ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:月

今年度初めての観望会です。今回は富山県天文学会恒例の、富山駅前のゲリラ観望会です。

ゲリラ観望会は2019年に始まり、


その後コロナであまりできなくて、2024年に復活しています。復活までの間にもう一回行われているはずですが、確か出張で富山にいなくて参加できませんでした。



2025年も、春と秋の2回開催されていますが、両方とも天気が悪くて独立した記事にしていませんでた。



準備

少し前の週間天気予報だと、4月24日金曜日は雨の予報でした。でも日が近づくにつれ、どんどん晴れの予報になってきます。前日にはもうずっと晴れの予報でした。

機材の準備なのですが、何を持っていくか迷いました。月は上弦なので開始時に南天くらいのはずです。土星は出てないですが、木星は見えます。でも春なので、電視観望が得意な星雲がほとんどありません。オリオン大星雲が沈むくらいなのですが、高いビルに隠れてしまって西の空はほぼ全滅です。春はやはり銀河がメインです。実は2024年のゲリラ観望会の時にいつものFMA135で全然見えなかったという痛い思いをしているので、今回は銀河をターゲットに電視観望機材を選ぶことにしました。

駅前で相当明るいので、S/Nを稼ぐためにはできるだけF値の低い明るい鏡筒がいいです。焦点距離も長い方がいいです。でも口径が大きいと大きく重くなります。今回は少し離れた駐車場から歩いて機材を運ぶので、あまり大袈裟なものだと移動だけで大変になります。あと、撮影ではないので赤道儀は必須ではなく、経緯台でも十分です。

いろいろ迷ったのですが、FC-76にしました。昔、ジャンクで買った白濁FC-76です。使い勝手がとても良く、今でも太陽分光撮影で大活躍しています。レンズを見ると目立つ白濁も、実際に覗いたり撮影したりすると、全く気になりません。大きさ的にも大したことはなく、AZ-GTiで十分駆動できます。街中で電視観望で銀河を見るだけなら分解能もそこまで必要ないので、これで十分でしょう。あとは、子供に望遠鏡を触ってもらうために、いつものSCORPTECHの2つ穴ファインダーの屈折経緯台を持っていきます。

もう一つ、大きな準備がありました。2025年のゲリラ観望会は春も秋も2回とも天気が悪くて、スライドショーをお客さんに見せていました。自分で撮影した画像を見せていただけなのですが、春は24インチのモニターでしたが、秋はプロジェクターと大スクリーンで見せることができて、結構好評だったと思います。お客さんにこれだけ注目されるなら、他の県天会員の画像も見せたらいいのではと思い、直前ですがメーリングリストで画像を送ってもらうようにお願いしました。結果、5人の方から動画を含め、合計33のファイルを受け取りました。全てスライドに入れ、準備万端だったはずなのですが...。


設置と金星

4月24日金曜日、夕方に富山駅前にメンバーが集合します。出発前の直前になって、準備をしておいた荷物を車に詰め込み始めます。18時前くらいに会場に着くと、すでに何人かの県天メンバーが来ていました。早速設置を始めます。

駐車場は駅に隣接した一番近いところなのですが、それでも100mくらいは歩くので、荷物を運ぶのに台車を使いました。自宅にあった安物の台車なのですが、安定性がかなりイマイチで、横断歩道のところで荷物をぶちまけてしまい、大変なことになりました。今後も大きな機材を運ぶこともあると思うので、もっとまともな安定した台車を用意しておこうと思います。

とりあえず荷物を運んで、月だけでも見ようとSCOPETECHを月に向けようとしますが、あまりに天頂付近で、接眼部が低くなり過ぎて導入が難しいです。モタモタしていると、メンバーの一人が「向こうに行って建物を避けると金星が見える」と言うので、そのままSCOPETECHを持って西の空にある金星を見てみました。欠ける様子が見えればと思ったのですが、残念ながらこの日の欠けは片側がちょっと暗くなるくらいで、口径5cmの初心者向け鏡筒では欠けるところまでは見えなかったです。見えていたのは建物に隠れるまでの15分程度でしょうか、何人かのお客さんにも金星を見てもらいました。

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電視観望

定位置に戻って、電視観望の準備です。準備の間にもすでにお客さんが何人かいたので、先ほどのSCOPETECHを、今度は頑張って月を導入し、見てもらい始めました。

今回は上弦の月で、ちょうど月面Xが見頃でした。電視観望でも月を導入し、拡大して24インチの外部モニターにも映し出したのですが、眼視の方が明らかにわかりやすかったです。眼視だとXの文字が光り輝いて見えるんですよね。鏡筒を覗いたお客さんにも、できるだけ月面Xを探してもらいました。子供を含めて、ほとんどの方が見つけることができていました。

木星も見頃だったので、こちらは電視観望でのみ見たのですが、この日はシーイングが悪かったのか、大きく揺れていました。パッとやった限りではSharpCapの月惑星のライブスタックを使っても縞がほとんど見えなかったので、木星は早々と諦めました。他に、大口径の鏡筒を持って来ているメンバーがたくさんいたので、木星に興味がありそうなお客さんには、「月の下に明るい星が見えると思います。あれが木星ですが、この会場であの星の方向に向けている望遠鏡は木星が見えるはずです。興味がある方はどんどん見せてもらってください。」などと言って、木星も見てもらうように誘導します。


銀河

月も見飽きたところで、いよいよ銀河に挑戦です。最初はしし座の三つ子銀河を見てみました。最初はどこにあるか全然わかりませんでした。でも今ではAZ-GTiのプレートソルブが完全に安定しているので、プレートソルブで同期して再導入をかけると、なんとかそれらしいものが見えます。でも流石に駅前が明るすぎるのか、それともまだ薄明終了前で明るすぎるのか、ほんとにうっすらとM65と66が2つ見えるだけで、トリプレットとも言えないし、これを銀河と一般の人に認識してもらうにはちょっと厳しい状況です。

気を取り直してM51、子持ち銀河を導入します。親子の2つ並んでいる様子はわかりますが、これもちょっとみてもらうには厳しそうです。とりあえずライブスタックを開始してしばらく放っておくと、かろうじてですが渦を巻いている様子が少し見えて来ました。ここで気づいたのですが、月を見上げると結構モヤっています。明る過ぎでわからなかったのですが、どうやら薄い雲が一面にかかっているみたいです。そういえば、星という星が、木星以外には一つも見えません。どうやらかなり状況が悪いみたいです。

それでもライブスタックを重ねていくと、かなりゆっくりですが腕の様子が徐々にわかって来ました。そして時間が経つにつれて、薄い雲がなくなっていったようで、途中からは腕の様子がかなりはっきりわかるようになって来ました。

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右のモニターがリアルタイム。
左のPCのモニターが比較用の以前撮影した画像です。

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だんだんこれくらいまで見えるようになりました。
腕もはっきりわかります。

この銀河の電視観望は大成功でした。そもそも一般の方が多いので、銀河なんて見たことがない人ばかりです。まず銀河ということに驚いて、その銀河が見えるということ、しかもこんな明るい駅前で見えるということに驚きます。そしてその銀河が2000万光年も3000万光年も離れているということ、今見ている光は2000万年も3000万年も前の光だということに、みなさん驚きます。

中には、本当に見えているのかと、鏡筒前に手を翳したり、鏡筒を覗き込む人もいます。その度に画面が明るくサチるので、ライブスタックをクリアして最初からやり直しになってしまいます。あと、わかりやすいように隣にMacを置いて、以前撮影したM51の画像を出しておきます。カメラの向きも大体合っていたので形を比較することができ、ライブの方のイメージもわかりやすくなったようです。

一方、反省点もいくつかあります。
  • まず、普段使っていないASI294MCを取り付けたのですが、ホコリがひどくて黒丸が随所にありました。上の画面は銀河周りだけをクロップしているのでわかりませんが、淡い天体を炙り出すとどうしても目立ってしまいます。
  • 炙り出すのにスタック時間がある程度必要になるため、今回はM51のみにしてしまいました。雲が晴れてからはトリプレットも見えたはずなので、挑戦してみても良かったかもしれません。

それでも、月、惑星、恒星以外にも観望会に見えるものを提供するという意味で、形まではっきりわかる銀河というのはかなりインパクトがあるようです。一般の人だけでなく、ちょっと詳しい人や、県天メンバーみたいにもっと詳しい人にとっても、かなりのネタになりました。


たくさんのお客さん

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この日は晴れていたこともあり、本当にたくさんのお客さんが望遠鏡を覗きに立ち寄ってくれました。

駅前で開く観望会の最大のメリットは、とにかくお客さんが多いことです。富山で観望会を開いても、普通はせいぜい数十人くらいが集まる程度ですが、ここはひっきりなしに、数えられないですが数百人は余裕で来てくれます。明るい場所で不利にも関わらず、県天メンバーもこの観望会を気に入っている人が多いみたいで、やっぱりお客さんの反応が嬉しいのかと思います。

今回のゲリラ観望会はほとんど宣伝していないので、そもそもなぜ駅前で望遠鏡が並んでいるかも不思議に思う人も多いです。しかも「無料ですか?」と聞かれることもしばしばです。というのも、金曜の駅前の夕方から夜なので、仕事帰りや学校帰りの方が多く、望遠鏡なんか覗いたことがないという方がほとんどでです。普段観望会というと、大抵星に興味がある人のみ、特に子供が多く、小さな子とその親とかが、わざわざ観望会のために来てくれるます。でも、このゲリラ観望会は天文に特に興味がない人たちばかりです。天文に直接興味はなくても、社会人の中には理系関係の方も多いので、意外に話が通じたりします。ノイズの話とかも結構興味を持ってくれるので、意外に楽しいです。

制服を着ていて高校生とわかる子たちもたくさんいます。やんちゃそうな格好をしている子も、星や宇宙の話になると意外なほどピュアに応じてくれるので、見ていてかわいかったりします。星と全然関係ないのですが、今回はたまたま女子高生の進路相談に乗ったりしてしまいました。自分の好きな道に進むか、反対している親の意を汲んで妥協するか悩んでいるとのことでしたが、私の天文趣味みたいに、好きなことばかりしている身としては、是非とも好きな道に進んでほしいと思います。

子供連れ家族の方も多いです。どこかからこのゲリラ観望の噂を聞きつけてきた方なのでしょうか?それとも何か駅に用事がある方?子供にはSCOPETECH望遠鏡を自分で触ってもらうことを勧めています。こうやって観望会を開くと、大抵一人くらいは調整をずっとやってくれる子が現れます。今回は小学4年生くらいの男の子がちょくちょくやって来ては、望遠鏡をいじっていました。
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今回何枚か時間を置いて機材周りの写真を撮ったのですが、
大抵この子がSCOPETECHを調整している様子が写り込んでいます。

海外の方もたくさんいます。今回はアジア系、もしくは東南アジア系の方が多かったでしょうか。聞いて見ると、観光できている人もいれば、富山に住んでいる人も多くいました。シンガポールから来ていて、シンガポールは明るくて星が見えないとか、また日本に来るのだが天の川はどこで見えるのか?とか聞かれました。一見海外からきた子供だと思って英語で話そうとしたら、普通の日本語答えてくれました。多分富山で暮らしている子だと思います。子供の語学能力はすごいですね。大人と違って、完全に日本語ネイティブに聞こえます。


スライドは?

そうそう、頑張って準備したスライドですが、開始時に風が強くてスクリーンが飛んでいきそうだったので、結局披露せずじまいでした。せっかく画像を提供してもらったのに、申し訳なかったです。次回以降、県天の行事でチャンスがあったらまた皆さんにお見せしたいです。


片付けと帰宅

20時50分頃に責任者の方が「あと10分くらいなんで、そろそろ片付けお願いします」と回って来たのですが、21時を回ってもまだまだお客さんは絶えることがなく、他の望遠鏡を見ていてもあまり片付けが進んでいる様子はありませんでした。21時半近くになってでしょうか、私の方はモニター用のポータブルバッテリーが切れてしまい、やっと片付けとなりました。

実はこの日は珍しく妻も来てくれていて、せっかく駅前まで来たのでブリティッシュパブでフィッシュ&チップスとエールで一杯飲んでいたそうです。
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向こうに望遠鏡が並んでるのが見えます。

観望会も色々見てたらしくて、適当に楽しんでいたみたいです。片付けも少し手伝ってくれて、普段の電視観望より少し荷物が多いので助かりました。駅前で銀河が見えたのが相当面白かったようで、帰りの車の中ではずっと楽しそうに話していました。

自宅についたのですが、疲れていて後片付けは明日以降の後回しに。リビングのソファーに座ってやっと落ち着いたのでXをチェックすると、知り合いの中学生のMちゃんからDMが来てます。明日、科学博物館に行くとのこと。夕方から観望会なので、私も行くかどうか知りたいとのことでした。明日も晴れそうで、しかも上限の月過ぎなので撮影するにしてもイマイチです。どうやら2連チャンの観望会になりそうです。車の中の荷物、片付けなくて良かった...。


2024年9月13日、ずっと天気予報が悪く中止になりそうだった富山駅前ゲリラ観望会。このゲリラ観望会、5月以来の今年2度目になります。 

午後は結構雨が降ったりしていたのですが、夕方に近づくにつれ少しづつ青空が見えてきます。メーリングリストでゲリラ観望会決行の知らせが入ります。富山のアマチュア天文家が富山駅前に集合です。

私が到着したのはちょっと遅めで、もう暗くなっていた19時過ぎ。すでに望遠鏡は10台くらいは出ていたでしょうか。駅の南口からの人の流れに沿ってズラーっと望遠鏡がならんでいるので、俄然注目を浴びます。何人かの方から「今日は何か特別な日なのですか?」と聞かれました。「富山の天文好きが集まってボランティアで望遠鏡を除いてもらっています。今日は月が綺麗ですよ。」などと答え、並んでいる望遠鏡を勧めます。月齢10.5日で月がそこそこ明るいので、クレーターもよく見えます。途中から土星も見える高度に上がってきます。今日のメインは月と土星でした。

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私はというと、駐車場から駅前まで少し距離があるので、いつもの手軽なFMA135電視観望セットです。富山だと一番お客さんが多い観望会になるので、ちょっと無理して24インチモニターとAC100Vが出せるバッテリーを運んだので、ちょっと大変でした。

私も最初は月からです。いつも初期アラインメントに使うベガもデネブも、アルタイルさえも、ちょうどこの時間だとかなり高い位置にあり、候補に上がってきません。明るくて大きな月を初期アラインメントに使うと楽です。最初に月を自動導入して方向がずれていても、画面を見ながら三脚を直接ずらしたり、トラバースの固定ねじをゆるめて高さ方向を回転させて調整したりもできるので、プレートソルブなんか使わなくてもへっちゃらです。

初期アラインメント後、お客さんには`しばらく月を見てもらい、その間に外部モニターを用意します。2画面が用意できたら、いよいよM27を入れて星雲です。前回の5月はシーズン的に星雲がほとんど見えなくて、かといって銀河を見るにはFMA135では焦点距離が短すぎたので、夏シーズンになり満を辞しての駅前星雲となります。

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地方都市といっても、さすがに新幹線がメインで止まる駅なので、駅前はかなり明るいです。それでも電視観望ならM27くらいは余裕で見えます。一般のお客さんは星雲そのものにあまり馴染みがないので、むしろ望遠鏡の小ささに驚いてくれます。「今は超高感度のカメラが使えるので、こんな小さな望遠鏡でも淡い星雲が見えるんです」とか説明して、机の下の脇に置いた小さいFMA135を見てもらいます。「間違って蹴飛ばさないでくださいね」と一言添えるのですが、その後に「小さいのでこれまで何回か実際に蹴飛ばされてます」とか言うと「確かになぁ」というような反応が返ってきます。

最近の電視観望は、M1 Mac上のVMwareで動かすARM Windows11でSharpCapを動かしています。今回は特にMacで動かしているStellarium画面との比較が役に立ちました。WMwareだと SharpCapの画面と、Mac上のStellariumとの切り替えは、3本指でタッチパッドを左右に振るだけなので、ものすごく速くて楽です。駅前なので空を見上げてもほとんど一等星しかみえません。顔を上げて真上を見てもらうと、夏の大三角はなんとか見えます。夏の大三角の大きささえ感覚的にわかってもらえれば、Stellaiumの画面上で夏の大三角を見てもらって、赤枠で示された電視観望で見る視野の広さを確認してもらって、その視野をさらに拡大すればStellariumでM27が見えてきます。その後に画面をパッとSharpCapに切り替えて「これが今実際に望遠鏡で見ている亜鈴状星雲です。同じ形ですよね!」と説明するのです。実際のM27がかなり小さく、目で見ただけでは到底見えるものではないということ、望遠鏡で見るとカラフルな天体が宇宙には存在していることなどを実感しらもらいます。

その後、北アメリカ星雲を入れたりして、スマホの画像検索で見つけた北アメリカ大陸の地図の形と比べたりします。北アメリカ星雲はこんな明るいところでも思ったよりよく見えました。どうもこの日は透明度が良かったようで、自宅に帰ってから空を見上げたら、この季節は霞んでよく見えないことが多いはくちょう座の形がはっきりわかるくらいでした。
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あとは定番のM57ですが、これは輝度が高いので駅前のような明るいところでも余裕で見えます。
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時間的にはもう昇ってきているはずだと思い、アンドロメダ銀河も入れてみました。まだかなり低い位置にあって、どうも駅前ターミナルの大型の屋根の反射光を拾うようで、迷光で画面が明るくなりすぎです。銀河の存在のものはかろうじてわかるのですが、ライブスタックするには明るすぎてサチってしまい、こちらは諦めました。気を取り直して三日月星雲に移動したのですが、こちらも大して見栄えが良くなくてお客さんウケもイマイチだったので、再びM27に移動してしばらく放っておくことにしました。

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電視観望の間、お客さんもかなりきてくれました。4人組の女子高生のうちの一人がM27を見て「感動した」と言っていたのが印象的でした。21時過ぎになって、そろそろ撤収の準備をしてくださいと指示がありましたが、結構グダグダとしていて、まだお客さんや県天メンバーとのんびり話しながら、他の望遠鏡がかなり片付いてきてから、やっと私も片付けはじめました。

それにしても天気が良くてよかったです。今日の朝の時点では中止になるかと思っていたくらいです。駅前なので、富山でやるものとしては最も多く人が集まる観望会と言っていいでしょう。普段あまり星を見るようなことがない人達にもあピールできるところもいいです。今年は年2回のゲリラ観望会でしたが、来年もこれくらいのペースで開催できればと思います。


2022年に撮影した月と太陽のまとめです。2021年のまとめはここにあります。 



  • 2022年1月8日
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  • 皆既月食全景
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  • 皆既月食とその前後
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  • 天王星食
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太陽

  • 2022年1月8日
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13_38_50_lapl6_ap1314_IP_cut

  • 2022年1月10日
13_44_16_lapl6_ap2568_IP_cut

10_41_00_lapl6_ap2544_IP_cut

  • 2022年3月12日
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13_01_12_lapl4_ap1492_PI

_13_07_09_lapl6_ap2568_ABE_PI

13_06_25_lapl6_ap450_IP

13_03_07_lapl6_ap245_IP

13_03_57_lapl6_ap189_IP

13_05_00_lapl6_ap288_IP

  • 2022年4月25日
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12_04_11_lapl3_ap2490_IP_cut

12_09_29_lapl3_ap1726_HP_L

  • 2022年4月28日
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  • 2022年5月22日
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粒状斑
  • 2022年6月19日
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まとめ

2022年の月は皆既月食以外では1ショットしか撮影していませんでした。それもSCA260でのRGB合成のテストを兼ねてという、ついでの撮影です。その代わり、皆既月食は相当気合が入っています。というか、最初は天気が悪い予報であまり気合が入ってなかったのですが、突如富山でも晴れてフル機材で撮影して、画像処理をしてたらが夢中になってたというのが真相です。そのおかげか、皆既月食はかなり満足しました。地球影を直に写すという課題は残りましたが、次の日本で見る事ができる皆既月食は2025年9月8日らしいので、のんびりとやります。

太陽撮影は2022年の前半はかなりアクティブでしたが、後半は心が折れてしまっていますね。でも実際には何もやってなかったかというとそうでもなくて、記録を見るだけでもここに載せていないもので

2022年2月11日、3月27日、4月30日、5月3日、5月6日、5月7日、5月14日、5月28日、7月2日、9月4日、9月11日、10月1日

に撮影しているのですが、これらはブログ記事にもしていないのがほとんどです。前半は主にプロミネンスや黒点周りのHαのタイムラプス化に、後半は粒状斑出しに夢中でした。粒状斑は上の最後に示した画像がMAXで、その後も含めてことごとくうまくいってなかったので、全てお蔵入りになっています。その粒状斑出しも、夏が終わって大気が揺れ始めた頃になるとあきらめてしまったのですが、また2023年も挑戦したいと思っています。粒状斑に関してはまだ全然満足していません。とにかくキーはシンチレーションなんですよね。シーイングが悪いのか、機材がまだ問題があるのかわかりませんが、まだ課題がありそうです。

Hαのほうですが、冬に晴れの日少ないことと、さらにそれが休日に合わないとダメなので、こちらもストップしてしまっています。粒状斑の挑戦と一緒に撮影してもいいのですが、興味が出だすとそればっかりになってしまうので、少し反省です。特に黒点が常時出ているような年だったので、少しもったいなかったです。

2022年は夜の撮影でSCA260に力を注いだのですが、また月も太陽も時期が来たら再開したいです。というわけで、よろしければ夜の方もご覧ください。



一連の皆既月食記事の8本目。いい加減にそろそろ終わりにするつもりです。前回の記事はこちらから。



Hough変換

今回はHough変換を使ったサークル抽出で、月食中の月の位置合わせに挑戦です。FS-60CBで撮影した4時間分の広角の画像から月が画面中心に来るように位置変換をします。その後、タイムラプス映像にしてみます。

Hough変換は画像の中から特徴的な形を抽出するアルゴリズムで、その中に円を抽出する関数があります。Hough変換は色々な環境で使えますが、今回はOpenCVで用意されている関数をPythonで使うことにしました。検索するとサンプルプログラムなどたくさん出てくるのと、今回は対処療法で組んでいったのの積み重ねなので、あまりに汚いコードで人様に見せれるようなものではないです。なので、どうパラメータを取ったかだけの説明にとどめることにします。

基本的にはあるフォルダにある、月が映っているたくさんのファイルを順次読み込み、カラー画像をグレースケールに変換して、HoughCircles関数を呼び出すだけです。Hough関数は以下のようにしました。

HoughCircles(gray, cv2.HOUGH_GRADIENT, dp=1, minDist=1500, param1=30, param2=2, minRadius=350, maxRadius=400)

パラメータがいくつかありますが、少しだけコツを書いておきます。
  • HOUGH_GRADIENTとHOUGH_GRADIENT_ALTは両方試しましたが、ALT付きの方が誤検出が多かったのでALT無しの方にしました。
  • dpは1以下も試しましたが、位置精度に違いはあまりなかったです。大きな値にすると精度が悪くなりました。
  • 円を複数検出するわけではないので、minDistは1000とかの相当大きな値にしておきます。
  • param1は最終的に50程度にしました。大きすぎたり小さすぎたり値では検出できなかったりしますが、位置精度にはあまり影響ないようです。
  • param2は位置精度に影響があるようです。大きすぎると精度が悪くなりますが、5以下くらいだと精度はこれ以上変わらないようです。
  • minRadiusとmaxRadiusは、月の大きさは一定なのでその半径を挟むような値を取ると効率が良いでしょう。

とりあえず結果を示します。


結局出た精度はこれくらいです。もうちょっとビシーっと止まってくれればいいのですが、まだちょこちょこズレています。

実は精度を出そうとして色々試してみてます。Hough変換のパラメータをいじるのはもちろんなのですが、大きなものは
  • グレー化後に、あらためて画像の2値化
  • グレー化後に、あらためて輝度やコントラストをいじる
  • Adobe Premiereのブレ補正
  • 一旦Hough変換でラフに位置合わせして、少し大きめに切り抜いて、再度Hough変換
くらいでしょうか。でも結局どの方法も精度を劇的に上げることはできませんでした。Hough変換で目で見てもおかしいズレがあるので、そこだけでもずれが直ったらと思ったのですが、やはりダメなものはダメで、どうも苦手な画像があるようです。

今回はFS-60CBで広角で撮ったものから抜き出しているので、解像度が良くないこと。さらに動画の中から最初の1枚だけを抜き出しているので、大気揺らぎなどで多少のブレがあります。もしかしたらスタックをすると平均化されるので、細かいブレは少なくなるのかもしれません。スタックしてから、Hough変換ではなく、特徴点を抜き出して合わせるとかいう処理をした方が精度が出るかも知れませんが、ちょっと力尽きたので、今回はここまでにします。

ついでに同じ位置合わせの手法で、いくつか画像を抜き出して天王星の潜入画像をつくってみました。位置合わせ後、比較明合成しただけです。これくらいの精度ではそこそこ合って見えるんですけど、やはり長時間のタイムラプスだときついかもです。

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まとめ

今回の皆既月食に関する記事はこれで一旦終わりにします。

撮影後、1ヶ月以上にわたって楽しむことができてかなり満足しました。その一方、そろそろ月も飽きてきました。ただ、まだ未処理ファイルが大量にあるので、気が向いたらもう少し追加で書くかもしれません。

先の記事でも書きましたが、今回は月食に関してはかなり満足して撮影できました。大きな課題は地球本影を位置補正することなく撮影することですが、次回月食ではこれ一本に絞ることにするかもしれません。

ここ数日、BlurXTerminatorがすごいことになっています。次は少しこちらの方に時間を費やそうかと思います。












まだまだ自分の中では皆既月食マイブーム状態です。今回は地球の影が止まるような位置をどう計算するかの一連の記事の、少し脱線するような記事になります。


「ほんのり光芒」さんとのコラボ? 

前回の記事でコメントをいただいた「ほんのり光芒」のみゃおさんがブログ記事の方で、地球本影の固定に関してかなり細かい検討をされています。


上記ページからリンクを辿れますが、かなり以前から考えられていたようで、私のようなにわか月食撮影とは歴史が全然違います。天リフさんのピックアップにも取り上げられていて、ほしぞloveログとのちょっとしたコラボのような様相を呈しています。




視野ズレの計算プログラム

前回までで、地球の自転による観測者の位置変化で視野に大きなずれができて、地球の影の形がひしゃげることを、多少定量的に見積もってみました。


大まかな見積もりと、実際にどれくらいずれるかは、少なくともオーダーレベルでは一致しているようなので、今回はもう少し精度良く計算できないかを考えてみます。といっても、自分だけで考えるのはそろそろ限界で、Webで少し検索してみました。すると老猫こてつさんという方が各種軌道計算などされて、その中で求めていた月の視野位置のずれそのものをpythonで計算してくれていることがわかりました。


プログラムのソースを公開してくれているので、そのまま計算することができ、とても助かります。ただし、それら計算式をどう求めているのかの記述はないので、そのプログラムの出典を調べるためにブログの過去記事を読んでいくと、どうやら中野主一さんの昔のBASICのコードをpythonに置き換えてくれているようです。


参考書籍

中野主一さんといえば、最近では小説「星になりたかった君と」で「長野秀一」という名前で出てきた重要な役割を担う老人のモデルとなった方。おそらく昔の天文少年にとっては憧れのアマチュア天文家で、多くの天文雑誌で連載をもち、アマチュアながら元国立天文台長の古在由秀先生から計算を依頼されるなど、軌道計算の大家です。私はその当時マイコン少年でしたが、大人になって天文を始めてから、昔使っていたマイコンで実用的な天体計算をしていたことを知って、とても感動したことを覚えています。実は中野主一さん、星を初めて少しした2018年に一度お会いして、お話しさせていただいたことがあります。私はかなり緊張していたのですが、気さくにお話ししていただきました。講演も聞かせてもらったのですが、当時どう計算を進めていたか、プロから依頼された当時の様子などのお話で、ユーモアたっぷりの講演で今でも心に残っています。

そんなわけで早速、サイトに載っていた参考文献を注文しました。長沢先生の「天体の位置計算」は以前から持っていたもので、まだ普通に販売されているようですが、他の3冊は流石に古本でかろうじて見つかるくらいでした。
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その中で一番古い「マイコン宇宙講座」は昭和55年の初出のもので、月の計算そのものの章があり、式の解説もあったので理解しやすかったです。

「マイコンが解く天体の謎」は昭和57年出版で、使われている言語はなんとF-BASICですよ。内容はプラネタリウムのようなものを実現することが中心ですが、実は私、中1の時にFM-NEW7を中古で買って、しゃぶり尽くした口です。その数年前に出た本のようなので、恐らくFM-7が出た時で、実際にはFM-8で組まれた時代のプログラムですね。

一番新しい「天体の軌道計算」は1992年なので、前の2さつからはかなり経っていて、プログラムも複雑になり、さらに精度を求めているような内容になっています。

とりあえずは、月の視野ズレの計算方法が載っている「マイコン宇宙講座」をもとに、老猫こてつさんのpythonコードを使わせていただいて計算を進めようと思います。

ただしこれはまだ、「月」の視野ズレを追いかけるプログラムで、一番求めたい月食中の「地球の本影」を追うものではありません。でもこれらの計算の延長上に、それもそう遠くないところに地球本影を求めることができるのではと期待しています。


赤道儀の制御

あともう一つ、仮に地球本影の視野ズレも含んだ位置を計算できたとして、それをどう赤道儀に伝えるかですが、彗星を追うメカトーフ法というのが応用できるかもしれません。ただし、地球の本影を追うというようなものは見つからなかったので、実際にどういう方法で赤道儀に伝えるのか、どういうデータ形式なのか、地球本影に応用できるかなど、もう少し調べる必要があります。

ガイドソフトのPHD2にもメカトーフに相当するような機能があるらしいのですが、どうも1次の傾きでガイド信号に補正信号を加えていくようなものらしいです。視野ズレのような複雑な動きはできないかもしれませんが、1次補正だけでも近似的にそこそこ地球の影の形はうまく出るのではと思います。もしくは撮影途中で何度か係数を変えるかとかでしょうか。


今後

視野ズレの計算方法や赤道儀の制御など、まだ直接ではないですが答えにつながりそうな幾つかの見通しは出てきました。次回の日本での地球本影が見える月食は2023年10月23日の部分月食だそうです。1年近くあるので、じっくり準備したいと思います。


 
 
 
 
 
 
 
 

前回の記事で、赤道儀を太陽時に合わせ、月食を連続して撮影すると、月をスクリーンにして月食部分の形が地球の形を表すのでは?ということを書きました。



しかしながら結果は、影の形がひしゃげてしまい、位置合わせなしでは地球の形は再現できませんでした。なぜだったのでしょうか?今回はその点をもう少し詳しく議論してみたいと思います。


地球の影固定の座標系

まずは国立天文台のこの図から。
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まずこの座標ですが、地球の影が動かないような座標系を基準にしています。しかも上が真北です。

これが何を意味するかというと、まず太陽光源に対して地球の位置が動かないような太陽時に合わせた座標ということです。なおかつ、地球の影が真円近くになっているので、(これから書く)月食中の(地球の自転による)観測位置の変化による視野の差を無視したものになっているものと考えらえます。


月の公転軌道による移動量の見積もり

次に基準となる地球の影に対して月が動いていく理由は、月の公転運動が原因です。なんのことはない、月食そのものですね。一月で360度回るとすると、30日で割って1日あたり12度動きます。部分日食開始から部分日食終わりまで約4時間として、6分の1日なので、12度を6で割り、約2度動きます。月の視直径がやく30分(0.5度)なので、月の約4個分となります。上の図で確認すると、部分日食開始から部分日食終わりまで約4.5個分くらいでしょうか?少し誤差がありますが、まあそこそこ合っています。

さて、公転運動なので上の図において西から東へ横に動くのはよくわかります。ではなぜ南から北へ、上向の動きがあるのでしょうか?これは地球の地軸の傾きからきています。地軸に対して垂直な面と、月の公転軌道面に差があるために、地球の上にいる観測者から見ると月が上下に動いているように見えます。月食の時期は冬に近く、北極は一日中真っ暗で、南極は一日中明るいです。日本は北半球にあるので、月食開始の夕方にから夜中にかけて日本にいる観測者は自転により南側に沈み込んでいくような動きをします。月の公転軌道面を地球の公転軌道面に水平だと仮定すると(実際には +/-5度程度の範囲で周期的に動くのですが)、相対的に月は上に昇っていきます。月食4時間で横軸に約2度動くので、地軸の傾きが23.4度とすると、2度 x sin(23.4度)  = 0.8度 = 月の直径の1.6倍となります。上の図で部分食の始まりと部分色の終わりまでの移動距離を見ると、ちょうど説明できるくらいの量ですね。


なぜ太陽時だとズレるのか?

次の画像は、上の国立天文台の図の月の移動位置合わせて、撮影した月を位置合わせして合成したものです。

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左上と右上の枠のズレかたが各位置合わせの様子を示しています。

一方、赤道儀を太陽時に合わせて連続撮影し、位置合わせなしに重ねた図がこちらになります。
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縦に長く、横に短くなってしまっています。この違いはどこから出てくるのでしょうか?


視野のズレ

答えは前回の記事にも書きましたが、地球の自転によって観測者の位置が移動し、視点の位置がズレることによる視野の違いがこのズレの原因になります。と言っても定量的に評価しない限りは、きちんとこのズレを説明できるかどうかよくわからないので、ここで近似的にですが見積もってみます。

そもそも前回の記事で、
「地球の半径が約6400km、北緯36度くらいにで観察しているので、4時間の間に2 x π x 6400km x cos(46/180*π) x 6hour/24hour = 5400km程度、地球の時点により観測点が移動します。月と地球の距離が約38万kmなので、ざっくり1.4%になりますが、そこまで大きな影響ではなさそうです。」
と書きましたが、これは全くの見積り違いです。前回記事を書いている途中で気づいたのですが、実際そのように考えてもいたので、反省の念を込めて残しておきました。

まずは定性的な話からやり直します。地球から見て月の位置に、月の大きさよりはるかに大きなスクリーンがあると仮定します。赤道儀を用いて、無限遠にある恒星が視野の中で固定されるような追尾を恒星時に合わせた望遠鏡でそのスクリーンを見ているとします(太陽時とのズレは最後の方で議論します)。スクリーンには地球の影が投影されますが、 光源である太陽と地球の間の距離は地球と月の間の距離より十分に長いため、平行光線で投射していると仮定します。そのためスクリーンに当たっている影の大きさは地球の大きさをそのまま表します。

望遠鏡では無限遠の恒星を追尾しているため、望遠鏡の向いている角度は常に同じです。その一方、地球から見たスクリーンは無限遠に比べて十分に近いために、観測地点の位置ズレはそのままスクリーン上での位置ズレになります。すなわち、スクリーン上に映った地球の影を望遠鏡で見ていると、夕方から夜中にかけて時間と共に地球の自転で自分の位置がズレていくために、夕方見ていた地球の影は視野の中で自分の位置のズレと同じ量だけズレていくというわけです。今回の月食では、部分月食初めの頃には撮影画像の左の方にあった地球の影が、部分月食の終わりに頃には自分が地球上で移動したのと同じ分だけ、影の大きさが右にズレていくというわけです。

月は単なるスクリーンです。月食開始時には左の方にいる地球の影の右側を映し、月食終了近くには右の方に移動した地球の影の左側を映します。少なくとも地球の半径くらいのオーダーで観測者である自分は移動しているので、視野の中の地球の影もそのくらいの大きさでズレてしまい、位置合わせなしに重ねると縦長の影に見えてしまったというわけです。


定量的な評価

では実際にどれくらいズレたかざっくり見積もってみましょう。 簡単のためにズレを横(東西)と縦(南北)に分けて考えます。

まずは横ズレ。月食の4時間の間に地球は約60度自転します。スクリーン上への投影は、地球からスクリーンへの方向を自転0度とした時に、部分月食開始から部分月食終了までに19度から79度まで自転します。その時にスクリーン上に投影される移動距離は、赤道上で見ているなら4900km、北極で見ているなら0です。観測点が北緯36度だとすると、移動距離は約4000kmで地球の半径の3分の2くらいになります。地球の影を固定するためにずらして重ねた画像の枠のズレ量の横成分を見てみると、ちょうど地球の影の半径の3分の2くらいになっているので、うまく説明できそうです。

縦ズレはもう少し複雑で、地軸の傾き23.4度を考慮してやる必要があります。自転による上記の横ズレが起きる間に、地軸が傾いている場合地球の公転軌道面と並行な面に対して自転でどれだけ落ち込むかを計算してやればいいはずです。北緯36度にいることも考慮すると、約1600kmとなります。横ズレの半分以下くらいですね。これもずらして重ねた画像の枠のズレ量の横成分を見てみると、ちょうど横ズレの半分以下くらいなのでうまく説明できそうです。

さらに、横ズレは最初夕方近くなので、観測者はスクリーンに対して垂直に動くためゆっくり動き徐々に速くなっていく。縦ズレは最初激しく落ち込み、月が天頂付近に来ると落ち込みが止まることから、落ち込みスピードが遅くなります。枠のズレを見ていると、横ズレのスピードは徐々に速くなり、縦ズレのスピードは徐々に遅くなっていることから、これらのことも説明できそうです。

というわけで、今回の撮影結果と影固定での座標系とのズレは視野のズレというので定量的にも説明できそうなことがわかりました。


太陽時追尾の意味

ところで、今回は赤道儀の追尾設定を恒星時ではなくあえて頑張って太陽時に設定したのですが、はたして意味はあったのでしょうか? 

そもそも、赤道儀の太陽時とは、太陽を観測する際に視野の中にいる太陽が移動していかないようなついビスピーにするということです。太陽は正午に南中するので、閏秒を無視すれば、1日に赤道儀がぴったり1回転するというスピードです。一方、恒星時は1年で一回転する星空の分を補正して追尾するようなスピードです。いつものざっくり計算ですが、1年約360日で360度補正するとすると、1日で太陽時から1度ズレていく計算です。今回の月食の4時間では約15分角ズレます。月の視直径が30分角とすると、月の半径くらいはズレていく計算になり、今回の2つの比較画像でさらにこの補正を入れなくてはならなくなっていたでしょう。

少なくとも光源である太陽のを追尾していたので、ズレを視野角だけに落とし込むことができたという意味では、太陽時追尾にしていたということの意味はあったという結論でいいのかと思います。 


その他誤差

他にもまだ無視できない変化が残っているのか、ここまでの説明でばばっちり動かない影を再現できるのか?細かいところでは例えば、太陽光は実際には平行光でないので影の大きさは地球の大きさより小さくなること、スクリーンである月までの距離が観測者から変わることなど、細かいズレがあるはずです。

これらの誤差は無視できるのかできないのか、それらを含めてこの視野の補正を赤道儀にどう伝えるかを考えて実装し、その後の月食で本当に影が動かなくなるのか検証することになるのかと思います。長々期的な計画ですね。うーん、やっぱり現実的には難しいかな...?


まとめ

最初Twitterの議論で視野による誤差があると聞いて、あまり理解できていなかったのですが、自分で改めて考えることでだいぶん理解できたのかと思います。

やっていることは特に難しいことではなく、それこそ頑張れば中学生くらいでも理解できるようなことなのですが、できる限り文献や資料は見ないで、シンプルに太陽と地球と月の位置関係と、地軸と月の公転軌道だけから、自分頭の中で考えることで色々理解できてくるのはとても楽しいです。しかも実際に撮影したものと正しいと思われる月の見た目の位置関係の比較から、そのズレが計算値とかなり一致し、そのズレ方もうまく説明できたというのは過去の偉人たちの足跡を辿るようで、なんとも言えないいい気分です。

うーん、これだから天文趣味はやめられません。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 

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