ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ペリカン星雲

ε130Dでのセカンドライトとなります。とうとうテスト撮影です。今回色々トラブルはありましたが、結果を見る限りかなりの性能のようです。


カメラとフィルターホイール、フィルターの準備

電視観望でのε130Dのファーストライト以来、ちょっと時間はかかりましたが、ε130Dで最低限撮影するだけの機材は揃ってきました。用意したのは以下のものです。

  • 2インチのフィルターホイール。
  • 2インチフィルターはZWOのLRGBフィルターセットと、ナローバンドではとりあえずBaaderのHαとOIII。
  • カメラはASI6200MM Pro。
  • 接続アダプターとして、ZWO製のCanon EFマウント用のアダプターと、ε130側にタカハシのDX-WRカメラマウント。
鏡筒以外にも、撮影しようとするとこれくらいは必要なので、本格撮影は大変ですよね。あとはEAFを用意するくらいでしょうか。全部揃えると値段が値段なので、なかなか一度にパッとはいきませんが、着々と準備は進んできています。 


撮影用機材の取り付け

実際の撮影用機材の取り付けです。連休前の土日に時間をとってじっくり取り組みました。

まずは販売店のページなどで見つかる解説に従って、フィルターホイールのネジを外して分解し、CMOSカメラを取り付けます。センサー面にホコリがつくと、フラットフレームの使い回しができなくなるので、ホコリなどがつかないように細心の注意をはらいます。

カメラの固定が終わったら、とりあえずすぐにフィルターを一枚とりつけて、センサー面がこれ以上暴露しないようにします。この際、センサーの真上でフィルターを取り付けると、ねじ山の切り屑がセンサー面に落ちる可能性があるので、必ずねじ締めはフィルターホイールを回転させ、センサーの上から外れた位置で行います。

その後、各フィルターを順次取り付けていきます。フィルターホイールの付属品でフィルター押さえがついていますが、とりあえずフィルターに最初からついているリングをつけたまま取り付けてみました。装着の際はどうしてももホコリはある程度のっかってしまうので、できるだけ立てて垂直にして取り付けるとか、ブロワーでホコリを何度も吹き飛ばしながら、目で見て何もついていないことを確認しながら進めます。最終的にOKと確認して、さらに蓋の裏側のホコリもブロワーで十分に飛ばして、垂直に立てたまま蓋を閉めてネジを止めます。手で回してみてもぶつかったりはしていないようだったので、OKとしました(後でダメだったと分かった...)。


フィルターホイールと鏡筒の接続

フィルターホイールと鏡筒との接続は、Canon EFアダプターを使うことにしました。理由は、カメラを取り外して再度取り付けた際の回転位置の再現性が欲しいからです。ε130側にはTSA-120で使っていたタカハシのDX-WRカメラマウントを取り付けて、カメラ側は以前ASI2400MC Proを試したときに用意したZWOのEOS EFマウントを取り付けます。

今回使ってみてかなり便利そうだったので、ASI294MM ProもそのうちEFマウントにしてしまおうと思いました。こうするとモノクロCMOSカメラとカラーCMOSカメラの取り替えや、一眼レフカメラを使いたい時も、電視観望にしたいときも、センサー部を暴露してホコリまみれにすることなく、再現性よく交換することができるはずです。唯一の欠点がオフアキガイドをする手がなくなるということですが、今のところSCA260の1300mmまでは普通のガイド鏡で大丈夫そうなので、交換の手軽さを優先することにします。あ、フィルター面につくホコリは少しきになるかもしれませんが、キャップもCanonのものを使えるので、入手性もよくきっちり閉じることができそうなので、そこまで問題にならないかもしれません。


いよいよテスト撮影

5月2日の夜、いよいよ明日から連休です。天気がいいので、いよいよテスト撮影開始です。あいにくの月齢12.5日でかなり明るい夜ですが、ナローバンド撮影ならなんとかなるでしょう。ターゲットは北アメリカ星雲とペリカン星雲。せっかくの広角なのである程度面積のあるものがいいかと思いました。以前似たような焦点距離のFS-60CBとほぼ同じ大きさのカラーセンサーのEOS 6Dで、CBPフィルターを使って撮影したことがあるので、結果を直接比較することができます。

せっかくのフルサイズCMOSカメラなので、16bitと高解像度を活かしてbin1でgain120、露光時間5分撮影してみました。狙いはAOO撮影なので、HαとOIIIフィルターです。でも撮影されたHα画像を見るととても暗いです。ヒストグラムのピーク位置が1000/65536にも全然達していません。Hαでこれなので、O3だとさらに暗くなりそうです。10毎撮影したところで方針転換して、bin2でgain240、露光時間5分としました。bin1だとファイルサイズが100MB越えで大きすぎるということもあります。これだと明るさはbin1->bin2で4倍、gainが120->240で12dB分なので6dB+6dB=2x2=4倍と考えて、約8倍になります。bin2といってもソフトビニングなので、読み出しノイズも4回読み出しているので、S/Nは4/sqrt(4) =4/2=2倍しか得しません。gainを4倍にしているので、読み出しノイズに制限されているならS/Nはダイレクトに4倍得するので合わせて8倍のS/Nになるはずです。かなり暗い画像なのでこの効果は結構効いていて、実際にRAW画像をASIFitsViewerで撮影中に簡易的にみても明らかにノイズが小さくなっていました。もちろん、gainを上げたことでダイナミックレンジは13.5bit程度から11bit程度に落ちてしまいますが、それでもまだ余裕があるでしょう。

結局この日はbin2のHαをさらに10枚とって時間切れで終了となりました。


いくつかのトラブル

テスト撮影でいくつか問題があることが発覚しました。
  1. フィルターホイールとカメラが重かったので、鏡筒前方に荷重がかかりすぎでバランスが崩れた。ドブテイルプレート下面にとりつけたアルカスイスプレートが邪魔をしてパランスが合わせきれなかった。
  2. フィルターホイールが途中で引っかかるることがあり、ホイールを回転させるとうまくいくこともあるが、多くの場合エラーが出て止まってしまう。たとえうまく動いても位置が確定しないようで、撮影画面を見ると片側が暗くなることがある。これは許容範囲外。
  3. フィルターホイールと鏡筒を繋ぐカメラアダプターが、回転方向にがたつく。
1つ目ですが、これはアルカスイスプレートの位置を前に少しずらして全体を後ろに後ろに移動しましたが、ずらせる範囲に限界もあり少し前荷重が残っています。

2つ目ですが、フィルターホイール内を見直してみました。すると、ZWOフィルターよりもBaaderフィルターの枠の方が分厚くて、特にOIIIフィルターの枠は特別厚いことがわかりました。

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正面奥右に見えるOIIIフィルターの枠が一番背が高く、左隣のHαが次に高いです。

これがギリギリフィルターホイールの蓋の裏側の出っ張りに引っかかっていたようです。フィルターを新たに買ってもいいのですが、予算的にも時間的に直ぐにはためせなくなってしまうので、このOIIIの枠を背の低い手持ちのフィルターの枠と取り換えることにしました。

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忘れないようにテプラでシールを作り貼っておきました。

3番目は結局解決せずです。下の写真の向かい合った下のZWO製のアダプターの「爪」と、上のタカハシ製のアダプターの「切り欠き」でカチッとハマって固定されるのですが、この爪の径と切り欠きの幅が合っていないのです。外すときは爪がへこんで下がるので、この爪を接着剤とかで太くすることは出来ません。切り欠きの隙間を接着剤で少し埋めて細くすることも考えましたが、安くない部品なのでまだ躊躇しています。結局、あえて力を加えないと重力程度では回転しないこともわかったので、そのまましばらく使うことにしました。

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EAFも到着

これらの手直しをしている連休2日目、ちょうど発注していたZWO製のEAFが到着しました。スターベースで頼んだタカハシ仕様のものです。カプラーの径が標準のものと変更されていて、タカハシ鏡筒のフォーカサーの太い軸に合わせたものが入っています。特にトラブルもなく取り付けることが出来ました。

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撮影2日目

前日はHαだけしか撮影できなかったので、この日はOIIIを優先します。5分を12枚の1時間を1ターンとして、OIII、Hα、OIII、Hαと4ターンを目指します。あいにく月は最後まで出ていて、暗いOIII撮影には例えナローバンドといえ影響があるといいます。まあ今回はテスト撮影なのでよしとします。

撮影開始前に、早速NINAでEAFを使ってオートフォーカスを試してみました。ちょっと前の記事でオートフォーカスについて書きましたが、NINAのオーバーシュートを使う場合は「バックラッシュ補正をイン側かアウト側の片側だけ書き込む」とありました。今回それを試したところ、初めて右側の最初のステップのずれをなくすことができ、ほぼ完璧に曲線と一致させることができました。

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ここまでピッタリ合うとかなり気分がいいです。数カウント位の精度までいっているっぽいので、今後かなり正確にピントが合わせられるかと思います。

さて、この状態での四隅を見てみます。bin2の解像度で256ピクセル四方を9枚切り取っています。

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思ったより星像が伸びています。下の方が縦長になっていて、上の方が横長です。スケアリングだけだと説明できないかもしれません。光軸をもう一度見直す必要がありそうです。

今回はBXTの恒星の補正で直せることに期待したいと思います。


画像処理

夜の撮影後の次の日の昼間に、新しい鏡筒とカメラなので、bias(実際には処理には使わない)、flat、flatdark、darkなどをNINAで撮影して、画像処理に備えます。flatはついでなので全フィルター分撮影してしまいます。ホコリなどが顕著でなければ使い回しができるでしょう。

今回Hα画像を仮処理したところでなぜかすごい分解能が出たのですが、理由は前回の記事の通りで、bin2で撮影したと思ったらPixInsighのインテグレーションの際にbin1相当の高解像度になってしまい、そこにBXTをかけたことが原因でした。drizzleで2倍の解像度にしても同様の効果があることがわかりました。

 


その後、OIII画像と合わせて画像処理を進めます。Hαに比べて、さらに暗いOIII画像は見た目にもかなりノイジーだったので、OIIIのインテグレートの後のかなり初期の段階でNoiseXTerminator(NXT)を軽くかけました。普通はBXTの前にNXTをかけるのはご法度なのですが、ノイズの差がありすぎてBXTがそれを拡大しているような処理をしてしまったので仕方なくの判断でした。

といっても、画像処理にはこういった臨機応変な対応が実はとても重要だと思っていて、他人のいい処理フローチャートがあったりしても、たとえ自分で作った処理フローチャートでさえも、闇雲に信じたりせず、本当にきちんと処理できているか確かめながら進めるのが重要なのかと思います。そのためにはやはり、実際にどんな処理しているか、できる範囲でもいいのでその理屈を理解することは大切なのかと思います。


結果

結果を示します。

「北アメリカ星雲とペリカン星雲」
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  • 撮影日: 2023年5月3日1時22分-2時9分、5月3日23時44分-5月4日3時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader:Hα 6.5nm、OIII 10nm
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 240、露光時間5分、Hα: 30枚、OIII: 22枚の計28枚で総露光時間4時間50分
  • Dark: Gain 240、露光時間5分、温度-10℃、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain240、露光時間 Hα: 0.2秒、64枚、OIII: 0.1秒、64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ε130Dの分解能は期待以上でした。特に解像度に関してですが、撮影はbin2でしましたが、画像処理は一番最初に処理した参照時にbin1相当に高解像度化されたものを使いました。BXTもこの状態でかけたので、相当高分解能で仕上がっているはずです。でも結局のところ、この解像度だとJPEGにしても画像サイズが大きすぎてこのブログにアップロードすることさえできません。結局全ての画像処理が終わってから、元のbin2相当の解像度に落としてアップしています。こうなるともう高分解能はただの自己満足です。おとめ座銀河団の時のように一部切り出して拡大するとかくらいしか使い道がありません。

あ、今思ったのですが、ε130DとASI6200MM Proでおとめ座銀河団高分解能バージョンを試してもいいかもしれません。これはまた楽しみが増えました。

問題があった四隅の星像に関しては、BXTの補正効果が圧倒的です。下の画像はbin1相当の解像度で256ピクセル四方を9枚切り出しています。なので、先に出した四隅画像より狭い範囲を見ていることになります。真ん中右の二つの並んだ明るい星が比べやすいかと思います。
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先のbin2の画像より狭い範囲を見ていても、完全に許容範囲レベルになっています。ここまで直ってしまうと、光軸調整をもう一度やるかどうか迷ってしまいます。光軸とは別ですが、そーなのかーさんが進めてくれたHocus Focusが凄そうで、スケアリングが測定できるみたいです。こちらは次回試してみようと思います。


課題:
明るい輝星の周りにハロが出てしまっています。こちらは主にOIIIフィルターの影響です。撮影用ではなく、眼視用のものを使っているからかもしれません。それでもOIIIフィルターほどではありませんがHα用のも少しだけハロが出ています。これ以上を求めると、フィルター代だけで凄いことになりそうなので、今のところは我慢して画像処理で誤魔化すことにします。

今回はAOO合成なので、そもそもどう頑張っても色のバリエーションがあまり出ません。特に、Hαの明るいところはのっぺりした赤になってしまいました。Rはそれでもまだ暗くて階調を使い切れていないので、もっと最明部の輝度を上げても良かったかもしれません。でもあまりにやると飛んでるように見えてしまうので、バランスが難しいところです。また、OIIIはそもそも暗い上に撮影時間もあまり長くなかったために、少しノイジーでした。そのこともあって、OIIIの暗い所、特に背景部に関しては赤みがかってしまいました。

おまけの恒例Annotationです。

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まとめ

さてε130Dでのテスト撮影を試みましたが、できた画像を見る限りものすごいポテンシャルの高さを感じます。光軸の問題はまだあるものの、分解能に関してはかなりものです。BXTとの相性も良さそうなので、今後もうまく使っていこうと思います。

自宅で淡い天体を広角で出すというのが目標ですが、今後の本格的な撮影が楽しみになってきました。


連休中にε130Dのテスト撮影をしているのですが、その画像処理の過程で面白いことがわかりました。このネタだけで長くなりそうなので、先に記事にしておきます。


最初に出てきたε130Dの分解能にビックリ!

今回ε130Dで初の撮影を進めています。満月直前で明るいので、ナローバンド撮影です。初めての機材なので色々トラブルもありますが、それらのことはまた次の記事以降で書くつもりです。とりあえず2日かけてなんとか約2時間半分のHα画像を撮影しました。細かく言うと、ASI6200MM Proのbin1で1時間ぶん、かなり暗かったのでその後bin2で2時間半分撮影しました。

その後、まだ仮処理段階のbin2のHα画像を見てびっくりしました。bin2撮影の2時間半ぶんをインテグレートして、BlurXTerminator(BXT)をかけて、オートストレッチしただけですが、なぜかわからないレベルのすごい分解能が出ています。下の画像はペリカン星雲の頭の部分を拡大して切り出しています。

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昔FS-60CBとEOS 6Dで撮ったものとは雲泥の差です。
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分解能の理由の一つ

ちょっとビックリしたのでTwitterに速報で流してみたのですが、かなりの反響でした。分解能がいいと言われているε130DにモノクロCMOSカメラなので、ある程度分解能は出ると予想していましたが、予想以上のちょっとした魔法クラスです。

その後、画像処理がてらいろいろ検証を進めていたのですが、魔法の原因の一つは少なくとも判明しました。ちょっと面白いので検証過程を紹介しつつ、謎を解いていきます。


意図せずして高解像度に...

まず、今回大きなミスをやらかしたことです。テスト撮影ではbin1とbin2の2種類を撮ったのですが、それらの画像をPixInsightで同時に処理していました。2種類のマスターライト画像が出来上がるわけですが、ここで問題が起きていたことに後に気づきました。

reference画像をオートで選択していたのですが、そこにbin1のものが自動で選択されてしまっていた
のです。その結果、bin2の低解像度のものもregistration時に強制的にbin1のものに合わせられてしまい、高解像度になってしまっていました。その状態に気づかずにBXTをかけてしまい、予期せずして恐ろしい分解能の画像になっていたというわけです。

その後、気を取り直し再度普通のbin2画像を処理して比較してみると、いろいろ面白いことに気づきました。メモがわりに書いておきます。


1. BXTのPFSの値と解像度の関係

まず、BXTのパラメータですが、恒星の縮小とハロの処理は共に0としてしないようにしました。背景の青雲部の詳細を出すために、PSFを7.0にしてSharpen Nonstellerを9.0にします。

これをbin1画像に適用してみます。この中の一部をカットしたのが以下です。最初の画像と同じものです。少し出しすぎなくらいのパラメーターですが、まあ許容範囲かと思います。

BIN_2_4784x3194_EXPOSURE_300_00s_FILTER_A_ABE_Preview01

これをそのまま同じBXTのパラメーターでbin2画像に適用してみます。明らかに処理しすぎでおかしなことになっています。許容範囲外です。
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次に、bin2画像は解像度が半分になっていることを考慮し、PSFを7.0から3.5にします。するとbin1でPSF7.0で処理した程度になります。これをbin2画像に適用します。

bin2_good_BXT_BIN_2_4784x3194_300_00s_FILTER_A_Preview011

bin1にPSF7.0で適用したのと同じくらいの効果になりました。これでbin1とbin2に対するBXTの効果が直接比較ができるようになったと考えることができます。

このことはまあ、当たり前と言えば当たり前なのですが、BXTのPSFは解像度に応じて適時調整すべきという教訓です。もちろんオートでPSFを決めてしまってもいいのですが、オートPSFはいまいち効きが悪いのも事実で、背景の出具合を調整したい場合はマニュアルで数値を入れた方が効果がよく出たりします。


2. referenceで解像度が倍になったのと、drizzleで2倍したものの比較

referenceで解像度が倍になったのと、drizzleで2倍したものの比較をしてみました。これはほとんど違いが分かりませんでした。下の画像の左がreferenceで解像度が倍になったもの、右がdrizzleで2倍にしたものです。かなり拡大してますが、顕著な差はないように見えます。
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これにBXTをかけた場合も、ほとんど違いが分かりませんでした。同じく、左がreferenceで解像度が倍になったもの、右がdrizzleで2倍にしたものです。
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この結果から、わざわざbin1を撮影してフィットとかしなくても、bin2でdrizzleしてしまえば同様の分解能が得られることがわかります。


drizzleで2倍にしてBXTをかけた場合

次に、bin2で撮影したものと、bin2で撮影したものをdrizzleで2倍にした場合を比べてみます。左がbin2で撮影したもので、右がbin2をdrizzleで解像度を2倍にしたものになります。左のbin2の拡大はPhotoshopで細部を残しすようにして2倍にしましたが、やはり一部再現できてないところもあるので、もと画像を左上に残しておきました。
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それでもちょっとわかりにくいので、PCの画面に出したものをスマホで撮影しました。こちらの方がわかりやすいと思います。左がbin2で撮影したもので、右がbin2をdrizzleで2倍にしたものです。(わかりにくい場合はクリックして拡大してみてください。はっきりわかるはずです。)
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ぱっと見でわかる効果が微恒星が滑らかになることです。ですが、背景に関してはそこまで目に見えた改善はなさそうに見えます。

ところが、これにBXTをかけた場合、結果は一変します。明らかに2倍drizzleの方が背景も含めて分解能が上がっているように見えます。(と書きたかったのですが、どうも画像を2倍に大きくするときにやはり補正が入ってよく見えすぎてしまい、右とあまり変わらなく見えます。ここら辺がブログでお伝えできる限界でしょうか。実際には左上の小さな画像と、右の画像を比べるのが一番よくわかります。)
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同じくわかりにくいので、これもPCの画面に出したものをスマホで撮影しました。左がbin2で撮影したもので、右がbin2をdrizzleで2倍にしたものに、それぞれBXTかけています。
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この右のものは、最初に示したbin1画像を参照してしまって予期せずして解像度が倍になった場合の結果とほぼ等しいです。

どうやら「BXTは画像の解像度を上げてから適用すると、背景の分解能を目に見えてあげることができる」ということがわかります。解像度を上げたことで情報をストックする余裕が増えるため、BXTで処理した結果をいかんなく適用保存できると言ったところでしょうか。言い換えると、BXTが普通に出す結果はまだ表現しきれない情報が残っているのかもしれません。これが本当なら、ちょっと面白いです。


分解能が増したように見える画像を、解像度2分の1にしたらどうなるか

では、解像度増しでBXTで分解能が増したように見える画像を、再度解像度を半分にして元のように戻した場合どうなるのでしょうか?比較してみます。左が1で得た「bin2にBXTをPSF3.5で適用した画像」、右が「一旦解像度を増してBXTをかけ再度解像度を落とした画像」です。

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結果を見ると、そこまで変化ないように見えます。ということは、解像度自身でBXTが出せる分解能は制限されてしまっているということです。

ここまでのことが本当なら、BXTの能力を引き出すには、drizzleで画像自身の解像度を上げてからかけたほうがより効果的ということが言えそうです。


まとめ

以上の結果をまとめると、
  • drizzleは適用した方が少なくとも微恒星に関しては得をする。
  • BXTと合わせると背景でも明らかに得をする。
  • drizzleして分解能を上げるとBXTの効果をより引き出すことができる。

ただしこのdrizzle-BXT、拡大しないとわからないような効果なことも確かで、そもそもこんな広角の画像で無駄な分解能を出して意味があるのかというツッコミも多々あるかと思います。それでも系外銀河など小さな天体にはdrizzle-BXTは恩恵がある気がします。まあ取らぬ狸の皮算用なので、小さな天体で実際に検証してから評価するべきかと思います。

今回の効果はおそらく意図したものではないと思いますが、BXT ある意味すごいポテンシャルかと思います。ここまで明らかに効果があると思うと、過去画像もdrizzleしてもう少しいじりたくなります。

前回の記事のFMA135のファーストライトで、星像テストのことを書きました。



そのテストのあと、せっかく晴れの時間があるので何か試そうと電視観望をすることにしました。いや、どうせ月が煌々と輝いていて撮影などは無理なので、多少の光害に負けない電視観望くらいが楽しいのかと。


セットアップ

カメラはせっかくなので同じSIGHTRONさん提供のPlayer OneのNeptune-C IIとします。同じ入門クラスのASI224MC(IMX224、1/3インチ)やSV305-SJ(IMX290、1/2.8インチ)よりは1/1.8インチのIMX464を使っているNeptune-C IIの方が多少センサー面積が広いので、導入もしやすくなるはずです。それでもセンサー面積はそこまで大きいわけではないので、今回のような135mmという焦点距離の短さは広い視野を得ることができるため、ぴったりなのではと思います。

今回はFMA135の箱の中にある、アイピース取り付けアダプター(下の写真の左の部品)を使って、CMOSカメラ(Neptune-C II)を取り付けます。

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さらに右の赤い足ですがファインダーベース規格になっているのでしょうか、少し汎用性がないので下にアルカスイス互換のプレートをつけてやります。

カメラを取り付けたのが下の写真になります。足が赤色でカメラと同じ色なのもポイントですね。足の下の黒い板が、アルカスイス互換プレートになります。また、カメラにはQBPとUV/IRカットフィルターをつけています。月明かりなのでQBPがあった方がいいでしょう。

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これらをAZ-GTiに載せたいのですが、AZ-GTiへの取り付けはVIxen規格のアリミゾなので、私はVIxen規格のアリミゾとアルカスイス互換のクランプをねじ止めしたようなアダプターを作って使っています。

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これらを組み合わせてAZ-GTiに載せます。

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外に出す際の接続ですが、
  1. カメラを適当なWindowsマシン(Stick PCやノートPCなど)に繋ぎ、そのPCをカメラの近くに置きます。
  2. このWindowsを自宅Wi-Fiにつなぎます。
  3. 家の中では別のPC(Mac)から外のWindowsにRemote desktopで接続します。
  4. AZ-GTiはステーションモードで自宅Wi-Fiに繋ぎます。
  5. 外のWindows PCでSynScan Proを走らせ、ここからAZ-GTiをコントロールします。
というようになっています。実はこの日すごい風で、ビュービュー音が聞こえるくらいでした。そんな状況でも家の中から気楽に見えるこの接続方法は、かなり快適です。
  • 必要なケーブルはカメラと外のPCを繋ぐUSB3.0ケーブル1本です。USB3.0は長さが3mという制限があるので、カメラとPCはあまり遠くには離せません。
  • AZ-GTiのステーションモードの設定がいまいちうまくいかないことがあるのですが、そんな時は5GHzのSSIDに繋がってないか疑ってみてください。AZ-GTiは2.4GHzのネットワークのみ対応しています。
  • もし設定途中間違えるなどしてどうしてもAZ-GTiに接続とかできなくなってしまったら、電源を入れっぱなしにして1時間待って見てください。ネットワーク設定がリセットされます。


電視観望開始!

早速いつものように見てみましょう。と言っても時間は既に午前3時、すっかり夏の星座がのぼってきています。なのでまずは比較的輝度が高く、見やすいこぎつね座のM27、亜鈴状星雲を見てみます。

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うん、綺麗に見えてますね。ゲイン450/650、3.2秒露光で、27枚スタックです。トータル1分半くらいでこれくらいです。

口径わずか3cmの鏡筒ですが、Player OneのCMOSカメラNeptune-C IIとのコンビで十分に電視観望楽しむことができそうです。ちなみにNeptune-C IIのゲイン650まで出せます。650とは65dBのことなので、倍率で言うと2000倍近くになります。私が持っているカメラの中で最高のゲインはASI224MCの600です。ノイズが大きいとゲインもあげにくいので、おそらく回路的にもかなり低ノイズで自信があるのでしょう。ここらへんは後発の有利さがあるのですかね。

あ、ちなみに上の写真ですが、オプションをよくみるとわかってしまうのですが、スタックはしていますが、星を認識してのアラインメントはしていません。単純にオンにするのを忘れてただけです。それでもそこまでずれてないのでAZ-GTiも結構きちんと働いてくれるのがよくわかります。

で、次のこと座のM57、惑星状星雲です。

M57_01

こちらは星がずれていってしまってますね。ここでアラインメントされていないことに気づきました。え?なんでM27の時はずれてないのに、突然M57でずれたのかって?それはM57をかなり拡大しているからです。実際の全画角を見てみると

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M57どこにあるかわかりますか?真ん中の少しだけ左です。M57ってこんなに小さいんですね。

次は北アメリカ星雲です。6.4秒露光の22枚で、合計2分20秒の露光です。そういえばこの時でしょうか、ライブスタックしてアラインメントしてるにもかかわらず、6.4秒の中で星がずれてくのですケーブルでも引っ掛かったかと思って外に出ると、一瞬で何が問題かわかりました。風がすごいのです。もう、ビュービューゴーゴーいってます。それでもまだ近くに置いてあるテーブルとノートPCが吹っ飛んでいくレベルではないので続行です。
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今回は月が明るいので、SIGHTRONのQuad BadPass フィルター、通称QBPをNeptune-C IIにつけています。4つの輝線を通すフィルターですが、光害防止フィルターとしても非常に有効で、このように赤いHα成分をコントラスト良く出してくれます。

次はすぐお隣のペリカン星雲です。
Prican_01

うーん、ちょっとコントラストが低いですかね。

それもそのはず、この日はまだ大きな月が輝いています。このあとすぐにM8干潟星雲を導入したら、画面が真っ白になって、何を触っても画面もヒストグラムも動かなくなってしまいました。ちょっと寒かったので自宅からリモートで電視観望をしていたのですが、外に出てやっとわかりました。FMA135がほぼ月の方向を向いています。

気を取り直して露光時間を12.5ミリ秒、ゲインを0(先ほどのゲインの200分の1くらい、露光時間が6.4秒から12.5ミリ秒なので、500分の1くらい、合わせて10万分の1にしています)にまで持っていって、やっと月の姿を確認することができました。
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月と星雲は10万倍くらいの明るさの差があるということですね。電視観望はこんなふうに明るさの違いも数字ですぐに考えることができます。

流石に月のすぐ周りの星雲は見ることができないので、天の川中心は惜しいのですが再び北の方に戻ります。次に見たのが、うっすらとですが網状星雲。
naive_01

続いて三日月星雲。
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くどいようですが、口径3cmの鏡筒に入門用のCMOSカメラ、しかも月がかなり明るい時です。こんなものまで簡単に見えてしまいます。

今一度、M27に帰ってきました。今度はアラインメントもきちんとされてます。少し拡大しています。
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最初にあまり見えなかったM57です。今度はきちんと止まってますね。こちらも拡大しています。FMA135の解像度ではさすがにこれくらいの拡大が限界です。それでも恒星が肥大してないのは、レンズ系が相当優秀なのでしょう。
M57_03

最後ヘルクレス座の球状星団M13です。
M13

でもなんか見てて、あれ?こんなに淡かった?と不思議でした。それもそのはず、既にこのとき午前4時を過ぎていて、外に出たら既に薄明が始まって明るくなっていました。さすがにそれでは映るものも映らないはずです。それでもここまで見えるのだから、まあ大したものかと。

あらためて画像の時刻を見てみたら午前3時10分から初めて、午前4時5分頃に終わっていました。約1時間のコースでしたが、駆け足でここまで見えるのなら十分ではないでしょうか!


まとめ

いかがでしたでしょうか?

口径わずか3cmでここまで見えるとは、驚きではないでしょうか?

とにかく、口径3cmで多少暗いかと心配していたのですが、電視観望でも実用上全く問題にならないですね。さらにこれだけコンパクトなシステムとなってくると、今度はAZ-GTiさえ大きく感じてしまうくらいです。もっとまとまらないかなあとか考えてしまいます。Neptune-CIIも十分な感度があり、組み合わせ的にもちょうど良い感じでした。

FMA135ですがレンズ性能が良いため、拡大してもシャープで小さな星雲をみるのにもあまり不利にならないことも特筆すべきかと思います。このくらいの短焦点距離で収差を小さくするのはなかなか大変で、高価な高級レンズ以外では普通は恒星が滲んでしまうのですが、これだけピシッと見せてくれるのはさすがです。

うーん、この鏡筒(小さすぎてやはり鏡筒というのに気が引けます)かなり面白いです。ガイド鏡としても超優秀そうな予感がします。実際の撮影でどこまで出るのか興味津々です。頼んで試用させてもらった甲斐がありそうです。


さてさて、今日は連休2日目の日曜、朝からコメダ珈琲でこのブログを書きながら、3時間も長居してしまいました。コメダは気兼ねなく長居できるから良いですね。今日はずっと雨。コロナと月が明るいので、なかなか遠征する気にもならず。まあ、家でのんびり過ごしますかね。


2016/10/24、今日は久しぶりに空が晴れ渡っています。透明度もまあまあで、自宅から天の川は見えないまでもかなりの数の星が見えています。すばるは肉眼で余裕、M31がなんとかといったところでしょうか。

というわけで、昨日のFS-60Qの単焦点化によりFS-60CB相当になり、さらにレデューサーが入っているので焦点距離は180mm程度、それに加えて今回初めてIR/UVカットフィルターを入れて試します。今回は絶好のテスト日和となりました。自宅庭での電視で、カメラはいつものASI224MCです。

結論だけ言うと、大満足。観望会でこれだけ見せることができたら、きっと誰もが大喜びだと思います。

iPhoneでPCの画面を撮った順の、時系列でいきます。まずは北アメリカ星雲とペリカン星雲を連続で。同じ設定で、少しだけ位置をずらして撮っています。

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10秒露光です。十分色が出ているのがわかると思います。以前8mmのCSマウントレンズで撮った時は無理やり色を出していた感はありましたが、今回はそんなことをせずとも、はっきりと色と形が出ています。さらに言うとIR/UVカットフィルターが効いていて、赤カブリの無いかなり自然な色合いになっています。ただ、この時点ではSharpCapの調整がまだ最適化まで程遠く(特にDisplay Gamma)、次の写真を見るとわかるように、今ならもう少しうまく出すことができるかもしれません。

次は昨日のリベンジのM45: すばる(プレアデス星団)です。 

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圧倒的に綺麗になっているのがわかると思います。青い星間ガスも完全に見え始めています。これも10秒露光です。天気がいいのももちろんありますが、SharpCapの調整に慣れてきたことが大きいです。

続いてM31: アンドロメダ星雲です。なんと微細構造も見えてしまっています。

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M32も見えていますね。実は普通に出回っている画像と逆さまになってしまいました。撮影した時間帯ではほぼ天頂にあったので、カメラの向きがどちらか確定しなかったからです。それと、あと少しずらしていればM110も入ったのにと、後から気付きました。

最後はM42: オリオン大星雲です。

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2秒露光で余裕で見えます。スタックなしで250m秒でも鑑賞に堪えました。スタックすると相当細かい構造が見え始めます。

まだ天気はいいのですが、明日の仕事のこともあり、ここで撤収しました。もし観望会で、これだけ見せることができれば、皆さんかなり満足するのではないでしょうか。今回はオリオン大星雲を除いて、すべて10秒露光と、リアルタイム性には少し欠けますが、観望会中の、この場所の、この空に出ているものをこれだけのレベルで見せることができたら、多少時間がかかってもいいのではないかと思います。以前KyoeiのMさんが言っていましたが、長くかかることがわかると、お客さんからカウントダウンが始まるらしいです。そんな雰囲気になるのもまた面白いのではないかと思います。

ただ注意すべきことは、これらの画像はSharpCapの調整を駆使した後に出てきたものです。その場で調整をし出すとかなりの時間を食ってしまうことになると思います。なので、あらかじめ調整を詰めておいて何通りかの設定ファイルに残しておくなどの必要があると思います。


今回の撮影で、やっと電視観望に少し満足しました。α7Sも欲しいですがなかなか予算が取れないことと、SharpCapの機能がすごいので、しばらくはこれでいこうと思います。できるだけ準備にかける時間も少なくして、手際良くやる練習をしておきたいです。電視ファインダーは必須ですね。

やっと観望会で喜んでくれるお客さんの顔が想像できるようになりました。早く実戦で試してみたいです。

 

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