ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ヘリオスター100Hα

いよいよCP+で話したネタ
の記事化も、これで最後になります。

これらのネタを、今回の記事も合わせて4つの記事にしました。どれも、少なくとも日本のアマチュア天文ではあまり話題になったことがないものです。

海外を見るとヘリオスター100Hαのエタロンの測定結果はいくつかアップロードされていて、その中の最新の#5は私が測った結果とほぼ同じFWHMの値が出ています。#3はFSRが全然違うので、何か波長のキャリブレーションを失敗している気がします。

こうやってみると、CP+のセミナーのために色々試したとはいえ、新しいことも多く、今後も参照できるような結果になったのではないかと思います。

というわけで、今回はCP+でも目玉になった、5番目の太陽黒点の3分周期振動についてです。


撮影

撮影データは前回記事のシーイングの時間変化を検証した際の30秒に一回で200フレーム撮影し、60分で120枚撮影したものと同じになります。

120枚の画像を見比べている最中にまず思ったことは、「黒点の形が結構変わる」ということです。これは最初シーイングが時間変化しているからかと思っていました。でもある時、PixInsightのBlinkで短時間で連続的に表示していった時に、どうも何か意味のある動きのように見えました。

改めてよく見てみると、どうも黒点の動きが周期的に変化していることに気づきました。その黒点の動きが周りにシュワシュワと広がっていっているように見えたのです。どうやら黒点自身が振動していて、その動きが周りに伝搬しているようです。ここで「黒点、振動」で検索をかけると、3分周期の振動が存在すると言うことがわかりました。画面上で実際に周期を測定してみると、約6枚ごとに振動しているように見えました。1枚あたり30秒ですので、ほぼ3分周期で間違いないようです。

その後さらに、3分周期の動画がないかいろいろ検索してみました。探した限り、わずかに黒点周りが揺れてるような動画は見つかりましたが、あまりはっきりせず、むしろその動画からFFTでスペクトル計算し、そのピークを見積り周期が1÷3分=0.00556秒程度と求めていて、それで3分周期の振動があると結論づけているものがほとんどで、動画などでクリアに見るというよりは解析の結果の振動と結論づけているような印象でした。ましてや、振動が周りに広がっていくような動画を見つける事は、少なくとも探した範囲ではできませんでした。

ちなみに、撮影をしたのが2月14日で、画像処理を進めながら黒点が動いていることに気づいたのが2月23日くらい、振動していると気づいて「黒点 振動」で検索してみたのが2月26日で、CP+に出発するわずか前々日のことです。

この段階で、CP +での発表は結構インパクトがあるものになるのでは?と予測できましたが、相変わらず宣伝は下手くそなので、Xでそれとなく呟いただけで、事前にうまく知らせる事はできませんでした。結局、せいぜい発表前日の会場で会った知り合いの方たちに「すごいのが撮れた」と話すのが関の山でした。

実際にセミナー本番で見せたときにはかなりのインパクトで、会場でも「おぉー!」というような雰囲気でした。その後のSNSでの反応もかなりすごいものがありました。もっとうまく事前に宣伝しておけばよかったと、後になって思いました...。


タイムラプス映像

下はCP+で見せたものと同じ、2倍のバローを入れて撮影したもので、その日見えていた一番大きな黒点になります。


黒点が揺れている様子、その揺れが周りに伝わっている様子がかなりはっきりとわかるかと思います。もし振動らしい映像が見えない場合はおそらく解像度がSDになっているので、Youtubeの設定でHDモードを選んでみてください。かなりマシになると思います。

ちなみに、アップロードする際に、なぜこれまで黒点振動の映像があまりなかったかがわかった気がします。モノクロだとYoutubeの画像圧縮が働いてしまい、うまく振動に見えないのです。フォーマットを264にして解像度を1440pにしてやっと振動がはっきり見えてきました。それでも手元のオリジナルファイルでローカルで見るものよりもどうしても劣ってしまっています。このような、モノクロで、画面の一部の淡い揺れに近に注目して欲しいような動画は、かなりうまくアップロードしないとノイズなどと勘違いされてしまうようです。

さらに次の日の別のタイムラプス動画で、こちらはバローなしの1倍で、30秒おきではなく、1分おきに撮影した、太陽の全景の下半分程度の画角のものです。

ただしこれだと、動いている様子などはほとんどわからないので、黒点部分を一部を拡大してみます。

同様に、もう一つの黒点も拡大してみます。

今回は1分ごとの撮影なので、コマ数が少なく振動がわかりにくいですが、それでも振動が広がっていく様子はわかると思います。

プロミネンスも激しく動いているのがわかります。

ダークフィラメントはプロミネンスと同じものですが、上から覗いている形になり、動きがわかりにくいです。それでも下の動画を見る限り、1時間で大きく動いていることがわかります。



静止画像

全体の高解像度画像で最も分解能よく撮れたものも載せておきます。モノクロと、よくある反転、カラー、カラー反転になります。このように加工してもまた印象が違って見えて面白いと思います。

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さらに、そこから切り出した画像です。そこそこ高解像度なので、切り出し画像でも十分見応えがあルカと思います。

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こんなふうに口角から切り出して楽しめるのは、全景に近い画角が撮影範囲内に入り、なおかつ分解能がそこそこあるからで、ヘリオスター100Hαはとても使いがいのある太陽望遠鏡なのかと思います。かなりバランスがとれていて、フラッグシップと呼ぶに相応しい性能と言えるのかと思います。モウスコシヤスケレバ...。


太陽の振動

CP+の時にはまだ黒点振動が見えただけくらいで、そもそもなぜこんなことが起こるのか理由はあまり把握できていませんでした。今回ブログ化するにあたり、時間もあったので少し調べてみました。

そもそも、太陽には5分周期の振動があるそうです。これは検索するとすぐに出てきて、1960年代に発見され、「対流」が起源で励起される「音波」のpモードと呼ばれる「固有振動」で説明できるということが1970年代くらいにわかってきたそうです。

起源である対流は表面では粒状斑となって現れることが有名で、私もちょっと前にやっとうまく撮影することができました。粒状斑の典型サイズは観測から L=1000km のオーダーで、典型速度 v = 1-2 km/s とわかっています。大きさと速度から、ざっくりとした寿命 τ が L/v で計算でき、τ ~ 500s となり、5-10分ほどのオーダーになります。

このように粒状斑のスケールからわかるように、対流が5分オーダーの音波を供給して、太陽内部の「pモード」と呼ばれる固有振動 (共鳴) を励起します。pモードのpはpressure (圧力) の意味だそうです。 pモードは3つの固有モードn, l, mで表され、
  • n: 半径方向の節数
  • l: 球面調和次数
  • m: 方位角次数
という関係があるそうで、pモードの周期は主にnのみで決まるとのことです。この中で周期5分オーダーのモードはn=20の場合で、このモードが先の対流が原因で最も大きく励起されます。

ではなぜ5分の周期が3分の周期になるのでしょうか?これはどうやら、黒点にこのモードが現れる際に、重力加速度と音速で決まるようなローパルフィルターの効果があり、それが5分程度のカットオフ周波数をもち、そこより多少低い周波数成分のみが通り抜け、結果として3分周期が最も大きく観測されるというのが今の解釈のようです。

カットオフ周波数 f は重力加速度 g と音速 Vs を用いて f = g/(2 Vs)/(2π) と表すことができます。太陽表面重力はg = 274 [ms^-2]、音速は光球付近では大体 Vs = 7 [km/s] 程度とのことなので、f = 0.00312 [Hz]となり、周期 P で書くと 1/f = 320 秒 = 5分20秒となります。これが黒点においては、磁場に沿った伝播と温度構造の変化によって有効カットオフが少し下がり、Pが3−4分になるとのことです。5分周りに広がったスペクトルが、黒点においては3分の成分だけが残るという理解だそうです。

さらに波の増幅という効果があって、波の振幅 a は密度 ρ と a ∝ ρ ^(−1/2) という関係があり、上空に行くと密度が急減するので波の振幅は一気に増幅します。すわなち、伝播できる波だけが急激に強くなるという効果があります。このようにして3分成分が大きく観測観測されるということのようです。

ここまでで、自分としては3分周期になる理由はカットオフ周波数によるスペクトル選択だと納得しました。でも、なぜ黒点のみ3分になるのでしょうか?カットオフが理由なら、光球面の周期も5分ではなく3分になっていい気がします。もう少し調べてみました。

黒点だけが3分になる主な原因は「磁場による波の導波(wave guiding)」だそうです。波が彩層まで届くかどうかが、黒点と、光球面などの静穏領域で違うとのことです。静穏領域では5分の波はほぼ水平に伝播するため彩層まで行かずに反射と干渉を繰り返します。一方、黒点では強い垂直磁場があり、音波は磁力線に沿って伝播します。波が垂直に導かれる(wave guide)ため、ローパスフィルターの影響が顕著になり、3分周期が支配的になるとうことのようです。

ここら辺まで来て、やっと納得できました。

さらに調べていくと面白い記述を見つけました。「3分振動は黒点の中心から同心円状に外へ波として広がることがあります。これは sunspot oscillation wavefront と呼ばれ、黒点が 巨大な波動導波管(magnetic waveguide) のように振る舞っている証拠と考えられています。」とのことです。今回撮影できたの映像のように、振動が広がっていく様子がはっきり見えたのも、この導波(wave guiding)の効果と考えられるようです。

とりあえずの調べ物はこれくらいにしておきます。


まとめ

黒点振動を含めて、ここまでの画像が撮れるとは思っていなかったので、自分自身もうびっくりでした。これもヘリオスター100Hαの高性能エタロンと高分解能のおかげだと思います。CP+セミナーのための評価というだけでなく、エタロンの透過特性の測定も合わせて、十分すぎるほと楽しまさせていただきました。サイトロンさんには改めて感謝いたします。

やっとCP+の顛末をまとめることができたので、次は何をしようかちょっと迷っています。やりたいことがまだありすぎで、時間は限られているので、天気とかのタイミングと、その時の興味と、いろんな準備状況など合わせて、少しづつ、焦らずに進めていこうと思います。



CP+で話した太陽トークの内容で、まだ一部記事にしてないことがいくつかあります。
順に記事にしていこうと思います。今回は1のヘリオスターのエタロンについてです。


これまでの結果

これまでに、PST、フェニックスと、手持ちの太陽望遠鏡のエタロンの特性を測定してきました。





PSTに比べて、フェニックスが圧倒的に性能が良くなっているという結果でした。

具体的には、鏡間の距離が0.3mmから0.2mm程度に短くなってFSRが1.5倍広がったために、両隣のピークの影響がすくなくなったこと、FSRが広がってピークの太さは太くなるはずなのに、鏡の反射率を70%程度から90%程度に上げて、FWHMを捕捉してよりHα線をコントラストよく補足するようになっていることがわかりました。

今回はそれに加えて、CP+セミナーのためにお借りしていたヘリをスター100Hαについても同様の測定をしてみます。公称値ではフェニックスが0.6Å以下、ヘリオスターが0.5Å以下となっていて、差がついています。特にこの差が有意なのかどうか、フェニックスのエタロンに比べて違いがあるのかどうかに注目です。


ヘリオスター100Hαの測定

測定方法はフェニックスの時とほぼ同じです。測定日は2月8日、LEDライトを使って測定しています。確度依存性をなくすために鏡筒を使い、対物レンズ側からLEDライトを入射します。

IMG_2532

分光器はSHG700を使い、カメラはG3M678M。画像としては
  1. 分光器のみで鏡筒をつけないフランホーファー線
  2. 鏡筒からBF(ブロッキングフィルター)を外した状態(エタロンの測定)
  3. 鏡筒のノーマルの状態(エタロンあり、BF無し)で太陽望遠鏡としての測定
  4. BFのみ分光器に取り付けた場合
の4つを撮影しています。この中で今回は1、2、4を使っています。

1枚の分光画像の撮影は、10秒露光で10スタックの計100秒間撮影しています。ゲインは3200(=ZWOだと300に相当)で、オフセットをSharpCapの値で2000加えています。


測定結果

波長のキャリブレーションはこれまで同様に、フラウンホーファー線を撮影し、参照データ(PEPSI)にフィッティングしています。
Figure_1
エタロンの透過特性の測定値とフィッティングです。
fit_result
  • 鏡の強度反射率、強度透過率: R = r^2 = 0.909, T = t^2 = 0.091
  • キャビティーの鋭さを表すFinesse = π r/(1-R) = 33.1
  • エタロンを構成する鏡と鏡の間の距離 = 0.208 [mm]
  • 周期の幅を表すFSR (Free Spectrul Range) = 10.34 [Å]
  • エタロンの性能を表すFWHM = FSR/Finesse=0.31 [Å]
  • 光の折り返し回数: Finesse x 2/π = 21.1 [回 (片道)]
という結果になりました。

フェニックスのFWHMが0.37Åでヘリオスター100Hαが0.31Åと、約2割違うことがわかります。公称値も0.6Å以下と0.5Å以下で2割の差があるで、ちょうどその違いを説明できています。今回測定したFWHMの絶対値がまだどこまで信頼できるかはわかりませんが、少なくとも同様の方法で測定しているので相対的な違いはある程度正確に評価できていると考えると、公称値の違いも含めてこの差は有意であると考えて良さそうです。これは推測ですが、今回FSRの値はほぼ一緒の0.2mmなので、おそらくエタロンと作っている会社は同じではないかと思います。その上で、公称値に差をつけているということは、鏡の反射率を実際に変えてFWHMに差をつけていると考えると素直な気がします。

続いて、BFも考慮した場合の透過曲線です。エタロンの測定値とBFの測定値を掛け合わせています。BFは両隣のピークからの漏れをカットする役目がありますが、グラフを見る限り十分カットしていることがわかります。
all

さらに、太陽光を掛け合わせたものです。太陽光を掛け合わせると、両隣のピークの影響が少し出てくることがわかりますが、積分した総光量に対する量としてはごく僅かで、大した影響はなさそうなことがわかります。
all_sun_multi

ここまで見ても、相当性能の良いエタロンだということがわかります。


エタロン透過曲線のフィッティングについて

少し考察します。エタロンのフィッティング曲線をPST、フェニックス、ヘリオスターを並べてみます。

fit_result

fit_result_ok

fit_result
よく見ると、どのグラフもピークの裾の部分が、実測とフィッティングがずれしまっているように見えます。いずれも実測よりもフィッティングの方が大きく出てしまっています。

もし、裾野部分のフィッティングが実測に合うように重みづけをして改めてフィットしたりすると、おそらくフィッティングしたピークはもっと細くなって、FWHMはさらに小さくいい値になってしまうでしょう。今でもPST、フェニックス、ヘリオスターの公称値

1.0Å以下、0.6Å以下、0.5Å以下

に対して、私が実測した値は
0.71Å、0.37Å、0.32Å
と公称値よりかなりいい値になっています。これに、裾の影響を補正するとさらにいい値になってしまうのは、方向性として果たして正しいのでしょうか?

そもそも、なぜ実測とフィティングでズレが起きるのか考えてみます。光キャビティーは一般的にはh状に素直な応答を示し、かなり理論的に説明できるものです。今回のずれは光キャビティーそのものというよりは、その測定方法に問題があると考える方が素直です。

では何が問題なのでしょうか?一つ考えられることは、測定時間が10秒x10スタック=100秒と長過ぎたことかと思われます。今回の応答はフィネスを見てもわかるように、そこそこ鋭いものになっています。実際、ヘリオスターはその鋭いピークゆえに実測点はわずか5-7点ほどです。ピーク周りに至っては3点ほどでピークを跨いで測定してしまっています。1つの測定はカメラの1ピクセルに相当します。ピクセルサイズを考えるとわずか2μmです。測定時間の間、カメラに入る光が全くずれなければいいのですが、地面や望遠鏡を載せている机が揺れるため、100秒の長い間には、例えばLEDライトと望遠鏡が相対的に僅かにズレることはあり得るでしょう。

もしピークのところがずれたとすると、どちら方向にずれても値は小さく読み取られます。値が小さくなる傾向はピークに近いところほど顕著で、裾に行くに従って緩和されます。すなわち、ピークが低い値で測定され、ピークに近いところではその分太るので、本来のピークよりも頭でっかちなものとして測定されていると考えられます。その頭でっかちなところを合わせるようにフィットすると、裾の部分でズレが大きくなり、本来のFWHMよりも大きな、性能の悪いものと結果が出てしまいます。

この推測が正しい、もしくは他の理由で裾がズレるとしても、いずれにせよ裾の方が測定点が多く、本来の値からのズレは少ないと考え、ピーク部分のずれが本来の値から大きくズレると考えると、実際のFWHMはもっと小さいと考えて良さそうです。

ただし、今回は撮影画像の上に凸の曲線の真ん中の部分だけを使っているので、エタロンの中心部のみを測定していることになります。もしかしたら端の方はもっと透過幅が大きくて、その平均を取るとメーカー値に近づくのかもしれません。ここら辺は今後の課題としたいと思います。

どこをどう測定するかで値は変わってきそうですし、一番いい最小値か、平均値か、最低限の保証をするために最大値を採用するかなどは、メーカーによっても方針が違うかもしれません。やはりきちんと比較するためには、同じ方法で、同じ基準で比較すべきで、そういった意味では手元に持って実測して相対値を比較するのが一番確実だと思われます。少なくとも、今回まででPSTとフェニックスとヘリオスター100Hαの違いは、相対的にはっきり見ることができたというのが結論になると思います。


まとめ

これで手持ちと借りたもののエタロンとBFの測定が終わりました。太陽望遠鏡は高価なのでなかなか自分で買うことはできません。もし今後借りたり、もしくは新しい鏡筒を手に入れたりできた場合にはまた測定を続けようと思います。

あと、もう少し精度を上げたいとも考えています。短時間測定や中心部以外を測定するのも、今後余裕があったら試すことができればと思います。


今年も無事にCP+を終えることができました。でも疲れてしまったのか、自宅に着く頃に熱が出てしまい、平日は何日かは休んでいてほぼ寝ていました。やっと今回の記事を書けるくらいに復帰して、週末はこの記事を書いています。


準備

今年のセミナーはCP+の最終日の日曜です。その前日の土曜には、昨年もお誘いいただいた星沼会の方を中心とした飲み会に参加するため、今回は土日での参加になります。その週の平日が結構忙しかったので、セミナーのスライドの準備は前週の3連休の23日までにはある程度終わらせておきました。その3連休は、ほぼ全ての空いている時間を準備に費やすことになりました。解析計算が多くてプログラミングがいくつかあったり、新しいことが多くて根拠を調べるのに時間を食ったりで、普段スライドを作る以上に時間がかかってしまいました。その分「今回はすごいトークになるぞ」という確信が出てきて、Xなどでそれとなくすごそうだということをアピールしてたつもりだったのですが、実際にはいまいち伝わらなかったみたいです。


2月28日(土)横浜へ

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さて、出発は2月28日(土)の朝、新幹線で富山駅から東京に向かいます。この日は早く着く必要はなかったので、各駅停車の「はくたか」で3時間近くかけてのんびり移動します。この3時間はかなり貴重で、ずっと新幹線の中でスライドの最後の微調整をして、気づいたらもう東京の手前の上野でした。東京からは東海道線で横浜まで30分くらいでしょうか。横浜でみなとみらい線に乗り換え、みなとみらい駅に向かいます。

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会場にはお昼ちょっと過ぎくらいに到着、一年振りのCP+会場です。
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手前の入場口から入り、今年は一番奥の方に陣取っているサイトロンブースにまずは向かいます。途中Askarブースでサイトロンの方と少し話して、そのままサイトロンブースに到着。
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スタッフの方に「今年もセミナーに呼んでいただきありがとうございました」とのお礼と、挨拶を一通りしてから、この日は時間的にも余裕があるので会場を一回りします。見て回るのはほとんど天文関連のブースで、多くの方がすでにレポートされていて、それをなぞるような感じでした。特にHIROPNさんの解説がすごいです。もうCP+の詳しいことは今回は他の方に譲るとして、この記事では主に自分のことについて書いておきます。


初日(土曜日)の様子

今年は天文系のセミナーが多くて、あらかじめ聞きたいものを考えておかないと、セミナーの時間が重なったり、セミナーだけで時間がいっぱいになってしまうくらいの充実度でした。サイトロンブースのセミナーの充実度は言うに及ばず、特に今年はVixenブースのセミナーは数が多く、それに合わせて展示スペースも拡大していて、去年にも増して元気な様子が伺えました。DWARFさんのところも星見屋さんが頑張っていて、丹羽さんを呼んでセミナーを多数開いていて人を集めていました。

惜しむらくはサイトロンさん以外はほとんど、本当にごく一部を除いてライブ配信や後日配信がないのが非常に残念です。サイトロンさんは以前のCP+の配信もきちんと残してくれていて、私にとっては後から参照できるとても有効な情報源となっています。ここら辺はまだサイトロンさんに一日の長があると言ったところでしょうか。

私のとっての初日の土曜は、サイトロンのフォトコンテストの裏側と、あぷらなーとさんのセミナーが目的でした。

最初に会場を回っている最中に、通りがかりのDWARFのところででちょうど丹羽さんの話を聞くことができました。丹羽さんは今回4回もセミナーがあり、しかも後から聞いたらどれも違うネタとのこと。これはかなり大変そうです。私はせいぜい一本に集中することしかできない気がします。
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14時40分からのフォトコンテストの裏側ですが、今年もコンテストに残らなかった写真の紹介でした。でももう少し枚数増やしていろんな例を見せてほしかったです。
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セミナー準備中のパネリストさんたち。

あぷらなーとさんのトークは相変わらず鉄板で、テレビショッピングを彷彿とさせる勢いでした。
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面白かったのは、あぷらなーとさんのトークのちょうど反対側のソニーブースでKAGAYAさんがトークをしてたことで、すごい数の人が集まっていました。どなたかが「あっちは一般の人、こっちはマニア」とか言ってました(笑)。この時に気になったのが大型モニターで、あぷらなーとさんの画像が結構輝度と彩度が飛びがちになってしまっていたことです。後からKAGAYAさんと話した時に聞いたのですが、ソニーのモニターのLEDがかなり諧調の高いものを使っているとのことで、コニカミノルタのプラネタリウムのLEDよりも良いかもしれないとのこと。「このモニターで話せたのが良かった」といっていました。天体写真を写す場合はモニターも選ぶ必要がありそうで、特に大きな面積を持つものは敷居が高そうです。今後、高諧調LEDの技術も浸透してくると思うので、将来に期待したいと思います。


スライド確認

この日のメイン作業の一つは、スライドの確認です。18時にその日のイベントは終了になるので、そこからサイトロンスタッフさんと共に、出していいスライドと出しちゃまずいスライドをチェックします。

この時点で、通しでスライドを見せたのである程度の反応は得ることができました。やはり予想した通りかなりすごい反応です。というのも、昨年で太陽の話はもうこれっきりだと思っていて、かなり式などを詰め込みました。一部の好事家にはウケたと思いますが、一般の方にはやはり難解だったかもしれません。今年は式を使わずに同じことを実測で示し、しかも撮影画像と動画がもう見た目にインパクトありまくりなので、一般の人でも十分にすごさがわかってもらえるはずです。実際、星が専門でないスタッフの方からも「すごいのがわかる」と言ってもらえたのは、かなり嬉しかったです。実は土曜も日曜も、会場で会う人会う人に「すごいのが撮れた」と自分から宣伝しまくっていました(笑)。

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スライドチェックを終えた後の人がいなくなった会場。
面白かったので写真に撮っておきました。


恒例の飲み会

スライドチェックが終わってからは、恒例の飲み会です。Aramisさんとあぷらなーとさんと天リフ編集長がその場にいたので、一緒に歩いてお店まで行くことになりました。サイトロンセミナーで話す3人が揃ったので、セミナーを頼まれた経緯や、送られてくる機材を使う時間がなかなかとれないこと、ネタが厳しいなど、ぶっちゃけ話ができて楽しかったです(笑)。

飲み会は星沼会の方達が仕切ってくれていて、特にぐらすのすちさんが幹事を引き受けてくれていてありがたかったです。この飲み会はだんだん同窓会のような雰囲気になってきていて、年1回顔を合わせて話せるのがとても楽しいです。「ほしぞloveログの記事が長すぎて昼休みの間に読みきれない」と苦情を言われたり(笑)、ノイズと分解能の話で盛り上がったり、普段ではなかなか会話にすらならないことを平気で話すことができます。同好の士とは本当にこのことです。

宴もたけなわですが、明日のこともあるのと、今日スライドチェックしたことを少し直したいので、横浜スタジアムの近くに撮ったホテルに向かうために、みなとみらい駅へ移動し電車に乗って最寄り駅までいきます。少し夜食を買って、ホテルの部屋で最後の画像処理とスライドの手直しです。動画の処理だったので少し時間がかかってしまいましたが、それでも0時前くらいには全て終えることができ、眠りにつきました。


3月1日最終日

2日目の朝、7時頃には目が覚めたので、ホテル泊についている朝ごはんを少し食べてからCP+会場まで移動します。このホテルのいいところは、CP+会場のパシフィコ横浜までのシャトルバスを出してくれることです。去年たまたま泊まったのですが、朝の移動がすごく便利だったので、今年もまた同じホテルにしてしまいました。CP+会場の1Fのキッチンカーが出てるところくらいまで行ってくれるので、歩く距離が短くなってかなりラクです。というのも、会場がかなり広くてしかも夢中になって何往復もするので、疲れてしまうんですよね。しかも今年はセミナーが午後遅くなので、それまでにできるだけ体力は残しておきたかったので、このバスの存在は結構ありがたかったです。

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バス移動の途中の景色。豪華客船「飛鳥II」(多分)と赤レンガ倉庫が見えます。

この日もセミナーと、前日見切れなかったブースと、毎年なぜかあまり見ない大手ブースをさらっと見ることで時間は過ぎていってしまいます。

セミナーは午前10時30分からのサイトロンのSJH-75UFの傳甫氏の話が以前も素晴らしかったので楽しみだったのですが、なんと電車が一部ストップでご本人が会場に来ていないとのこと。結局午後1時からに時間変更で、無事に聴くことができましたが、もう性能的には素晴らしいの一言です。重要なことは、設計でいくらいいものができて、実際にそれをモノとして作ること、さらに量産するということは全く別のことです。セミナーでは工場とのやりとりや調整の話にまで踏み込んでくれていて、しかもその後傳甫氏ご本人様にもさらに個別に話を聞くことができて、その方針にとても共感できました。望遠鏡設計では間違いなく日本でトップクラスの方ですが、やはり筋金入りの技術者は理論も実践も兼ね備えているということを感じることができました。出身が物理というのがまた興味深いです。

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お昼12時のセミナーは迷いました。VixenブースのそーなのかーさんとサイトロンブースのAramisさんです。結局最初そーなのかーさん、途中からAramisさんと移動することで、両方とも雰囲気だけつかもうという作戦です。最近の屈折はもうどれをとっても十分な性能に思えてしまいます。星像に関しては私くらいの目ではもう四隅まで十分です。しかもSDP65SSもNAKOH 60GTも十分現実的な値段、特にNAKOHは当日の値段発表だったのでしょうか、かなりビックリな価格です。このクラスは群雄割拠ですが、ユーザーとしては選択肢が増えるのはありがたいでしょう。

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でも、Aramisさんの話で途中から気になってしまったのは表示されているモニターのことです。昨日のあぷらなーとさんのトークの時も、スライドテストでも気になっていたのですが、どうもかなり強いシャープ処理をかけているみたいで、ノイズや格子模様があらわに見えてしまうのです。太陽は基本単色なのでサイドの方は私的にはそれほど問題ではありませんでしたが、シャープネスの方はその場で見ると少し印象が違うかもしれません。
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順番的にはAramisさんのセミナーが終わって、傳甫氏のセミナー、続いて成澤さんのセミナーでしたが、成澤さんのセミナーの間に、頭を冷やすために一旦外に出て座って少し休憩をとりました。成澤さんすみませんでした。少し寝てしまって、目を覚ましてからサイトロンブースに着いたのは、ちょうど成澤さんのトークが終わった後くらいで、まだ成澤さんが残っていた人と対応していた頃でした。ちょっと早めでしたが、私も準備を始め接続まで完了します。PixInsightでの動画もどきの表示をするので画面の大きさの設定を最終確認します。


いよいよセミナー本番

セミナーは日曜日の最終に近いということで、どれくらいの方が来てくれるか心配でした。「面白い話になる」と会場で宣伝はしておいたのですが、それがどこまで効くのか?

最初はそこまで人が多くなかったかと思います。でも、トークを終えて改めて見てみると、かなりの人数が目の前にいました。途中から面白かったのかわかりませんが、マイナーな太陽の話でこれだけ人が来てくれれば十分でしょう。

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40分のセミナーで結局45分くらい話してしまいました。最後にいくに従って盛り上がるような構成で、後半の皆さんの反応は話しながら見ていても明らかに「オぉー」という感じだったので、5分くらいの遅れは許していただければと思います。


本番後の反応

セミナー終了後は質問もいくつかありましたが、今回の話は面白かったと知っている方も知らない方からも、何度も声をかけられました。やはり黒点の3分周期振動は相当インパクトがあったようです。片付けをして、気づいたらすでに16時半はとうにすぎていました。最終日は17時でイベントも終了ということと、多分ですがかなり疲れてしまっていて、サイトロンのスタッフの方に挨拶をして、そのまま会場を後にしました。帰る途中で、DWARFブースで片付け中のだいこもんさんに会ったのですが、どなたか太陽トークを聞いてくれた方から話を聞いたみたいで「やばかったって聞きましたよ。後で配信みます。」と言ってもらい、その後Xで大きく宣伝していただきました。

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帰りの電車の中でXのセミナー時の反応を見ていたら、トークの途中から何人かの方が書き込んでいてくれて、いずれも「すごかった」とか「必見」とか「圧巻」とか、とてもありがたい言葉であふれていましした。一部感想を書いておきます。
  • じろーさん:「黒点振動、凄い…開いた口が塞がらない…」「黒点震度、初めて見ました。まだ興奮状態です…」
  • M87JETさん:「ヽ(´▽`)/ なんという強烈な動画でしょう!」
  • 銀狐さつきさん: 「太陽を撮影しない私が見ても驚愕の映像でした」
  • にゃーとんシュガーさん:「今回のSamさんのプレゼンで「よし!太陽チャレンジしてみよう」って方も出てきそう。」 
  • 智さん:「タイムラプス映像が凄くて、これだけでも来た甲斐があった」
  • mizunangさん:「さて、CP+に行こう。」「samさんのセミナーセッション聞きたくて」
  • yagiさん:「思わずヘリオスター100Haっていくらだったっけ?って確認に行ったら在庫切れでホッとしましたw」
  • moleculeさん:「他数枚の中からの精鋭画像の選択で、精細さが際立っていたと思います。」
  • Sunstar24225さん:「いろいろなご考察とその成果の素晴らしい映像、本当に感動いたしました。」
  • Hiroponさん:「「Samさんマジヤバクね?」というのが第一印象(笑) あそこまで精緻な太陽面を描写できるヘリオスター100Hαはもちろんすごいのだけど、その潜在能力を引き出すSamさんがやっぱりマジヤバイw 黒点の振動なんて初めて見た。」
  • mituさん:「予想の斜め上の黒点の周期振動でございました。初めてそういったものがあるんだという驚きで、帰りの電車で「うん、実際に現地に行ってよかったな」と思ってました。」
  • NEST:AQUAさん:「太陽でもこんなにシーイングの影響があるものなんだと気付かされた素晴らしい配信でした!」
と、大反響と言っていいかと思います。「数式がない」と苦情)が来ていたので(笑)、来年もし話せるなら今度は式だらけにするかもしれません(笑笑)。

帰りの移動の途中で頑張って返事をしていましたが、新幹線でどうも寒気がして、自宅に帰ってから熱を測ったら38度で、その後3日ほど寝込んでいたので、返事を返せなかった方もいたかもしれません。申し訳なかったです。

当日会場で聞いていただいた方、ライブもしくは後日配信を見てくれた方、Xなどで感想を書いてくれた方、本当にありがとうございました。今回のセミナーはかなり盛り上がり、大成功だったと思います。

サイトロンさんには機材の貸し出しから、撮影時にも色々気を使って連絡を取っていただいたり、当日の会場準備、セミナー本番のサポートと、さまざまな面でお世話になりました。ここで改めてお礼申し上げます。

セミナーは天リフさんの協力で同時ライブ配信されました。この配信は残っているのでよろしければまたご覧ください。太陽画像の細かい違いを見るのがポイントなのですが、この配信で十分に見比べることができますし、目玉の黒点振動も綺麗に見ることができます。


残念ながら、その場の雰囲気みたいなのは配信にはさすがに残っていませんでした。その時の「オォー」とかいうようなのは、やはり現場ならではなのかと思います。Xで「黒点振動の画像を見えただけでも会場に来た甲斐があった」というような投稿もあったので、もし次回機会があれば、ぜひ会場にお越しいただき雰囲気を共有できればと思います。


今後CP+の補足記事を書く

今年のトークのためにかなりの数の新しいことに挑戦しました。少なくともこれまでブログ記事で触れていないことが以下に示すくらいあります。
  1. ヘリオスター100Hαのエタロンの応答を、実測した。
  2. 白いモヤモヤが何か判明した。
  3. 大口径太陽望遠鏡で、シーイングの時間変化を評価してみた。
  4. シーイングを分類し、画像で見比べてみた。
  5. 黒点の3分間振動が見えた。振動が広がっていく様子もはっきり見えた。 :ヘリオスター
くらいでしょうか。去年のトークで、フェニックスの撮影画像はCP+本番で初出しして、その後ブログ記事にはしていなかったことがあり、配信を見なければわからないなど、少し反省点がありました。今年は、少なくとも新しいことについては詳細を含めてブログの記事にしておこうと思っています。


写真

最後に、記録がてら撮った写真です。天文関連以外が多いです。

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この碑文を見るたびにCP+に来たことを実感します。

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奥に写っているのが去年展示されていたもので、手前が今年。

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話題のMiru MOONです。
Vixenがこういうのを出すということに意義があるのかと思います。

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セレストロンが独立してブースを出していました。
技術の方に聞いたら、赤道儀もフルラインナップで販売しているそうです。
手持ちの赤道儀もとりあえずサポートはしてくれるとのこと。

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今年も新刊の第4巻を書って、恒例のシールをいただきました。

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学生の写真部やサークルがずーっと一列で並んでいました。

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こちらは高校生。

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ポストC8になり得るのか?

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太陽望遠鏡3種。ヘリオスターはCP+直前に送り返したものです。

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相変わらずここのアルミ板への印刷は綺麗です。数十年は平気で持つとか。

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アルカスイスって、もっと細いバージョンもあるんですね。

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こういった自分の写真集を出すのってもっと需要がありそうな気がします。
見せたもらった一番安価なものはパンフレットのようなものだったのですが、
背表紙をつけて本のようにできるなら、
ずっと写真を撮ってきた人にとっては記念の本にまとめたくなると思います。

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Docとの記念写真です。

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子供が楽しめるようなものも少しあります。


今年もCP+が近づいてきました。今回もサイトロンブースにおいて、太陽について話します。タイトルは

「昼間の天体観察
〜太陽専用望遠鏡を使ってみる〜」

としました。太陽観察をしている方、太陽に興味がある方、太陽望遠鏡のことを知りたい方、是非とも会場まで足を運んでいただければと思います。フェニックスとヘリオスター100Hαを使ったので、その比較を中心にお話しします。

CP+の情報については、公式サイトをご覧ください。


セミナー情報はここから検索できます。出展社で「サイトロンジャパン/LAOWA」を選択して「検索」ボタンを押して、最終日の3月1日を選んでください。

私のトークは

3月1日(日)の15時30分から

で、サイトロンのセミナーの中では一番最後になります。

サイトロンの特設ページからもリンクが張られています。リンク先の下の方にセミナー一覧が出ていますので、スクロールさせてみてください。
 

また、天リフさんの協力で今年もセミナーがライブ配信されます。おそらく後日見ることもできると思いますので、会場に来れなかった方は是非ともYoutubeでセミナーの内容をご覧ください。


さて、今年の内容ですが、少し期待して頂いていいかと思います。

Heliostar100Hαで撮影した高分解能の画像の一部を載せておきます。
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こんな画像をどうやって撮影するのか、これまでの経験から学んだ手法を解説します。

当日は上の画像が動く様子も見せます。多分これまであまり見たことがない映像になると思います。

さらには、昨年解説したエタロンの仕組みをさらに発展させ、実際にその特性を実測した結果もまとめて紹介します。

楽しみにしていてください。



なんとサイトロンさんからSkywatcher社の最新の太陽望遠鏡「ヘリオスター100Hα」をお借りすることができました。

サイトロンさんは2024年4月にACUTER OPTICS社の「フェニックス」で太陽望遠鏡を扱い始め、2025年3月にSkywatcher社のヘリオスター76Hα、2025年11月には屈折太陽望遠鏡の中では最大のクラスの口径100mmというヘリオスター100Hαの取り扱いを始めました。

これまで星まつりなどでヘリオスター100Hαを含めて何度か見比べる機会はありましたが、じっくり扱うのは初めてです。今回試すことができたのは、2026年1月17日の午前と、翌日18日の午後の一部の、晴れ間のチャンスのときで、時間も限られていたため、まだ最初の評価でしかありませんが、そのすごさは十分に実感できました。


ヘリオスター100Hαの外観

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鏡筒は大きなケースの中に入っています。中身は鏡筒本体と、ブロッキングフィルターが中に組み込まれている天頂プリズム、20mmのアイピース、遮光板などです。サイトロンが作成した日本語のマニュアルも入っています。

早速出して、赤道儀にセットしてみます。赤道儀は今回は手持ちのCGEM IIを使いました。ヘリオスター 100Hαの重量は6kgなのでもう一段階小さいAdvanced VXでも十分稼働できるかと思いますが、撮影まで考えるともう一段階大きなCGEM IIクラスの赤道儀の方が安定するのかと思います。
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面白いのは太陽ファインダーで、手持ちのハンドルと兼ねている秀逸なデザインのものです。

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最近は太陽でも長時間撮影になることもあり、ガイド鏡が必要だったりするのですが、ガイド鏡を取り付けるためのねじ穴も充実しています。
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フォーカサーも減速器が付いたタイプで細かい調整ができます。フォーカス部の動きの硬さを調節するつまみも使いやすいものがつけられています。

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眼視観察

今回は手持ちの太陽望遠鏡の入門機のフェニックスと比較してみたいと思います。

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まずは眼視での比較です。眼視に関してはあまり大した経験はないので、元々の予定ではパッと終わらせて、すぐに撮影に向かう予定でした。でもここで思ったより時間を使ってしまいます。なぜなら、フェニックスとヘリオスター100Hαの見え具合にあまりに差があったからです。使ったアイピースはヘリオスター100Hαに付属の20mmのものと、手持ちのハイペリオンの13mmです。これとVixexの2倍のバローレンズを組み合わせて見比べています。

まずですが、フェニックスも眼視で十分に見えています。プロミネンスも、ダークフィラメントも、プラージュも普通に見えます。さて、どれくらい違うのだろうとヘリオスターを覗くと、「えっ!?」と声を出してしまうほど違いました。まず、ダークフィラメントの濃さが全然違います。さらにプラージュがキラキラ輝いています。この日は黒点群が大きくつ出ていたのですが、大きい方はフェニックスでも十分に見ることができました。でも小さい方はフェニックスではそこまで気づかなくて、ヘリオスターを見て「あれ?もう一つある?」と改めてフェニックスを見て「あー、これは見落とすな」と思うくらいに、ヘリオスターだと細かいところが見えるのです。黒点周りの模様の一つ一つの細かいところが見えるというのでしょうか、もう全然違いました。

スマホで写真を撮ったみました。フェニックスと
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ヘリオスター100Hαです。
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そもそも、焦点距離がフェニックスの400mmに対して、ヘリオスター100Hαは760mmと倍近く違うので、同じアイピースで見ると、見た目の大きさも倍近く違うのはわかるかと思います。そして、ヘリオスター100Hαの方が、太陽表面の模様がより見えているのもわかるかと思います。

それでもスマホの撮影では眼視での違いは全然伝わりません。ここからは言葉の説明のみになりますが、雰囲気だけでも伝わればと思います。

眼視で見比べたときに相当な違いがあるので、何が違うのか確かめたくなります。フェニックスに
  1. ヘリオスターに付属の20mmアイピースと
  2. ハイペリオン13mmと
で見比べてみます。2にすると太陽は倍近くまで大きくなり、ヘリオスターに1を付けたときと同じくらいになります。それでもフェニックスで見ている限り、ダークフィラメントやプラージュのコントラストも、黒点周りの細かさも良くなることはほとんどありません。

そこでフェニックス側で13mmアイピースに、さらに2倍のバローレンズを付けてよく見てみたのですが、根本的に解像度が良く出ません。この時点で、「あ、これは口径の差だ」とものすごく腑に落ちました。40mmと100mmの口径の差は眼視でも明らかで、フェニックスとヘリオスターと一緒に見比べてしまうと、やはりフェニックスの口径の小ささをどうしても実感してしまいます。その観点からいくと、ヘリオスターに13mmのアイピースを付けたときは、さらに細かい模様を見ることができます。その時のスマホで撮影した画像です。
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口径による明るさも効いているでしょう。フェニックスに13mmのアイピースを付けて、2倍のバローを付けたときにはやはり暗いという印象です。ヘリオスターに13mmのアイピースを付けると大体同じ大きさの太陽像になるのですが、まだ十分明るく感じます。口径で100/40=2.5倍なので、明るさはその2乗で6.25倍になります。これだけの明るさに違いがあるのは、高倍率にしたときに効いてきます。

分解能に関しては口径の違いで納得したのですが、コントラストの違いは口径では説明できません。分解能がいいと、よりはっきりとは見えるので、多少コントラストが上がったように見えるのも理解できるでのすが、どうもそれだけでは到底説明できないレベルで違いがあります。これはエタロンの違いなのでしょうか?このとき結論は出ませんでしたが、次の日に撮影までして謎が解けました。

結局この日は撮影しようしてカメラをセットしたところで雲が出てきて終了でした。次の天気は2週間予報を見ても全然晴れにならなさそうなので、早めに眼視を切り上げて撮影に移った方が良かったみたいで、ちょっと失敗したかな思い、その日は撤収しました。


撮影での比較

次の日、朝から天気予報通り曇っていたのであきらめていたのですが、午後から一部晴れ間が見えてきました。時間は限られていますが、早速撮影に取り掛かります。

この日もフェニックスとヘリオスター100Hαを並べて同じような時間帯に撮影します。
IMG_2479

カメラですが、フェニックスにはいつものG3M678Mですが、ヘリオスターだと全景が入らないので、大きなセンサーサイズでピクセルサイズの小さいASI294MM Proをbin1で使います。ピクセルサイズはG3M678Mが2μmでASI290MMがbin1だと2.3μmとなるのでフェニックスるの方が有利ですが、ヘリオスターは焦点距離が倍近くであることと、さらに口径の差もあるために、分解能は出るはずです。ただし、ASI294MM Proをbin1で使うと、格子状の模様が出ることがあるので、そこが不利になるかもしれません。

まずは全景で比較してみます。共に500フレーム撮影し、そのうちの400枚をAutoStakkert!4でスタックしています。細部出しはImPPGですが、できるだけ同じような処理をしました。普通は更にPhotoshop などで仕上げをするのですが、今回は比較のためにできるだけシンプルにということで、細部出し以降は無しもしていません。あと、天頂プリズムのせいで上下が反転した画像になってしまっていますが、そのままにしてあります。

フェニックスと
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ヘリオスター100Hαです。
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ヘリオスターの方は格子模様が心配でしたが、とりあえず今回は大丈夫なようです。いまだに条件が良くわかりませんが、出るときは何をやっても出るというのが今までの経験です。

全景だとフェニックスも縁をスターもそこまで違いがわからないので、拡大して比較しています。解像度が違うので、Windwos上のフォトで拡大した画像を表示し、全画面キャプチャーしています。左がフェニックスで、右がヘリオスター100Hαです。
スクリーンショット 2026-01-20 213957_cut

さすがに違いが判りますね。ヘリオスター100Hαの方がより細かいところまで出ています。


考察

え?撮影だと思ったより違わない?

確かにそうなんです。実は撮影になると、そこまで差が出ないのです。
  • フェニックスの方はこれまでの経験から、おそらく口径からくる限界近くの分解能を出しています。
  • 悪いはずのフェニックスのコントラストは画像処理で輝度のオフセットを変えることができ、うまくごまかせてしまいます。
  • 一方、ヘリオスターは口径の限界には達していなくて、むしろシーイングによって分解能が制限されてしまっていると考えられます。100mm位の口径になってくると、シーイングのいい時に撮影しないと、口径の有利さを十分に生かせません。
以前口径20㎝のC8で試したしたときのように、長時間撮影の中でいいシーイングの時を選び出して見てやると、口径100mmを生かした分解能になるのかと期待します。

では眼視で言っていたコントラストの差は撮影では出ているのでしょうか?実はこれも撮影で明確に相当する違いがあります。再び全景画像を見てみます。一見あまり差がないような全景ですが、よく見ると全然違っていることがわかります。
  • フェニックスの方は全体的に粗い模様が出て元気に見える一方、
  • ヘリオスターの方は細かく見えて一見のっぺりしているように見えます。
細かく出るのは波長分解能が優れていて、これまで分光撮影でさんざん見てきた、プラージュとは別の白いモヤモヤがヘリオスターの方にのみ全体に広がっています。これは明らかにエタロンの性能に差があり、ヘリオスター100Hαのエタロンの方が透過波長幅が狭くて性能がいいことを示しています。もしかしたらフェニックスのエタロンの合わせこみが不十分だった可能性も残っていますが、それでもそこそこは合わせたつもりで、調整のレベルを超えた違いなのかと思います。

エタロンに差があるのは、眼視で見たコントラストの違いも説明ができます。波長透過幅が大きいと、Hα線からずれた連続光の明るさが大きく邪魔をします。Hα線からずれると、とたんに明るくなるので、少しのずれが背景光の輝度に大きく影響するからです。これは特にダークフィラメントのコントラストに効いてきます。波長分解能がいいと、ダークフィラメントが黒く濃くみえるようになります。撮影の際は輝度のオフセットを調整するなどして多少はごまかせるのですが、人間の眼にはそのような機能はないので、コントラストの違いがそのまま見たときの印象になります。


まとめ

どうやら、今手元にあるヘリオスター100Hαのエタロンの性能がフェニックスのものよりもかなりいいというのは間違いなさそうです。このことは眼視での見え方、特にコントラストに効いてくるので、ヘリオスター100Hαは眼視で十分に楽しむがのが適している鏡筒かと思われます。もちろん撮影でも有利ですが、口径100mmの性能を生かすためには、シーイングのいい時を狙う必要があります。

フェニックスは太陽望遠鏡の中でもあくまで入門機です。これまでの入門機クラスのものと比べても見え味は非常に優れていて、性能も安定しています。今回の比較で言えることは、それでもヘリオスター100Hαとフェニックスには明確な差があって、ヘリオスター100Hαはハイエンドクラスの名に恥じない素晴らしい性能を持った太陽望遠鏡であるということです。特に眼視ではその違いがはっきりと分かると思いますので、星まつりの展示など、機会がある方はぜひとも見比べてみてください。

ヘリオスター100Hαは今後一か月くらい使用できる予定です。北陸の冬はあまり晴れないのですが、まだチャンスはこれかあもあるかと思いますので、またレポートを続けていきたいと思います。


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