早速注文はしましたが結局この日には間に合わず、手持ちのM37からM48の変換リングを利用して、グラグラするのをテープで固定しました。

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ピント固定ネジ

FMA135で一度ピントを合わせた後に小さなピント調節ネジを固く締めると、ピントが少しずれてしまうようです。なので緩めに締めるか、少しずれることを見越してずらして合わせる必要があるようです。前回のピントもこれが原因でずれてしまっていた可能性があります。

今回はかなりピントは気を使いましたが、それでも少し左右でズレてしまったようです。

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不思議なのは、APS-Cサイズでも少し流れてしまっていることです。ファーストライトのテストの時は下のようにほとんど目立ちませんでした。
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私のピント合わせがまだ不味かったか、大きく違うところがCBPをテープで適当に取り付けているところです。もしかしたら少し斜めにとりついていたとかかもしれません。機会があれば今一度確かめたいと思います。


ISOの決定

淡いものを出す場合には一般的にはISOを上げたほうが有利です。なのでダイナミックレンジを極端に損なわない範囲でISOを上げたいのですが、CBPがない場合は6Dだと露光時間を分の単位でとろうとするとISO800くらいが最大です。リードノイズを減らすために5分もしくは3分と露光したかったのですが、CBPをつけても3分でISO1600が最大取れるくらいでした。この状態でヒストグラムのピーク値が半分近くまで達していたので、ISO3200は現実的ではありません。背景光の大きさにもよりますが、自宅での低い空では街明かりの影響がどうしても大きく出てしまいます。


たかだか135mmにオートガイド?

今回は撮影途中で寝る予定だったので、ちょっと大袈裟ですがオートガイドをすることにしました。FMA135は小さいのでほぼカメラレンズです。なので6D側を赤道儀に固定するのですが、ガイド鏡をどうつけるのかかなり迷いました。ガイド鏡はプレートの長手方向に平行につけますが、6DはL字プレートを取り付けてあるためプレートの長手方向と垂直に取り付けるためです。写真を見てもらえばわかると思いますが、今回かなり変則的な取り付けかたをしました。鏡筒とガイド鏡の向きを直交させているのです。
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もしかしたら鏡筒とガイド鏡は平行にしないとダメと思っている方もいるかもしれませんが、原理的には全然そんなことはありません。今回の場合、南天するまでは鏡筒が南東から南の低い空の方向を向き、ガイド鏡は北東の高い空から天頂少し北の方向までを向きます。なので、ガイドとしてはよりよく動く領域で合わせることができるので実は精度が良くなるなずです。これは例えば北極星近くの天体を撮影する場合に、その方向でガイドするのか、それとは垂直に真東から昇り真西に沈む星を見ながらガイドをするのか、どちらが精度がいいか考えればすぐにわかると思います。

さすがに直角に置くのは初めてでしたが、撮影を始めても想定通りガイドもうまくいっています。

ところがです、これいいアイデアだと思っていたのですが、南天して赤道儀を反転させた時に決定的な欠点が露呈しました。ガイド鏡の向きが地平線の下に沈んでいるのです。

仕方ないので、ガイド鏡とカメラの位置を入れ替え、再び北東方向を向くようにしました。でもこれもまたトラップがあったのです。オートガイドを始めると、途端に揺れが増大して発振し始めました。それもそのはず、PHD2はガイド鏡の向きが変わったなんて知らないので、フィードバックしていいと思った方向は全く逆の方向になり、発散してしまうのです。そのためキャリブレーションをやり直したのはいうまでもありません。

このことから一つ推測できることがあります。Twitterでj_evil_clef 2さんが「最近際キャリブレーションしなくてもそのままガイドできるのが不思議だ」とかつぶやいていたのですが、赤道儀を反転させても普通はキャリブレーションし直さなくても大丈夫なように、PHD2が赤道儀の向いている方向の情報を取得していて、方向によってキャリブレーションのパラメータを変えていると思われるということです。まあ、PHD2は赤道儀を操作するくらいですから、使える情報は使うというのは至極真っ当なやり方だと思うので、キャリブレーションに関してはかなり柔軟に対応できるように考慮しているのでしょう。


ゴースト?

撮影の段階でわかったことですが、ゴーストのような変な赤い銀河の形のようなものが出てしまいました。左上の方です。

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ところがこの輝点、赤道儀を反転させると位置が変わって真ん中にきてしまいました。
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反転以外では、撮影中は「ほぼ」同じ位置にいたので、何か光学系の反射が原因かと思われます。「ほぼ」と書いたのは、ディザーすると周りの星の位置はズレても、輝点の位置だけはズレないのです。いや、正確にいうとズレます。でも恒星のズレ方とは別方向に動き、動きの量もディザーの量より少ないです。とすると、やっぱり光源恒星で、明るさから言ってアンタレスなのでしょうか?

実はカリフォルニア星雲の時も似たようなものが出たのですが、こちらもいまいち原因がわからないです。

 
一番明るい恒星の左にあるやつです。このときはCBPを付けていないと思い込んでいたら、結局CBPを付けっぱなしで撮影していたことに後から気づきました。なのでCBPが原因かと一瞬思ったのですが、後日CBPも付けたままのほぼ同じ構成でISOだけ4倍の3200にして撮影し直した時には、そんなゴーストは出ませんでした。なのでCBPが原因とは限らないです。
 

原因は不明なのでそのまま残しても良かったのですが、さすがに目立つので画像処理でごまかしました。


Windowsアップデート!?

今回の撮影は結構な広角なのと、低い空で、地面近くの木とかが視野に入ってしまうため、ある程度高度が上がる22時半頃からの撮影となりました。次の日仕事で早いのですが、0時過ぎまで起きていて南天前でしたが、強制的に赤道儀を反転させてから、先に書いたガイド鏡の向きを変え際キャリブレーションして、問題なく撮影が再開できることを確認してから寝ることにしました。

朝5時頃に目を覚まし片付けたのですが、確認してみると何故か午前2時半頃で撮影が終わってしまっています。しかもWindowsが再起動されたみたいです。後で調べたらなんとWindowsアップデートがぁーーっ!そういえば今回2台目のStickPCで夜の時間帯のアップデートを禁止にしておくのを忘れてました...。

でもさらに調べたら、午前2時位から南西方向にある高い木が視野に写ってしまっていたので、どうせダメだったということで納得しました。


光害地の淡い天体は画像処理が大変

画像処理は結構大変でした。いつものようにPixInsightのWBPP、ストレッチまでしてあとはPhotoshopに渡します。トータル2時間45分ですが、口径わずか3cmのF4.5なのでやはり光量は十分とは言えないようです。

焦点距離135mmとかだとカメラレンズでもっと明るいのがあります。例えばシグマのArtシリーズなら135mm F1.8というのがあります。もしこのレンズを使った場合は(4.5/1.8)^2 = 5.25倍の明るさということになります。今回の2時間が45分はF1.8だと約30分露光したのと同じということになります。なので青い馬とかうまく出るか心配でしたが、少なくとも写ってはいて、相当強調すれば見えることはわかりました。結果を示します。

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  • 撮影日: 2021年日5月9日22時37分-5月10日2時7分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: FMA135
  • フィルター: CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: : f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO1600, 露光時間: 180秒 x 52枚 = 2時間36分、dark: ISO1600, 180秒x67枚、flat: ISO1600, 1/50秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/50秒x128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ただし、青もそうなのですが、黄色も、赤の淡いところもどうしてもノイジーになってしまい、画像処理の方に負担がいってしまうことは避けられませんでした。CBPをつけてあっても住宅街の光害地で背景光からくるノイズが、それに拍車をかけます。

あと、CBPのせいかと思いますが、青がどうしても水色っぽく出てしまうようです。CBPの青側透過範囲が360-410,460-530nmと結構広いのですが、カラフルタウンの特徴の真っ青に近い青は450nmを切るくらいでちょうどカットされているためかと思います。そのため、少し色の調整をして見かけ上真っ青に近くなるように色をいじっています。黄色と赤もイメージとは違っていたので少しいじってますが、こちらは青よりは素直に出ていると思いました。色をいじることには賛否あるかと思いますが、そもそもCBPなどの一部の波長のみを拾ってくるフィルターの色バランスは合っていないと考える方が普通なので、色バランスを取ろうと思うときはどうにかいじるしかなく、ある意味宿命かと思っています。

あと、画像処理の途中で、前回の白鳥座を撮影したときに出た円形の段差はでないことを確認しました。なので、アメリカンサイズのフィルターを取り付けたせいだと思っていいでしょう。今回は48mmのCBPにしたために、変に絞られるようなことがなかっためだと思います。

この画像処理ですが、まだ少し不満なところもあるので、時間のある時にもう少し処理しなおしたいと思っています。これから梅雨時なので、ネタもなくなりちょうど良いかもしれません。あ、ポチリヌス菌防止にもなるかもしれませんね。


まとめ

今回の挑戦は、ある意味これまでの集大成です。やっと自宅での撮影で念願だったアンタレス付近のカラフルタウンを撮影することができました。

そもそも自宅から南の低い空の淡い領域の赤以外の色を出すのはものすごく難しいと覚悟していたので、この点についてはかなり満足しています。ただ、やはり光量不足なところは否めなくて、露光時間をさらに伸ばすか、明るい光学系で撮影することでいつかもう一度挑戦したいと思います。

FMA135ですが、星像テスト電視観望デネブからサドルの撮影、アンタレス付近の撮影と試してきましたが、今回でテストは終了にしたいと思います。この他にもちょっと高級なガイド鏡として使うのも良いかもしれません。

Askarブランドの機材は初めて使いましたが、今回試した一番小さなものでさえも噂通りかなり気合が入ったもので、持っていて嬉しくなるような作り込みだと思います。SIGHTORN様、非常に面白い機材を試させていただき、本当にありがとうございました。

今回は自宅ノーフィルターでの星雲撮影の一環です。なかなかうまく色が出ない青い星雲を狙います。ターゲットはさそり座アンタレスの上のIC4592青い馬星雲です。

といっても撮影したのは結構前で、4月10日と11日の土日、VISACでの銀河撮影(M87M104)の後の深夜からのあまった時間で撮ったものです。乙女座銀河団を撮影した時のFS-60CB+6Dがそのまま残っていたので、VISACでの撮影が終わってからポンと赤道儀に載せたものです。両日とも撮影が始まると寝てしまいました。

実はもう結構前のことになるので、状況もあまり覚えていないのですが、記録を見るとISO800で3分露光です。10日が25枚で11日が61枚の計86枚で、総露光時間258分=4時間18分です。でも画像処理をやってわかりましたが、まだ全然足りなさそうです。この日は確か2日とも結構透明度の良い日でした。それでもやはり南のそれほど高くない位置にある星雲です。自宅から南の山までの間に丸々一つ街があり、南の低い空はやはりどうしても街明かりの影響があります。時期的も4月初めは少し早く、撮影終わりの未明で南天を少し超えるくらいです。

まあそれでも寝ながらの撮影なのでダメ元、画像処理を進めてみます。PixInsightはいつも通りWBPPで問題なく進めます。苦労したのはかなり全面に渡る感じでモクモクがあるので、ABEが使えずDBEでポイント数をかなり制限してフラット化しました。あ、もちろんフラットもいつもの昼間の白い壁で撮ってますよ。それ以外はストレッチやStarNetでの星マスク作りも問題なく進みました。

まあ淡いのはPhotoshopに渡す時点で覚悟してましたが、あぶり出しはなかなか厳しかったです。

「IC4592: 青い馬星雲」
masterLight_DBE_PCC_ASx5_ET_HT3a
  • 撮影日: 2021年4月11日2時34分-4時27分、4月12日0時35分-4時8分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x86枚 = 4時間18分、ダーク154枚(ISO800、露光180秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO800、露光1/400秒)、フラットダーク256枚(ISO800、露光1/400秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
遠目で見てる分にはまだマシかもしれませんが、拡大すると荒れ荒れです。分子雲ももっと広がっているはずですが、そこまで諧調が残ってませんでした。青い星雲だからこそのノーフィルターなのですが、やはり厳しいです。もっと暗い所に行くか、自宅なら撮影時間をもっと伸ばす必要がありそうです。リベンジ案件です。

手持ちの未処理画像はほぼ尽きてきました。これから連休ですが、天気はイマイチの予報です。新しくきたFRA135も早く試したいです。 

 

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