ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:観望会

2024年9月13日、ずっと天気予報が悪く中止になりそうだった富山駅前ゲリラ観望会。このゲリラ観望会、5月以来の今年2度目になります。 

午後は結構雨が降ったりしていたのですが、夕方に近づくにつれ少しづつ青空が見えてきます。メーリングリストでゲリラ観望会決行の知らせが入ります。富山のアマチュア天文家が富山駅前に集合です。

私が到着したのはちょっと遅めで、もう暗くなっていた19時過ぎ。すでに望遠鏡は10台くらいは出ていたでしょうか。駅の南口からの人の流れに沿ってズラーっと望遠鏡がならんでいるので、俄然注目を浴びます。何人かの方から「今日は何か特別な日なのですか?」と聞かれました。「富山の天文好きが集まってボランティアで望遠鏡を除いてもらっています。今日は月が綺麗ですよ。」などと答え、並んでいる望遠鏡を勧めます。月齢10.5日で月がそこそこ明るいので、クレーターもよく見えます。途中から土星も見える高度に上がってきます。今日のメインは月と土星でした。

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私はというと、駐車場から駅前まで少し距離があるので、いつもの手軽なFMA135電視観望セットです。富山だと一番お客さんが多い観望会になるので、ちょっと無理して24インチモニターとAC100Vが出せるバッテリーを運んだので、ちょっと大変でした。

私も最初は月からです。いつも初期アラインメントに使うベガもデネブも、アルタイルさえも、ちょうどこの時間だとかなり高い位置にあり、候補に上がってきません。明るくて大きな月を初期アラインメントに使うと楽です。最初に月を自動導入して方向がずれていても、画面を見ながら三脚を直接ずらしたり、トラバースの固定ねじをゆるめて高さ方向を回転させて調整したりもできるので、プレートソルブなんか使わなくてもへっちゃらです。

初期アラインメント後、お客さんには`しばらく月を見てもらい、その間に外部モニターを用意します。2画面が用意できたら、いよいよM27を入れて星雲です。前回の5月はシーズン的に星雲がほとんど見えなくて、かといって銀河を見るにはFMA135では焦点距離が短すぎたので、夏シーズンになり満を辞しての駅前星雲となります。

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地方都市といっても、さすがに新幹線がメインで止まる駅なので、駅前はかなり明るいです。それでも電視観望ならM27くらいは余裕で見えます。一般のお客さんは星雲そのものにあまり馴染みがないので、むしろ望遠鏡の小ささに驚いてくれます。「今は超高感度のカメラが使えるので、こんな小さな望遠鏡でも淡い星雲が見えるんです」とか説明して、机の下の脇に置いた小さいFMA135を見てもらいます。「間違って蹴飛ばさないでくださいね」と一言添えるのですが、その後に「小さいのでこれまで何回か実際に蹴飛ばされてます」とか言うと「確かになぁ」というような反応が返ってきます。

最近の電視観望は、M1 Mac上のVMwareで動かすARM Windows11でSharpCapを動かしています。今回は特にMacで動かしているStellarium画面との比較が役に立ちました。WMwareだと SharpCapの画面と、Mac上のStellariumとの切り替えは、3本指でタッチパッドを左右に振るだけなので、ものすごく速くて楽です。駅前なので空を見上げてもほとんど一等星しかみえません。顔を上げて真上を見てもらうと、夏の大三角はなんとか見えます。夏の大三角の大きささえ感覚的にわかってもらえれば、Stellaiumの画面上で夏の大三角を見てもらって、赤枠で示された電視観望で見る視野の広さを確認してもらって、その視野をさらに拡大すればStellariumでM27が見えてきます。その後に画面をパッとSharpCapに切り替えて「これが今実際に望遠鏡で見ている亜鈴状星雲です。同じ形ですよね!」と説明するのです。実際のM27がかなり小さく、目で見ただけでは到底見えるものではないということ、望遠鏡で見るとカラフルな天体が宇宙には存在していることなどを実感しらもらいます。

その後、北アメリカ星雲を入れたりして、スマホの画像検索で見つけた北アメリカ大陸の地図の形と比べたりします。北アメリカ星雲はこんな明るいところでも思ったよりよく見えました。どうもこの日は透明度が良かったようで、自宅に帰ってから空を見上げたら、この季節は霞んでよく見えないことが多いはくちょう座の形がはっきりわかるくらいでした。
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あとは定番のM57ですが、これは輝度が高いので駅前のような明るいところでも余裕で見えます。
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時間的にはもう昇ってきているはずだと思い、アンドロメダ銀河も入れてみました。まだかなり低い位置にあって、どうも駅前ターミナルの大型の屋根の反射光を拾うようで、迷光で画面が明るくなりすぎです。銀河の存在のものはかろうじてわかるのですが、ライブスタックするには明るすぎてサチってしまい、こちらは諦めました。気を取り直して三日月星雲に移動したのですが、こちらも大して見栄えが良くなくてお客さんウケもイマイチだったので、再びM27に移動してしばらく放っておくことにしました。

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電視観望の間、お客さんもかなりきてくれました。4人組の女子高生のうちの一人がM27を見て「感動した」と言っていたのが印象的でした。21時過ぎになって、そろそろ撤収の準備をしてくださいと指示がありましたが、結構グダグダとしていて、まだお客さんや県天メンバーとのんびり話しながら、他の望遠鏡がかなり片付いてきてから、やっと私も片付けはじめました。

それにしても天気が良くてよかったです。今日の朝の時点では中止になるかと思っていたくらいです。駅前なので、富山でやるものとしては最も多く人が集まる観望会と言っていいでしょう。普段あまり星を見るようなことがない人達にもあピールできるところもいいです。今年は年2回のゲリラ観望会でしたが、来年もこれくらいのペースで開催できればと思います。


2024年9月7日、7月に続いて今年2回目の飛騨コスモス天文台での観望会です。

でもこの日の富山は朝からどん曇り。天気予報は富山はまだ晴れですが、コスモス天文台のある数河高原はほぼ曇りで時々晴れですが、時間と共に予報が悪くなっている様子。「富山でこれだと何も見えないな」と思いながら、「もしちょっと見えたらくらいで、まあ機材も最低限でいいか」とほぼ普段車に積んであるような機材だけにします。あ、子供用に一応スコープテックの6cmの屈折だけは載せました。

ところが、国道41号線を南下するに従って、結構青空が出てきてます。現地に着いた頃には、多少雲がところどころにぷかぷかしてましたが、なんとほぼ一面青空です。「しまった、撮影機材持ってくればよかった」と思いながらも、もうどうしようもありません。

その後まだ壊れていたドームの修理をするのですが、この日は絶不調で元の配線を記録し忘れるという体たらく。途中でかんたろうさんがきて、モーター関連の配線を説明してくれて事なきを得ましが、下手したら開けたドームが閉まらなくなるところでした。でもドームのチェーンが噛みかけていて負荷が大きくて、結局修理に至らず。ちょっと別の方法を考える必要がありそうです。

そんなこんなで、ドームの外に出たらもう結構暗くなりかけていて、細い月がもう沈む少し前くらいになっていました。早速準備を始めます。とりあえずスコープテックの屈折で月をすぐに入れて、少しだけ見てもらいますが、程なくして低空の雲で見えなくなってしまいました。


少しだけ電視観望

その間に、電視観望の準備です。機材は限られていて、いつものFMA135にCBPとUranus-Cをトラバースに乗せます。PCはM1 Macの仮装WindowsでCMOSカメラに繋ぎます。PlayerOneのカメラならもう観望会でお客さんがいたとしても、完全実用レベルです。早くZWOもARM  Windowsに正式対応してくれるといいのですが。Macは画面が大きくて映りがやはり綺麗だし、バッテリーがかなりもつので、電視観望用途で改めてWindows  PCと比べると、かなり使い勝手がいいです。この日の準備はサクサクっと、10分もかからなかったでしょうか、M27を入れて声をかけると人が集まってきました。

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といっても、この日のお客さんの数はそれほど多くはなく、全部で10人程度だったでしょうか。途中天気がいいのでもっと集まるかと思ったのですが、意外に少なかったです。Stellariumを使って、M27がどれくらいの大きさかを実感してもらいます。Stellariumで見える夏の大三角と、実際の空で見える夏の大三角を比べてもらい、M27の位置と大きさをStellarium上で確認してもらいます。Stellariumには今使っている鏡筒の焦点距離とカメラのセンサーの大きさを入力することで 、今見えている画角をStellariumの画面上に赤い四角で示すことができます。その資格の範囲をM27に合わせてStellarium上での見えたものと、実際の電視観望でSharpCap上に見えた形がほぼ一緒なことがわかると、見ている画角の実感が湧いてきます。M27はM57とかに比べたらかなり大きいのですが、夏の大三角の大きさと比べるとそれでも目で見るには小さすぎることもわかります。それを口径わずか3cmの、ミニ三脚とトラバースに乗せた、すぐに蹴飛ばされそうな地面に転がっている小さな望遠鏡で見ているというのが、これまたインパクトがあります。

Stellarium上でちょうど北アメリカ星雲が見えたので、次は北アメリカ星雲に移ります。北アメリカ大陸の形をネットで画像検索すると、皆さんすごく納得していました。でも、なぜが画面に映る北アメリカ星雲がいまいち見栄え良くありません。今環境ならもっとくっきり見えていいはずなのにと思って、改めて空をよく見たら少し雲がかかり始めています。「あー雲が出てきてますね。」とか言っていたのも束の間、雲がどんどん濃くなり、ライブスタックでも星を認識できなくなったようで、画像をドロップし始めました。

かんたろうさんが「ドブでまだM27が見えている」と言っているので、眼視と電視観望と比較してもらおうと思い私の方でもM27を入れたのですが、もうかなり見えにくくなっています。私がM27を入れている間に「眼視の方で確認してきてください」と勧めたお客さんも、結局眼視でも見ることはできなかったみたいで、それ以降は雲が一面を覆ってほとんど何も見ることができなくなってしまいました。


ちょっとだけ土星

かろうじて東の低空がまだひらけていたので、ちょうど出始めていた土星を見てもらうことにしました。2つ穴ファインダーのスコープテックで導入しますが、かんたろうさんの45cmドブの方が導入が早くて「負けたー!」となってしまいました。敗因はちょっと雲がかかっていたので土星もそこまで明るくなく、二つ穴ファインダーだと穴を通して見るには少し辛かったことです。かんたろうさんの星座ビノファインダーは多少なりとも倍率があり明るく見えるのが有利なのだと思います。

土星は口径6cmの屈折でも、小さいながらもまだ綺麗に見えました。輪っかもかなり細いですが、きちんと見えています。その土星も程なくして見えなくなってしまい、もうまったりモードで話し始めます。


ゲストがお二人

この日は飛騨地方のFMラジオ曲のアナウンサーの方が来ていました。事前情報によるとかなり綺麗な方らしいのですが、真っ暗な中なのでほとんど認識できず。まあ、天文あるあるですね。今回は赤道儀の使い方を学びたいということで来てくれたのですが、あいにくの天気で次回以降に持ち越しです。この方、星空案内人の資格を持つほど星好きな方で、近くの近くの道の駅にある「カミオカラボ」にも行って、ラジオで紹介したりしているとのことです。
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というわけで、この日のもう1人のゲストはそのカミオカラボの解説スタッフの方です。ご存知の方も多いかと思いますが、この飛騨地方は山の中に宇宙物理の一大研究施設群があり、このカミオカラボでは展示されている実験装置などを通してその内容を知ることができます。この方、物理出身とのこと。私も物理出身なので、天文界隈での肩身の狭さについて妙に話が合って、ずいぶん盛り上がりました(笑)。


天体写真で盛り上がる

雲がかかってからは、そのゲストお二人と、来てくれていたお客さんも一緒に、かんたろうさんの「何か見せるものないの?」という提案で、天使観望用に使っていたMacをテザリングでネットワークに繋ぎ、私がブログにあげた写真を見ながら、会話を楽しみました。今回見たページはこのブログのトップバーからもリンクが貼ってあるここ「Nebula」になります。


このページは私がこれまで撮影した天体をまとめてあります。

メシエ順、NGC順、IC順とかになっていて、一番最初のM1:カニ星雲はここ飛騨コスモス天文台に以前据え付けてあった口径25cm、焦点距離3000mmのニュートン反射型鏡筒で撮影したものなので、この場で見せると臨場感があります。

M27:亜鈴状星雲はこの日電視観望でも見えていたもので、露光時間を増やすと蝶の羽みたいな模様があることを説明します。かんたろうさんは眼視で見た時にどうやって導入するかを解説してくれました。「や座」の先端の星から90度曲がると導入できるとか、近くに小カシオペアの「W」の字が見えるとかです。ちょっと電視観望がどうなっているか見てみたら、雲が少し薄くなったのか、かろうじてですがM27が映っています。電視観望だとリアルタイムで見ることになるので、実際に見ている方向を望遠鏡が指している方向で確認するなど、こちらも臨場感があります。電視観望の画像では、上の画像にもあるような、小カシオペアのWの上の3つの星が見えているのがわかりました。

M31:アンドロメダ銀河の所では「今日晴れていたら肉眼で見えるかアンドロメダ探しができたのに...」とか、M45:プレアデス星団とその拡大図のところでは、スバルのことを知っている人も多くて「青色が綺麗
!」とかの感想が聞こえてきました。

他にも馬頭星雲魔女の横顔など、名前と星雲の形を比べることで皆さん興味を持ってくれるようです。M78星雲のところでは鉄板のウルトラマンの故郷の話をして、元々はM87の設定だったこと、M87がブラックホールでジェットが出ていて、ジェットもかろうじて見えたことなどにつなげます。

おとめ座銀河団のところではアノテーションの画像を見せて、なぜ乙女座の方向に銀河がたくさん見えるのかをクイズとして出しました。お客さんはもちろん、ゲストのお二方にも考えてもらいました。答えは「天の川の方向は星がよく見える」ということですね。逆の言い方をすれば、「天の川のない方向には星があまりないので、『星に邪魔されずに』銀河がよく見える」ということです。物理の人ってあまりこういったこうとに興味がないことも多くて、カミオカラボスタッフの方も答えられませんでした。私も星を始めてから得た知識です。ここからさらにかんたろうさんが、「おとめ座は春の方向ですが、じゃあなぜ秋の星座の方向には銀河があまり見えないのでしょう?」というクイズを出してくれました。これは私も知らなくて聞いてみたら「我々の銀河はおとめ座銀超河団(局部超銀河団ともいうらしいです)に属しているけれどもかなり端の方にあり、よく銀河が見える方向がその銀河団の中心方向、反対側はさらに端の方を見ていることになる」ということでした。さすが天文暦30年以上というだけあって、かんたろうさんは色々知っています。


結局晴れずに撤収

天体写真を見ながらの話が散々続いたのですが、それぞれの写真のところで色々話が盛り上がるので、結局小一時間話していたことになるでしょうか。最後アイリス星雲の写真で「アイリスはあのアヤメのアイリスか?」という質問が出たりで、締めとなりました。最後に「星が見えなくても、こうやって話を聞けると来た甲斐がある」というようなことを言ってくれた人がいました。天体写真だけでこれだけ長く話すことはあまりないのですが、私も意外なほど楽しめました。

21時半頃だったでしょうか、その頃にはうっすらと星が見えている方向もありましたが、結局観望するまでには至りませんでした。一部の人には星座ビノを使ってもらって、雲があっても方向によっては目で見えない星が星座ビノだと見えるということを実感してもらいました。

その後も晴れることはなく、ずっと厚い雲のままで、お客さんも少なくなってきて、22時には撤収となりました。前回の「謎の鳴き声事件」と次の日の昼間の「隣のグランドでの熊目撃事件」のこともあるので、少人数で長居するのはちょっと怖いです。

帰り道、夕飯を食べてないことを思い出し、自宅近くの24時間営業のすき家で「月見すきやき牛丼」の大盛りを食べて満足して自宅に戻り、富山の空も曇っていることを確認してすぐにベッドに潜り寝てしまいました。今年は雨も多く、なかなか晴れてくれませんね。


まとめ

せっかくの観望会でも曇り空でほとんど見えなかったですが、天体写真を用意しておくと、それだけもかなり盛り上がります。その際、画面はできるだけ大き方がいいでしょう。今回はMacBook Proだったので、そこそこ大きな画面でした。Macはバッテリーの持ちが長いので、電視観望していても、それを切り替えて他の目的に使ったとしても、あまり気を使う必要がなく長く使えるのがいいです。


最初の予報だと28日の水曜に富山かとか言っていた台風10号ですが、ずっとノロノロで進んでいるのか止まっているのか、予報でもどちらに行こうとしているのかわからないのですが、結局富山に来るのは週明けの月曜とか火曜とかになりそうです。そんな土曜の夕方、家族は外で食べてくるとのことなので、自分は近くのかつ家でカツ丼を食べ、外に出てみると意外に晴れています。ちょうど科学博物館の観望会が始まりそうな時間だったので、ちらっと寄ってみることにしました。

それでも台風前なので、何か少しでも見えたらいいやくらいの気持ちで科学館に到着して広場に出てみると、何と一面の晴れです!

実はほとんど何も準備してこなかったので、車にある機材で最低限の電視観望です。いつものFMA135とトラバースとUranus-Cは積んであったのでラッキーでした。PCはカバンの中に入っていたM1 MacのVMware上のエミュレータ上のArm Windowsです。机は車に積んであったのですが、いつもの天文椅子は玄関に置きっぱなしだったので、キャンプ用の椅子で代用です。機材は何とかなったので早速セットアップを始めますが、流石に全く準備をしてこなかっただけあって、トラバースは電池切れ、Arm Windowsのディスプレイの解像度は全然安定せず。土壇場での観望会はやはりなかなか厳しいです。

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それでもリクエストされた北アメリカ星雲を入れてみると、透明度がかなり良いのか、富山の中心街に近いのによく見えます。悲しいのは、流石にこんな台風前に星を見ようとは思わないようで、お客さんがすごく少なかったことです。せいぜい3−4組でしょうか。このひはカターレ富山の試合があり、24時間テレビもあり、台風前なので皆さん自宅でおとなしくテレビでも見ているのではとのことでした。

最初北アメリカ星雲を見ていたのですが、バラフライ星雲を見たいというリクエストが小さな女の子からありました。さそり座方向ですが、低いのと何より小さいんですよね。焦点距離135mmでは如何ともしがたく、代わりにM8: 干潟星雲とM20: 三裂星雲を見てもらいました。あまり高い空ではないのですが、雲も少なく、よく見えていました。
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そんな中もう一人、すごい女の子がいました。北アメリカ星雲を見せたら北アメリカ大陸の地質とかを話し出すし、アンドロメダ銀河を見せたら30億年後に天の川銀河と合体するんだとか、なんか異常に詳しいです。年齢を聞いたらなんと5歳。「将来は天文学者かな?」と聞いたらキッパリと否定して「違う、古生物学者!」と一言。お母さんによると、恐竜も大好きだなんだそうです。宇宙も大好きらしくて、この富山市科学博物館の観望会もここ半年くらいほぼ毎週来ているとのことです。多分これまでも会っているはずですが、話したのは今回が初めてだと思います。帰る時に「また来週」と言っていたので、これからも会えるかと思います。将来どうなるか、今から楽しみです。

今回の電視観望は眼視との比較が多かったです。M13: ヘルクレス座球状星団とM31: アンドロメダ銀河は眼視でも見えたようです。
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電視のほうではM31の渦もなんとかわかり、M32とM101もわかったので面白かったみたいです。
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M27は眼視では厳しかったようです。M57は輝度が高く見えるのですが、M27はそれに比べると大きけれども淡いんですよね。
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眼視では土星やアルビレオも見せていたようです。C11が出ていて、終了間際に海王星を入れてくれていました。私も見せてもらいましたが、きちんと面積があり、青っぽく見えていました。

お客さんが少なかったので、アットホームな観望会の雰囲気でした。来ていた子供は小さい子ばかりだったので、21時には終了して撤収です。撤収後、スタッフさんとボラティアさんの何人かで室内に入りお茶を飲みながら話していたのですが、ボランティアさんの一人がSORA-Qという月探査の小型ロボットを持ってきて、机の上で動かしていました。JAXAとタカラトミーの共同開発で発売しているロボットらしくて、昨年発売開始ですぐに完売してしまい、一年経ってやっと次の配布が始まったそうです。この方は春に予約して、やっと購入できたそうです。金属製で、カメラもついていて、値段もそこそこ。スマホで操作できます。おもちゃメーカーが作っていると言っても、おもちゃというよりロボットです。でも、本物の月探査機のように、砂の上を走らせようとするとギヤに砂が噛んでしまうので「あくまでホビーだ」と、オーナーの方は言っていました。

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帰り際に空を見上げたら、もうすでに全面曇り。自宅についてからもずっと曇りなので、本当に観望会の時だけ晴れてくれていたようです。

台風で全く期待していなかった観望会ですが、透明度もかなり良く、多分科学博物館で見せた電視観望ではこれまでで一番綺麗に見えた口ではないでしょうか。せっかくの好条件だったので、もっとお客さんが来てくれればよかったのに...。

2024年8月2日(金)、今年も富山県主催の「とやまスターウォッチングat富岩運河環水公園」がありました。昨年の様子は以下をご覧ください。


そもそも金曜の平日開催で、昨年初めて参加したものですが、今年も参加することにしました。


今年の方針

ちなみに、去年の記事を読み直してみると、いくつか反省点が書いてあります。
  • 2つ電視観望をやって、さらに子供に自由に触ってもらうSCOPETECHの屈折を出したが、手が回らなかった。さらに星座ビノも用意していたが、お客さん全員に十分な時間がかけられなくて無理があった。
今年も改めて思ったのですが、市街地での公園でやるのでお客さんの数が相当多くて、細かい操作などを伝える時間が確保できません。今年は欲張らずに子供用屈折も星座ビノも無しにしました。
  • 広域電視観望で、天の川の見える範囲が少し狭くて川のように見えないので、天の川と認識されにくい。
天の川を見たことがないお客さんもたくさんいます。天の川と言われても、実際どれが天の川か最初はわかりにくものです。いつもは35mmレンズを使いますがそれだと範囲が狭くて皮の形に見えません。今回はSamyangのF2.8の14mmを使って広角で川らしく見えればと思います。

あと、去年は
  • 準備と説明と機材トラブルなどで他の参加者とあまり話す機会がなかった
ので、今年はもう少し他の人と交流することを目標としたいと思います。


2つの電視観望

電視観望を2つ用意します。セットアップは昨年と似ていますが、少しだけ変わっています。

メインは天の川を見せること。これまで広域電視観望は主にはF1.4の35mmとか50mmのカメラレンズで見せていますが、もう少し広い範囲を見せた方がより天の川らしくなると思い、今回初めてF2.8の14mmレンズを用意してみました。これに光害防止としてQBPフィルターを使います。フィルターは1.25インチのもので、ASI294MCの側に薄手のアダプターを使って、レンズに干渉しないように取り付けます。操作は自由雲台です。たまに「広域電視観望の際のマウントはなんですか?」と聞かれることがありますが、これだけ広く見えると画角の移動はよほど時間が立たないと効いてこないので、自由雲台で固定で十分です。これでライブスタックもできるので、実際の画面が流れることもありません。

お客さんを飽きさせないために、もう1セット普通の電視観望を用意しておきます。もう夏の星雲が上がっている時期なので、街中ですが十分に楽しめるでしょう。こちらはいつものFMA135とUranus-Cをトラバースに載せています。そういえば去年はまだAZ-GTiを使っていました。トラバースがまだまだ実用に耐えなくて心配だったのですが、今年はトラバースがもう完全にデフォルト機器になっているので、成長したものです。今回も安定に稼働できました。トラバースの「小ささ」がさらにインパクトを上げていて、今回も「こんなので見えるの!?」という声を何度も聞きました。カバンの中に全セットを入れることができるので、駐車場から設置場所まで距離がある時でも、ほとんど苦になりません。

あと、今回初めて外部モニターを「2台」用意しました。こういった大規模な観望会にはお客さんもたくさん来ますし、電視観望も2セット用意するので、モニターも2台あった方が説明も楽だと思ったからです。1台は24インチでメインの天の川用、もう一台は15インチのコンパクトモニターで星雲用です。


機材の準備

18時過ぎには環水公園に到着しました。駐車場もまだ十分空いていたので、観望会会場の近くに車を駐めることができました。セットアップは最近は手慣れたもので、普通は10分とか15分もあれば終わってしまいますが、今回はモニターが2台あったので、少し手間取りました。モニターの解像度はHDMIでそれほど高くないので、PCの設定をそちらに合わせるのに時間がかかってしまいました。やはり一度は事前にテストしておくべきです。しかも星雲用はM1 MacのArm Windowsで動かしているので、モニターを最初うまく認識できませんでした。一旦VMwareを完全に落として、Mac画面をモニターに出せることを確認して、その後VMwareを立ち上げるとうまくいきました。

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広域用のレンズは最初から14mmにしてみました。うまく行くのかどうか、ぶっつけ本番です。

19時前には準備も終わり、まだ明るいので会場を一回りしますが、すぐに星が見えるくらいになり、広角電視観望ではこと座の形も十分にわかるくらいになります。昨年は19時にスタッフが一度集まって打ち合わせがあったのですが今年はそういうのは特になくて、もうお客さんも来始めているのでそのまま観望会になだれ込みます。

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観望会会場の環水公園は駅に近いかなり大きな公園で、世界一美しいと言われたスターバックがあるなど、富山の観光スポットにもなっています。駐車場もきちんと整備さえているので、観望会にはお客さんも数多く訪れます。この日は昼間から天気も良く、実際かなりたくさんの方が来てくれました。


いよいよ観望会開始

19時を過ぎるとお客さんももうかなりきていますし、スタッフの方も含めて知り合いの方もたくさんいます。結構明るいうちからM57を入れてみましたが、もう余裕で見えます。プレートソルブができるくらいの星の数が見えたら、たとえ街中であろうと輝度の高い星雲は問題なく見えます。

画面を見ながら、周りの人といろいろ話しました。今回は、電視観望に注目してくれる人がかなり多かった印象です。2016年からずっとやってきた電視観望で、星まつりなどではものすごく盛り上がっていたのですが、意外に地元の富山ではあまり盛り上がらない印象でした。今回はスタッフの方も学生の方も含めて、結構皆さん技術を知りたがっているような感じでした。

恐らくなのですが、これはSeeStar効果なのではないかと思っています。やはりあれだけ数が出てメジャーになってくると、少なくとも天文関連の方には電視観望でかなり見えるという認識が広まってきているのではないかと思います。電視観望そのものに信頼が出てきたと言ってもいいでしょうか。私自身は結局いまだにSeeStarは使ったことがないのですが、大手メーカーが本腰を入れてくれるのはとてもありがたくて、長い目で見てもとても良い傾向だと思いました。

話してくれた方の中に、県天メンバーではないけれども富山在住で天文が趣味で、このブログを一から読んでくれたというかたがいました。この長いブログを最初から読んでくれるという奇特な方(笑)がたまにいますが、とても嬉しいです。技術的な方のようで、この「ほしぞloveログ」でどのように技術を上げてきたかに興味を持ってくれていました。またお話しできればと思います。

県天に新しく加入された方とも顔を合わせることができました。自宅近くに住んでいる方で、電視観望に興味を持っているということなので、また一緒に試すことができればと思います。

さて、19時半ころからスライドを使った中国出身の方の七夕の話があります。私は聞くことができなかったのですが、大きな拍手が聞こえてきたので、面白い話だったのではと思います。


2つの電視観望の見せ方

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今回の電視観望は、2セットあることを活用してみます。まず広角電視観望で夏の大三角を見せ、そこから画面内でこと座を拡大します。次に隣のモニターに移り、こと座の端の2つの星が写っていることを確認して、その後M57を拡大して、星雲について説明します。先週の科学博物館でも同じように説明しましたが、このやり方は実際の大きさが直感的にわかってもらえるので、なかなかいいのかと思います。これまでの35mmレンズだと夏の大三角が入らずに、アプリを使っていたのですが、今回の14mmレンズはやはりかなり広角で、夏の大三角が余裕で入るので、全体からわかってもらえて、とても説明しやすかったです。

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星雲がどんなものが知らないと、どれが星雲かわからないこともあるので、
アノテーションがある方がお客さんもわかりやすいようです。

天の川は実際どうだったかというと、ずっと雲がかかっていたので、そのすきまから見るような状態でした。天の川に比べると雲は明る過ぎるので、どうしても不利になってしまいます。今回初めて試した14mmレンズですが、より広い範囲を見渡せるのは有利な点でした。その一方、広角すぎて周りの景色が入ってしまうことがあることと、このレンズは周辺減光が結構あるために、SharpCapでのリアルタイム背景補正(フラット化)があまりうまくいきませんでした。実際の画像は以下のくらいです。

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適当な枚数をスタックしているので、雲が流れているのがわかると思います。流れていない赤いシミが天の川になります。背景補正に非線形勾配除去を使っているのですが、雲などが明るすぎて飽和してしまうとこの背景補正がうまくいかなくなります。そのためゲインか露光時間を少し下げる必要があります。補正がうまく行っても、やはり周辺減光の影響を取り去ることはできずに、右上や左下が少し暗くなってしまっているのがわかります。天の川だけを見やすくするために、画面を拡大して画角を少し絞っています。これだともう広角の有利さがなくなってくるので、本末転倒になってきます。やはりなかなか最初からはうまくいかないもものです。次回、もう少し雲が少ない時に、改めて評価したいと思います。

14mmレンズで天の川が少し認識しにくかったので、途中からいつもの35mmに戻しました。下の画像が35mmで見た場合です。
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明るさはずいぶん均等になり、あぶり出しがかなり楽になります。が、当然画角は小さくなるので、ここら辺はトレードオフなのかと思います。この日の天気は悪くなかったですが、去年の方が少し良かったでしょうか。途中からだんだん雲が濃くなってきて、最後の方は天の川も見えなくなってしまいました。

県立大の学生が何人か、富山大の学生がなんと20人くらい来ていました。途中何人かのメンバーが電視観望を見にきてくれました。まずは街中で天の川が見えることに驚いていました。「観望会で説明とかどんな風にしますか?」と聞かれたので、ちょうどこの日にやっていた夏の大三角と、こと座とM57と天の川の関係とかを、七夕に交えて話すことや、天文クイズのことなどを例として伝えました。天文クイズは実際に来ていた学生さんに解いてもらいました。いつもの「月はどちらから昇ってどちらに沈むか?」というクイズで、天文部の人でさえパッと気づいた人は数人でした。もちろん、太陽がどちらから昇ってどちらに沈むかは全員知っていて、太陽が動くのは当然地球が回っているからということも全員知っていました。知識としては十分あるにも関わらず、月になると知識として知らないので答えられなかった人が多かったのですが、さすが大学生のしかも天文部です。すぐに納得して、その後の例えばベガは?と聞くと、普通に東から登り、西に沈むと妙に納得してくれてました。画面に見えている天の川と銀河の方向の関係のクイズも出したのですが、これはちょっと難しいと思われたようだったので、少し反省です。もう少しこなれた誘導を考えた方がいいかもしれません。


観望回終了

一応観望会は21時まででしたが、あまり時間は厳しくなくて、お客さんがいなくなったらやめにしましょうかというような雰囲気でした。19時くらいから始めて、かなりの人が見にきてくれ、ずっと説明していた気がします。それでも結局見せたのは夏の大三角と、こと座とベガ、天の川と、M57、あとはせいぜいM27くらいでした。ひっきりなしにお客さんが来るので、あまり種類を見せることができなかったのは反省点でしょうか。

私は21時20分くらいまで粘っていましたが、駐車場の出車ゲートが22時で開かなくなってしまうというので、ここで撤収です。片付けはほんの10分もあればすぐに終わり、片付け終わってから一通り挨拶をして、まだ盛り上がっている学生たちのところに行きました。20人くらいの大所帯なので、かなり楽しそうです。学生たちに22時にゲートが開かなくなることを伝えて、私も21時40分頃には退散しました。


まとめ

今年もたくさんのお客さんに電視観望を見てもらいました。特に天の川は、こんな街中でも見る方法があるということにびっくりしていたお客さんが多かったです。また、富山県天文学会のメンバーはもちろん、他にもたくさんの望遠鏡が出ていたので、お客さんはかなり楽しめたのではないかと思います。でもこの日もとても暑かったです...。


2024年7月20日と27日、富山市科学博物館の観望会に2週連続で参加しました。


久しぶりに観望会に参加

そもそも、コロナ拡大で2020年5月には科学博物館自体が休館となり、同時に観望会も中止になりました。その後9月に観望会が復活したものの、以前のような事前予約なしの自由参加制から予約制になり、その期間はボランティアも事前に申請して参加するという形態になってしまい、その日の天気を見て参加するかどうか決めるというような判断がしにくくなってしまいました。それからもコロナの拡大状況により観望会の中止期間が何度かあったようですが、科学博物館のイベント記録を見ると、コロナ後にやっと自由参加が再開され、望遠鏡を持って観望会に参加できるようになったのが、2023年の10月7日からのようです。

私が観望会に最後に参加したのは2020年の12月26日だったので、それ以来もうかなりの期間観望会には参加していなかったことになります。それでも科学博物館とは展覧会イベントなどの際にはちょくちょく顔を出したりしていました。


「重力」展示イベント

今回観望会に参加する気になったのもやはりイベントで、7月20日から9月1日まで特別展「たのしむ重力 ~落ちる ひっぱる そして、曲げられる♪~」というのが行われているからです。モンキーハンティング実験や振り子スネークなど、実際に自分の手さまざまな実験装置を試すことができます。

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7月27日と28日だけの特別体験ですが、大型のブランコが芝生広場に設置されました。
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ポイントは紐の長さが違うというところです。高校物理で証明しますが、振り子の周期は紐の長さのみで決まります。正確には振り子の支点から重心までの距離ですね。長さが2倍近く違うブランコなので、実際に乗ってみるとその違いがはっきりとわかります。

今回は、それぞれ10回揺らした時の時間を比べていたのですが、乗っている人の重さによらず、揺らしている振幅によらず、数えてみるとほぼ毎回長いブランコが8.3回か8.4回揺れた時に、短いブランコが10回揺れ終わります。

周期は振り子の長さのルートに比例するので、10回揺れた時の時間の比から、(10/8.3)^2 = 1.45倍くらいの振り子の長さの違いになるはずです。作るときに4.5mと2.5mにしたとのことですが、結構大雑把に測ったのでずれているかもとのことでした。4.5/2.5=1.8なので、実際にはそこまでの長さの差はないのかもしれません。

面白いのはここからです。高校物理の範囲での「周期が振り子の長さのルートに比例する」という計算は、実は「振幅が十分に小さい」という近似をしているので、もし揺れ幅が大きければ結構ズレてくるはずです。近似ではなくきちんと計算すると、揺れ角が90度になると実際の周期は近似計算の1.2倍ほどになります。同じ振幅なら長さの短いブランコの方が揺れ角は大きくなるので、周期は長くなり、10回揺れ終える長さも長くなります。なので短いブランコと長いブランコの実際の周期のズレは近似計算での周期のズレより小さくなるので、上で計算した1.45倍のズレというのは小さく見積りすぎてしまっていて、実際に作った1.8倍の長さのずれにもっと近いものと考えられます。

と、こんな近似の話も議論できれば楽しいのですが、実際に乗っているのは子供が大半なので、当然無理です。でも振り子の長さで周期が変わるということを「どちらのブランコが早く10回終えましたか?」という問いかけにすると、きちんと「短い方」と答えてくれて、わかってくる子が多いです。これを「どちらが速く揺れた?」と聞いてしまうと、自分の乗った経験から周期ではなく最下点の最高速度のことをイメージしてしまうようで、この場合の答えは大抵は「長い方が速い」となるようです。

大型ブランコ体験は7月27日と28日だけですが、その他の室内展示は9月1日までやっています。室内展示の中には、この大型ブランコのモデルになった小さな長さの違う2つのブランコも展示されています。お近くの方はぜひ訪れてみてください。また、毎週土曜日は夜から星空観察会も実施されるので、夕方までプラネタリウムと常設展示、そしてこの重力関連の特別展示を見学して、夕食を近くの吉野家で食べて、そのまま星空観察会というのがゴールデンコースです。


7月20日の観望会

上記展示に少しだけ関わったので、展示見学のついでに私も夜の観望会もというような流れで、久しぶりに参加したというわけです。

7月20日(土)の観望会はかなり条件が厳しかったです。月齢15.5日と満月なので、月以外の淡い天体はそもそも見にくいのですが、かなりの時間帯で雲がかかっていました。暗くなりかける19時半スタートですが、到着したのが19時25分頃。天気を見て雲の間に多少隙間も見えるので、とりあえず35mmで広域電視観望を出してみました。画面の中に常に雲があるような状況ですが、ベガやこと座の形は認識できます。時折夏の大三角も3ついっぺんに見える時があったくらいでしょうか。本当は広角電視観望で天の川を見せたかったのですが、雲が多すぎたのと満月が結構近くにいたので、見ることはできませんでした。FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望も試してみました。雲の合間にM57やM27を見ることができましたが、結局それくらいでした。

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隣の望遠鏡で眼視でM57を入れていたらしく、電視観望と比較をしてもらいました。でもほとんどのお客さんは眼視では認識することはできなかったようです。条件が悪かったこともありますが、やはり淡い天体を認識するのはある程度どんなものか知っていることが必要なようです。電視観望の画面を見て形を確認してから再度挑戦した人もいたようなので、その人たちはもしかしたら眼視でも見えていたのかもしれません。

途中からほとんど星も見えなくなってきたので、ASI294MCの高感度特性を利用して、夜でも景色が見えるというのを子供たちと一緒に楽しんだくらいで21時の終了時間となってしまいました。


7月27日の観望会

この日は前週よりもかなりマシです。下弦の月に近く、月の出が22時と観望会の間はまだ暗いままです。少し雲はありましたが、概ね空はひらけています。この日も結構ギリギリの19時20分くらいに到着してすぐに機材を出します。前週と同じ35mmレンズとASI294MCの広域電視観望と、FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望です。

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準備の最中にスタッフの方から「ISSが見えますよー!」との声がかかり、みなさん建物から離れた西側の芝生広場の方へいどうします。見え始める時間がかなり正確にわかっているので「まもなく見えるはずでーす」と声がかかると、東側の科学博物館の建物の上に動く輝点が見えました。かなり明るくなって、南の空に沈むまでの数分間、その場にいる全員で楽しむことができました。

お客さんは30人くらいは来ていたでしょうか。それぞれ会場に展開されたいくつもの望遠鏡をのぞいています。私の方も大体準備ができたので「こちらで天の川が見えまーす!」と伝えると、たくさんの人が集まってきました。画面近くには子供がたくさん群がります。「ここに見えているのが天の川です」と説明したのですが、まず最初に目についたのはたくさんの動く輝点でした。子供が「これなあに?」と聞くので「人工衛星だよ、さっき見たISSと同じだよ」と答えたのですが、その時にいくつも人工衛星が映っていたので「こんなにあるの!?」と皆さんびっくりです。数えてもらうと「7個あった」との声が。この日は常に数個、7個以上映っていた時もあり、その中には実際の空で目で見えるものもあったようです。子供は目のいい子が多いですね。私はほとんどわかりませんでした。

天の川そっちのけで人工衛星でひとしきり盛り上がると、やっと天の川に話題が移ります。「おりひめ様とひこぼし様が、七夕の日に天の川を渡り合うことできるんですよね」とか話して、恒例の質問で「天の川は七夕の時にだけ見えると思う人?」と聞いてみると、何人かの子供が元気よく「はーい」と答えてくれました。子供は素直で可愛いですね。でも、画面を見ながら「ご覧の通り天の川は七夕以外でもいつも見えています。でも実際に見るためには月の出ていない夏の日に、暗いところに行くとよく見えるはずです。キャンプとか行った時に空を見上げてみてください。」と伝えると、「でもキャンプでもあんまり見えない!」との声が聞こえます。「キャンプ場でも明るいところもありますし、ライトとかを近くで使っているとなかなか見えないかもしれません。」などと、お客さんたちと会話を楽しみます。

もう一方のFMA135での電視観望ではM57を入れてみて、同時に広角電視観望でこと座付近を映し出します。さすがに街中なので、ベガは見えますがこと座の形は空を見てもなかなか分かりません。星座アプリで夏の大三角とこと座の形を見せて、大きさと位置関係を理解してもらいます。こと座の三角と平行四辺形の形が広角電視観望でもきちんと見えていることを確認してもらい、平行四辺形の端の短辺の2つの星に注目してもらいます。

FMA135とUranus-Cで見ると、ちょうどその2つの星がすっぽり画面内に収まるので、さっきの画面で見た2つの星が、こちらの画面だとちょうど見えることを確認してもらいます。この時点では、M57はすでに映っていますが、あまりに小さくて星と区別がつきません。その後、2つの星の間を拡大していくと面積を持ったM57が現れてきます。青、緑、赤とカラフルな色がきちんとついていることもわかるので、明らかに星とは違い、星雲であることがわかってもらえます。お客さんの中には、星雲が目で見えるくらいの大きさがあると思う人もいるので、実際にはかなり小さくて、しかも色がつかないので、そのまま目だけで見えることはよほどいい環境のところに行っても、まず見えないということをわかってもらいます。今回は特に大きさの比較をしたので、実際の空のかなり小さいところを見なくてはいけないということは理解してもらえたようです。

では大きな星雲を見てみましょうということで、北アメリカ星雲を見てもらいました。富山市科学博物館はかなり街の中の明るいところにあるのですが、それでも下の画像くらいにはその場で見ることができます。

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他にも網状星雲を見ましたが、さすがにこちらはさらに街中では淡すぎて、かろうじて何かあることがわかるくらいでした。

最後はお客さんのリクエストに答えて、アンタレスとM4です。低空でかなり明るい場所になります。目ではアンタレスが一つなんとか見えているくらいでしょうか。電視観望だと、この状態でもM4をきちんと認識することができます。

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ちなみに、35mmの広角電視観望でも同じ領域を見てみましたが、M4の存在は一応わかります。でもモヤっとした面積がある淡い部分くらいで、さすがに星の粒まではわからないです。

お客さんの中に中2の男の子がいました。以飛騨コスモス天文台の観望会も来てくれたことがあるということで、以前あったことがあるようです。中学が忙しくて最近観望会とかは参加できていないと言っていましたが、結構宇宙のことに詳しくて、この日もVixenのポルタを持ってきていて、アンタレスとM4に挑戦していました。

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私も覗かせてもらいましたが、アンタレスはすぐにわかるものの、M4は最後まで分かりませんでした。科学博物館のスタッフの方も同じ意見で、やはり街中だと低い空の球状星団は難しいのかもしれません。この男の子は、私の星友でこのブログにもちょくちょく出てくるMちゃんと剣道の道場が一緒とのことです。今回はこの男の子の名前を聞くのを忘れてしまいましたが、忙しくても時々は星に目を向けるのを忘れないで欲しいなと思いました。ちなみに出会った頃は小学5年生だったMちゃんも、今年もう中3になっていて、受験で道場も引退してしまったとのことです。高校に入ってまた時間ができたら、一緒に活動できたらと思います。


まとめ

富山市科学博物館はいろいろ工夫して、なかなか面白い企画をしてくれます。少し前にあった、重力波検出器の内部をプラネタリウムのドームに映すイベントなんかは完全オリジナルで、全国でも初の試みでした。今回のブランコ体験も富山ローカルなお知らせなどには掲載されていたようで、100人分の整理券が昼くらいには全部なくなってしまったとのことです。また何かあるのか、注目していきたいと思います。


恒例の1年のまとめ記事です。ほしぞloveログでは年末は書くのをサボって、たいてい1月中にのんびりと書いています。

昨年のまとめはここにあります。昨年は2月に公開しているので、今年の方が早いくらいですね。


さて、今年もテーマ別に振り返っていきましょうか。まずは機材からです。


機材関連

ここでは2023年に使った機材で、特筆すべきものを3つ書いておきます。

1. ε130D

上のリンクにある昨年のまとめを見直してみると、2023年の機材の目標は
  • 短焦点で広角で淡いところまで撮影する
と書いてあります。これは4月にε130Dを手に入れたので、目標達成と言えるでしょう。


最初の頃はテスト撮影をしながら、問題点を挙げていきました。四隅の星像問題や、迷光の問題などです。四隅はバックフォーカスを合わせることでかなり改善しましたが、迷光はある程度許容して画像処理で誤魔化すことが必要そうだと分かりました。それでもある程度実用レベルで撮影できるようになってきたので、主力鏡筒として今後もどんどん活用していくことになりそうです。


2. SWAgTi

SWATにAZ-GTiをくっつけた命名「SWAgTi(スワッティ、gは発音せず)」はとても楽しい試みでした。おそらくこれまでになかったアイデアで、高精度追尾のSWATと自動導入可能なAZ-GTiの互いにいいところを持ち寄って、高機能高精度追尾でお気軽撮影を実現できたのかと思います。惜しむらくは、長時間撮影では縞ノイズが出てしまい、ディザーで散らすことを試みたのですが、撮影中はAZ-GTiの自動追尾を切って高精度化を実現していて、その状態だとディザーができないことです。ソフトで解決できる問題のはずなので、いつか解決できたらと思っています。





 
SWAgTiの過程で、SharpCapを使えば一眼レフカメラでも極軸合わせとプレートソルブができることを示しました。SWATユーザーには一眼レフカメラを使っている方も多いと聞いたからです。

これは、CP+で話した一眼レフカメラで電視観望をやってみようという話にもつながっています。


3. トラバース
もう一つ、トラバースはミニマム電子観望をさらに押し進めました。カバンなどにすっぽり入るサイズで、PCと合わせても歩きの持ち運びで全然余裕です。


最初の頃はAZ-GTiに比べて少し不安定なところもありましたが、SynScan Proのアップデートと、SharpCap独自のプレートソルブで不安定なところはほぼなくなり、完全に実用レベルで観望会で使えるようになりました。最近は、持ち運びの便利さと見た目のコンパクトさでAZ-GTiにとってかわり、トラバースを使うことがほとんどです。





目標
さて、機材関連の2024年の目標ですが、今の天体撮影の主力機材は2つで
  1. SCA260(1300mm)+ASI294MM Pro(マイクロフォーサーズ)
  2. ε130D(430mm)+ASI6200MM Pro(フルサイズ)
です。他にも鏡筒はある(撮影レベルの冷却カメラは残りはカラーのみ)のですが、効率を考えて明るいものに限定すると上の2つになってしまいます。仮にこの2種だけだとすると、画角にすると一辺で6倍くらい違い、面積だと36倍くらい違うので、せめてその中間くらいがあるといいなと思い始めています。

簡単なのは、今ある手持ち鏡筒で口径の大きいF4のBKP200を使うかとかでしょうか。これに例えば今と同じASI294MMとか取り付けるか、いっそのこと使っていないカラー冷却のASI294MC Proでもいいかもしれません。コマコレクターは持っているのですが、ε130DやSCA260に比べるとそれでも多少星像は伸びるので、BXT2が前提になると思います。

もう一つのアイデアは、今は鏡筒とカメラを固定にして外さないようしていて、これは外した時のホコリの侵入を防ぐのが第一なのですが、この制限を取り除いてカメラと鏡筒を交互に入れ替えるかです。これだと
  1. SCA260(1300mm)+ASI294MM Pro(マイクロフォーサーズ) = 2380mm (フルサイズ換算) 
  2. SCA260(1300mm)+ASI6200MM Pro(フルサイズ) = 1300mm (フルサイズ換算)
  3. ε130D(430mm) +ASI294MM Pro(マイクロフォーサーズ) = 806mm (フルサイズ換算)
  4. ε130D(430mm)+ASI6200MM Pro(フルサイズ) = 430mm (フルサイズ換算)
となって、2と3がちょうど間を補完します。3はASI6200でROIで切り詰めるか、後でクロップしても同じことなので、意味がないかもしれません。これだととりあえず鏡筒もカメラも追加はないので、経済的な負担も少ないです。カメラ交換の手間と、スケアリングの問題が出ないかと、ホコリの混入をどうするかなどが問題です。そう頻繁に換えないとかにすれば大丈夫な気もします。ここら辺を今年一年悩んでみます。


撮影

去年の目標のところに「Sh2-240:スパゲティ星雲やSh2-129:ダイオウイカ星雲などの広くて淡い難物を自宅でどこまで出るかを試してみたい」と書いています。ε130Dでスパゲティー星雲はなんとか撮影できました

 
自宅からこれだけ出れば、まあまあではないでしょうか。ダイオウイカ星雲も撮影は完了していて、現在画像処理で苦労しています。ある程度目標は達成と言っていいでしょう。その一方、今回わかった反省点もあるので、これ以上はやはり暗いところに行って撮る方がいいのかもしれません。2022年に自宅で撮影したM81(未記事化)と2023年に開田高原で撮影したM81で比較して、少なくともLRGB撮影ではIFNなどの淡い部分は自宅では限界があることを身をもって理解しました。ナローバンドでも、本当の本当に自宅だと明るすぎるのかどうかは、一度きちんと検証してみたいと思っています。

淡いところを出す技術は上がってきましたが、自宅で出すには相当無理しているところもあり、画像処理に徐々に時間がかかるようになってきました。そのため結構気合を入れる必要があり、撮影は終わっていrても、画像処理が残っているものが結構あります。パッと思いつくだけでも
  • 2022年に撮った星景が2つほど
  • 2023年春に撮ったM104ソンブレロ銀河
  • 燃える木の拡大撮影
  • M45プレアデス星団、モザイク撮影
  • ダイオウイカ星雲
などです。ダイオウイカ以外はお蔵入りになりそうな雰囲気です。まだ撮影中のものもあり
  • ドルフィン星雲
  • カモメ星雲
は晴れた時にさらに進めようと思っていますが、冬はなかなか晴れないので、一向に進みません。

太陽や月はほとんど手をつけていなくて、唯一PST本体を2台目にしたことくらいでしょうか。良像範囲が少し広がりました。粒状斑はまだ何かだめなのか、いまだに満足した画像を撮ることができていません。





画像処理

天体写真の方については、年末に別記事でまとめてあります。再処理も合わせて12枚だったので、数はあまり多くはありません。


画像処理で特筆すべきは、やはりBXTでしょうか。元々恒星処理がかなり苦手だったのですが、BXTでdeconvolution処理をほぼ自動で、しかも収差まで緩和するようなすごいレベルで補正してくれるようになったので、相当楽になりました。

StarNet2も地味に構成と背景の分離精度が徐々に上がっていて、BXTと合わせて、淡いところの炙り出し、分解能向上なども楽になっています。特に、BXTとdrizzleを合わせた処理で分解能をさらに引き出すことができたのも面白い結果でした。


BXTについてはつい最近バージョンアップし、相当ひどい収差なども補正すること、最微恒星を取りこぼさないようにするなど、精度が格段に上がっています。



バージョンアップ前のBXTを使っていますが、いくつか再処理をした結果が以下の4枚になります。どれも前後で見た目ですぐわかるレベルで改善があり、例えば三日月星雲とトールの兜星雲は、同じ元画像かと思うくらいの進化が見られます。






アップデートされたBXTはさらに強力そうなので、かなり昔に撮った技術的にまだまだな画像でも再処理してみたいと思います。

目標
ε130Dで撮影したアメペリ星雲網状星雲クワガタ星雲などがそうなのですが、最近は背景をかなり炙り出しています。





これらは全てAOO合成で、赤成分はほぼHα撮影からきています。淡いところまで出せるようになってきたのはいいのですが、背景まで赤っておかしい気がしてきています。多分これって、茶色い分子雲がHαの波長も持っていて、それが出ただけなのではと。例えば、網状星雲の右半分ってRGBで丁寧に撮った画像だと茶色の分子雲で暗くなっているのが見えたりします。また、智さんが撮影したRGBで撮影したスパゲッティ星雲だと淡いながらも茶色い分子雲がはっきり見えていますが、これも自分が撮影したAOOだと言われると気づくかもしれませんが、かなり赤に寄っていて見分けがあまりつきません。

これらを踏まえて2024年の目標ですが、RGBを駆使するのかLを駆使するのか、まだ全然アイデアは固まってませんが、なんとかして背景の分子雲を、色も含めて分子雲らしく出すこにしたいと思います。多分ナローじゃなくなるので自宅だと無理かもです。


電視観望

2023年にブログで単独で電視観望を主に扱っている記事はわずか3本。トラバース天の川電視観望リモートヘルプのみです。




さらに、「電視観望」で検索してみたり、自動で保存された画像が残っているフォルダも数を数えると、実際に電視観望で見た回数は星まつりとか観望会とか合わせて18回とのことでした。月平均1.5回と考えると、ずいぶん少なくなりました。

電視観望の回数が少なくなってきていることは昨年の反省でも同じことを書いていて、よく言えば技術的には成熟してきた、悪く言えばネタがなくなってきたことを示しています。とくに2023年後半から電視観望ではSeestarが話題の中心になっています。私は結局購入していないのですが、初心者には機能的にもコスパ的にもかなりいいと思います。天文人口の裾野が広がることは超ウェルカムで、私も電視観望を始めた頃からずっと願っていたことです。Seestarはこの点、ものすごく貢献しているのかと思います。

一体型のスマート電視観望機器と言っていいものは、eVscope、Vespera、Seestar、DWARFなどと、どんどんコンパクトになってきています。そう言った意味では、一体型に対してカスタム型電視観望としてトラバースにFMA135を載せて、三脚を小さくしたセットアップは、いまだにミニマムという点では健闘していて、性能的にもコンパクト性においても私的には最近はこれが一番稼働率が高いです。


もう一つ、電視観望が繋いだ縁として、「カフェぽうざ」の訪問があります。


もともと天リフさん主催の会議で私の電視観望の基調講演の動画にコメントを頂いのがきっかけだったのですが、実際に茨城県石岡市まで訪問しました。電視観望を主とした、おそらく日本で唯一のカフェで、その後この記事を見た星ナビさんが2023年9月号で大きく取り上げてくれて、私も少しだけ記事を書かせていただきました。


講演

2023年は電視観望については講演が多かった年でもあります。パッと数えただけでもCP+天教福島志賀高原小海と5回にもなります。しかも全てオンラインではなく、実際に面と向かってのリアルでの講演です。これだけ考えても、コロナが収束に向かった年だったことがよくわかります。







特に、CP+については3回目にして初の念願の現地参加です。2021年の初の全面オンラインCP+では講演時間をわざわざ夕方遅くからにして頂きZoomで電視観望の生中継をして、北陸の冬の悪天候にも負けずに見事バーナードループを観ることができました。2022年のCP+ではNEWTONYとCeres-CとAZ-GTiを組み合わせた、安価な初心者向けの電視観望を紹介しました。この系譜はシュミットの2024年の福袋セットにも引き継がれていて、AZ-GTiがトラバースに変わっていますが、電視観望セットとしては最安で販売されています(ただし2024年1月14日23時59分まで)。



2023年のCP+は現地開催記念でCP+本来のカメラユーザーを意識して、一眼レフカメラで電視観望ができることを紹介しました。2024年のCP+も何か話せたらいいと思っています。小海の「星と自然のフェスタ」での電視観望実演で画像処理の需要がかなり高そうということが実感できたので、今後講演をもしするとしたら、そんな方向の話ができたらといいな思っています。

天教の講演会は2022年の公開天文台協会の島根の全国大会に続いて、非常に貴重な機会でした。普段接するのはアマチュア天文家なのですが、天文教育に関わるプロの意見はやはり違った側面を持っていて、とても参考になりました。

星の村天文台での講演は土壇場で決まったものでした。準備時間がわずか10分くらいと、先の天教の講演があったので何とか持ち堪えることができました。

志賀高原のセミナーは実演も合わせてのセミナーになります。この時遠くから参加してくれて手伝ってくれた大鹿村のKさんとは、その後の大鹿村の観望会、元気村での集まりへとつながっています。

小海の「星と自然のフェスタ」は比較的新しい星まつりで、過去に何度か講演させていただいています。元々の主催者のSさんが始めたもので、今では規模としては3大星まつりの一つと言っていいでしょう。せっかく定着しつつある星まつりです。運営も大変だと聞いていますが、講演会が特徴のこの星まつり、是非とも続いて欲しいと思ってやみません。

基本的には上に書いた2023年の講演は全て電視観望についてでした。画像処理についての話もしてみたいですし、でも本当はこの記事の下の方でも出てくるノイズ解析みたいな話を思う存分したいのですが、流石にマニアックすぎて聞いてくれる人はほとんどいないと思うので躊躇しています。でもいつか...どこかで...もしチャンスがあれば...。


観望会、遠征など

私の天文活動は、相変わらず平日を含めた自宅がメインなので、外にはそれほど多く出ていません。昨年の反省でもすでに書いてありますが、2023年中の遠征撮影は1月の開田高原のみです。
 

観望会もそう多くはなく、8月に富山環水公園で天の川電視観望を見せた他、長野県下伊那郡大鹿村でも(天気が良くなかったので)広域の天の川電視観望がメイン、あとは全く星が見えなくて観望会にはならなかった2泊3日の 愛知県豊田市旭高原の元気村tくらいでしょうか。





特に元気村は星こそ見えませんでしたが、母校の高校の天文部の若い生徒たちと触れ合えたのがとても刺激になりました。次の日の気ままに星空観望仲間の方達の集まりに参加させていただいたのも、とても楽しかったです。

定例の飛騨コスモスの観望会も4月22日5月21日6月17日と参加していますが、天気が悪かったり、コロナにかかって体調が悪かったりで3回(1回はドームの修理だけなので実質2回)しか参加できていません。修理も完了していないので、春になったら早々に直したいと思っています。






星まつり

星まつりですが、福島胎内星もと小海と、例年行くものは2023年も全て行っています。特にコロナが終息して胎内に久しぶりに行けたのが良かったです。やはり国内最大の星まつりなので、現地開催が一番です。






この中でいまだに進化し続けているのが小海の「星と自然のフェスタ」でしょうか。2023年はメイン会場がホテル前の広場から、少し下がったところの大きな室内会場になりました。雨が降っても、夜に寒くなっても、室内なので快適に過ごすことができます。夜の観望も室内会場を出たすぐ目の前に展開できたので、簡単に行き来できてとても便利です。眼視会場が離れたところになってしまったとか、初めての試みでまだこなれないところが残っていたかもしれませんが、実際年々快適になっていくので、来年以降はさらに快適になっていくでしょう。期待したいと思います。

残念なのは、3大星まつりの一角を担っていた原村の星まつりが、以前とは全く違った形になってしまったことでしょうか。コロナが収束しても実質以前の星まつりの雰囲気ではなくなってしまったようで、私は参加を見送りました。以前の形に戻ってくれるのか、それとも今後ももうこのままの形なのか、2024年の方向性に注目したいと思います。


解析など

1. 撮影画像のノイズ解析

2022年は解析とかあまりできなかったと反省に書きましたが、2023年の特筆すべきはノイズ解析が大きく進んでいることでしょうか。3月に(その1)を書き始めて、その後不定期に書き足しています。現在その4まで来ていますが、まだまだ終わりは見えず、今もその5以降を書き溜めていて、ライフワークになりそうな勢いです。でもこの面白さはなかなか伝わらないかもしれないので、全体を見渡して少し解説しておきます。

まず面白いのは、(その1)でスカイノイズを数値的に示したことでしょうか?読み出しノイズとかダークノイズは計算できるのですが、スカイノイズがどれくらいかということを明確に示した解説記事はほとんどないようです。画像からスカイノイズがどれくらいあるのか見積もり、同時に読み出しノイズやダークノイズが計算と実測でどれくらい合うのかを示しているので、実際に撮った画像がどのようなノイズに支配されているかが、数値で具体的にわかります。ノイズだけでなく、その後、(その3)で信号も評価し、S/Nを実測で求めているところです。まだ今の所は1枚画像での評価がメインですが、次の記事でインテグレート(スタック)された場合にどうなるかを示そうと思っています。その後はどう展開しようか?まだ迷っていて、多分ですが色々なパラメータをいじってみてグラフ化して、どのようなパラメータの時に最適化ができるかなどを示せたらと思っています。例えば、天体撮影と電視観望では最適なパラメータが違うはずで、それぞれにおいてどのような値を選んだら良くなるかなどです。アイデアはいろいろあるのですが、どうやってわかりやすく記事にまとめるか...、時間をかけながらじっくり進めていければと思っています。







2. ビニング

同時に、派生的に出てきた感のあるビニングについてです。ノイズのことをよく考えていると、これまでビニングではっきりしてこなかったことが、かなりわかってきました。ビニングについては調べてもほとんどきちんとした定量的な話が見つからないんですよね。でもそれもそのはずで、そもそもスカイノイズとかきちんと評価しないと何も言えないからなのかと、今は思っています。なのでこれまではすごい定性的な話で止まっていたり、神話的に根拠の説明なしに話が伝わってきたのではないかと思います。





3. LRGB合成

LRGB合成についても少し議論しました


だいこもんさんやNiwaさんたちとTwitter上で議論したり、ちょうど蒼月城さんが同時期にLRGB合成についての動画をアップしていて、とても参考になりました。LRGB合成はノンリニアでやるのが大原則というのはわかりましたが、まだ本質的なところでなぜノンリニアでやる必要があるのかは完全に理解できていません。リニアなうちでも問題があまり出てこない範囲でなら、絶対ダメというわけではないのかと思ってしまっています。私自身がもう少しきちんと理解する必要がありそうですが、課題として残しておきます。


解説記事など

上の電視観望のところとちょっと重なるかしれませんが、SharpCapの解説記事なども書いています。





NINAのオートフォーカスについても書きまし。


短い記事でも意外に評判がいいので、こういったものを増やしていけたらと思います。


書籍

2023年に手に入れた書籍関連です。そのほかに天文ガイド、星ナビを定期購読しているので、それぞれ12冊づつあります。

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これまで書籍はブログでは一部を除いてほとんど紹介してこなかったですが、特に星を始めてから数年間は結構な量を購入しています。2023年は流石に落ち着いてきて上記くらいになってきました。君は放課後インソムニアが完了したのが大きいですね。舞台の石川は富山からも近いので、地震の被害が落ち着いたらまた一度、ゆっくり聖地巡礼がてら能登半島に行ってみたいと思います。

あと、貴重なInterractiveを全冊お借りしたので、近いうちにまとめ記事を書きたいと思っています。


ブログ

2023年の一年間の投稿記事を数えたら74本でした。2022年が104本、2021年が114本となっているので、かなり減っています。月5−6本程度なので、週に1本か気が向くと2本とか書く程度になってしまっています。理由は、撮影時間が10時間オーダーに伸びてきて仕上がる枚数が減っていることと、画像処理に時間がかかっていること、あとは無駄に一本当たりの記事が長いことなどでしょうか。

これまで何度も記事を短くしようと試みてますが、ことごとく失敗しています。短い記事の方が読まれやすくてPVも伸びたりしているのですが、長い記事は多分私の習性です。この記事もそうですが、最近は諦めていて、思いの丈を書こうと思うようになりました(笑)。


まとめ

星を始めたのが2016年のゴールデンウィークくらいなので、もう7年半も経ってしまいました。流石にペーペーの初心者とは言えなくなってきました。星を始めた頃は1年がすごく長く感じましたが、最近は1年があっというまに過ぎてしまう感じです。1年で進めることができる量も徐々に少なくなってきている気がします。2023年はノイズ解析が進んだので、それでも少しマシでしょうか。

最近すごいと思うのは、私よりもはるかに短い期間で、素晴らしい天体写真を仕上げてくる人がいることです。かなり研究されているのかと思います。だんだん若い人(年齢というよりは、この世界に新しく入ってきた人と言った方がいいかもしれません)に追い抜かれていくので、ちょっと悔しいところもあるのですが、その一方で自分ではとてもできないような若い人のアイデアや成果とかに期待してしまいます。

BXTもそうでしたが、ソフトの進化はまだまだ革新的なものが出てきそうです。PixInsightのMARS計画も楽しみです。CMOSカメラもまだまだ進化しそうですね。でも進化とともに値段が上がるのではなく、フラッグシップモデルの価格が一定になって、その分こなれた機能のカメラが安価になっていくと、もう少し敷居が下がる気もします。

Seestarで参入した新しい人たちのうち、幾らかの人はのめり込んでくれるかと思いますが、初心者もベテランもあわせて、天文人口そのものが増えてくれると盛り上がっていくのかと思います。この趣味が尻つぼみにならないように、若い人(こちらは本当に年齢という意味で)が増えてくれると、とてもありがたいと思いみます。大学生とか高校生の天文好きな人達を見ていると、結構期待できそうな気もします。


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