ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ライブスタック

CP+のセミナーの中で、SharpCapを使うと太陽をリアルタイムでスタックして画像処理ができるので楽だという説明をしましたが、ブログ記事にはしていなかったのでまとめておきます。この記事を書く気になったのは本ブログのコメントで、リュウさんから設定画面を見てみたいというリクエストがあったからです。


太陽の導入

カメラをPCに繋いでSharpCapで太陽を映すまではいいでしょうか?特に昼間の導入は意外に面倒だったりするので、少しだけコツを書いておきます。
  1. まず、赤道儀や経緯台の水平をきちんと取ることは必須です。水平出しは、これ以降の精度全てに効いてきますので、水準器を使ってきちんと水平になっているのを確認します。(補足: 昔の記事で赤道儀の場合は極軸さえ合っていれば水平出しは原理的にどうでもいいと書いていますが、それはあくまで極軸が正確に合わせられる場合です。昼間はほぼ太陽しか出ていなくて、極軸を精度よく合わせることは無理なので、最低限水平をきちんと取ってから始めたほうが遥かに楽です。)
  2. 鏡筒をホームポジションの方向に向けます。ホームポジションは赤道儀や経緯台の機種によるのでマニュアルをきちんと見てもらえばいいのですが、赤道儀の場合は北極星方向、経緯台の場合は北向き水平が多いでしょうか。太陽ファインダーを持っていない場合は、ここはできるだけ精度よく合わせたほうがあとあと楽です。
  3. 経緯台の場合、水平方向は鏡筒に水準器を当てるといいでしょう。
  4. 北向きにするのはなかなか精度が出ません。最近ではスマホにコンパスアプリがついているので、それを使うといいでしょう。その場合、設定で「真北」を選んでください。デフォルトでは「磁北」になっている場合が多いので、これだと6−7度ずれてしまいます。
  5. 次に進む前に、ここで重要な確認です。望遠鏡は太陽を見ることができる状態になっていますか?白色光の場合は太陽用減光フィルター、Hα線の場合はエタロンとブロッキングフィルターなど確実に付いていますか?私は必ず指差し確認をするようにしています。慣れてしまうとどうしても確認が疎かになる可能性が出てくるからです。
  6. 次に、カメラを鏡筒にセットし、カメラをPCに繋ぎます。SharpCapの上部メニューの「カメラ」から接続したカメラと同じ名前のカメラを選択します。
  7. ここまできたら、やっと赤道儀や経緯台の自動導入を使って、太陽を導入します。昼間の太陽導入は安全のために機能的に制限されている赤道着や経緯台が多いので、その制限を解除します。解除方法は機種に依ります。
  8. 必要なら導入前に念のため、赤道儀や経緯台の現在位置の設定と、時刻の設定を見直してください。現在位置や時刻がずれていると、これ以降導入がズレが出る可能性が高いです。緯度と経度を入力する場合は、スマホのコンパスアプリなどで今いる場所の緯度経度を確認できるので、その値を入力するのが楽です。
  9. 太陽を自動導入後、SharpCapで画面を確認しますが、大抵の場合は太陽は画面内に入ってこないと思います。
  10. 太陽ファインダーを持っているなら、太陽光がファインダーの投影板の真ん中に来るように、赤道儀の場合は架台部分の「ネジ」を使って水平方向と垂直方向を合わせます。この時点ではモーターを使わないように注意してください。この時点では、設置時の赤道儀の極軸からのズレを補正するためです。経緯台にはネジがついていないと思いますが、ネジの代わりに三脚をの足を伸ばしたり、水平にずらしたりして、水平方向や垂直をある程度合わせてもいいでしょう。
  11. 太陽ファインダーがない場合は、次のようにSharpCapの画面で確認するしかありません。
  12. 太陽ファインダーの真ん中に来たら、SharpCapの画面に入ってきているか確認してください。露光時間は機材に依りますが、1msとかかなり短くていいはずです。ゲインも0とかせいぜい200(=20dB=10倍)までで大丈夫かと思います。
  13. 太陽が画面内に入りかけているか確認するために、SharpCapの右側パネルのヒストグラムのところにあるオートストレッチボタンを押して、画面を明るくします。端の方が明るかったりしたら太陽が近くまで来ているということなので、ここからはモーターを使って明るいのが真ん中に来るように合わせます。太陽が入ってきて、極端に明るくなったら、今一度オートストレッチボタンを押して明るさを調整します。太陽の一部でも入ればあとはモーターで真ん中に持ってくるだけです。
  14. 最後に、赤道儀もしくは経緯台の追尾設定を、デフォルトの恒星から太陽に変更するのを忘れないでください。

ピント合わせ

太陽が導入できたら、次はピントを合わせます。ピント合わせも少しコツがあります。
  1. 赤道儀や経緯台のモーターを利用して、見たい位置に太陽を持ってきます。
  2. SharpCapの画面を見ながら、とりあえずそこそこフォーカサーなどでピントを合わせます。
  3. SharpCap右側パネルのヒストグラムで、オートストレッチをかけます。
  4. ヒストグラムの3本ある線の、左の線を背景光を表す左のピークより少し右側に、右側の線をヒストグラムの盛り上がりの右端くらいに合わせます。
  5. 画面を見ながら、真ん中の線を少し右に寄せ、細かい模様がよく出るところを探ります。グラフが下に凸の形になるはずです。
  6. ピントを微調整します。
スクリーンショット 2025-05-11 105533
ヒストグラムで調整するとこれくらいになるので、
かなりピントが合わせやすくなるはずです。


必要ならフラット化で見やすく

もし画面全体が太陽表面だけを見る場合(太陽の縁より外が画面に入っていない場合)は、常時フラット補正をしておくといいでしょう。これを行うことで、上記ピント合わせも遥かに精度よく見ることができます。
  1. 黒点周りなど、太陽表面の見たいところを赤道儀のモーターを使って導入する。
  2. 鏡筒のフォーカサーでピントをかなりずらす。その際、つまみをどちら向きに何回転くらい回したかを覚えておくといいでしょう。
  3. ボケボケになったところで、SharpCapのメニューの「キャプチャ」の「フラットフレームキャプチャ」を選びます。
  4. 出てきた画面でフラット撮影の設定をします。枚数は16枚とか32枚もあれば十分でしょう。スタートボタンのすぐ下の「撮影後新しいフラットを適用する」とかいうオプションにチェックを入れておくと楽です。
  5. スタートボタンを押します。
  6. フラットが適用されていることを、画面(真っ白になるはず)や下部に出ているヒストグラム(一本の細い山になるはず)で確認します。
  7. 画面下部に出ているヒストグラムを閉じ、ピントを元に戻します。ピントの再調整は、必要なら上の手順に従ってください。今回は太陽表面の輝度差が補正されているので、かなり合わせやすくなっているはずです。

これでセンサーやフィルターのホコリ、太陽表面の輝度の違い、エタロンの中心波長のずれで見えにくくなっていたエリア、ニュートンリングなどが補正され、圧倒的に見やすく、コントラストを上げて撮影できるようになります。この状態では、露光時間やゲインはある程度変更できますが、あまりに違う設定の場合はフラットを取り直してください。また、位置などが大きくズレると補正もずれてしまうので、その場合もまたフラットを取り直してください。


SharpCapの撮影設定

太陽が導入できてピントもあったなら、太陽が見えているはずです。まずはカメラの設定をします。
  1. モードはモノクロカメラならMONO16一択です。カラーカメラの場合はRAW16でしょう。
  2. 明るすぎたり暗すぎたりしないように、露光時間とストレッチ度合いを今一度合わせます。
  3. 露光時間は撮影のことも考え1ms程度、ゲインは0 ( = 0dB = 1倍) とか100( = 10dB = ~3倍) から、せいぜい200( = 20dB = 10倍) くらいまでで、ゲインがその範囲に入らなければ露光時間を長くしたり短くしたりします。適度な明るさとは、ヒストグラムで見て山が右も左も切れていなく、かつ山が全体的に広がっている状態です。
  4. ストレッチは適時オーとストレッチボタンを押します。露光時間やゲインを変えたとき、雲が通過して画面の明るさが変わった時も押すといいでしょう。


太陽画像のリアルタイムスタック

明るさが適度に調整出来、ピントもあっていたとしても、まだシャキッとした画像にななりません。ここでいよいよライブスタックを開始します。
  1. メニューの「ツール」の「太陽/月/惑星のライブスタッキングと強化」を選択します。
  2. 出てきた画面で「Sharping&Adjunstment」を選んで、下の画面を参考に調整します。
  3. 左側の「Gaussian Wavelet Sharpening」は十分な解像度が出ているなら「Fine」を上げるだけでほとんど大丈夫です。Level1以降は画面を拡大しながら上げてもいいですが、たいていは強すぎるのでほどほどにした方がいいと思います。画面を引いてみる場合と拡大してみる場合は、いいと思われる設定は違うと感じると思います。好みで設定すればいいと思いますが、私は拡大したときに強くなりすぎずに、引いてみたときにあっさりしすぎなくらいでちょうどだと感じています。
  4. 同画面右側の「Image Adjustments」はかなり便利です。でもその前に、オートストレッチをリセットしてヒストグラム画面で出ている曲線をきちんと直線にするのを忘れないでください。ヒストグラムで画像調整してしまうと、画像を保存するときに二重に調整効果がかかってしまって、変なことになる場合が多いです。
  5. 画面が明るすぎたり暗すぎたりするときは「Brightness」を調整します。「Gamma」は見栄えに大きく関係するので、毎回いいところを探してください。
  6. その後は好みで「Solar Colorization」をオンにするとカラー化されます。カラーの度合いはあまりいじることはできないはずです。
  7. 次の「Corona Boost」は、全景の場合はもうデフォルトオンでいいでしょう。ただし雲などが通過するとずれて強調されたりするので、その場合はオフにしてください。「Radius Offset」は適時変えてみて、いいところを選んでください。これも好みかと思います。

スクリーンショット 2025-05-11 113714

次のタブは「Frame Filtering」です。これでラッキーイメージ的なことができます。下の画面では250フレームにわたって画質の良さを評価して、上位85%をスタックするという意味です。
スクリーンショット 2025-05-11 113731
ここに出ているグラフはピント合わせに利用することもできます。主にコントラストを見ているようなので、特に全景の場合は太陽と背景のコントラスト比に比例して数値が出ます。言い換えると、ピントを前後させて、一番値が大きいところがピントが合っているところということです。先に説明した方法でうまくピントが出ない場合は、こちらを利用してみてもいいかもしれません。

最後は「Stabilizatin/Alignment」です。私はガイド鏡を使ってPHD2の太陽バージョンでガイドすることが前提なので、個々の設定はかなりシンプルにしています。こうしないと、PHD2とけんかしたり、正しい状況が見えにくかったりするからです。
スクリーンショット 2025-05-11 091737
全景の場合は「Stabilization Mode」は「Planet/Full Dis」のほうがいいのかもしれませんが、「Surface」でも普通にズレずにスタックできています。「Stacking Mode」も「Single Point」で十分なようです。というよりも、雲が来るとどんな設定でもだめで、雲が来なければどんな設定でもいいと言うような印象です。

その一方、フル設定だと以下のようになると思います。今回の記事のために設定してみただけなので、あまりあてにしない方がいいかもしれません。上で書いたように、ここまでしてもアラインメント精度はあまり違いがない印象です。いい時はいいけど、ダメな時はどう設定してもダメっぽいです。「Stabilize to cente...」はカメラの画角の中に太陽全景が入っていさえすえば、太陽を常に画面中心に持ってきてくれます。タイムラプスなどの時は便利だと思いますが、カメラの画角から太陽が出てしまったときは途端に像が崩れます。問題はこのオプションがオンになっていると、画角の端まであとどれくらい余裕があるのかわかりにくいことです。

「Track Planet with Camera ROI」は普段ROIを使うことがないので、私の場合は意味がないです。ROIで画角を制限したときに、fpsが上がればいいのですが、実用的なROIの範囲ではfpsは変わらないので、フルで撮影するようにしています。動画ファイルが大きくなりすぎるなら、ROIを設定するのもありだと思います。

さらにチェックしていない「Re-align...」と「Overlay...」は試してみましたが、何が変わるのかいまいちよくわかりませんでした。モノクロ撮影だからなのかもしれませんが、よくわかりません。

スクリーンショット 2025-05-11 113509

最後、「Time Lapse」タブですが、これもまだあまり試してはいません。できるだけ階調良く保存したいのでフォーマットはSERかTIFFです。でもSERではバグなのか、いまだにうまく保存できないようなので、今がにTIFF一択です。

「Apply Display Histgram...」はここではオンになっていますが、オフの方がいいでしょう。これがオンになっている、もしくはヒストグラムでリセット状態のまっすぐな線になっている場合以外は、たとえTIFFフォーマットだとしても8bitで保存されると下部のノートに書かれています。

「Create short animated GIF...」がオンになっていますが、いまだにうまくGIFファイルが生成されたことがありません。オフでいいかと思います。

あとは何秒ごとに画面を保存するか設定してスタートボタンを押せばいいのかと思います。動画よりもはるかにファイルサイズが小さくなるので、多少間隔を短くしても大したファイル量にはならないでしょう。「Reset stack after...」は経緯台の場合には画面の回転を防いで枠が回っていくのを防ぐことができるので、うまくフレーム数を設定してみるといいでしょう。ただ、タイムラプス撮影をするなら、あえて回転を見たいとかでなければ太陽の場合は素直に赤道着を使った方がいいかと思います。

スクリーンショット 2025-05-11 120116

いくつかはうまく動かない機能があるので、私の環境が悪いのか、バグなのか不明ですが、タイムラプスに関してはまだそこまで期待しない方がいいのかもしれません。

右から二つ目のタブで設定が3通りまで保存、再現できます。設定を変えた時の比較などに使えるので随時使うといいでしょう。


まとめ

以前は惑星も太陽も画面センターにキープできる機能が便利で、FireCaptureで撮影することが多かったのですが、SharpCapの機能が圧倒的に進んでしまい、少なくとも私は太陽用にはもうSharpCapオンリーです。今回はかなり基本的な太陽の導入の仕方から解説したので、よかったら参考にしてください。私なりのテクニックも随所に入れ込んでいます。







CP+連動企画、「電視観望技術を利用して天体写真を撮影してみよう」ですが、前回までにオリオン大星雲の導入が済んだところまで進みました。今回は、実際に撮影してみます。いくつかコツがあるので、順次説明していきます。


撮影はとりあえずフルオプションで、やれることはやるという方針で進めます。今回はフルオプションで撮影が完了するところまで、次回の記事で簡略化した撮影方法を示しどんな影響があるかを検証したいと思います。

それでは、前回記事の終了時の、SharpCapの画面にオリオン大星雲が入っているところからスタートです。


カメラの回転角

まず、鏡筒に対してカメラをどのような角度で取り付けるかの、カメラの回転角を決めます。これはレデューサと鏡筒の間にある3つのネジがついたアダプターの、ネジを一つか、せいぜい二つ少し緩めるだけで、カメラを回転させられるようになります。カメラの回転角は適当でもいいのですが、一旦カメラを外して設定を変えた時とか、画角が回転方向に大きくずれる可能性があるので、できるなら毎回同じ向きにしておいたほうが無難です。

方法はこのブログの昔の記事に詳しく書いてありますが、

簡単におさらいしていきましょう。
  1. SharpCapで、右上アイコン群の中から、「ズーム」の一つ左にある、赤線のクロスのようなアイコンを何度か押し、同心円のレチクルを画面上に出しておきます。
  2. SynScan Proの方向矢印か、ASCOMで赤道儀とつながっているSharpCapの右パネルの「望遠鏡制御」の矢印で、見ている方向を少し変え、目立つ星を中心に入れる。
  3. 矢印の一方向をしばらく押し続け、星がレチクルの十字線に沿って垂直、もしくは水平方向に真っ直ぐ動くかどうか確認する。
  4. もし水平、垂直にピッタリ動かないなら、レデューサのところのネジを緩めてカメラを回転させ中心にあった星が、垂直線か水平線の上に来るように合わせる。その際、ネジをきちんと締めなおしてから位置を確認する。
  5. 再び矢印ボタンを押し続けて、星がレチクルの十字線に沿って垂直、もしくは水平方向に真っ直ぐ動くかどうか確認する。
  6. きちんと星が垂直、もしくは水平方向に真っ直ぐ動くまで4-5を繰り返す。

こうやって回転角をあわせます。参照記事にも書いていますが、この回転角調整は夜を待たなくても、昼間でもできます。目立つ星の代わりに、遠くの何か目印になる点を使えばいいだけです。例えば遠くにある鉄塔のてっぺんとかでもいいでしょう。もし余裕があるなら、昼間のうちに済ませておくといいでしょう。

この回転角調整で、ピントがズレる可能性があります。レデューサのところの回転固定ネジを締める時にきちんと締めていなかった場合です。ネジを閉めるときは毎回少し手で持ち上げて、下に落ち込まない状態で毎回きちんと最後までネジを締めると、安定してピントずれなどはなくなります。


位置決め

回転角調整で位置がずれてしまったので、再びオリオン大星雲を中心位置に入れます。SynScan ProでM42を再自動導入してもいいですし、SynScan Proか、SharpCapの「望遠鏡制御」の矢印ボタンで、自分がいいと思う位置に入れてもいいでしょう。私は以下のような位置にしました。

05_intro

これだと、右上方向に向かうオリオン大星雲の広がりが十分に入り、左のランニングマンもいい位置に来るはずです。


オートガイド

位置が決まったら、次はオートガイドです。ここではガイド鏡とガイドカメラ、ソフトはPHD2を使います。

繰り返しになりますが、PHD2で PlayerOneのカメラを使うときは、PlayerOneカメラのドライバーだけではだめです。前回のソフトの説明のところで書いたように、ASCOMプラットフォームとASCOMカメラドライバーをインストールしてください。ASCOMプラットフォームはここまででSharpCapと赤道儀がつながっていれば、すでにインストールされきちんと動いているはずです。詳しくは

を参照してください。

PHD2の使い方はマニュアルなどを読んでいただければいいのですが、接続方法などごく簡単に書いておきます。
  1. Windows PC上で、ソフトの準備の時にインストールしておいたPHD2を立ち上げます。
  2. 初めてPHD2を立ち上げる場合は、ウィザードが出てきて、カメラなどの設定が始まるはずです。ほとんどは指示通り進めればいいのですが、カメラの選択は迷う可能性があります。特に同じメーカーのカメラが複数台接続されていると、Player One Camera (ASCOM)の1から3のどちらを繋いでいるかわかりにくい場合があります。もしどうしても分かりにくい場合は、メインカメラを一度ケーブルを抜いて切断してからPHD2のセットアップを開始して、Player One Camera 1(ASCOM)を選ぶのが確実です。もしここでPlayer One Camera 1(ASCOM)が出てこない場合は、Player One Camera用のASCOMドライバーがインストールされていない可能性があるので、上の説明を見て今一度確認してみてください。
  3. カメラを選択する際、ガイド鏡の焦点距離は手持ちのものをきちんと入れるようにしてください。ピクセルサイズはカメラがきちんと繋がれていれば、選択時に自動的に入力されるはずです。
  4. 赤道儀の接続はすでにすんでいるので、そのまま進んでしまえば自動的に適したパラメータが選択されるはずです。
  5. カメラや赤道儀の設定ごとにプロファイル名をつけることができます。後から認識できる適当な名前をつけておきましょう。
  6. ウィザードが終了すると、ダーク撮影に入ります。ガイド鏡にキャップを被せるなどして、光が入らないようにして、ダーク撮影を開始します。結構時間がかかるので、しばらく待ちます。慣れてくれば、必要な時間のみ選択すればいいでしょう。私は0.5秒から2秒くらいまでだけ撮影しています。
これで準備は完了です。2度目以降の立ち上げからはウィザードは自動で起動しません。カメラを変えた場合など、必要な場合はメイン画面の左下にあるUSB端子の絵が描いてあるアイコンをクリックすると、接続設定になるので、そこで再びウィザードを開始することができます。ウィーザードが終わった直後は下の2から始まるはずです。
  1. メイン画面の左下にあるUSB端子の絵が描いてあるアイコン「接続ボタン」をクリックします。
  2. カメラとマウント(赤道儀)を選択します。この際、カメラが複数台接続されていて、どのカメラが接続されるかわかない場合は矢印が二つに分かれるマークが書いてあるボタンを押すと、どちらのカメラか確認できます。カメラと赤道儀それぞれ「接続」ボタンを押します。赤道儀は接続されるまでに10秒くらいかかる可能性がありますので、少し待ちます。全て接続されたら下の「クローズ」ボタンを押します。
  3. メイン画面左下の左から二つ目の矢印が回転しているようなアイコン「露光開始ボタン」をクリックします。ここで画面にカメラからの映像がメイン画面上に表示されます。ガイド鏡のピントが合っていなかったら、ここで合わせてください。
  4. メイン画面左下の左から三つ目の星形のマークのアイコン「ガイド星選択ボタン」が黄色の星になっていることを確認してクリックします。黄色の星にならずに灰色のままの場合は、上記までのカメラの露光が開始されていないということです。いまいちどカメラの接続などを確認して、左から二つ目の矢印が回転しているようなアイコンをクリックしてください。うまくいくと、ガイドに必要な星が緑色の四角で選択されているのが、撮影画像で確認できます。
  5. メイン画面左下の左から四つ目の十字マークのアイコン「ガイド開始ボタン」が緑色になっていることを確認して、クリックします。緑色になっていない場合は、上のガイド星の選択が完了していないので、今一度確認してみてください。うまくいくとガイドに必要な星が緑色の四角で選択されます。
  6. 初回はここでキャリブレーションが始まります。キャリブレーションとはPHD2が動かそうと思った方向と、実際の画像でどちらの方向に動くかを確認し、方向合わせをするような機能です。
  7. キャリブレーションは数分から10分程度かかることもあります。気長に待ちましょう。その際、緑色の四角が、きちんと動いているか画面を見ているといいでしょう。うまく動かないとエラーが出てキャリブレーションが中断されます。赤道儀とのケーブルが断線しているなど、何らかの理由で赤道儀に送っている信号に対して反応がない場合などです。改めてケーブルの接続など、何かおかしいことがないかチェックしてみましょう。ガイド鏡のカメラに接続されずに、メインの撮影カメラに接続されてしまった場合なども、動かなさすぎたり、動きすぎたりして、エラーになる場合があります。
  8. キャリブレーションに成功すると、そのままガイドが始まります。下のグラフで、赤と青の線が時間と共にだんだんと伸びていくのがわかります。キャリブレーション情報を残すかどうかと言う質問が出ることがあると思いますが、「はい」としておくと、次回以降に赤道儀の向きを変えても初回にとってキャリブレーション情報を使い回してくれるので便利です。キャリブレーションが以前実行された場合は、すぐにガイドが始まりますが、あえてキャリブレーションをしたい場合には、「シフトキーを押しながら」ガイド開始ボタンを押してください。ガイドがうまくいかない場合、キャリブレーション情報が古くなっている可能性があります。そんな場合は今一度キャリブレーションを実行してください。
もしここで、ある程度の数の星が見えているのに、画面所の緑色の四角が一つしか見えなくて、選択されている星が一つの場合は、画面下の脳みそマークのアイコンを押して、「ガイド」タブから「Use multiple stars」を選ぶといいでしょう。複数の星をガイド星としてみなすので、精度が格段に上がります。


SharpCapの設定

あとは撮影に際してのSharpCapの設定を残すのみです。

まず最初にメインカメラの冷却機能をオンにします。
  1. SharpCap右側の「温度制御」パネルを開き、「設定温度」を「-10」程度にします。冬場だともっと冷えますが、ダークノイズの影響を考えるとこの程度で十分でしょう。
  2. さらに「冷却」を「オン」にします。
  3. 「温度」のところが徐々に下がっていって、設定温度に向かっていきます。

細かい設定です
  • 「フォーマット」パネルの「出力形式」は「FITSファイル(*.fits)」を選択。
  • 「フォーマット」パネルの「モード」はRAW16
  • 「カメラコントロール」パネルの「露出時間」はとりあえずテストなのですぐに画面が更新されるように1000msとしましょうか。あとで実際の撮影時には「長秒モード」オプションをオンにして「60s」とかにして長時間露光に変更します。
  • 「カメラコントロール」パネルの「アナログゲイン」はとりあえずUranus-C ProのHCG(High Conversioin Gain)モードがオンになる220とかにしておきましょう。これで、ゲインが高い状態で、「読み出しノイズが小さく」「ダイナミックレンジが大きく取れる」ようになります。明るすぎる場合はアナログゲインは0にします。実際の撮影ではアナログゲインは220か0のほぼ2択のみに限られ、それ以外ではダイナミックレンジの観点から不利になってしまいます。
  • 「カメラコントロール」パネルの「オフセット」は小さな値を入れておきます。0だと暗い部分がうまく表現されずに階調がガタガタになる可能性があります。今回はとりあえず「40」とします
  • 「前処理」パネルの「ダーク補正」のところで「Hot and Cold Pixel Remove」を選んでおきます。これはあくまで簡易処理ですが、今回のように電視観望技術を利用した簡単な撮影では、別途ダーク補正をする手間を省いているので、これを選んでおくと仕上がりに有利になると思われます。ただし、有効かどうかはカメラに依ます。実際試したところ今回のUranus-C Proではそもそもカメラに搭載されているDPS (Dead Pixes Suppression)機能が優秀なせいか、このオプション有無でほとんど差は見られませんでした。
  • 「前処理」パネルの「背景減算」は電視観望の時にはよく使うのですが、撮影に際しては1枚1枚で効果が違ってしまっておかしくなるようなので、オフにしました。今回はカブリが少ない状態で撮影したのですが、カブリが多い場合は試してみてもいいかもしれません。

一旦ここで、どのような画像になるか確認します。「ヒストグラムストレッチ」パネルの右側アイコン群の左列上から2番目の雷マークの「オートストレッチ」ボタンを押します。すると、ヒストグラムの左の山のピークを、3本ある黄色の点線の左と真ん中の2本の線で挟むような形になり、画面にオリオン大星雲がバッと明るく出てくると思います。ただし、このオートストレッチ機能は有料版のみ使うことができます。無料版の場合は、マニュアルで黄色の2本の点線を動かして、山のピークを挟むようにしてください。

もしこの時点でオリオン大星雲の位置がおかしい場合は、ガイドを一旦中断して位置調整をしましょう。
  1. PHD2のメイン画面の左下の「STOP」アイコンを押してください。
  2. その後に、SynScan ProやSharpCapの望遠鏡制御の矢印ボタンで位置合わせをします。
  3. PHD2の「露出開始ボタン」「ガイド星選択ボタン」「ガイド開始ボタン」を順に押して、ガイドを再開します。
このように、ガイドを一旦中止してから位置合わせをしないと、ガイドが元の位置に戻そうとしてしまうので、位置を変えることができないことに注意です。

ガイドとディザーの設定をします。
  1. SharpCapメニューの「ファイル」から設定を選び、「ガイディング」タブを開きます。
  2. 「ガイディングアプリケーション」をPHD2に選びます。ホスト名やポートは特に変更したりしてなければデフォルトのままでいいでしょう。
  3. 最大ステップは大きくしすぎると、画面が大きくずれてしまうので、ここでは最小の2としてありますが、もし縞ノイズが目立つようなら増やしてください。また、ライブスタックするたびに星がずれて伸びて見える場合は、個々の値が大きすぎて揺れが収束しきれない場合です。その場合はこの値を小さくしてください。この揺れは次の最小整定時間とも関係があります。
  4. 「最小整定時間」はSA-GTiが多少暴れることがあるので、少し長めに取っておくといいでしょう。ここでは30秒としました。
  5. 最後に下の「OK」を押します。
12_guide_setting


ライブスタックで撮影開始

いよいよ撮影のための最終設定です。電視観望の技術を利用すると言うことで、今回の撮影はSharpCapのライブスタックを使います。

1. 「カメラコントロール」パネルの「露出時間」の「長秒モード」オプションをオンにして、露出時間を「60s(秒)」くらいにします。
2. アナログゲインは最初220で試しましたが、明るすぎたので、のちに0としました。CP+で見せる最終画像に至るまでにフィルターの種類や、いくつかの設定パラメータについては何種類か試していて、これまでの説明から変わったところもあります。パラメータの変更については、次回以降の記事で詳しく解説します。
3. LiveStackを開始します。SharpCapのメニューの下のアイコン群の「ライブスタック」と書いてあるボタンを押します。
4. 下のライブスタック画面の「Guiding」タブを選び、「Setting」の中のオプションを全部オンにします。「Dither every」のところは、枚数区切りでディザーをかけたいので「Frames」します。枚数は数分から10分おきくらいで十分なので、今回は「6」としました。「Only stack...」をオンにしておくと、雲などが出てPHD2が星を見失った時はライブスタックで画像を重ねることをしなくなるので、不慮の天候悪化時の出来上がり画像の劣化を防ぐことができます。
01_SharpCap_ok_06_guiding_cut

5. 下のライブスタック画面の「Controls」の「Stacking」で「Sigma Clipping」を選んでおくと、人工衛星の軌跡などが目立たなくなります。
6. 同じ「Controls」の「Raw Frames」で「SAVE all」を選んでおくと、LiveStackが途中で失敗した時に、後から救い出せるかもしれません。ただし、ディスク容量をかなり消費することと、さらにディザーの際の短い露出時間のファイルも全て残されるので、もしこれらのRAWファイルを使う際は、ディーザーの際の余分なファイルは後から手で削除する必要があります。
7. 撮影終了時間が決まっているなら、「Save and Reset every...」をオンにしておくといいでしょう。例えば「60」minutes total exposureとしておくと、60分経ったときに、素のままのRAWファイルと画面で見えているままの画像をファイルとして自動的に保存してくれます。ただし、その時点でライブスタックがクリアされてしまうので、できるだけ長い時間撮りたい場合はオフにしておいた方がいいでしょう。

あと撮影ファイルの出力場所を設定しておきましょう。
  1. SharpCapメニューの「ファイル」から設定画面を開きます。
  2. 「ファイル名」タブを開いて、「フォルダー」のところに保存したい場所を指定します。 
  3. 下の「OK」を押します。

これで全部の準備が完了でしょうか。長かったですが、ここまでうまくできていますでしょうか?さあ、撮影開始です。
  1. 下のライブスタック設定画面の、左側の「Actions」の「Clear」ボタンを押してください。画面が一旦クリアされ、これまで溜まっていた画像が一新され、新しくライブスタックが始まり、撮影が開始されます。
  2. 露出時間で設定した「60秒」待つと、画面に撮影した画像が出てきます。
  3. ここで、ライブスタック画面の「Histogram」タブを開き、右の上の雷マークアイコンを押し、オートストレッチします。その際はSharpCapの右パネルの「ヒストグラムストレッチ」はぐるっと回転する矢印の「リセット」アイコンを押して、ストレッチがない状態にすると見えやすくなるでしょう。もしくは、新たに右パネル「ヒストグラムストレッチ」の方の雷マークを押すと、さらに炙り出した画像が出てきます。二つのストレッチの関係ですが、ライブスタックのヒストグラム画像であぶり出した際の状態が、右側パネルのヒストグラムに受け渡されます。右のヒストグラムでは、さらに重ねてあるり出しをすることができます。撮影画面には両方のヒストグラムのあぶり出しが重ね掛けされた結果が表示されます。
  4. 撮影中に、上で指定した保存フォルダーの中身をエクスプローラーで確認してみましょう。フォルダの中の「RAWFILES」フォルダを確認して、60秒ごとにfitsファイルができていくか確認してみてください。
  5. (RAWファイル以外の) ライブスタックの結果画像の保存は、ライブスタック終了時に自動的にされますが、任意の時間にあらわに保存したい場合は、ライブスタック画面の左の「Action」から「SAVE」を押します。いくつか選べるのですが、「Save as 16 Bit Stack」と「Save with Adjustments」と「Save exactlly as seen」の3つをそれぞれ保存しておくのがいいでしょう。「Save as 16 Bit Stack」はRAWフォーマットでfitsファイル形式で保村されます。これが最も情報を持っていますが、ストレッチされていないので最初は扱いにくいと思います。「Save with Adjustments」はライブスタックのヒストグラムでストレッチされた分までがpngフォーマット(8bit)で、「Save exactlly as seen」はさらに右パネルのヒストグラムでストレッチされた分までの画像がpngフォーマット(8bit)保存されます。
保存されたRAWファイルや、スタックされたfitsファイルを見るには、ASIStudioの中にあるASIFitsViewが便利です。ASIStudioはWindowsだけではなく、Mac版やLinux版もあるので、ある意味貴重なアプリです。ここからダウンロードできます。


保存されたfitsファイルはストレッチされていないので、通常開いただけでは真っ暗にしか見えません。ASIFitsViewは自動でオートストレッチもしてくれるので、オリオン大星雲があぶり出された状態で見えるはずです。下にあるアイコン群の中の、「ヒストグラム」マークをクリックして、「リセット」ボタンを押すと、ストレッチされる前の真っ暗な画像を確認することもできます。また、ストレッチ後のファイルを保存することもできます。

撮影がうまくいくと、SharpCapではこんな画面になっているはずです。
01_SharpCap_ok_03

今回はここまでとして、ここからの画像処理についてはCP+当日に実演として公開することにしましょう。

CP+まではまだ少し時間がありますので、撮影方法に関してもう1回か2回ブログ更新する予定です。今回までは主に初心者を対象に、かなり基礎から説明しましたが、次回からは少し突っ込んだ記事になります。









めだかと暮らすひとさんが、SharpCapでのライブスタック撮影で、縞ノイズに悩まされているようです。



ここではできる限り簡単な解決策の一つとして、ガイド無しのディザー撮影のやり方を示したいと思います。


縞ノイズの原因

 最近電視観望というと、リアルで見ると言うより、ライブスタックを使った簡単な撮影を指すことも多いようです。めだかと暮らすひとさんも、最近やっとAZ-GTiを赤道儀モードにして、視野回転のない追尾を実現したとのことです。でもまだガイド鏡もなく、ノータッチガイド(死語?)での撮影で、電視観望的にライブスタックを利用して、最後にスタックされた画像を処理しているとのことです。問題は、赤道儀の極軸が合っていないとライブスタックをの間に画面が流れていって、縞ノイズができてしまうことです。これは例え極軸が合っていたとしても、またガイド撮影をして画面が流れないように頑張っても、機材のたわみなどがごく普通に存在するので、1時間オーダーの長時間の撮影では縞ノイズが出ることがよくあります。

縞ノイズの原因は、ホットピクセルやクールピクセルなどの、センサーのある点にいつも存在する異常ピクセルが、画面の流れとともに全て同じ方向に動き、縞のようになることです。


縞ノイズの解決策

縞ノイズ軽減する方法の一つは、ダーク補正することです。SharpCapには簡単なダーク補正方法が搭載されていて、右側パネルの「ダーク補正」の「Hot and Cold Pixel Remove」を選び、簡易補正で済ませます。これはホットピクセルとコールドピクセルを簡易的に取り除く機能ですが、つい最近搭載されたもので、これまでは「Hot Pixel Removal Only」とホットピクセルのみの除去しかできませんでした。以前示したSharpCap上でダークファイルを撮影してリアルタイムダーク補正することもできますが、

ダークファイルでの補正だと基本的にコールドピクセルの補正はできないはずなので、簡易的ですが「Hot and Cold Pixel Remove」の方が有利な可能性が高いです。このオプションががある場合とない場合では数のような違いがあります。
comp
左がオプションなし、右がオプションありです。左の画像を見ると、赤とか緑の輝点が下向きに伸びているのがわかります、右もすごくよく見るとまだ輝点が残っているのがわかりますが、ほとんど目立っていないのがわかります。

それでもダーク補正では縞ノイズを軽減するだけで、完全に消すことはできません。一番確実な方法は、ディザー撮影をすること。ディザーというのは、長時間撮影の途中でわざと画面を数ピクセルとかずらして、異常ピクセルの影響を散らしてやることでかなり軽減できます。今回の問題はこのディザー、一般的にはガイド撮影と込で実現されるので、ガイド撮影をしていない限りディザーはできないと認識されているだろうことです。めだかと暮らすひとさんみたいに、ガイドをしていなくても縞ノイズを解決したいという要求はきっとあることでしょう。


ガイド無しディザーの方法

その方法ですが、前提としてSharpCapで経緯台、赤道儀などが接続されていて、SharpCapからコントロールできることです。赤道儀でなくてもコントロールできるなら経緯台でも構いません。今回はトラバースで試しました。トラバースはAZ-GTiのミニチュア版とも言える、自動導入、自動追尾機能がある経緯台です。

設定方法です。まずメニューの「ファイル」の「SharpCapの設定」の中の「ガイディング」タブで、下の画面のように「ガイディングアプリケーション」を3つ目の「ASCOMマウントパルス...」を選びます。

07_guide_setting
「ディザリング」の中の「最大ディザステップ」はある程度大きくしておいた方が効果が大きいです。私は「40」まで増やしました。値が小さいと効いているかどうかもわかりにくいので、最初多少大きめの値をとっておいて効果を確認し、大きすぎたら減らしていくがいいのかと思います。

その後、ライブスタックの下部設定画面の「Guiding」のところで、最初のチェック「Monitor Guideng Application...」をオンにします。「Automatically DIther」をオンにし、「Dither every:」でどの頻度ディザーするのか選びます。撮影の場合は「Frames」を選んで、何枚撮影することにディザーをするかを選んだ方がいいでしょう。実際には数分に1回くらい散らせば十分なので、今回の1回の露光時間が20秒とすると、10枚に1枚、3分ちょっとに1回ずらすことにしました。
05_dither

するとライブスタックで10枚スタックするごとに、下の画面のように上部にの緑色のバーが現れて、ディザーが実行されます。
06_dither

実際にディザーの効果があるか確認してみましょう。30フレーム分を動画にしてみました。輝点が右下に進んでいきますが、その途中で一度カクッと下に降りて、またカクッと上に上がるのがわかると思います。でもまだずれが少ないので、もっと大きな値でも良かったかもしれません。
Blink

実際のSharpCap上のライブスタック画面では、ディーザーが何度が進むと、最初に見えていたミミズが散らされてどんどん薄くなっていきます(すみません、画像を保存するのを忘れてしまいました)。

ただし、今回は雲がすぐに出てきてしまい、実際の長時間で縞ノイズが見えたわけではないので、ディざーなしで縞ノイズが出て、ディザーをオンにして縞ノイズが消えることを確認すべきなのですが、今回はとりあえず手法を書くだけにしました。後日確認ができたら、また結果を追加したいと思います。


ついでの画像処理

最後に、今回撮影した画像2種を仕上げてみました。FMA135にCBPを付け、Uranus-Cで撮ってます。課題はトラバースなので小さくて楽なものです。ただし経緯台なので星が回転もしくは流れてしまうので長時間露光はできず、1フレーム当たり20秒露光の露光で、ゲインは高めの300としています。共に、かなり淡いところまであぶ出していますが、上の動画でもわかりますが、少なくとも経緯台でガイド無しなので、撮影時にかなり流れてはいるのですが、これくらいの露光時間ではかなり炙り出しても縞ノイズは出ていないことがわかるかと思います。


M42: オリオン大星雲
オリオン大星雲はライブスタックで30フレームの計600秒、ちょうど10分経った時に保存したfitsファイルから画像処理しました。SharpCapの時点でスタックまで終わっているので、かなり楽です。星雲本体周りの分子雲も少し写っています。
Stack_16bits_30frames_600s_21_35_52_crop_SPCC_ABE4_BXT_MS2

向きを変えて星雲部分を切り取り。
Stack_16bits_30frames_600s_21_35_52_crop_SPCC_ABE4_BXT_MS_cut2

口径3cmの高々10分でこれならまずまずではないでしょうか。


M31: アンドロメダ銀河
2枚目はM31、アンドロメダ銀河です。こちらは途中雲がかかり、ライブスタック画像ではかすみがかってしまったので、別途1枚1枚保存してあったRAWファイルから、PixInisightでスタックして処理しました。トータル露光時間はM42よりさらに短く、14枚でわずか4分40秒です。
3856x2180_EXPOSURE_20_00s_ABE4_SPCC_BXT_GHT_HT_bg_rot
こんな短い時間でも、情報としてはある程度残っているものです。さすがにかなりギリギリ出しているので、どうしてもノイジーなのは否めません。


まとめ

今回は、ガイド無しでディザーする方法を示しました。まだ実際の長時間撮影はできていないので、またいつか試したいと思います。

曇りがちで十分な撮影時間をかけることができませんでしたが、それでも口径3cmでもそこそこ情報は残っていて、ある程度画像処理すれば十分見えるくらいにはなることがわかりました。途中で気づいたのですが、ライブスタック時にBrightnessフィルターを入れると、雲が入った時の画像のスタックを回避できるので、そういったことも今後試していきたいと思います。

こうやって見ると、小さなトラバースでも撮影に耐え得るくらい、十分に安定していることがわかります。



前回までの記事で、SWATにAZ-GTiを取り付けて(SWAgTiと命名)、SWATで自動導入機能を実現して快適な簡単撮影を試してきました。しかしながら、数時間にわたる長時間撮影では縞ノイズがどうしても出てしまい、それをディザーで散らしてやることを考えましたが、今の環境では難しいであろうことがわかってきました。今回は画像処理でどこまで縞ノイズを改善できるか検証してみます。


方針転換

ディザー撮影とは、露光と露光の合間に少し(数ピクセルから多くても数十ピクセル)画角の位置をずらしてやることで、縞ノイズを避ける最も効果的な方法です。縞ノイズとは、長時間における機材のたわみなどで画角が一方向に流れてしまい、ホットピクセルやコールドピクセルなどの固定ノイズが縞状になって表れることです。ですが前回の検証でどうやら、今の機材、今の制御ソフトの範囲ではSWAgTiではディザーができないであろうということが判明しました。

そこで今回は方針転換をします。そもそもディザー撮影も複雑なので、撮影はシンプルそのものに、ガイドやディザーなどなしにして、その分画像処理を多少複雑にしてどこまで縞ノイズを回避できるかを検証したいと思います。


ライブスタックでの縞ノイズ

まずは、SharpCapでライブスタックをしただけだと、どれくらいの縞ノイズが出るのか見てみます。

3分露光で29フレーム、トータルで約1時間半撮影し、そのうち29フレーム中21枚がライブスタックされた画像です。SharpCapに出てくる画像(ストレッチなども含めて)そのものです。

Stack_16bits_21frames_3780s

かなりひどい縞ノイズが出ていることがわかります。ライブスタックだとひどい時にはこれくらい出てしまいます。


RAWファイルでも縞ノイズ

次に、同じ撮影時に保存してあったRAWファイルを使って、上の縞ノイズを再現してみます。PixInsightを使いましたが、ステライメージなどでも同じです。

方法は簡単で、ダーク補正やフラット補正をせずに、位置合わせだけしてスタックするだけです。こうしてできたものが以下になります。

masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

PixInsigtで途中雲で十分な露光ができていな画像を弾いたりしていますが、それらは同様にライブスタック時でも弾かれているはずです。多少(数枚)採用/不採用の違いはありますが、縞ノイズに関してはほぼ再現できていると思います。ようするに、ダーク補正などせずに単にスタックするだけでは、ライブスタック/後からのスタックにかかわらず、縞ノイズに関してはかなり厳しいということです。


ダーク補正とフラット補正

上と同じRAWファイルを、今度はダーク補正とフラット補正をしてスタックしてみます。

masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_dark_flatjpg

劇的に改善されているのがわかるかと思います。

わかりやすいように3枚を拡大して並べてみます。左からライブスタック、PIでダーク補正フラット補正なし、PIでダーク補正フラット補正ありです。

comp

これだけ見ると、やはり簡単撮影といえど、ダーク補正とフラット補正はした方が明らかにいいという結論になるかと思います。


クールピクセル除去

ただ、ダーク補正とフラット補正したとしても縞ノイズはわずかに残ってるんですよね。ここでさらに、あぷらなーとさんが言うクールピクセルの影響の可能性があると考え、クールピクセル除去を試しました。実際にはだいこもんさんがPixInsightでスクリプト化の足がかりを作られだぼさんが実装したコードを使用させていただきました。あぷらなーとさん、だいこもんさん、だぼさんには感謝です。

結果を示します。まだごくわずか縞ノイズらしきものは見えますが、もうほとんど気にするレベルではなく、画像処理でなんとかなるレベルと思います。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_cold

わかりやすいように、クルーピクセル除去の効果がわかりやすいところを切り出して拡大してみます。場所は下の真ん中より少し左のあたりです。左がクールピクセル除去なしで、右がクールピクセル除去ありです。

comp

画面の一部ですが、右は明らかにクールピクセル起因の縞ノイズがあって、それが左だと除去されていることがわかります。

でも実はこれ、最初ほとんど効果が見られなくて、Cold Sigmaの値をいくつか変えてみて、やっと違いがわかるくらいになりました。今回の場合0.1が一番良かったです。0でも0.5でも縞ノイズが結構残ってしまいました。0.2よりは0.1の方が少し良かったです。もしかしたら、もう少し調整できるのかもしれません。

縞ノイズが撮り切れていない原因の一つですが、今のところ冷却でないカメラを使っています。ダーク補正も温度をきちんと管理し切れていないので、ダーク補正によるホットピクセルの補正がまだうまくやり切れていない可能性があります。なので、冷却カメラに向かうというのが一つの方向性かと思います。

もう一つの方向性は、一眼レフカメラに向かうことです。SWATを使っている方は一眼レフカメラで撮影している方も多いかと思われます。基本シャッターを切るだけというお手軽な方向は、SWATを使う上での一つの正しい方向だと思います。これでも、今回のように画像処理をきちんとすれば、十分なクオリティーの撮影画像になるかと思います。ただ、お気軽撮影からは少し拡大していきますが...。


まとめと今後

今回見た画像は、1時間半ほどで本当に一方向にのみ進むものなので、縞ノイズ的には相当不利なものです。前回画像処理して最後まで仕上げたものは、トータルでもっと長時間露光で、しかも何方向かに進むものを合わせているので、クールピクセル除去とかしなくても、あまり縞ノイズが目立たなくなっています。

というわけで、前回のようにある程度マニュアルディザー状態になるように、撮影中に何度か位置を変えてやるか、今回のようにクールピクセル処理までしてしまえば、かなりのレベルで縞ノイズを無視できるくらいになるのかと思います。


おまけ: 胎内星まつりで「SWAgTi」展示

今週末に行われる「胎内星まつり」で、ユニテックさんから声がかかり、ユニテックブースにおいて

SWAT + AZ-GTi = 「SWAgTi」 を展示

させて頂けることになりました。

星まつりの期間は8月18日(金)午後から20日(日)昼となっていますが、

展示は19日の土曜となる予定

です(もしかしたら18日の夜には展示できるかも)。私自身はずっとユニテックさんのところにいるとは限りませんが、少なくとも土曜はほぼ一日じゅう会場内にいると思います。名札をかけていますので、もし見かけたらお気軽にお声掛けください。


さらにおまけ: 一眼レフカメラでのプレートソルブに挑戦

展示だけでもいいのですが、せっかくの星まつりなので、夜にはもう少し何かしようと思っています。

今ちょっと考えているのは、一眼レフカメラ(今回は手持ちのEOS 6D、EOS 60Dなど)でプレートソルブができないかです。ユニテックの方と話したところ、SWATに一眼レフカメラをつけて撮影している方が多いそうです。CMOSカメラではなくて、一眼レフカメラで自動導入やプレートソルブができた方が、SWATユーザーにとっては実用的ではないかとのことでした。

でも、見ていただきたいのは6Dでのプレートソルブそのものではありません。そもそもまだ、一眼レフカメラでプレートソルブを試したことがないので、うまくいくかどうかもよくわかっていません。星まつり会場のその場で初めて挑戦しようと思っています。

見てほしいのは、新しいことを試す時に、私Samがいつもどうやって取り組んでいるのか、問題にぶち当たった時にどうやって解決するのかなど、いろいろ試す過程を見ていただきたいと思っています。今回はその場で試してみてのことなので、実際にうまくいくかという保証はありません。でもこういった泥臭いところを見せることで、何かを感じていただければと思っています。

多分独り言をぶつぶついいながらの作業になるかと思いますが、もし興味があると言う方はぜひご参加ください。もちろんその場での質問とかもOKです。

暗くなってきてからのほうがいいと思うので、開始時間は19時過ぎくらいからになると思います。PCの画面が対面で見えるように、外部モニターを持っていこうかと思っています。

胎内星まつりでみなさんとお会いして、いろいろお話しできるのを楽しみにしています。

(2024/8/18追記: 1年越しでディザー撮影に成功し、縞ノイズを撮影時から無くすことができました。)





SWAgTi記事のまとめ
 
 
 








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