ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:極軸調整

StellaVitaの続きの記事になります。前回は撮影前にしておくべき準備についてでしたが、今回は実際に撮影に撮影までしてみます。



前回記事の終了時の、赤道儀とカメラとガイドカメラが使えるようになった状態から始めることにします。カメラとガイドカメラのピントも取れているとします。

赤道儀は電源がオンになっていて、初期アラインメントはすんでいて、赤経が追尾を始めていると仮定します。鏡筒の向きはホームポジション付近になっていても構いません。その場合、赤道儀によるかと思いますが、極軸方向付近か、真東付近を向いているものかと思います。


テスト撮影とプレートソルブによる赤道儀の同期

まずは、カメラで撮影できるかどうか、試してみましょう。StellaVitaアプリの画面の左にある撮影用カメラのアイコンをクリックします。さらにもう一度同じボタンを押して、撮影モード選択の画面を出し、「シングルフレーム」を選びます。
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もし星が見えている方向に鏡筒が向いていないなら、自動導入やコントローラーで向きを変えて、星がある方向に鏡筒を向けてください。

右の真ん中の撮影開始ボタンを押して、まずは1枚撮影してみます。カメラの露光時間は短くしておいた方がいいでしょう。数秒でいいかと思います。右の撮影アイコン周りに円形のバーがぐるっと進む様子がわかると思います。最後までたどり着いたら撮影終了で、撮影した画面が映し出されます。

実際に星は見えていますでしょうか?もしここで星が見えていなければ、鏡筒にカバーが付いたままになっている、鏡筒のピントが大幅にずれているなどの原因がありますので、今一度チェックしてみてください。うまく撮影できると、下のように画面内に星が見えるはずです。
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撮影画面が見えたら、早速プレートソルブを試して、取得画像からいま鏡筒がどの方向を見ているかを特定してみましょう。画面の右アイコンの撮影ボタンの下の「地球のようなマーク」を押し、プレートソルブでの解析を開始します。試した限り、StellaVitaではかなり安定にプレートソルブができるようです。

解析が始まるので、10秒ほど待ちます。結果には今見ている方向が赤径と赤緯で表示されます。

ここで、赤道儀と「同期」するかどうかの選択肢がでてくるので、一旦赤道儀と同期しておくのがいいでしょう。これで近傍の天体導入なら、そこそこの精度でできるはずです。ただし、遠くの天体の導入と、撮影時の追尾はまだ精度がありません。これまでにまだ極軸調整をしていないからです。

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極軸調整

StellaVitaにはカメラを使った極軸合わせがサポートされているので、是非使ってみましょう。目で見て合わせる極軸望遠鏡に比べて一桁くらい精度が出るはずです。極軸を精度良く合わせることで、撮影時のガイドの負担が減り、星像の歪みが小さくなる可能性が高くなり、成功画像の歩留まりが上がるはずです。

StellaVitaでは極軸調整にメインの撮影カメラを使います。すでに上記のテスト撮影は終わっているとします。極軸調整にはメインカメラで星を写してその画像を解析する必要があるので、まだテスト撮影をしていない場合は、極軸調整の前に実際一度試してみてください。

極軸調整のため、赤経を15度と30度回して撮影するので、赤経が30度進んでも星が入るような方向にあらかじめ鏡筒を向けておきます。この状態で、左の赤道儀アイコンを押して赤道儀の調整画面に入り、下の真ん中らあたりの極軸調整ボタンを押します。

下のような説明が出ますが、1番と2番はすでにできているので薄字になっているはずです。3番も今回は実際にはできているでしょうから、実質4番からになります。この画面内の右真ん中の撮影開始ボタンを押してそのまま進めるだけです。
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1枚撮影した後に、自動的に鏡筒を赤径方向に+15度回転して一旦撮影、更に+30度回転して撮影と、メインの鏡筒のカメラで撮影が進みます。合計3枚撮影して、それらの画像解析から赤道儀の極軸がどの方向を向いているのかを計算します。うまく解析が完了すると、下の画像のように極軸がどれだけずれていうるかが円になって出てきます。赤道儀の極軸の向いている方向が、真の北極からどれくらいずれているかが、円の中の青い点で表されます。

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もしこの青い点が中央から上にずれているとしたら、赤道儀の下部についている物理的な上下方向の調整ネジを回して、赤道儀の極軸が下方向に進むようにします。その際、画面の縁の横の「更新」をオンにしておくと、リアルタイムに近い状態で常に今の方向を見ているかがわかります。横方向にずれている場合も、赤道儀下部についているネジを回して水平方向に調整してください。

青い点が中心に近くなってくると、円が拡大され、よりいい精度で見ることができるようになります。鏡筒の焦点距離にもよりますが、1秒角(下の画面の1'')程度に合わせれば十分過ぎるくらいでしょう。(補足1)
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撮影プラン

撮影に際しては、容量に余裕をもって撮影できるようにSDカードを用意しておくといいでしょう。SDカードは横の穴に差し込みます。

撮影は「プラン」モードを使いますが、その前にプランを立てる必要があります。左上のTodoリストアイコンを押し、「目標管理」の左下の「+」ボタンを押し目標を追加します。検索などして、撮影したい天体を選びます。今回はバラ星雲「NGC2239」をターゲットにしました。「撮影時にガイドを起動」をオンにするのを忘れないでください。ここがオンになっていないと撮影時ガイドが起動されないので、星像が流れてしまいます。
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その後、右下の「タスク管理」ボタンを押してタスクを追加します。「Light」をえらび、撮影枚数などを設定します。

タスク、目標が保存されたことを確認して、左のメインカメラボタンを2度押しして「プラン」撮影を選びます。右の撮影開始ボタンを押せば撮影が開始されます。ガイドはちょっと面倒なことがあるので、次に少し詳しく説明します。


ガイド

ガイドは「目標管理」のところで、あからさまに「オン」にしてやらないとガイドなしで撮影が開始されてしまいます。

ところが、ガイドをオンにしたはずなのに、ガイドが入らないことが2度ありました。判別方法としては、ガイドカメラの画面に切り替えた時に星が何も写っていなくて真っ暗のままの場合はガイドが開始されません。どうもガイドカメラがアプリ上では接続はされているにも関わらず、うまく動いていないことがあるようです。この場合、ガイドカメラをアプリ上で一旦接続をオフにして、もう一度オンにすると画面に星が写って、その後撮影開始後にキャリブレーションが始まりました。

キャリブレーションは思ったより長くかかりました。5分近くかかったでしょうか。途中、「時間がかかりすぎるのでガイドをオフにして撮影を開始しますか?」とかいうメッセージが出たのですが、「いいえ
」を選択して、キャリブレーションを続けました。これでさらに待つと、やっとキャリブレーションを完了させることができました。

ガイドカメラの設定を見ると「キャリブレーションのステップ」という項目があり、デフォルトでは「750」でした。でも単位がわからないので、とりあえずいじっていません。これをもっと大きくすると一度に進む距離が長くなり、時間が短縮されそうな気がしますが、今回は試せていません。(補足2)


撮影開始

キャリブレーションが終わるとガイドが開始されそのまま撮影が開始されます。ところが、キャリブレーション直後はターゲットのガイド星からずれているため、ガイドがターゲット星に合わせようとして方向を変えてしまいます。その過程中も撮影は続いているので、最初の1枚目はどうしても下の画像のように星像がずれていく画像が撮影されてしまうようです。これはソフト的に回避できる問題のはずなので、改善してほしいかと思います。

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撮影が可視視されてからガイドがターゲット星をセンターに移動してしまっています。

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結果として、1枚目だけはどうしても星像が流れた画像になってしまいます。

うまくいくと、ガイドも安定し、星像も丸くなります。その後はずっと安定した画像を撮影することができました。

その際のガイドカメラの画面です。ディザーの設定をしておけば、いつディザーされているかなどもわかります。
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撮影時のメインカメラの画像に、同時にガイド画面とヒストグラムを表示するとができます。ガイド画面では安定度を見ることができ、ヒストグラムでは「自動」にチェックが入っていればオートストレッチされた画像が表示されるので、ある程度の写り具合を見ることができます。
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実際にファイルとして保存されているかどうかは、左アイコンの下から二つ目のフォルダアイコンを押します。保存先は指定した場所になりますが、ファイルの移動などを考えるとSDカードが便利かと思います。撮影中もSDカードにはアクセスできますが、チェックはプレビューのみで、jpgフォーマットでローカルのタブレット端末にダウンロードされます。プレビューの段階ではユーザーはjpgの存在しかわかりませんが、きちんとfitsファイルもSDカード内に保存されています。アプリにフォーマットの指定はなさそうなので、RAWファイルはfits固定で、変更はできないみたいです。

RAW形式のfitsファイルは、ファイル容量が大きいので、撮影後SDカードを抜き出してから、PCなどにファイルを移動するのがいいでしょう。


フラット、フラットダーク画像の撮影

撮影後、StellaVitaを使って昼間にフラット画像とフラットダーク画像を撮影してみます。私は鏡筒を部屋の中の白い壁に向けてフラット画像を撮影しています。光源は太陽ですが、晴れ又は曇りの日の昼間に窓のカーテンを開けて、直射日光が当たらない壁に向かって鏡筒を向けます。鏡筒や鏡筒を置いてある机が影を作る場合があるので、ともに壁から少し離して設置します。

StellaVitaの電源投入後、アプリ接続して、今回はメインカメラのみをオンにします。ライト画像と同じように、左上のTodoリストアイコンを押し、「タスク管理」で作ったNGC2239の「目標管理」にタスクを追加します。ただし、ライト画像のタスクが残ったままだと撮影時にライト画像から再び撮影してしまうので、まずはライトの「Light」のタスクを消して、改めて「Flat」を選択して、ライト画像と同じゲインにして、露光時間を調整します。
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露光時間の調整は、メインカメラボタンを押してメインカメラの画面を出し、さらにもう一度メインカメラボタンを押して、シングルショット撮影を選んびます。ゲインはからなずライト撮影時と同じにしてください。明るさの調整は露光時間で行います。露光時間は右の上から2つ目のアイコンを押して調整します。その後、右真ん中のボタンを押して実際に撮影してみます。左の櫛形のアイコンを押してヒストグラムを出し、山が真ん中か少し左くらいにある状態になるように何度か露光時間を調整と撮影を繰り返します。今回は曇りの時の部屋の中で0.05秒でちょうどいいくらいの明るさになりました。
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再び左上のTodoリストアイコンを押して「タスク管理」->「目標管理」に入って、今調整した露光時間を入力します。これで準備は完了です。

メインカメラのアイコンを二度押して「プラン」モードに入り、右真ん中の撮影ボタンを押して撮影開始です。すぐに撮影が開始され、ダウンロードも始まりますが、ダウンロードができているかどうかに関わらず撮影枚数はどんどん進みます。露光時間の短い明るい撮影なので、全枚数の撮影もすぐに終わるはずです。撮影が完了してもダウンロードは続きますが、撮影ボタンがXマークになっていて、それを押すとダウンロードも途中で終了できます。

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短時間撮影なので、どんどん枚数が進むでしょう。

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撮影終了後は、ダウンロード中でもXボタンを押すことでダウンロードを中断できます。

フラットダークは全く同じ設定で暗くするだけです。まずカーテンを閉め切り部屋を暗くし、鏡筒にキャップを被せます。でも昼間の撮影なのでおそらくそれでは不十分で、鏡筒、フォーかサーブ、カメラ自身に光の漏れがあることが普通です。私はダークやフラットダークの撮影では、念の為に毛布などを全体に被せて光ができる限り入らないようにします。ただし、カメラの通風口を塞いでしまうと熱の逃げ場がなくなってカメラが故障する可能性があるので、そこだけは開けておきます。

アプリでは、タスク管理で作ったフラットのところを再選択して、タブのところで「Dark」に変更します。こうすることで後で画像処理ソフトがどの種類の画像かを分別する手がかりをつけます。こちらも撮影を開始し、完了したらこれで終了です。

他にダーク画像の撮影もありますが、私は手持ちのダーク画像があったので、ここでは撮影は割愛しました。ダーク撮影のポイントは、露光時間とゲインオフセットとカメラの温度をライト画像撮影時と全く同じにすること、フラットダークの撮影時のように毛布をかけるなどしてできる限り漏れ光を少なくすること、ライト画像と同程度の十分な枚数を撮影することでしょうか。ダーク画像は一度撮影してしまえば、ライト画像の設定を変えない限り使い回しできるので、時間のある時に必要な設定分だけ撮影しておくと楽になります。あと、バイアス画像を撮影する機能もありますが、ダーク画像をライト画像と同じ設定で撮影した場合は、バイアス画像は不要です。

以上が、夜のライト画像撮影後に、別途昼間など時間のある時に追加して撮影する画像になります。今回はライト以外の画像もStellaVitaで撮影しましたが、他のアプリを使って撮影してもそれらを画像処理で使うことはできます。

画像処理

結局、3分露光で48枚のfits画像が得られました。画像の保存フォルダ名に日付が入らないなど、ファイル名の細かな指定のようなことはできませんが、画像処理ソフトで読み出す際に普通に読み込めるので、贅沢を言わなければ特に問題ではないかと思います。

ダークファイルは以前NINAで撮ったものの使い回し、フラット画像とフラットダーク画像は今回StellaVitaで64枚づつ撮ったものを使って、画像を最後まで仕上げてみました。画像処理はPixInsightとPhotoshopを使いましたが、StellaVitaで撮影したfitsファイルは特に問題なくPixInsightで読み込んで処理することができました。

画像処理自体はStellaVitaとは独立なので、詳細は割愛しますが、結果だけ載せておきます。自宅でガイドを含めて2時間の安定な撮影程度は問題なくでき、天体画像として最後まで処理できたので、実用という点から考えた時、StellaVitaは十分な撮影プラットフォームとして使えると言えるでしょう。

180.00s_FILTER-NoFilter_RGB_drizzle_2x_BXTC_SPCC_BXT_MSA_NXT6_s3
  • 撮影日: 2025年12月29日2時13分-4時43分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: William Optics RedCat51(f250mm、F4.9)
  • フィルター: サイトロン CBP
  • 赤道儀: Celestrn Advanced VX
  • カメラ: Player One Uranus-C Pro (-10℃)
  • ガイド:   f50mmガイド鏡 + ASI290MM、StellaVitaでガイド
  • 撮影: StellaVita、Gain 220、露光時間3分 x 48枚 = 144分 = 2時間24分
  • Dark: Gain 100,  露光時間180秒x30枚、Flat, Flatdark: Gain 220,  露光時間0.05秒x64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


まとめ

今回はStellaVitaを使って、実際の星雲を撮影してみました。多少戸惑うところもありましたが、システムとしては必要十分な機能があり、無事にライト画像、フラット画像、フラットダーク画像を撮影でき、それらの画像を使っての処理も滞りなく進むことができました。

まだ日本での販売はあまり時間が経っていないこと、アップデートも毎週のように更新されているなど、今現在も非常にアクティブに進化している最中なのかと思います。まだこなれていないところもあるは事実ですが、今後のシェアの広がりとサポートに期待したいと思います。

次回の記事では、今回思った改善点などの要望をまとめたいと思います。


(補足1)
私は普段はSharpCapを使って極軸調整をします。SharpCapの場合、ガイドカメラ、メイン鏡筒のどちらでも使えるのですが、基本的には北方向の空を見ていないと使うことができません。StellaVitaは北方向の空が開けていなくても、十分な精度で極軸調整ができます。これはかなりの利点でしょう。その一方、リアルタイム画面の表示と更新速度にはSharpCapの方が一日の長があります。実際の星を写して、その星がどちらに動けばいいか矢印まで出るので、ここら辺はSharpCapの方が親切です。でも、StellaVitaは鏡筒を赤道儀の回転も自動でやってくれて、操作性もSharpCapには及ばないものの、十分わかりやすくストレスなくできます。

StellaVitaの極軸調整の「北方向を見なくていい」という圧倒的な利点(たとえ北方向が開けていても、北だけ曇っていることなどよくあることなので)を考えると、極軸調整に関してはStellaVitaに軍配をあげてもいいかと思います。これまでいくつもの極軸調整がありましたが、SharpCapを超えるものはありませんでした。今回、初めてまともに使えると思いました。StellaVitaが赤道儀の操作も自動でできることが前提なのですが、これはかなりすごいことです。


(補足2)
ガイド鏡をRedCat51に取り付ける際、固定リングのネジ穴を利用したのですが、これが斜めに面が切られているので、ガイド鏡も鏡筒の斜め上につけることになり、カメラの水平垂直が崩れました。そのため、キャリブレーション時にガイド星が斜めに動いていきました。これでもきちんとキャリブレーションできるので特に問題はないのですが、カメラだけガイド鏡に対して45度程度回転させて水平、垂直を合わせておけばよかったかもしれません。








前記事ではPSTの調整などのことを書きましたが、同日の土曜と次の日の日曜に太陽に対応したPHD2で、実際の太陽オートガイドを試しました。

PHD2による太陽ガイドが開発されている

CP+の講演の中でPHD2の対応対応についてちらっとだけつぶやいたのですが、まだ日本ではほとんど認識されていなかったようで、一部の太陽マニアにはかなり響いたみたいです。その後、実際試された方が何人もいるようです。

それまでは太陽のオートガイドには以前このブログでも紹介した、Lusol-Guideがよく使われていたようです。私も何度が試したのですが、
  • ソフトの開発が止まっていること。
  • 元々有料だったこと。 (当時Lusol-Guideに気づいたhiroさんが、ほぼ表舞台から遠ざかっていたと思われる作者まで奇跡的にたどり着いて、無料で使って構わないという確認をとってくれました。)
  • 自分で試した限り、ガイド精度が10ピクセル程度と、そこまでよくはないこと。
  • そもそもタイプラプスのために保存するser形式の動画ファイルが、HDDに対してかなり負担になること。
などから、その後Lusol-Guideというよりも太陽タイムラプス自体をあまり試すことはなくなっていました。

そんな折、PHD2の太陽版がリリースされたのは2024年の3月頃のことです。その後2024年8月にJun1Watanabeさんがラズパイで太陽の中心を星のように小さく表してPHD2に渡すという独自の太陽ガイドシステムを発表しています。ここ1年で、太陽ガイドに関していくつか選択できるまでになったというのは、とてもありがたいことです。

私はPhoenixが来てからPHD2を簡単に試しただけなのですが、使い勝手もPHD2と本質的に同じで、使いやすく本格的な制御にも対応していて、安定に動かすことができました。今の私 (わたし) 的な再太陽ブームにおける今回の目的は
  1. かなり拡大して撮影するC8で、タイプラプス映像が作れるくらい安定したガイドを構築すること。
  2. あわよくば、SharpCapでリアルタイムでスタックしてできた画像のみを保存することで、とんでもない大きさのraw形式での動画ファイルの保存を避けてディスク容量を節約できればいいかな。
くらいの2つを考えいます。


実際に太陽PHD2を試してみる

まず、現在の太陽用のPHD2はいまだに開発バージョンということで、自己責任の範囲で試すべきで、マニュアルやサポートなどは十分でないということを理解しておく必要があります。

2025年3月24日現在の最新バージョンはリリースノートによるとv2.6.13dev7とのことです。


インストール後、カメラや赤道儀などの接続は普通のPHD2と何ら変わりはありません。

ガイド鏡筒ですが、普通に撮影用に使うものを流用すればいいかと思います。太陽は非常明るく、集光した際のエネルギーも大きくなるので、カメラを焼いてしまう恐れがあります。そのため、太陽用のフィルターなどを別途鏡筒前に取り付けるなどして手当てしてやる必要があります。

ガイドカメラはカラーでもモノクロでも構いません。モノクロの方が分解能がいいですが、大きな太陽を円でフィッティングするので、どこまでカメラの分解能が効くかは、別途きちんと検討する必要があるかと思います。

裏技的になりますが、ガイド鏡やガイドカメラを別途用意しなくても、例えばCP+で話したようなPhoenixとApollo-M miniなどの組み合わせで太陽の全景が一度に画面内に入るなら、そのメインの画像をガイドに使うこともできます。ただし、撮影用とガイド用で設定を共有しなければならないなどの制限もあるので、注意が必要です。また、カメラを共有する場合、太陽が全面一度に見えている場合はいいのですが、バローを付けたり、センサー面積の小さいカメラを使って太陽の一部しか見えていない時は、うまくいきませんでした。今回のPHD2の太陽版は、オプションで特徴点を見つけてそれを基準にガイドする機能も持っているのですが、試した限り短時間ガイドはできるのですが、少なくとも安定して長時間稼働させることはできませんでした。

C8のように太陽をかなり拡大して見る場合は、当然全景を見ることはできないで、別途ガイド鏡を用意することにしました。今回とりあえず使ったものはEVOGUIDE 50ED IIとASI178MCです。焦点距離が200mmでカラーですがピクセルサイズが2.4μmなので、かなり分解能良く見えるはずです。

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以下、設定方法を書いておきます。

1. PHD2太陽版を立ち上げ、カメラと赤道儀を接続してから、露光を開始します。露光時間が長すぎて明るすぎる画面が見えると思います。

2. 最初にやることが、下の脳みそマークの右にある、太陽の設定ボタンを押します。すると別途設定画面が出てくるので、例えば下の画像のように設定します。この場合、2つ目のオプションがオフになっているので、太陽全体が見えている時の設定になります。

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3. まずは露光時間とゲインを設定します。SharpCapできちんと見えるくらいの値にすればいいです。ここでは露光時間2msでゲイン0なので、かなり暗い設定ですが、これくらいでやっと飽和せずに黒点とかも見えました。ちなみに1msとゲイン0が設定できる最小の値なので、それ以上暗くしたいならフィルターを暗いものにするとかしないとダメです。飽和していてもうまく太陽の周りをフィッティングすることはでき、太陽中心はきちんと出るので、実際にはもう少し明るい設定にしても大丈夫です。

4. 太陽の形が見えたら、最小径と最大径を設定します。まずは100と2000とか極端な値を入れて、画面に円、もしくは半円が出るか試します。この円は、最小径もしくは最大径を変更するたびに、しばらくの間表示されます。
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線が細くてわかりにくいですが、左上に設定した径の半円が出ています。

5. 出てきた円と太陽の大きさを比べて、ある程度太陽の大きさが範囲に含まれるように絞り込みます。

6. 径がそこそこ決まったら、ここで左下の「露光開始ボタン」の右隣の、「認識ボタン」を押します。
緑の円が太陽の周りにフィットされるはずです。うまくフィットされない場合は、最小径と最大径の設定を見直してください。
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7. さらに「認識ボタン」の右隣の「ガイド開始ボタン」を押すと、初めての場合はキャリブレーションが始まります。キャリブレーションがうまく開始されない場合は、シフトキーを押しながら、マウスで左クリックしてください。

8. キャリブレーションが終了すると、自動的にガイドが始まります。


太陽を使って昼間の極軸調整

1日のうちで最初にPHD2を走らせた時は、ここで一旦ストップボタンを押して、極軸調整をするといいでしょう。

昼間は北極星は当然見えないので、極軸を合わせるのは普通は困難なはずです。PHD2にはドリフトアラインメントという機能があり、これで極軸を合わせることができます。この太陽バージョンのPHD2は、星の代わりに太陽を使ってドリフトを測定し、極軸調整ができるというわけです。ただし、太陽を使うということで、通常の星と違い少しクセがあります。

1. 露光して太陽中心を認識している状態で、PHD2のメニューの「ツール」から「ドリフトアラインメント」を選びます。

2. 「ドリフト」ボタンを押すと、ガイドをしない状態で太陽の中心位置が赤経、赤緯別に下に表示される時系列グラフに記録されていきます。その線が真っ直ぐになればいいのですが、極軸があっていないと上下どちらかに斜めに動いていきます。
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3. 動く方向が確認できたら「調整」ボタンを押してから、まずは赤道儀の土台に付いている横方向のネジ(モーターを動かしてはダメです)をどちらか一方に、例えば半回転回してみます。

4. 再び「ドリフト」ボタンを押して、グラフがどう移動していくのか見ます。

5. 先ほどよりもグラフが真っ直ぐになったら、ネジを正しい方向に回した方ことになります。傾きが急になったのなら、間違った方向に回したことになります。

6. 傾きに変化が見えない場合は、再び「調整」を押し、ネジを同じ方向にさらに大きく、例えば今度は1回転回してまた「ドリフト」を押します。傾きが変わったと認識できるまでこれを繰り返します。

7. グラフが真っ直ぐになり、赤道儀の横方向があってきたら「次へ」ボタンを押して、今度は赤道儀の縦方向のネジを同様に調整します。

8. グラフが平らになってくると、太陽の中心周りにどれくらいの精度であっているかのマジェンタ色の円が表示されます。これが十分小さくなるまで合わせ込みます。
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太陽極軸合わせのクセ 1:
問題は、ネジを回したときに、太陽の位置がずれてしまい、ガイド鏡で見ている範囲から外れてしまうと、それ以上何も進まなくなってしまうことです。こうなる前に、赤道儀の(今度はネジではなく)モーターで太陽が画面内に入るように調整します。ここが星を使う場合と最も違う点でしょうか。

太陽極軸合わせのクセ 2:
もう一つ問題があります。本来、赤道儀の横方向の設定は、ガイド鏡を南中方向に向けて赤緯のグラフを見るべきです。一旦それがあってから、さらに次にガイド鏡を東か西の方向を向け、今度は赤道儀の縦方向のネジを調整します。でも太陽は一つしかなくて、その時にある太陽の方向しかガイド鏡で見ることができません。なので、見ている方向によっては横方向もしくは縦方向の感度が良くなくて、うまく合わせられないことがあることに注意してください。


太陽ドリフトアラインメントの精度の例

昼間にドリフトアラインメントで太陽でそこそこ合わせた後に、実際夜になって北極星を使って、改めてSharpCapの極軸調整で精度を見てみました。すると、4分角程度のズレがありました。

これまでドリフトガイドを使わずに、昼間の赤道儀をどうやって合わせてきたかというと、
  1. 赤道儀の水平をできるだけ合わせる。
  2. さらに赤道儀に付いている赤経赤緯の位置を表す矢印などのインデックスを見ながら、ホームポジションにできるだけ精度よく合わせる。
  3. 赤道儀の内部時計の時刻もできるだけ正確に合わせる。
  4. その状態で、赤道着の初期アラインメントで太陽を自動導入すると、本来極軸があっていたなら鏡筒はきちんと太陽の方向を向くはず。
  5. 鏡筒につけたカメラ映像で見ながら、実際に見ている方向と、太陽方向とのずれがなくなるように(赤道儀のモーターは使わずに)土台の調整ネジだけを使って、鏡筒が太陽の方向に向くように(カメラの映像内に太陽が入ってくるように)合わせる。

というような手順です。この方法での精度はせいぜい1度角程度でしょう。このように考えると、ドリフトアラインメントを使った場合は4分角(=0.067度)、ザックリですが10倍程度は精度が上がると思っていいのでしょう。

一方、夜に北極星を基準にSharpCapで極軸調整するときは1分角以下は余裕で、例えば30秒角くらいまで合わせることができると考えると、太陽を使った昼間のドリフトアラインメントでの極軸精度は、夜の場合のザックリ10分の1くらいでしょうか。そもそも、ドリフトアラインメントではある程度調整を絞り込んでいくと、ピリオディックモーションの影響も無視できなくなってくるので、原理的に精度がそこまで出ないので、まあ妥当な結果かと思います。

それでも闇雲に合わせるよりは遥かに精度が上がるので、太陽やたぶん昼間の月でもできるかもしれないので、これを利用しない手はないと思います。昼間の極軸合わせはとても大変で、太陽撮影でもそうですが、例えば明るいうちから彗星や金星などを追尾したい場合や、昼間の明るい恒星観測などの際の自動導入など、応用範囲も広いのかと思います。


まずは静止画

3月23日ですが、上のガイドの作業をする前に、まずはガイド無しでいつものように一通り朝イチで撮影したので、紹介しておきます。黒点周りが2枚と、プロミネンスです。特にプロミネンスは見事でした。

  • 午前8時40分14秒: AR4030
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  • 撮影日: 2025年3月23日8時40分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Celestron C8 (f2000mm、F10) 
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • 撮影: SharpCap Gain 150、露光時間1.25ms、500/1000 frames
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop CC

解像度は前日に負けます。シーイングは1日の中でも時間によって大きく変わるので、この時はあまり良くなかったです。風が強くてそれで画面が揺れるので、シーイングの良し悪しまであまり判断することができませんでした。

  • 午前8時48分43秒: AR4036
08_48_43_lapl3_ap399

一方、こちらの黒点は下のプロミネンス3枚を撮影した後に、さらに追加で撮影したもので、上のAR4030を撮影したよりもシーイングは良かったようです。わずか8分でもシーイングは結構変わります。


ここからプロミネンスを3枚です。結構大きなものが出ていました。かなり分解能よく撮れているようです。スピキュールもピンピコ見えていて、シーイングもそこそこだったことがわかります。
  • 午前8時42分50秒
08_42_50_lapl3_ap359

  • 午前8時43分57秒
08_43_57_lapl3_ap305


  • 午前8時44分43秒
08_44_43_lapl3_ap369



PHD2ガイドでタイムラプス撮影

オートガイドが活躍するのは長時間撮影の場合です。太陽だとタイムラプス映像にして、プロミネンスやフレアなどが時間ごとに変化する様子を、位置を変えずに撮影できるのが最も有効な活用方法かと思います。

SharpCapは電視観望で良く使われているように、ライブスタックが有名ですが、これは速くても秒ごとくらいでのスタックになります。最近のSharpCapでは、惑星や月や太陽をミリ秒単位でリアルタイムでスタックすることができ、さらにリアルタイムでWavelet変換して細部の炙り出しをするという、驚異的な進化を遂げています。Phoenixで太陽の全景を見ながら試した場合では、非常にうまく処理できていて、もう後処理が必要ないくらいのレベルになっています。具体的な様子は、CP+の太陽セミナー配信の41分30秒あたりからをご覧ください。

一方今回は、太陽全体が見えないようなC8で拡大した画像ををうまくリアルタイム処理できるか試してみました。

結論を言うと、ある程度は処理できます。ある程度というのは、プロミネンスはそこそこ細部まで炙り出すことができ、黒点周りなどの表面のHαの模様も、うまくパラメータを設定すればある程度の細部は出すことはできます。それでもプロミネンスもですが、特に表面の模様は、別途動画を撮影して後から処理したものとは仕上がり具合にどうしても差があります。決定的なのは、何かの拍子で位置が多少ズレた場合に、一気にリアルタイム処理での画像がボケたようになって、しばらく回復しないことです。これはPHD2の問題というよりは、SharpCapのリアルタイム位置合わせの問題のようで、うまくガイドができている時にも10分とか20分とかに一回程度発生します。これが発生した時は、素直にリアルタイムスタックのリセットボタンを押した方が回復が早いです。いじれるパラメータを全て触りましたが、完全に回避する方法は今回は見つけられませんでした。

なので全景が入らない場合は、.serの動画で撮影せざるを得ないというのが、今の所の結論です。

今回は2つのタイムラプス例を紹介します。実際プロミネンスは5種くらい、黒点周りは2種くらい撮影したのですが、どれも長続きしませんでした。結局SharpCapでリアルタイム処理で20分くらい撮影できたものと、個別に動画を撮影して日が沈むまで1時間くらい最後に撮ったものくらいしか、見る価値がありませんでした。

最初にSharpCapのリアルタイム処理でうまくいったと思ったものです。撮り始めてから1時間くらい自宅の中にいて、どれどれと思って見てみたのですが、途中からボケボケになって、さらに曇ってしまっていました。でも最初の方はプロミネンスの活発な動きが映っています。大きな動きの途中からしか撮影開始できなかったので、もう少し早くから始めればと、もたもたしていたのをちょっと後悔しました。

output-palette

上の画像はShapCapで保存されたtifファイルを、ffmpegを使ってmp4にして、さらにffmpegでgif化してます。コマンドは

ffmpeg -i Blink.mp4 -filter_complex "[0:v] fps=10,scale=640:-1,split [a][b];[a] palettegen [p];[b][p] paletteuse" output-palette.gif

としました。グローバルパレットを使うことで、解像度とファイルの小ささを両立しています。

このあとは同じようにプロミネンスの撮影を開始して、Costcoに買い物に行ってしまいました。2時間ほどして戻ってきてから見てみると、やはり10分も持たずにボケボケ画像になってしまっています。ここからどんな時にボケボケになるか見ていると、例えば雲が通り過ぎた時、風で大きく揺れた時など、結構頻繁に起こることがわかりました。

そもそもこの時点で、ガイド渋滞がいい時でも+/-4秒くらいで、ジャンプもそこそこあります。
スクリーンショット 2025-03-22 121740_cut1

ここで、ガイド鏡をEVOGUIDEからいつもDSOで使っているものに変えました。
IMG_1088

焦点距離は200mmから120mmになること、カメラがASI290MMでピクセルサイズは2.9μmと少し大きくなりますが、モノクロになるので実質ピクセルサイズは小さくなったことになります。実質の解像度はほとんど同じでしょう。

やはり安定度は大きく違いました。EVOGUIDEは2つのスコープリングで固定しているために微調整はしやすいですが、固定の安定度という意味ではまだまだです。普段使っているバイクに取り付けるための金具を使ったガイド鏡はガチガチに固定することができます。


これに変えてから、一気に+/-2秒程度の誤差に抑えることができるようになりました。短時間の揺れもそうですが、長時間のたわみも影響するはずなので、やはりガイド鏡の固定は堅固なものに越したことはありません。
スクリーンショット 2025-03-23 164529

その後、再びSharpCapでリアルタイムのスタックに挑戦しますが、やはりあまり長続きせず、途中何かの拍子にボケボケになってしまいます。夕方16時を過ぎたあたりでとうとうリアルタイムスタックはあきらめて、動画のserファイルも併用して保存することにしました。

結局のところ、C8のように長焦点で拡大した太陽Hαは、SharpCapでのリアルタイム処理で長時間安定に撮影するのはまだちょっと厳しいという結論です。気軽に見るだけとか、短時間ならまだ使えるのかと思います。

撮影は30秒おきに100フレーム撮影し、それを99本撮りましたが、最後のほうは夕方でかなり暗くなったので、そのうち60本を使いました。高々100フレームに抑えたのですが、これだけでも総ファイル量は40GB程度になってしまいます。

こちらの動画ファイルをAutoStakkart4!、ImPPGのバッチ処理をして、Fijiで位置合わせをしたものが以下になります。位置合わせは他にもいろいろ試しましたが、結局Fijiに勝てるものはなかったです。


タイムラプス化は、PixInsightのBlinkで一連の画像のチェックがてらjpgに変換し、その後別途ffmpegを使いました。コントラストが勝手に変わって彩層面の模様がサチるようなことがあったので、以下のオプションを使いました。
ffmpeg -y -r 15 -i Blink%05d_r.jpg -c:v libx265 -crf 15 -tag:v hvc1 Blink.mp4

また、X用には以下のコマンドで変換することでアップロードできるようになりました。
ffmpeg -i Blink.mp4 -vf "scale=1600:-1" -vcodec libx264 -pix_fmt yuv420p -strict -2 -acodec aac output.mp4

最後の最後で動画を撮影し始めたので、半分あきらめてのテスト撮影のような感じでしたが、出来上がったタイムラプス映像のプロミネンスの動きにはもうびっくりです! 高々30分と思っていましたが、こんなに激しく動いてるんですね。

でも今回注目してほしいのは彩層面のほうです。PHD2でのガイドがよほど効いていたのか、模様の再現性がかなりあることがわかります。位置合わせもここまでうまくいくとは思っていませんでした。よく見ると彩層面も30分の間に動いていて、プロミネンスのようなもの (彩層面上だからダークフィラメントといったほうがいいのでしょうか) が出てくる様子もわかります。これだけ安定なら、次回は黒点周りとかをガイド+動画で撮影してみようかと思います。


まとめ

ガイドの効果はかなり大きいことがわかりました。以前試したLusol-Guideもきちんと動きましたが、精度はPHD2のほうが圧倒的にいいでしょう。制御系もDSOで実績があるので、状況に応じて安定したパラメータを探ることができます。

SharpCapでのタイムラプス撮影は、今回C8では厳しかったですが、Phoenixの時のように全体が見えているのならまた安定度も違ってくるのかもしれません。C8での撮影でも、これまでのようにserで保存すれば、PHD2のガイドの安定度と相まって彩層面の細かい模様まで長時間にわたって安定して再現できることがわかりました。これはかなり大きな成果なので、今後黒点周りなどに挑戦していきたいと思います。

SWATに取り付ける極軸微動ユニットを新しく導入しました。



SWAgTiで極軸を三脚の足を伸び縮みさせたり、水平方向にちょーっとだけズラしているのを見て、気の毒に思ってくれたのか、先日の「星もと」に参加した際に、Unitecさんが貸してくれました。SWAgTiを応援してくれている意味もあるのかと思います。しばらく使ってていいとのことなので、撮影にどんどん使っていこうと思います。


専用プレート

まず取り付けですが、SWATだと専用プレートを使うと取り外しが楽になります。底面と同じ大きさのプレートはネジ2本で取り付けることができて、そのまま極時首同ユニットのクランプで挟むことができます。 これまでは毎回SWAT本体をクルクル回転させて三脚のネジに止めていたので、これだけも楽になります。

IMG_0107

SWATを取り付ける向きを迷いました。最初SWATが真ん中に来るようにと思って取り付けたら、Unitecさん曰く反対に取り付けてしまっているとのことです。SWATの重心をわざと南側にずらすことで、鏡筒を取り付けたときに重心位置が、ちょうど三脚中心の真上に来るように設計しているとのことです。

IMG_0108

試してみると、鏡筒取り付け後はかなり安定していて、どちらかに倒れ込むような感じは全然なかったので、安心して使うことができそうです。

IMG_0076


実際に使ってみて

なかなか天気がよくならずに試せなかったのですが、10月初めに短時間ですが少し晴れた時があったので、実際に極軸調整を試してみました。

まず最初にSharpCapの極軸合わせ機能を走らせます。ここでSharpCapの指示に従って極軸調整を進めていくのですが、この微動ユニットは可動部分のガタがほとんど無いので、一方向のネジを締めるときに他方が動くようなことがほぼありません。また、可動方向の動きも粘度があるような物凄く安定した動きで、速い揺れやガタが全くないし、ネジを回した分だけピッタリ動き、余分に動くこともネジを離したら戻るようなこともなく、相当な好印象です。このネジを触っただけでも、可動部とネジを相当作り込んでいると思いました。

IMG_0093

極軸微動ユニットでの極軸調整は、これまでの三脚の脚を動かしての苦労がなんだったんだというくらい安定で簡単でした。特にネジの精度がいいので、拍子抜けするくらいの手数でものすごい精度で合わせることができました。0.5分角(30秒角)以下くらいならすぐに達成できて、SharpCapの評価でも、簡単にExcellentになります。

07
こんな値まで調整できます。ネジの操作具合がなかなりいです。

写真では5秒角とか、とんでもないレベルの数字まで調整できてしまいます。でもこの数字に本当に意味があるかどうかは、次に書いてある手法で評価されることになります。


極軸調整を2度繰り返して異常を検知

SharpCapで極軸調整は90度赤経を回転させることで、回転させる前と回転した後の画像内の星の位置の違いから、極軸とのずれを計算します。私は一度極軸調整をしてから、逆方向に90赤経を回転戻す際に、ついでに必ず二度目の極軸調整をします。

位置違いで二度極軸調整をすることで、かなりの情報を得ることがわかります。三脚や赤道儀、鏡筒支持部などが弱いと、赤経体を動かしたときに全体にたわみが発生したりして、二度目の極軸調整の計算の際に大きくズレた値がでます。ズレの値は脆弱なシステムだと数分角から、酷いと10分角を超えることもあります。10分角もあると長時間露光でかなりの量でズレていくので、その分ガイドに負担がいったり、ガイド鏡自身がたわんでいる場合などは、大きくドリフトすることがあります。

頑丈なシステムだと、二度目の極軸調整でのズレは1分角程度に抑えることができます。これまで2度極軸調整を繰り返したことがない方は、一度自分のシステムで試してみるといいかと思います。いつも使っているシステムがどれくらい安定なのかを示す、一つの指標になるかと思います。

このズレは、三脚や赤道儀毎にある程度決まるようで、同じシステムの場合、毎回同じようなズレの値を示します。私はCelestronの赤道儀を3台使っているのですが、3台ともそれぞれ毎回同じような値を示します。ズレの大きさはやはり小>中>大の順になります。この「機器ごとに同じ値を毎回示す」ことは次のように、もう一つの有益な情報をもたらしてくれます。

例えば、2度目の極軸調整でいつものズレの値より大きなずれが出た場合は、何かおかしいことがある場合がほとんどです。明らかに大きなズレが出たときに改めてチェックすると、大抵どこかネジが緩んでいるのが見つかるので、その後の撮影時のトラブルに遭う確率を、かなり減らすことができます。


SWAT用極軸微動ユニットで2度極軸調整をすると

さてなぜこんな話をしたかというと、SWAT用の極軸微動ユニットを使って、1度目の極軸調整は上で書いた通り10秒角以下のすごい値にできますが、その後、90度回転させる2度目の極軸調整をしたら、ズレが大きく出でしまったからです。何度か試しましたが、毎回2分角から4分角程度のズレが出ました。最初これが三脚を含めた今回のシステムの限界かと思ったのですが、ズレの値があまり安定せず、毎回違います。

05
2度目の極軸調整時のずれ。かなり大きく出ています。

これは何度か試して原因がわかりました。以前、大阪迷人会の極軸微動雲台を試験したことがありますが、そこに付いていたような「別のネジを別方向から締めることで、これ以上可動方向に動かないように固定するような機構」がないのです。そのため、このSWAT用の極軸微動ユニットを使うときには、押しネジを両側から十分に押した状態にしてやる必要があるようです。もちろん調整時に、片側だけのネジを締めて片側はユルユルということはなく、普通にネジは両側から締めているのですが、ある程度両側ともしっかり締めてやることで、今回明らかに数値的に違いが出たということです。

具体的には、SharpCapの1度目の極軸調整の時に、一方向のネジを締めながらある程度いい位置になってきたら、反対側のネジをそこそこ固く締めてしまいます。最後の微調整は、この状態で両側のネジを最後に締め込むような形でいい値に近づけていくと、これ以上ズレることはなくなるようです。数値的には2度目極軸調整時のズレが、最大でも1分角以下、典型的には0.5分角程度になりました。何度か試しても再現性があったので、ここら辺が今回のシステムの安定度と言えると思いますが、これはかなり優秀な値で、大型赤道儀のCGX-Lと同等か、ヘタをするともう少しいいくらいです。

08_ok
押しネジを両側きちんと閉めた場合の、2度目の極軸調整の典型的なズレ。
相当安定な値です。

ポタ赤の安定度としてはもう十分すぎるくらいなので、これ以降の使い勝手や安定度などの評価は、実際の撮影で試したいと思います。


まとめ

今回使用させて頂いているSWAT用極時微動ユニットは、調整時のネジの操作のしやすさや可動部の安定性に関しては特筆すべきレベルで、極軸調整をとても素早くスムーズに、精度良く済ますことができます。ただし、押しネジの両側からの挟み込みを十分にすることが重要で、挟み込みをきちんとすると相当な安定度を実現できることがわかりました。

その際の安定度の評価では、極軸調整を90度行って90度戻すというように二度繰り返すことで、定量的に評価できることを示しました。

押しネジを十分に締めるということは今回のSWAT用だけの話ではなく、赤道儀一般にも言えることだと思いますので、長時間露光になるとドリフトなどで、どうしても安定しないという場合は、一度押しネジを両側から締めることに気を付けてみるといいかと思います。

「電視観望技術を利用して天体写真を撮影してみよう」ですが、前回までに機材の準備はある程度整いました。今回は、実際に動作させて、画面に天体を映してみます。




ここで準備するもの

今回必要なものは主に電気関連で、
  • ノート型などのWidows10以上が走るパソコン (PC)
  • PCとメインカメラUranus-C Proを繋ぐUSB3.0以上の、Type-Cケーブル
  • PCとガイドカメラNeptune C-IIを繋ぐUSB3.0以上の、Type-Bケーブル
  • PCと赤道儀を繋ぐ付属のUSB2.0、Type-Bケーブル
  • PCに複数のUSB端子がない場合は、USB増設アダプターなど
  • DC12V出力があるバッテリー
  • バッテリーと赤道儀を繋ぐDC電源用ケーブル(単3電池駆動なら必要ありません)
  • バッテリーとメインの冷却カメラを繋ぐDC電源用ケーブル
  • バッテリーに12V端子が1つしかないなら、二股ケーブルなど
などでしょうか。これだけでも結構大変ですね。

その他、あると便利なものですが、
  • テーブルなど、PCやその他のものを置いたりできる台
  • 椅子
などです。

IMG_8985


テーブルはホームセンターなどで適当なものを見つければいいでしょうか。コンパクトなものをさがせばいいでしょう。

椅子も適当なのでもいいですが、私は座面の高さを変えることができる作業用の椅子を使っています。具体的にはルネセイコウの作業用の椅子です。
 

少し高価ですが、望遠鏡で星を見るときに高さ調整できるのでとても使い勝手が良く、自宅でも玄関にいつも置いてあり、遠征には車に積んで使っています。


ソフトウェア

PCはWindows10以降が動くものなら問題ないでしょう。ソフトウェアは
などが必要になります。それぞれダウンロードしてインストールしておきます。ASCOMプラットフォームはインストール時に、各種ランタイムライブラリーなどのインストールを要求されるかもしれませんので、指示にに違ってください。

SharpCapは無料でも使えますが、有用な機能の多くの部分が制限されています。年間2000円なので、できれば有料版にアップグレーとしておいた方が有利です。しらはいはPayPalが楽でいいです。

カメラのドライバーがないと、SharpCapからカメラが認識されません。忘れないようにインストールしておいてください。同様に、PHD2からPlayerOneのカメラを使うときは、ASCOM経由で使うことになるので、PlayerOneカメラ用のASCOMドライバーをインストールすることも忘れないでください。詳しくはここを参照してください。



機材の設置

機材を夜に外に設置します。空が十分に開けた場所を探しましょう。周りに明るい光があると、撮影時に映り込むこともあるので、できるだけ暗い場所を探しましょう。街の大きさにもよりますが、住宅街程度でも、近くに街灯などがなければおそらく大丈夫でしょう。

まず最初に、すべてのケーブルを接続しましょう。できれば機材の設置も、ケーブルの接続も、できれば暗くなる前の明るいうちに済ませておいた方がいいかと思います。ただ暗くならないと、周りの街頭の明るさなど、わからないこともあるので、事前にロケハンで暗くなる時も合わせて見ておいたほうがいいかもしれません。

今回ケーブルは5本あります。USBが3本で、DC12Vが2本です。PCの電源ケーブルも必要なら6本でしょうか。それぞれ絡んだりしないように接続します。特にカメラに繋ぐUSBケーブルと、冷却カメラに繋ぐ電源ケーブルは、撮影中は時間と共に赤経体が動いていくので、引っ張られたり、噛んだりしないように注意が必要です。ケーブルタイやスパイラルチューブなどを使い、あらかじめまとめておくと良いかもしれません。

赤経体は鏡筒部が上になるような回転方向に、赤緯体は鏡筒先端が一番上になるような「ホームポジション」にして、鏡筒先端が北向きになるような方向で設置します。その際、方角はスマホなどのコンパスアプリを使うのが便利です。アプリによっては「磁北」ではなく「真北」を選べるものがあります。「磁北」は天体観測に必要な「真北」から7度程度ずれているので、もし「真北」が選べるならそちらを選んでください。スマホを赤道儀本体に真っ直ぐになるような面でくっつけて調整するといいでしょう。正確な方向はのちに「極軸合わせ」でするので、ここでは数度の範囲で設置できれば十分です。

三脚は赤道儀がざっくりでいいので水平になるように、足の長さを調整します。足の長さはできるだけ短くしておいた方が、安定になりますので、むやみに伸ばさないようにしましょう。


SharpCapの立ち上げと極軸合わせ

まずはPCとガイドカメラ、PCと撮影用の冷却カメラがUSBケーブルで接続されていることを確認し、PCの電源を入れ、SharpCapを立ち上げます。

SharpCapから最初はガイド用のカメラを接続します。SharpCapの上部のメニューの「カメラ」から今回はガイドカメラとして使っているNeptune II-Cを選択します。
01_SharpCap_Neptune2

画面がカメラ画面に切り替わったことを確認します。明るいライトなどをカメラ前にかざしてみると、画面に何か見えるはずです。何も反応がなく真っ暗な場合は、レンズキャップを外し忘れていないか確認してみてください。

SharpCapの右側のパネルの「カメラコントロール」から、「露出時間」を800ミリ秒とか、1000ミリ秒程度にして、「アナログゲイン」を400程度の高めにして、ガイドレンズのピントを合わせてみます。すでに鏡筒が北の空を向き、北極星の近くを見ていると思うので、うまくピントが合ってくると星が見えてくると思いますが、その星の一つ一つが一番小さくなるようにピントを調節してください。

もし星が暗くてみにくい場合は、アナログゲインをもっと上げるか、右側パネルの「ヒストグラムストレッチ」で雷マークのボタンを押してオートストレッチしてみてください。暗い星も一気に見やすくなると思います。ただし、このオートストレッチ機能はSharpCapの有料版のみで使える機能なので、無料版を使っている場合は、手でこのオートストレッチ相当のことをしてやる必要があります。具体的には、ヒストグラムストレッチ画面に3本の黄色の縦の点線があるのですが、そのうち左側と真ん中の線を移動して、ヒストグラムの山を挟むようにしてやります。

ピントが合ったら、そのままの状態にして、次の極軸合わせに移ります。


極軸合わせ

まず前提条件として、この極軸調整機能も先ほどのオートストレッチと同じで、SharpCapの有料版のみで使える機能です。無料版では使うことができないので、別途SA-GTi付属の極軸望遠鏡などで極軸を合わせる必要があります。でも、極軸望遠鏡で合わせた精度は、SharpCapで合わせることができる精度に遥か及ばないので、SharpCapの有料版を購入することを強くお勧めします。2024年2月現在、年間2000円です。極軸調整だけのためこれだけ払っても十分お釣りが来るくらい、SharpCapはとても強力です。

というより、電視観望で撮影をするためにSharpCapをフルで使うので、あらかじめ有料版にしておく必要があります。そうでないと、便利な機能のかなりの部分が使えなかったり、撮影画像に透かし文字が入ったりすることがあります。

さて、実際の極軸調整を始めましょう。鏡筒はホームポジションに戻してあるので、ある程度北極星の方向をむいているはずです。SharpCapが立ち上がり、ガイドカメラはつながっていますね。この時点ではまだ赤道儀の電源を入れる必要はありません。

まずは準備です。
  • SharpCapのメニューの設定から「極軸合わせ」タブを選んでください。「大気差を補正する」を選択し、インターネットに繋いだ環境で「タイムゾーンから自動的に推測する」を選びます。これがうまくいかない時は「以下の位置情報を使用」を選び、マニュアルで入力する必要があるのですが、経度緯度が何度何分何秒の形式になっていなくて、何点何々度形式なので、正確な値を入れるのに苦労します。まあ、そこそこ合っていれば多少ずれていてもたいしたずれにはならないので、必要なら適当に何点何度くらいまでは入れておきましょう。

実際の曲軸合わせです。

1. 「ツール」「極軸あわせ」から「極軸調整」を選択します。
2. その時のカメラの露光時間は800ミリ秒とか1.6秒くらにしてください。ゲインは高めの400くらいでいいと思います。この時点で、右画面のヒストグラムで雷ボタンを押してオートストレッチをしておくと、星が画面に明るく見えるようになります。
3. 下の「Next」ボタンを押します。
02_polar1

4. 星の位置の認識がうまくいき、位置認識の計算が終わると、下の「Next」ボタンが緑色になるので、押します。
02_polar2

5. 赤経体のネジを緩めて、赤経体が動く状態にして、手で大まかに90度くらい回転させ、鏡筒が赤道儀の横側にくるようにして、ネジを固定します。
IMG_8963

6. 再び星の認識がうまくいき、位置認識の計算が終わると、下の「Next」ボタンが緑色になるので、押します。
02_polar6

7. ある星から長い黄色の線が出ているのでl、赤道儀の上下(ピッチ)方向調節ネジと、横(ヨー方向)方向調整ネジを使って、その線が短くなっていくように、調整します。
02_polar7

8. 線が短くなると同時に、画面右下の「Polar Align Error」の数値が小さくなっていくので、画面を見ながら線の長さが最短近くになるまで合わせ込みます。数値が1分角以下になっていれば十分です。
02_polar8

これ以降は、赤道儀を蹴飛ばしたりしないでください。万が一赤道儀に何か当たって位置がずれてしまったら、この極軸合わせからやり直します。


メインカメラの接続と、ピント出し

いよいよ、メインのカメラの画像を見てみます。SharpCapのメニューの「カメラ」からUranus-C Proを選びます。
01_SharpCap_Uranus

方角的には真北を向いているので、星は入っているはずですが、ピントがずれていて星はほとんど見えていないと思います。

鏡筒のフォーカサーの上についているピント固定ネジが緩んでいることを確認して、フォーカサー左右についているピント調節ネジを、SharpCapの画面を見ながら回してみます。SharpCapの設定は、露光時間は800ミリ秒とか、1000ミリ秒くらいでいいでしょう。アナログゲインは400程度の高めの値にします。

画面が真っ暗のままで全然見えない場合は、鏡筒の先のキャップを撮り忘れていないか確認してみてください。

最初は左側のピント調節ネジで粗動でざっくり合わせてみて、画面に出る星が小さくなってきたら、SharpCapのメニューと同じ段の右の方にある「ズーム」を100%とか200%にして星を拡大してピントを合わせやすくしてから、右側のピント調節ネジの微調整ネジで調節するといいでしょう。

ピントが合ったら、フォーカサーの上部のピント固定ネジを締めておくと、これ以上ピントがずれなくなります。でも次回ピント調整する時は必ずこのネジが緩んでいることを確認してから調整するようにしてください。ネジを締めたまま調整しようとすると、最悪壊してしまいます。

さて、実際にピント合わせをやってみるとわかるのですが、うーん、かなり揺れますね。三脚の頭を手で回転方向に捻ってやると結構動きます。やはり評判通り三脚が少し弱いようです。これだとピント調整する時に鏡筒に触れるだけで揺れ過ぎてしまい、かなり合わせにくいです。少しでも揺れを抑えるために、とりあえず赤道儀と三脚の間に入っているハーフピラーを外すことにしました。

IMG_8984

さらにですが、三脚の足の赤道儀に近い根本のネジを一本につき両側から2箇所、合計6箇所増し締めします。実際、いくつかのネジはかなり緩かったです。

これだけでも多少揺れは収まるので、ピント調整の際も、撮影の際も有利になると思います。


SynScan Proとの接続と初期アラインメント

赤道儀SA-GTiのコントロールパネルの赤いスイッチを入れて、電源をオンにします。

次に、アプリとの接続です。接続は、WiFi、bluetooth、シリアルと3種ありますが、長時間の撮影なので安定性を考えて、USBケーブルを使ったシリアル接続とします。

03_Synscan_net

ちなみにですが、iPhoneのSynScan Proを最新版にしたら、iPhoneからのWiFi接続では、「赤道儀モードか経緯台モードかの判断がつかない」とというエラーが出て、接続できませんでした。旧バージョン(1.19)のSynScan Proだと大丈夫なので、iPhone版の最新版にアップデートする際は注意してください。PCからUSBケーブルで接続した場合は、最新版のSynScan Proでも問題なく接続できました。

接続ができたら、いくつか設定です。
  • 高度制限が入っていると、高いところの天体を導入などできなくなります。「設定」「高度制限」から「Upper Go To Limit」を90度まで上げてください。
  • 緯度経度情報を忘れずに入れてください。PCと接続する場合は、自動的に情報が取れない場合が多いです。私はiPhoneのコンパスアプリを開いて、緯度経度情報を得て、それを手入力しています。

最初にやるべきことはこれくらいでしょうか。これらは最初に一度やればいいことで、大きく撮影場所を移動しなければ、緯度経度情報もいじる必要はありません。逆に、場所を移動して、最初の導入でうまくいかない場倍は、この緯度経度情報が間違っていないか疑ってみてください。


初期アラインメント

最初にやることは、SynScan Proでの初期アラインメントです。初期画面から「アラインメント」で「1スターアラインメント」を選びます。他にも何種類かのアラインメント方法がありますが、赤道儀の極軸がしっかり合わせてあること、次にプレートソルブで導入の補助をするので、1スターアラインメントで十分です。
10_synscanpro_alignment

星はターゲットのオリオン大星雲の近くの「リゲル」を選択しましょうか。
11_synscanpro_alignment_rigel

アラインメントを開始すると、赤道儀がターゲットの方向に向かって動き出します。SharpCapの画面で見ていても、星が動いていく様子が見えると思います。赤道儀が止まったら、SynScan Proは下のような画面になります。
03_Synscan_done


SharpCapの画面を見てみましょう。リゲルは画面の中に入っていますでしょうか?一つだけ明るい星ですので、入っていればすぐにわかるのですが、大抵の場合は画面の中に入ってこないと思います。でもここで落ち込む必要はありません。解決策はきちんとあります。


プレートソルブによる導入補助

次にSharpCapに最近標準で搭載されるようになったプレートソルブ機能を使って、リゲルを自動で画面中央まで持って来ることにしましょう。

まず下準備です。SharpCapのメニューの「ファイル」からSharpCapの設定画面を開き、「プレートソルブ」タブを選びます。

04_SharpCap_setting_platesolve

  1. 「プレート解析エンジン」のところで「SharpSolve(SharpCap's built in plate solver)」を選びます。もしこの選択肢が出てこない場合は、SharpCapのバージョンが古いことが考えられますので、最新版のSharpCapをダウンロードしてインストールしてください。
  2. 焦点距離は自分が使っている望遠鏡の値を正しく入れてください。
  3. 最後に一番下の「適用」もしくは「OK」を押します。

次に、同じくSharpCapのメニューから設定に行き、「ハードウェア」タブのところに行きます。
03_SharpCap_setting_hardware
  1. 「マウント」の「ハードウェアの選択」のところで、接続したい赤道儀を選びます。今回はSA-GTiをSynScan Proで操作するので「SynScan App Driver」を選びます。
  2. 一番下の「OK」を押します。
  3. SharpCap画面の右パネルの「望遠鏡制御」の「接続済み」のところの四角を押します。ASCOMを介して接続するのですが、10秒くらい待ってうまく接続されると数字などが出てきて、赤道儀がどちらを向いているかSharpCapで認識できるようになります。
01_SharpCap_ok_cut

これでだいたい準備は完了です。

実際にプレートソルブを走らせてみましょう。

1. 露光時間を3秒程度にしておくといいでしょう。短すぎると星の数が少なくて、長すぎると星が流れてしまってうまくいかないことがあります。
2. SharpCapメニューの「ツール」から「プレートソルブ後再同期」を選ぶか、右側パネルの「望遠鏡制御」の方向矢印の左下の方角マークのようなアイコンを押します。
04_platesolve

3. 今見ている画面から実際に見ている方向を計算して、赤道儀が認識している方向とどれだけ違うかの差を認識して、その差を赤道儀にフィードバックして、赤道儀が見ていると思っている方向に向きを変えて合わせてくれます。
4. うまく行くと、下の画面のようにリゲルが真ん中に来て、上部の緑色のところにプレートソルブが成功したことが表示されます。今回の場合2.72度ずれていたそうです。
06_platesolve

うまくいったら、PC上で走っているSynScan Proのアラインメント完了の意味で、星マークのボタンを押します。

その後は、SynScan Proを使って、自由に目標の天体を導入してみましょう。例えば今回の目標はオリオン大星雲なので、SynScan Proの初期画面から「ディープスカイ」を選びます。
09_synscanpro

オリオン大星雲はメシエ天体の42番目なので、「メシエ」を選び、「042」と入力し、「導入」を押します。うまく行くと、オリオン大星雲が画面に入ってくるのが見えるでしょう。

05_intro

もし画面内に入らなかったりした場合は、再びプレートソルブを走らせることで画面に入れることもできます。

今回は導入完了のここまでとします。次回は実際に撮影してみます。










本記事は、一連のSWAT+AZ-GTi=SWAgTi (「スワッティ」gは発音せず) の関連記事になります。




目的

今回は、
  1. SharpCapの極軸調整を一眼レフカメラでやれるかどうか?
  2. プレートソルブを一眼レフカメラでできるかどうか?
という2つのことに挑戦したいと思います。

元々の動機は「SWATユーザーには一眼レフカメラを使って撮影している人が多い」という、開発元のユニテックさんからの情報です。せっかくAZ-GTiで自動導入ができるので、一眼レフカメラでもプレートソルブができないかと考えたことが始まりです。ついでにプレートソルブができるなら極軸合わせもできるのではないかと考えました。

本当は、胎内星まつりのSWAgTiの実演でEOS 6Dで試すところを披露したかったのですが、そこまで全く辿り着かず、いつもやっているCMOSカメラでさえ極軸調整がうまくいかなかったので、その後自宅に帰ってからやっと試すことができたというわけです。胎内で期待されていた方がいましたら、申し訳ありませんでした。この記事で代替とさせてください。


セットアップ

実際のセットアップです。鏡筒はFS-60CBにマルチフラットナーで、鏡筒とフラットナーの間にサイトロンのDBP(Dual Band Pass)フィルターを入れています。そのため恒星が多少暗くなり、極軸調整でもプレートソルブでも影響があるかもしれません。それでも簡単のために撮影時の設定を崩したくないので、今回はフィルターを外したりせずにそのまま試すことにしました。一眼レフカメラとしては天体改造済みのEOS 6Dです。これらをSWAT+AZ-GTiのSWAgTiに載せます。SWAgTiはいつものようにGitzo製のバサルトのミニ三脚に載せます。

鏡筒とカメラである程度重くなっているので、ホームセンターで買った12mmのネジが切ってある金属棒をAZ-GTiにつけ、そこにウェイトをつけています。胎内でユニテックさんにデモを見せてもらったように、SWATの回転方向のバランスをきちんと取らないとSWATのギヤに大きな負担がかかることを学んだので、今後はウェイトを使って赤経方向のバランスを取ることを心がけるようになりました。CMOSカメラの時はウェイト側が重過ぎてバランスが取りきれていなかったのですが、一眼レフカメラになってちょどバランスが取れる範囲になりました。

IMG_8504


極軸合わせ

まずはSharpCapで6Dを認識させることからです。今のSharpCapはASCOM経由で一眼レフカメラのかなりの機種を接続することができます。



ポイントは、SharpCapで一眼レフ用のASCOMドライバーを立ち上げる際には、カメラをケーブルで接続をしない状態で行うか、ケーブルで接続をしてもカメラの電源を入れないことです。こうすることで、エラーなど出ずに下の画面のように設定画面でカメラの設定をすることができます。

11_canon

ISOですが、設定画面で設定しものが反映されないことがあるようなので、その場合は一度接続ケーブルを外し、カメラ本体側で操作できるようにしてから設定します。

設定が完了したらカメラを接続して、さらにカメラの電源を入れて、上記設定画面の「OK」ボタンを押します。「カシャーン」とシャッターが上がる音がして動作開始です。おそらく初めて繋ぐときはライブビューモードになっているので、自動的にSharpCapでカメラからの撮影画面が出ますが、これだとシャッターを切り続けてしまい落ち着かないので、すかさず画面右上の「ライブビュー」ボタンを押して以下の画面のようなスティルモードにしてシャッターを切り続けるのを止めます。

10_still

露光時間を設定しますが、今回は16秒で試してみました。シャッター回数が増え過ぎず、一つの動作をあまり待たないくらいの時間という意味です。

ここからはSharpCap上で普通に極軸調整をします。どうやら極軸調整を選ぶと自動的にライブビューモードに切り替わるようです。なので、少なくともここに来るまでに適した露光時間にしておいてください。

12_polar
極軸合わせでは自動的にライブビューモードになるようです。

ここからは単に、一コマ一コマに16秒かかる極軸調整になるだけです。星の認識も問題なくできます。
01_polar

通常通りNextを押して途中SWAT側で赤経つまみを緩めて90度回転し、どれだけずれているか計算してもらいます。下の画面は2度くらいずれてますね。
03_polar

あとは三脚の足の伸び縮みと、三脚をずらしての水平方向の回転で調整します。今回は下のように、30秒角程度まで合わせこむことができました。ここまで合わせると、ずれは4分間かかっても0.3秒程度になるので、今回ターゲットとしている3分間程度の露光では極軸のずれによる星像の流れは完全に無視できるレベルです。おそらく機材のたわみによるズレの方が支配的になってくると思われます。

07_polar

でも露光時間が長いので合わせこむ回数にどうしても制限ができてしまいます。あまり突き詰めなくても、3分角程度まで合わすことができれば十分でしょう。これでも最大で4分間で3秒角程度ずれていく程度なので、SWATの精度と同等くらいになります。


極軸合わせのまとめですが、試してみた結果、露光時間が長いので少し時間はかかりますが、それ以外はCMOSカメラでの極軸合わせと何ら変わりはなく、一眼レフカメラでも十分に極軸を合わせられることがわかりました。

ちなみに、最初はASCOMドライバーでライブビューモードを選び、動画モードで極軸合わせができればと考えていたのですが、感度が全く足りませんでした。そもそも動画レベルなので露光時間が1秒より遥かに短くしか撮れていないことが原因です。1等星クラスの明るい星なら見えるかもしれませんが、ほとんどの星はSharpCapの画面上で見ることができません。

bad
ライブビューモードは使い物になりませんでした。 


プレートソル

極軸合わせでうまくいったので、気を良くして次はAZ-GTiでの初期アラインメントです。ここではちょっと冒険をしてAZ-GTiを使ったプレートソルブを試してみます。

SharpCapからAZ-GTiまでの接続ですが、まずAZ-GTiはSWATの上に乗っかっていて、PC上で立ち上げたSynScan Proから WiFiで接続されています。接続時には赤道儀モードを選んでいます。SharpCapからはASCOMドライバーを介してSynScan Proに繋げます。

この際気を付けることは、SharpCapとSynScan Proがきちんと接続されているか確認することです。きちんと接続されると、SharpCapのコントローラ部に今どちらの方向を向いているかの数字が表示され、その数字が時間とともに動いている様子が見えます。数字が動いていなかったり、0付近になっているとか実際に向いている方向と明らかに違う数字が出ている場合はうまく接続されていません。この場合は、PC上のSynScan Proを一旦閉じて、再度立ち上げてから繋ぐとうまく接続できるかと思います。うまくいかない場合は、PC上のSynScan Proの緯度経度情報を確かめてみてください。スマホやタブレットで繋いだときはGPSがあるので自動的に緯度経度情報は取得できますが、PCは通常GPSがないので緯度経度情報がうまく設定されていないかもしれません。

プレートソルブの設定はSharpCapの設定画面のプレートソルブタブから行います。

14_ps_gauss

私はASTAPとAll Sky Plate Solver(ASPS)を併用していますが、普段はほとんどASTAPです。まれにASTAPでうまく解決できなくてASPSだとうまくいくことがありますが、ASPSのほうが少し余分に時間がかかります。あと注意は、焦点距離をきちんと入れておくことでしょうか。自分の機材にあった焦点距離を大体でいいので入力しておきます。ここが大きくずれているとどうやってもプレートソルブはうまくいかないです。

設定画面には、ズレを計算した後にどうやってAZ-GTiに返すかですが、4つのオプションがあります。以前は2つ目のオプションのきちんと同期するところまでやっていたのですが、最後のAZ-GTiに返すところでうまく動いてくれないことも多くて、最近は4つ目のオプションの「マウント位置をオフセットして、天体を中央に配置する」を選ぶことが多くなりました。

とりあえず実際にプレートソルブをやってみましょう。まずはPC上のSynScan Proから初期アラインメントをします。赤道儀の極軸がかなり合っているので、ワンスターアラインメントで十分でしょう。適当に星を選びます。今回はアルタイルで試しました。一番最初に初期アラインメントで自動導入した後、下のように「マニュアルで中心に」と出ますので、この時にマニュアルで合わせる代わりに上で書いた「4つ目のオプションをえらんで」プレートソルブを使います。

22_PS_ok

うまくいくと、赤道儀が見ていると思っている方向と、実際に今見ている画面から計算した方向のずれが角どで上の緑のバーのところに表示されます。
20_PS_ok

その後、自動的にターゲットの星が真ん中に来ます。
21_PS_ok

このようにターゲット星が真ん中に来て、赤道儀が見ていると思っている方向と、実際に今見ている方向が一致している状態で、SynScan Proの初期アラインメントを完了してください。これで同期が完了し、これ以降は、(SWATの水平出しに依りますが)自動導入でターゲット天体がほぼ正しい位置に来るはずです。


うまくいかない時:
実は今回、初期アラインメントのテストにあたり、一番最初アルタイルでなくベガを選びました。実際初期導入すると、すでにベガが画面の端の方に入ってきました。ところが真ん中に持っていこうとプレートソルブをかけますが、なぜか全然位置を解決できません。ASTAPもASPSも両方ともダメです。一眼レフカメラなので何か弊害があるかと思い、露光時間、ISO、その他各種設定を色々いじっても全くダメです。もしかしたら本当にダメなのか...と、諦めかけていたのですが、ターゲットをベガからアルタイルに変えたら、一発で解決しました。しかも露光時間など多少設定を変えても全部きちんと解決してくれます。もしプレートソルブがうまくいかない場合は、早々に諦めてべつのターゲットにしてみるというのも手なのかと思います。


まとめ

この日は月も明るく、平日だったので、プレートソルブのテストまでで、撮影は敢行しませんでした。極軸調整もプレートソルブも、SharpCapを一眼レフカメラで使う時特有の、ライブビューモードとスティルモードをきちんと意識して使い分けることで、CMOSカメラと比べてもほとんど遜色なく使うことができるとわかりました。この際、露光時間を16秒としたのですが、やはりこのくらいが適当かと思います。短かすぎると操作性はよくなりますが、シャッターを切りまくるのでメカニカルシャッターの寿命が気になりますし、長すぎると操作性が悪くなるかと思います。

次は実際の撮影をどうするかですが、月のない天気の良い日を待ちたいと思います。SharpCapで撮影すべきか、これまで通りBackYardEOSを使うべきか、それともソフトなど使わずにシャッターを切るだけにするか。まだちょっと迷っています。



前回かなり反響のあったSWAT+AZ-GTiの組み合わせですが、その後さらに試してみました。今回は特に精度について少し議論します。あと、名前をつけてあげました。


命名

せっかくなのでこのSWATとAZ-GTiの組み合わせに名前を付けてあげようかと思います。

いろいろ考えたのですが、SWAT+AZ-GTiなので「SWAgTi」というのはどうでしょうか?ただしgは発音せず「スワッティ」と呼びます。

ユニテックの方もカッコイイと言ってくださいました。メーカーのお墨付き(?)ももらえたということで、これからはこの組み合わせ、「SWAgTi」と呼ぶことにしたいと思います。よろしくお願いします。


鏡筒をFS-60CB+マルチフラットナーに

実用度を上げるために、もう少し焦点距離を伸ばすことを考えました。具体的には鏡筒を前回の焦点距離135mmのFMA135から変更して、焦点距離370mmのFS-60CB+マルチフラットナーにしてみました。カメラはお手軽にということでそのままのUranus-Cで冷却は無しです。暑い夏なので、ダークノイズの処理をどうするかちょっと迷っています。この画角なら、選択肢となる天体もかなり増えるかと思います。焦点距離が長くなるので、ノータッチガイドだとより精度が要求されます。SWATがどこまで行けるのか?テストも兼ねています。

IMG_8035

鏡筒の変更に伴い、まだ大丈夫かと思うのですが一応ウェイトを付けました。どうしても鏡筒側が重たくなってしまって、回転ネジなどを緩めた際にガクンと落ちてしまうことを避ける意味です。ただし、手持ちの最軽のウェイトでも重すぎるので、ウェイト側に荷重がかかっていますが、それでも回転して鏡筒側がストンと落ちるよりはマシでしょう。

実はこの状態で最初に試した時、カメラを見たら星がグワングワン揺れていました。鏡筒を重くしただけでこれだけ揺れるのか???と一瞬思ったのですが、いろいろ触ってみるとSWATとAZ-GTiのねじ込みが全然十分ではありませんでした。しっかり締め込むと、FS-60CB程度の重量ではピクッともしないくらい、多少の風があろうが、揺れは全く気にならなくなりました。もし自分で試したセットアップで揺れが気になるようなら、各箇所のねじ込みをしっかり確認してみてください。

この状態でどのくらいの精度が必要なのか少し議論してみます。


必要な極軸精度

SWATの高精度の追尾性能を活かしてノータッチガイド撮影で露光時間を伸ばしたい場合、重要になるのが極軸調整の精度です。どれくらいの精度で合わせると、どれくらいドリフトで星像が流れる可能性があるのかというのは、以前簡単に評価したことがあって、



ざっくりですが「1分角の精度で極軸を合わせると、4分間で1秒角、星が流れる」ということです。これは星が最も早く動く、天の赤道上の星像での評価なので、最大これくらい流れると言う意味で、天の赤道から離れるとこのずれは小さくなっていきます。

例えば、前回のFMA135とUranus-Cだと焦点距離135mmとセンサーが11.2mm×6.3mmで3856×2180なので、このページなどを利用して計算すると



水平方向では約4.79度角(=17200秒角)の視野となり、横方向の3856ピクセルで割ると1ピクセルあたり約4.5秒角となります。これだと天の赤道上でも(4分x4.5秒角/1秒角=)18分露光くらいしてやっと1ピクセル以上流れ始めるので、相当余裕があることになります。

今回のFS-60CB+マルチフラットナーだと焦点距離が370mmになるので、水平方向で1.73度角の視野となり、1ピクセルあたり約1.6秒角となります。これでも天の赤道上で(4分x1.6秒角/1秒角=)6.4分くらいして1ピクセルのずれなので、前回試した3分間露光としても倍以上余裕があります。最も星像が流れていく天の赤道儀上でこれなので、逆に言うと今回は2分角くらいの精度で極軸をあわせれば十分と言うことになります。

ただ、何の手段もなく適当にやって2分角の精度はさすがに出ないので、私はSharpCapの極軸合わせ機能を使っています。この機能、SharpCapのかなり初期の頃から搭載されていますが、現在では有料版でしか使うことができません。もう8年位前の記事になりますが、詳しくはこちらを参照してください。



相当簡単に極軸の精度が出るので、この機能だけでもSharpCapを有料版にしてもいいくらいかと思います。

問題は、今回のセットアップのようにSWATの下に微動雲台がない場合です。以前井戸端さんの微動自由雲台を評価した時の様に、微動調整機構があればいいのですが、今回は三脚の足の伸び縮みと、三脚の足をずらして水平回転を調節しています。そこそこの微調整になるので、少しテクニックが必要ですが、なれれば1分角くらいまでなら何とかなります。あと、1分角くらいの精度になってくると、大気密度によるズレが問題になってくるので、SharpCapの環境設定の極軸設定タブのところで、きちんと緯度経度を設定して大気補正オプションをオンにするようにしてください。


SWATの精度

1ピクセルあたりの秒角が、SWATの精度を超えなければ、原理的には露光時間に制限はなくなります。例えば今回使っているSWAT350 V-spec PremiumではPECを使うとピリオディックモーションが+/-2.8秒程度ということなので、先ほど計算したFMA135の場合1ピクセルあたり 4.5秒角なので、SWATで発生する誤差は1ピクセルと同等か僅かに大きいくらいのレベルになります。FS-60CB+マルチフラットナーでは1ピクセルあたり 1.6秒角なので、SWAT起因の揺れが3ピクセル程度になります。

SWATの精度が、1ピクセルあたりの秒角を超えてしまうと、星像に歪みが出る可能性が出てきます。ピリオディックエラーは理想的にはSin波で表されるので、振幅が大きいところでは変化は小さく、振幅が小さいところでは変化は大きいです。そのためピリオディックモーションの周期よりも露光時間が長い場合にはピリオディックモーションの振幅が1ピクセルを超えると星像は伸びますが、短い場合には星像の伸び幅は、どのタイミングで撮影したかに依ってきます。撮影した画像が使えるか、使えないかはの歩留まりりつの評価は天リフさんのSA-GTi赤道儀の記事の最後の方での説明



が秀逸ですので、説明はそちらに譲りたいと思います。

現実的には、2ピクセルくらいまでの揺れは許容範囲であること、何よりシンチレーションや風の揺れなどで星像が乱されることも多く、SWAT単体での揺れがその範囲内に収まる場合には、SWATの精度は問題になりません。今回の撮影でも星像を見る限り、3分露光では370mmの焦点距離でも歩留まり率は100%でした。もちろん許容範囲は人にも寄りますが、ピリオディックモーションや特定方向に軟かくて揺れが出る時は一方向に揺れるのでスタックしても目立ちますが、シンチレーションなどの場合は星像が楕円になったとしても撮影ごとにランダムな方向になっているので、スタックすると目立ちにくかったりもします。


実際の星像

実際に3分露光と5分露光で比較してみます。

3分露光だと風とかの突発的な現象が起きない限り、星像の伸びはほぼないと言っていいでしょう。目で見ている限り、ピリオディックモーションによる星像の伸び縮みは確認できませんでした。突発的な伸び縮みは見られましたが、これはSWATの精度とは別で、ランダムな方向に出てくるので、スタックしてしまうとある程度平均化されるので、あまり目立つことはありません。

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3分露光の1枚撮り。

5分露光だと、少し星像が伸びてしまう画像が出てきます。下の画像はピリオディックモーションと思われる縦方向に周期的に伸び縮みする揺れの一番大きな振幅の時の典型的なものです。縦方向に少し伸びていることがわかります。

frame_00005_23_44_39_c_d_r_Preview01

実際にはこれ以上のランダムな方向の揺れが(5分露光の時にも、3分露光の時にも)存在するのですが、ピリオディックモーションは伸びる方向は決まっているので、スタックしても同じ方向の伸びが目立つことになります。

300秒露光で16枚撮影して、上と同程度の星像のものが4枚くらいありました。ちなみに、その4枚も含めて16枚をスタックしたものが以下になります。

masterLight_300_00s_FILTER_NoFilter_RGB_integration_Preview01

この程度だと他の上手く撮れているものと混ざるので結果としてはほとんど目立たないですが、必要によっては間引いた方が星像が丸に近くなります。よく見るとやはり若干縦方向に伸びてしまっていますでしょうか?これくらいなので、気になる人は気になるかもれませんが、実用上はほぼ問題がないくらいかと思います。


まとめ

まとめると、ノータッチガイドだと、370mmの焦点距離と2.9μmのピクセルサイズで、3分露光くらいだと十分に実用的、5分露光だとピリオディックモーションが影響し始めてくるといったところです。もちろん上で議論したように、焦点距離を短くしたり、ピクセルサイズの大きいカメラを使うなどで露光時間を改善できる可能性があります。

すでに記事がかなり長くなっているので、とりあえず、今回は実験的なことはここまでとします。次回は実際に長時間撮影してみてです。


あとおまけで、開発側のユニテックさんとやりとりした際、かなり面白い話を聞いたので、少し紹介します。

長期間の安定性にも有利とのこと

今回のSWAT+AZ-GTiの組み合わせをユニテックの方にお知らせしたところ、かなり興味を持って頂き、ユニテックのブログの方で紹介していただきました。



とても面白いと言うことで、胎内の星まつりでこのセットアップを展示したいとの提案がありました。どんどん盛り上がりの方向にいきそうで、期待してしまいます。その際のメールのやりとりの中で、いくつか非常に興味深い話を伺うことができました。他メーカーなどの話もあったので、そこらへんのところはうまくぼかしつつ、一般に有益かと思われる話を書いておこうと思います。

ユニテックでも以前2軸の制御を考えたそうです。2020年頃に実際SWATを2つ使い、2軸で制御するモデルが発表されました。いくつかテスト記事はありますが、今のホームページに「赤緯モード搭載」とあるのがおそらくその機能かと思うのですが、追尾スイッチを「DEC」モードに合わせることで追尾を止めることことで実現するものと思われます。あまりあらわに2軸とは書いてなくて、コスト的には不利になることは否めないのかと思います。

今回のアイデアで最も評価してもらえたのが、高速での粗動をAZ-GTiに、低速での微動をSWATに「分けた」ことでした。特に長期の安定性についてコメントして頂いたのですが、この視点は私は完全に欠落していたところです。メールからの一部引用になりますが紹介します。

「というのは、一つのウォームギアで超高精度の恒星時運転と高速にギュインギュイン回して自動導入を兼ねるのは高精度の維持という観点からかなり不安なんです。赤道儀の場合、数十倍速程度の低速運転だけなら長期間心配ないですが、自動導入対応の高速運転を長時間させると最悪焼き付きを起こすことも考えられなくはないです。SWATでも現構造のまま1万倍速で長時間試験したり、かなり無茶(実際の使い方なら100年分くらい?)な実験をしましたが、最終的に焼き付くことはありませんでした。ただウォームの歯面とメタル軸受けの摺動部に潤滑不足の摩耗が生じて歯面が傷だらけで、ハードな使用には何からの対策は必要でした。

解決策として、ウォームギアを2段に配置し、高精度追尾用と粗動用を分けようかというアイデアがあったのですが、大きく、しかも重くなり、それぞれに適したギアと駆動系が2セット必要になるなど、高価になりすぎて現実的ではないと即ボツになりました。

今回のAZ-GTi載せは、粗動と微動を分けることで、見事に上記の問題を解決してしまいました。
しかもAZ-GTiの高機能も満喫できます。私もやってみたくなりました。(笑)」

とのことです。長期間で考えると、ピリオディックモーションの補正に関しても影響があるかもとのことでしたが、こういったことも解決でき製品寿命も伸びるのではということです。メーカーの方からここまで言ってもらえるのは感無量です。




 
 
 
 
 

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