ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:系外銀河

今回のターゲットM51子持ち銀河、形は派手ですが思ったより小さな銀河です。焦点距離1300mmのSCA260では少し小さすぎて、真ん中だけに来てしまい分解能が出るか心配です。

実はM51の撮影日は4月2日、画像処理は4月末と、もうはるか昔になってしまいました。その後連休に入り、連日の撮影とその日その日のブログ書き、後半は別の原稿書きと、全然画像処理関連のブログ書きが進んでいません。これではダメだと反省し、記憶を掘り起こして書くことにします。


今回の撮影の目的

今回のM51の撮影の動機は2つあって、
  1. CGX-Lで揺れが少なくなった場合のRGB処理がどうなるか
  2. SCA260で小さな銀河を撮影するときに、焦点距離1300mmでどうやって大きく取るか
の2つです。

前者は前回すでにCGX-LでASI2400MC Proを使い、カラーでは撮影しています。揺れが減ったおかげで相当な分解能が出ましたが、今回はモノクロのASI294MM Proで撮影するために、ピクセルサイズが少し小さいこととモノクロなので、さらに分解能が出るはずです。



もう一つは今後の銀河撮影の方向性を探るための最初の一手です。SCA260は大口径の割にF5で焦点距離があまり長くなく明るいために、大きな銀河はいいのですが、小さな銀河では少し焦点距離が不足します。これを解決するのはいくつかの手があるのかと思います。


小さい銀河をどう撮影するか?

パッと思いつくのが

A. 2倍程度のバローレンズを入れて、撮影する。
  • メリット: 倍率が上がるため、分解能は上がる。
  • デメリット: F10となり暗くなるため、明るさは4分の1となる。

B. bin 1x1: 8288x5644で撮影する。
  • メリット: カメラの分解能を2倍にするため、広い範囲を撮影しながら分解能があがる。
  • デメリット: ピクセルあたりの感度が4分の1になるため、明るさは4分の1となる。ダイナミックレンジが14bitから12bitに落ちる。

A. B. 共に暗くなるため、ゲインを上げる(120から、4倍の240にするなど)などの補償が必要となる可能性があり、リードノイズは得しますが、ダイナミックレンジを損する。B.の場合は実質10bIt (1024諧調) 程度までダイナミックレンジが小さくなる可能性があります。


実際に撮影してみて

今回のM51の撮影では、まずは簡単なBを試しました。その上で、Bは実際に撮影してみて、さらにメリット、デメリットがあることに気づきました。

メリット:
  • 少し離れたところの小さな銀河などの思いもよらない天体が入っていて楽しい。
  • 画像処理で後から縦横自由に回転できる。->撮影時の縦横もあまり気にしなくていい。
  • 光学系を取り替えなくていい。->ホコリが混入しない。

デメリット: 
  • 画像1枚のサイズが4倍になり、処理が重くなる。->大したことはなかった。
  • ダークを一から取り直し。
どれも最初はあまり気にしなかったですが、この撮影以降に実はM104を撮影していて、こちらはA. B.両方とも試しています。Aを試して一番問題だったのが、バローレンズを入れるときと外した時にホコリがセンサーの保護ガラス面についてしまって、その後の掃除が大変だったことです。まだM104の画像処理は進んでいないので仕上がりを見ての判断はできませんが、結論はもう出ていて「できる限り光学系はいじらない」です。ホコリがつくと画像処理が途端に大変になります。全部のホコリを取るのはかなりの手間と神経を使います。多少ダイナミックレンジが狭くなろうとも、ホコリが入った時の手間の方が遥かに面倒です。

撮影はいつものNINAです。でもその時のことはほとんど忘れてしまったので、あまり書けません。その時の画面をiPhoneで撮ったのを見ると、この時点である程度分解能出てますね。あと、、10分露光と長時間で、風が少しあったせいか、途中から結構揺れていたのを覚えています。

(2022/5/12 追記: 撮影直後にメモっておいたのがみつかりました。以下「 」を追加しておきます。)
「新月期、相変わらずの自宅撮影です。本当は遠征したい気持ちもあるのですが、この週末はいろんな書き物が溜まっていて自宅束縛で、せめてもの放置撮影です。

CGX-Lをなんとか稼働することはできたので、振動対策がある程度できたと考え、分解能が次の何かで制限されるはずです。そのため、モノクロでまずはカメラの分解能を稼いでみます。

今回のターゲットはM51子持ち銀河です。以前VISACで一度撮影していますが、カメラがカラーのASI294MC ProからモノクロのASI294MM Proになっていること、鏡筒の口径が20cmから26cmになっていることなどが有利な点です。



しかも今回はASI294MM Proのbin1での撮影をしてみます。モノクロにしたことですでに解像度は上がっていますが、SCA260の焦点距離が1300mmとVISACの1800mmに比べて短いです。M51だと中心付近で小さく写ってしまうため、カメラの解像度を上げることで分解能を上げようという試みです。もう一つの手が2倍程度のバローレンズを使うことです。どちらが有効か分からないので、まずは簡単な方から。バローは次回以降で試そうと思います。bin1で解像度を上げ、ダイナミックレンジを犠牲にするのがいいのか、バローで解像度を上げることで星像がボケるかもしれなのか、実際に比べてみたいと思います。

今回でCGX-Lの撮影は3回目となりますが、なぜかDEC、RA両方ににfailが出るようになってしまいました。一度に一方だけだったと思うのですが、この日は数回試して、毎回両方とも出てしまいました。また一度だけですが、初期アラインメント後、プレートソルブの時から赤道儀のモーターが全く動かなくなってしまいました。画面は流れていかないので、追尾はしているようです。しかたないので一旦電源を切ると元に戻って、今度は初期アラインメント、自動導入、プレートソルブと順調にいきました。まだ露呈していない不具合がある可能性もあり、さらなる修理を含めて注意深く見ていく必要があります。

撮影はいつも通りNINAを使って。10分露光でRGBとHαと念のためOIIIの少し撮っておこうと思っています。

実際撮影を始めると、まだ赤経が周期的に揺れます。どうもこれはやはりCGX-Lの癖のようです。赤経のゲインを上げ揺れを抑え、赤緯のゲインを下げることでわざと揺らしてやり、同じくらいの揺れ幅にしてやりバランスを取ることでかなりマシになりました。

その後少し星像が甘く見えたので、オートフォーカス機能を使ってピントを注意深く合わせました。銀河の細かい構造も出てきて、すでにこの時点で前回のVISAC仕上がり画像くらいには迫っていそうなので、結果が楽しみです。」

IMG_5172


画像処理は銀河の中心部を出すのに苦労しました。三つ子銀河の時はかなりシンプルな画像処理でしたが、今回はDeconvolutionやEZ Star Reduction、さらにマスクを多用したり、ノイズ処理など、結構な処理過程をしています。

撮影した画像と採択した画像はR: 7/11, G: 7/11, B: 10/13, Hα: 3/3ですが、揺れがあってもかなり甘めに採用しています。結果少し星が流れてしまっています。 


撮影結果

結果を示します。M51は小さくしか写らないので、周りをかなりカットしています。向きは迷ったのですが、回転させて縦置きにしてみました。ここら辺の自由が効くのも広角で撮ったメリットですね。

Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_rot_tw
  • 撮影日: 2022年4月2日20時32分-4月3日3時50分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB、Hα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間10分、R: 7枚、G: 7枚、B: 10枚、Hα: 3枚の計27枚で総露光時間4時間30分
  • Dark: Gain 240、露光時間10分、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain 240、露光時間 RGB: 0.03秒、Hα: 0.3秒、 RGBとHαそれぞれ64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

露光時間も高々4時間半でそこまで大したことないので、多少ノイジーなところもありますが、自宅の庭でここまで出るのなら、私的にはかなり満足です。背景の両側から挟み込むような淡いヒゲもそこそこ見えています。

結論としては、バローなしでのbin1x1で解像度はすでに十分そうです。もしかしたら意外にbin2x2でもいけるかもかもしれません。

反省点としては、星の輝きがイマイチでしょうか。三つ子銀河をASI2400MCで撮った時ほどの輝きが出ていない気がします。あと、撮影時多少揺れたので、採択率をかなり甘くしました。そのため少し星が流れたのが惜しいです。

あと、Twitterで蒼月城さんに「銀河中心のオレンジがあまり出ていないので、途中でRを落としたことはないか」とのご指摘をいただきました。確かにその通りで、最後にHαを加えた時に全体が赤っぽくなったので、少し赤を落としました。蒼月城さんのコメントは具体的でとてもありがたいです。私自身、銀河の画像処理はやはりまだ経験不足で、今後いくつか撮影して色々試す必要がありそうです。今回は自戒の念を込めて、そのままにしておきます。


その他のカット

カットする前のオリジナルの画像です。やはりかなり小さい印象になってしまいます。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_low

縦横半分にしてみます。バローで2倍に撮ったら以下くらいの大きさになります。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_half

これでもいいですし、最初に示した縦向きにしたのもいいのかと思います。ここらへんの自由が効くのが、bin1x1で広角で撮影したメリットかと思います。

同じ配置で、以前VISACで撮った画像も出しておきます。もう雲泥の差ですね。
integration_PCC_AS_HT_SNP3_cut


Annotattionも載せておきます。冒頭に載せたものと、
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_rot_Annotated

オリジナルのものを少しだけカットしたものです。こちらは右上の方にIC4263が認識されています。
Image199_ABE_pink_crop_DBE_Decon_HT_SR5_cut_Annotated1



まとめ

今回の結論としては、bin1x1で系外銀河撮影は十分な解像度がでる。揺れはCGX-Lで相当改善されているので、これ以上はシーイング支配になってくると思われます。ダイナミックレンジに関してはかなり心配していましたが、まあなんとかなりそうです。ただ、恒星の表現が少し難しかったので、そこら辺には効いてきているのかもしれません。ここら辺のきちんとした評価はかなり難しいですが、いつか定量的に確かめてみたいです。

画像を回転させることも楽しいです。ホコリのことも考えると、広角のbin1x1で接眼側をいじらない方が遥かにメリットが大きいのではというのが正直なところです。一応、既に撮影済みの次のM104の画像処理で、bin1x1と、バローでbin2x2での撮影を比較しますが、よほどのことがない限り、今後はbin1x1で済ますことになりそうです。

全然関係ないですが、M51を見るといつもスタートレックのエンタープライズ号を思い出すのは気のせいでしょうか?

M33に引き続き、SCA260の2作例目となります。ちょうこくしつ座のNGC253です。前回同様、かなりの分解能が期待できます。




次は何にしよう?

SCA260最初の天体は、これまでの物と比較しやすい様に、直近でTSA-120で撮影したM33としました。M33を撮影した次の日の11月3日も晴れていたので、SCA260で引き続き連夜の撮影です。

次の天体はこれまで撮ったことのないもの、かつSCA260の実力を見ることができるように、もう一度銀河にしてみたいと思います。色々悩んで、銀河としては大型な部類のちょうこくしつ座の「NGC253」に決めました。大きな銀河なのですが、自宅から見ると南天時でも高度28度とかなり低いところを通り、撮影する時間が限らるため、なかなか難しい天体です。しかも自宅の南側に電線があるので、でできるだけ電線からははなれてかなり自宅寄りに赤道儀を設置します。自宅屋根がギリギリ入るか入らないかの位置で、できるだけ撮影時間を稼ぎます。さらに後半の南西方向には高い木があり、なかなか厳しいです。

今回の狙いは3点
  1. 重いSCA260と耐荷重ギリギリのCGEM IIでの揺れの影響がどれくらいなのか見ること
  2. LRGB撮影と画像処理の手法確立
  3. 分解能がどれくらい出るのか確認
です。といっても、条件はM33の時と変わらず、同設定の繰り返しになるので再現性を確かめるような意味合いも強いです。


撮影

まず1の揺れについてです。試しに露光3分で何枚かだけ撮影したましたが、やはり揺れすぎで全ての画像で星像が丸にならずに早々と諦めます。露光1分にするとそこそこ星像が丸になります。これは前回のM33の時と同様で再現性ありです。逆にいうと、今の設定では1分露光くらいで頭打ちということが確認できてしまったようなものなので、何らかの改善策が必要になります。

ゲインに関してはM33の時の200から今回は120に変えています。ダイナミックレンジが少し得になるはずです。今後露光時間を伸ばして明るくなる時のための練習も兼ねています。ライトフレームの撮影は11月3日、その後11月7日の休日にbias、dark、flat、flatdarkを撮影しています。各補正フレームはM33用のゲイン200と、NGC253用のゲイン120で撮っておいたので、それらを使います。M33とNGC253の撮影で接眼部の回転装置は触っていないので、視野がずれるようなことはないはずなので多分大丈夫なはずです。

2.のLRGB撮影ですが、RGBフィルターはBaaderのもの、L画像はフィルター無しでやってます。電動タイプのフィルターホイールを使っていますが、RGBとLではピント位置が違うので、マニュアルでピントを合わせ直しています。同じ厚さのLフィルターを手に入れればピント合わせなしで済むので購入を考えた方がいいかもしれません。目安はLが120分、RGBがそれぞれ30分程度です。撮影順序はL→B→R→G→Lです。


画像処理

画像処理ではPixIsightのWBPPでLRGBを一度にまとめて処理できるかどうが試してみました。ファイル名なのか、fitsファイルのタグの中なのかわかりませんが、うまくライトフレームもフラットフレームもLRGBをうまく区別してくれました。

フラットフレームは部屋の白い壁を写しましたが、Lが0.5秒、RGBが暗いので1秒で撮影しています。でもflat darkの時間を1秒で一種類しか取らなかったので、RGBにフラットダークを割り当てることがうまくいきませんでした。darkの時間をあらわに外して指定することで一見通りそうに見えたのですが、実際にWBPPを走らせると途中で止まってしまいます。そのため結局RGBにはflat darkを使わず、代わりにMasterのみ補正して処理することになってしまいました。M33の時にはLRGBをそれぞれ独立WBPPにかけたました。この時もflat darkの時間を一種類しか取らなかったのですが、個別処理の時はdarkの時間をあらわに外して指定することで普通に通ったので、まだ個別処理と一括処理の整合性が取れていないようです。

もう一つの大きな問題点が青のムラです。M33の時にも同様な青のムラが現れたので、どうも再現性ありです。M33の時には青のライトフレームに雲が入ったのではと思っていたのですが、フラット画像を見てみると白い壁を写したはずのフラット画像にもムラがあります。RとGにはそこまであらわなムラは確認できません。


フラット画像の謎

ちょっとフラットに関して色々疑問が出てきたので、まずはそれを確認するためにフラット画像をマニュアルでそれぞれストレッチして特徴がわかりやすいようにしてみてみました。

L画像: ゴミがひどいですが、フィルターなしなのでこのゴミがどこから来ているのか不明です。そしてそのゴミのリングを見ると対象ではないです。光軸がまだずれているかもしれません。またよく見ると縦横の格子状の島があります。これはなんでしょうか?
masterFlat_BIN-2_FILTER-NA_Mono

R画像: Lのゴミに加えて、さらにRフィルターについていると思われるゴミがあります。格子状の模様も同じく確認できます。周辺減光に関してはなぜかLよりもマシかもしれません。これも理由不明です。
masterFlat_BIN-2_FILTER-R_Mono

G画像: 周辺の急激な落ち込みがひどいです。Gフィルターについていると思われるゴミもあります。縦横の縞もあまり目立たないですが存在します。
masterFlat_BIN-2_FILTER-G_Mono

B画像: 周辺の落ち込みもありますが、何よりムラムラです。縦横の縞もよく見るとやはり存在します。
masterFlat_BIN-2_FILTER-B_Mono

まとめると
  • ゴミが多いこと
  • 格子状の模様が全てに存在していそうなこと
  • 周辺減光の様子がLRGBで結構違うこと
  • 青のみに大きな構造のムラがあること
うーん、かなり問題がありそうです。これまでこんなことはなかったので、大口径のフラット撮影を見直す必要がありそうです。そういえばTSA-120の初期の頃に赤だけ変な模様が出たことがありました。この時はMacbook Proをフラットパネルがわりにして撮影していたのですが、その後シンプルに袋とかかぶせることもにしないで、白い壁に太陽光を拡散させた状態で撮影することでこのような問題は無くなりました。今回もこの方法を踏襲しています。ただし、口径26cmのような広く同一に光が当たる面がなかなかないので、同じ部屋で場所を少し変え蛍光灯の人工光としました。また、壁はTSA-120の時もSCA260の時も真っ白ではなく縦横に数ミリの幅で編み込んで見えるような壁紙です。この縦横が出たのかもしれませんが、距離で言ったらピントは全く合っていないので影響はないと考えていました。

いずれにせよフラット撮影をもう少し検討します。


結果

前回のM33同様、最初にRGBを合成し、その後LRGBを合成しています。そこからPhotoshopに渡しますが、実は画像処理は、青のムラと縦横縞でかなり苦労しました。炙り出すと縦横縞も見えてきてしまいました。今回は仕上げであまり目立たないようにしています。

結果です。

「ちょうこくしつ座: NGC253」
Image17_crop_ABE_ABE_DBE_DBE_PCC_DBE_mod2
  • 撮影日: L: 2021年11月3日19時53分-21時38分、11月4日0時25分-1時5分、R: 2021年11月3日22時21分-22時54分、G: 2021年11月3日22時55分-23時28分、B: 2021年11月3日21時47分-22時20分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB、Lはフィルターなし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間1分、L:103枚、R:25枚、G:25枚、B:29枚で総露光時間3時間2分dark: Gain 120、露光時間1分、L:64枚、flat: Gain 120、露光時間0.5秒(L)、1秒(RGB)、LRGB各:128枚、flatdarkはLRGB共通: Gain 120、露光時間0.5秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

仕上げた画像を見る限り、分解能はかなり満足です。ただし揺れている画像は省いているのですが、枚数を稼ぎたいのである程度妥協しています。風の吹き具合だと思うのですが、LRGBのそれぞれで径が違って出てしまいます。なので、まだ改善する余地があるはずです。

いつものおまけのAnnotationです。

Image17_crop_ABE_ABE_DBE_DBE_PCC_DBE_mod2_Annotated


まとめ

SCA260の2作例目としてちょうこくしつ座のNGC253を選びました。分解能に関してはかなり満足する結果となりましたが、まだ赤道儀の揺れが存在することと、フラット撮影に問題があります。2回目の撮影なので慣れてきましたが、いろいろと問題も認識できてたと言ったところでしょうか。

このSCA260の性能はすごいと思います。決して安くはない鏡筒ですが、この性能を考えたら十分すぎるくらい納得の値段です。まだ性能を引き出し切れていないところにもどかしさを感じますが、徐々に手応えを感じてきています。銀河だけでなく、例えばフルサイズの一眼でカラー撮影など、まだまだいろいろ試してみたいです。

M13でのTSA-120とVISACの比較から、どうやら単純にはVISACの方が分解能が上のようです。以前、TSA-120とASI178MCで全く分解能のでなかったM51を、連休中にVISACで再度撮影してみました。




今年初稼働のVISAC

そもそも、TSA-120での撮影の時は透明度も全然よくなくて、風がかなり強く鏡筒が揺れていたので、出来上がりはボケボケ状態で、無理矢理炙り出したような状況でした。焦点距離が900mmと短いので、M51は結構小さく出てしまいます。そこでセンサーサイズが小さく、分解能を出す意味でピクセルサイズが小さいASI178MCを使ったのですが、感度がASI294MCとかに比べると4分の1くらいなので、淡い星雲には不利に働いたのかと思います。

さて、今回は焦点距離が2000mmと倍以上になりASI294MCで感度もいいので、前回よりも少なくとも有利なはずです。口径も120mmから200mmになり光量も2.7倍くらいになるので、それも有利に効くはずです。その一方、これまでの経験からシリウスBトラペジウムではTSA-120の方が有利だったように、星像のシャープさという点ではもしかしたら不利な点が出てくるかもしれません。

さて、この時の撮影用のソフトはまだN.I.N.A.ではなく、APTを使っています。実際にはM13より以前に撮影しています。この日は透明度もそれほど悪くなく、風もたいしたことありません。


やっと画像処理

M13の方を先に処理し出してしまったので、M51の画像処理は後回しになってしまってました。週末の日曜になってやっとやる気が出てきました。

まず撮影した結果をそのままRAWで見てみます。おーっ!一枚でも解像度はすでに前回よりはるかに上っぽいです。

L_2020_05_11_21_28_11_Bin1x1_300s__15C_RGB_VNG

でも少し拡大してみると、

L_2020_05_11_21_28_11_Bin1x1_300s__15C_RGB_VNG_cut

あれ?おにぎり星像、また出たか!? 
M13の時は大丈夫だったのに〜!?
夏になると出るのでしょうか?

しかたないので、三角星像は画像処理で何とかすることにして、とりあえず進めます。

スタックまではいつものPixInsightです。今回もダークは以前の使い回し、フラット補正はサボってなしです。あ、一つトラブルがありました。最初、BatchPreprocessingが途中でスターアラインメントのところで止まってしまったのです。探ってみると、Debayerで色がおかしく出てしまています。よくわからないので、マニュアルで最初から探っていくと、どうやら一番最初のCalibrationのダーク補正のところでおかしくなっているようです。

心当たりを探ってみると、今回StickPCではなく、もっとパワーのあるSurfaceマシンで撮影して、その際APTを新規に入れたものを使ったのです。その際、オフセットの値をきちんと確認しなくて、小さな値を入れてしまっていたことが原因です。ダークファイルは使い回しで、そのオフセットはライトフレームよりも大きかったのです。ダーク補正をする際に、大きくオフセットを引きすぎてRGBのうちRとBの背景が0より小さくなってしまって、完全に緑がかった色になってしまっていました。

ここでどうするすればいいか、困ってしまいました。結局やったことは、PixInsightのHistgramTransformationの「shadow」を上げてmaster dark frameのオフセットを小さくしてみたことです。

dark_offset_cut

画面はわかりやすいようにDebayerしてカラー化してオフセットを取っていますが、実際にはBayer配列のままやっています。でもこの方法で本当に正しいのかよくわかりません。いずれにせよ、これで作ったmaster dark frameでダーク補正をすることで、背景が真っ暗になるようなことはなくなりました。そのままBatchPreprocessingでも最後まで処理できるようになりました。

その後、ABEとPCCで処理し、ArcsinhStretchで途中までストレッチして、最後はHistgramTransformationでストレッチしてPIはおしまいです。

次のトラブルは、StarNet++があまりうまくいかないことでした。大きな星は分離できてますが、細かい星がほとんど分離できません。

light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_AS_SNP

light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_AS_SNP_cut

何が原因か知りたかったので、とりあえず今回は2つ試して見ました。
  1. 一つはもう少しストレッチして明るくしてからStarNet++をかけて見ましたが、こちらはほとんど影響なしで分離できる星は変わりませんでした。
  2. 次にやったのが、MorphologicalTrasnformationで三角を丸に直してからStarNet++をかけて見ました。そうすると、もう少し分離でき流ようです。どうやら星の形(真円に近いという意味)を見分けて判断していることが分かります。
でも結局はかなりMorphologicalTrasnformationをかけなくてはならず、星雲部分や背景まで崩れてくるので、こちらも適用は諦めました。結局StarNet++で大きな星だけが分離できた状態で画像処理を進めました。その代わりに、分離できた分だけの恒星部の画像を作って、それをMorphologicalTrasnformationで三角になったのを少し緩和しました。


結果

画像処理の結果です。

「子持ち銀河M51」
light_BINNING_1_integration_ABE_PCC_AS_all_PS3_cut
  • 撮影日: 2020年5月13日21時22分-23時27分
  • 撮影場所: 富山県富山市下大久保
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro + サイトロン QBP (37.5mm)
  • ガイド: PHD2 + f=120mmガイド鏡 + ASI290MMによるディザリング
  • 撮影: APT、ゲイン220、温度-15℃、露光時間300秒x26枚 = 2時間10分 
  • PixInsight、Photoshop CC、StarNet++、DeNoiseで画像処理

今回はかなり分解能も出ています。M101に続いて、焦点距離の長い口径の大きい鏡筒を使えば、光害地でQBPを使って、もう少し小さい系外銀河の撮影もそこそこ可能だということが分かりました。

画像処理でVISAC特有の三角星像もそこまで目立たないくらいにはなりました。でも、前回のM13で三角になることはなくて、なんでM51は三角になったのでしょうか?赤道儀の向きにも依存しているのかもしれません。もしそうだとすると、光学的な問題というよりは、メカ的な振動の可能性もあり得ます。こちらはもう少し調べてみます。


まとめ

富山の明るい北の空で、何とか系外銀河を狙う目処がやっとついてきました。おにぎり星像はまだ問題ですが、四隅で流れるようなことはないので画像処理の範囲である程度補正することはできます。それでももう少し、根本的に何が原因か探りたいと思います。


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