ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ホットピクセル

SWAgTiのセッティングが楽なので、短い時間でも撮影する気が起きます。まだテスト撮影なので、お気楽にM20です。今年は本当に天気が良くなくて、たまに晴れてもそれが長い時間続きません。結局今回撮影できたのは、3分露光で16枚の合計わずか48分です。月が出るまで2時間くらいはあったのですが、途中で曇ってしまいました。まあ南の低空なので、雲も出やすく仕方ないですね。

IMG_9916


夏場の非冷却のテスト?

今回のテーマは「冷却はなくてもいいのか?」です!

前回のSWAgTiの記事で、ケーブルの数を減らしたいと書きました。夏の暑い日に冷却がないとどうなるかを試してみました...とか言いたいのですが、実はこれ全く嘘で、単に冷却するのを忘れただけです。NINAだと冷却されてないと警告が出るのですが、SharpCapはそういった親切設計にはなっていません。

NINAってできるだけ撮影を失敗しない設計になっています。冷却設定も親切で、まだ冷えている途中だと完全に冷えるまでは警告を出してくれます。例えばファイル形式はデフォルトfitsで、形式を変えるときは結構奥の方で「あえて」変更してやる必要があります。SWAgTiだと必要ないですが、例えばガイドソフトがつながっていないと警告を出してくれます。SharpCapは撮影「も」できる汎用ソフトですが、撮影「専用」ではないので、色々「設定できる余地」が残っていて、ミスもあり得てしまうというわけです。

でも今回はさらにしょぼいです。もっと言い訳するんですが、最初はSharpCap上でちゃんと冷却したんですよ。でも、一度SynScan Proとの接続がトラブって、一旦「あえて」SharpCapを落としたんですよね。後から考えたらわざわざ落とさなくてよかったんです。でも落とした後の復帰で他に気を取られていて、冷却をオンにするのを忘れて撮影を開始してしまったというわけです。そういえばライブスタック画像を見た時に「なんかノイジーだなー」とか思ってたんですよ。でも気づいたのは撮影も終了して、次の日に画像処理を始めてからでした。なんかおかしいと思ってfitsのヘッダ情報を見たら、センサー温度が32度とかになっていました...。


プレートソルブをなんとか使う

冷却は忘れてしまいましたが、その分トラブルに対して色々試したおかげで、SWAgTiでの撮影までのコツが少しわかりました。

前回報告した通り、やはりプレートソルブをすると、しばらくして接続がおかしくなるのはもう間違いないようです。今回もそうだったので、再現性があります。今回試して、接続がダメになった後にSharpCapを立ちあえげる必要がないのはわかりました。SynScan Proのみ一旦落として再起動すると、うまく再接続されるときもあるし、再接続されずにエラーが再度出るときもあります。うまくいかないときは更に、SynScan Proの「アラインメント」の「リセット」を押すと、再起動でエラーが出ることがなくなるようです。たとえリセットしたとしても、実際のアラインメント情報はAZ-GTiの方に残っているため、再度SharpCapから接続すると今向いている方向の情報がきちんと出てきます。

というわけで、こんな順序がいいのかと思います。
  1. SharpCapからSynScan Proに接続する。
  2. SynScan Proで、ワンスターアラインメントを実行する。
  3. SharpCapからプレートソルブを実行して、初期アラインメントの天体が画面中央に入るのを確認する。
  4. (この時点で落ちることは多分まだないので)SynScan Proで、撮影対象天体を導入する。
  5. SharpCapからプレートソルブを実行して、撮影対象天体が画面中央に入るのを確認する。
  6. 必要なら、SynScan Proの矢印ボタン、もしくはSharpCapの矢印ボタンで画角を調整する。
  7. (プレートソルブを何度かしたり、しばらく時間が経ったりして)接続が切れたり、接続エラーが出たら、一旦SynScan Proを落とし、SynScan Proを再起動して、アラインメントの「リセット」を押す。
  8. すでに対象天体はプレートソルブされていい位置にいるはずなので、自動追尾をSWATに切り替える。
  9. ライブスタックを始める。同時にAZ-GTiの自動追尾が強制的にオンになるので、すかさずAZ-GTiの方の自動追尾をオフにする。
  10. ライブスタックの撮影時間を希望の長時間に設定する。
  11. ライブスタックのクリアを押して、長時間露光を開始する。
くらいでしょうか。とにかくポイントは、SharpCapとAZ-GTiの接続が切れたら、一旦SynScan Proを再起動、アラインメントの「リセット」を押すことです。

あ、前回までSharpCapがそこそこ古いバージョンだったのですが、今回最新にしても基本的に接続の安定度が大きく変わることはありませんでした。プレートソルブはやはり何か問題を引き起こすようです。ただ、最近AZ-GTiの方が大幅アップデートされて、AZ-GTi単独でプレートソルブ機能が実現されたようです。これがうまく動くなら、今の不安定な原因のSharpCapからのプレートソルブをしなくていいかもしれないので、期待できそうです。


撮影開始

と、こんなテストを色々していたら、いつのまにか天文薄明終了時間になったので、撮影を開始しました。上の通り、最低限のプレートソルブは使えた(一旦SynScan Proでのアラインメントからのリセットは必要でしたが)ので、かなり楽でした。その後は、SWAgTiならではの、ガイド無し、SWATの精度の良さに頼った、AZ-GTiを利用しての簡単ディザー撮影でした。

実用上は前回からかなり進歩していて、前回は一旦AZ-GTiをホームポジションまで戻して、ワンスターアラインメントもさらには目標天体の自動導入も、プレートソルブ無しで頑張って導入していました。


非冷却ではやはり...

さて、冷却忘れの結果ですが、なかなか悲惨なことになりました。処理は前回と同じ、ダーク補正も、フラット補正も、バイアス補正も、何も無しのライトフレーム単体でのスタックです。下の画像が、スタック直後の画像をオートストレッチしたものです。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

拡大するとわかりやすいでしょうか。
180.00s_FILTER-NoFilter_RGB_cut

ディザーは効いているので、縞ノイズのようにはなっていませんが、ホットピクセルが出まくりです。今回はこれでもSharpCapで簡易ホット/クールピクセル除去をオンにしています。でも全くダメだったので、WBPP時にCosmeticCorrectionでホットピクセルをソフト的に緩和しようとしましたが、焼け石に水でした。上の画像はそのCosmeticCorrectionも効かせた状態です。

この状態から、なんとか頑張って画像処理を進めましたが、やっぱりどうやってもダメでした。ホットピクセル起因のノイズが多すぎて、M20本体を炙り出すこともままならないです。


仕方ないのでダーク補正

仕方ないので、ダークファイルを別途撮影しました。一手間増えますが、これで非冷却のホットピクセルが補正できるなら、かなりマシです。
masterLight_BIN-1_3856x2180_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

180.00s_FILTER-NoFilter_RGB_cut


やっと画像処理

このまま画像処理を進めても、十分耐えるようです。低空で少し下にカブリがあるみたいなので、ABEの4次だけかけて、SPCC、BXT、iHDR、GHSと進めて、最後StarNetで星と背景を分離してPhotoshopに渡します。まあ、通常やっている処理をもう少し簡単にした程度でしょうか。結果はというと、かなりマシになりました。
180_00s_ABE4_SPCC_BXT_iHDR_GHS2

M20のあたりだけ切り出してみます。

180_00s_ABE4_SPCC_BXT_iHDR_GHS2_cut

トータル露光時間が48分と、1時間にも満たないので青いところはまだ全然不十分です。今回DBPを使っていますが、比較的青がでにくい強いフィルターにしては、かろうじて青い所も出たのかと思います。


SWAgTiの利点

今回は焦点距離250mmの3分露光ですが、BXT前でも流れるようなことは全くなく、曇る前の画像は、何かで揺れてしまった1枚を除いたので、採用率94.4%でした。この追尾の安定度はSWATならではで、AZ-GTiが途中にあっても撮影中にモーターに信号さえ行かなければ全然揺れないことがわかります。

今回は、予期せず非冷却になってしまい、SWAgTiでどこまで手を抜けるか試したことになるのですが、結論としては夏場は少なくとも冷却するか、ダークファイルを別途撮影してダーク補正すれば、ホットピクセルに関しては許容範囲になるということでしょうか。

冬場ならなんとかなるか... ?


SharpCap(有料版のみ)やASILiveには、リアルタイムでダーク補正をしてくれる機能がついています。これがどこまで有効なのか、常にオンにしておいた方がいいのか?色々やり方はあると思います。今回は私Samが普段どうしているかSharpCapを使って解説したいと思います。


ホットピクセルがはいずった痕

SharpCapでの電視観望中Live stackをしていると、よく赤、青、緑の単色のミミズみたいなノイズが入ることがあります。「ホットピクセル」とか言われているもので、長時間露光時やセンサー温度が高い時に出てくるダークノイズの言われるもの一種です(下の画像をクリックして拡大して見て下さい)。
hot

この画像は、自動追尾さえしてなくて、Livestackのみで星像を重ねています。なのでこんな短時間で長いミミズさんがでてますが、自動追尾している場合は同じ時間ならこれより遥かに短くなります。

いずれにせよ電視観望でも見栄えが良くないので、これを取り除きたくなるかと思います。こんな時はリアルタイムでダーク補正ができる機能があります。


ダーク補正機能の注意点1

SharpCapでのダーク補正は簡単で便利なのですが、いくつか注意があります。まず一つ目、これはSharpCapに限らず一般的なことなのですが、

撮影したダークフレームは、
同じ露光時間、同じゲインでしか
使用できない

ということです。見たいものが安定していて、露光時間とゲインが確定していれば問題ないのですが、電視観望みたいに露光時間やゲインをちょこちょこ変えて見ていると、ダークフレームをどの設定で撮影すればいいか決まりません。もちろん厳密に合わせなくてもダーク補正の効果はあります。ただし、設定がズレればずれるほど、その補正効果も小さくなっていくので、やはりできるだけ合わせておいた方がいいでしょう。

実際の電視観望では、導入時(移動する動きを見たいので、露光時間は例えば400ms程度)、観察時(止まっているので長い露光時間、例えば1.6秒とか、3.2秒、長くても12.8秒程度まで)の露光時間をあらかじめ決めておきます。ゲインは最大から一段階下げるくらいで、高い位置のままいじりません。このようにして、ダークフレームは観察時の設定に合わせるように一種類だけ撮影しておけば、基本的には事足りるはずです。何種類もとって切り替えてもいいですが、観望会でお客さんがいる時などは、時間のロスになってしまうかもしれません。


ダーク補正機能の使い方

SharpCapでの実際のダーク補正のやり方です。

1. まずはメニューの「キャプチャ」から「ダークフレームキャプチャ」を選びます。
2. 撮影前に、必ず鏡筒に蓋をするのを忘れないで下さい。
3. 枚数は多くなくていいです。8枚とか、16枚で十分でしょう。ただし、撮影のようなことをしたくて数十分以上とかの超長時間ライブスタックを掛ける場合はそれなりの枚数にして下さい。
darkcapture

4. ダークフレームの撮影を開始し、スタックし終わるのを待ちます。
darkcapturing

5. ダークファイルができたら、右の「前処理」タブの「ダーク補正」で「参照」を押し、ダークファイルを選択します。自動的にできたファイルのフォルダに移動さるはずなので、そこにあるファイルを選べばいいでしょう。

これでLive stackをしてみると、目立っていたミミズさんはすっかり消えているはずです。ただ、細かいたくさんの縞が残るかもしれません。それでもダーク補正しないよりはマシになるかと思います。

LS_80


ダーク補正機能の注意点2

さて、ここから少しテクニックです。この状態で鏡筒にカバーをしてヒストグラムを見てみましょう。
nohot

ここでの問題は、ヒストグラムの山の左端が切れてしまっていることです。SharpCapでは輝度が負の値になるようなことはなく、0以下は全て0になるようなので、ものすごくおかしなことは発生しません。でもこれは読み出しノイズがガウス分布に従わずに、不自然な状態になってしまっていることになります。言い換えると、
リードノイズの暗い部分はバッサリ斬られていて、
階調がとれなくなります
これが2つ目の注意点です。

階調がとれないとはどういうことでしょうか?例えば、先ほどの北アメリカ星雲を見ている時に輝度をあえて下げてやって、ヒストグラムの山の左端を欠いてやります。

LS_bad

ライブスタックのヒストグラムの左が欠けていますね。すると色バランスが損なわれ、どういじってもこの画像のように見た目にもおかしいものしか出てきません。

これは極端な場合なので、普通に電視観望している範囲では基本的にはこんなことは発生しません。でも、もし画像を見て階調が取れないような時は変にヒストグラムがカットされていないかを疑った方がいいこともあるので、心に留めておきましょう。


ヒストグラムの山を回復する

さて、リードノイズに関して、このような階調不足を避ける方法を考えます。まず、ダークフレームを撮影する前に、右の「画像情報」タブの「輝度」のところを、最初から少しあげておきます

withhot

私は最大値(ASI294MCの場合80)の半分くらい(40)にします。ポイントは右パネルのの「ヒストグラムストレッチ」で見て、まずはダークフレーム取得時点で山の左が欠けていないことを保証すること。山の左すそが、一番下まで言っていればいいです。山が左に行きすぎて左すそが途中で無くなっているような状況は避けてください。

ここまではいいのですが、この状態でダークフレームを撮影してダーク補正を適用すると、オフセットも消そうとするためヒストグラムの山の左が欠けた状態になります。
nohot

ここで、さらに「画像情報」タブの「輝度」の値を上げて、ヒストグラムに山の左側に欠けがないように再び設定します。

nohot_withoffset
山が回復したのがわかるかと思います。

ちなみに、電視観望をやっているだけなら、上記の補正は特にしなくても、特におかしいことはないと思います。補正の有無で以下のようになります。

LS_80
輝度補正なし(40のまま)。

LS_80real
輝度補正あり(80に増加)。

補正有無で比べても特にどちらかが悪いということはないと思います。ただこれを画像処理とかして、撮影画像とかして扱うときは補正なしだと少し気をつけた方がいいかもしれません。リードノイズに相当する部分が既に破綻しているので、もしかしたら何か影響があるかもしれません。


リアルタイムダーク補正は必要か?

ちなみに、私は電視観望の際は大原則としてリアルタイムダーク補正はしません。理由は、露光時間、ゲインを頻繁に変えることが多いからです。また、月や惑星などの明るい天体を見ていて、ライブスタックに入らないような場合には、ホットピクセルは点のままで線にはならないので、そこまで問題にならないはずです。

ホットピクセルが多い場合(カメラの機種に依りますし、気温にも依ります。)で、ライブスタックに入り、かつ露光時間とゲインの設定をあまりいじらなくていいくらいになると、リアルタイムダーク補正をすることがあります。特に、ライブスタックで数分以上の長さでしばらく放っておくような時です。

リアルタイムダーク補正を行う際は、上で説明したリードノイズの山の形の補正は必ずやるようにしています。といっても、炙り出しがキワキワになった時にもしかしたら効くかもしれないと思ってしまうからという程度です。

あとよく似たことで、リアルタイムフラット補正は使ったことがないです。これは鏡筒の方向を変えるとカブリなどの状況がガラッと変わるからです。かなり昔に一度だけリアルタイムフラット補正を試したことがありますが、あまりうまくいかなくてそれ以来使っていません。その頃から大分状況は変わっているので、もしかしたら今試してみたらもう少しいい方法があるのかもしれません。


まとめ

いつかこのリアルタイムダーク補正の話を書こうと思って、途中書きになっていたのですが、前回の記事のコメントでちょうどカトーさんからダーク補正についての質問がありました。これが答えになってくれるといいのですが。


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