ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:電視観望

6月13日(土)、夕方から飛騨コスモス天文台の観望会です。


観望会機材の準備

土曜の夕方16時頃から、観望会のための機材の準備を始めます。天気予報はどこをみても晴れなので心配ないはずですが、あいにく出発地の富山は曇りで雨もぱらついていますが、飛騨は大丈夫なのでしょうか?

この日の機材は、暗くなる直前の西の空の木星と金星狙いで①TSA-120、子供用にいつもの②スコープテックの屈折経緯台、あとは③FMA135とトラバースの電視観望セットの3種類です。惑星用はいつものC8が良かったのですが、今は太陽用にC8とフェニックスをくっつけて使っていて、セットアップを崩したくないので、今日はTSA-120が代理です。


出発して現地まで、でも天気が...

機材の準備も完了し、出発は17時ちょっと前。18時過ぎには現地に着く予定です。

途中雨が結構降っていましたが、現地に着く頃にはとりあえず地面は乾いているくらいでした。でも外に出ると、少しだけですがまだ雨がパラパラしています。濡れるとだめなので機材は出せないのですが、車のトランク側のバックドアを上げて屋根代わりにして椅子を出してのんびりしていたら、程なくしていつものスタッフの方達が3人到着です。

到着後は全面曇りに近かったのですが、少し待つと西から北の空が晴れてきました。これなら木星と金星は大丈夫そうです。
IMG_3202

IMG_3205

東から南の空にかけて大きな虹がかかっていました。
IMG_3209


惑星は...?

最初のお客さんが来たのは19時少し前くらいだったでしょうか。知り合いのM君一家で、4歳の息子さんを連れて奥様と3人で初参加です。でもこの季節は夏至直前で、まだ全然明るいんですよね。一番星もまだ結構待たなくてはいけません。

待っている間に晴れていた西の空がどんどん曇ってきました。徐々に暗くなってきてもう木星も金星も輝き出す時間になっても、まだまだ曇っています。

その間に少し青空が見えるところがポツポツ出てきて、一番星はそこから見えました。星座ビノや双眼鏡を出して、みんなで見ます。

その頃には他のお客さんも徐々に増えていて、今回はトータルでは20-30人くらいと言ったところでしょうか。始まりの時間が雨とか雲だった割には、集まった方だと思います。どの天気予報を見ても晴れだったはずなんですが、当てになりませんね...。

そうこうしていると、西の空の隙間から、数分間が何回かと言ったところだったでしょうか、一瞬だけ金星が見えました。スコープテックでパッと導入して、見てもらいました。でもスコープテックだと金星の欠けを見るのはちょっと厳しいんですよね。木星だったら衛星や縞まで見えるはずなのですが、結局木星は姿を現すことはなかったです。残念ながら、惑星のために持ってきたTSA-120は、雨が心配だったので出すのを躊躇していて、金星出現で急遽出動したのですが、導入まで時間がかかりすぎで間に合いませんでした。


最初は曇りでしたが、そのうちに...

惑星が見えないのは仕方ないので、TSA-120で雲越しに少しだけ見えていたベガを導入します。目ではまだベガがやっと見えているくらいです。望遠鏡だと、雲越しでもベガの周りにたくさんの星が散りばめられていて、アイピースの中の像に皆さん喜んでくれたようです。

時間が経つに連れ、夏の大三角や北斗七星も見えてきて、天頂付近の雲もだんだんなくなってきました。織姫様と彦星様の話や、北極星の見つけ方、星座ビノを使ったこと座の形の確認など、定番の話で皆さんと交流します。


いつもの電視観望とTSA-120での眼視

この頃には夏の大三角のあたりの低いところの雲もだいぶ薄くなってきたので、電視観望でM57リング状星雲と、M27亜鈴状星雲、北アメリカ星雲を見せることができました。

スクリーンショット 2026-06-13 212023

でもまだ時折雲が濃くなったり薄くなったり不安定で、ちょうど白鳥座の形が見え始めた時にTSA-120でアルビレオを入れて、色の対比を見てもらいました。

今回は徐々に晴れ渡ってくるところを楽しんでもらった観望会になったのかと思います。21時過ぎにはかなり晴れ渡ってきましたが、その頃まで残っていたお客さんはだいぶ少なくなっていました。「ここまで残っていたご褒美ですかね」とか言いながら、みんなで暗い空を楽しみました。


天の川

もともと都会から来た、知り合いのM君一家は、まだ天の川を見たことがないと言います。でも21時くらいの時点ではまだ低空の雲が取りきれなくて、天の川と認識することができません。4歳の子はこの頃には眠気を超えたのかハイテンションになっていて、それから程なくするとぐっすりと眠ってしまいました。21時半頃には天の川が少し認識できてきます。M君夫妻もなんとなくわかってきたみたいです。22時頃まで粘ると天の川がかなりはっきりしてきます。


TSA-120での電視観望

天の川を待っている間に、M君に銀河を見せてあげようと思い、空いていたTSA-120にASI294MCを取り付けて、M51子持ち銀河を導入してみました。FMA135ではちょろっとわかるくらい、街中でFC-76で見た時は形はわかるくらいでしたが、さすが暗い空と口径120mmのTSA-120です、導入している最中から形がわかるくらいです。下の画像は露光時間が6.4秒の9枚くらいの、トータル57秒ですが、腕のかなり細部まではっきりと写っています。
スクリーンショット 2026-06-13 222853

ただ、輝点ノイズが目立ったので、SharpCap上でダークを10枚だけ撮影してリアルタイムダーク補正をしました。次に見たM97梟星雲では、目立っていた輝点が全部消えているのがわかると思います。
スクリーンショット 2026-06-13 223842

ここでM君一家が帰路につきました。車で15分くらいのすぐ近くに住んでいて、自宅に着いたら早速今日のお礼のメッセージが届きました。十分楽しんでくれたみたいです。

結局最後に残ったのはいつものスタッフの方だけで、私を入れて4人だったのですが、実はここからが本番だったと言っていいかもしれません。その頃にはもう空も全面晴れ渡っています。あんなに苦労して見ようとしていた天の川も、2本に分かれるのがはっきりわかるほどくっきりと見えています。電視観望でいくつかリクエストに応じて導入していきます。極軸が全然合っていないので毎回数度程度ズレるのですが、赤道儀がCGEM IIで安定に応答してくれるので、プレートソルブで1-2回同期し直すだけで真ん中に持ってくることができます。

まずは同じ北の空の、M81とM82。カメラの角度が悪かったのですが、こちらも6.4秒露光13枚で、トータルわずか1分23秒の露光ですが、もう十分すぎるほど見えています。銀河なのでフィルターは外しています。
スクリーンショット 2026-06-13 224328

次はM13。天頂付近です。トータル2分34秒。
スクリーンショット 2026-06-13 225039

拡大すると色も赤と青と白にはっきり分かれるのが見えます。
スクリーンショット 2026-06-13 225232

さらに最初にFMA135で見たM57を今度はTSA-120で見てみます。中心星もよくわかります。
スクリーンショット 2026-06-13 230253


こちらもFMA135で見たM27です。流石に1分程度なので周りの羽まではわかりませんが、星雲本体の構造などは十分わかります。
スクリーンショット 2026-06-13 230629

最後は三日月星雲です。
スクリーンショット 2026-06-13 231044

なんか淡いなと思ったら、フィルターを入れていないことに、この時やっと気づきました。外していたCBPを取り付けたのですが、ハロが見えてなんか変です。雲かなと思ったのですがそうでもないですし、鏡筒が曇ったかなと思ってもフードを伸ばしているので全く大丈夫です。あっと思って、カメラを外してフィルターを見たら、完全に曇っていました。外したフィルターを机の上に置いておいたら、湿気で結露してしまっていました。机の上をよく見ると、置いてあった星座ビノや、PCのキーボードまで水滴でベトベトになっています。


撤収

フィルターを乾かすのは大変なのと、もう23時半頃と夜も更けてきたので、ではここら辺で終わりにしますかと言って、撤収に入りました。機材を結構出していたのと結露が酷かったので、片付けはちょっと大変でしたが、スタッフの皆さんに手伝ってもらったので、意外とすぐに片付けることができました。

現地を出たのがちょうど0時頃。自宅に着いたのが1時頃でした。空を見ると、こと座も白鳥座もはっきり形が分かります。さらになんと、天の川を見ることができました。自宅から天の川が見えるのは、年数回あるかないかで、珍しいくらいの透明度でした。でも疲れていたので、2時頃には寝てしまいました。


まとめ

TSA-120の電視観望の破壊力が想像以上でした。暗い空だったことももちろんあるのですが、1分とかの露光でここまで見えるので、待たなくていいです。そのため、次々と対象を変えることができるので、これはかなり楽しいです。

普段惑星の眼視はC8なのですが、たまたまこの日は太陽でC8を使っていたので、代役でTSA-120を持ってきただけなのですが、電視観望でこれだけ見ることができるなら、今後は惑星の眼視も、その他の眼視も含めてTSA-120の方がいいかもしれません。

今回は暗い空だったからかもしれません。明るい場所でもどれくらい強力なのか今度試してみようと思います。


10年のまとめ(その1)を書いてからだいぶ時間が経ってしまいました。ある程度は書き進めていたのですが、フェニックスの大口径化を始めてしまい、まとめ記事になかなか時間を回せなかったのです。この記事に付随したTips記事を書いていて、そちらをまとめるのが大変だったのもあります。できればこのTipsの記事と一緒に読んでほしい、というか、Tipsをまとめたくて今回の記事を書いてるような気もしてきました。



「ほしぞloveログ」のコンセプト

本来このブログは、自分がやっている天文活動を記録していこうと思って立ち上げた、日記的なものなのです。でも時間が経つにつれ、実際には解説記事のようなものが多くなり、毎回長文になってしまっています。コメントや記事の引用など、このブログを読んでくれている人が意外にたくさんいることがわかり、自分で試したことや新しく得た知見を、できる限り隠したり制限したりすることなく、わかりやすく公開することを目指したのが理由です。

そういった意味では、星を始めて、わずか10日後くらいの2016年5月8日に、カメラの操作方法を、初心者なりに解説しようと試みています。その後7月にはもう少し学んだ後の解説記事にしていますが、ミスしやすそうなところを忘れないように書こうとしています。こんなところがこのブログの原点に近いのかもしれません。

最初の調整記事は2016年の5月末と、これも最初期の頃で、ニュートン反射の光軸合わせで単に他の情報を辿るだけでなく、自分で考えたことを拙いながらも書いています。初期の頃で、今考えても無茶だったと思うのはC8の光軸調整で、C8をほぼ全バラしています。この頃はまだあまりに変なことを記事にするのは少し躊躇していたのか、記事にはあらわに書かなかったことを覚えています。でも追加記事では、補正板と主鏡も掃除したとさらっと書いていて、全バラの片鱗が少しだけ垣間見えています。でも、機材を分解するくらいでやっといろいろ理解が進んでいくというのも、天文趣味においてはまた事実で、PSTの頃にはもう全く躊躇せずに分解して記事にしてしまっています。

10年も続けていると、このブログで初めて提供した全く新しいアイデア、一部には認識されていたけれどそれまでほとんど広まっていなかった情報など、今自分で見ても役に立つと思われる情報が、結構膨大にあります。きちんと整理されていればいいのですが、必要な情報を体系立てて探すのが難しくなってしまっているので、今回10周年といういい機会に、一度まとめてみようと思ったのが、この記事と前回のTips記事になります。


電視観望関連の新しい提案

大きなところでは電視観望の普及そのものでしょうか。そもそも、リアルタイムで星雲が色付きで見えることが難しいと考えられていた時代に、そこまで暗くない場所でも、しかも小口径鏡筒でも、淡い天体を見る手法を提案してきました。また、基本は一人で覗く望遠鏡に、その場にいる人たちで一緒に天体を見ながら会話などを弾ませるという、新しいコミュニケーションの方法を提案できたのかと思います。電視観望についてはすでにまとめの(その1)である程度述べているので、ここでは当時提案した、もしくは結果として提案となったような、新しいアイデアなどだけまとめてみます。

CMOSカメラを使った電視観望:
電視観望という言葉は2016年の胎内星まつりでHUQさんから聞いた言葉ですが、当時はSonyの一眼レフカメラでHDMIでリアルタイムで星雲などを色付きで見るというものでした。CMOSカメラを使ったものは、動画を撮影するというようなことは当時も試されていましたが、電視観望のようなその場で楽しむというコンセプトでは当時はまだ誰もやっていなくて、胎内星まつりから帰った直後、2016年8月に実際に試してみて、このほしぞloveログで紹介したのが初めてです。

Revolution Imagerの紹介:
アメリカのオレンジカウンティにある天文ショップのMikeがRevolution ImagerというアナログのNTSC出力のカメラを使った電視観望パッケージを販売していて、それを持ち帰り日本で紹介しました。使い方の記事なども書いていました。後にKYOEIから販売されることになりました。

SharpCapを使った電視観望:
一番最初は電視観望用のソフトにFireCaptureを使っていましたが、上のMikeからSharpCapがいいと教えてもらい、早速使った覚えがあります。当時日本ではまだSharpCapユーザーはほとんどいなかったはずです。当時からライブスタック機能がありましたが、撮影用途ではないので使い方が理解されなかったのが理由かと思います。使い方の解説記事も書いていました。このライブスタック機能は電視観望にはなくてはならない機能で、今に至るまで使い続けています。

小口径の有効性:
原村星まつりで手に入れた口径50mmのSCOPETECHや、福島星まつりで手に入れたFS-60Qなど、小口径鏡筒で電視観望を試しています。小口径でも十分成り立つのは自分では理解していましたが、きちんと言葉にして説明したのは2019年のCANPのときだったようです。このブログできちんとした説明をしているのは2019年の小海での講演のときに使ったスライドの全掲載のところの補足解説だと思います。

広域電視観望:
電視観望にとってワンショットナローバンドフィルターの出現は大きなインパクトがありました。最初に使ったのは2018年大晦日の実家の大都会名古屋での観望会だったようです。2019年9月に改めて検証したりしていますが、インパクトがあったのは2020年2月の焦点距離の短いカメラレンズにCMOSカメラを直接取り付けた、広域の電視観望システムではないかと思います。これはQBPなどが必須で、明るいレンズと相まって、都会などの明るい場所でも淡い星雲がとてもよく見えますし、街の中で天の川などを見る際に使うこともできます。この広域コンセプトはいまだに現役で、機材は多少変わっていますが、今でも観望会で活躍しています。

一眼レフカメラでの電視観望:
ASCOMドライバーが一眼レフカメラに対応してくれたので、一眼レフカメラを使った電視観望に大きな道が開きました。このネタでCP+2023でも一度話しています。

最小構成での電視観望:
何と、口径わずか30mmの超小型望遠鏡での電視観望を試してみました。2021年5月のことです。当時はこんな小さな口径で電視観望が成り立つとは誰も思っていなくて、むしろ私自身も懐疑的でしたが、あまりに普通に綺麗に見えるので自分自身びっくりしたことを覚えています。AZ-GTiからトラバースに移行できたのもさらに小ささを加速させることができました。屋根から昇る北アメリカ星雲とかはいまだにお気に入りです。この小さな電視観望セットは今でも現役で使っていて、観望会では大活躍です。これはSeestar S30やDWARF 3、DWARF miniなどの小型のスマート望遠鏡に繋がっていくようなコンセプトなのかと思います。

他にも、その時その時の新しいことを試したりしていて、SharpCapの2017年11月のオートストレッチの登場ですぐに試してみたり、フォーサーズと当時としてはかなり大きめのセンサーサイズのASI294MCを20217年12月に使ったりと、いろいろ紹介しています。

こうやってみると、電視観望の基本技術は立ち上げ時の2016年から2017年くらいまでのかなり早い段階で確立していて、その後大きなことは広域電視観望が2020年、ミニマム化が2021年で、そのあとはもう安定期に入ってしまったように感じます。逆にいうと、それ以降新しいことはあまりなくて、スマート望遠鏡が出てきてからは、初心者の入口としての役割はスマート望遠鏡にかなり引き継がれつつありますが、自由に構成を変えて試せる手組み電視観望には、まだ別の面白さが残っているのかもしれません。例えば銀河仕様にカスタム化するなど、スマート望遠鏡にはない応用性みたいなことはまだまだ試せるのかと思います。


CMOSカメラのノイズ

電視観望に加えて、このブログのもう一つの大きなテーマは、カメラのノイズ関連でしょう。当時はほとんど知られていなかったカメラの特性グラフの読み方など、このブログがきっかけの一つとなり、今では常識になったものも多くあります。

CMOSカメラの性能評価:
初期の頃の大きなものは、CMOSカメラの性能の評価の仕方の解説かと思います。ASI294MCを手に入れた2017年の頃の話です。もちろんその当時から、開発レベルでは評価方法については確立していて、その結果はカメラメーカーが示すグラフに表れていました。でも、アマチュアレベルでそのグラフをどう見たらいいかを解説している記事は、少なくとも私が探した限り皆無でした。販売店の方でもきちんと理解していたかどうかは怪しくて、公開はしてきませんでしたが、販売店の方達に個別に何度も説明してきたという経緯があります。今では、gainとかコンバージョンファクターなどと呼ばれるADUとeの変換係数の意味や、ノイズをeで評価する意味などもきちんと理解されるようになってきていて、あぷらなーとさんNiwaさんそーなのかーさんなども測定や応用をしてくれています。いずれもほしぞloveログの記事にリンクを張ってくれているのは嬉しい限りです。

ノイズ解析:
その後のノイズの解説記事も、いまだにレファレンスとしてリンクを張られることも多いです。この段階ではまだ一般的なノイズの話でしたが、これがノイズ評価の一連の記事へと発展していきます。特に初回には、これまで定量的に評価しにくかった背景ノイズについて「実際に撮影した画像からどれくらいの量の背景ノイズが全ノイズにどれくらい寄与しているかを推測する方法」を提案していて、撮影画像内にあるノイズの種類別の貢献度をある程度きちんと評価できるようになりました。地味に重要なのは、(その3)で対象天体をどう測定すればいいかを考えてS/Nで議論したことです。明るいところはいいのですが、淡いところは暗い環境が必要なことが如実にわかります。(その6)ではPixInsightではバイアスファイルを使わない方向が主流となっているのですが、その根拠も解説していて、かなり面白いかと思っています。でもこの一連のノイズ評価記事、自分の中では上手くまとめたと思っているのですが、どうも一般ウケはそこまで良くないみたいで、少し複雑すぎたのかもしれません。


太陽関連

太陽望遠鏡の仕組み:
ほしぞloveログでは太陽望遠鏡のファブリーペローエタロンの理解についても促してきました。もともと光共振器については詳しかったのですが、太陽望遠鏡がエタロンを使っているということを当時知らずに、ちょうどPSTを購入する直前の2017年の星まつりでその事を聞いて、なるほどうまいこと利用するなあと、ずいぶん納得しました。でもその後、アマチュア天文で太陽に詳しいという方と何人も話したのですが、誰もエタロンの仕組みについてきちんと理解している人に出会うことができませんでした。この状況はあまり良くないと思い、このブログでも2018年2月のPST購入当初のかなり初期の頃から解説を試みてきましたし、CP+でも2024年に結構ガチに解説してみました。他の日本語の記事でもエタロンについて書かれているのを見るようになってきたので、多少なりとも効果はあったのでしょうか。定性的なほんわかとした記述はいくつかありましたが、数値が入った説明がされていることはなかったか、あってもごくごく稀だったので、いい方向に向かっているのかと思います。

大口径化:
PSTなどの大口径化については、古くから日本でも行われてきました。このブログでも中古のジャンクPST入手直後から、口径8cm、10cmと試してきましたが、最後20cmまで試した例は、今でもあまりないと思います。このブログでは、うまく行った時だけでなく、失敗した例もできるだけ載せています。特に、20cmに挑戦するときに熱でフィルターが割れてしまったことがあるので、安全性についてもかなり呼びかけてきたつもりです。

分光関連:
2022年頃に日本でも流行ったSol'Exはスルーしてしまったので、その後に出たSHG700ではできるだけやったことをまとめておこうと思って記事を書いてきました。2025年の6月からですが、おそらくSHG700を手に入れたのは、日本の中ではかなり早かったと思います。実際、いまだに日本語でのSHG700関連の記事はあまりないので、何を書いても新しいことになってしまいます。その中でも、ジェットのドップラーシフトとか、Hαグレインとか、エタロンの透過特性を測るとか、アマチュア天文の中では世界的にみても結構珍しいことをしてきたのかと思います。


SWAgTi

できるだけ簡単で、かつ精度のいい撮影ということで、高精度低機能赤道儀SWATと、高性能低精度経緯台AZ-GTiのいいところどりで、2つを組み合わせて高精度高機能で、かつオートガイドもなしで簡単に、でも3分程度の露光ができるシステムを組みました。SWAgTiと名付けました。面白いのは、ガイドはしないけれどもディザーはするという、これまた変わった方法を取りました。これは縞ノイズを回避したいという要請からです。でもガイドする手間は省きたくて、最初はSharpCapを使ってかなり苦労して実現しました。その後、NINAでも同様にガイド無しディザーができることがわかり、ある程度システムとしては完成しました。軽くて300mm程度の短焦点鏡筒は、もうこのシステムで手軽に撮影するので十分です。


画像処理関連

画像処理でも、全く新しいこと、あまり知られていなかったことをいくつか取り上げています。縞ノイズの原因の一つが、暗い中で撮ったノイジーなフラットファイルであることを突き止めたり、BXTとDrizzleを併用すると更にBXTの効果が引き出されることや、ビニングについての解説などです。他にも、PCC時代にセンサー間の応答の違いの問題を指摘していて、今のSPCCのようなものが必要だと予言していますが、本当に思ったより早くSPCCで実現されたのはビックリでした。彗星の画像処理ではLarson-Secaninaフィルター原理の説明もしていて、核の回転がよく出ている画像を示しています。

上のことはTips記事にも書いてありますが、画像処理では各々記事で毎回色々議論しています。細かいことが多すぎて探りきれないので、またいい記事に気づいたらTips記事に追加していきます。例えば、LRGB合成に関する議論なんかは面白いと思います。LRGB合成はノンリニアで処理すべきという意見なのですが、私としてはまだ完全に納得できていません。


その他、細かいアイデアなど

まだまだこのブログで提案してきたアイデアなどはたくさんあります。個々それぞれの記事は基本的に「何か新しくあったこと」を書くようにしているので、細かいテクニックなどは普段のブログの記事に埋もれていることも多いです。細かいことを全部挙げるとかなり多いので、最初に述べたように別途記事にTipsとしてまとめました。本記事と多少重なることもあるかと思いますが、これまでの10年に限らず、新たに出てきたことも追加していこうと思っていて、今後リファレンス的に参照してもらえれば嬉しいかなと思います。




まとめ

こうして振り返ってみると、10年間で一貫していたのは、流行りの機材を紹介することではなく、実際に試し、測り、考え、失敗も含めて公開することだったのかもしれません。今後も同じように、まだ誰もきちんと整理していないこと、自分で納得できていないことを、一つずつ試して記事にしていければと思います。

2026年5月16日(土)、この日は所属する富山県天文学会 (県天) の観望会で、牛岳に集合です。主な目的は会員同士の交流です。


ずっと牛岳に行っていなかった

前回牛岳に行ったのは、いつのことかもう忘れてしまっているくらいで、本当に久しぶりの牛岳です。牛岳は、2016年に星を始めてから最初に行った地元のメジャーな星見場所で、基本のような場所だったはずです。

このブログで記録を調べてみると、最後に牛岳に行ったのは、2022年のゴールデンウィークでした。コロナが少し落ち着いてきたところでしたが、まだその後もコロナが続いたこと、その後体調を壊したこともあったのでしょう。実は去年も同じ時期の5月24日に牛岳で観望会が計画されていたのですが、記録を見たら雨で中止になっていました。それにしても2022年以来、4年ぶりとは信じられないくらい月日が早く経ってしまっていることにびっくりです。


準備と到着、そして火事

この土曜日は朝から太陽撮影で、次の日の日曜も晴れそうで朝から太陽撮影の予定なので、夜の星の方は相変わらずあまり気合いが入りません。一応機材は持っていきますが、前半はまだ夏の星座には早くて銀河がメインになるのに、撮影用に持っていったのはε130DとRedCat51で、短焦点鏡筒だけです。もしかしての時の電視観望のFMA135は車に積みっぱなしにしています。まあ、夜中からの後半に短時間撮影できたらラッキーというくらいでしょうか。

牛岳の山頂に近いスキー場のリフトの降り口の駐車場に到着したのは、18時半くらいでした。すでにSさんが到着していて、もう機材まで設置済みでした。

展望台もあるこの駐車場は、県天メンバーだけでなく、他の一般の人もたくさん来ます。展望台まで登ってしまえば南側の天の川がよくみえるのですが、機材が設置できる駐車場では南側が建物で塞がれていて、南の低空撮影は難しいです。かといって、北は街明かりで明るいので、天頂近くなどある程度高度がある天体を狙うのが手です。

もし南の低空を狙うなら、50mくらい下に下がったところがいいのですが、そこだと今回の目的の交流は難しいです。まあ撮影するなら夜中に移動すればいいかと思い、この駐車場では機材を出すのも躊躇していました。

到着後けっこうすぐに気づいたのですが、まだ明るいうちから北の眼下の遠くに大きな火の手が上がっています。火事です! 双眼鏡でも見てみますが、かなり遠くなのでイマイチ状況がわかりません。そうか、望遠鏡があると思い、RedCat51とカメラで見てみました。どうやら高岡の中心あたりで、高岡駅のもう少し北側でした。

スクリーンショット 2026-05-16 192109
駅の大きさと比べても、燃えている範囲がかなり広いのがわかります。メンバーに高岡に住んでいるという人からの写真なども届き始め、どうやらお寺が燃えているとのこと。火は全然消える様子もなく、暗くなって目では火が小さくなったようには見えても、画面ではずっと赤い火が見えていて、画面で火の手が見えなくなったのは21時近くのことでした。無事に鎮火できてよかったと思っていたのですが、あとでニュースで見たら、出火が18時45分で、実際の鎮火はそれから8時間40分も経ってからだそうです。


まったりモードで、一組のお客さんが

その後も、他のメンバーの機材を見ながら話していたくらいで、私自身は特に何をするでもなく、ものすごくまったりしていました。

肝心の天気はというと、低空はガスっていてほぼ全滅で、北極星の下に星が何も見えないとか、ちょっと変わった状況でした。それでも天頂付近はよく晴れていて、撮影しようと思えば十分でき、三つ子銀河とかは狙い目だったと思います。でも持ってきている機材が機材で、短焦点なので結局RedCat51を出しっぱなしにして、ほったらかしでした。

途中、学生のカップルが来て、メンバーのSさんのμ210で木星を見てもらっていたのですが、なんか微妙に詳しくて反応がいいので、もしかしてと思って聞いてみました。なんでも昼間は科学博物館に行ってプラネタリウムで星の解説を聞き、夜は星を見にきたそうで、今どきの若い子にしては珍しいくらいの感心のデートコースです。さらに聞いてみると、男の子の方は天文を研究している地元の富山大の院生で、銀河が専門のようです。研究だけでなく結構実際の星にも興味がありそうだったので、県天メンバーも集まってきて、星や星座のことをいろいろ話していました。

もうそのころにはベガはかなり上の方まで昇っていたので、星座ビノでこと座の形を見てもらい、Sさんがμ210ですぐにM57を入れてくれたので、見てもらいました。

さらにμ210でM13も見てもらったのですが、Y会長が「昔は裸眼でM13を見ていた」と言うので、M13を星座ビノで探してもらいました。星座アプリで「ヘルクレス座の中心の四角形の上の2つの星の、真ん中から少し左より」と位置を確認しながら探したのですが、星座ビノだけだとちょっと厳しそうでした。そこで、四角形の上の2つの星の位置を改めて確認してもらい、双眼鏡を渡しました。最初は倍率が上がったので、その2つの星の特定にてこずってましたが、やがて二人とも2つの星と四角形の位置がわかり、無事にM13も双眼鏡で見ることができていました。双眼鏡で見ることができると、改めて星座ビノで見てもわかるようになるはずで、無事に二人とも星座ビノでも認識できているようでした。

二人ともかなり反応が良かったので、私も少しやる気が出てきて、せっかくなのでCGEM IIにセットしてあったRedCat51を取っ払って、代わりに全然サイズがあっていないFMA135を載せて、電視観望でM57とM27と北アメリカ星雲を見ました。

スクリーンショット 2026-05-16 225126

スクリーンショット 2026-05-16 230050

二人とも、すごく喜んでいました。

21時台の早い時間から来ていたこのカップル、天の川が見たかったらしいのですが、「天の川が見えるのは23時頃ですよ」と言うと、「あと2時間もあるのかぁ」と残念がっていたのですが、こんな風にいろいろ見てもらっていたら、いつの間にか天の川も昇り始める時間になっていました。南が見える展望台の方に一緒に行くと、低空はまだ少しガスってましたが、うっすらと天の川の存在もわかりました。女の子の方は天の川を見たことがなかったらしくて、さらに流れ星もこの日生まれて初めて見たとのことで、とても喜んでいました。


結局そのまま帰ることに

気づくともう0時前になっています。残ってるメンバーもだんだん少なくなってきました。撮影をするか少し迷ったのですが、そこまでの空ではないせいか、皆さんももう帰るそうです。一人だとクマも怖いので、私も片付けることにし、0時過ぎに牛岳を後にしました。少し車で下ったところで改めて外に出て東から南の空を見ると、天の川がかなり濃くなってきていました。そういえば今年初の天の川だったことにこの時気づきました。

自宅には1時頃に着いて、結局寝たのは4時前くらいでした。朝は結局8時頃になってしまいましたが、この日も太陽撮影でした。太陽のことは、また別の記事で書こうかと思います。


趣味として星を始めたのは2016年のゴールデンウィークのことです。今年2026年のゴールデンウィークで丸々10年経ったことになります。月日の経つのは本当に早いものです。

これまで年間のまとめはしてきました。ここに10年分の年間のまとめをまとめたページがあります。

こちらを見ると何をやってきたかがある程度わかるのですが、これでも内容的には多すぎるので、今回から数回の記事で、この10年間の天文生活を俯瞰して書いておきたいと思います。


天文趣味のはじまり

2008年にアメリカから帰国して、富山の暮らしを始めました。趣味として広い庭を利用してラジコンカーに走ったのですが、今ではいつくらいから始めたのかも忘れてしまいました。そろそろ何か他のことをしたいと思っていたのが2016年でした。ラジコン趣味の時の反省は、
  • 何も記録を残していなかったので昔のことは記憶が薄れてしまうこと
  • メーカー縛りが激しくもっと自由な趣味にしたかったこと
  • 技術的な根拠を求めようとしても、趣味全体としてあまりその方向には行かないこと
  • 基本的にドンくさいので、レースみたいなタイムアタックではなく、もっと落ち着いて考えることができることをやってみたかった
などから、天文を趣味として、今度は「きちんと記録を残しておくこと」にしました。これがこのブログを書き始めたきっかけです。なので最初はブログの目的は記録でした。

2016年4月末、実家の名古屋にあったスコーピオで、「最初はポルタがいいよ」という店長の言葉を全然無視して、赤道儀と20cm反射鏡筒を買って始めたのですが、この天文という趣味はかなり自分の性格に合っていました。
  • 見えないものが見えるという探究心をくすぐること
  • 宇宙というキリがないものを扱うこと
  • 突き詰めていくと技術がベースになっていること
  • 自分で考えた技術改善で、効果が目で見てわかり実感できること
などです。特に、最後の「自分で考えたこと」を「自分で確かめることができる」ような、ちょうどいい規模感が心地よく、10年経った今でも飽きることもなく、まだまだ続けることができそうです。

10年間で何をやってきたかを、まずはテーマ別に振り返っていこうと思います。


電視観望

私にとって電視観望はこの10年間のライフワークだったと言ってもいいでしょう。2016年の、それこそ星を始めてすぐの胎内の星まつりで、一眼レフカメラの出力をHDMIでカラーで星雲を見せていたことに刺激を受け、自宅に帰ってすぐに惑星撮影用に持っていたASI224MCをBKP200に取り付けて試してみました。意外にも簡単にM57やM27が色付きで見えたのにかなり衝撃を受けました。

その後、大きな口径もあまり必要なく、焦点距離はむしろ短い方がいいということに気づき、同じ年の2016年10月にはすでに口径6cmのFS-60CBをメインに移して、その後電視観望の基本的な技術をずっと公開してきました。電視観望は、星まつりでのデモでは天文マニアに注目を集め、



観望会では観望方法の一つになっていきました。


その後何度か講演などにも呼ばれ解説してきました。特に、最初の小海での講演は短時間でしたが、重要なコンセプトはほとんど詰め込んでいます。


内容は今読んでもあまり遜色ないかと思います。


その後も、
など、電視観望関連で全国で多数の講演をしてきました。

2021年には今も常用形態のFMA135を使った口径わずか30mmのミニマム電視観望体制に移行しています。今のスマート望遠鏡のSeestarS S30やDWARF3も口径30mmや口径35mmで焦点距離も似通っているので、行き着く先はまあ同じなのでしょう。Seestar S30やDWARF 3の発売開始が2024年の夏以降なので、かなり以前からその状態に辿り着いていたということになります。もっと言うと、eVscpeが2018年頃の発売で、その頃はまだ100mmという大口径を売りにしていました。ほしぞloveログでは2016年以降はすでに小口径の60mmに舵を切っていて、その後Seestar S50が2023年9月にやっと50mmで小口径に舵を切って、その後もスマート望遠鏡全体の小口径化が進んでいったので、この方向性は当初からかなり正しかったと言えそうです。

カメラは最初こそASI224MCでしたが、2017年にASI294MCが出てからは一気に世界が変わりました。フォーサーズという大センサーサイズを利用して、より広範囲で見えるようになったのです。これまでのASI224MCが1/3インチサイズだったので、一辺で4倍、面積にするとざっくり16倍の範囲が見えるようになったのです。これまで見えにくかった大型の天体、アンドロメダ銀河や、オリオン大星雲、バラ星雲などが一度に捉えられるようになりました。その後、焦点距離はさらに短くてもいい方がさらに広範囲も見えることがわかりFMA135に移した際に、カメラも無理をせずに少し面積の小さいUranus-Cに落ち着きました。スマート望遠鏡では、最近発売開始のSeestar S30 Proが、Uranus-Cと同じIMX585センサーを使いようやく面積を増やそうとしています。カメラセンサーがコストに一番効くはずなので時間がかかったことも理解できますが、ほしぞloveログで常用しているセンサーと同じところに行き着いたということは、やはりこの方向がある意味最適解に近いということになるのかと思います。

電視観望は、観望会にある意味革命を起こしたといっていいのかと思います。観望会は安全を考慮して、明るい街中で行われることの方が多いのですが、一般の人にも星雲や星団、銀河など、暗いところに行って大口径の望遠鏡を使ってしか見えないようなものまで、モニター上にはなりますが、リアルタイムで見せることができるのです。一般の人が驚くだけでなく、天文マニアにとってもかなりインパクトは大きかったようで、その後各地の観望会で電視観望が普通に試されるようになっていきました。ここら辺はこのほしぞloveログが貢献できたところかと思っています。

その後、スマート望遠鏡が出てきて、さらに多くの人が気軽に電視観望相当のことができるようになりましたが、実は現在のスマート望遠鏡のメインの使い方は、私が考えていた電視観望の使い方とは違うように感じています。電視観望は原則はあくまで観望会のためと思っていて、撮影のようなことも何度か試してブログ記事にもしていますが、やはりあくまで観望会でその場で見ることがメインです。一方、スマート望遠鏡はその場でのリアルタイム観望というよりは、天体写真撮影が簡単にできるというのがメインの気がしています。まあ、機器構成はかなり近いものがあり、大きく違うところはソフト部分で、スマート望遠鏡のハードソフトあわせての一体型設計で体験できる簡単さというのが、撮影を簡単にするというところに大きく貢献しているのかと思います。私は撮影は別機材にしてしまうので、スマート望遠鏡や電視観望機器に対して、撮影での要求はほぼないので、ここら辺がメインの使用方法の違いにもつながっているのかもしれません。


DSO撮影

このブログは電視観望がメインのように扱われてしまうことも多々あったのですが、実際にはDSO(Deep Sky Object、星雲・星団・銀河のこと) 天体写真撮影もかなりの数をこなしています。

初のオートガイドをつかた本格的な長時間撮影は、星を始めた年の2016年11月のことで、FS-60Q+EOS 60Dでアンドロメダ銀河とスバルを撮影しました。その後カメラはフルサイズの天体改造6Dになりましたが、撮影用のカメラといえばしばらくの間は一眼レフカメラオンリーでした。その後、電視観望目的で買ったASI294MCが感度がいいので撮影に使ったりもしましたが、Proでない常温モデルなので、撮影に本格的に使用するには至りませんでした。

その後、冷却カメラのASI294MC Proを手に入れたのは2019年1月でしたが、評価ばかりしていて、実際の撮影に冷却機能を使ったのはかなり後で、2020年3月のことでした。結局、撮影にCOMSカメラを使いはじめることができたのは、やっとこの頃のことになります。でもこれには理由があって、当時CMOSカメラのディザー撮影に対応していたソフトがほとんどなかったのです。その一方、6Dの場合はBackYardEOSというソフトがディザーまで安定にできていたので、なかなかCOMSカメラに環境を移すことができなかったというのが正直なところでしょうか。私はAPTでやっとまともなCMOSカメラの撮影を始めることができました。APTは課金までしたのですが、そのすぐ2ヶ月後の2020年5月にはNINAに移ってしまい、そこでやっとCMOSカメラで安定した撮影環境が構築できたといっていいでしょう。今となってはなかなか考えられないですが、当時はまだCMOSカメラの撮影に模索していたのです。まだわずか6年前のことですね。

この当時でもまだしばらくの間はカラーカメラだけで、モノクロカメラを手に入れてナローバンド撮影を始めたのはそこから1年半くらい経った2021年10月のことです。RGB撮影を始めたのは2021年11月LRGB撮影はそこから1年後のことで2022年10月です。こうやって見ると思ったより最近で、この理由はひとえに財政的なことによります。要するにカメラと、フィルターホイールと、フィルターをRGBとナローバンド全部揃えるのが大変だったというわけです。

せっかく揃えたナローバンドですが、HOOはまだいいのですが、SHOはハッブルパレットなど、色使いがいまだにあまり好きになれずに、作例はごくわずかしかありません。LRGBやRGBにHαやOIIIを混ぜる方が多いでしょうか。その後、フルサイズのASI6200MMを手に入れて、こちらを2インチフィルターのセットでε130Dに、ASI294MMの方はSCA260に取り付けて2023年5月ころから稼働しています。

撮影用の機材はどんどん高価になり、どんどん大型化していきます。その一方で、お手軽撮影の方向にもいくつか走っています。電視観望でライブスタックを利用して撮影するのも一つですし、SWAgTiと名付けたSWATとAZ-GTiをくっつくて、SWATの追尾精度とAZ-GTiの多機能性を活かし、ガイドなしで3分間露光を実現したりしています。

ガイドは無いけれどもディザーは有りという少し変則的な撮影方法ですが、ガイド教を使わなくて良かったり、鏡筒にRedCat51を使いカメラにUranus-C Proを使って周辺減光がほとんどないようなセットアップで撮影しているので、フラット補正もダーク補正もせずに、画像処理も楽になるようにして撮影したりしています。明るい天体はいいのですが、やはりある程度淡い天体はこのような簡易撮影では厳しいので、ε130DやSCA260などの光景が大きくかつF値が小さい鏡筒で撮影しています。


太陽

太陽を始めたのは2018年2月と、今思うと意外に初期のころで、星を初めてから2年も経たないころです。その前の年の2019年の福島の星まつりで太陽を見せてもらって興味を持ったのと、富山の冬が全然晴れないことに郷を煮やして、せめて昼間でも何か楽しめないかと考え、たまたま出ていた中古のジャンクのPSTを手に入れました。暗くて見えにくいという理由でジャンクになっていたのですが、例によって手に入れてわずか2日後には分解していて、その後BF (ブロッキングフィルター) を清掃したら、十分使えるようになりました。

でも口径4cmで撮影できる像は限られていて、なんとかして分解能を上げたくなり、PST modとよばれている大口径化を目指しました。PSTを手にいれてわずか20日後のことでした。最初は口径8cmで分解能が上がることを確認し、4月にはすぐに10cmに移行しました。順調に分解能も上がり、2018年6月、次にC8で口径20cmを目指しましたが、ここで赤色のフィルターを熱で割ってしまうという事故があり、それ以降は大口径化はしばらくの間お蔵入りになっていました。

大口径に動きがあったのは、事故から2年半近く経った2020年11月のことで、吸収型のフィルターを使わずに、反射型のフィルターにすればいいと思いついたときです。UV/IRカットフィルターを入れて熱をある程度入射側に逃してやることで、エタロンなどを損傷することなくC8をPSTを接続することができ、これまでとは比べ物にならない分解能を実現することができました。

これらの成果は天リフさん主催の2021年6月の『天リフ超会議「ガチ天2021」』において「太陽Hα分解能への挑戦」というタイトルで話させていただきました。他にも太陽関連の講演として2025年2026年のCP+で話させてもらっています。2025年は主にフェニックスについて、2026年は主にヘリオスター100Hαについて話しましたが、ヘリオスターでは3分周期の黒点振動というのが撮影でき、大きなインパクトがありました。

C8やヘリオスターなどある程度口径が大きくなると、分解能はもう口径リミットではなく、シーイングリミットになることが多く、いいシーイングを探す方法を模索しました。2025年4月にC8で、2026年2月にヘリオスターで試し、1時間で100枚オーダーで撮影すると、そのうち数枚レベルでものすごくいいシーイングをキャッチできることがわかってきました。

太陽で大きな機転があったのは、2025年4月にSHG700を使った分光撮影に手を出したことでした。

数年前にSol'Exが流行った時代があったのですが、その時は解像度を出すのが難しそうだったので見送りました。SHG700は重要な調整自由度にマイクロメーターを使うなど、Sol’Exの弱_点を克服して、分解能を出しやすく改良しています。分光撮影は波長を分けて見ることになり、その波長の中にはもちろんHαを含めることもでき、波長を広げることでさらに多くの太陽の様々な側面を見ることができます。Hα周りの短波長側も超波長側も同時に見ることができるので、うまく処理するとドップラーシフトを見ることもできます。このドップラーシフトは太陽が自転していることとも関係していたり、これまでと普通に単に望遠鏡で見る撮影方法とは違い、見えるものが全く違ってくるので、かなり面白いです。鏡筒は最初FC-76で始めましたが、その後さらに口径の大きいTSA-120に拡張することを模索しています。

その後、再びHα望遠鏡に戻って今に至るのですが、PSTエタロンはもうかなり昔に設計されたものなので、半値幅が大きいというのと、面内精度がイマイチという不満がありました。CP+で使わせてもらったフェニックスがかなり良かったので、結局自分で購入してしまい、最近はこのフェニックスのエタロンを使って、PSTエタロンと同じような大口径化することを考えています。こちらも20cmまで持っていきたいのですが、ちょっと大変そうだということもわかってきました。


惑星

このブログでは惑星についてはあまり取り扱っていませんが、鏡筒と赤道儀を手に入れてすぐの2016年5月、一番最初の本格的な撮影は惑星でした。20cmニュートンのBKP200では直焦点撮影で点のようにしか写りませんでした
IMG_0357
初めて撮った土星です。え、何も写っていない?
画面をクリックして拡大してみてください。

その後、拡大撮影を試みたのですが、全然綺麗に撮れません。焦点距離が足りないと理解して、2ヶ月後の2016年7月には中古のC8に手を出しました。C8も同じ20cmですが、こちらも最初は全然と言っていいほど見えませんでした。中古で安く手に入れたものだったので、半分壊すようなつもりでほぼ全バラ状態にして、どこをどういじればよく見えるようになるかを学ぶことができました。

こうやって振り返ると、わからなかったら分解してでも突き詰めるというのは、最初の頃から今に至るまであまり変わっていない気がします。それに加えて、C8と同じく7月にCMOSカメラのASI224MCに手を出したのが、一つの大きな転換点でした。一眼レフカメラで撮影した惑星は、どうやっても細かい模様が出なかったのです。あとで、一眼レフカメラの動画は圧縮されているとわかって、CMOSカメラのRAWで動画を撮ることがいかに重要かを実感することができました。こうやってとうとう、圧倒的に高画質な土星が撮れたのです。これが沼にはまった瞬間だったのだと思います。


全体を見てみると

上記の4分野の他にも、もちろんいろいろやっています。星景や月や彗星は定期的にブログ記事になっていますし、読み返すと眼視ネタもたまにあったりします。でもいずれも数が多いわけではないので、まとめようとするとちょっとネタ不足です。

機材関連はたくさんネタがあるので、これは別にまとめようと思っていますし、画像処理とかのソフト的な話もたくさんあります。でもこのブログのテーマでもあるように、単にやったと言うだけでなく、なぜこうなったかとか、どうしたらいいのかというのが、記事としては面白かったのではないでしょうか。

あ、ついでにこのブログの方針みたいなことも少しまとめておきましょう。元々は日記のようなものでしたが、機材とかの細かいことを書いていると、やはり読んでくれる人が増えてくることがわかってきました。そして意外にも、自分で得たの経験が他の人の参考にもなるのだと気付いてからは、読者のことにも気を使って記事を書くようになりました。自分だけのことだと大抵独りよがりになってしまうので、多少長くなってもやっていることが伝わるように、わかりやすく詳細に記事を書こうというのをずっと心掛けてきました。根本のところは、見えないものが見えてくるのが楽しいので、なにか自分で改造などして、その成果を撮影などで確認するというのがパターンになっています。

自分で考えてやることが基本なので、自分にとっても新しいことが多いです。当然他の人にとっては初めてのことのように映ると思うので、できるだけわかりやすい文章にすることがとても大切だと思っています。進歩が好きなので、逆にいうと同じことをやるのは結構苦痛だったりします。なので、なんの進化もなく同じ天体を写すとかはこれまでもほとんどないのかと思います。太陽は刻一刻と姿を変えるのですが、それでも記録的に義務みたいに撮るのはあまり気乗りしなかったりもします。じっくり観察するという天文向きの性格ではないのは自覚しています。やはりどちらというと物理屋っぽい考えなのかと思います。

進化すること自体が面白いので、手法には全然こだわっていません。電視観望もあくまで一手法として面白かっただけで、これが全然別の、あまりやってこなかった例えば眼視や双眼鏡に夢中になっていた可能性もあります。太陽はその典型的な例でしょう。ここまで夢中になるとは思っていませんでした。面白くなると集中してしまうのも悪い癖で、今は本当に太陽がメインで、夜の撮影はかなり怠けてしまっています。太陽が一段落したら、また別のテーマを見つけるかもしれないですし、もしかしたら天文趣味以外に道を見つけることもあるかと思います。要するに自分がいいと思ったことをやればいいと思っているので、他人のやることに口を出すこともあまりしたくありません。

あ、あまりブログ記事になっていないことがありました。人に教えることです。特に画像処理とかでしょうか。いくつかは記事にもなっていますが、記事になっていない(していない)ことの方がはるかに多いです。画像処理はオンラインでできるので、休日前の明るい月の時は、結構知り合った人と夜に画像処理でいろいろやっていたりします。個人的な付き合いなので、記事にしないことが多いです。

あと、こちらはまだ記事にも随所に出てきますが、子供たちにいろいろ教えることも大好きです。記事にしていないローカルな教育っぽいこともたくさんやっています。子供だけではないですね、自分が理解したことを伝えるのも好きなので、講演や直接人と話す機会をできるだけ設けて話すようにしてきました。全国に星友がたくさんできたのも、ブログにこまめに記事を書いて、それをネタに話してきたからかと思います。

一言でいうと、かなり幸せな10年間でした。

宇宙というあまりに広い道の場所を探索しているので、富山のような田舎でも全くつまらないこともなく、充実した趣味生活を送れているのかと思います。


振り返り (その1) のまとめ

春頃からのんびりとこの記事を書き始めたのですが、いつもの悪い癖で膨大になりすぎてしまい、連番でいくつかの記事に分けることにしました。今回の記事は、やってきたことのテーマ別の話です。

でも書いていて、何のために書いているのかちょっと自問自答していました。本来は自分の振り返りなのですが、自分自身だと過去ブログを読んでいれば大体把握できる気もします。じゃあ、このブログを読んでいる人向けにまとめがてら見てもらうためかというと、まあそんな気もしています。でももしそうなら、もう少し10年を見渡しての新規のことを書けばいいと思うのですが、振り返ってまとめるだけで精一杯で、あまりうまくいきませんでした。

それでも一区切りでまとめておく価値は、たぶん将来見たらあったと思うと期待することにして、懲りずにもう少し書いていこうと思います。

次回はこのブログで提案してきたことを中心にまとめるつもりです。今の所3回分の記事で収めるつもりですが、どうなることやら。さすがに10年は長いです。


春です。暖かくて天気がいいです。観望会の季節です。

前日金曜に引き続き、2026年4月25日の土曜も観望会に参加です。この日は富山市科学博物館で毎週行われている定例の観望会です。前日の駅前観望会終了後、Xで知り合いの4月から高1になったMちゃんから、科学博物館の観望会に行くとDMが来ていたので、2日連続になりますが私も参加することにしました。

冬の間はなかなか天気に恵まれなくてここしばらく参加していなかったので、久しぶりの参加になります。


準備は楽々

準備は前日のセットアップそのままの、FC-76とASI294MCをAZ-GTiに載せたものです。実は昨日の観望会用には念の為にC8とCGEM IIも持っていっていました。銀河がうまく見えなかったり、惑星に振ったりしたくなったときの予備の機材です。でも結局全く使うようなことにはならなかったので、C8とCGEM IIは車から下ろして少し身軽に出発します。

そうそう、出発前に一つだけやることがありました。前日の観望会で気付いた、CMOSカメラのホコリ取りです。保護ガラス面についているもので、淡い天体を炙り出すと黒い丸になってしまって、見栄えが悪いです。頑張って掃除するといくつかのホコリは除去できたのですが、保護ガラスの内側に入り込んでいるホコリもあるようです。しかも清掃中の画面をよく見ると、センサー面に直についていると思われる小さな黒い点がいくつかあります。保護ガラスは外したことがないはずですが、どうやって入り込んだのか不思議です。まあ時間もなかったので、取れないホコリは諦めました。

この日も18時くらいには科学博物館に到着しました。19時半から開始なので、ちょっと早いかと思いましたが、県天メンバーのKさんはすでに到着して準備を始めてました。Kさんは昨日も来ていたので、同じく2日連続です。徐々に日が落ちてくると、科学博物館の職員さんも機材を出し始めます。

IMG_2916

私ものんびりと準備を始めます。と言っても、前日とほとんど同じセットアップなので、迷うこともありません。


科学博物館の観望会には面白い子達が

この観望会のメインのターゲットは、星や宇宙に興味がある子供達です。せいぜい小学生までで、中学生以上は稀です。

そんな中、まだ準備をしている明るい最中に、今日の観望会に誘ってくれたMちゃんが到着しました。一人で来ていたようなので聞いてみると、朝からバスで一人で科学博物館に来ていて、さっき夕食を済ませて、今また帰って来たとのことです。理系志望と聞いていましたが、やはりこういった科学館系もかなり好きなようです。名古屋市科学館はまだいったことがないとのことなのでお勧めしておきました。あそこは1日中いても飽きません。そういえば、先月東京上野の国立科学館に行ったのですが、もちろん展示も素晴らしくて面白いのですが、個人的には名古屋市科学館の方が好きだったりします。でも、地元で子供の頃から通っていたからなのかもしれません。

富山市科学博物館の観望会は、基本は小学生やさらに小さな幼児がほとんどなので、当然親御さんが連れてくるのですが、ご両親も天文にある程度興味がある方が多いです。まあ当然と言えば当然で、よほど好きな子供に引っ張られて連れてくるか、もしくは親が元々興味があって子供に勧めるかで、前者は稀で、普通は後者が多いかと思います。でもそんな中、今日も強烈な子が一人いました。

まだ暗くなりきらない明るいの電視観望でオリオン大星雲を見せていた時のことです。
スクリーンショット 2026-04-25 194227

「今見えているのがオリオン大星雲です。」と説明すると、すかさず小さな女の子が「M42!」というのです。聞いたらまだ小学2年生だそうです。話していると、他にもいろんなことを知っているみたいで、M3とか球状星団みたいなマイナーなのも知っています。SCOPETECHで月を見てもらうと、すぐに微動を覚えて、次はピント調整もマスター。最後は可変倍率のアイピースで月を拡大して、ピント合わせまで全部一回の説明で、いとも簡単にマスターしました。

結局この子がこの日の屈折望遠鏡担当で、私はほとんど触る必要もなく、ずっと月を見どころの位置に保ってくれていました。
IMG_2917

オリオン大星雲は沈んだところが結構大うけで、木々の間に見えるオリオン大星雲でなぜか盛り上がりました。
スクリーンショット 2026-04-25 195229
木の隙間からわずかに見えるオリオン大星雲。

この熱心な女の子、電視観望で見る銀河も興味津々みたいです。M42を知っていたので「M51って知ってる?」と聞くと、どうやらわからないみたいで「子持ち銀河って言うんだよ」と穏やかに説明しながら「勝った」と大人気なく心の中で思ってしまいました(笑)。

M51の腕が見えてくる最中もずっと見てくれていて、本当に宇宙が大好きな様子でした。
スクリーンショット 2026-04-25 202011

「一番好きな星座はいっかくじゅう座。」というので、「いかっくじゅう座にバラ星雲というのがあるんだよ。せっかくだから見てみようか!」と言って、まだギリギリ西の空に残っているバラ星雲を見てみました。さすがにかなりの低空で淡淡でしたが、しばらくライブスタックしていくと、輪郭だけはなんとなくわかって来ます。隣にPCで以前撮影したバラ星雲と並べて見ると、形がはっきりと認識できるので、淡いリアルタイムのものを見てもなんとなく形がわかって来ます。

スクリーンショット 2026-04-25 203350

観望会もだんだん終わりが近くなり、バラ星雲も沈んでいきます。最後はM101: 回転花火銀河に挑戦です。この日は反省するところがあって、AZ-GTiの水平を全く取っていなかったのです。なので、導入のたびにちょっと離れたターゲットは、平気で数度以上ずれてしまいます。M101はかなり淡いので、画面内に入っているかどうかさえわかりません。プレートソルブを何度か試して、やっと多分これだと言うのが画面で確認できました。本当はこんな時は、プレートソルブをした後にアノテーションして天体の名前を表示してやればいいのです。

まぁ今回は一応苦労もしましたか、無事にM101を画面の真ん中に持ってきて、ライブスタックを開始しました。でもM101はM51回転銀河と違って、面積はあるものの輝度は低く、多少ライブスタックをしてもなかなか画面に出てきません。かなり待って何とか淡い広がりがあるのがわかってきて、その後観望会収終了まで放っておいたら、最後にはやっと腕の形がわかるようになってきました。その時の画像が以下になります。右がライブで左が以前撮影した参照画像です。

IMG_2918

でもその頃にはお客さんもほとんどいなくなってしまっていて、M101の腕が出た所まではあまり見てもらえなかったのが残念でした。

もう一つ反省点です。オリオン大星雲やバラ星雲を見るときは、光害フィルターとしてCBPをつけました。銀河を見る時は外します。それはそれでいいのですが、駅前の観望会の時と違ってさらに1.25インチのUV/IRカットフィルターを何の気なしに入れてしまいました。どうもこのUV/IRカットフィルターで光が少し蹴られてしまっていたみたいで、強度に炙り出すとリング状のカブリのようなものが目立ってしまいました。多少星像がマシになるかなと思って付けたたのですが、ほとんど改善がなかったので、ASI294MCのような大きめのセンサーサイズの場合は1.25インチのフィルターは注意してつける必要がありそうです。


後片付け

科学博物館の観望会は21時ぴったりに終了です。お客さんも子連れの方が多いので、21時ぴったりにはほぼ誰もいなくなっています。後片付けで車で3往復ほどし、その後は事務室に集合し、他のボランティアの方や科学博物館の職員さんと少しおしゃべりし、21時半過ぎには帰路に着きました。

今週末はずっと天気が良かったので、2日連続の観望会と2日連続の太陽撮影と、非常に充実していました。さすがに夜中は(月もある程度出ているので)寝ていました。

次の日曜も朝から太陽です。いろいろ面白いことやったのですが、ネタが多すぎてブログ書きが全然追いついていません。焦らずに今週平日にゆっくり記事にしていこうと思います。



今年度初めての観望会です。今回は富山県天文学会恒例の、富山駅前のゲリラ観望会です。

ゲリラ観望会は2019年に始まり、


その後コロナであまりできなくて、2024年に復活しています。復活までの間にもう一回行われているはずですが、確か出張で富山にいなくて参加できませんでした。



2025年も、春と秋の2回開催されていますが、両方とも天気が悪くて独立した記事にしていませんでた。



準備

少し前の週間天気予報だと、4月24日金曜日は雨の予報でした。でも日が近づくにつれ、どんどん晴れの予報になってきます。前日にはもうずっと晴れの予報でした。

機材の準備なのですが、何を持っていくか迷いました。月は上弦なので開始時に南天くらいのはずです。土星は出てないですが、木星は見えます。でも春なので、電視観望が得意な星雲がほとんどありません。オリオン大星雲が沈むくらいなのですが、高いビルに隠れてしまって西の空はほぼ全滅です。春はやはり銀河がメインです。実は2024年のゲリラ観望会の時にいつものFMA135で全然見えなかったという痛い思いをしているので、今回は銀河をターゲットに電視観望機材を選ぶことにしました。

駅前で相当明るいので、S/Nを稼ぐためにはできるだけF値の低い明るい鏡筒がいいです。焦点距離も長い方がいいです。でも口径が大きいと大きく重くなります。今回は少し離れた駐車場から歩いて機材を運ぶので、あまり大袈裟なものだと移動だけで大変になります。あと、撮影ではないので赤道儀は必須ではなく、経緯台でも十分です。

いろいろ迷ったのですが、FC-76にしました。昔、ジャンクで買った白濁FC-76です。使い勝手がとても良く、今でも太陽分光撮影で大活躍しています。レンズを見ると目立つ白濁も、実際に覗いたり撮影したりすると、全く気になりません。大きさ的にも大したことはなく、AZ-GTiで十分駆動できます。街中で電視観望で銀河を見るだけなら分解能もそこまで必要ないので、これで十分でしょう。あとは、子供に望遠鏡を触ってもらうために、いつものSCORPTECHの2つ穴ファインダーの屈折経緯台を持っていきます。

もう一つ、大きな準備がありました。2025年のゲリラ観望会は春も秋も2回とも天気が悪くて、スライドショーをお客さんに見せていました。自分で撮影した画像を見せていただけなのですが、春は24インチのモニターでしたが、秋はプロジェクターと大スクリーンで見せることができて、結構好評だったと思います。お客さんにこれだけ注目されるなら、他の県天会員の画像も見せたらいいのではと思い、直前ですがメーリングリストで画像を送ってもらうようにお願いしました。結果、5人の方から動画を含め、合計33のファイルを受け取りました。全てスライドに入れ、準備万端だったはずなのですが...。


設置と金星

4月24日金曜日、夕方に富山駅前にメンバーが集合します。出発前の直前になって、準備をしておいた荷物を車に詰め込み始めます。18時前くらいに会場に着くと、すでに何人かの県天メンバーが来ていました。早速設置を始めます。

駐車場は駅に隣接した一番近いところなのですが、それでも100mくらいは歩くので、荷物を運ぶのに台車を使いました。自宅にあった安物の台車なのですが、安定性がかなりイマイチで、横断歩道のところで荷物をぶちまけてしまい、大変なことになりました。今後も大きな機材を運ぶこともあると思うので、もっとまともな安定した台車を用意しておこうと思います。

とりあえず荷物を運んで、月だけでも見ようとSCOPETECHを月に向けようとしますが、あまりに天頂付近で、接眼部が低くなり過ぎて導入が難しいです。モタモタしていると、メンバーの一人が「向こうに行って建物を避けると金星が見える」と言うので、そのままSCOPETECHを持って西の空にある金星を見てみました。欠ける様子が見えればと思ったのですが、残念ながらこの日の欠けは片側がちょっと暗くなるくらいで、口径5cmの初心者向け鏡筒では欠けるところまでは見えなかったです。見えていたのは建物に隠れるまでの15分程度でしょうか、何人かのお客さんにも金星を見てもらいました。

IMG_2903


電視観望

定位置に戻って、電視観望の準備です。準備の間にもすでにお客さんが何人かいたので、先ほどのSCOPETECHを、今度は頑張って月を導入し、見てもらい始めました。

今回は上弦の月で、ちょうど月面Xが見頃でした。電視観望でも月を導入し、拡大して24インチの外部モニターにも映し出したのですが、眼視の方が明らかにわかりやすかったです。眼視だとXの文字が光り輝いて見えるんですよね。鏡筒を覗いたお客さんにも、できるだけ月面Xを探してもらいました。子供を含めて、ほとんどの方が見つけることができていました。

木星も見頃だったので、こちらは電視観望でのみ見たのですが、この日はシーイングが悪かったのか、大きく揺れていました。パッとやった限りではSharpCapの月惑星のライブスタックを使っても縞がほとんど見えなかったので、木星は早々と諦めました。他に、大口径の鏡筒を持って来ているメンバーがたくさんいたので、木星に興味がありそうなお客さんには、「月の下に明るい星が見えると思います。あれが木星ですが、この会場であの星の方向に向けている望遠鏡は木星が見えるはずです。興味がある方はどんどん見せてもらってください。」などと言って、木星も見てもらうように誘導します。


銀河

月も見飽きたところで、いよいよ銀河に挑戦です。最初はしし座の三つ子銀河を見てみました。最初はどこにあるか全然わかりませんでした。でも今ではAZ-GTiのプレートソルブが完全に安定しているので、プレートソルブで同期して再導入をかけると、なんとかそれらしいものが見えます。でも流石に駅前が明るすぎるのか、それともまだ薄明終了前で明るすぎるのか、ほんとにうっすらとM65と66が2つ見えるだけで、トリプレットとも言えないし、これを銀河と一般の人に認識してもらうにはちょっと厳しい状況です。

気を取り直してM51、子持ち銀河を導入します。親子の2つ並んでいる様子はわかりますが、これもちょっとみてもらうには厳しそうです。とりあえずライブスタックを開始してしばらく放っておくと、かろうじてですが渦を巻いている様子が少し見えて来ました。ここで気づいたのですが、月を見上げると結構モヤっています。明る過ぎでわからなかったのですが、どうやら薄い雲が一面にかかっているみたいです。そういえば、星という星が、木星以外には一つも見えません。どうやらかなり状況が悪いみたいです。

それでもライブスタックを重ねていくと、かなりゆっくりですが腕の様子が徐々にわかって来ました。そして時間が経つにつれて、薄い雲がなくなっていったようで、途中からは腕の様子がかなりはっきりわかるようになって来ました。

IMG_6325
右のモニターがリアルタイム。
左のPCのモニターが比較用の以前撮影した画像です。

IMG_2911
だんだんこれくらいまで見えるようになりました。
腕もはっきりわかります。

この銀河の電視観望は大成功でした。そもそも一般の方が多いので、銀河なんて見たことがない人ばかりです。まず銀河ということに驚いて、その銀河が見えるということ、しかもこんな明るい駅前で見えるということに驚きます。そしてその銀河が2000万光年も3000万光年も離れているということ、今見ている光は2000万年も3000万年も前の光だということに、みなさん驚きます。

中には、本当に見えているのかと、鏡筒前に手を翳したり、鏡筒を覗き込む人もいます。その度に画面が明るくサチるので、ライブスタックをクリアして最初からやり直しになってしまいます。あと、わかりやすいように隣にMacを置いて、以前撮影したM51の画像を出しておきます。カメラの向きも大体合っていたので形を比較することができ、ライブの方のイメージもわかりやすくなったようです。

一方、反省点もいくつかあります。
  • まず、普段使っていないASI294MCを取り付けたのですが、ホコリがひどくて黒丸が随所にありました。上の画面は銀河周りだけをクロップしているのでわかりませんが、淡い天体を炙り出すとどうしても目立ってしまいます。
  • 炙り出すのにスタック時間がある程度必要になるため、今回はM51のみにしてしまいました。雲が晴れてからはトリプレットも見えたはずなので、挑戦してみても良かったかもしれません。

それでも、月、惑星、恒星以外にも観望会に見えるものを提供するという意味で、形まではっきりわかる銀河というのはかなりインパクトがあるようです。一般の人だけでなく、ちょっと詳しい人や、県天メンバーみたいにもっと詳しい人にとっても、かなりのネタになりました。


たくさんのお客さん

IMG_2909

この日は晴れていたこともあり、本当にたくさんのお客さんが望遠鏡を覗きに立ち寄ってくれました。

駅前で開く観望会の最大のメリットは、とにかくお客さんが多いことです。富山で観望会を開いても、普通はせいぜい数十人くらいが集まる程度ですが、ここはひっきりなしに、数えられないですが数百人は余裕で来てくれます。明るい場所で不利にも関わらず、県天メンバーもこの観望会を気に入っている人が多いみたいで、やっぱりお客さんの反応が嬉しいのかと思います。

今回のゲリラ観望会はほとんど宣伝していないので、そもそもなぜ駅前で望遠鏡が並んでいるかも不思議に思う人も多いです。しかも「無料ですか?」と聞かれることもしばしばです。というのも、金曜の駅前の夕方から夜なので、仕事帰りや学校帰りの方が多く、望遠鏡なんか覗いたことがないという方がほとんどでです。普段観望会というと、大抵星に興味がある人のみ、特に子供が多く、小さな子とその親とかが、わざわざ観望会のために来てくれるます。でも、このゲリラ観望会は天文に特に興味がない人たちばかりです。天文に直接興味はなくても、社会人の中には理系関係の方も多いので、意外に話が通じたりします。ノイズの話とかも結構興味を持ってくれるので、意外に楽しいです。

制服を着ていて高校生とわかる子たちもたくさんいます。やんちゃそうな格好をしている子も、星や宇宙の話になると意外なほどピュアに応じてくれるので、見ていてかわいかったりします。星と全然関係ないのですが、今回はたまたま女子高生の進路相談に乗ったりしてしまいました。自分の好きな道に進むか、反対している親の意を汲んで妥協するか悩んでいるとのことでしたが、私の天文趣味みたいに、好きなことばかりしている身としては、是非とも好きな道に進んでほしいと思います。

子供連れ家族の方も多いです。どこかからこのゲリラ観望の噂を聞きつけてきた方なのでしょうか?それとも何か駅に用事がある方?子供にはSCOPETECH望遠鏡を自分で触ってもらうことを勧めています。こうやって観望会を開くと、大抵一人くらいは調整をずっとやってくれる子が現れます。今回は小学4年生くらいの男の子がちょくちょくやって来ては、望遠鏡をいじっていました。
IMG_6327
今回何枚か時間を置いて機材周りの写真を撮ったのですが、
大抵この子がSCOPETECHを調整している様子が写り込んでいます。

海外の方もたくさんいます。今回はアジア系、もしくは東南アジア系の方が多かったでしょうか。聞いて見ると、観光できている人もいれば、富山に住んでいる人も多くいました。シンガポールから来ていて、シンガポールは明るくて星が見えないとか、また日本に来るのだが天の川はどこで見えるのか?とか聞かれました。一見海外からきた子供だと思って英語で話そうとしたら、普通の日本語答えてくれました。多分富山で暮らしている子だと思います。子供の語学能力はすごいですね。大人と違って、完全に日本語ネイティブに聞こえます。


スライドは?

そうそう、頑張って準備したスライドですが、開始時に風が強くてスクリーンが飛んでいきそうだったので、結局披露せずじまいでした。せっかく画像を提供してもらったのに、申し訳なかったです。次回以降、県天の行事でチャンスがあったらまた皆さんにお見せしたいです。


片付けと帰宅

20時50分頃に責任者の方が「あと10分くらいなんで、そろそろ片付けお願いします」と回って来たのですが、21時を回ってもまだまだお客さんは絶えることがなく、他の望遠鏡を見ていてもあまり片付けが進んでいる様子はありませんでした。21時半近くになってでしょうか、私の方はモニター用のポータブルバッテリーが切れてしまい、やっと片付けとなりました。

実はこの日は珍しく妻も来てくれていて、せっかく駅前まで来たのでブリティッシュパブでフィッシュ&チップスとエールで一杯飲んでいたそうです。
IMG_6322
向こうに望遠鏡が並んでるのが見えます。

観望会も色々見てたらしくて、適当に楽しんでいたみたいです。片付けも少し手伝ってくれて、普段の電視観望より少し荷物が多いので助かりました。駅前で銀河が見えたのが相当面白かったようで、帰りの車の中ではずっと楽しそうに話していました。

自宅についたのですが、疲れていて後片付けは明日以降の後回しに。リビングのソファーに座ってやっと落ち着いたのでXをチェックすると、知り合いの中学生のMちゃんからDMが来てます。明日、科学博物館に行くとのこと。夕方から観望会なので、私も行くかどうか知りたいとのことでした。明日も晴れそうで、しかも上限の月過ぎなので撮影するにしてもイマイチです。どうやら2連チャンの観望会になりそうです。車の中の荷物、片付けなくて良かった...。


このページのトップヘ