ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:フラウンホーファー線

CP+で話した太陽トークの内容で、まだ一部記事にしてないことがいくつかあります。
順に記事にしていこうと思います。今回は1のヘリオスターのエタロンについてです。


これまでの結果

これまでに、PST、フェニックスと、手持ちの太陽望遠鏡のエタロンの特性を測定してきました。





PSTに比べて、フェニックスが圧倒的に性能が良くなっているという結果でした。

具体的には、鏡間の距離が0.3mmから0.2mm程度に短くなってFSRが1.5倍広がったために、両隣のピークの影響がすくなくなったこと、FSRが広がってピークの太さは太くなるはずなのに、鏡の反射率を70%程度から90%程度に上げて、FWHMを捕捉してよりHα線をコントラストよく補足するようになっていることがわかりました。

今回はそれに加えて、CP+セミナーのためにお借りしていたヘリをスター100Hαについても同様の測定をしてみます。公称値ではフェニックスが0.6Å以下、ヘリオスターが0.5Å以下となっていて、差がついています。特にこの差が有意なのかどうか、フェニックスのエタロンに比べて違いがあるのかどうかに注目です。


ヘリオスター100Hαの測定

測定方法はフェニックスの時とほぼ同じです。測定日は2月8日、LEDライトを使って測定しています。確度依存性をなくすために鏡筒を使い、対物レンズ側からLEDライトを入射します。

IMG_2532

分光器はSHG700を使い、カメラはG3M678M。画像としては
  1. 分光器のみで鏡筒をつけないフランホーファー線
  2. 鏡筒からBF(ブロッキングフィルター)を外した状態(エタロンの測定)
  3. 鏡筒のノーマルの状態(エタロンあり、BF無し)で太陽望遠鏡としての測定
  4. BFのみ分光器に取り付けた場合
の4つを撮影しています。この中で今回は1、2、4を使っています。

1枚の分光画像の撮影は、10秒露光で10スタックの計100秒間撮影しています。ゲインは3200(=ZWOだと300に相当)で、オフセットをSharpCapの値で2000加えています。


測定結果

波長のキャリブレーションはこれまで同様に、フラウンホーファー線を撮影し、参照データ(PEPSI)にフィッティングしています。
Figure_1
エタロンの透過特性の測定値とフィッティングです。
fit_result
  • 鏡の強度反射率、強度透過率: R = r^2 = 0.909, T = t^2 = 0.091
  • キャビティーの鋭さを表すFinesse = π r/(1-R) = 33.1
  • エタロンを構成する鏡と鏡の間の距離 = 0.208 [mm]
  • 周期の幅を表すFSR (Free Spectrul Range) = 10.34 [Å]
  • エタロンの性能を表すFWHM = FSR/Finesse=0.31 [Å]
  • 光の折り返し回数: Finesse x 2/π = 21.1 [回 (片道)]
という結果になりました。

フェニックスのFWHMが0.37Åでヘリオスター100Hαが0.31Åと、約2割違うことがわかります。公称値も0.6Å以下と0.5Å以下で2割の差があるで、ちょうどその違いを説明できています。今回測定したFWHMの絶対値がまだどこまで信頼できるかはわかりませんが、少なくとも同様の方法で測定しているので相対的な違いはある程度正確に評価できていると考えると、公称値の違いも含めてこの差は有意であると考えて良さそうです。これは推測ですが、今回FSRの値はほぼ一緒の0.2mmなので、おそらくエタロンと作っている会社は同じではないかと思います。その上で、公称値に差をつけているということは、鏡の反射率を実際に変えてFWHMに差をつけていると考えると素直な気がします。

続いて、BFも考慮した場合の透過曲線です。エタロンの測定値とBFの測定値を掛け合わせています。BFは両隣のピークからの漏れをカットする役目がありますが、グラフを見る限り十分カットしていることがわかります。
all

さらに、太陽光を掛け合わせたものです。太陽光を掛け合わせると、両隣のピークの影響が少し出てくることがわかりますが、積分した総光量に対する量としてはごく僅かで、大した影響はなさそうなことがわかります。
all_sun_multi

ここまで見ても、相当性能の良いエタロンだということがわかります。


エタロン透過曲線のフィッティングについて

少し考察します。エタロンのフィッティング曲線をPST、フェニックス、ヘリオスターを並べてみます。

fit_result

fit_result_ok

fit_result
よく見ると、どのグラフもピークの裾の部分が、実測とフィッティングがずれしまっているように見えます。いずれも実測よりもフィッティングの方が大きく出てしまっています。

もし、裾野部分のフィッティングが実測に合うように重みづけをして改めてフィットしたりすると、おそらくフィッティングしたピークはもっと細くなって、FWHMはさらに小さくいい値になってしまうでしょう。今でもPST、フェニックス、ヘリオスターの公称値

1.0Å以下、0.6Å以下、0.5Å以下

に対して、私が実測した値は
0.71Å、0.37Å、0.32Å
と公称値よりかなりいい値になっています。これに、裾の影響を補正するとさらにいい値になってしまうのは、方向性として果たして正しいのでしょうか?

そもそも、なぜ実測とフィティングでズレが起きるのか考えてみます。光キャビティーは一般的にはh状に素直な応答を示し、かなり理論的に説明できるものです。今回のずれは光キャビティーそのものというよりは、その測定方法に問題があると考える方が素直です。

では何が問題なのでしょうか?一つ考えられることは、測定時間が10秒x10スタック=100秒と長過ぎたことかと思われます。今回の応答はフィネスを見てもわかるように、そこそこ鋭いものになっています。実際、ヘリオスターはその鋭いピークゆえに実測点はわずか5-7点ほどです。ピーク周りに至っては3点ほどでピークを跨いで測定してしまっています。1つの測定はカメラの1ピクセルに相当します。ピクセルサイズを考えるとわずか2μmです。測定時間の間、カメラに入る光が全くずれなければいいのですが、地面や望遠鏡を載せている机が揺れるため、100秒の長い間には、例えばLEDライトと望遠鏡が相対的に僅かにズレることはあり得るでしょう。

もしピークのところがずれたとすると、どちら方向にずれても値は小さく読み取られます。値が小さくなる傾向はピークに近いところほど顕著で、裾に行くに従って緩和されます。すなわち、ピークが低い値で測定され、ピークに近いところではその分太るので、本来のピークよりも頭でっかちなものとして測定されていると考えられます。その頭でっかちなところを合わせるようにフィットすると、裾の部分でズレが大きくなり、本来のFWHMよりも大きな、性能の悪いものと結果が出てしまいます。

この推測が正しい、もしくは他の理由で裾がズレるとしても、いずれにせよ裾の方が測定点が多く、本来の値からのズレは少ないと考え、ピーク部分のずれが本来の値から大きくズレると考えると、実際のFWHMはもっと小さいと考えて良さそうです。

ただし、今回は撮影画像の上に凸の曲線の真ん中の部分だけを使っているので、エタロンの中心部のみを測定していることになります。もしかしたら端の方はもっと透過幅が大きくて、その平均を取るとメーカー値に近づくのかもしれません。ここら辺は今後の課題としたいと思います。

どこをどう測定するかで値は変わってきそうですし、一番いい最小値か、平均値か、最低限の保証をするために最大値を採用するかなどは、メーカーによっても方針が違うかもしれません。やはりきちんと比較するためには、同じ方法で、同じ基準で比較すべきで、そういった意味では手元に持って実測して相対値を比較するのが一番確実だと思われます。少なくとも、今回まででPSTとフェニックスとヘリオスター100Hαの違いは、相対的にはっきり見ることができたというのが結論になると思います。


まとめ

これで手持ちと借りたもののエタロンとBFの測定が終わりました。太陽望遠鏡は高価なのでなかなか自分で買うことはできません。もし今後借りたり、もしくは新しい鏡筒を手に入れたりできた場合にはまた測定を続けようと思います。

あと、もう少し精度を上げたいとも考えています。短時間測定や中心部以外を測定するのも、今後余裕があったら試すことができればと思います。


エタロンの透過応答の精度をあげる努力をしています。


フェニックスのエタロン透過特性を測るにあたって

以前PSTのエタロンを含んだ透過応答を実測して解析しました。


現在新たにPhoenixのエタロンの応答を測定していますが、いい機会なので合わせていろいろと精度を上げようと思っています。
IMG_2381

精度向上に関し、いくつかやりたいことはあるのですが、この記事では波長のキャリブレーションについて議論します。


波長のキャリブレーション

波長のキャリブレーションは分光器SHG700で別途フラウンホーファー線をカメラで写して、その画像を解析して行います。PSTのエタロンの透過応答の測定の際も、このフラウンホーファー線を元に、波長を決めました。具体的には、撮影したフラウンフォーファー線とJSol‘ExのSpectrum Browserの画面を比較します。似たような線の位置を探し出すのですが、Spectrum Browserでは波長を数字で指定できるので、何本か同じ位置の線がわかれば、波長に換算することができます。前回は、下の画像のように目で見比べながら同じ位置の線を特定していましたが、結構面倒なんですよね。しかも、下で数値が見えている2点で合わせただけなので、精度的に、特にHαより短い波長側にズレがある可能性があります。

wavelength_select_cut

そこで、撮影したフラウンフォーファー線の画像と、波長と強度がわかっている参照データを比較して、自動的にフィッティングしてキャリブレーションしてしまおうと考えたのです。

とりあえずフィッティングしてみるが...

最初に作ったプログラムで比較した結果です。まずはHαよりも長い波長側です。
higher_HA_graph

これを見る限り、そこそこうまくフィッティングできているように思えます。ところが波長の短い側を見てみると、全く合っているように見えません。
lower_HA_graph

そもそも、目で見て合いそうな線を追ってみても、候補さえないような状態です。

ここで一度フラウンホーファー線と、JSol'Exの画像比較に戻って確かめてみました。波長が長い方を比較します。上の方に見えている黒い太い線がHαになります。その下に何本か特徴的な線があり、やはり両画像ともそこそこ合っているように見えます。
higher_HA_cut

同じ比率を保ったまま、Hαより短い波長側を見てみます。画面一番下の黒色太い線がHαです。その上を見てみますが、とてもではないですが合っているように見えません。波長が長い側と短い側で、比率は変わってもいいはずなので、線の間をそれらしく伸ばしたり縮めたりしたとしても、全く候補となるような一致する線が見当たりません。
lower_HA_cut


ここで何日か停滞しました。


参照データを考えて直してみる

実測が間違えているのか、参照データが間違えているのか、色々考えてみました。JSol'Exのデータと、今回使った参照データ (Zenodo に公開されている Solar FTS Atlas.npy, https://zenodo.org/records/14641641/files/solar_reference_atlas.npy)はほとんど同じ形をしているようです。ということは、実測したフラウンホーファー線が何か間違っているのでしょうか?いやいや、少なくともHα線より長波長側ではある程度一致したデータとなっているので、測定自身がおかしいという可能性は少ないかと思います。なので色々調べてみると、太陽スペクトルのデータには何種類もあって、純粋な太陽光を目指したものと、地上で 観測された現実のスペクトルに近いものがあるとのことです。太陽光を目指したものは多くの地球大気吸収線が除去または抑制されているそうです。

というわけで、手に入りやすい以下の4つのスペクトルを実際に比較、グラフ化してみました。
  1. Solar FTS Atlas 
  2. IAG
  3. NSO/Kurucz 1984
  4. PEPSI
作ったグラフのHαより短い側をよく見てみます。
NSO_PEPSI
Solar FTS Atlas(青)とIAG(オレンジ)に関しては、存在しない吸収線がたくさんあるようです。この範囲内でさえもパッと数えて10本くらいはあります。特にSolar FTS Atlas(青)は上側が綺麗すぎたりするので、観測データではなく理論的な線の可能性が高そうです。

その一方、NSO/Kurucz 1984(緑)とPEPSI(赤)は深さこそ差はありますが、吸収線の数が多くて、位置も合わせてかなり似通っています。こちらは地上での観測データと考えていいでしょう。実際には真空中の波長か空気中の波長かで2Å程度ずれるとかもありますが、詳細になりすぎるのでここでは省略します。


PEPSIデータでフィッシング

というわけで、参照データをPEPSIに変更して、再度フィッティングしてみます。さて、どうでしょうか?

Hαより長い波長側と
high

Hαより短い波長側です。
low
特に短い波長側で劇的な改善が見えます。まだ説明できない実測の線もありますが、参照データにある吸収線はほとんど一致していることがわかります。

これで、実測のフラウンホーファー線の波長が精度良くわかったことになります。ということは、カメラの各ピクセル位置がどの波長になるかもわかったとういことになるので、回折格子やカメラの位置を変えない範囲でエタロンやBFの透過特性を測定すれば、波長に対する応答に変換できるというわけです。


まとめ

思ったより時間がかかってしまいました。やはりプログラミングはそこまで得意でないので、ペースが遅いです。でも今回の解析で、参照できる太陽スペクトルの状況がある程度わかったので、今後も今回の情報は使えるかと思います。

とにかくこれで、今後分光器を使って波長を特定する場合に、毎回手でやる必要がなくなったのが大きいです。

もう一つエタロンの測定精度に関わることを議論しています。こちらもきちんと解決したいと思っているので、もう少し時間がかかるかもしれません。


前回、SHG700を使ってPSTエタロンの応答を測定しました。



今回は、透過幅6Å程度と言われているBF(Blocking Filter)及び、ERF (Energy Rejection Filter) 相当に普段使っている透過幅7nmのHαフィルターの応答を測定し、PST全体の応答を検証して見ます。


BFの測定

まずはBFです。実はBFについては、前回の測定の時にすでに測定していました。でも中心波長がHα線の6553Åから全然ずれてしまっていて、隣のピーク近くまでいってしまっていたので、測定自身を疑っていました。今回はHα波長と比較しながら測定してみます。

この日の測定もやはり曇りの日です。太陽の散乱光をSHG700を使ってフラウンホーファー線を映し出します。これが波長のキャリブレーションになるので、正確に見えるようにピントや回折格子の回転角を合わせます。特に今回は、Hα中心波長からのズレをすぐに判断したいので、SharpCapの画面上レチクリ機能を利用して、レチクル線に合うように回折格子を調整しました。具体的には下の画面のようになります。上下のちょうど中心の赤線がHαぴったりになるので、これからする測定もすぐに判断できるはずです。
スクリーンショット 2025-10-05 130303

そして一連の測定後に再度フラウンホーファー線を見て、最初の位置からズレていないことを確認すれば、時間的な波長のズレや、測定で間違って回折格子をズラしてしまったとかがないことも担保されるでしょう。

さて、実際のBFを測定してみました。BFは2つ持っているので、前回測定したもの(実はこちらがスペアのもの)と、普段使っているものも(本当は常用しているものはできるだけ崩したくないのですが)新たに外して測定してみました。ところが何と、前回中心から全然ズレていたものが今回かなり中心に来て、普段常用で使っている正しいはずのものが中心波長から全然ズレています。やはりHαの中心にこないんですよね。

流石にこれはおかしいと思い、いろいろ触ってみました。わかったことは入射光に対してものすごい角度依存性があるということです。例えばズレている時の測定状況は以下のような感じ、上下中心の赤い線から中心がズレるどころか、ほとんどBFの透過範囲にさえ入っていません。
スクリーンショット 2025-10-05 131358

今の段階では精度良く角度を調整できるような機構はないので、LEDの角度を手で微調整します。そうすると下の画像のように、あれだけズレていた透過範囲の中心を赤線の上、すなわちHα線の中心に持ってくることができてしまいます。
スクリーンショット 2025-10-05 132001

本来ならこの時点で入射光の角度依存性を丁寧に測定すべきなのですが、そのためには光源と分光器をきちんと固定して、角度を正確にずらすことができるような機構が必要になってきます。今はそのようなものはないのと、ちょっと大変そうなので、もしかしたら次は望遠鏡にSHG700を取り付けて、直接太陽を見て測定するとかにするかもしれません。角度調整はBFは無理ですが、エタロンは波長調整のための回転部を回すと角度が変わるはずなので、その関係を見るのも面白いかと思います。これらは今後の課題としたいと思います。

話を戻して、BFの透過特性をHα線を中心に持って来た状態で測ってみました。Hα線の周りを拡大したものになっています。グラフのオレンジの点線がフラウンフォーファー線から求めたHα線の位置になります。以下のようになります。
BF

まずここからわかることは、全然左右対称でないこと、ピーク位置は裾野に比べて中心には位置していないことです。。

ピーク位置での測定された最大透過光を1として、左右の光量が0.5になるところの波長を読み取り、その差から波長幅を読み取ったものがFWHM (Full WIdth Half Maximum) になります。今回は6.2Å程度でした。これは一般的に言われている6Å程度というのにかなり近い値です。


ERF

次は、ERF代わりに使っている7nmの天体撮影用のHαフィルターです。

本来はPSTには、BFで取りこぼして透過してしまう、短波長側と長波長側 (実際にはBFは短波長には漏れていないみたいなので、主に長波長側のみ) をカットするフィルターがあります。直接中を見ると枠にITF (Induced Transmission Filter) と書かれているものです。ところがこのフィルターの透過範囲が広すぎて(ここCoronado Blockfilter BF15 , Filter zum ObjektivによるとFWHMで100nm程度)、今のSHG700では一度に測定することができません。今の私のシステム(SHG700+G3M678M)だと測定範囲は18nm程度なので、端の方まで測ろうとすると10回くらい移動しなくてはいけません。面倒なことと、今回はHαの基準を真ん中に合わせたのを崩したくないこと、実際にもうERFとしてITFは使っていなくて、代わりに天体撮影用のHαフィルターを使っているので、今回はITFは諦めることにしてHαフィルターの方を測定します。

測定したHαフィルターは、手元にあるサイトロン製の透過幅7nmのアメリカンサイズのものです。サイトロンジャパンオリジナルと謳っていて、日本で作っていて、合成石英ガラスを採用しているとのことです。ただ、シュミットの販売ページを見ると現在は「在庫なし」となっているようです。これをPSTのアイピース側に入れて実際に使っています。

測定結果です。
HA

左右対称にはなっていませんが、BFに比べて大きな透過幅なので大きな問題ではないでしょう。こちらも一番透過する値の半分の所の左右の波長を読んで、その差をとってやると6.45nmと出ました。公称の7nmを満たしています。


PST全体の性能評価

今回測定したBFとERF(の代わり)を、さらにこちらも改めて実測したエタロンも合わせて表示してみます。エタロンもBFもHαフィルターも真ん中がちょうどHα線になるように、それぞれLEDライトの光の入射角を調整しています。なので、ここでは中心波長からどれだけずれているかなどの議論はできません。
all_wide

特に、興味のあるHα周りを拡大してみます。
all_narrow

BFの透過の端のところが左右の隣のエタロンのピークに少しかかっていることがわかります。狭い範囲なので、Hαフィルターはほぼフラットになります。

これ以降は平らなHαフィルターは省きます。まず、エタロンとBFのを合わせた透過率がどれくらいになるのか、その積を見てみましょう。
sum_eta_BF

確かにエタロンの隣のピークのところの透過率が少し盛り上がっていますが、5%以下なので大した問題ではなさそうです。

でもここで、さらに実測した太陽のスペクトルをかけたものを示します。
sum_eta_BF_spe

元々太陽の吸収線であるHαの暗いところを見ようとしているのですが、それ以外の波長のところは全然明るいわけです。エタロンの隣のピークのところもHα線からはるかに離れているので、当然明るいです。

それを考慮するとHαの中心波長位置に比べて、隣のピーク位置でそれぞれ15%程度の「明るさ」のピークになります。両側にあるので、合わせて30%程度になるでしょうか。実際の明るさは波長で積分したものになるので、Hα線周りの裾野も大きく、そこまで影響はないかもしれませんが、太陽スペクトルと一緒に考えると、そもそもそのHα周りの裾野の影響も相当大きいということを認識しておくべきでしょう。これらの影響はコントラスト低下につながります。そのため、
  • よりフィネスが高い、狭帯域のエタロン
  • 鏡の間の距離がより長い、FSRの大きいエタロン
  • 狭帯域のBF
などが求められるわけです。

その一方、コントラストの影響は眼視には直結しますが、撮影では一定の明るさの光はオフセットとして差し引くことができるので、影響は眼視ほど大きくはありません。もちろん、明るいということはショットノイズも大きいということなので、ノイズとしての影響は当然でます。

さらに、これは明るさだけの問題ではなくて、以前調べたように波長ごとに像そのものが大きく変わるので、コントラストの問題というよりは、どの波長を見るかという波長域の問題になります。



以前検討してみたメーカーの違うエタロンのダブルスタックは眼視という観点では主にコントラストに効き、撮影という観点では主に波長域に効くと考えると、いずれにせよかなり効果的なのかと思います。


まとめと今後

エタロン、BF、ERFと、やっとPSTの性能の実測ができました。ただし、入射光の角度依存性があることは分かりましたが、きちんとした検証は今後の課題です。

このPSTの透過曲線に、太陽スペクルを掛け合わせると、さらにいろいろ検討できることもわかりました。これまで考えてきたことが少しづつつながって、どんどん謎解きが進みます。アマチュア天文の醍醐味ですね。

さてとりあえずの次の目標ですが、手持ちのナローバンドフィルターをそれぞれ測定してみたいと思っています。せっかく手に入れた測定手段なので、まだまだ続きます。


久しぶりに新機材を手に入れました。太陽を見るためのものですが、鏡筒とかではなく接眼側にくっつける分光器です。かなり楽しそうなので、今回からしばらく太陽分光の記事が続くことになると思います。


太陽の分光

6月10日、自宅に帰ったら待ちに待った太陽分光撮影のためのMLastroSHG700が到着していました。


4月初頭に発注してから、約2ヶ月待ちました。値段は880USDで、日本円にすると税など合わせてほぼ14万円でした。オプションなど何も無しです。これを高いと見るか安いと見るかですが、ほぼPhoenixと同じ価格帯です。Phoenixは太陽望遠鏡の中ではエタロンの性能は抜群ですが、口径的には入門機の部類でかなり安価な方と言えるので、同価格帯のSHG700も決して高くはないのかもしれません。でもこれまで私が太陽関連でかけてきた金額(C8: 3万、PST1台目: 3万、PST2台目: 3万、ASI290MM: 4万、G3M678M: 3万)から見ると、単体で10万越えで、しかもこれまでのメイン太陽機材全部と同等の価格で、私的にはかなり高価な部類になります。実際Phoenixも欲しかったのですが、10万越えを一度に二つも買ったら大ゲンカで家庭崩壊が目に見えているので、散々迷って、今回はより多くのことができそうなSHG700にしました。
IMG_1454

機種名にもなっているSHGですが、これはspectroheliographから来ていて、現在ではおそらく一般用語と言っていいでしょう。spectroが分光、helioがラテン語で太陽なので、分光太陽写真とか太陽分光写真とか訳されているようです。Wikipediaによると

It was developed independently by George Ellery Hale and Henri-Alexandre Deslandres in the 1890s.

とあります。さらに日本語でもう少し詳しい文書がここにあり、これによるとアイデアとしては1868頃に考え出され、1890年頃に発展したということです。アイデアから150年以上経った現在、アマチュア天文家が市販品レベルで普通に、しかもはるかに精度良く試せるようになっているというわけです。素晴らしい時代ですね。


Sol'Exについて

アマチュア用の太陽分光で近年の大きな出来事といえば、Shelyak INSTRUMENTSのSol’Exでしょう。


3Dプリンタで各ユーザーが印刷することを前提に図面を提供し、光学部品をまとめて販売してくれています。

日本で話題になったのは2022年の夏くらいでしょうか?プロジェクトとしてはAstrosurfに2021年の資料があるのは確認できましたが、おそらくそれ以前から議論されていたのかと思います。見つけた中で一番古い関連ページはここで2020年12月でした。

Sol'Exについては、海外記事にはたくさん解説があります。わかりやすいのはやはりAstrosurfのページでしょうか。特にここのTheoryとかResoursesのところは読んでおいて損はないです。日本語だとKanzakiさんのページが詳しいです。星仲間だと木人さんが2022年から始められていて、確か福島の星まつりで講演されていたはずです。

いずれにせよ、アマチュア天文において、誰でも市販レベルで太陽分光撮影を試せるようにしたSol’Exが、大きな潮流を産んだことは間違いないでしょう。特にソフト関連は、Sol'Exコミュニティーで発達した「JSol'Ex」というものを今回のSHG700でも使うようです。

Sol'Ex自身も開発を続けていて、その後Sol'Ex Proというのが出ていたり(これは本体印刷済みのものを売っているということなのでしょうか?フランス語なのでわからなかったです)、スリットをGEN2として7μmのものを提供するなど、バージョンアップしているようです。


なぜSHG700?

少し時を戻します。CP+でPhoenixに触れて太陽熱が再開してから、海外も含めて太陽関連を調べていると、太陽全景のものすごい画像がいくつもアップされていました。

そこで何度か見たSHG700の名前。なんだろうと調べていくと、どうやらエタロンではなく分光で撮影しているらしいのです。分光撮影はSol'Exの印象が強かったので、空間的な分解能はそこまで出ないのではという印象がありました。SHG700で撮影したという画像は、分解能不足を払拭させてくれる印象で、かなりの高解像度の画像がユーザーレベルの報告みたいな形でいくつも出ています。しかも少し調べていくと、今までエタロンの制限で出来なくて悩んでいたことが相当解決できそうです。例えば、Hαの波長幅がエタロンよりも遥かに小さく、太陽の自転の左右の速度差から出るドップラーシフトとかも見えるそうです。Phoenixで自転のドップラーシフトが見えないか、以前計算したことがあるのですが、Phoenixの0.5Å以下という鋭い半値幅でもまだ一桁くらい足りないようで、全然諦めていました。

今回のSHG700ではMLastroのページによると、0.06-0.1Åが楽に出るそうです。(その後きちんと見積もると、手持ちの機材では0.18オングストローム程度になるようです。でもそれでも十分すごいです。)一般的な太陽望遠鏡についているエタロンから考えたら、相当いい波長分解能です。市販の太陽望遠鏡で、シングルエタロンとしてはかなり性能のいい部類の0.5ÅのPhoenixから見ても十分細かいです。しかもそれが決められた波長だけではなく、300nm後半から900nmを切るくらいまで広い範囲にわたって同じ分解能で見えるとのことです。CaK線などの特殊機材を持っていなければ見えなかった波長も当然見えるので、とても楽しみです。

その一方、空間分解能はそこまでいかなくて、アップされている画像を見ているとSHG700を口径8cmクラスで焦点距離600−700mmの鏡筒に取り付けて使ったとしても、Phoenixの口径4cm、焦点距離400mmと同じくらいか、少し勝てるくらいでしょうか。しかも、1枚の画像を出すのにかなり手間はかかりそうなので、達成できる空間分解のうが同じくらいだとすると、波長での有利さのSHG700をとるか、簡単さのPhoenixを取るかと言ったところでしょうか。SHG700はPhoenixと同様に、基本的には太陽全景を見るためのもののようで、いつもC8+PSTでやっているような、長焦点鏡筒を使って細部を見るという目的には適していないようです。

SHG700は、初代普及器とも言えるSol'Exよりはかなり精度が上がっていて、普及2世代目といっていいような仕様になっています。例えば、可動部の調整機構にマイクロメーターを3箇所取り付けています。その精度がどれくらい効くのかはこれから確かめていこうと思いますが、必要な所に必要な精度を持ってきたということなのかと思います。また、マイクロメーターは精度もそうですが、位置の再現性もあるので、バックラッシュなどもあるかと思いますが、再現性の高い撮影ができそうです。

もう一つの特徴はスリットでしょう。Sol'Exのスリットは元々幅10μm、長さ6mmから始まって、現在はGEN2と呼んでいる幅7 μmと10μmの2ポジション、長さ6mmが標準となっているようです。スリット幅は狭いほど空間分解能が増し、スリット長が長いほど長焦点の鏡筒を使うことができます。口径にもよりますが、基本的には長焦点の鏡筒の方が空間分解能が増します。SHG700では最初から幅7μm、長さ7mmが標準で、長さ10mmのものも検討されているようです。また、SHG700では合成石英タイプのスリットを利用しているために、熱膨張しにくく、より集光した光を当てても歪んだり壊れたりしないということです。このことは鏡筒の口径や焦点距離を大きくすることに一役勝っているようです。Sol'Exのスリットの素材も改良されてきているようですが、あくまで膨張係数の小さいガラスという表現にとどまっているようです。

一方、内蔵されている2つのコリメーターレンズとカメラレンズはSHG700のものは共に焦点距離72mmで、Sol'Ex標準のコリメーターレンズの125mm、カメラレンズの80mmと比べると、特にコリメーター側はかなり短いので、波長分解能的に多少不利になるようです。ただし、使用鏡筒の口径にも依存するので、一概にどちらが有利かは単純には言えず、鏡筒とカメラも含めた全体設計として各パラメータを考える必要があります。

最新のSol'Exで撮影した画像はかなり細かいものもアップされていて、個人的な感想としてはトータルではSHG700の方が少し勝るくらいの印象でしょうか。最高画質だけで比べたら、かなり拮抗していると思います。ただ、Sol'Exを使っている人に話を聞くと、やはり「難しい」と。何が難しいかというと、調整があまりうまくできないことと、頑張って調整してももなかなか解像しないところみたいです。それでだんだんやる気がなくなってしまうようです。SHG700でマイクロメーターを使う利点は、精度そのものよりも、むしろ調整の簡単さを狙ったものなのかもしれません。その結果として、高解像度の画像が安定してアップされているような印象です。


開封

今回の注文ではオプションなど何もつけなかったので、下の写真のようにパッケージは至ってシンプルです。これに検査成績書が1枚入っていただけです。

IMG_1452
  • 太陽だけに使うのではなく、星を分光するためのオプション部品もありましたが、今回は見送りました。でもこちらも楽しそうなので、欲しくなったら注文するかもしれません。
  • カメラを差し込むためのアイピース口へと変換するアダプターが、発注時のオプションでありますが、一緒に注文しておいてもいいかもしれません。私は手持ちがあったので、注文しませんでした。
  • 同様に鏡筒への取り付けとして、2インチアダプター口へ差し込むためのノーズアダプターがオプションであります。今回は1.25インチで接続するために手持ちのノーズアダプターを使いましたが、2インチの方が接続が強固になりそうなので、買っておいた方がいいかもしれません。その場合当然ですが、鏡筒の方が2インチアイピースに対応している必要があります。
  • 他にも、MLastroのオススメのカメラとしてG3M678Mがオプションにありますが、AliExpressで探すとそちらの方が安かったのと到着も早そうなので、今回は一緒に頼むのはやめました。

送られてきた時、箱の長手方向の角の一辺が少し凹んでいましたが、中身には何の問題もありませんでした。初期の頃はネジが緩んでいるというクレームがあったようですが、今は改善されているそうで、少なくとも到着した本体にそのような緩みはありませんでした。

製作はベトナムでしているらしくて、ハノイからの出荷となっていました。香港を経由して大阪で輸入手続き、その後富山の自宅までという経路だったようです。出荷の連絡はMLastroから直接メールでトラックナンバー付きでくるので、その時その時にどこにあるのかがわかります。楽しみで何度も見ていたら、途中アクセス制限されてしまいました(笑)。ハノイ出荷から自宅到着までちょうど一週間でした。
  • 重さはMLastroによると1.2kgとのことです。筐体はアルミニウム製。金属なので強度的には十分で、アルミなのでそこまで重くもなく、鏡筒に取り付けてもそこまで撓むことはなさそうです。
  • 外観で目立つのは3つのマイクロメーターでしょう。鏡筒側と、回折格子の回転はとりあえず触らなくていいそうなので、そのままにしておきます。後述しますが、カメラ側はピントを出すためにすぐに結構な量を触る必要がありました。

組み立て

基本的に本体は出来上がった状態で、しかも調整された状態で到着するので、組み立てといっても大したことはなにもないです。とりあえず必要なアダプターなどをいくつかつけていきます。
  1. 鏡筒側にはT2(M42-P0.75)の雌ネジが切ってあって、しっかりたとした金属の蓋がねじ込み式でついています。この蓋を回して外して、代わりにCMOSカメラに付属していたT2(M42)-1.25インチのノーズアダプターを取り付けます。重要部品のスリットが付いている側なので、埃などが入らないように、普段は別途キャップをしておきます。
  2. カメラ側にもT2の雄ネジが切ってあって、こちらも金属の蓋が付いています。蓋を回して外して、手持ちの1.25インチアダプターに変換するアダプターをつけます。このアダプターはたまたまアイピース側に別途T2の雄ネジが外周に切ってあったので、カメラを取り付けない時には、付属の金属蓋をそのまま取り付けることができます。
  3. 本体底面部にはアルカスイス互換のプレートを取り付けました。これは最初に鏡筒なしで調整するためにカメラ三脚に簡単に取り付けるためです。ただし、本体側のネジ穴がかなり浅くてこの手のアダプターについている、手で締められるタイプの1/4インチネジだと微妙に長くて奥まで入っていきませんでした。仕方ないので、ネジを一旦プレートから外して、間にM6のワッシャーをかましました。

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ピント合わせ

初期調整のために、本体をカメラ三脚に取り付け、太陽光を取り入れます。この時点ではまだ鏡筒をつなぐ必要はなく、しかも晴れていなくてもかまいません。実際、雨の日に部屋の中で、鏡筒取り付け口を窓の外に向けて試しました。

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カメラはわざわざこのために新調した、MLastroオススメののG3M678Mです。手持ちのカメラでも使えないか色々考えましたが、多分これが性能的にも値段的にも一番有利です。AliExpressで探すと、安いものが見つかります。SHG700発注と同じくらいの時に別途発注して先に到着していたので、これまでのブログ記事にもあるように、すでに太陽撮影で使ってきました。

このカメラを使う利点は、ピクセルサイズが2μmとかなり小さい方なので、高分解能で撮影できることです。分光撮影ではセンサーの長手方向を利用して使うことになりますが、スリット長の7mmに丁度長さの横手方向になっているはずです。

カメラを最初に取り付けて調整するときに、カメラのピントが意外に出にくい場合があるので注意です。わたしはアイピース口に変換するアダプターに、手持ちのものを使いましたが、おそらくMLastroが想定しているアダプターよりも若干長いものなのかと思います。そのため、カメラを一番奥まで突っ込んでも、初期マイクロメーター位置の5mmの所ではピントが全然出ませんでした。もっとカメラを押し込む方向でピントが合うようです。でもピントがずれていると、線も何も見えないので手がかりが全くありません。マイクロメータを触ればいいのですが、チュートリアルには「初期位置からあまり触るな」と言っているので、ちょっとビビってました。結局、マイクロメーターで10回転、約5mmくらい伸ばして、10mmくらいの位置でやっとピントが出ました。マイクロメーターで5mmは結構な量に感じるので、最初は勇気が必要でした。でもその後、別のチュートリアルビデオを見ていたら、マイクロメーターで10mmくらいの位置でピントが出るはずだとか言っています。最初からそれくらいの位置に合わせておいてくれたらと思いました。


ファーストライトとフラウンホーファー線

さて、ここでファーストライトになりますでしょうか。

ピントが合うと、SharpCapの画面上にとうとうフラウンホーファー線が見えてきます。今回は1秒露光でゲインが3200(=32倍、=ZWOの300に相当、=30dB)で、ヒストグラムでストレッチしたら十分見えました。
スクリーンショット 2025-06-14 155717

いやー、これはすごい!
自分で撮って、ここまで綺麗に見えるとは。

ものすごい細かい線まで見えていますSHG700の標準のスリット長が7mmですが、画面を見る限りこれでG3M678Mの横幅をフル近くで使っているように見えます。これ以上長いスリットを見つけたとしても、カメラから変更しなければならないので、現時点で最もパフォーマンスが出る上手い組み合わせを考えてくれていると言えます。しかもカメラセンサーを大きくすると、ピクセルサイズが今の2μmよりも大きくなる可能性の方が高いので、その場合スリット長を伸ばす効果を相殺してしまいます。もし今後拡張する場合は、かなり考えて一気にやる必要がありそうです。

この撮影した画像ですが、そもそのどの波長なのか、どれくらいの範囲を写しているのか、どれくらいの分解脳があるのか、この時点では全くわかっていませんでした。SHG700本体の回折格子の回転調整のところを見てみると、初期位置でHαを指しているので、おそらくHα線が画面上下の真ん中近くにあるはずです。とすると、真ん中少し上の太い暗い線がHαなのでしょうか。
IMG_1463

少しだけ調べてみると、CNにあったSol'Exで撮影したHα周りの画像と比較することで、どれくらいの範囲が取れているのか判明しました。線の模様が同じようになっていて、主要な波長を数値で示してくれています。その結果、
  • 真ん中少し上にある太暗い線はやはりHαで656.28nm。
  • 上1/5くらいにある次に暗い線はFe IIで651.61nm。
  • 別途保存した画像から測定すると、この2つの輝線の間が506ピクセルだったので、分解能は実測で、0.923Å/pixel程度です。
  • 今回撮ったものは上から下までで18nmくらいの幅を見ているのかと思います。
どうやら一度に撮れる範囲が18nmと結構狭く、例えば可視光全波長をスキャンするのは30-40回くらいの撮影になり、ちょっと大変そうです。細かい調整も大変そうなので、回折格子の回転の微調整のためにマイクロメーターが付いているのは正解な気がしてきました。

露光時間を増やしてスタックしたら、ノイズに埋もれている淡い輝線ももう少し見えるはずです。次の日10秒露光で30フレームをスタックして、合計300秒で見てみました。

Stack_30frames_300s_WithDisplayStretch

拡大してみてもらえるとわかりますが、相当細かい線まで写っています。更にHα周りを拡大してみます。

Stack_30frames_300s_WithDisplayStretch_cut

このページの図と比較してみるとわかりますが、上の拡大写真の縦軸の範囲は、リンク先の左下の図で見えている範囲の3倍くらいに相当します。リンク先の図では、Hαより短い波長に2本、長い波長に1本落ち込みがありますが、上の画像ではそれらの線を含めてさらに淡い(細い)線も見えていることがわかります。


まとめ

とうとう太陽分光が指導しました。フラウンホーファー線でももう大興奮です。今、やりたいことリストを作っていますが、かなり楽しそうです。

最近はもう真夏のような暑さなので、熱中症とかに気をつけながら撮影など進めていきたいと思います。













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