ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:星の村天文台

2024年6月8日、福島県田村市の星の村天文台で行われた星まつりに、こっそりと行ってきました。こっそりとという意味は、GWに崩した体調が戻っていないくて、泊まり(特に車中泊)は全然無理そうなこと、富山から福島までは結構な距離があり運転時間が長くなるので、いまいち自信がなくて、寸前まで誰にもいくことを知らせていなかったからです。


迷いに迷って

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前日のうちに準備だけしておきました。今回は機材も少なめです。

実際直前の直前まで迷っていて、朝起きたときに調子が良ければ行こうと決めて、前日は準備だけはして睡眠時間を確保するために早めに寝ることに。朝4時頃に起きたら結構調子がよかったので、思い切って出発としました。退院後初の長距離ドライブですが、まあいざとなったら引き返せばいいでしょうと、これ以上はあまり考えないことにしました。ただ食事に制限があるので、途中のコンビニでお菓子を買い込むとか、新潟前の黒崎PAのスターバックスで大好きな抹茶クリームフラペチーノを頼むとかもできないので、途中のドライブがずいぶん味気ないものになってしまいました。いや、でも健康が第一です。倒れて趣味も何もできなくなったことを改めて思い出しました。

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午前7時頃でまだスターバックス開いてないと思ったら、甘いものが食べれないこんなときに限って、なぜか 朝からやってるんですよね...。


会場到着

車は順調で、最寄りの田村ICで高速を降り、会場に向かいます。田村ICはETC専用なので注意なのと、このICからだと会場まで10km程度なので、かなり便利です。

会場には10時前くらいに到着したでしょうか。でもいつ求める会場に近い方の駐車場は一杯で、階下のアスファルトの方に止めました。これまでは毎回金曜に来ていたので、駐車場の心配とかしたことなかったのですが、今回はそこまで機材を出さないでおこうと思っているので、こちらの駐車場で十分です。車を降りてもそこまで疲れているわけではなく、まだ十分楽しめそうです。

会場に到着するとちょうど開会式の最中でした。何人かの来賓の挨拶があり、開会式が終わると早速会場内を回ります。

そもそもなんで今回無理してでも参加したかというと、何人かの人と会って話したかったことと、昨年星もと小海で買えなかったOIIIフィルターを買いたかったことです。今回会いたかった人には、半分以上会うことができました。顔を突き合わせて気兼ね無く思ったことを話せるのは、やはりいいですね。電話とかメールでは伝わらないこともあるのと、やはりその場で何人かと楽しく話せるのは、星まつりならではの魅力です。

ブース廻りでは、まずはOIIIフィルターを手に入れておきたかったので、国際光器さんに行きます。事前に国際光器さんのウェブサイトに行って見たのですが、相変わらずBaaderのナローバンドフィルターはごく一部を除きほとんどが在庫なしでした。今回目的のOIIIフィルターも、あればラッキーくらいに思っていたら、店長さんが前回買えなかったことを覚えていてくれて、2インチのOIIIフィルターがつい最近入荷したと教えてくれました。星まつり価格で安かったです。こういうところで交通費分とかを多少なりとも相殺できるので、買い物目的で星まつりに来て、ついでに星まつりを堪能するというのもありだと思います。


外山電子さんに居候

次に外山電子さんのブースに顔を出しました。ユニテックさんの展示もしてあって、今回は昨年の胎内星もとに引き続き、お言葉に甘えてそこにほぼ居候することに。一応昨年展示したSWAgTiを、また今回も展示させていただきました。

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せっかくなのでユニテックさんの宣伝をしておきます。一つとても面白いアダプターがありました。新規開発品とのことですが、Vixen規格のアリミゾに取り付けることで、アルカスイス互換アダプターに変換できる、とてもコンパクトなアダプターです。下の写真の濃い灰色の部分をワンタッチで取り外しすることができ、Vixen規格とアルカスイス互換をすぐに切り替えることができます。反対側のクランプ部の角度は合わないと言ってましたが、それを補ってあまりあるコンパクトさです。

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北軽井沢観測所

ブースはちょくちょくといろんなところを時間をかけて見て周りました。今回星まつりならではの面白かったものというと、圧倒的に北軽さんのところでしょうか。望遠鏡に詳しい方はご存知かと思いますが、「北軽井沢観測所」という名前のアイピースメーカーで、もともと個人のこだわりで作り始めたアイピースを、周りの方のリクエストに答える形で製品化しているところです。

私のことをご存知の店長さんがわざわざ声をかけてくれ、見て欲しいものがあるというのです。それはなんと、縮小系光学を利用して明るさ8倍を実現するという、超ファストシステムです。機構自身は全然複雑ではなく、アイピースと、カメラ前に取り付けた明るいCマウントレンズ、それを繋ぐ筒です。

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実際にアイデアとして縮小光学系は試した人を何人か知っていますが、そこまでうまく行ってないようで、なかなか実用レベルにならないようです。でもそこはさすがの北軽さん、自分のところの超高性能長焦点アイピースと、計測レベルのCマウントレンズを組み合わせて、歪みを最小限に抑えているとのことです。

実際に電視観望という体で撮影された画像を印刷してあったので見せてもらいました。上の写真にに載っているM13もそうなのですが、M51もくっきり写っているものもあり、どれもトータル露光時間が秒のオーダーだそうです!それもそのはず、撮影したのが口径10cmでF8程度の鏡筒で、これが8倍の明るさになるのですからF1(!?!?!?)とかです。実際にはカメラ前に付けてあるレンズのF値で制限されるとのことですが、それでもF1.2とかのとんでもない値です。

ここまで明るいと、本当のリアルタイム電視観望ができそうです。元々電視観望はリアルタイムで、星雲などを含めて動く様子を見ながら星雲や星団を見ようというのがコンセプトでした。実際にはそこまで明るい光学系を揃えるのが大変なので、ライブスタックで総露光時間を伸ばして、ノイズを落としていくのが主流になっているという側面があります。ライブスタックなので、当然画角が動くようなリアルタイム性まではありません。この北軽さんのアイデアなら、「本当にリアルタイム」の電視観望ができそうです。こんな機材に出会えるので、星まつりの参加ははやはりやめられません。今回無理してでも書いた甲斐がありました。

他にもEDレンズを利用したアイピースも見せていただきました。私は眼視はあまり経験がないので、違いがわかるか心配だったのですが、ほぼ同じ設計でED有り無しで比較させてもらい、コントラストなどの違いがわかりました。暗いところがより黒く出るという感じです。これは特に太陽観測Hαに有効だとのことです。Hαは単色なのでEDでも違いが出ないのではと思いましたが、コントラスト改善という観点でいくと確かに納得できそうです。これも一度太陽で実際に見てみたいです。


Vixenさんが元気

最近Vixenさんがかなり元気です。2020年のここ福島でわざわざ私を訪ねて会いにきてくれた、当時はまだ新入社員に近かった Iさんが色々紹介してくれました。Iさん、今ではVixen内の望遠鏡関連の各種製品に関わっている、もう立派な中堅どころのようです。Vixen製品の中でやはり注目はVSDです。星沼会のメンバーの最近の試用レポートを見ても、素晴らしい仕上がりのようです。VSDは試作版の段階でもすごいという噂は聞こえてきましたが、星沼会では製品版を試してもらっているということ。量産の製品段階ででもきちんと安定して性能を出せているというのはVixenの技術力の高さを物語っているのかと思います。やはりフラッグシップモデルできちんと成果を出せるというのは、信頼がおけるという意味でもとても重要なのだと思います。

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別売り(初出で付属と書きましたが正しくは別売りです。訂正してお詫びいたします。)
のケースをかなり軽量に、
しかも中のスポンジ部にこだわって作ったとのことです。
専用ケースがついているのはいいですね。 

他にもCP+で展示してあった、VSDの廉価版にあたる70mm鏡筒と、筒の中の対物レンズが移動してフォーカスする65mmmの鏡筒が展示されていました。CP+ではフォーカサーを筒内に収めるかどうかまだ迷っていて、通常のドロワータイプと合わせて2パターン展示してあったのですが、どうやら筒内内部フォーカスに舵を切ったようです。しかも内部の位置を外から覗ける目盛窓のようなものをつける予定だとか。なかなか面白い製品になりそうです。

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太陽系

星見屋さんでデモしていたDaystarのGeminiもかなりインパクトがありました。プロミネンス用と光球面用の2つを楽しめるとのことで、話を聞くと半値幅を変えているとのこと。どうやって切り替えるのか不思議だったのですが、よくよく聞くとエタロンが2つ搭載されているとのことです。確かに切り替えて見てみると、プロミネンス用は明るく見え、光球面用は暗く見えます。この間のドップラーシフトの記事ではないのですが、プロミネンスはそこの速度で移動している可能性があり、波長がずれることがあるので、多少大きな半値幅で見た方が有利なのかもしれません。それにしても、エタロンを2つ組み込むとは。最初にわかに信じられませんでしたが、波長調整つまみも2つ付いていることからどうやら本当のようです。後でDaystarのサイトで調べたら、本当に2つエタロンを搭載していると書いてありました。結構びっくりでしたが、値段も当然その分2倍!とのことです。

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手前の2つのつまみがついているのが、2つのエタロン調整に相当するようです。

太陽望遠鏡は他にも会場のどこかしこにたくさん出ていました。SHOWAさんのところではLUNTのダブルスタックで半値幅の狭いHα像を見せてもらいました。屋上の望遠鏡でも太陽を見ていて、へりから飛び出したはぐれプロミネンスが出てたと話題になっていました。太陽活動期なので見ていても楽しいのかと思います。


食事事情

今回はキッチンカーがいくつか出ていました。食事系ではカレーが一台と、スパゲティ系が一台でした。昼食時はズラーっと長い列ができていました。かなり空いてきた15時頃に行ったのですが、いくつかのカレーはすでに売り売り切れで、私はスパイシーチキンカレーをいただきました。かなりおいしかったです。

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キッチンカーではないですが、毎年恒例のキノコの串焼きもあったり、食事系以外にもスイーツがあったり、コーヒーのキッチンカーも出ていました。

会場では毎年顔を合わせているでかでかまんさんのグループに色々ご馳走になりました。お好み焼きにはじまり、おでん、ベーコンなど、どれもとてもおいしかったです。朝会場に到着した時にメイン会場に近い方の駐車場が一杯だったのですが、でかでかまんさんには「機材出すんですよね?バイクが止まっている所を空けましょうか?」と親切に言っていただきました。今回はあまり無理をしない予定だったので、お礼だけ言って別の駐車場に止めることにしました。このメンバーには毎回福島では親切にしていただいて、とてもありがたいです。

止めた駐車場に荷物を置くなどして場所を確保しておけるなら、車で移動して会場から数km坂を降りるとコンビニがあるので、多少の買い出しはそこまで不便なくできます。コンビニの隣にはガソリンスタンドがあるので、帰りが夜遅くになる場合はあらかじめ昼のうちに帰りの分のガソリンを入れておくといいです。今回も行きがけにガソリンを入れておきました。


イベント

会場では各種イベントがあり、家族連れでも楽しむことができます。ビンゴ大会では大量の景品が用意されています。国立天文台の渡部潤一先生は福島が地元で、毎年この星祭りに参加され、面白い講演をしてくれます。今年も初日の金曜から参加されていたとのことです。ここ数年恒例になっている重力波の話もまたありました。私は「聞く」ことはできなかったのですが、周りの人に聞いたら結構面白かったとのことです。渡部先生は今年はなんと屋上のドームで星空案内もしてくれたとのことです。他にも天文台スタッフによる子供向け星空解説や、プラネタリウムを利用したコンサートや、ショップスタッフによる講演、夜にはオークションもありました。

1日目の金曜の夜はかなり天気が良かったようですが、私が行った2日目は夜は曇り気味でした。家族連れの方も夜までいると会場にたくさん出ている望遠鏡で、星や星雲、星団、銀河などを見せてもらえます。ただ6月は日が長いので、暗くなるのが少し遅くて、子供はその前に疲れて眠ってしまうかもしれません。でもせっかくの機会なので、夕方少し昼寝してでも夜の星空を見ると、より楽しめるかと思います。1日目は天の川も綺麗に見えたそうです。特に、メイン会場のみでなく駐車場側に出ている、全国から集まってきたアマチュア天文家の自慢の大型望遠鏡を巡ると、かなり楽しめると思います。普通ではなかなか見られないような天体を導入してくれているはずです。


ちょっとだけ電視観望

さて私はというと、元々は機材も出さずにおとなしくしてようと思っていました。ところが、ユニテックのスタッフさんから中高生の頃にNIKONの35mmのF1.4のレンズで撮影していたという話を聞いてしまったのです。「え?私、それまだ使っていますよ。今日持ってきてますよ。」と広角電視観望で使っている機材を車から持ってきたのが運のつきでした。「おー、これこれ!」とかなり盛り上がったのですが、その時ついでにFMA135とトラバースの通常の電視観望セットも持ってきてしまったので、結局暗くなる頃には電視観望の準備を始めることになってしまいました。

ちょうどこのブログの前の記事がM1 MacとArm Windowsでの電視観望だったので、せっかくだからM1 Macで試すことにしました。多分M1 Macで電視観望までやっている人は日本ではまだ私一人だと思うので、わかる人にはわかるセットアップで、結構受けていました。機材はいつものFMA135+Uranus-Cをトラバースに載せたミニマム電視観望セットです。あまりの小ささに、来た人みんな驚いていました。小さくて目立たないので、途中何度か気づかれずに蹴飛ばされそうになったり、鏡筒の前をブロックされてしまって、その度に「あー、そこ気をつけて!」とお客さんから声が上がっていました(笑)。

ただし雲がなかったのは最初の時間帯だけで、その頃はまだ夏の面白い星雲とかは山の下に隠れてしまって、大したものは見せることができなかったです。結局、M13:ヘルクレス座球状星団、M57:惑星状星雲、M81&M82くらいだったでしょうか。それでもそこそこの人が、特にどう操作するかの様子に興味を持ってくれて、足を止めて見てくれていました。以前ブログにコメントをくれた方も来てくれました。
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最後亜鈴状星雲がやっと山から出てきたと思ったら、その真下にブースの明るい電気があって、迷光が地面のかなり低いところに置いてあるFMA135に入ってしまっているようで、星雲レベルは全く見えなくて、さらに雲もひどくなってきたのであきらめてしまいました。

Arm Windowsは全く順調で、普段やっているSURFACE8とかSURFACE9のWindows PCより快適なくらいです。仮想 OSですがそこまでパワーを使わないみたいで、Macのバッテリーも十分持ちますし、画面も広くて、「画面が綺麗で不思議に思った」と声をかけてもらったほどMacBook Proのレティーナディスプレイは性能がいいです。

問題は、SynScan Proとの接続が安定しなかったことです。プレートソルブをかけて、基本はうまくいくのですが、何度かに一回接続が切れてしまい、それが何度もありました。接続が切れた時はエラーメッセージが出たり、エラーメッセージが出る前にプレートソルブが動かなったりしてわかるのですが、その度にSynScan Proを落として再起動すればまた普通に動くようになります。でも今回落ちる頻度が結構多くて、観望会だとお客さんを待たせてしまうレベルだったので、改善が必要そうです。一応SharpCapも、SynScan ProもASCOMプラットフォームも、SynScan用のASCOMドライバーも、全て最新バージョンですが、もしかしたらWindows PCに入っている古いバージョンの方が安定だったかもしれません。少し探る必要がありそうです。

その他にも、トラバース本体の電池が切れて交換するとかのトラブルなどもありましたが、それよりも雲の方が深刻で、あまり遅くならない夜の22時くらいになって、終了としました。この日は大した機材は出していないので片付けもすぐに済み、最後まで残ってくれていた方達にお礼を言って、少し名残惜しかったですがここでお別れです。


会場をあとに

まだメイン会場には片付けとかで人も残っていて、最後に挨拶だけして帰路につきました。夕食に相当するものを食べてなかったので、坂を降りたコンビニで最後に一つ残っていた弁当を買って食べ、眠くならないようにコーヒーだけ用意して、一番近いETC専用の田村ICに向かいます。

途中眠くなるまで走って、PAとかで仮眠をとって、とにかく自宅に早めに着いてゆっくり休もうと思って走らせたのですが、夜中の高速道路は空いていてすごく順調で、午前4時くらいには自宅に着きました。流石に眠くて片付けもろくにせずにすぐに寝てしまいましたが、やはり自宅で眠ることができたのは良かったです。寝不足なのもあったのですが、かなり疲れてしまったこともあり、結局帰った日曜の昼間はほとんど寝ていました。起きてからサクッとこのブログ記事を書いています。昼間もほとんど寝ていたのですが、明日からの仕事もあるので、これ以上無理しないように早めに寝たいと思います。


戦利品

最後に今回手に入れたものです。

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  1. ビンゴで当たったタカハシのクリアファイルはもう何種類にもなりました。
  2. 外山電子さんには自作レポートのコピーをいただきました。
  3. プリズム関連を何種類か買い込みました。もしかしたら今考えていることに使えるかもしれないという淡い期待からです。いつもとんでもない値段で販売してくれているので、とても助かります。ついでに謎のネームプレートもいただきました。
  4. あとは水準器が2つです。 
まあおとなしいですね。オークションでテスターとかかなりお値打ちでで出てたのがちょっと惜しかったです。


まとめ

今回滞在は短時間でしたが、無理してでも行って良かったです。この星まつりでないと会えない人もいますし、目的のものも買えました。新しい人との出会いや、新しい機材との出会いもありました。特に北軽さんのファスト光学系は小海のステラグラスと同レベルのかなり衝撃的なアイデアでした。

来年はもっと元気になっているはずです。やはり星まつりは全日程参加した方が面白いです。 今年もまた星まつりはいくつもあります。行ける限り参加したいと思います。


初日からの続きです。




起床後の太陽

星の村天文台星まつりの2日目、土曜日の朝。昨晩寝たのが午前2時近くでしたが、7時半頃には目が覚めました。雲もありましたが、晴れ間もかなりあり、駐車場で太陽望遠鏡をセットし始めます。赤道儀はCGEM II、そこにいつものPSTにC8をつけます。いや、今回の場合はPSTにC8をつけたと言った方がいいでしょうか。PSTを持っている方も多く、その改造に注目してくれます。

機材のセットアップを終え、PCを出したり初期アラインメントの晴れ待ちの間に、さすがは星まつり会場、かなりの興味を引いたようで、次々と話しかけられます。

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例えば初期アラインメントで対物側のシュミット補正版の明るいスポットを見ながら、スポットが真ん中に行く様子を見せ、画角的にもカメラに太陽がきちんと入ることをわかってもらったりしました。

プロミネンスも大きく迫力があるものが出てましたし、黒点も2箇所、はっきりと見えるものが出ていました。今回は太陽撮影ではなく、ある意味太陽を電視観望で見てもらうことを目的としました。なので撮影した画像はないのですが、リアルタイムで見るだけでも解像度が半端ないことは皆さん皆さんよく理解してもらえたようです。

そもそも、こんな魔改造機に注目する人は、ほとんどPSTを自分で持っている人なのです。中には2つ持っているという人もいました。しかもかなりの人が、最近よく見えなくなってきてあまり使ってなと言うのです。初期のものは対物レンズについているコーティングがERFを兼ねていて、そこが経年劣化でダメになることが多かったりします。オリジナルのPSTは口径4cmで、これが5倍の20cmになったC8になるとさすがに分解能は相当違い、画像処理をする以前のPCのリアルタイム画像でさえも、プロミネンスや黒点もかなりはっきり見えてしまいます。PSTはF10前提で、C8ならピッタリとか、皆さん基本すぐに理解してくれ、カンどころを話しても通じるとことがありがたいです。

実際にPCの画面を見てもらうときは、明るさが一番の敵なので、上のようにPCを箱に入れ、さらに自分自身の明るさが画面に反射するのを防ぐために、下のように雨用のカバーをかぶって見てもらいます。

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「今回の会場内で一番見応えがあった」という方もいて、星まつりで大口径の可能性を見せるという価値はあったのかと思います。

使われなくなったPSTは恐らくかなりの数が全国にあって、再利用という意味では大口径化はかなり魅力的に映ると思うのですが、安全には相当気をつける必要があります。会場でもそもそも「熱くならないか?」と聞いてくれる方もたくさんいて、これまでこの「ほしぞloveログ」で書いてきたように「UV/IRフィルターを入れて熱を吸収しないようにしている」と説明しました。そもそも、
  • PSTの分解が大変なこと、
  • PSTを改造したら少なくとも私はそれ以来一度もアイピースでのぞいたことがないこと
など、相当の注意と覚悟を持つ必要があることを強調して説明しています。この方法は実験としては面白いかもしれませんが、決して推奨する方法とは言えず、まっとうにはDayStarなどを使って大口径に挑戦するのが本道です。

そもそも太陽観測は危険を伴い、観望会などで使うのはどうしても躊躇してしまいます。口径に関わらず、CMOSカメラを使って太陽観測をするのは、万が一のことを考えると機器の破損だけですみます。そもそも目で見ないので、失明などを避けることができるはずで、まだ安全なのかもしれません。そう言った観点からも太陽電視観望を導入する利点があることなども話しました。


やっと会場へ

太陽電視観望でひっきりなしで人が来ていて、駐車場から会場に初めて行けたのがもう抽選券を配り始める11時ちょっと前。会場では星友のIさんがVRで天の川を見せてくれました。

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写真にも写っているように、専用の2つレンズで撮るとのことで、最近やっと天の川もうまく撮れるようになってきたとのことです。昼間にも関わらず、顔や目線を動かすとその方向に見えるVRでの天の川はかなりインパクトがあります。

外山さんのところは相変わらず面白いです。写真を撮り忘れてしまいましたが、ある回路を見せられて「これが何かわかりますか?」と聞かれました。全く想像もつかなかったのですが、なんとアナログのPEC(ピリオディックエラーを補正するもの)だそうです。8個石が載っていて、信号を8段階に分けて覚えているようで、速い信号を返すのは難しいが、低い周波数の信号で十分補正ができるとのこと。製品化はさすがに難しいと思いますが、こんな実験的な楽しいことをやってしまうのも外山さんならではです。

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同じブースでピリオディックモーションの実測もやっていました。大学時代の先輩でもあるHBさんともたくさん話すことができました。

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今回食事はほとんどふもとのコンビニです。クーラーボックスを持ってきてその中に氷を入れておくことで、ある程度の買い溜めができます。会場での食べ物はしいたけ屋さんくらいと、ワッフルなどのキッチンカーが1台出ていたくらいなので、あらかじめ用意してきた方がいいかもしれません。この日の昼も、一度下まで降りて、コンビニで夕食分まで買い込んでおきました。


抽選会

15時になると、抽選会が始まります。私はなんと2番目に当たって、ポスターをいただきました。

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早くに当たってしまったので、当たったポスターを片付けがてら車に戻り、ちょっと休憩。休憩中に星友の仙台の木人さんがちょうど会場に着いたようで、駐車場を歩いているところで話しました。その際、手作りの魔除けならぬ、「雲よけ」を3枚いただきました。何が書いてあるかはわかりませんが、これで雲が去ってくれれば万々歳です(笑)。

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木人さん、この日の夜の電視観望にも来てくれたのですが、遅くまでいられないそうです。なんでもこの日は残業していることになっているとか。「自宅には疲れた顔をして帰らなければ」とか言っていました。以前CANPでお会いした時も、何故か一眼レフカメラとレンズで惑星を撮影していることになっているとか、相変わらずユニークな方です。


講演

17時からは恒例の渡部先生の楽しいトークです。なんでも金曜日に海外から帰ってきたそうで、なんとかトークに間に合ったとのことでした。予測した流星群が出るかどうか確認しに行って、見事に出現して予測が当たったそうで、話もとても楽しかったです。

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渡部さんに引っ張られるように重力波の話も出てきました。皆さん結構笑っていたので、内容としては面白かったのかなと思います。

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電視観望も2日目

その後、徐々に暗くなってきたので、この日も電視観望の準備。もともと天気予報ではせいぜい20時頃まで天気がもつくらいでしたが、なんとこの日も23時頃までずっと快晴。星まつりで二日連続で晴れるなんて、相当貴重です。梅雨入り前というのはやはり日程的にいいのかもしれません。

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この日も最初は定番の三つ子銀河やM81とM82です。

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さらにM57とかの定番も見ましたが、この日面白かったのが、山から登る北アメリカ星雲でしょうか。こんなのは電視観望ならではですね。

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途中、SharpCapが難しいと言う意見があり、ASILiveを試してみました。サドルから三日月星雲です。簡単に操作できるのですが、何か微調整しようとするとあまり自由度がないのは相変わらずです。初心者はこちらの方が扱いやすいかもしれません。慣れて不満が出てきたらSharpCapというのが王道でしょうか。ただし注意として、このAISLiveはZWO社のASIシリーズのカメラでしか使えないので、もしこのソフトを使うことを念頭に置いているならZWO社のカメラを選ぶ必要があります。

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考えさせられたこと

一緒に付き合ってくれていたさすらいさん、やまのんさんなど、いろいろな方と話したのですが、その中で木人さんから言われたことはかなり考えされられました。「電視観望はそんなに簡単だ簡単だと言っていいのか?」という疑問です。やはり天体観測につながるようなことなので、当然ですが難しいところもあります。

私は基本をものすごく大切にしてて、例えば電視観望でも架台や鏡筒の水平を取ることとか、無闇にケーブルを増やしてトラブルになるよりはできるだけシンプルにして安定な稼働を目指すべきで、必要なら最低限のケーブルを追加していくとかです。「簡単だ」と言う呼びかけが「基本を疎かにしてもできる」というように解釈されてしまうと、それはやはりおかしくて、むしろ基本をきちんとした方が実際の稼働はトラブルが少なく簡単になることが多かったりします。

実際に、この日の電視観望を見に来てくれている方の中にも「以前挑戦して難しかったから諦めてしまった。これを見てもう一度やってみようかなあと思った。」というような方が少なくとも二人いて、こういった方たちを救いきれてこなかった現実に、私は愕然としてしまいました。今回天文ガイドに書いている記事も、ある人にとっては物足りないでしょうが、ある人にとってはやはり難しすぎたりするのです。いろんなレベルの人、いろんな考えの人がいて、もちろん全部に一人で対応するのは全然無理なのはわかっているのですが、まだ初心者に対しての考え方が全然不十分だったようです。

この日の昼間に、前回の福島スターライトフェスティバルで会うことができた、VixenのIさんに再会できました。とても若い方で、今回も私の姿を見つけて声をかけてくれました。Vixenブースにいなかったのでなんでか聞いたら、わざわざプライベートで来ているとのことで、本当に星好きな方です。Vixenは日本では初心者のことを重要な顧客として考え商品展開をしている最大手です。電視観望のことも当然話しました。Iさん含め、若い社員が新しいことをいろいろ考えているみたいです。初心者を含めて、星の魅力を伝えていくという方針も素晴らしいと思います。Vixenさんが本気になってくれれば、相当のことができるのかと思います。初心者を大切にして裾野を広げることが、星を趣味にする若い方を増やすことにもつながるのかと思います。私は個人的にVixenさんの底力みたいなのをかなり期待しています。

途中、木人さんのところに、岡山で行われているCANP組のかんたろうさんから電話がかかってきました。天リフ編集長にもつながり、話すことができました。全然違う場所で星好きな人が集まっていて連絡を取り合うと言う、趣味はやっぱり距離も近くするんだなあと改めて思いました。


後片付け

さて、23時くらいになってくると少し雲がかかってきました。網状星雲を見たのですが、すでに薄い雲がかかっているような状態で、晴れていればもう少しきれいに出たのかと思いました。

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この網状星雲でこの日の電視観望もおしまい。また再会を約束し、片付け始めました。駐車場で荷物をしまい、まだ少し晴れ間があるのでドブ組のところによりました。最後M5を見せてもらいました。ヒロノさんもずっと解説していて疲れていたようで、その後曇ってこの日は皆さんおしまいになっていったのかと思います。

私は日曜に少し用事があったので、ここで会場を後にします。ふもとのコンビニで少し食事をとり、飲み物と帰りのおやつを買いこみ、0時半頃に帰路につきます。でもすぐに眠くなり、猪苗代湖手前くらいで午前4時くらいまで寝てしまいました。目覚めた後は眠気もなく、自宅まで順調に午前8時過ぎくらいにはたどり着き、そのまま片付けもしてしまい、シャワーを浴びて昼くらいまで寝てました。


戦利品

今回の戦利品は本当に少ないです。いつもは独立ページを作るのですが、今回はここで書くくだけです。太陽フィルムと、2インチのキャップ。あとは木人さんにいただいた雲避けシール、あぶくま洞のクリアファイル、抽選で当たった月のポスターです。


お疲れ様でした

今回の星まつりも、やはり人に会うのと、あとは電視観望、太陽機材を見てもらうのが主目的です。そう言う意味では十分に目的を果たせました。披露した機材をネタに、さらに新しい星友もできていきます。これだから星まつりは楽しいです。

今回お話しさせていただいた方々、今後ともよろしくお願いいたします。また、このような大きなイベントを実現してくださった、天文台台長はじめスタッフの方々、本当にありがとうございました。最終日を待たずに帰宅してしまい、申し訳なかったのですが、また来年も時間の許す限り参加したいと思います。

参加されたすべての皆さま、お疲れ様でした。


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