ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:揺れ

3月3日の木曜の晩、新月期でとうとう晴れてくれました。SCA260で撮影がてらいくつかのことを確認したいと思います。


目的と対象天体

今回のSCA260での目的はいくつかあって、
  1. ナローバンドフィルターの枠を取り換えたことで周辺減光が緩和されたかどうか確認すること。
  2. 副鏡をきちんと固定したため、鏡筒の向きを変えても光軸がずれないことを確認すること。
  3. 3分露光で星像が丸になることを確認すること。
です。これらの効果を見るだけならどこでもいいので星空を1枚撮影すればいいのですが、せっかくなのできちんとターゲット天体を定めて枚数を撮影して作例としたいと思います。

ターゲット天体ですが、2つの可能性を考えました。まず一つはもともとSCA260は春の銀河まつり参戦の意味合いが強いので、星像がピシッと出るかどうを確かめたいこと。特に、焦点距離が1300mmとそれほど長いわけではないので、
  1. バローを入れて高分解能を目指す
  2. 以前タカsiさんが言ってくれたように、ASI294MMの1binを使って高分解能を目指す
  3. もしくはバローと1binの両方を使う
の3択でどれが一番良いかを確かめてみたいと思っています。ただし銀河なので基本はRGB撮影です。

もう一つは、ナローバンドの周辺減光を確かめるためにHα、OIIIなどで見える輝線星雲を狙うことです。現在次期フィルターホイールをどの方向でいくか迷っているので、今回はナローバンドフィルターの周辺減光を確認することを優先し、輝線星雲を撮影対象とします。ただ、この春になりかけの時期はだんだん銀河がメインになってくるので適した輝線星雲があまりありません。さらに、星像を他の方の結果と比較してみたいので比較的メジャーな天体がいいのかと思っています。

いろいろ迷って、一度撮ってみたかった馬頭星雲の拡大像にすることにしました。


撮影

オリオン座はもう西に行こうとしているので早めの撮影になります。なのでまだ明るいうちから準備を始め、天文薄明終了後すぐに撮影にはいります。これまでのSCA260での撮影と違うのは、繰り返しになりますがナローバンドフィルターのフィルター枠を1mmほど内円の径が大きいものにしたことと、もう一つはガイドをオフアキから120mm+ASI290MMに変えたことです。オフアキの方が精度が出るはずなのですが、ASI120MM miniの感度があまり良くないこともあり、見ることができる星の数が数個のオーダーで少なすぎるので、マルチスターガイドができません。もともとSCA260の焦点距離が1300mmとそこまで長くないので、今回はマルチスターガイドを狙い普通のガイド鏡を使うことにしました。

撮影は最初順調に進みましたが、10枚撮ったところで曇ってしまい、その後も待ちましたが晴れることはなく撤収となりました。


結果画像

Hαフィルターで撮影した10枚の中で、比較的よく撮れた1枚撮りです。PixInsightでオートストレッチだけしています。
2022-03-02_21-21-53_IC 432_LIGHT_HA_-10.00C_180.00s_G120_0010
これを見る限り、ナローバンドフィルターの周辺減光は許容範囲内と言っていいでしょう。なので、手持ちのフィルターを活用すると言う意味でも、少なくともフォーサーズのASI294MM Proに対してはフィルターホイールは31.7mm用のもので十分で、まずは今の5枚入るものから8枚入るものにアップグレードします。

星像ですが、拡大図です。
2022_03_02_21_21_53_IC_432_LIGHT_HA_10_00C_180_00s_G120_0010_cut
それほど悪くなく十分に真円に近くて、私的には十分許容範囲です。副鏡をきちんと固定した効果はあったようで、光軸ずれももうほとんど起きないと言っていいでしょう。3分露光でもしこのレベルが安定して出せるなら十分です...が、

上の画像はかなりいい方のものです。比較のために、撮影したうちの画像処理に回せるレベルのものを5枚ピックアップして中心部を拡大したものをgifにしてみました。位置合わせまでしてあるので、星の位置は変わりません。
Blink
こうやって比べてみると、やはり真円かと言うとまだ程遠くて、細長くなったりしています。伸びる方向はランダムなので、これは赤道儀のせいというよりはシンチレーションでしょうか?

念のため、10枚撮影したうちの落とした悪い方5枚をみてみます。こちらは位置合わせができてないので、星の位置が動きますがご容赦ください。
Blink
何かの拍子に揺れてしまい(ほとんどがガイドのon/offで飛んだものかと思われます)こちらも方向はランダムです。赤道儀起因で揺れているとしたらですが、今回の撮影では赤経の揺れが垂直方向、赤緯の揺れが水平方向になるように合わせています。なので赤経のみとか、赤緯のみとかの特定のモードが出ているようなことはなさそうで、突発的な揺れ、もしくはシンチレーションなどの常時のランダムな揺れが支配的なのかと推測されます。風は比較的穏やかでしたが、風や地面の揺れの可能性もあるかと思います。ただ、やはり手で鏡筒を触ると揺れると言う事実は変わりないので、もう少し頑丈な赤道がは欲しいところではあります。

さて撮影ですが、3月2日に続いて、その後の3月3日と4日も馬頭星雲を撮影できたたので、なんとか仕上げるくらいの枚数にはなりました。それでも両日とも暗くなった後に晴れてきて、そこからオリオン座が西に沈む手前までなので、雲がかかったものやブレたやつとかを除いたら、初日の分も合わせてもトータルわずか1時間半ほどでした。こちらは画像処理が済んだらまた別の記事に書きます。


まとめ

SCA260がやっと3分露光でまともに撮影ができるようになってきました。ただしそれでも使えるのは高々3分露光で撮影したものの50%くらいと、まだ実用レベルと言うにはちょっと厳しいです。さらに長時間露光にしたら採択率も下がるでしょう。もっと頑丈な赤道儀があるといいのですが、もう少し我慢です。

前回の記事で、SCA260の揺れの対策のことを書きました。



今回はその成果を見てみようと、1作例目でLRGBで撮ったM33にHαで追加撮影して、赤ポチを入れてみようと思います。赤ポチを入れる事自体初めてなので、どうなるかとても楽しみです。


赤ポチとHαバブル

今回はいきなり結果から見せることにします。赤ポチが入ると相当派手になります。
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4

今回注目したのが銀河の周辺部にある泡のようなHαの丸いかたまりです。バブルみたいに見えますね。これはどう言う過程で生まれるものなのでしょうか?一個一個が超新星爆発?とにかくここを出したくて、かなり盛ってみたというわけです。

そもそもHαで見ると、なんで銀河内にこんなに明るいところが点在しているのでしょうか?「赤ポチ」という言葉が使用されるのはアマチュア天文に限られているようですが、それぞれの場所で何かHαで光る物理的な過程があるはずです。我々の銀河も、天の川を撮影するとよくわかるように、断面で見るとHαで光っていることがよくわかります。わからないのは、このような領域が点在している理由です。

少し調べればわかるのですが、Hαで光るのは水素原子のバルマー系列線のエネルギー準位がn=3からn=2へ電子が遷移するときに出てくる時に出てくる光です。星間密度が高いところではHαでよく光っていて、その領域では星が盛んに形成されているとのことです。

とすると、今回撮影した赤いところは銀河形成の過程で物質が密になっているような場所なのか?もしそうだとすると、銀河の周りにあるバブルのようなHαはどう説明できるのか?全く違う過程なのか?興味は尽きません。


赤ポチの出具合

今回の画像、少し派手すぎるかもしれませんが、まあ嬉しかったと言う事で盛り込んでみました。日本だと派手すぎでもっと控えめなのが好みな方のほうが多いのかと思います。少し落としたものですがこれくらいでしょうか?
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4_modest
でもここまで落とすとバブルがほとんど見えなくなってしまうので痛し痒しです。

その一方、海外に目を向けると上のが地味に見えるくらい盛っている画像もあるようです。もっと派手にしたバージョンです。海外だとこれくらい派手なのも珍しくありません。
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4
ここら辺は文化や好みも多分に関係しているのかと思いますが、ここまで盛るとバブルも相当はっきりしてきます。うまくバブルが見えて派手にならない方向を探るのもいいのかもしれません。

ちなみに、今回Hαで加えた部分を外すと以下のようになります。上の画像を見てからだとかなり寂しく感じてしまいます。
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright4_noHa
Hαで盛れるので、Hα以外の部分は前回の画像より少しだけ控えめの処理にしてあります。

さてさて、今回のHαの撮影、実は失敗続きで撮り直し撮り直しで、3回目の撮影でやっと使える画像なったものです。アホなミスばかりですが、反省がてらきちんと書いておこうと思います。いつものように長くなって申し訳ないのですが、もし興味があればこれ以降お付き合いください。


撮影時の揺れ

まず、揺れについて少しまとめておきます。結論だけ言うと、上部プレートとガイド鏡を外す事で、劇的に改善されました。その日のシンチレーションの大きさによりますが、改善前はかなりの確率で
  • 赤道儀の揺れ > シンチレーション > 風 > 地面振動
だったのが、
  • シンチレーション > 赤道儀の揺れ > 風 > 地面振動
が典型的となりました。

改良前は1分の露光では以前はかなり甘めに判断して半分程度の救出率だったのが、改良後は1分露光では普通の判断基準でほぼ全て救い上げることができるようになりました。3分露光も少し試しましたが、少し揺れてしまいました。ただし揺れの方向が一方向ではなくランダムだったので、おそらく(地面振動を防ぐために柔らかい振動吸収パッド三脚の足の下に置いていたので)風強くて揺れていて
  • 風 > シンチレーション > 赤道儀の揺れ > 地面振動
と言うような状況になっていたと思われます。これは再度確認したいと思います。

いずれにせよ、かなり状況は改善されてきているため、露光時間10秒とか1分とかのラッキーイメージに頼るような手法では既にOK、これ以降さらなる長時間露光での撮影に進みたいと思います。


撮影1回目: オフアキうまくいかず、ガイド鏡を使う

SCA260の改良後の11月28日、Hα画像の撮影を試みました。でもこの日はトラブル続きです。

まずフィルターがホイール内部で引っかかりエラーが出ていました。これはホイールに取り付けるアダプターリングを入れ込みすぎたためでした。これまで取り付けていた厚さ1mmほどのスペーサーリングを挟むのを忘れてしまっていたことが原因です。これだけでも原因がわかるまで30分ほどかかっています。

次に、今回ガイド鏡を使わずにオフアキに切り替えようとしたのですが、そのオフアキ用に用意したカメラASI290MMで星が全く見えまえん。プリズムの向きを間違えたかとか思ったのですが、確認してみても問題なさそう。ピントが合わないだけかと思って、一度主鏡で合わせたピントを崩して、フォーかサー位置を短くしたり長くしたり、オフアキに差し込んでいるカメラアダプターを出し入れしたりしましたが、やはり何も見えず。

結局、時間がもったいないのでガイド無しで撮影を始めることにしました。極軸はそこそこ合わせてあるので、1分露光くらいならピリオディックモーションも目立たず何とかなるでしょうと、この時は思っていました。ところが、肝心の揺れはというと全然収らなかったのです。

でも揺れをよく見ると、これまでの揺れと全然違います。これまでの揺れは赤経が動く方向に長く伸びるのですが、今回は丸が大きくなったり、揺れの方向が定まらずランダムです。ははぁ、と思いました。星像が丸く大きくなるのはおそらくシンチレーションが原因です。あと風が強かったので、星像が方向が定まらずに伸びるのはおそらく風のせいです。ガイドは数秒以上の揺れなら抑えることができるので、風の方向を抑えるのには結構効くのではと推測し、急遽ガイド鏡を復活させ、下部プレートに小判鮫状態で取り付けたというわけです。

効果はかなりあり、少なくともこれまで困っていた星像が一方向に長くなるのはほぼ抑えることができました。赤道儀の揺れはかなり収まったとは思うのですが、シンチレーションで星像がかなり大きくなっていて細部が全然出ていません。赤道儀の揺れがシンチレーションに隠れてしまい影響が少し見えにくくなっている可能性は否定できません。シンチレーションのいい日に再度撮影して、きちんと評価してみたいです。

もう一つ気づいたのが、長時間ガイドでのドリフトがほとんど出ないことです。ガイド鏡を下に移動したことで回転軸に対してより近くなり、実質的にたわみが少なくなったのではと推測しています。上部に置くとガイド鏡が鏡筒の上でふわふわ浮いたような状態にあったのではと思います。これは一般的に当てはまる可能性が高く、特に大型鏡筒ではガイド鏡は鏡筒の上部に取り付けるより、下部に小判鮫状態にして取り付けた方が有利だと思われます。それでもカメラの近くに取り付けるオフアキには勝てないとは思います。

この日の撮影、シンチレーションが悪かったこともありますが、そんなことは関係なしに結局全て無駄になります。


撮影2回目: ビニング間違いに気づき再撮影

先日のHαの撮影後、画像処理するときになって何とHα画像を1x1のビニングで撮影したことに気づきました。バイアスやダーク、新たに撮影したフラットもフラットダークも普通に2x2ビニングで撮影しているので全て使えません。結局12月5日に2x2ビニングでHα画像を丸々撮り直すことにしました。

さらに前回全く像が見えなかったオフアキを見直しました。カメラは独立にピント調整と回転角が調整できるように、T2->アイピース口アダプターを使って、カメラをASI120MM miniに変更して差し込み式にしました。このセットアップで、そもそも明るいところで何か見えるか試してみました。プリズムの差し込み位置で像が見えたり、差し込みすぎると撮影画像にプリズムでできる影が見えることが分かったので、プリズム位置をある程度固定し、カメラのアイピース口への差し込み具合でピントを調整するようにしました。

ところが、実際に撮影を始めるとオフアキで見える星の数があまりに少ないことがわかりました。相当拡大した状態になっているからですが、シンチレーションでの揺れもあってか、ほとんど認識できないか、認識してもすぐに見失ってしまいます。少しでもマシにしようと、PHD2側で2x2でビニングし、「3x3 median」というノイズ低減をして、やっと少なくとも1個そこそこ安定に認識する様になりました。

この状態で90枚撮影しました。しかしこれも無駄になるのです。


撮影3回目: やっと成功

12月10日、再度前回2回目の撮影の大きな間違いに気づきました。

フィルターが汚いことには気づいていたので掃除をしようとホイールの蓋を開けてみたのですが、なんとHαフィルターが入っていると思っていたら実際にはUV/IRフィルターが入っていたのです!

確かにこれまでHαにしては妙に明るかったのですが、ずっと間違ったフィルターで撮影していたことにになります。いつHαから取り替えたんだろうと思い出してみても全く記憶がありません。肝心のHαフィルターを探してみたら、フィルターケースの中にきちんと入っていました。よく考えると太陽撮影の時に使った気がするので、夏の頃でもう相当前になります。改めてHαに交換し、再度撮り直すことにしました。

あと、なぜこれまでBフィルターだけムラが出ていたのかの原因もわかりました。何か変なもので拭いたのか、Bだけものすごく汚くなっています。そういえばM57の撮影の時に曇って暗い中で青だけ拭いたりした覚えがあります。これも初夏の頃なので、もう完全に忘却の彼方でした。

IMG_4149

綺麗に清掃したので、今後はBでもRGと同様に撮影できると思います。他のフィルターも埃を吹き飛ばし、再度ホイールに蓋をします。

この日はシンチレーションもそこそこいいみたいです。さっそくHαを取り直します。一応データも載せておきます。
  • 撮影日: Hα: 2021年12月10日22時48分-12月11日0時31分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader Hα
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: ASI120MM miniによるオフアキ、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 200、露光時間1分、80枚、dark: Gain 200、露光時間1分、64枚、flatとflatdark: Gain 200、露光時間0.002秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight

これを元に、前回LRGB合成で仕上げた画像にPhotoshop上で合成します。合成方法はHα画像をRGBモードに変換して、レベル補正で緑成分と青成分を無くします。ここら辺は太陽画像処理の応用ですね。赤成分のみになったものをLRGB画像に比較(明)で合成してみました。こうすることでHαの度合いを自由に調整することができるようになります。

こうして出来上がった画像が最初に示した画像になります。


まとめ

Hα画像を利用した赤ポチですが、単に赤ポチというだけでなく、Hαバブルみたいなものが見えるなど、M33の別の様相が見えて面白かったです。失敗ばかりで途中かなり凹みましたが、なんとか形になりました。

揺れに関しては、順調に改善されてきていると思います。風が吹いていようが1分露光はかなり余裕で撮影できるようになった言えそうです。次回撮影ではもう少し露光時間を伸ばしてみようと思います。

SCA260の1作例目としてM33をLRGBで撮影、2作例目としてNGC253を同じくLRGBで撮影しました。




その時の一番の問題点が「揺れ」。今回はこの揺れを軽減しようという試みです。


現状確認

SCA260の重量が15kgで、今使っている赤道儀CGEM IIの耐荷重が18kgです。一見、耐荷重以内で大丈夫かと思えそうです。実際SCA260を発注する時も「できるだけ大口径が欲しいけど、重量はまあ大丈夫だろう」と気軽に思って決めたのですが、SCORPIOの店長さんの予測では「かなり厳しいのではないか」というものでした。

実際に撮影を始めてみたのですが、明らかに赤道儀の赤経体の動きのモードで揺れやすいのがわかりました。3分間露光では揺れが大きすぎて星像が全く丸になりません。露光時間を1分にして、かなり甘い基準にすることである程度の歩留まりで撮影画像を救い出すことができるくらいです。

赤道儀の対荷重は重さだけで決まるのではなく、より正確には慣性モーメントで決まるはずです。慣性モーメントは質量と、回転軸からの距離の2乗の積になります。同じ重量でも、回転軸から離れたところに質量が集中していれば慣性モーメントが距離の2乗で大きくなり、逆に近くに質量が回転軸中心に寄っている方が慣性モーメントは急激に小さくなります。慣性モーメントが小さければ、共振周波数は高くなり、かつ固くなるために同じ外力に対して揺れの振幅は小さくなります。

その観点でSCA260を見てやると、下部にロスマンディー互換のアリガタが付いているのはいいとして、上部にも同じ長さの汎用的なアルミプレートが付いています。

IMG_3817

加えて、アルミ製のごついハンドルを上のプレートに付けていたり、ガチガチに強化してそこそこ重くなったガイド鏡を上部に取り付けているので、慣性モーメント的にはさらに不利な状態です。

今回これらを取り外して、慣性モーメントを小さくして、共振周波数を上げ、最終的に揺れを小さくするような改造をしてみます。


取り外したもの

実際に鏡筒上部についているものを取り外してみて重さを測って見ると、プレート類だけで913g、ガイド鏡と合わせると何と1655gもあります。重量だけ見てもトータルの約1割を占めているので無視できないようなレベルです。

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慣性モーメントとして赤経体の回転軸からの距離で考えると、上のアルミプレートの位置は下のアリガタアルミプレートから2.5倍ほど離れています。距離の2乗で効くので、上のプレートを1枚外すことは下のプレートを6枚外すくらいのことに相当します。これはかなり大きな差です。

プレートを外した代わりに、持ち運びしやすいように軽めのハンドルを取り付けることにしました。適したネジ穴の幅が92mmと分かったのですが、この92mmにあったハンドルがなかなか見つかりません。唯一見つけたのが、モノタロウで買えるRSブランドの2本セットものです。プラスチック製で軽いです。



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ただし、ネジ穴がM5なので、M6ネジを差し込める様にM6ピッタリのドリルで穴を広げてやります。もともとはねじ山がきちんと収まる様にザグリが入っていましたが、今回は無視してザグリ穴はそのままに、長めのM6ねじで上から蓋をする様に取り付けました。

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穴を広げたので強度が少し心配でしたが、片方のハンドルだけで持っても全く問題なさそうです。念の為基本的には2つのハンドルを同時に持つことで、仮に一つ壊れたとかでも落下しないように扱いたいと思います。

また、ガイド鏡はオフアキに取り替えました。ただし、極軸調整や初期導入にはガイド鏡クラスのカメラがあると便利なので、これまで使っていたものを小判鮫方式で下のプレートの前部に取り付けることにしました。

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このガイド鏡は撮影を始めたら取り外すので、撮影時の重量増加にはならずに揺れは抑えられるはずです。仮に小判鮫状態で取り付けたままでも、上のプレートに取り付けた状態と下のプレートに取り付けた場合では、赤経体の回転軸から見ると距離が4分の1ほどになります。慣性モーメントでは16分の1ほどになったことになるので、揺れに対しては無視できるくらいになります。

揺れとは関係ないですが、接眼部を見直してオフアキ、ホイール、カメラの向きを揃えました。各ネジの間に円カッターで余っていたクリアファイルを切って作ったリングを嵌め込み、厚さ調整をしてネジの回転位置を調整します。微調整はクリアファイルにセロテープを貼ることで位置を合わせました。

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さてこれらの改造で、撮影時の揺れがどれくらいになるのか、結果が楽しみです。


久しぶりのSCA260の記事です。M33のLを撮影したところまで書いたのでしょうか。

 

そのあとに小海の星フェスがあったり、月食があったりで、SCA260のことはほっぽらかしでした。でも何もしていなかったわけではなくて、上のように11月初めにM33のLを撮影した後、星フェスの前にはRGBをそれぞれ撮影していたりしました。その後、ダークやらフラットやらも星フェス前には撮影し終えていたのですが、その後の画像処理に時間がかかってしまい、今の記事になってしまいました。

あと、ちょうこくしつ座のNGC253も撮影してあるのですが、こちらはまだ全然未処理で、まとまったら記事にするつもりです。


RGBの撮影

さてRGBの撮影ですが、記録を見ると11月5日で、もうかなり前のことなので色々思い出さなくてはいけません。撮影は一番出にくいBが天頂の頃にと思い、0時ころまではRGBの順で、0時頃にLを撮り増しして、さらにBGRの順で撮影しようとしました。でもやはり揺れと、さらには途中ピントを変えたことによるピンボケで大量に無駄にし、時間も押して最後のGRは撮影できませんでした。

結局使えたのがR: 11/64枚、G: 24/70枚、B: 58/117枚と、相当な率の低さです。ただし、ピンボケを除くとR: 11/31枚、G: 24/30枚、B: 58/60枚となり、R以外はそれなりに好調です。Rは風が少し強かったのだと思います。それでもGBも実はかなり妥協して残して、今の赤道儀では1分でもどうしてもある程度は揺れてしまうようです。今のところ3分露光だとほぼ全滅なので、露光時間を伸ばすためにもなんとか解決策を考えなくてはいけません。

おっきな赤道儀を購入できれば一発解決なのですが、鏡筒を買ってすぐなのでまだしばらくは予算がありません。ここは今後少し考えます。


画像処理

まずはLを処理します。スタックされた画像を見るともう明らかに分解能が出まくりです。以前撮影したTSA-120よりもかなり分解しています。今回は星像がまだ揺れている段階での結果でこれなので、SCA260のポテンシャルはまだまだありそうです。

次にRGBを個別に処理します。特に今回Rの枚数が極端に少ないので心配だったのですが、ほとんど問題なさそうでした。それよりもBが枚数は多いのですが、おそらく雲のせいかと思いますが、RとGに比べてムラが多いのです。これは後の画像処理でかなり苦労することとなりました。このムラ少し不思議で、M33の腕の後に沿ってある様も見えますし、たまたまなのか四隅のうち左上と左下がまるで周辺減光があるかの様にも見えます。元の個別の画像に行ってもある程度の枚数にその様に見えているので、もしかしたらそのムラが正しくて、ムラのなさそうに見えているのが雲なのかもしれません。

RGB合成後はPCCをかけて、一旦恒星の色を合わせておきます。この時点で先のBのムラで全体にバランスがズレた部分が見えたので、DBEをかけて(ABEではM33自身も補正しようとしてしまい太刀打ちできませんでした)ある程度補正します。


初のLRGB合成

一応RGBとLが用意できたので、今回初のLRGB合成に挑戦しましたが、これがまた結構難しいです。

まず、RGBをストレッチや色バランスまで含めてある程度の画像処理を進めてからLを合成すればいいとのこと。Lもストレッチまである程度進めておきます。

LRGB合成はPixInsightのLRGBCombinationを使いました。問題は、LとRGBのストレッチの度合いです。両方ともオートストレッチでフルに炙り出してから合成すればほとんど問題ないのですが、私はストレッチし切る前にPhotoshopに渡したいので、それだとうまく合成できないのです。具体的にはLが明るいと、色がほとんどなくなりモノクロに近くなります。Lが暗いと、(おそらく出来上がった画像の暗部が切られてしまって)カラーバランスがおかしくなります。

なのでもうLを捨てて、RGBだけで処理を進めようかとも思いましたが、せっかくのLの撮影時間が勿体無いのと、やはりLの方が細部まで出ている様に見えるので、今回は出来上がりを見ながらLのストレッチ具合を何度も調整して合成しました。これ他に何かスマートな方法はないのでしょうか?

いずれにせよ、ここまでできてしまえばあとはいつものように炙り出すだけです。


結果

今回は1枚撮りだけみても、そもそも分解能がかなり出ています。撮影時間は3時間ほどですが、大口径のこともありノイズもあまり大したことがありません。なので伸び伸びと気軽にあぶり出しをすすめることができました。以前ほど青紫に寄せることもしなくてよく、真ん中の飽和も適度に抑える方向で進めました。結果は以下のようになります。

「M33:さんかく座銀河」
Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright
  • 撮影日: L: 2021年11月2日23時51分-11月3日1時6分、11月6日0時58分-2時10分、R: 2021年11月5日23時43分-23時59分、G: 2021年11月6日0時1分-0時43分、B: 2021年11月6日2時21分-3時33分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 200、露光時間1分、64枚、R:11枚、G:24枚、B:58枚で総露光時間3時間1分dark: Gain 200、露光時間1分、L:88枚、flat: Gain 200、露光時間0.2秒(L)、0.5秒(RGB)、L:256枚、RGB各:128枚、flatdarkはLRGB共通: Gain 200、露光時間0.2秒、128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回Hαは撮っていないので、俗にいう赤ポチはそれほど目立っていませんが、多少わかる範囲で既に出ています。あと、銀河の様子をシアンを目立たせる形で入れています。青ポチですかね。

SCA260ですが、はっきり言って非常に満足です。TSA-120と比べても、ここまであからさまに分解能が出るとは思っていませんでした。シンチレーションがいいかというと、間を空けた日での撮影なので特別いいというわけではなく、ごくごく普通の日だと思います。今のところ1分露光だと明らかに揺れていて、かなり妥協して画像を使っているので、もう少し改善する余地があるはずです。今回の撮影ではまだまだSCA260ポテンシャルを引き出せたとは全然言い難いです。それでもここまで出せるのなら、今後大いに期待できそうです。

おまけのAnnotationです。

Image111_DBE_PCC_ASx2_PCC3_bright_Annotated

広角だと縦横の線が歪むのですが、ここまで拡大するとほぼ直角になるようです。


TSA-120との比較

M33に関しては今年の10月と、かなり最近TSA-120で撮影しています。



というか、TSA-120での結果があったので直接比較できるかと思い、今回M33にしたというわけです。

その時の結果を同画角にして改めて示しておきます。
TSA120

今回よりもかなり派手ですね。これも嫌いではありませんが、細部を出したいこともあって今回はかなり控えめにしています。


揺れに対して

最後に、揺れに関して今後の方針を書いておきます。まだ変更になる可能性もあります。

指で赤道儀を弾いた時の様子を見ると、赤緯体の揺れはまだ許容範囲で、赤経体の揺れが目立ちます。よく揺れると言うことは共振周波数が低くなってしまっているということです。共振周波数は慣性モーメントで決まり、慣性モーメントは距離の2乗で効きます。

赤緯軸では鏡筒の前後の真ん中を中心に回るのでまだ慣性モーメントはそこまで大きくありませんが、赤経では鏡筒全体とウェイトも合わせて軸から離れているために、慣性モーメントはかなり大きくなっているので、共振周波数が低くなりよく揺れるのはある意味当たり前の結果です。

今一つ考えているのは、赤経軸から最も離れている鏡筒のトッププレートを外すこと。測ってみるとこれだけで900グラム以上あります。さらにガイド鏡も700グラム程度あり、トッププレートの上に置いていたため、赤経軸から離れています。軸から遠いものを合計1.6kgを外してしまえば、慣性モーメントとしてはかなり得することになります。

例えば、赤経軸から見て下部プレートと上部プレートの位置は距離にして3倍近くあります。仮に2.5倍だとしても、慣性モーメントで考えると上部プレート1枚外すことは下部プレート6枚外すことと同義です。実際にはウェイト位置も内側に来るので、その分も得するはずです。ガイド鏡の代わりはオフアキを使おうと思っているので、軽く、赤経軸からの距離は少し短くなり、有利になるはずです。

今回の画像に、さらにHαを撮り増しして足したいと思っているので、トッププレートを外してから同じ1分という露光時間で撮影して、どれだけ生き残るか比べれば、ある程度効果はわかるのではと思っています。


まとめ

今回のM33は、SCA260としての初作品になります。揺れにかなり悩まされましたが、結果には大満足です。TSA-120からここまで変わるとは、正直思っていませんでした。揺れに対しては、上にアイデアを挙げたようにまだ改善すると思います。赤道儀も欲しくなってきましたが、もう少し足掻いてみます。

SCA260を購入して1ヶ月、徐々にですが使えるようになってきました。また未処理画像も残っています。今回LRGBはなんとかなったので、今後はSAO撮影とかにも挑戦していきたいと思います。


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