ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:天の川

2024年8月2日(金)、今年も富山県主催の「とやまスターウォッチングat富岩運河環水公園」がありました。昨年の様子は以下をご覧ください。


そもそも金曜の平日開催で、昨年初めて参加したものですが、今年も参加することにしました。


今年の方針

ちなみに、去年の記事を読み直してみると、いくつか反省点が書いてあります。
  • 2つ電視観望をやって、さらに子供に自由に触ってもらうSCOPETECHの屈折を出したが、手が回らなかった。さらに星座ビノも用意していたが、お客さん全員に十分な時間がかけられなくて無理があった。
今年も改めて思ったのですが、市街地での公園でやるのでお客さんの数が相当多くて、細かい操作などを伝える時間が確保できません。今年は欲張らずに子供用屈折も星座ビノも無しにしました。
  • 広域電視観望で、天の川の見える範囲が少し狭くて川のように見えないので、天の川と認識されにくい。
天の川を見たことがないお客さんもたくさんいます。天の川と言われても、実際どれが天の川か最初はわかりにくものです。いつもは35mmレンズを使いますがそれだと範囲が狭くて皮の形に見えません。今回はSamyangのF2.8の14mmを使って広角で川らしく見えればと思います。

あと、去年は
  • 準備と説明と機材トラブルなどで他の参加者とあまり話す機会がなかった
ので、今年はもう少し他の人と交流することを目標としたいと思います。


2つの電視観望

電視観望を2つ用意します。セットアップは昨年と似ていますが、少しだけ変わっています。

メインは天の川を見せること。これまで広域電視観望は主にはF1.4の35mmとか50mmのカメラレンズで見せていますが、もう少し広い範囲を見せた方がより天の川らしくなると思い、今回初めてF2.8の14mmレンズを用意してみました。これに光害防止としてQBPフィルターを使います。フィルターは1.25インチのもので、ASI294MCの側に薄手のアダプターを使って、レンズに干渉しないように取り付けます。操作は自由雲台です。たまに「広域電視観望の際のマウントはなんですか?」と聞かれることがありますが、これだけ広く見えると画角の移動はよほど時間が立たないと効いてこないので、自由雲台で固定で十分です。これでライブスタックもできるので、実際の画面が流れることもありません。

お客さんを飽きさせないために、もう1セット普通の電視観望を用意しておきます。もう夏の星雲が上がっている時期なので、街中ですが十分に楽しめるでしょう。こちらはいつものFMA135とUranus-Cをトラバースに載せています。そういえば去年はまだAZ-GTiを使っていました。トラバースがまだまだ実用に耐えなくて心配だったのですが、今年はトラバースがもう完全にデフォルト機器になっているので、成長したものです。今回も安定に稼働できました。トラバースの「小ささ」がさらにインパクトを上げていて、今回も「こんなので見えるの!?」という声を何度も聞きました。カバンの中に全セットを入れることができるので、駐車場から設置場所まで距離がある時でも、ほとんど苦になりません。

あと、今回初めて外部モニターを「2台」用意しました。こういった大規模な観望会にはお客さんもたくさん来ますし、電視観望も2セット用意するので、モニターも2台あった方が説明も楽だと思ったからです。1台は24インチでメインの天の川用、もう一台は15インチのコンパクトモニターで星雲用です。


機材の準備

18時過ぎには環水公園に到着しました。駐車場もまだ十分空いていたので、観望会会場の近くに車を駐めることができました。セットアップは最近は手慣れたもので、普通は10分とか15分もあれば終わってしまいますが、今回はモニターが2台あったので、少し手間取りました。モニターの解像度はHDMIでそれほど高くないので、PCの設定をそちらに合わせるのに時間がかかってしまいました。やはり一度は事前にテストしておくべきです。しかも星雲用はM1 MacのArm Windowsで動かしているので、モニターを最初うまく認識できませんでした。一旦VMwareを完全に落として、Mac画面をモニターに出せることを確認して、その後VMwareを立ち上げるとうまくいきました。

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広域用のレンズは最初から14mmにしてみました。うまく行くのかどうか、ぶっつけ本番です。

19時前には準備も終わり、まだ明るいので会場を一回りしますが、すぐに星が見えるくらいになり、広角電視観望ではこと座の形も十分にわかるくらいになります。昨年は19時にスタッフが一度集まって打ち合わせがあったのですが今年はそういうのは特になくて、もうお客さんも来始めているのでそのまま観望会になだれ込みます。

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観望会会場の環水公園は駅に近いかなり大きな公園で、世界一美しいと言われたスターバックがあるなど、富山の観光スポットにもなっています。駐車場もきちんと整備さえているので、観望会にはお客さんも数多く訪れます。この日は昼間から天気も良く、実際かなりたくさんの方が来てくれました。


いよいよ観望会開始

19時を過ぎるとお客さんももうかなりきていますし、スタッフの方も含めて知り合いの方もたくさんいます。結構明るいうちからM57を入れてみましたが、もう余裕で見えます。プレートソルブができるくらいの星の数が見えたら、たとえ街中であろうと輝度の高い星雲は問題なく見えます。

画面を見ながら、周りの人といろいろ話しました。今回は、電視観望に注目してくれる人がかなり多かった印象です。2016年からずっとやってきた電視観望で、星まつりなどではものすごく盛り上がっていたのですが、意外に地元の富山ではあまり盛り上がらない印象でした。今回はスタッフの方も学生の方も含めて、結構皆さん技術を知りたがっているような感じでした。

恐らくなのですが、これはSeeStar効果なのではないかと思っています。やはりあれだけ数が出てメジャーになってくると、少なくとも天文関連の方には電視観望でかなり見えるという認識が広まってきているのではないかと思います。電視観望そのものに信頼が出てきたと言ってもいいでしょうか。私自身は結局いまだにSeeStarは使ったことがないのですが、大手メーカーが本腰を入れてくれるのはとてもありがたくて、長い目で見てもとても良い傾向だと思いました。

話してくれた方の中に、県天メンバーではないけれども富山在住で天文が趣味で、このブログを一から読んでくれたというかたがいました。この長いブログを最初から読んでくれるという奇特な方(笑)がたまにいますが、とても嬉しいです。技術的な方のようで、この「ほしぞloveログ」でどのように技術を上げてきたかに興味を持ってくれていました。またお話しできればと思います。

県天に新しく加入された方とも顔を合わせることができました。自宅近くに住んでいる方で、電視観望に興味を持っているということなので、また一緒に試すことができればと思います。

さて、19時半ころからスライドを使った中国出身の方の七夕の話があります。私は聞くことができなかったのですが、大きな拍手が聞こえてきたので、面白い話だったのではと思います。


2つの電視観望の見せ方

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今回の電視観望は、2セットあることを活用してみます。まず広角電視観望で夏の大三角を見せ、そこから画面内でこと座を拡大します。次に隣のモニターに移り、こと座の端の2つの星が写っていることを確認して、その後M57を拡大して、星雲について説明します。先週の科学博物館でも同じように説明しましたが、このやり方は実際の大きさが直感的にわかってもらえるので、なかなかいいのかと思います。これまでの35mmレンズだと夏の大三角が入らずに、アプリを使っていたのですが、今回の14mmレンズはやはりかなり広角で、夏の大三角が余裕で入るので、全体からわかってもらえて、とても説明しやすかったです。

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星雲がどんなものが知らないと、どれが星雲かわからないこともあるので、
アノテーションがある方がお客さんもわかりやすいようです。

天の川は実際どうだったかというと、ずっと雲がかかっていたので、そのすきまから見るような状態でした。天の川に比べると雲は明る過ぎるので、どうしても不利になってしまいます。今回初めて試した14mmレンズですが、より広い範囲を見渡せるのは有利な点でした。その一方、広角すぎて周りの景色が入ってしまうことがあることと、このレンズは周辺減光が結構あるために、SharpCapでのリアルタイム背景補正(フラット化)があまりうまくいきませんでした。実際の画像は以下のくらいです。

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適当な枚数をスタックしているので、雲が流れているのがわかると思います。流れていない赤いシミが天の川になります。背景補正に非線形勾配除去を使っているのですが、雲などが明るすぎて飽和してしまうとこの背景補正がうまくいかなくなります。そのためゲインか露光時間を少し下げる必要があります。補正がうまく行っても、やはり周辺減光の影響を取り去ることはできずに、右上や左下が少し暗くなってしまっているのがわかります。天の川だけを見やすくするために、画面を拡大して画角を少し絞っています。これだともう広角の有利さがなくなってくるので、本末転倒になってきます。やはりなかなか最初からはうまくいかないもものです。次回、もう少し雲が少ない時に、改めて評価したいと思います。

14mmレンズで天の川が少し認識しにくかったので、途中からいつもの35mmに戻しました。下の画像が35mmで見た場合です。
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明るさはずいぶん均等になり、あぶり出しがかなり楽になります。が、当然画角は小さくなるので、ここら辺はトレードオフなのかと思います。この日の天気は悪くなかったですが、去年の方が少し良かったでしょうか。途中からだんだん雲が濃くなってきて、最後の方は天の川も見えなくなってしまいました。

県立大の学生が何人か、富山大の学生がなんと20人くらい来ていました。途中何人かのメンバーが電視観望を見にきてくれました。まずは街中で天の川が見えることに驚いていました。「観望会で説明とかどんな風にしますか?」と聞かれたので、ちょうどこの日にやっていた夏の大三角と、こと座とM57と天の川の関係とかを、七夕に交えて話すことや、天文クイズのことなどを例として伝えました。天文クイズは実際に来ていた学生さんに解いてもらいました。いつもの「月はどちらから昇ってどちらに沈むか?」というクイズで、天文部の人でさえパッと気づいた人は数人でした。もちろん、太陽がどちらから昇ってどちらに沈むかは全員知っていて、太陽が動くのは当然地球が回っているからということも全員知っていました。知識としては十分あるにも関わらず、月になると知識として知らないので答えられなかった人が多かったのですが、さすが大学生のしかも天文部です。すぐに納得して、その後の例えばベガは?と聞くと、普通に東から登り、西に沈むと妙に納得してくれてました。画面に見えている天の川と銀河の方向の関係のクイズも出したのですが、これはちょっと難しいと思われたようだったので、少し反省です。もう少しこなれた誘導を考えた方がいいかもしれません。


観望回終了

一応観望会は21時まででしたが、あまり時間は厳しくなくて、お客さんがいなくなったらやめにしましょうかというような雰囲気でした。19時くらいから始めて、かなりの人が見にきてくれ、ずっと説明していた気がします。それでも結局見せたのは夏の大三角と、こと座とベガ、天の川と、M57、あとはせいぜいM27くらいでした。ひっきりなしにお客さんが来るので、あまり種類を見せることができなかったのは反省点でしょうか。

私は21時20分くらいまで粘っていましたが、駐車場の出車ゲートが22時で開かなくなってしまうというので、ここで撤収です。片付けはほんの10分もあればすぐに終わり、片付け終わってから一通り挨拶をして、まだ盛り上がっている学生たちのところに行きました。20人くらいの大所帯なので、かなり楽しそうです。学生たちに22時にゲートが開かなくなることを伝えて、私も21時40分頃には退散しました。


まとめ

今年もたくさんのお客さんに電視観望を見てもらいました。特に天の川は、こんな街中でも見る方法があるということにびっくりしていたお客さんが多かったです。また、富山県天文学会のメンバーはもちろん、他にもたくさんの望遠鏡が出ていたので、お客さんはかなり楽しめたのではないかと思います。でもこの日もとても暑かったです...。


2024年7月20日と27日、富山市科学博物館の観望会に2週連続で参加しました。


久しぶりに観望会に参加

そもそも、コロナ拡大で2020年5月には科学博物館自体が休館となり、同時に観望会も中止になりました。その後9月に観望会が復活したものの、以前のような事前予約なしの自由参加制から予約制になり、その期間はボランティアも事前に申請して参加するという形態になってしまい、その日の天気を見て参加するかどうか決めるというような判断がしにくくなってしまいました。それからもコロナの拡大状況により観望会の中止期間が何度かあったようですが、科学博物館のイベント記録を見ると、コロナ後にやっと自由参加が再開され、望遠鏡を持って観望会に参加できるようになったのが、2023年の10月7日からのようです。

私が観望会に最後に参加したのは2020年の12月26日だったので、それ以来もうかなりの期間観望会には参加していなかったことになります。それでも科学博物館とは展覧会イベントなどの際にはちょくちょく顔を出したりしていました。


「重力」展示イベント

今回観望会に参加する気になったのもやはりイベントで、7月20日から9月1日まで特別展「たのしむ重力 ~落ちる ひっぱる そして、曲げられる♪~」というのが行われているからです。モンキーハンティング実験や振り子スネークなど、実際に自分の手さまざまな実験装置を試すことができます。

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7月27日と28日だけの特別体験ですが、大型のブランコが芝生広場に設置されました。
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ポイントは紐の長さが違うというところです。高校物理で証明しますが、振り子の周期は紐の長さのみで決まります。正確には振り子の支点から重心までの距離ですね。長さが2倍近く違うブランコなので、実際に乗ってみるとその違いがはっきりとわかります。

今回は、それぞれ10回揺らした時の時間を比べていたのですが、乗っている人の重さによらず、揺らしている振幅によらず、数えてみるとほぼ毎回長いブランコが8.3回か8.4回揺れた時に、短いブランコが10回揺れ終わります。

周期は振り子の長さのルートに比例するので、10回揺れた時の時間の比から、(10/8.3)^2 = 1.45倍くらいの振り子の長さの違いになるはずです。作るときに4.5mと2.5mにしたとのことですが、結構大雑把に測ったのでずれているかもとのことでした。4.5/2.5=1.8なので、実際にはそこまでの長さの差はないのかもしれません。

面白いのはここからです。高校物理の範囲での「周期が振り子の長さのルートに比例する」という計算は、実は「振幅が十分に小さい」という近似をしているので、もし揺れ幅が大きければ結構ズレてくるはずです。近似ではなくきちんと計算すると、揺れ角が90度になると実際の周期は近似計算の1.2倍ほどになります。同じ振幅なら長さの短いブランコの方が揺れ角は大きくなるので、周期は長くなり、10回揺れ終える長さも長くなります。なので短いブランコと長いブランコの実際の周期のズレは近似計算での周期のズレより小さくなるので、上で計算した1.45倍のズレというのは小さく見積りすぎてしまっていて、実際に作った1.8倍の長さのずれにもっと近いものと考えられます。

と、こんな近似の話も議論できれば楽しいのですが、実際に乗っているのは子供が大半なので、当然無理です。でも振り子の長さで周期が変わるということを「どちらのブランコが早く10回終えましたか?」という問いかけにすると、きちんと「短い方」と答えてくれて、わかってくる子が多いです。これを「どちらが速く揺れた?」と聞いてしまうと、自分の乗った経験から周期ではなく最下点の最高速度のことをイメージしてしまうようで、この場合の答えは大抵は「長い方が速い」となるようです。

大型ブランコ体験は7月27日と28日だけですが、その他の室内展示は9月1日までやっています。室内展示の中には、この大型ブランコのモデルになった小さな長さの違う2つのブランコも展示されています。お近くの方はぜひ訪れてみてください。また、毎週土曜日は夜から星空観察会も実施されるので、夕方までプラネタリウムと常設展示、そしてこの重力関連の特別展示を見学して、夕食を近くの吉野家で食べて、そのまま星空観察会というのがゴールデンコースです。


7月20日の観望会

上記展示に少しだけ関わったので、展示見学のついでに私も夜の観望会もというような流れで、久しぶりに参加したというわけです。

7月20日(土)の観望会はかなり条件が厳しかったです。月齢15.5日と満月なので、月以外の淡い天体はそもそも見にくいのですが、かなりの時間帯で雲がかかっていました。暗くなりかける19時半スタートですが、到着したのが19時25分頃。天気を見て雲の間に多少隙間も見えるので、とりあえず35mmで広域電視観望を出してみました。画面の中に常に雲があるような状況ですが、ベガやこと座の形は認識できます。時折夏の大三角も3ついっぺんに見える時があったくらいでしょうか。本当は広角電視観望で天の川を見せたかったのですが、雲が多すぎたのと満月が結構近くにいたので、見ることはできませんでした。FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望も試してみました。雲の合間にM57やM27を見ることができましたが、結局それくらいでした。

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隣の望遠鏡で眼視でM57を入れていたらしく、電視観望と比較をしてもらいました。でもほとんどのお客さんは眼視では認識することはできなかったようです。条件が悪かったこともありますが、やはり淡い天体を認識するのはある程度どんなものか知っていることが必要なようです。電視観望の画面を見て形を確認してから再度挑戦した人もいたようなので、その人たちはもしかしたら眼視でも見えていたのかもしれません。

途中からほとんど星も見えなくなってきたので、ASI294MCの高感度特性を利用して、夜でも景色が見えるというのを子供たちと一緒に楽しんだくらいで21時の終了時間となってしまいました。


7月27日の観望会

この日は前週よりもかなりマシです。下弦の月に近く、月の出が22時と観望会の間はまだ暗いままです。少し雲はありましたが、概ね空はひらけています。この日も結構ギリギリの19時20分くらいに到着してすぐに機材を出します。前週と同じ35mmレンズとASI294MCの広域電視観望と、FMA135+Uranus-C+トラバースで普通の電視観望です。

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準備の最中にスタッフの方から「ISSが見えますよー!」との声がかかり、みなさん建物から離れた西側の芝生広場の方へいどうします。見え始める時間がかなり正確にわかっているので「まもなく見えるはずでーす」と声がかかると、東側の科学博物館の建物の上に動く輝点が見えました。かなり明るくなって、南の空に沈むまでの数分間、その場にいる全員で楽しむことができました。

お客さんは30人くらいは来ていたでしょうか。それぞれ会場に展開されたいくつもの望遠鏡をのぞいています。私の方も大体準備ができたので「こちらで天の川が見えまーす!」と伝えると、たくさんの人が集まってきました。画面近くには子供がたくさん群がります。「ここに見えているのが天の川です」と説明したのですが、まず最初に目についたのはたくさんの動く輝点でした。子供が「これなあに?」と聞くので「人工衛星だよ、さっき見たISSと同じだよ」と答えたのですが、その時にいくつも人工衛星が映っていたので「こんなにあるの!?」と皆さんびっくりです。数えてもらうと「7個あった」との声が。この日は常に数個、7個以上映っていた時もあり、その中には実際の空で目で見えるものもあったようです。子供は目のいい子が多いですね。私はほとんどわかりませんでした。

天の川そっちのけで人工衛星でひとしきり盛り上がると、やっと天の川に話題が移ります。「おりひめ様とひこぼし様が、七夕の日に天の川を渡り合うことできるんですよね」とか話して、恒例の質問で「天の川は七夕の時にだけ見えると思う人?」と聞いてみると、何人かの子供が元気よく「はーい」と答えてくれました。子供は素直で可愛いですね。でも、画面を見ながら「ご覧の通り天の川は七夕以外でもいつも見えています。でも実際に見るためには月の出ていない夏の日に、暗いところに行くとよく見えるはずです。キャンプとか行った時に空を見上げてみてください。」と伝えると、「でもキャンプでもあんまり見えない!」との声が聞こえます。「キャンプ場でも明るいところもありますし、ライトとかを近くで使っているとなかなか見えないかもしれません。」などと、お客さんたちと会話を楽しみます。

もう一方のFMA135での電視観望ではM57を入れてみて、同時に広角電視観望でこと座付近を映し出します。さすがに街中なので、ベガは見えますがこと座の形は空を見てもなかなか分かりません。星座アプリで夏の大三角とこと座の形を見せて、大きさと位置関係を理解してもらいます。こと座の三角と平行四辺形の形が広角電視観望でもきちんと見えていることを確認してもらい、平行四辺形の端の短辺の2つの星に注目してもらいます。

FMA135とUranus-Cで見ると、ちょうどその2つの星がすっぽり画面内に収まるので、さっきの画面で見た2つの星が、こちらの画面だとちょうど見えることを確認してもらいます。この時点では、M57はすでに映っていますが、あまりに小さくて星と区別がつきません。その後、2つの星の間を拡大していくと面積を持ったM57が現れてきます。青、緑、赤とカラフルな色がきちんとついていることもわかるので、明らかに星とは違い、星雲であることがわかってもらえます。お客さんの中には、星雲が目で見えるくらいの大きさがあると思う人もいるので、実際にはかなり小さくて、しかも色がつかないので、そのまま目だけで見えることはよほどいい環境のところに行っても、まず見えないということをわかってもらいます。今回は特に大きさの比較をしたので、実際の空のかなり小さいところを見なくてはいけないということは理解してもらえたようです。

では大きな星雲を見てみましょうということで、北アメリカ星雲を見てもらいました。富山市科学博物館はかなり街の中の明るいところにあるのですが、それでも下の画像くらいにはその場で見ることができます。

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他にも網状星雲を見ましたが、さすがにこちらはさらに街中では淡すぎて、かろうじて何かあることがわかるくらいでした。

最後はお客さんのリクエストに答えて、アンタレスとM4です。低空でかなり明るい場所になります。目ではアンタレスが一つなんとか見えているくらいでしょうか。電視観望だと、この状態でもM4をきちんと認識することができます。

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ちなみに、35mmの広角電視観望でも同じ領域を見てみましたが、M4の存在は一応わかります。でもモヤっとした面積がある淡い部分くらいで、さすがに星の粒まではわからないです。

お客さんの中に中2の男の子がいました。以飛騨コスモス天文台の観望会も来てくれたことがあるということで、以前あったことがあるようです。中学が忙しくて最近観望会とかは参加できていないと言っていましたが、結構宇宙のことに詳しくて、この日もVixenのポルタを持ってきていて、アンタレスとM4に挑戦していました。

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私も覗かせてもらいましたが、アンタレスはすぐにわかるものの、M4は最後まで分かりませんでした。科学博物館のスタッフの方も同じ意見で、やはり街中だと低い空の球状星団は難しいのかもしれません。この男の子は、私の星友でこのブログにもちょくちょく出てくるMちゃんと剣道の道場が一緒とのことです。今回はこの男の子の名前を聞くのを忘れてしまいましたが、忙しくても時々は星に目を向けるのを忘れないで欲しいなと思いました。ちなみに出会った頃は小学5年生だったMちゃんも、今年もう中3になっていて、受験で道場も引退してしまったとのことです。高校に入ってまた時間ができたら、一緒に活動できたらと思います。


まとめ

富山市科学博物館はいろいろ工夫して、なかなか面白い企画をしてくれます。少し前にあった、重力波検出器の内部をプラネタリウムのドームに映すイベントなんかは完全オリジナルで、全国でも初の試みでした。今回のブランコ体験も富山ローカルなお知らせなどには掲載されていたようで、100人分の整理券が昼くらいには全部なくなってしまったとのことです。また何かあるのか、注目していきたいと思います。


この記事は「小海「星と自然のフェスタ2023」参加記: 2日目前半」からの続きとなります。




講演終了後

電視観望の講演が終わって部屋に戻り、妻に「48人も入ったよ」と報告したら「見てた!すごい!」と言ってくれました。全員が席に着くまで案内を手伝ってくれてたので、ある程度の人数は既に知ってくれていたようです。妻は元々あまりたくさんの人がきてくれるとは思ってなかったみたいで、ちょっと見直してくれたみたいです。「講演も聞いてたの?」と聞くと、案内だけしてすぐに部屋に戻ったとのこと。あとはゴロゴロしてたみたいです。

とにかく今回メインの講演が無事に終わったので、私は部屋でしばし放心状態でした。本番まではかなり気を張っていたのであまり感じなかったのですが、有料講演だったということもあり、実際にはかなりプレッシャーを感じていたみたいです。終わってから、改めて思いました。

でもあまりのんびりもしれられません。次はサイトロンブースでのデモです。18時には準備を始めたいので、程なくして講演で使った機材を一部再び持って、車で下の第一会場に向かいます。


第1会場で電視観望デモ

下の第1会場に着くと、すでにかなり暗くなっていました。必要な機材を車から持ち出して、打ち合わせで決めてあった場所に向かいます。途中、暗がりの中からサイトロンスタッフさんが私の姿に気づいてくれて、声をかけてくれました。結局少し手前に場所を移したそうです。VixenさんがPENTAXの150mmでしょうか、大型屈折を出していた場所の手前あたりに陣取ることになりました。

予報では心配だった天気も、空を見る限りかなりいいです。少しだけ雲も見えますが、昨晩よりは遥かにましでしょう。この日は土曜でメインの日なので、お客さんもたくさんくるはずで、大型の32インチのモニターと、私の方は少し小ぶりの24インチモニターを出します。32インチの方はメインのハイエンド電視観望でAskarの151PHQ。なんと150mmクラスのフォトグラフィークラスのアポです。私の方は小さいモニターにつなぎ、気軽に天の川電視観望です。手軽さと広角という、ハイエンドとは逆方向の電視観望の楽しさを伝えれればとの思いです。

天の川電視観望は準備も気軽で、三脚と自由雲台、あとはCOMSカメラに明るめ広角のカメラレンズだけです。赤道儀も経緯台さえも必要なく、当然自動導入や自動追尾さえもなくて、全部マニュアル導入で追尾なしの放ったらかしです。今回カメラはフォーサーズサイズのASI294MC、レンズは35mm F1.4の1970年台のNIKKORレンズです。F1.4だと明るい星の周りに大きくハロが出ることがわかっているので、F2.0に絞って使います。この日はほぼ満月だったので、光害防止フィルターとしてサイトロンのDBP(Dual Band Pass)フィルターを入れています。

途中、講演を聞いてくれた方も含めて、このシンプルさに興味を覚えてくれる人が多かったです。古くからカメラファンの方には、手持ちのレンズで気軽に試せそうなとことも興味を引いたようです。ほぼ満月の日に6.4秒露光一枚撮りでこれくらい見ることができます。フィルターのせいもありますが、SharpCapのリアルタイムフラット補正がかなり効いています。この機能、以前はベータ版の身についていましたが、現在は4.1の最新版の正式機能として採用されています。
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天の川電視観望を見せている間に、サイトロンスタッフの方が151PHQで導入まで準備してくれています。この時点でまだ開始予定時刻の19時前だったのですが、少し雲が多くなってきたので、本番中に曇った時のためにM27をしばらくライブスタックさせておいて、予備画像として残しておくことにしました。でもこの時点ですごくて、途中の高々十数分のライブスタック画像で画像ですでに亜鈴状星雲本体の周りにある、蝶の形をした羽の部分がうっすらですが出てきてしまっています。
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さて、19時くらいになりお客さんもかなり集まっているので、改めて今回のコンセプトを話します。
  1. まず特徴は、ハイエンド機材を使うことで電視観望がどこまで行けるのか、その一端を見て頂きたいこと。
  2. その後の簡易画像処理で、その場で見るということに主眼を置いて、どこまで綺麗になるのか示してみようというものです。
具体的には、気軽にトータル15分程度のライブスタックで、見たままの画像を、フォーマットも気軽に8ビットのPNGで保存し、Photoshopでこれも気軽にほぼcamera RAWフィルターだけで5分程度で画像処理をしたら、どこまで出るのかのデモンストレーションということです。

最初はらせん星雲にしました。上下に雲がありますが、星雲本体あたりはちょうど雲が開けていて、10分程度なら露光できそうです。ここで151PHQならではの問題が。なぜかライブスタックがうまくいきません。どうやら、微恒星が点像で鋭すぎてノイズと見分けがつかなくて、星認識がうまくいっていないようです。これはライブスタックのノイズリダクションをオフにすることで、無事にスタックし続けることができました。私自身もこんな経験は初めてで、ハイエンド屈折の能力の一端を見た気がします。このやりとりを見ていたお客さんの中にはかなり驚いていた方もいたようですが、サイトロンの方が「性能もすごいですが、価格もすごいです」と今月発売開始された際の価格を伝えるとそちらも「オオーっ」という反応が。

曇りになるまでの十数分、ライブスタックを重ねた画像をPNG形式で保存して、
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それをPhotoshopで画像処理します。それでも保存時でストレッチまで済んでいるので、そこそこ出ています。背景を少し黒く締めて、彩度を上げて色を出します。流石に虹彩のような放射状の線は出ませんでしたが、十数分の露光に5分程度の画像処理で仕上げただけでそこそこ見える画像になったのは、やはり151mmの口径の威力もあったのかと思います。
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自宅に帰ってから改めて画像を見ましたが、さすがに5分程度の画像処理だとまだまだ持っている情報を引き出せていない気がしました。始まりの画像は同じ8bitのPNGですが、30分程度時間をかけて、ソフトには制限をかけずにもう少し炙り出してみました。本体周りの淡いところと、本体の構造はもう少し出せたのかとと思います。
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続いて、網状星雲です。網状星雲の「い」の字の形のうち、今回は明るい星が入っている東側のNGC6992-5の方です。内側の淡いところがどこまで出るかも興味があります。ちょうどはくちょう座方向はこの時十分に晴れていたので、焦ることはなくライブスタックで十数分の露光をかけました。まずはライブスタック直後です。
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かなり淡いですが、現場で5分程度でPhotoshopで画像処理をしたものです。
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これだけでもかなり出てきたのがわかります。改めてもう少し時間をかけて処理したものが以下です。
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さらに隠れていた淡い部分が出てきたのかと思います。これもあくまで8bitのPNG画像で簡単に見たままで保存した画像から処理しています。それでもこれくらいは情報が隠れていることがわかります。

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今回特に思ったことは、画像処理に対する需要がかなりあるのではということです。凝った画像処理はキリがないのですが、もっと基礎的な最初のとっかかりというか、今後扱うことになる本流とはどういうものかという紹介とか、例えば今回なら電視観望で得た画像をどう処理するべきかといったような、初心者がせっかく撮った画像をいかに鑑賞するくらいまで仕上げるかといったことです。画像処理も慣れてしまえばいろんな方法があることもわかってくると思うのですが、最初のうちは何から手を出していいのかわかりにくのかと思います。もしかしたら、来年の講演はこういったことを話せればいいのかもしれません。


片付け

21時近くになると、空もだんだん曇ってきました。最後まで見ていてくれたお客さんに今回のデモのまとめを話し、解散となりました。私も片付けを始め、21時半頃には第1会場を後にします。

部屋に戻る前に上の方も見ていこうと、アストロカーのところに寄ってみると、ちょうど最後のお客さんが終わるところでした。そのまま主催者のSさんとお会いすることができ、講演に招待していただいたお礼と、来年どうなるのかなどを少し話しました。

その後、第2会場に立ち寄って、やっとRYOさんとお話することができました。今回の講演では私のが電視観望の基礎、RYOさんのが電視観望の応用というような、連動企画のような状況になっていました。RYOさんとは準備段階でも連絡を頂くなど、いろいろお世話になっていました。今回の講演は二人ともかなり盛り上がったと思うもで、RYOさんとはいつかなにか合同で企画してみたいと思います。あいにく期待のRYOさん自慢のシステムGOZENSAMAは雲が出てきて稼働するところは見えなかったですが、RASA8を使ってリアルタイム電視観望の流れを汲むということで、原点復帰で非常に興味深いです。

この時点でかなり寒くなってきていて、22時15分くらいだったでしょうか、部屋に戻りちょうどウダウダしていた妻も誘って、そのまま温泉へ。どうも聞いてみたら、妻も大1会場まで見にきてくれていたみたいです。一角だけ人だかりができていたと言っていました。

温泉が冷えた体を温めてくれました。温泉を出た後の恒例のアイスを食べながら、たまたま同じ時間になったサイトロンスタッフさんと、画像処理の反応の大きさとかについて話していました。

部屋に戻って、初日朝にかった菓子パンをひとつだけ食べて(結局この日の夕食はこれだけでした)、疲れ果てて寝てしまいました。でもかなり満足した疲れでした。


3日目

朝ちょっとゆっくりめに起きて、8時頃から朝食に。休日ということもあり、子供づれの家族もたくさんいて、かなり混んでいて2階の空いている席に案内されました。昨晩はほとんど何も食べてなかったので、朝はやっとお腹が空いてそこそこ食べることができました。でも調子に乗ってまた食べ過ぎてしまい、この日も昼食抜きとなってしまいました。

朝食後は荷物をまとめてチェックアウトです。その後に、第1会場に少しだけ寄ってみると、エーデルワイス内の片付けはすでに終わっていて、キャンプ会場も撤収をしている方が多かったです。会場に残っていた何人かの方と挨拶をして、星フェス会場を後にします。

帰り道は、来た時の佐久経由ではなく、松本経由にしました。来るときに通れなかった、メルヘン街道を行ってみます。昨年より開催時期が一月近く早くなり、雪や道路が凍る心配もないので、一度走ってみたかったのです。でも、昨年までに実際通ってきた人から聞いていたのは「かなりの悪路で、あまり使いたくない」という声です。砂利道か何かなのかと想像していたのですが、実際通ってみたら全然そんなことはなく、多少クネクネしているものの、全然普通に通れる道です。アスファルトも少し凸凹していたところもありますが、富山の地元の山の狭い道とかと比べたら全然まともでした。しかもちょうど紅葉シーズンです。下の方はまだ少し早く、最高高度近くはもう葉っぱが散っているような状況だったので、高さに応じて紅葉度合いが楽しめ、とてもきれいでした。道には宣伝の看板なども皆無で、頂上あたりは尾根沿いにあたるのか、クネクネ道も少なく、昔海外にいた頃に走った道を思い出しました。

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メルヘン街道も頂上を越えどんどん進んでいくと、高度もだんだん下がり紅葉をピークから早い状態へと逆戻りしていきます。別荘がが出てきて、レストランとかの店も出てきて、普通の民家も出てきて、最後諏訪の市街地に入り車の渋滞が始まると、とうとうリゾート気分も終わりです。

高速は諏訪ICから松本ICまでで、大した距離ではありません。行きとの高速代の差額は5000円位、距離が100km近く短くなるので、ガソリン代の差額が1500円くらいでやはり無視できない額になります。高速は少しの間なので、諏訪SAに入り、少しお土産を買い、松本で高速をでてすぐに給油。そこから下道なのと、眠くなってしまったので妻に運転を代わってもらい、無事に帰宅しました。


妻の感想

恒例の妻の意見です。今年はどうでしたでしょうか?
  • いつもより1ヶ月近く早いので、紅葉が楽しめてよかった。
  • お風呂は源泉でいつもながらよかった。23時の終了間際だと星を見ていた人がたくさん一度に来るので、混んで大変かもしれない。
  • 去年ほど(自分が)ドタバタしていなかった。初日の夜に一緒に(私Samと)食事ができたからかもしれない。前回は何か行事(古スコ懇親会)があって一人で夕食だったからかも。
  • 何もしない贅沢が素晴らしく快適で、だんだん海外リゾートっぽいイメージになってきた。
  • ホテルの対応もかなりよかった。お客さんが大人数でもドタバタしていなかった。(これは私も思いました。昨年も一昨年に比べかなり改善されたと思いましたが、今年は不満が全然なかったです。)
  • ウェルカムスイーツが想像より本格的だった。
  • やはりここはガトーキングダム(日本語で「お菓子の王国」?)の名に恥じない夢にまで見た「お菓子の城」だった。でも食べすぎた。さすがシャトレーゼ。(妻は普段からシャトレーゼの大ファンです。)
  • お腹をこなすのに、美術館まで散歩で往復した。適度な距離で楽しかった。
  • 佐久ICからの、高い所を走る天空の道のような高速道路(実際には無料の道路)も良かったが、帰りの諏訪へ向かうメルヘン街道もすごくよかった。
とのことです。どうやら今年はほとんど不満もなく、いつもの辛口批評も口を潜めています。見ている限りかなり満足していたようでした。星に関してほとんど感想がなかったので、星以外で十分楽しんでいたということでしょうか。あまり相手ができなかったので、私としては勝手に楽しんでくれていたようでありがたいのですが...。


まとめとお礼

最後にですが、今回の星フェス、私としてはとても充実していて、十分に楽しむことができました。講演とデモがあり、準備なども含めると時間が少し足りないくらいで、もっと現場をゆっくり見て、他の方ともたくさんお話ししたかったというのも少しありますが、多分体力的にもほぼ限界かと思います。

会場では至る所でボランティアさんたちが、会場の設営準備から星フェスの役割分担までたくさんのことをこなしてくれていました。本当にありがとうございました。主催のテレスコ工房のSさんには、講演のお誘いから、星フェス開催までの相談など、大変お世話になりました。今回の星フェスは、これまでとは違ったエーデルワイスという新たな会場で、特に寒い夜など相当快適でした。まだまだこの星フェスは進化し続けるのではと思わせてくれました。今年も開催までにおそらく相当な困難がたくさんあったかと思います。それでも3日間、楽しい星フェスとなったのは、Sさんはじめ、スタッフの方々、ボランティアの方々のお力のおかげかと思います。心から感謝しています。小海の星フェスは、今では完全に日本の大型星まつりの一翼を担っています。できることなら来年以降も続いてほしいと、心から思います。私自身も来年以降も微力ながらも協力できればと思っています。

とにかく楽しかったー!!!


 



2023年8月12日、長野県大鹿村で星空観望会がありました。志賀高原で望遠鏡操作でお世話になったKさんを中心に、村をあげて盛り上げようとしている観望会です。


名古屋から大鹿村へ

8月11日(金)は山の日で休日。前日の木曜のうちに、仕事を終えてから実家の名古屋による移動し、金曜は母を連れて少し早いですがお盆のお墓参りです。その帰り道、そのまま母を連れて名古屋で唯一の天文ショップ「SCORPIO」に行ってきました。天文ショップなど初めての母は、展示されている望遠鏡の数とその値段に圧倒されたようです。店長さんが母にPSTで太陽を見せてくれて、はじめて見たプロミネンスに驚きの声をあげていました。おしゃべり好きの母は、店長さんとも散々話した後に、岡崎から来たというお客さんとも話だし、何でこんな趣味にのめり込むのか色々聞いていました。最後は母と私と、そのお客さんの3人で奥のサイトロンショールームに行って、そこでも機材を見ながら3人で色々話していました。私は最近は天文関連のアイテムはそこそこ揃ってしまっていて、この日もそこまで必要なものもなく買い物せずに帰ってきてしまったので、店長さんには大変申し訳なかったのですが、一番最初に天文機材を購入してとてもお世話になったショップなので、名古屋に帰った際はできる限り顔を出そうと思っています。

次の日の12日の土曜はどうするか迷っていたのですが、せっかく名古屋にいるので、ここからなら大鹿村に行くのもそこまで大変でないと思い、朝10時頃に実家を出て小牧インターから中央道に入り、大鹿村に向かうことにしました。 

ここ10年は富山の田舎暮らしで、高速の渋滞というものにあまり慣れていないので、少しの渋滞でも大渋滞に感じてしまいます。お盆だからでしょうか、中津川から恵那あたりまで断続的に渋滞でした。その後は順調に高速も流れて、目的の松川インターを13時頃に降りました。調べた限りコンビニがインター近くの松川町内にしか無いようなので、最初のローソンで念のために晩ごはん(冷やし中華)まで買い込み、クーラーボックスに詰め込みました。昼ごはんはどうしようと調べてみると、大鹿村の道の駅が評判がいいようです。大鹿村はインターを降りてもまだ20km以上奥になります。道の駅のレストランは14時半に閉まってしまうそうなので、道を急ぎます。


大鹿村で観光

14時になる15分位前に大鹿村の道の駅に到着。すぐにレストランに向かいます。

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お目当ては1日限定20食という鹿肉のステーキです。まだ残っているようで、1500円とランチとしては少し豪華ですが、早速注文します。

車で走っていても、大鹿村に入ったあたりから景色がとても綺麗なことに気づきます。鹿肉ステーキができるを待っている間に、レストラン内から外を見ると、雄大な景色が広がっています。そこから見える、下の写真の断崖になっているところの下が、今日の観望会が開かれる西山公園になります。

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出てきたものがこれです。

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なにこれ!めちゃくちゃ美味しいです。鹿の肉というのでクセがあるのかと思っていたのですが、大鹿村名物の塩だけのシンプルな味付けで食べても、全く臭みが感じられません。すごく上質な赤身で十分ボリュームのあるステーキです。付け合わせの豆腐も濃厚な味わいです。道の駅でこんなジビエ料理が食べられるなんて、これだけでもう来た甲斐があったというものです。

この道の駅でもう一つ頼んだのが、これも大鹿村の名物のブルーベリーを使ったジェラートです。

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こちらもブルーベリーの味が濃厚で、甘味も控えめ。ものすごく美味しかったです。実はジェラートはもう一種類あって、鹿肉ステーキでも付いてきた大鹿村名物の塩を使ったミルク味のものです。この道の駅のショップは18時まで空いているということらしいので、また後から来て塩ミルクジェラート食べようと思っていたのですが、結局観望会が始まってしまうと時間がなくて来ることができませんでした。無理してでもこの時に食べておけばよかったと後悔しています。

道の駅にも今回の星空観望会のポスターが貼ってありました。これを見てきてくれるお客さんもいるのかと思います。

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お腹もいっぱいになったところで、せっかくなので車で5分も行かないくらいの、すぐ近くの中央構造線博物館へ見学に行きます。
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庭も建物の中も石で一杯です。ここでは中央構造線とは何か?この博物館が中央構造線の上に立っていることなどがわかります。そして今日の観望会会場の上の、大きな断崖ができた訳などを知ることができます。私は地学系はあまり詳しくないのですが、地学好きなひとにはたまらない博物館なのかと思います。


観望会会場の西山公園へ

一通りの観光も終えて15時前、そろそろ集合時間に近くなってきたので、観望会会場の西山公園に移動します。と言っても、これも車で5分くらいなので、すぐ近くです。坂を上がって公園に到着。ちょうど開会式が始まろうとしているところでした。主催者のKさんがすぐに私のことに気づいてくれましたが、開会式に水をさしてしまったようで申し訳なかったです。

私もそのまま開会式に合流、Kさんはじめ、村長さんでしたでしょうか、何人かの方の挨拶があったのですが、実はKさんは仕事を退職してからの移住組で、村会議員さんになられたとのこと。外から来て議員さんになるというのはよほど信頼されないとダメなはずです。そのKさんが中心となってやられている星空観望会は、村を挙げて力を入れている行事なのかと思います。

そもそもこの観望界の目的が、大鹿村の人たち、特におっしゃっていたのは60人くらいる子供達に見てほしいということでした。その熱意に応えて、全国からアマチュア天文家が集まってくるのかと思います。そのため、お客さんが来るまでは、久しぶりに顔を合わせたアマチュア天文家同士の同窓会のような雰囲気です。私も知っている方が何人もいましたので、すぐに溶け込むことができました。

そんな中、久しぶりにお会いしたマリーチさんと長話しをしてしまいました。なんでもマリーチさんは

「理論武装してからでないと、なかなか機材を触ることができない」

そうです。私なんかは全く逆で、

「とりあえず一通り触ってみてから、そこからマニュアルを読んだりします」

とか話しました。

「そうするとどこがわかっていなかったか、あと、マニュアルといえど完璧じゃないとわかって、マニュアルに書いていない機能があることもよく気づいたりするんですよ」

と続けて話しました。実際にその後マニュアルで気づかされたことや、調べたことをもとにさらに機材を使い込むのですが、やはりこの繰り返しのプロセスが大事なのかと思います。マリーチさんは

「昔CADで設計とかやっていた」とのことですが、「今はPCが苦手で計算機工学を勉強してからPCを触ろうと思っている」

ということでしたが、話をした後は

「帰ってからすぐにPCも今まで触っていなかったカメラとかも、試してみる」

と仰っていました。よく考えたらいままでマリーチさんとは何度も会っているのですが、長く話したことはなかったと思います。今回はとてもいい機会でした。

会場は着々と準備が進んでいます。ドブソニアン望遠鏡だけでも10台近くあったのではないでしょうか。

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この観望会はポスターの下の方をよく見ると書いてあるのですが、「気ままに星空観望仲間」の方達が中心メンバーとなっています。Kさんもその中のメンバーだそうです。眼視に力を入れている方が多いとのことで、このドブソニアン望遠鏡の充実ぶりも納得です。

途中様々な方から、ミニトマト、枝豆、天ぷら饅頭、鹿肉焼き、オレンジジュースなどたくさんの差し入れがありました。差し入れをつまみながら、天文仲間と話して過ごす時間はとても貴重なものでした。

私の方の機材はというと、電視観望が2台、星座ビノが8台体制です。

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電視観望はどうしてもモニターが明るくなるので、眼視の邪魔になることがあり、車を影にメインの場所とは少し離れた場所に設置しました。といっても入り口から一番近い場所になるので、お客さんには目につきやすかったと思います。

暑かった太陽も西に見える断崖の下に沈み、やっと涼しくなってきました。
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星空観望会開始!

その後、徐々に空も暗くなってくると、お客さんらしき方たちの姿がポチポチと見え始めます。まだ雲が多かったのですが、星座ビノを使うと一番星で西の断崖の少し上の雲の合間にアークトゥスルが見えました。

「星が見えますよー!」

と声を上げると、続々とお客さんが集まってきます。すかさず、35mmレンズとASI294MCで広角の電視観望でも星を映し出します。電視観望は星はもちろんですが、雲もはっきり見えるので、画面を見てもらって雲の形を確認してもらって、実際の空でその雲の位置を確認してもらって、星座ビノで見てもらうと

「見えたー!!」

という声が随所で上がります。そのうちに肉眼でも見える人が出てきます。

その頃にはベガも見え始め、電視観望ではベガだけではなく三角形と平行四辺形を映し出し、こと座の形を認識してもらいます。この時間帯は星座ビノがとても楽しいです。「星座ビノだとこと座の形がわかりますよー!誰が一番早く見えるでしょうか?」とかいうと、皆さん競争で見ようとしてくれます。しかもこの日は曇りがちの空なので、星座ビノの威力がさらに増します。薄い雲越しなら目では見えない星も正座ビノだと見えることがあります。

さらに時間が立つと、電視観望で雲の間や雲ごしにものすごい数の星が見えてきました。目で見るだけだとほとんど何も見えない状況でも、高感度カメラの力を借りるとちょっと想像できないくらいの星が隠れているのに皆さん驚かれます。それでもこの日はあいにく天気で、唯一まともに見せることができたのが、南の空がいっとき雲が薄くなった時にライブスタックしながら放っておいた天の川です。

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雲が出ていましたがさすが大鹿村の空、天の川の濃淡がすごいことになっていて、しかもアンタレスのカラフルタウンの色まで出始めています。左の方にはM8とM20もはっきり写っています。6.4秒で86フレームのスタックなので約10分ですが、その一方でスタックに使われなかったものが157フレームあるというので、途中から雲がひどくなってきたのかと思います。ライブスタックは悪い状況だとスタックするのをやめる(星がみえないので位置合わせができないと言った方がいいかも)ので、こんな状況でも適度にいい画面を作ってくれて便利です。

その後、星雲用の電視観望も準備しましたが、とにかく星が出ていないので初期アラインメントに苦労しました。アライメントには持てる限りの手段を駆使したのですが、少し時間を食ってしまい、星が見えている時間を逃してしまってもったいなかったです。

それでもこの手法は、かなり曇り空でホントに極一部だけ星が見えている場合にもかなり有効で、せっかくなので手段を書いておきます。以下のような手順になります。
  1. 初期アラインメントで、適当な見えない星を導入。
  2. 初期アランメントを終了せずにマニュアルでどこか少しでも星が見えるエリアに適当に移動。
  3. SharpCapのプレートソルブの4つのオプションの一番下の「オフセットだけを合わせる」で正しい位置に持ってくる。
  4. 星は見えなくても正しいと思いそこで初期アラインメントを完了する。
これで、自動導入をするときちんとターゲットに移動するはずです。架台の水平がキモですので、水平だしはきちんとするようにしてください。この原理については、別途ブログ記事を準備しているので、詳しくはそちらで解説する予定です。

この方法で、今回は唯一M16だけ入れることができ、一部のお客さんに見せることができましたが、再ライブスタックではM16は雲で見えなくなってしまいました。その後も晴れることはなく、何も導入することはできなくて、最後21時半頃には雨が降ってきてしまいました。


泣く泣く撤収

流石に雨ではどうしようもないので、機材はすぐに撤収です。片付けながら、トランクのドアを屋根がわりにお客さんと話していたりしたのですが、ちょうどお隣に車を泊めていたギルモアさんと雨の中かなり長話してしまいました。観望会の最初の頃お客さんがたくさんいた時に、色々会話しながら、ときにはクイズ形式で天の川は何かとか、なぜ星が集まっているのかとか、夏の天の川と冬の天の川と我々がいる銀河との位置関係とか、特に子供達に考えてもらっていたことが話題になりました。私は観望会では電視観望で周りに人が囲むように集まってくるので、こういったお話でお客さんと互いにやりとりしながら、進めていく形式をよくとります。でもこの方式は望遠鏡を見るために一列に並ぶような形式だとちょっと難しいので、ギルモアさんの目には珍しいやり方だと写ったのかもしれません。こんな観望会のやり方だとか、来年はどうなるかとか、雨の中ずっと話していて、とても感慨深いものになりました。

こんなふうにかなり広い地域から集まるアマチュア天文家同士で交流できる大鹿村の観望会は、地域の観望会としては非常に珍しいものかと思います。とても雰囲気がいいので、今後もKさんを中心に続いていけばいいなあと実感しました。

22時過ぎでしょうか、雨も止まないので一旦車の中に入りやっと夕食です。といっても来る途中のコンビニで買ってきた冷やし中華ですが、お腹が空いていたのでおいしかったです。観望会の時は暗くなる途中も楽しい時間なので、早めに食事をとっておくか、終わってから遅めの夕食にするかのどちらかですね。この日は雨だったのでまだましで、晴れていたら夢中で、多分夜中過ぎの夕食になっていたかと思います。

食事を終えて少しのんびりしてから外に出てみると、雨は上がっていて一部に星も見えていました。一番見えた時で、天頂付近に天の川「らしき」ものが確認できたのが最後で、また曇ってしまい、最後は会場全体が雲の中に入ったような状態になってしまいました。

23時40分くらいだったでしょうか、ここで会場を後に、富山への帰路につきました。そのまま中央道に入り、松本インターで出てから安房峠越えのルートを撮りました。自宅に着いたのは午前4時前くらいで、やはり名古屋から大鹿村に行くよりは少し遠いです。自宅到着後は、流石にそのまますぐに寝てしまいました。

Kさんはじめ、会場にいらした皆様、とても雰囲気の良い観望会で、初参加にもかかわらず私もすごく楽しむことができました。富山からだと少し遠いのですが、時間が許すならまた来年以降も参加したいと思います。本当にありがとうございました。


エピローグ

今回の大鹿村観望会は天気が良ければペルセウス流星群が見えたはずです。極大日は次の日の13日で、一旦富山の自宅に戻り、昼から飛騨コスモス天文台に行きました。

ドームのスリットドアが動かなくて故障していたので
、交換モーターを持っていきました。無事に交換でスリットが動くことが分かったのですが、まだ開閉スイッチがうまく動かないという問題が残っているので、これは次回以降に直すことに。肝心の天気が全くダメで、星一つ見えませんでした。光っているのは雷ばかりで、飛騨市で開催れている花火大会の光がちらほらくらいでした。途中雨も降ったり止んだりして20時半ごろまでいましたが、雨も本降りになってきて流石に諦めて解散となりました。

帰り道もずっと雨で、富山だったらまだ見えるかと思いましたが、自宅も雨でこの日は諦めました。よく考えたら、飛騨コスモスで星も何も見えなかったのは初めてのことで、とうとう晴れ男の名も地に落ちてしまいました。

台風も近づいてくるようです。今夜は自宅でもしかしてとも思っていましたが富山は厳しそうです。今年はペルセウス座流星群は厳しそうです。


2023年8月4日(金)、富山の環水公園で「とやまスターウォッチング」がありました。

コロナ前までは毎年開催れていましたが、平日開催ということもあり、これまで参加したことはなく、今回が初めての参加となります。


平日の観望会

この日は金曜。平日なので、仕事が終わってからの参加になります。18時集合ということで頑張って早めに職場を出ますが、距離もあるのでさすがに間に合いません。結局18時半過ぎに会場に着きましたが、 19時には機材持ち込みした人向けの説明会があるというので、すぐにセットアップを開始します。幸いなことに、まだ機材搬入用に確保してある駐車スペースも残っていたので、観望場所のすぐ近くに車を駐めることができ、何度か車と行き来するのも楽でありがたかったです。

今回の機材です。
  1. 天の川を見るための、NIKKORの35mm 、F1.4のレンズとASI294MCで広角電視観望
  2. 星雲星団などのための、いつものFMA135+Uranus C+AZ-GTi
  3. 子供に解放するSCORPTECHの屈折
  4. 星座ビノを4台
と4種体制です。さらに、外部モニターをつないで対面からも見えるようにしています。ただし、PCは2台に対してモニターは1台なので、随時見栄えの良い方を切り替えることになります。

メインの天の川広角電視観望については、前回の記事で詳しく説明しています。




セットアップ

機材準備は順調に進み、まだ明るいですが星が見え始めます。肉眼ではアークトゥルスが最初でしたでしょうか。星座ビノではすでに他の星もたくさん見えるので、何人かの方には試してもらいました。また、肉眼でベガが見えるか見えないかの状態でも、広角電視観望ではベガを含む、こと座の形まではっきりとわかります。

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程なくして19時過ぎになります。機材設置者向けの説明会が始まります。コロナ前までは例年200人ほどのお客さんが来ていたとのこと。すでにお客さんと思われる一般の方もちらほら来始めている様です。

周りを見渡すと、望遠鏡がズラーっと並んでいます。全部で17台はあったとのことです。
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中央右に見える大きなドブはかんたろうさんの45cmです。

目玉の一つがPENTAXの口径150mmの屈折とMS-5でしょう。鏡筒だけで32kg、赤道儀は100数十kgだとうのことです。大きいです。
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学生さんの参加もありました。富山県立大の天文部と、富山大の天文同好会です。県立大の学生は先輩が組み立てたという自作のドブソニアンを、富山大の学生はVixenの鏡筒とタカハシのFC-76を出していました。若い人が参加してくれるのはいいですね。

富山大の学生さんがVixenの赤道儀で導入がうまくいかないと悩んでいたのですが、今度一緒にやれたらという話になりました。いまだに一度もうまく自動導入できたことがないとのことです。名刺を渡しておいたので、ぜひとも連絡待ってます。


観望会開始

説明会終了後は、観望会の始まりです。たくさんの人が来ていましたが、望遠鏡の数も十分にあったので、ストレス無く見えていたのではないでしょうか。夕方少し雲があったので心配だったのですが、観望会ちゅうは見るものに困ることがないくらいは晴れてくれていました。19時半からはスライドでの星の解説があり、そちらも盛況だったようです。

自分の機材に関してですが、まず天の川は大成功。富山なら街中でも全く遜色なく見えることがわかりました。この日は雲も出ていましたし、透明度は全く良くなかったので、まだ余裕がある感じです。

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これまで天の川を見たことがない人も多く、「初めて見た」と言う人や「暗いところでしか見えないと思った」という感想が多かったです。

外部モニターを追加して対面で見えるようにしたこともかなり効いていて、特に大人数の観望会ではお客さんも見やすくなると思いますし、説明もしやすくなります。ただし、天の川を表示していても天の川と認識してもらえるわけではなく、きちんと説明しなくてはならないと思いました。天の川を見たことがある詳しい方はすぐに「おおー」となるのですが、そもそも天の川を見たことがない人には「このモジャモジャしている背景が天の川です」というように説明する必要があることを実感しました。もっと広角のレンズを使っても良いのですが、同時に射手座あたりの星雲の認識までしようとすると、35mm+フォーサーズくらいが限界の気もしました。

星雲用の電視観望ですが、(説明会開始前の)肉眼で星が見えるかどうかわからないくらい明るいうちからM27が見えたり、最初絶好調だったのですが、途中AZ-GTiが動かなくなってしまいました。なんのことはないバッテリー切れで、そういえば志賀高原以来バッテリーを替えずに自宅でも何度か試していたのに、電池交換のことをすっかり忘れていました。予備バッテリーは常備しているので、交換でことなきを得たのですが、時間を食われてしまって見せる方があまり充実しなかったので反省です。

ちなみに電池が切れるとWiFiはまだ繋がっているのですが、まずはモーターが全く動かなくなります。繋がっているのに動きに反応がなくなるときは電池切れを疑うべきです。というより、観望会前は電池交換くらいしておけってことっですね。

星雲の方は画面を残すのも忘れてしまっていたので、オートセーブで残っていたものだけ載せておきます。実際に見たものは大したことがなくて、M27、M57、北アメリカ星雲くらいで、今回は天の川の方が完全に主役でした。

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長時間放っておいたものなので、画面が回転してしまっています。

さらに、今回1番の失敗はその場で使ってもらうSCORPTECHでした。電視観望2台体制で、それに加えて2穴ファインダーの説明をするのはちょっと厳しかったです。それよりも、途中から経緯台の水平方向の粗動が噛んでしまったようで全く動かず、微動しかできなかったのが致命的でした。その微動もかなり固くて、最後は微動ハンドルの取っ手の部分がもげてしまい、操作不能になってしまいました。子供もたくさん来ていて、使いたさそうにしていたので、とても申し訳なかったです。

経緯台は自宅に帰ってからすぐに修理しました。水平方向の固定ネジを固く閉めすぎていたのが原因で、壊れた微動ハンドルは手持ちのものと取り替えました。元の値段が星まつり特価で、子供たちに壊すくらいにまで使い込んでもらえば本望と思っていて、今後もまだまた活躍してもらう予定です。

途中、Kenkoの入門機のSKY WALKER SW-0を持ってきた方がいました。使い方がわからないとのことでしたが、残念ながらアイピースが付いていませんでした。アメリカンサイズならまだなんとかなったのですが、SW-0の場合は1インチアイピースなので手持ちもなく、どうすることもできませんでした。

望遠鏡を持っていても使い方がわからないとう方も多いと思うので、自分の望遠鏡を持ち込んで、詳しい人が使い方を教えるということを主においた観望会とかがあっても良いのかと思います。これは今回のような県や市がやるというよりは、やはり我々のような市民同好会的なところが企画するのが良いのかと思います。もしくは科学館とかでしょうか。


観望会終了

今回の観望会は21時までなので、あっという間に時間は経ってしまいました。機材のミスで時間を食ってしまうのは致命的なので、これからもよりシンプルで安定な構成と、事前の機材チェック、あと欲張って機材を出しすぎないことを心がけたいと思います。

機材の片付けもみなさん順調で、21時半前にはほぼ全ての機材が片付けられれていて、私も21時半には会場を後にしました。22時には駐車場が閉まってしまうそうです。

個人的には結構失敗も多い観望会でしたが、それでも多くのお客さんと話せたり、県天メンバーや学生さんたちとも話すことができ、楽しく過ごせました。


追記:「スターウォッチング」という単語

ついでに調べてたんですが、 star watchingっていう英語は日本以外にほとんど見つけることが出来ませんでした。英語ではstar gazingが一般的なようですから、star watchingと書くのはおそらく和製英語です。日本でもスターゲイジングと呼ぶことも少しはあるみたいですが、スターウォッチングは環境省でも使っているので、こちらのほうがはるかに一般的なようです。誰かが最初にスターウォッチングと名付けたのか、自然発生的に定着したのか、初めてこの単語が出てきたのはいつくらいのことなんでしょう?

アマチュア天文業界には他にもまだまだ和製英語がたくさんありそうです。例えば私も最近使いましたが「ノータッチガイド」とか。海外の単語にこだわらずに、日本語として伝わればいいということかと思います。

富山の街中で観望会があり、できることなら天の川を見せたくて、広角の電視観望で見せることができないか、前日に自宅で練習してみました。


天の川のための広角電視観望

富山県主催のスターウォッチングがあるのですが、今回広角電視観望を使って天の川をお客さんに見せることができないか考えてみました。前日の夜に自宅で練習してみました。

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十分な広角なので、PCの画面を見ながらの手動での導入です。

試した機材のセットアップを詳しく書いておきます。
  • 望遠鏡代わりに1970年台の古いNIKKORレンズの35mm、F1.4、これを2.0に絞って使用しました。F1.4だと明るい星にハロが出てしまうので、1段だけ絞っています。これと、後述の光害防止フィルターでハロはほぼ抑えることができました。
  • カメラは広角狙いでASI294MCです。気軽に操作したいので冷却とかは無しです。ホットピクセルについてはSharpCapの「ダーク補正」の「Hot Pixel Removal Only」を選び、簡易補正で済ませます。
  • フィルターはQBP IIIを使用しました。天の川なので色再現はあまり意味がないですが、それでも色バランスが多少難しくなるQBP IIIで、天の川っぽい色にすることは十分に可能なようです。
  • 三脚は普通のカメラ三脚に自由雲台です。広角なので完全マニュアル導入。自動追尾も無しです。

結果としては下の画像のように天の川を十分に見ることができました。6.4秒露光で、ライブスタックで17枚加算。総露光は2分弱の109秒。この程度で天の川の形まではっきりとわかります。

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小さいですが、M8、M20、M17、M16などの星雲もハッキリと見えています。星雲でなく、普通の雲の流れも見えているので、多少雲があってもなんとかなりそうです。

ポイントは、これくらいの広角でもSharpCapのライブスタックが余裕で機能し、時間を追うごとに天の川がはっきりくっきり出てくるところです。ただし、それらしく見せるのは少しコツが必要そうです。メモ程度ですが書いておきます。
  • カラーバランスはオートだと少し赤が強過ぎたり、青が弱すぎたりします。ライブスタック時の右側のカラーバーで微調整するといいでしょう。
  • 明るさもかなり微調整が必要かと思います。特にオートストレッチの効きをよくするために、β版のSharpCap、バージョン4.1.10931を使い、「背景減算」を一番下の「低周波」か、一つ上の「非線形勾配除去」を使います。これで画面がフラット化されます。その上でライブスタック上でオートストレッチを使うとより淡い光量の差をあぶり出すことができます。それでもさらに微調整が必要で、少しだけ左2本の線の間隔を広げて、最後右パネルのヒストグラムで見た目でいいくらいに仕上げます。

上の通り、街の中心からは少し離れている自宅では天の川を余裕で出すことが出来ました。ちなみに、自宅がある場所では年数回透明度のすごくいい日に天の川が薄っすら見えることがあるくらいです。でもこの日はカスリもしないくらい、目では天の川は全く見えることはありませんでした。

ついでにもう一枚、屋根の横の北アメリカ星雲です。35mmの広角ならではで、自宅と星雲が同時に見え、リアルタイム観望感が味わえます、こういったのも電視観望の楽しみ方の一つかと思います。

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まとめ

広角電視観望で天の川を見ることを試してみました。画面にはっきり出すのは少しコツが必要そうですが、十分に見ることができるくらいにはなります。機材や設定値は一例ですが、まだいろんなパラメータを試すことができそうです。

さて自宅ではうまく出ましたが、これが市の中心街にかなり近い環水公園でどこまで見えるのか?それとも全く見えないのか?結果が楽しみです。

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