ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:広域電視観望

2024年8月2日(金)、今年も富山県主催の「とやまスターウォッチングat富岩運河環水公園」がありました。昨年の様子は以下をご覧ください。


そもそも金曜の平日開催で、昨年初めて参加したものですが、今年も参加することにしました。


今年の方針

ちなみに、去年の記事を読み直してみると、いくつか反省点が書いてあります。
  • 2つ電視観望をやって、さらに子供に自由に触ってもらうSCOPETECHの屈折を出したが、手が回らなかった。さらに星座ビノも用意していたが、お客さん全員に十分な時間がかけられなくて無理があった。
今年も改めて思ったのですが、市街地での公園でやるのでお客さんの数が相当多くて、細かい操作などを伝える時間が確保できません。今年は欲張らずに子供用屈折も星座ビノも無しにしました。
  • 広域電視観望で、天の川の見える範囲が少し狭くて川のように見えないので、天の川と認識されにくい。
天の川を見たことがないお客さんもたくさんいます。天の川と言われても、実際どれが天の川か最初はわかりにくものです。いつもは35mmレンズを使いますがそれだと範囲が狭くて皮の形に見えません。今回はSamyangのF2.8の14mmを使って広角で川らしく見えればと思います。

あと、去年は
  • 準備と説明と機材トラブルなどで他の参加者とあまり話す機会がなかった
ので、今年はもう少し他の人と交流することを目標としたいと思います。


2つの電視観望

電視観望を2つ用意します。セットアップは昨年と似ていますが、少しだけ変わっています。

メインは天の川を見せること。これまで広域電視観望は主にはF1.4の35mmとか50mmのカメラレンズで見せていますが、もう少し広い範囲を見せた方がより天の川らしくなると思い、今回初めてF2.8の14mmレンズを用意してみました。これに光害防止としてQBPフィルターを使います。フィルターは1.25インチのもので、ASI294MCの側に薄手のアダプターを使って、レンズに干渉しないように取り付けます。操作は自由雲台です。たまに「広域電視観望の際のマウントはなんですか?」と聞かれることがありますが、これだけ広く見えると画角の移動はよほど時間が立たないと効いてこないので、自由雲台で固定で十分です。これでライブスタックもできるので、実際の画面が流れることもありません。

お客さんを飽きさせないために、もう1セット普通の電視観望を用意しておきます。もう夏の星雲が上がっている時期なので、街中ですが十分に楽しめるでしょう。こちらはいつものFMA135とUranus-Cをトラバースに載せています。そういえば去年はまだAZ-GTiを使っていました。トラバースがまだまだ実用に耐えなくて心配だったのですが、今年はトラバースがもう完全にデフォルト機器になっているので、成長したものです。今回も安定に稼働できました。トラバースの「小ささ」がさらにインパクトを上げていて、今回も「こんなので見えるの!?」という声を何度も聞きました。カバンの中に全セットを入れることができるので、駐車場から設置場所まで距離がある時でも、ほとんど苦になりません。

あと、今回初めて外部モニターを「2台」用意しました。こういった大規模な観望会にはお客さんもたくさん来ますし、電視観望も2セット用意するので、モニターも2台あった方が説明も楽だと思ったからです。1台は24インチでメインの天の川用、もう一台は15インチのコンパクトモニターで星雲用です。


機材の準備

18時過ぎには環水公園に到着しました。駐車場もまだ十分空いていたので、観望会会場の近くに車を駐めることができました。セットアップは最近は手慣れたもので、普通は10分とか15分もあれば終わってしまいますが、今回はモニターが2台あったので、少し手間取りました。モニターの解像度はHDMIでそれほど高くないので、PCの設定をそちらに合わせるのに時間がかかってしまいました。やはり一度は事前にテストしておくべきです。しかも星雲用はM1 MacのArm Windowsで動かしているので、モニターを最初うまく認識できませんでした。一旦VMwareを完全に落として、Mac画面をモニターに出せることを確認して、その後VMwareを立ち上げるとうまくいきました。

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広域用のレンズは最初から14mmにしてみました。うまく行くのかどうか、ぶっつけ本番です。

19時前には準備も終わり、まだ明るいので会場を一回りしますが、すぐに星が見えるくらいになり、広角電視観望ではこと座の形も十分にわかるくらいになります。昨年は19時にスタッフが一度集まって打ち合わせがあったのですが今年はそういうのは特になくて、もうお客さんも来始めているのでそのまま観望会になだれ込みます。

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観望会会場の環水公園は駅に近いかなり大きな公園で、世界一美しいと言われたスターバックがあるなど、富山の観光スポットにもなっています。駐車場もきちんと整備さえているので、観望会にはお客さんも数多く訪れます。この日は昼間から天気も良く、実際かなりたくさんの方が来てくれました。


いよいよ観望会開始

19時を過ぎるとお客さんももうかなりきていますし、スタッフの方も含めて知り合いの方もたくさんいます。結構明るいうちからM57を入れてみましたが、もう余裕で見えます。プレートソルブができるくらいの星の数が見えたら、たとえ街中であろうと輝度の高い星雲は問題なく見えます。

画面を見ながら、周りの人といろいろ話しました。今回は、電視観望に注目してくれる人がかなり多かった印象です。2016年からずっとやってきた電視観望で、星まつりなどではものすごく盛り上がっていたのですが、意外に地元の富山ではあまり盛り上がらない印象でした。今回はスタッフの方も学生の方も含めて、結構皆さん技術を知りたがっているような感じでした。

恐らくなのですが、これはSeeStar効果なのではないかと思っています。やはりあれだけ数が出てメジャーになってくると、少なくとも天文関連の方には電視観望でかなり見えるという認識が広まってきているのではないかと思います。電視観望そのものに信頼が出てきたと言ってもいいでしょうか。私自身は結局いまだにSeeStarは使ったことがないのですが、大手メーカーが本腰を入れてくれるのはとてもありがたくて、長い目で見てもとても良い傾向だと思いました。

話してくれた方の中に、県天メンバーではないけれども富山在住で天文が趣味で、このブログを一から読んでくれたというかたがいました。この長いブログを最初から読んでくれるという奇特な方(笑)がたまにいますが、とても嬉しいです。技術的な方のようで、この「ほしぞloveログ」でどのように技術を上げてきたかに興味を持ってくれていました。またお話しできればと思います。

県天に新しく加入された方とも顔を合わせることができました。自宅近くに住んでいる方で、電視観望に興味を持っているということなので、また一緒に試すことができればと思います。

さて、19時半ころからスライドを使った中国出身の方の七夕の話があります。私は聞くことができなかったのですが、大きな拍手が聞こえてきたので、面白い話だったのではと思います。


2つの電視観望の見せ方

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今回の電視観望は、2セットあることを活用してみます。まず広角電視観望で夏の大三角を見せ、そこから画面内でこと座を拡大します。次に隣のモニターに移り、こと座の端の2つの星が写っていることを確認して、その後M57を拡大して、星雲について説明します。先週の科学博物館でも同じように説明しましたが、このやり方は実際の大きさが直感的にわかってもらえるので、なかなかいいのかと思います。これまでの35mmレンズだと夏の大三角が入らずに、アプリを使っていたのですが、今回の14mmレンズはやはりかなり広角で、夏の大三角が余裕で入るので、全体からわかってもらえて、とても説明しやすかったです。

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星雲がどんなものが知らないと、どれが星雲かわからないこともあるので、
アノテーションがある方がお客さんもわかりやすいようです。

天の川は実際どうだったかというと、ずっと雲がかかっていたので、そのすきまから見るような状態でした。天の川に比べると雲は明る過ぎるので、どうしても不利になってしまいます。今回初めて試した14mmレンズですが、より広い範囲を見渡せるのは有利な点でした。その一方、広角すぎて周りの景色が入ってしまうことがあることと、このレンズは周辺減光が結構あるために、SharpCapでのリアルタイム背景補正(フラット化)があまりうまくいきませんでした。実際の画像は以下のくらいです。

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適当な枚数をスタックしているので、雲が流れているのがわかると思います。流れていない赤いシミが天の川になります。背景補正に非線形勾配除去を使っているのですが、雲などが明るすぎて飽和してしまうとこの背景補正がうまくいかなくなります。そのためゲインか露光時間を少し下げる必要があります。補正がうまく行っても、やはり周辺減光の影響を取り去ることはできずに、右上や左下が少し暗くなってしまっているのがわかります。天の川だけを見やすくするために、画面を拡大して画角を少し絞っています。これだともう広角の有利さがなくなってくるので、本末転倒になってきます。やはりなかなか最初からはうまくいかないもものです。次回、もう少し雲が少ない時に、改めて評価したいと思います。

14mmレンズで天の川が少し認識しにくかったので、途中からいつもの35mmに戻しました。下の画像が35mmで見た場合です。
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明るさはずいぶん均等になり、あぶり出しがかなり楽になります。が、当然画角は小さくなるので、ここら辺はトレードオフなのかと思います。この日の天気は悪くなかったですが、去年の方が少し良かったでしょうか。途中からだんだん雲が濃くなってきて、最後の方は天の川も見えなくなってしまいました。

県立大の学生が何人か、富山大の学生がなんと20人くらい来ていました。途中何人かのメンバーが電視観望を見にきてくれました。まずは街中で天の川が見えることに驚いていました。「観望会で説明とかどんな風にしますか?」と聞かれたので、ちょうどこの日にやっていた夏の大三角と、こと座とM57と天の川の関係とかを、七夕に交えて話すことや、天文クイズのことなどを例として伝えました。天文クイズは実際に来ていた学生さんに解いてもらいました。いつもの「月はどちらから昇ってどちらに沈むか?」というクイズで、天文部の人でさえパッと気づいた人は数人でした。もちろん、太陽がどちらから昇ってどちらに沈むかは全員知っていて、太陽が動くのは当然地球が回っているからということも全員知っていました。知識としては十分あるにも関わらず、月になると知識として知らないので答えられなかった人が多かったのですが、さすが大学生のしかも天文部です。すぐに納得して、その後の例えばベガは?と聞くと、普通に東から登り、西に沈むと妙に納得してくれてました。画面に見えている天の川と銀河の方向の関係のクイズも出したのですが、これはちょっと難しいと思われたようだったので、少し反省です。もう少しこなれた誘導を考えた方がいいかもしれません。


観望回終了

一応観望会は21時まででしたが、あまり時間は厳しくなくて、お客さんがいなくなったらやめにしましょうかというような雰囲気でした。19時くらいから始めて、かなりの人が見にきてくれ、ずっと説明していた気がします。それでも結局見せたのは夏の大三角と、こと座とベガ、天の川と、M57、あとはせいぜいM27くらいでした。ひっきりなしにお客さんが来るので、あまり種類を見せることができなかったのは反省点でしょうか。

私は21時20分くらいまで粘っていましたが、駐車場の出車ゲートが22時で開かなくなってしまうというので、ここで撤収です。片付けはほんの10分もあればすぐに終わり、片付け終わってから一通り挨拶をして、まだ盛り上がっている学生たちのところに行きました。20人くらいの大所帯なので、かなり楽しそうです。学生たちに22時にゲートが開かなくなることを伝えて、私も21時40分頃には退散しました。


まとめ

今年もたくさんのお客さんに電視観望を見てもらいました。特に天の川は、こんな街中でも見る方法があるということにびっくりしていたお客さんが多かったです。また、富山県天文学会のメンバーはもちろん、他にもたくさんの望遠鏡が出ていたので、お客さんはかなり楽しめたのではないかと思います。でもこの日もとても暑かったです...。


2024年7月20日と27日、富山市科学博物館の観望会に2週連続で参加しました。


久しぶりに観望会に参加

そもそも、コロナ拡大で2020年5月には科学博物館自体が休館となり、同時に観望会も中止になりました。その後9月に観望会が復活したものの、以前のような事前予約なしの自由参加制から予約制になり、その期間はボランティアも事前に申請して参加するという形態になってしまい、その日の天気を見て参加するかどうか決めるというような判断がしにくくなってしまいました。それからもコロナの拡大状況により観望会の中止期間が何度かあったようですが、科学博物館のイベント記録を見ると、コロナ後にやっと自由参加が再開され、望遠鏡を持って観望会に参加できるようになったのが、2023年の10月7日からのようです。

私が観望会に最後に参加したのは2020年の12月26日だったので、それ以来もうかなりの期間観望会には参加していなかったことになります。それでも科学博物館とは展覧会イベントなどの際にはちょくちょく顔を出したりしていました。


「重力」展示イベント

今回観望会に参加する気になったのもやはりイベントで、7月20日から9月1日まで特別展「たのしむ重力 ~落ちる ひっぱる そして、曲げられる♪~」というのが行われているからです。モンキーハンティング実験や振り子スネークなど、実際に自分の手さまざまな実験装置を試すことができます。

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7月27日と28日だけの特別体験ですが、大型のブランコが芝生広場に設置されました。
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ポイントは紐の長さが違うというところです。高校物理で証明しますが、振り子の周期は紐の長さのみで決まります。正確には振り子の支点から重心までの距離ですね。長さが2倍近く違うブランコなので、実際に乗ってみるとその違いがはっきりとわかります。

今回は、それぞれ10回揺らした時の時間を比べていたのですが、乗っている人の重さによらず、揺らしている振幅によらず、数えてみるとほぼ毎回長いブランコが8.3回か8.4回揺れた時に、短いブランコが10回揺れ終わります。

周期は振り子の長さのルートに比例するので、10回揺れた時の時間の比から、(10/8.3)^2 = 1.45倍くらいの振り子の長さの違いになるはずです。作るときに4.5mと2.5mにしたとのことですが、結構大雑把に測ったのでずれているかもとのことでした。4.5/2.5=1.8なので、実際にはそこまでの長さの差はないのかもしれません。

面白いのはここからです。高校物理の範囲での「周期が振り子の長さのルートに比例する」という計算は、実は「振幅が十分に小さい」という近似をしているので、もし揺れ幅が大きければ結構ズレてくるはずです。近似ではなくきちんと計算すると、揺れ角が90度になると実際の周期は近似計算の1.2倍ほどになります。同じ振幅なら長さの短いブランコの方が揺れ角は大きくなるので、周期は長くなり、10回揺れ終える長さも長くなります。なので短いブランコと長いブランコの実際の周期のズレは近似計算での周期のズレより小さくなるので、上で計算した1.45倍のズレというのは小さく見積りすぎてしまっていて、実際に作った1.8倍の長さのずれにもっと近いものと考えられます。

と、こんな近似の話も議論できれば楽しいのですが、実際に乗っているのは子供が大半なので、当然無理です。でも振り子の長さで周期が変わるということを「どちらのブランコが早く10回終えましたか?」という問いかけにすると、きちんと「短い方」と答えてくれて、わかってくる子が多いです。これを「どちらが速く揺れた?」と聞いてしまうと、自分の乗った経験から周期ではなく最下点の最高速度のことをイメージしてしまうようで、この場合の答えは大抵は「長い方が速い」となるようです。

大型ブランコ体験は7月27日と28日だけですが、その他の室内展示は9月1日までやっています。室内展示の中には、この大型ブランコのモデルになった小さな長さの違う2つのブランコも展示されています。お近くの方はぜひ訪れてみてください。また、毎週土曜日は夜から星空観察会も実施されるので、夕方までプラネタリウムと常設展示、そしてこの重力関連の特別展示を見学して、夕食を近くの吉野家で食べて、そのまま星空観察会というのがゴールデンコースです。


7月20日の観望会

上記展示に少しだけ関わったので、展示見学のついでに私も夜の観望会もというような流れで、久しぶりに参加したというわけです。

7月20日(土)の観望会はかなり条件が厳しかったです。月齢15.5日と満月なので、月以外の淡い天体はそもそも見にくいのですが、かなりの時間帯で雲がかかっていました。暗くなりかける19時半スタートですが、到着したのが19時25分頃。天気を見て雲の間に多少隙間も見えるので、とりあえず35mmで広域電視観望を出してみました。画面の中に常に雲があるような状況ですが、ベガやこと座の形は認識できます。時折夏の大三角も3ついっぺんに見える時があったくらいでしょうか。本当は広角電視観望で天の川を見せたかったのですが、雲が多すぎたのと満月が結構近くにいたので、見ることはできませんでした。FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望も試してみました。雲の合間にM57やM27を見ることができましたが、結局それくらいでした。

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隣の望遠鏡で眼視でM57を入れていたらしく、電視観望と比較をしてもらいました。でもほとんどのお客さんは眼視では認識することはできなかったようです。条件が悪かったこともありますが、やはり淡い天体を認識するのはある程度どんなものか知っていることが必要なようです。電視観望の画面を見て形を確認してから再度挑戦した人もいたようなので、その人たちはもしかしたら眼視でも見えていたのかもしれません。

途中からほとんど星も見えなくなってきたので、ASI294MCの高感度特性を利用して、夜でも景色が見えるというのを子供たちと一緒に楽しんだくらいで21時の終了時間となってしまいました。


7月27日の観望会

この日は前週よりもかなりマシです。下弦の月に近く、月の出が22時と観望会の間はまだ暗いままです。少し雲はありましたが、概ね空はひらけています。この日も結構ギリギリの19時20分くらいに到着してすぐに機材を出します。前週と同じ35mmレンズとASI294MCの広域電視観望と、FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望です。

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準備の最中にスタッフの方から「ISSが見えますよー!」との声がかかり、みなさん建物から離れた西側の芝生広場の方へいどうします。見え始める時間がかなり正確にわかっているので「まもなく見えるはずでーす」と声がかかると、東側の科学博物館の建物の上に動く輝点が見えました。かなり明るくなって、南の空に沈むまでの数分間、その場にいる全員で楽しむことができました。

お客さんは30人くらいは来ていたでしょうか。それぞれ会場に展開されたいくつもの望遠鏡をのぞいています。私の方も大体準備ができたので「こちらで天の川が見えまーす!」と伝えると、たくさんの人が集まってきました。画面近くには子供がたくさん群がります。「ここに見えているのが天の川です」と説明したのですが、まず最初に目についたのはたくさんの動く輝点でした。子供が「これなあに?」と聞くので「人工衛星だよ、さっき見たISSと同じだよ」と答えたのですが、その時にいくつも人工衛星が映っていたので「こんなにあるの!?」と皆さんびっくりです。数えてもらうと「7個あった」との声が。この日は常に数個、7個以上映っていた時もあり、その中には実際の空で目で見えるものもあったようです。子供は目のいい子が多いですね。私はほとんどわかりませんでした。

天の川そっちのけで人工衛星でひとしきり盛り上がると、やっと天の川に話題が移ります。「おりひめ様とひこぼし様が、七夕の日に天の川を渡り合うことできるんですよね」とか話して、恒例の質問で「天の川は七夕の時にだけ見えると思う人?」と聞いてみると、何人かの子供が元気よく「はーい」と答えてくれました。子供は素直で可愛いですね。でも、画面を見ながら「ご覧の通り天の川は七夕以外でもいつも見えています。でも実際に見るためには月の出ていない夏の日に、暗いところに行くとよく見えるはずです。キャンプとか行った時に空を見上げてみてください。」と伝えると、「でもキャンプでもあんまり見えない!」との声が聞こえます。「キャンプ場でも明るいところもありますし、ライトとかを近くで使っているとなかなか見えないかもしれません。」などと、お客さんたちと会話を楽しみます。

もう一方のFMA135での電視観望ではM57を入れてみて、同時に広角電視観望でこと座付近を映し出します。さすがに街中なので、ベガは見えますがこと座の形は空を見てもなかなか分かりません。星座アプリで夏の大三角とこと座の形を見せて、大きさと位置関係を理解してもらいます。こと座の三角と平行四辺形の形が広角電視観望でもきちんと見えていることを確認してもらい、平行四辺形の端の短辺の2つの星に注目してもらいます。

FMA135とUranus-Cで見ると、ちょうどその2つの星がすっぽり画面内に収まるので、さっきの画面で見た2つの星が、こちらの画面だとちょうど見えることを確認してもらいます。この時点では、M57はすでに映っていますが、あまりに小さくて星と区別がつきません。その後、2つの星の間を拡大していくと面積を持ったM57が現れてきます。青、緑、赤とカラフルな色がきちんとついていることもわかるので、明らかに星とは違い、星雲であることがわかってもらえます。お客さんの中には、星雲が目で見えるくらいの大きさがあると思う人もいるので、実際にはかなり小さくて、しかも色がつかないので、そのまま目だけで見えることはよほどいい環境のところに行っても、まず見えないということをわかってもらいます。今回は特に大きさの比較をしたので、実際の空のかなり小さいところを見なくてはいけないということは理解してもらえたようです。

では大きな星雲を見てみましょうということで、北アメリカ星雲を見てもらいました。富山市科学博物館はかなり街の中の明るいところにあるのですが、それでも下の画像くらいにはその場で見ることができます。

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他にも網状星雲を見ましたが、さすがにこちらはさらに街中では淡すぎて、かろうじて何かあることがわかるくらいでした。

最後はお客さんのリクエストに答えて、アンタレスとM4です。低空でかなり明るい場所になります。目ではアンタレスが一つなんとか見えているくらいでしょうか。電視観望だと、この状態でもM4をきちんと認識することができます。

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ちなみに、35mmの広角電視観望でも同じ領域を見てみましたが、M4の存在は一応わかります。でもモヤっとした面積がある淡い部分くらいで、さすがに星の粒まではわからないです。

お客さんの中に中2の男の子がいました。以飛騨コスモス天文台の観望会も来てくれたことがあるということで、以前あったことがあるようです。中学が忙しくて最近観望会とかは参加できていないと言っていましたが、結構宇宙のことに詳しくて、この日もVixenのポルタを持ってきていて、アンタレスとM4に挑戦していました。

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私も覗かせてもらいましたが、アンタレスはすぐにわかるものの、M4は最後まで分かりませんでした。科学博物館のスタッフの方も同じ意見で、やはり街中だと低い空の球状星団は難しいのかもしれません。この男の子は、私の星友でこのブログにもちょくちょく出てくるMちゃんと剣道の道場が一緒とのことです。今回はこの男の子の名前を聞くのを忘れてしまいましたが、忙しくても時々は星に目を向けるのを忘れないで欲しいなと思いました。ちなみに出会った頃は小学5年生だったMちゃんも、今年もう中3になっていて、受験で道場も引退してしまったとのことです。高校に入ってまた時間ができたら、一緒に活動できたらと思います。


まとめ

富山市科学博物館はいろいろ工夫して、なかなか面白い企画をしてくれます。少し前にあった、重力波検出器の内部をプラネタリウムのドームに映すイベントなんかは完全オリジナルで、全国でも初の試みでした。今回のブランコ体験も富山ローカルなお知らせなどには掲載されていたようで、100人分の整理券が昼くらいには全部なくなってしまったとのことです。また何かあるのか、注目していきたいと思います。


第2回目のリモート電視観望のZoom中継。すでにシベットさんが詳細を書いてくれてますが、その時の様を私も少しだけ。


シベットさんとのZoom接続まで

始まりは2度目のリモート電視観望の記事でした。



コメントのところにシベット さんから「次回の中継に参加したいがTwitterアカウント持っていないので、どうしたらいいのか」という相談が入っていたのです。

その後、向こうのブログにメールアドレスを知らせたりして連絡は取れる状態になったのですが、結局シベットさんもTwitter登録したとの連絡が昨日の夕方頃にありました。「じゃあ、今からZoomのテストしてみますか?」ということになり、19時くらいでしょうか、会議室を開いておいたらうまく接続できたようで、無事に会議室に入ってきてくれました。でもその時はマイクがないPCで繋いだので、結局最初は携帯電話で話しながら、あ、iPhoneでも入れるのではと気付いて一旦切ってまた待ちます。その後すぐに、無事にiPhoneのマイクとカメラでやりとりができました。

Zoomはここら辺の臨機応変さと、初めての人でもゲストとして繋ぐだけならアカウントを作る必要もないですし、アドレスワンクリックでアプリも勝手にインストールされるで、ほとんど困らずに使えるところがいいですね。その後、シベットさんもZoomのアカウント作ったと言っていました。ただし無料アカウントは3人以上だと40分までの制限があるので注意です。

接続の確認はできたので、一旦機材の準備をするとのことで、23時に再びZoomに入ることを約束して、一旦終了。


M51のテスト

私はその後、前回の記事の月の残りの撮影と、TSA-120でM51のテストを少しだけしました。まだ未処理で記事にもしていないのすが、この間ASI178MCで撮ったM51があって、それとPowerMATEで4倍にしてASI294MC Proで撮影するのを比較したかったのです。

でもPowerMATEによる4倍の拡大は、明るさで16分の1になることを意味し、さすがに淡い系外銀河ではあえなく撃沈。PowerMATEを抜いて、ASI294MCで常温でテストで1枚だけ撮りました。LiveStackでわずか190秒の露光なので見るまでもないのですが、小さいながらも一応形だけはわかるようです。

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でも前回書きましたが、やはり焦点距離900mmではM51は少し小さいので多分VISACで挑戦することになると思います。


再びZoomで

そのあと、Zoom中継に備えて広帯域電視観望の準備。昨晩のテストと同じく、105mm/F2.4をF2,8にしてASI294MCをつけます。準備完了のことにシベット さんが再び入ってきました。今度はマイクつきのPCにしたとのことで、声も普通に入ってきます。ただ、ビデオ映像が少し暗かったので、部屋が暗いかカメラの感度があまりよくないかと思います。私はMacですが、特段明るい部屋でもないのにシベットの映像と比べるとだいぶん明るさに差があるので、ここら辺はカメラによるのかと思います。

シベット さんの方の画面の共有とかもテストをして、大体の操作ができそうになったので、23時半頃でしょうか、Twitterで他の人も呼びかけましょうかということになり、シベットさんTwitter開始記念と銘打ってアナウンスしました。


結局夜中の天文談義に

遅い時間にもかかわらず、結局7人の方が参加してくれました。前回から同じく参加してくれた方もいますし、新規ではM&Mさん、だぼ君と、nabeさんでしょうか。他にもうお一方参加してくれた方がいたのですが、マイクがうまく繋げないようで、結局お話しすることができませんでした。これに懲りずに、もし機会がありましたらぜひともまたおつなぎください。


23時半だとまだ天の川も登ってこなくて、いまいち面白みにかけます。私の電視観望も透明度が悪いせいかあまりパッとしませんでした。その合間に、お互い初めましての方も、顔を見るのも初めての方も多いので、自己紹介とかも進みます。私にとっても何人か初めましての人もいましたが、Twitterとかブログでは知っている人たちなので、あまり初めましての気もしません。

広帯域のがパッとしない中、シベットさんが画面共有してくれて、1000mmとか400mmで電視観望して中継してくれます。nagahiroさんも天文部でZoom中継をやったみたいで、その時の写真を見せてくれたりもしました。

私がレンズを直すとかで、ちょっと外に様子を見に行った時には、皆さんでいろいろ話してくれていたみたいですが「パパがいないのに、なんか他の人の声でうるさかった」と後から妻に文句を言われました。スピーカーもマイクもオンにしっぱなしで外に行ってしまったがまずかったです。ホストなしでも勝手に会議が盛り上がるのが、天文仲間のいいところでしょうか。

0時半頃になると流石に天の川も昇ってきて、見栄えも良くなります。やはり105mmくらいの短焦点レンズだとかなり大きな構造の天体でないと楽しめないです。M13も見てみましたが、まあこんなもん

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拡大してもこれくらい。

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構成が肥大化しますし、球状星団の魅力の細かい星もわからないので、一応星団と見分けはつくけどぜんぜんおもしろくないです。 

会話ならではの裏話も飛び交ったり、まあ楽しいものです。シベットさんが星まつりでの会話みたいと表現していましたが、まさにそんな感じかもしれません。

結局この日も深夜1時頃まで話は続きました。K君のおやすみなさいがなければまだまだ続いたかもしれません。まだ平日で次の日も仕事の方もいるはずなのに、遅くまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。やはり広域電視観望は天の川があった方が楽しいので、早い時間に中継するならもう少し時期が来てからにしようと思います。今の季節はもう少し焦点距離を長くして、やはりまだ春の銀河祭りでしょうか。自宅からでも十分に見えるので、これもまたやってみたいと思います。


その後

Zoomの話はここまでですが、その後少しだけレンズを変えて試してみました。使ったのはPENTAXの165mm/F2.8です。一例ですが、北アメリカ星雲です。

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一見きれいに見えていますが、一つ問題点に気づきました。

よく見ると恒星に、左が赤、右が青のハロが出ています。原因はすぐにわかりました。ZWO社製のCanonレンズとASIカメラの接続アダプターが昔のタイプでガタガタなのです。PENTAXレンズは重いので、自重でアダプターとレンズの間に隙間が結構空いてしまいます。さすがにこれだと辛いので、アダプターのところにパーマセルテープとかを挟み込んでガタガタしないようにします。

でもカメラレンズはやはり拡大すると星像がどうしてもぼやけてしまいます。レンズの枚数が多いから仕方ないのでしょうか?私は高級レンズと言われているものは持っていないのですが、いいレンズだとカメラレンズでも拡大しても星像肥大は抑えられるものなのでしょうか?こうやってみると、元々電視観望に使っていたFS-60CBはとても優秀です。拡大しても星像肥大が気になることはあまりなく、M57とかもきれいにみえます。今のカメラレンズをあと2倍程度焦点距離を長くしただけでM57がきれいに見えるようになるとは、やはりとても思えません。うーん、FS-60CBにレデューサーをつけるか、もっと短い焦点距離の性能をいいのを探すか。もうBORGくらいしかないですかね?


週末の土曜日、天気がいいので撮影してたんですが、あまりに風が強くて途中で断念。その代わりに、一昨晩に試したリモート電視観望をさらにブラッシュアップしてみました。ただしこの日は中継は無しです。色々調整しながらやりたかったのと、さすがに二晩連続中継だとヘビー過ぎます。


前回の反省と、今回試したいこと

今回一番試したかったことは広域電視観望でのLiveStackです。原因は亜鈴状星雲M27がほとんと全く見えなかったこと。小さすぎるのもありますが、ノイジーだったのでLiveStackでもう少しノイズが減れば形くらいはわかったかなというものです。でもなぜか広角でのSharpCapでのLiveStackが全くうまくいきませんでした。

原因はStickPCが非力すぎたかもというのと、収差の多いレンズだったので星像が崩れて星として認識されなかった可能性が高いです。また、広角すぎたのも原因の一つかと思いましたが、ROIで画面を区切ってLiveStackしようとしてもできなかったので、広角なことが直接の原因ではない気がします。もしかしたら複合原因の可能性もあります。

というわけで今回のLiveStack実現のための改善点は
  • PCをハイスペックなものに交換。太陽撮影とかにも使っているSurface pro 7を投入します。可搬性は少し悪くなりますが、性能的には問題ないはずです。
  • もう一つは、レンズをPENTAXの6x7の105mm/F2.4に交換
です。よく考えたら、広域電視観望のLiveStackってこれまだやったことがありません。どれくらい改善されるか楽しみでもあります。

さてこのPENTAXの105mm、収差はそこまでよくはないですが、前回のNIKKOR50mmよりは遥かにマシです。というか、明るいレンズを試してくても手持ちで明るいレンズがあまりなくて、これは私が持っているレンズの中でもF3を切っている数少ないレンズの一つになります。あと手持ちの明るいレンズといえばNIKKOR35mm/F1.4、Nikkon135mm/F2.8、PENTAX 165mm/F2.8くらいですが、35mmはさすがに収差大きすぎ、あとは100をずっと超えることになってしまいます。50mmからあまり離れたくないので、今回の105mm/F2.4くらいが適当かというところです。でもこの焦点距離を倍にしたことは次の改善点と合わせて結構当たりでした。


広角時の簡単な初期アラインメント

もう一つの改善点は、
  • AZ-GTiできちんと初期アラインメントをして、自動導入と自動追尾をできるようにした
ことです。これは手間の割にかなり効果が大きかったので詳しく書きます。

そもそも、前回のコンセプトは場所も方向も気にしない「ポン置き」でした。初期アラインメントはこのポン置きを崩してしまうために避けていたのですが、今回のように広角の場合には、初期アラインメントがものすごく簡単であることに気づきました。

まず一つ目の手間は、一番最初に鏡筒をそこそこ北向きに、そこそこ水平におかなければいけないこと。ポイントは「そこそこ」です。ポン置きから考えるとたいそうな手間に思えますが、はっきり言ってかなり適当でいいです。105mmレンズでフォーサーズ相当のASI294MC Proなら計算すると画角は10度近くあるわけです。方角も水平度も10度くらいの精度で置けばいいのなら、まあ相当適当でいいでしょう。

初期アラインメントは水平が取れていない場合は「ツースターアラインメント」がいいでしょう。アラインメントの過程で水平のズレを補正してくれます。その際、明るい星を2つ選びます。今回はベガとアークトゥルス。初期アラインメントで一番難しいのが、見ている画面内に対象天体が入ってこない場合。特に焦点距離の長い鏡筒を使う場合によくあります。でも今回は焦点距離105mmで相当広角なため、余程適当に向きを置いていない限り、初期アラインメント時に一発で画面の中に入ってきます。ベガなんか一番明るい星なので、すぐにわかります。

この状態でPCの画面を見ながら、対象天体が真ん中に来るようにアランメントを2回とります。その後、対象の天体を自動導入してみると、かなりの精度で導入できます。というよりも、広角での自動導入なのであまり精度がなくても、きちんと真ん中に来てしまうと言った方がいいかもしれません。

さらにもう一つ、途中でSynScan Proで矢印ボタンでマニュアルで方向を適当にずらしても、AZ-GTiの中に現在の位置が記憶されているので、次の自動導入時もきちんと対象天体を間違えずに導入します。なので、前回やったリモートでモーターだけを使ってマニュアルで自分で天体を探すということも併用できるわけです。どれだけ好きに動かして迷ったとしても、そのまますぐに自動導入で位置確認することができるわけです。


実際のリモート電視観望

焦点距離が前回から比べて倍なので、より暗い星まで見えますが、逆に見える範囲は狭くなり、どこを見ているのかわかりにくくなります。でも今回は自動導入があるので、基本的に迷うことはありません。迷ってもまた自動導入ですぐに位置を特定することができます。これは思った以上に便利でした。中継の時に迷いながら探すのも臨場感があって楽しいですのが、いざという時に戻ったり次の天体に移動することができるのは安心感があります。

では実際に自動導入をして画面に天体を入れてみましょう。まずは手始めは、建物からのぼるM8干潟星雲。建物からのぼる「月」とかではありません。繰り返しますが建物から上る「星雲」です。
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画面のほぼ真ん中にM8がきているのがわかると思います。自動導入の位置精度はこれくらいなので、十分だとわかると思います。この画面はまだLiveStack無し。1.6秒露光の一発撮りなので、建物も木もぶれていません。

次は昨日見えなかったM27です。LiveStackを使ってノイズを減らしますが、今回はLiveStackも全く問題なくうまくいきました。でもPCがパワーアップしたからなのか、レンズの収差が緩和されて製造が良くなったからなのかは特定できていません。
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M27ですが、それでも小さいので見やすいように少し拡大しています。見え方は前回よりは多少マシで、形もなんとかわかりますが、やはりまだ焦点距離不足です。というよりはしょせんカメラレンズ、強拡大すると星がどうしても肥大化されて見えてしまいます。


あ、一応ネタとしてM57も見せますか。
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真ん中少し下の緑の明るいのがM57です。でも恒星に赤ハロが出ているのとほとんど見分けがつきません。さすがにもう少し焦点距離が必要です。


気を取り直して、次はサドルから少し東方向です。これは三日月星雲で自動導入しています。わかりにくいかもしれませんが、ど真ん中に写っているのが三日月星雲です。画像をクリックして、さらに拡大すると多分わかります。これもLiveStackありです。
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サドルからマニュアルで少し北に寄ったところ。真ん中より少し右下に見えるのがサドルです。
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これもLiveStackあり。左側の淡いところがどこまで見えるか試したのですが、驚くほどよく見えています。この後はまた自動導入に戻りました。

アンタレス周辺ですが、ここら辺が今回のシステムの限界でしょうか。赤と黄色は辛うじてわかるものの、青が(なんかモヤッとしている気もしますが)相当微妙です。
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青色はQBPの苦手とする色の一つなので、青だけヒストグラムで補強するような機能があるといいのですが、今のところリアルタイムではできません。


今回のハイライトでしょうか、屋根から上る北アメリカ星雲。自分の家の屋根なのですが、こんなのが家の中から見えるわけです。臨場感がないわけがありません。

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最後は再び干潟星雲とか、天の川中心部です。今度はLiveStackしています。本当にLiveStackさまさまですが、まあよく見えること。

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今回の問題点とまとめ

前回のシステムから少しの変更でしたが、見え方は相当変わりました。もちろん、そもそものASI294MC Proの感度が素晴らしいのと、光害地でも劇的な見え方の改善を提供してくれるQBP(Quad Band Pass)フィルターの性能があってのことです。

今回、広帯域電視観望で初めて試したLiveStackですが、やはりものすごいです。改めてその威力を実感しました。その一方、きれいな画面を見せようとすると露光時間が長く(今回は最長12.8秒)なり、さらにノイズが緩和されるまでスタックを重ねると、どうしても見栄えが良くなるまで時間がかかってしまいます。ただ、中継の時などでも実際にはそこまで頻繁に移動するわけではないです。中継で話しながら見せることになるので、話している時間でLiveStackをするとちょうどいいのかと思います。画面の移動の時は逆にリアルタイム性を出すために、露光時間を短くしたりして星の軌跡を出したりします。中継ではその辺りの作業の様子も全部見せることができるので、電視観望の技術交換にもなるかと思います。

また、今回AZ-GTiの自動導入を使ったのですが、広域電視観望でも自動導入は使った方が圧倒的にいいです。広角レンズとカメラなら、初期アラインメントで「必ず」ターゲット天体が画角に入ってきます。ベガとか明るい星を選んでおけば画面で確実にどれた対象天体かすぐにわかります。なので初期アラインメントの手間はほとんどかかりません。そしてその後の快適さが半端ないです。

レンズに関しては前回のNIKKOR50mmよりは星像はかなりマシで、自動導入もあるので今回の105mmの焦点距離でも、画角の狭さで今いる位置に迷うことはまずありません。その一方、まだ恒星周りを見ると赤ハロが目立ちます。これはピントが少し甘かったかもしれません。また、炙り出した時に出る明るい星の周りの白い大きなハロ。これは一段絞って2.8にした方がいいのかもしれません。


今後のこと

まだ多少の改善すべき点はありますが、夏の天の川がこれだけ見えるなら相当楽しいです。また時間のある時にZoomを使って中継してみたいと思います。前回参加できなかった方も、次回はよかったらぜひ参加してみてください。

ただ、天の川を見ようとするとまだこの時期は遅い時間からになってしまいます。最初はまだあまりたくさんの人数だとトラブってしまうかもしれないので、もう一回くらい遅い時間に始めるかもしれません。あ、でもこれから月が出てくるんですよね。まあ、月がある時にどれだけ見えるか試すのもいいテストになるのかもしれません。

一方、なかなか遠征などができないこの時期に中継してみなさんと繋がりたいという気持ちもあります。その場合は天の川にこだわらず、話が中心になるんでしょうか。

あと、今回の騒動が落ち着いたらいつか観望会でこのシステムを稼働させて、できるなら科学館とかのもっも街中で天の川を子供たちに見せてあげれたらと思います。


久しぶりの観望会

夕方少し晴れそうなので、富山市科学博物館の観望会に出かけました。科学館での観望会は調べたら去年の5月以来で本当に久しぶりです。よく考えたら夏は星まつり秋は飛騨コスモスと、いろいろ忙しかったせいかあまり行けてませんでした。あと、とにかく観望会の土曜日になかなか晴れなかったのです。実際今日も職員の方達が「雨プロ(雨の時のプログラムという意味らしいです)のネタが尽きたー。今日晴れてよかったー!」と言っていたくらいで、本当に久しぶりの晴れの観望会とのことです。

富山市科学博物館の凄いところは、毎週土曜日に必ず観望会を開くところです。天気が悪くても、室内でお話しがあります。これをずっと続けているのは凄いことだと思います。でも、北陸の冬の天気は結構悲惨で、なかなか観望会の日に晴れてくれなくて、今回は久しぶりの晴れの観望会となったわけです。


光害地での広域電視観望のテスト

今回の観望会での目的は、先日うまくいったQBPと明るい単焦点レンズを使った広域電視観望のお披露目です。



これまでは自宅で試していたので、住宅街といえどもまだ星は見える場所です。今日は科学博物館のある場所で、完全に市街地です。昔、娘のNatsuが自由研究で光害の影響を調べたとき、科学博物館から山側へ移動して行くと光害がどれくらい変わっていくかというのの、最初の起点の一番明るいところです。



こんな明るいところで、一体どこまで見えるのか?それを確かめるためのテストも兼ねています。


セットアップ

機材は前回までと全く同じ、NIKKORの50mm、F1.4レンズをF2で使い、アメリカンサイズのQBPをCMOSカメラに直付け。CMOSカメラはASI294MC Pro(常温で使用)です。他はシンプルな三脚と自由雲台だけで。雲台にカメラを取り付けるアダプターも前と同じで、超シンプルシステムです。

車から機材を運びますが、移動距離100m強。PC2台、観望会用に星座ビノ8個、テーブル、椅子を持っても一度で余裕で運ぶことができます。とにかく軽い。テーブルと椅子が一番重いくらいで、機材一式は重さ的にはもう誤差の範囲に入ってきています。

実際の設置も超簡単。一番時間がかかったのがテーブルの組み立てでしょうか。あ、あと星座ビノ8個ををケースから出すこと、これが意外に時間を食います。それに比べたら、特に今回はPC上に前回のSharpCapの設定が立ち上がったまま残っていたので、三脚の足を広げて、ケーブルをPCに繋いで、PCでカメラの映像が写っていることを確認して、カメラをオリオン座の方に向けて、ピントを合わせて、たぶん2分くらいでM42までたどり着きました。この手軽さに比べると、手軽だと思っていたAZ-GTiさえ煩わしくなってしまいます。


市街地での広域電視観望の実際

さて、こんな明るい中での広域電視観望、うまくいったのでしょうか?

結果だけ言うと、大成功。写真見てください。

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もちろん、この場所より暗い自宅でやった時ほどきれいには出ていません。でもオリオン座の三つ星とベテルギウス、M42に馬頭と燃える木、左上にはバラ星雲、なんと言ってもバーナードループも淡いですがきちんと出ています。これらを一つの画角に入れることで、実際に目で見ているオリオン座と大きさを比較できて、星雲がどの位置にあるのか、バーナードループがどれくらい大きいのかが実感できるというわけです。これでも露光時間1.6秒で、スタックは写真では89枚となっていますが、20枚もスタックすれば十分見えます。

ちなみに、科学博物館が設定した今日の観望会のテーマが「オリオン座をみよう」です。オリオン座は電視観望でもインパクトがあるので、今回のテストにもぴったりのテーマです。今回の観望会には、もちろん科学館の望遠鏡や富山県天文学会(県天)の方達の望遠鏡も出ていて、オリオン座に関連するもの、リゲルやベテルギウス、トラペジウムなどを見てもらいます。県天メンバーで他にも電視観望をやっている方もいて、実際M42などをお客さんに見てもらってたようです。

それでもおそらく今回のように、街中の観望会でバーナードループを見ると言うのは、これまであまりなかったのではないでしょうか。さすがにこれには来ていた人たちもびっくり。科学館の職員の方や、他の富山県天文学会のメンバーなど、星に詳しい人たちは特に「こんなところでまさかバーナードループまで見えるとは」と、本当にびっくりしていたようです。職員の一人は「初めてバーナードループ見た」と言っていました。


面白そうな女の子が

そんな中、一人異常に反応の良いお客さんがいました。女性の方で、子供と一緒に来たお母さんのようです。上の画面を見て「すぐに子供を連れてくるから待ってて」というのです。連れてきた女の子がこれまた凄い。聞いたら「小学4年生」と言うのですが、上の広域電視観望の画面にものすごく感動したらしくて、いろいろ話してくれました。「半年くらい前にこの観望会でいろいろ教えてもらって星に興味が出た」「レグルスを一番最初に覚えた」「バラ星雲を見たかったけど、いろいろやって自分ではどうしても見ることができないとわかったのに、今回初めて本当にバラ星雲を見れたので本当に嬉しかった」とかです。

それならと「是非星座ビノを試してください」と、お母さんとその子に見てもらいました。この日は星座ビノ8種類を大放出。見え方の違いを含めて、他の人たちにも楽しんでもらっています。お母さんもその子も星座ビノの存在は知っていて欲しかったらしいのですが、選ぼうとしたら種類がありすぎでどれがいいかわからなかったとのこと。ホントはNikonのテレビューを見て欲しかったのですが、お母さんは老眼と自己申告、その子もメガネをかけているので、ピントが調節できるWideBino28を新旧バージョンを最初に見てもらいました。

これもまた面白いように反応してくれます。うまく見えているようなので、それではとCS-BINO3x50を見てもらいます。



これは流石にインパクトがあったようで、二人ともキャーキャー言いながら取り合いで見ていました。もしこれが買いたいなら、CS-BINOという機種の3倍の方ですよときちんと伝えておいたので、もし購入したくなってもわかるかと思います。

というのも、以前書いた通り倍率が3倍と少し高いので、狭い範囲を見ることになり星座の全景が見にくくなるのが少し心配だったのです。「倍率が高いと星座の全景が見えないので、星座の形を覚えていないなら2倍の方、星座の形を覚えていると3倍のほうが良いんですよねー」とか私が言うと、すかさず女の子が「はい、星座の形覚えてます!」とのこと。これならまあ大丈夫でしょう。


トラペジウムの導入

その後、お母さんは何処かへ行ってしまい、その子といろいろ話していたのですが、なんと「望遠鏡を買って今日も持ってきている」とのことです。これは一緒に見なくてはと、反対側のエリアに行くとそこにはVixen PORTAの80mmが。

びっくりしたのは、「何を見ようか?」と話していて「じゃあ、トラベジウムって知ってる?」と聞いてみたのですが「見たことある!」と言って、何の躊躇もなくすぐにその子が導入を始めました。するとファインダーを覗いてから、すぐに鏡筒に移りほぼ一瞬です。多分全部で2-30秒でしょうか、「入った」と。「え、こんなに早く?」と思って見てみるときちんと台形が見えます。しかも結構大きく。「え、アイピース何mm?」とわかっているかどうか試す意味も含めて、わざとシンプルに聞いてました。アイピースをきちんと外して確認して「えーと、6.3mm」とケロっとして言います。「えーっ、そんなに短いの!それで一発導入!?」なんだこの子は?私よりもはるかに速い...。紛れもない星ガールです。

わずか半年前に星に興味が出て、小学4年生の女の子に4、5万もするポルタを買い与える親も相当理解があると思っていたのですが、物凄い価値のある買い物です。こんな子がずっと星好きでいてくれて、いつか中学校や高校で天文部に入るか、もしくは天文部がなくても作ってしまうか、どんどん伸びていって欲しいです。

お母さんも星座ビノが欲しい、その子も望遠鏡で撮影もしてみたいと、やりたいことにキリがないみたいです。「そんなのを沼って言うんですよ」と言ったらお母さんの方から「そうですよねぇ」としみじみと返事が。そこで、星まつりのことを話しました。天文機材はやはり高価です。星まつりならかなりお値打ちに物が揃うはずです。胎内の星まつりのことは聞いたことがあったみたいで、今年は是非とも行ってみるとか。

20時すぎ、この日の観望会も終わりの時間となり、またここでの再開を約束してこの日はお別れとなりました。まだ小学生、変に高価な機材とかに走らずに、子供のうちだからこそ味わえる星の楽しみ方を充分に堪能して欲しいです。そして純粋に星が好きなのを忘れずに、素直に進んでいって欲しいです。まあ、今の様子を見ていると心配はなさそうです。


エピローグ

その後、私も後片付けをして、事務室のところでコーヒーをいただきながらスタッフの人たちと喋っていました。ちょうど星ナビの今月号があり、KYOEIのMさんが書いた電視観望の記事のことが話題になりました。「私も星ナビに出てるんですよ」と、小海の講演の時の小さな顔もわからないような写真を見てみんなで笑っていました。

久しぶりの観望会でしたが、バーナードループも見せることができたし、面白そうな子がいたし、大満足の1日でした。観望会の最後の方からですが、夜は予報通り曇り。記事にしていないですが、実は昨日も夜にいろいろやっていて少し睡眠不足で眠いので、今日はもう素直に寝ます。


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