ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ファーストライト

少し前に到着したε130、色々準備をしていたり、あまり天気が良くなかったりで延び延びになっていましたが、やっとファーストライトと相成りました。といっても、撮影するにはまだ準備不足なので、まずは試しに電視観望です。


赤道儀への取り付け準備

まずは箱から出して組み立てです。タカハシの純正鏡筒バンドとプレートは一緒に購入したので、適当な位置に鏡筒を固定します。問題はどうやって赤道儀に取り付けるかです。

そもそもタカハシの鏡筒バンドはプレート固定のための二つのネジの幅がかなり広くて、一般的なロスマンディー規格のアリガタの幅よりも広いので、鏡筒バンドとアリガタを直接固定することができません。そのため、まずは同じくタカハシ純正のプレートに鏡筒バンドを固定して、このプレートに空いている穴を介して別のアリガタなどに固定する必要があります。

サイトロンで一緒に購入したAskarのドブテイルバー(ロスマンディー規格のアリガタ)はネジ位置が合わなくて取り付けることができないのはわかっていたので、手持ちのものを探しました。以前スターベースで特価で購入したロスマンディー規格のアリガタに、なんとか取り付けることができそうです。でもアリガタの先端の方のネジを2箇所で止めることができるくらいなので、もしかするとパタパタするかもしれなくちょっと不安定です。タカハシ純正プレートにはあまり加工したくないので、アリガタに穴を新たに空けるか、もしくは後でTSA120などで使ったMOREBLUEの軽量鏡筒バンドに替えるかもしれません。でもまだ予算を他に割り当てる必要があるので、優先度は低いです。

最低限赤道儀に取り付けることができるようになったので、一度実際に取り付けてみて、特にネジの頭とかの干渉などないかチェックします。赤道儀はCGEM IIを使うことを標準としました。Advanced VXでもよかったのですが、ε130の本体自体は5kgと重くはなくても、今後フィルターホイールやカメラ、ガイド鏡などをつけていくとそこそこの重さになるのと、やはり撮影がメインなので少しでも耐荷重が大きくて頑丈な赤道儀の方がいいと思ったからです。


ガイド鏡取り付け位置

ガイド鏡を取り付ける位置は少し迷いました。最初鏡筒上部に手持ちバーを兼ねたアルカスイスプレートを付けようとしたのですが、やはり鏡筒バンドの上部にあるネジ穴の幅が広すぎて直接取り付けることができないことがわかりました。色々考えた末、結局SCA260でやっているように小判鮫状態にしました。アリガタは40cmの長さでじゅうぶんながいので、前方に飛び出ている部分の下面にアルカスイルプレートを取り付けるわけです。

1C429718-3AE4-4C1A-B0C7-D01DB77C44F5
ロスマンディーのアリガタの下に、
アルカスイスプレートが取り付けてあるのがわかりますでしょうか?

この方法の利点は二つあります。
  1. 一つは鏡筒を赤道儀に乗せるときにそのアルカスイスプレートがストッパーになって、鏡筒から片手を離してもずり落ちるようなことがないことです。
  2. さらにこのアルカスイスプレートは前後に長いネジ穴があいているので、前後位置をスライドさせることができます。そのため、一度前後の重量バランスを合わせてしまってアルカスイスプレートをその位置で固定してしまえば、それ以降は鏡筒の前後バランスを取る必要はなく毎回同じ位置に取り付けることができることです。
これらの利点はSCA260で同手法を運用しているうちに気づきました。


光軸チェック

このε130は展示されていたものなので、光軸がずれてしまっている可能性があります。そのため、コリメーションアイピースを使い、光軸をチェックします。あらかじめ副鏡も主鏡にもセンターマークが付いていたので、チェックは簡単でした。とりあえず見ている限り全てのセンターマークが、コリメーションアイピースで見てセンターに来ています。主鏡が作る大きな縁も同心円上になっているようです。気づいたのは、接眼部のアラインメント調整機構がないので、コリメーションアイピースで見た時に副鏡のセンターを指していない時は、副鏡自身を平行移動などしなくてはダメなところでしょうか。でもこれも原理的に自由度が足りないとかではないので、まあ問題ないでしょう。今回は特に問題なさそうなので、とりあえず何もいじらずによしとしました。あとは、実際の撮像を見て評価したいと思います。


電視観望準備

本当は休日前とかのほうがのんびり試せるのでよかったのですが、天気の関係で平日の夜になってしまいました。でもこの日が良かったかというと、黄砂か春霞なのかうっすら雲がかかっているようで、透明度がかなり悪く北極星さえ肉眼で全く見えません。でもこの日を逃すと次はいつになるかわからないので、とりあえず庭に機材を出すことにしました。

カメラはASI294MCで、そのままアイピイース口に取り付けます。でもこのままだとピントが出ませんでした。色々アダプターを付け替えたりして試しましたが、思ったよりフォーカサーの調整範囲が狭くて、結局補正レンズを外してやっとピントが合いました。そのせいなのか四隅の星像が崩れるのは仕方ないにしても、中心部の焦点が合い切らずに星像の鋭さが全く出ません。これは後日補正板をつけて、バックフォーカスもきちんと合わせてから評価し直すことにして、とりあえずこの日はこのまま進めることにしました。


M42: オリオン大星雲

春も半ば過ぎに来ているので、もうオリオン座は早いうちに西の空に沈みます。しかも最近は日も長いので、ますますオリオン座を見る時間が少なくなってきています。とにかくM42オリオン大星雲だけは派手で見やすく、冬季節の電視観望の基準の星雲と言うべきもので、これが沈まないうちに画面に映し出します。

下の画像はgain420で露光時間1.6秒、ライブススタックで22枚、総露光約35秒のもの、フィルターはCBPです。隣の家に沈む寸前(実は一旦屋根に沈んだのですが、今一度赤道儀の位置を変えて家と家の間に見えているところを電視観望したもの)で、しかも透明度が悪い日の西の低空なので、全く見栄えは良くないのですが、まず思ったことが「速い」でした。

01

こんなひどい状況では綺麗に見えるまでにライブスタックを続けてかなり待つ必要があるのですが、さすがFS-60CBの約4倍の明るさです。「速く」星雲が浮かび上がってくるのは、ある程度わかっていたこととはいえインパクトが大きかったです。


バラ星雲

この印象は次のバラ星雲でも全く同じでした。

この日のフィルターはアメリカンサイズのCBPで、カメラにつけたノーズアダプターの先に取り付けています。ただ、この位置に取り付けると周辺減光が顕著になってきます。まずはCBPなしの場合。ゲイン420で3.2秒露光で一回露光だと、バラ星雲とはほぼわかりません。
03

次がCBPありの場合です。30秒露光なので、上の画像と直接比べることはできませんが、朧げながらバラの形がわかります。見て欲しいのは周辺減光で、ストレッチ具合はそう変わらないのに、CBPをカメラ先端につけると明らかに周辺減光が増えています。ε130は明るい鏡筒でセンサーに対する光の入射角が急になるので、フィルターをつけるとしてももっとセンサーに近いところにつけた方がいいことがわかります。
04

上の画像をライブスタックしていくと、わずか2分半で下の画像位になります。空は相当に悪い状況ですが、それでもこの速さはやはりε130の威力といったところでしょうか。
05


三つ子銀河

しし座の三つ子銀河です。天頂に近いので透明度は低いところよりはマシですが、それでもこの日の透明度はかなりイマイチです。

まずは30秒露光です。これだけでも十分に存在はわかります。
08

2分露光です。かなりきれいに見えてきました。
09

10分露光です。周辺減光が目立つので、中心だけ少し拡大しています。画像を拡大してみるとわかりますが、そこそこ分解能も出ていて、銀河一つ一つの構造もよくわかります。
10


M81とM82

M81とM82です。北の空で富山の街明かりで明るいのですが、高度はそこそこあるので先の西の低い空よりははるかにましです。繰り返しますが、肉眼で北極星は見えない状況に変わりはないので、それでここまで見えるなら上等でしょう。

2分露光です。
11

10分露光です。10分露光すると、細部もそこそこ見えてくることがわかります。
13


M51: 子持ち銀河

最後は同じく北の空でM51です。2分露光と
14

10分露光になります。
15

例えば観望会をやったとして、10分でここまで見えるなら、まあ十分ではないでしょうか。


まとめ

かなり状況の悪い日でしたが、やはりε130での電視観望は「速い」です。必要な露光時間は近い焦点距離のFS-60CBの4分の1くらいで、実感としてもこれくらいです。例えば40分待たなければならないのが10分ではっきり出てくるようになったと考えると、やはりかなりの威力でしょう。

ε130にフォーサーズのASI294MCと合わせるとすると、焦点距離としてはM31アンドロメダ銀河が画角一杯、北アメリカ星雲単体はなんとか入りますが、ペリカン星雲と一緒には入らないので、もう少し短焦点でもいいかもしれません。その一方、三つ子銀河がそこそこの解像度で見えるので、電視観望で銀河専門と考えなければ、これ以上長焦点にする必要もないでしょう。短時間の電視観望で次々と天体を入れてくのだと、(焦点距離はもう少し短くてもいいので)分解能的には少しオーバースペックな気がしますが、長時間ライブスタックして天体写真にも仕上げたいという場合には適度な焦点距離かと思います。

いっそのことASI2400MC Proのようなフルサイズのカメラと合わせるなら、ε130は最大限威力を発揮するのかもしれません。さらにこれ以上を求めるなら、あとはRASA8とかになるのでしょうか。


今後

やはりε130君は撮影鏡筒だと思うので、次はきちんと撮影で使ってあげたいと思います。準備状況ですが、
  • 今2インチのフィルターホイールはちょっと前に買ってあります。
  • 2インチフィルターですが、RGBフィルターはZWOのものを買い、
  • ナローバンドフィルターはBaaderのものをHαとOIIIを星まつりで安く買い漁ってあります。SIIはSAO合成よりLRGBやAOOの方がかなり楽しいので、少し優先順位を落としています。
  • カメラはASI6200MM Proでこちらはお借りしているものです。
  • 接続は以前ASI2400MC Proを試したときに、ZWO製のフルサイズクラスのCanon EFマウント用のアダプターを用意したので、ε130側には手持ちのタカハシのDX-WRカメラマウントを取り付けて、EOS EFマウントで接続しようと思っています。理由は、カメラを取り外して再度取り付けた際の回転位置の再現性が欲しいからです。

あとはEAFを用意したいくらいでしょうか。全部揃えると値段が値段なので、なかなか一度にパッとはいきませんが、着々と準備は進んでいます。


Player Oneの評価もそこそこに、何と今度はFMA135の試用をSIGHTRONさんから頼まれました。


Askarの新製品FMA135



ひと月ほど前にCP+の配信のことをシュミットの店長さんと電話で話していたときです。その際にAskarのことが話題になりました。なんでもFMA135が日本でも販売されそうだということを聞いて、私の方からよかったら是非試させて欲しいと頼んだような運びです。

そもそもFMA135とは、最近注目のAskar社が出した焦点距離135mm、口径30mmの非常に小さな鏡筒です。あのAskar社が出すということで、レンズも相当気を使っていて、1枚のEDレンズを含む対物3枚玉にさらに3枚玉フラットナーをつけてあるので、収差を抑えかなりシャープな星像が期待できるようです。

新製品ということですが、日本に到着してすぐに送ってくれたみたいで、4月24日に自宅に届きました。でも到着後、なかなか天気の良い日がなくて、やっと昨晩の夜中くらいに雲が結構晴れてきてファーストライトとなりました。


早速開封

到着後すぐに箱を開けて中身を取り出してみましたが、中には3つに別れたパーツが入っていました。

IMG_2336

真ん中が本体、左がアメリカンサイズの差込口になってここにCMOSカメラやアイピースを取り付けることができます。右の赤いのが足になり、本体にスポッとはめて取り付けることができます。

本体は小さくてとてもコンパクトです。コンパクトにもかかわらず、非常にしっかりとした作りになっています。前後には金属のねじ込み式の、かなりしっかりした蓋がついています。ふたは意外に重要だったりするので、こういった細かい所も作り込んでくるAskarの姿勢は、非常に好感が持てます。

アイピース取り付けアダプターもかなり肉厚にできていて、カメラなどのたわみもほとんど出ないと思われます。


FMA135を試したかった理由

そもそもこの鏡筒(と言っていいのかというくらい小さいのですが)を試したかったのは、焦点距離200mm以下のきちんとした鏡筒というのはなかなかないからです。200mm以下となるとカメラレンズが主となってきます。でもカメラレンズで周辺まで星が点像で写るものはかなり高価になります。しかもオートフォーカスなども付いていて高機能なのですが、星を撮影する分にはそういった機能のほとんどは必要ありません。一方このFMA135は4万円程度とかなり安価な部類になり、これで星雲など撮影できるならかなり魅力的な鏡筒になるかなと思ったからです。安価な分口径わずか30mm、それでもF4なのですが、最近の明るい高級レンズと比べると、少し暗いことは否めません。まあそこは撮影時間を稼ぐことでなんとかなるのかと思います。

ちなみにメーカー推奨はAPS-Cなのですが、せっかくの短焦点鏡筒なので、フルサイズだとどれくらいの撮像になるのか、興味があるので今回はEOS 6Dで試してみました。


一眼レフカメラと接続

6Dを含めて、一眼レフカメラとの接続は一般のT2アダプターを使います。FMA135の本体にはT2ネジが切ってあるので、そこに各社の一眼レフカメラ用のT2アダプターを持ってくれば、そのまま接続できます。

IMG_2370

IMG_2368

カメラにFMA135を実際に繋いでみると、そのコンパクトさが強調されます。三脚への固定ですが、FMA135自身がかなり軽いので普通のカメラレンズと思ってしまって、カメラ本体側で三脚に固定すれば十分です。私の場合、アルカスイス互換のL字プレートをカメラ本体に取り付けてあるので、今回はそれを使って普通に三脚に取り付けました。


ファーストライト

いよいよファーストライトです。外に出てみると、まだ少し雲が残っていましたが、できるだけ雲のないところを選びます。ピント合わせはFMA135本体で行います。私は6Dでのピント出しは、カメラ側のモニターをオンにして、明るい星を選び、できるだけ拡大して映して、それが最小形になるように調整します。FMA135の場合レンズ部がヘリコイド式になっているので、回転させてレンズを伸び縮みさせます。ピント固定ネジが付いているのですが、これが結構小さくて暗い中だと苦労しました。天体撮影だと一度ピントを決めたらあまりいじらないので、もう少し固定しやすくなっててもいいかと思いました。

さて、ピントもあって、画角も決まったので、露光時間とISOを変えて何枚か撮影しますが、固定三脚だと10秒でも星が流れてしまうことがわかったので、ここで赤道儀に載せ換えます。玄関に置いてあったAdvanced VXをそのまま庭に出しただけですが、今回は極軸も取らずに、ドンとだいたい北に向けて置いただけです。こんな適当な置き方でも、固定三脚に置くより遥かにズレが少なくなりますが、ここらへんの詳しいことに興味がある方はこのページを読んでみてください。


撮影結果と星像

これで何枚か撮影した中で、露光10秒、ISO3200で撮ったときの撮って出しJPEGが適度な明るさで星が見えていました。真ん中らへんにゴミがあるのは無視してください。

IMG_4009

この周辺の拡大図は以下のようになります。

IMG_4009_cut25

内側の青の枠がAPS-Cに相当し、外側のオレンジ色の枠がフルサイズに相当します。各マスは100x100ピクセルを切り出しています。こうやって見ると、やはりメーカーの言う通りAPS-Cは十分に点像を保っています。一方フルサイズの周辺になってくると少し星像が各方向に伸びていってしまっているのがわかります。と言っても、あくまで拡大しての話で、一般の同等な焦点距離のカメラレンズと比べても全然遜色なく、全体でみている限り四隅もそこまで気になるほどでありません。むしろ折角の短焦点鏡筒の特徴を生かして、フルサイズで広い範囲を取る方向の方が面白い気がします。


周辺減光

一方周辺減光ですが、iPhoneにColorScreenというソフトを用いてホワイト画像(実際には輝度128/256のグレー画像)を出してやり、それをFMA135と6Dでフルサイズで撮影することで評価してみました。撮影はISO100、1/400秒です。その時の撮って出しJPEG画像と等高線図が以下のようになります。

IMG_4006

IMG_4006_contourPlot

等高線はPixInsightのScriptを使いました。この時の等高線の最も明るいところが0.519、最も暗いところが0.328となるので、フルサイズだと中心に比べて最周辺は0.328/0.519 = 63.2%になるので、やはりそこそこ光量は落ちてしまいます。

ちなみにAPS-Cサイズ相当の位置の最終篇の明るさが0.494程度となるので、APS-Cだと中心に比べて最周辺は0.494/0.519 = 95.2%になり、ほとんど金にならない程度になります。

こうやって星像の流れと周辺減光を見てみると、メーカーがAPS-Cまでと言っているのがわかる気がします。逆にいうと、どれくらい星がずれるか、どれくらい周辺が暗くなるかをきちんとできたので、それが問題にならない範囲で自己責任で使う分には、結構魅力的だと思います。

ちなみにFMA135で月を撮ってみましたが、フルサイズだと月がこれくらいのサイズになります。これも撮って出しJPEGなので、大きさを確認するくらいを参考にしてください。

IMG_3994

IMG_3996


まとめ

さて、FMA135のファーストライトを駆け足で紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今後撮影も実際にしていきたいと思いますが、撮りたい領域が夜中以降に出てくるので、新月期近くになるまで少し待たなければならないかもしれません。

その代わりと言ってはなんですが、今回のファーストライトの後にFMA135とNeptune-C IIで電視観望を試してみました。実は電視観望用にはFMA135をあまり使おうと思っていなかったのですが、超コンパクトシステムになりかなり面白いです。電視観望については、また次回以降の記事(2021/5/2追記: まとめました)にまとめたいと思います。



このページのトップヘ