ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:ジェット

前回の記事から少し間が開きましたが、一連のSHG700の応用編になります。

太陽望遠鏡を使ったタイムラプス映像は、比較的挑戦しやすく動きも見えて楽しいかと思います。特に、Phoenixのような入門機クラスの太陽望遠鏡では全景を見ることに適していて、最近ではSharpCapの「太陽/月/惑星のライブスタッキングと強化」機能を使うことで、かなり簡単に安定にタイムラプス映像が撮影できるようになってきています。私も以前PSTで試した記事が以下になります。


その一方、最近ずっとテストを続けている分光撮影では、そもそも一回の撮影に赤道儀をスキャンする必要があるなど、手間と時間がかかり、更に撮影後の画像処理も結構手間なので、連続で撮影してタイムラプスかすることはあまりされていません。でも不可能ではないはずです。今回は、SHG700での分光撮影で実際どれくらいのペースで連続撮影ができるか試してみました。


連続撮影

まずは撮影です。撮影したのは7月21日。結構前になりますが、なんでこんなに前なのかというと、後述するようにタイムラプス化するための位置合わせにものすごく時間がかかったからです。

スクリーンショット 2025-07-21 082845

撮影は連続撮影なのでSharpCapのSHGスクリプトを利用します。ポイントは、SHGスクリプトの一番下の「Return to Center of Solar disk per Round」オプションをオンにすることです。これがオフだと、撮影回数と共に徐々に赤道儀の移動量がずれていってしまい、太陽本体がうまく撮影時間の中に収まらなくなってきます。どうも時間で判断して移動量を決めているようで、その見積もりが正確でないために毎回のズレ幅が大きくなったり、ズレが溜まって毎回シフトしたりしてしまいます。このオプションをオンにすると1回の撮影が終了したごとに必ず毎回初期位置に戻すので、時間の代わりに位置で管理されるようなことになり、全くズレなくなりました。さらに、こうすることで一回の撮影時間も絞ることができて、トータルのファイル容量も小さくすることができます。

さらに、撮影をForward onlyにします。これは復路でも撮影すると後の画像処理が往路と復路で分けてしなければならずに二度手間になります。また、上記オプションをオンにすることで、往路の1枚撮影後にすぐにセンターに戻るので、下手すると往復で撮影するよりも速いです。とりあえずですが、今回連続50回撮影することは余裕でした。

今回は32倍速で1撮影あたり6秒で録画しましたが、1本1本の撮影間隔は27秒から34秒で平均は31.22秒でした。やはり撮影間隔は完全には一定にならないようです。それでも約30秒で1枚撮影できるので、全景タイムラプス映像を作るには間隔的には十分速いでしょう。

実際50枚撮影した結果を処理してみると、そのうちの5枚目と8枚目の2枚がおかしかったです。2枚目はなぜかわからないけど画面全体が明るく写ってしまっていました。もう一枚の8枚目は赤道儀の移動量がおかしかったです。でもその次の動画ではきちんと正しい位置で撮影できていたので、やはり何かトラブルがあっても毎回初期位置に戻るというのでリカバーできるのかと思います。

赤道儀の移動量は、赤道儀のモーターがいかに一定速度で動くかが鍵なのですが、どうもこの安定性は温度に依存するようです。とにかく暑すぎです。別の日のことなのですが、あまりに暑いせいか赤道儀がギーギー言い出して、動きがカックンカックンとなり挙動が完全におかしくなったことがありました。その後はまた元に戻ったので、おそらく温度が高すぎてギヤの噛み合わせに問題が出たのでないかと推測しています。今回撮った50枚も、よく見ると撮影中に速度が一定だったとは言い難い画像が結構あり、処理をしても太陽の形が円から少しズレてしまったり、円に一件収まっているように見えても太陽表面の模様が部分的にズレているような画像がたくさんありました。分光撮影の原理上ある程度は仕方ないですが、温度を含めて赤道儀の問題を解決することで、もう少しマシになるのではと思います。というのも、下で書くように、位置合わせの処理があまりに大変すぎるからです。


Hα中心線画像のタイムラプス化

撮影した50枚の連続画像をJSol'Exで処理し、まずは単純にHα中心線をタイムラプス化してみます。撮影を失敗した2枚は省いています。概要をブログ上で示したいだけなので、縦横800ピクセルまで縮小してgif化しています。

Blink_600

見ればわかるように、ここで分光撮影の欠点が露呈してしまっています。1枚1枚の太陽位置、もしくは太陽表面内の模様の位置がぶれてしまうのです。

特徴的なポイントははっきり出ているので、これらを元に画面内で位置合わせしようとしましたが、どうしてもきちんとできるソフトは見つかりませんでした。探ったソフトは、
  • AutoStakkert!4
  • RegiStax6
  • AstroSurface V5
  • SharpCapの惑星/月/太陽スタック
  • PixInsightのFFTregistration
  • waveSharp2 (勘違いていて、そもそもスタック機能がなく、waveletで炙り出すためのソフトでした)
  • FIJI
などです。これらのソフトの元々の目的の「最終的にスタックする」場合は (十分かどうかはわかりませんが) ある程度の位置合わせができるようです。でもほとんどのソフトはそもそもスタック後の画像しか出力することができず、位置合わせした個々の画像を出力することがでず、確認する術もありません。結局PixInsightのFFTregistrationとFIJIのみが、位置合わせした後の個々の画像を保存することができたのですが、今回のように大きなズレを補正するには両方ともあまりに非力でした。

次に考えたのが、自分で位置合わせプログラムを書く方法です。調べていくとどうやら画面内の特徴点の情報を元に画面を歪ませるDeformable registrationという分野があるらしく、医療関連の画像の位置合わせで発展しているようです。医療用のソフトも使ってみたのですが、フォーマットが合わなかったり、使い勝手が悪かったりで、結局はpythonにライブラリが揃っていたので、結局は自分で書いてみました。

今回使ったものはSimpleITKというライブラリのDemonsRegistrationFilterです。でも思ったより時間がかかってしまい、かなり試行錯誤して結局2週間近く費やしてしまいました。重要なパラメータが2つあって、繰り返し回数を指示するdemons.SetNumberOfIterationsと、どこまで細かさを見るかというdemons.SetStandardDeviationsで結果を調整します。

例では繰り返しが100と細かさ1から始めるといいなどとありますが、これでは全然ダメで、繰り返し回数は500回ほど、細かさは荒い方向に4くらいまで増やしました。繰り返し回数500だと、50枚の処理で一回あたり計算時間が数時間かかるので、なかなか大変です。特に細かさは3以下だと太陽表面の模様がまるでタイルみたいになってしまうようです。繰り返し回数も時には500回で足りなくて、最後は変化の激しい画像は別個に1200とかまで増やしてやっとパッと見でわかるズレがなくなりました。他にもImPPGやPIのFFTregistration、自分で書いた輝度合わせのpythonコードなどを併用し、仕上げています。

最終的にそこそこ満足したのが以下の動画になります。とりあえずYoutubeにアップロードしましたが、かなり高解像度なので、拡大して見て頂ければと思います。ただし、Youtubeの仕様か、拡大しての繰り返し撮影が手間なので、毎回元のサイズに戻して繰り返しボタンを押す必要があるようです。もう少しいいアップロード先を考えた方がいいかもしれません。


よく見ると、さすがに細かいところは動いていますし、まだうまく位置合わせしきれていないところもあるように見えます。でもここまでできたなら、概要として全景を見る分にはかなりマシなのかと思います。太陽全景で高々25分間なので基本的にあまり動きはないのですが、たまたまラッキーなことに右上の方に何か吹き出しているのが見えています。これだけの短時間で大きく速くうごいているので、ジェットなのかと思われます。


ジェットをタイムラプスで

拡大してみます。拡大といっても、上の全景の動画はJSol'Exのautostretchで出力したものなので、出力の時点ですでに多少加工済み、さらにImPPGなどで細部出しをしています。でも、これ以降はあらかじめJSol'Exのdisk画像(RAW出力に相当)から一部を切り取って、その後に位置合わせをしているだけで、余分な画像処理はしないようにしています。見た目よりも、客観的に判断できるということを優先しています。とりあえずサイズ的にgifでアップロードできる範囲なので、gifフォーマットでまずは示します。

Blink_600

これを見ると、最初にバッと噴き出して、その後は拡散してしまったようにも見えます。ジェット自体もそこそこ珍しいので面白いのですが、果たしてこの描像は十分な情報を与えてくれているのでしょうか? -> 2025/8/9:追記 その後Xでジェットはプラズマで、プラズマは荷電粒子と考えるとローレンツ力が働いて、磁場に直行する成分は回転に変換されてしまうからという答えを得られました。


ドップラーシフトで見るジェット

ここからが、分光撮影の特徴をうまく生かすような、今回の記事で本当に書きたかったことになります。

このジェット、Hα中心線では実はまだ見えていない部分があります。ここであえて波長をHα線から+/-0.6Å程度ずらしてやることで一気に面白くなります。動画で見てみましょう。左がHαから+0.64Åずらしたもの、真ん中がHαピッタリ、右がHαから-0.64Åずらしたものになります。


左右と真ん中を見比べてみると
  • ジェットが出る時は左の画面に主に写っているので波長が長い方にずれているのがわかります。
  • 下降していく時には主に右側のに写っているので、波長が短い方にずれているのがよくわかります。
  • ちょうど上昇と加工をが切り替わる時くらいに、真ん中のHα中心が一番濃くなる。
などがわかります。最初、なぜ下降の時に波長が短くなるのか?逆ではないのか?と思いましたが、右画面の右下の方に出ているプロミネンスを見ると明らかに太陽の自転より速く手前側 (地球側) に移動していて、それは左画面に写っていないことから、右が波長が短くなっていることは間違っていないはずです。

ということは、噴出の時には太陽の自転と同じ方向に出ていって、戻る時は重力に引かれて下に落ちるとかではなく、自転方向と反対に、出てきた場所に戻っていくような動きだと推測できます。なぜ元いた位置に戻るのか、重力よりも大きな別の何かが働いているのか、かなり興味深いです。


ドップラーシフトタイムラプスのカラー化

上の画像動画をカラー化してみました。JSol'ExのImageMathのコードを参考にして+側をred、-側をblueとし、+側画像と-側画像の最小値をgreenにしました。色が付くとわかりやすくて面白いです。しかも色付き動画で見るこの手法、次に確かめたかったHα grainにもそのまま繋がりそうです。

  • 撮影日: 2025年7月21日9時17分-9時47分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi FC-76(f600mm、F7.9) 
  • 分光器: SHG700
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ToupTek G3M678M
  • 撮影: SharpCap Gain 200 (=6dB)、露光時間200ms、ROI: 3840x80、466fps
  • 画像処理: JSol'Ex、ImPPG、自作位置合わせPythonプログラム

念願のジェットのドップラーシフト撮影ができた!

このように、分光撮影で波長をずらしたものを一緒に撮影できるというのは、これまでエタロンタイプの太陽望遠鏡でなかなか見えなかった様子を、顕にしてくれるので、非常に興味深いです。

ジェットについては2019年に初めて撮影できていて、その頃からの大きな課題の一つでした。


その後、昨年2024年5月にも撮影できて


その後の記事でドップラーシフトにも言及しています。


この時いろいろ調べていて、この現象がサージまたはジェットと呼ばれるもので間違いなさそうだとわかってきました。


ジェットはかなりのスピードで変化する現象なので、原理的にはエタロンで波長のズレも見ることはできるはずです。いつか手持ちのエタロンを使ってドップラーシフトの評価に挑戦しようとも思っていました。でもジェットは狙って取れるものでもないことと、そのために最初から波長をずらして待ち構えていることもあまり現実的ではないので、あまり進展は期待できていませんした。

そこに分光撮影という手段が舞い降りました。これなら以前までの分光で出にくかった解像度もSHG700なら十分出そうなので、うまくすればジェットの様子もはっきり見ることができるかもしれないということで、SHG700購入の動機の一つとなりました。でも実際やってみると、分光特有のジャギーや、撮影ごとのブレに悩まされました。

今回ある程度そのブレに見通しがつき、たまたま撮影した連続画像にジェットらしきものが写っているという幸運にも恵まれまれたというわけです。一つ大きな課題がやっと達成されたことになり、分光に手を出した価値を十分に味わせてもらうことができました。アマチュア天文の範囲でこんなことまでできるなんて、現代はとても幸せな時代なのかと感謝しています。


まとめ

やっと念願のジェットのドップラーシフトを、波長別に、しかも時間変化をタイムラプス動画としてとらえることができました。これは分光で連続撮影に挑戦した結果なのかと思います。

でも実はこの連続撮影、元々はジェットを撮影する目的ではなく、もう一つ全然別のことを確かめたくて始めたものです。こちらの話も少しづつ進んでいますが、もう少し時間がかかりそうです。うまく結果が出たら、また記事にしようかと思っています。


今回の記事は座学です。太陽撮影でよく見ているプロミネンスですが、ほとんど何も知らないことがよくわかりました。関連する事柄を調べたので、メモがてら書いておきます。

そもそもの疑問は、黒点から出ていた2本の線ですが、Hαからズレたところで見えていて、Hαだと見えないと謎だったのですが、ドップラーシフトで青側に寄ったガスの噴出だということです。


でも、ズレたということは元々はHαのみで見えるということになりますが、太陽内部から出てくるときにHαで吸収されていると思っていたので、なぜHα以外の波長で輝度がないのかが疑問でした。要するに、このガス噴出と思われるものは、Hαの吸収線なのかHαの輝線なのかという疑問です。

このガスの前に、もっと身近で毎回撮影しているプロミネンスも同じ疑問が出てきます。縁(へり、リム)のところに出ているプロミネンスはご存知の通り、PSTなどの太陽望遠鏡でHαからズレると途端に見えなくなり、背景の黒だけが見えるようになります。この現象から推測すると、Hαでよく見え、周りの波長の輝度ははるかに小さい、輝線ということがわかります。

一方、プロミネンスが光球面上に存在すると、今度はダークフィラメントと呼ばれて、周りより温度が低いので暗く見えます。この場合はHαを見たときに、光球面の明るい周りの波長がカットされて残ったHαのみが見えるというわけです。この場合は二通り考えることができ、光球面の特徴的な模様とともにダークフィラメントも見えてくるような吸収線と考えることもできますし、そもそもHαのみに輝度を持っている輝線と考えることもできます。

では、そもそもプロミネンスってなんなのでしょうか?少し調べるとわかりますが、プロミネンスとは低密度で百万度以上の高温プラズマ中に浮かぶ、高密度の1万度程度の低温プラズマとのことです。ここでいう、高温プラズマとはコロナのことです。高度百万キロ程度の希薄なコロナの中に、プロミネンスが雲のように濃く存在しているということです。そしてその低温プラズマは採光面からの水素に照らされて吸収と放射を繰り返し、Hαで輝く輝線となるとのことです。太陽の縁のあたりに見えるプロミネンスの場合、背景は希薄なコロナで何も見えず(Hαやその周りの波長では輝いていない)、Hαで見るとプロミネンスのみが見えるということです。

ダークフィラメントも基本的には同じものですが、背景が光球面ということだけが違います。吸収と放射でHαに明るさを持つことは同じですが、背景が明るいためにHα以外では真っ白になってしまい、Hαのみを見ると温度の低いダークフィラメントが暗く写るということです。

プロミネンスがプラズマだったなんて全然知りませんでした。また、なんでHαのみで見えるのかの理由も深く考えたことはなかったのですが、輝線で輝いているということもはっきりわかりました。

このプロミネンスですが教科書レベルの本で調べると、大きく分けて静穏型プロミネンスと活動型プロミネンスの2種類に分けられるそうです。
  • 静穏型は数週間大体同じ形を保つもので、全体の構造はほぼ静止状態、ただし内部のガスは数km/秒くらいでゆっくり流れ落ちている。
  • 活動型は運動状態にあり数分から数時間で形を変えるもの。
我々が普段撮影するのはほとんどが静穏型なのかと思います。活動型は変化が相当速くて大規模な変化が多く、フレアとも大きく関係するため、その名の通り相当活発なもののようです。活動型はタイムラプスなどでは変化がよく見え、迫力ある映像になるのかと思います。

活動型はさらに以下のようにいくつかの種類に分けられるということです。
  • 噴出型プロミネンス
  • スプレイ
  • サージ(ジェット型プロミネンス)
  • ループプロミネンス(ポストフレアループ)
最初の噴出型プロミネンスは静穏型プロミネンスが突然不安定になり上昇や消失してしまう現象で、上昇速度は数百km/秒でかなり速いです。フレアとも関係があり、噴出型プロミネンスが発生するとフレア現象が起こることも多いそうです。

スプレイはフレアからガスがバラバラに飛び散りながら噴出する現象で、速度がさらに速く500-1200km/秒。噴出型プロミネンスとの違いは、噴出型プロミネンスは元々プロミネンスやフィラメントが存在しているのに対して、スプレイはフレア前にはプロミネンスもフィラメントもなかった(見えなかった)ということなので、明確な違いがあることになります。

さて、今回見た2本の線は、この分類からいくと「サージ」になりそうです。ジェット型プロミネンスとも呼ばれているようです。速度は数十から数百km/秒とのことなので、前ページで見積もった速度とも大方一致します。面白いのはこのサージも、噴出前にプロミネンスもフィラメントも存在しないことです。このことも、今回数分後に撮影したHαには少なくともフィラメントのようなものは見えなかったので、これも一致しているといっていいのかと思います。

さらに、プロミネンスとドップラーシフトで検索してみると、さまざまなページが見つかります。特に、天文台などの大型望遠鏡で撮影したデータから、ドップラーシフトで解析したというような高校の天文部などの記事も見つかります。この場合、Hαからの波長のズレがどれくらいかはっきりと分かっているので、逆に画像からプロミネンスの速度を求めようというような方向が多いです。

今回わかったことをまとめます。
  • 今回見た黒点からの2本の線は、サージもしくはジェット型と呼ばれる活動型プロミネンスの一種。
  • プロミネンスとは高温プラズマであるコロナに浮かぶ低温プラズマで、採光面からの水素に照らされてHαで輝く輝線であること。
  • サージは速度が数10km/sから数100km/sと速く、ドップラーシフトが起こり、地球から見た方向によって波長がHαから短い青側もしくは長い赤側にズレる。
  • PSTなどの太陽望遠鏡ではHαからわざとズラしてやることで観測できる。
これでかなりスッキリしました。

うーん、これまでプロミネンスとか黒点とか写っているだけで喜んでましたが、やはりその背景を知るとさらに楽しくなってきますね。もっと勉強すべきですが、こういった自分で撮影したものがきっかけでさらに調べていくというのは、とてもいい機会になるのかと思います。

今回撮影した不思議な現象の謎もほとんど解けたので、今回でサージ関連の記事は一応終わりです。次回もし書くとしたら、再びHαからズラしてみることを気にかけておいて、何か見えたときに再び記事にしようと思います。その際は、時間変動や波長依存性などを撮影することがきたらと思いますが、一度に両方は無理でしょう。今回のように、ここまであからさまなドップラーシフトしたサージをはっきり見た画像あまり数がないようで、そこそこ珍しい現象のようです。チャンスがあったらその機会を大切に撮影したいと思います。







非常に有益な情報が!

昨日の太陽撮影の記事に、hasyamaさんという方から早速有用なコメントをいただきました。どうやら黒点から伸びるあの謎の線は、ガスの噴出現象とのことです。

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上昇方向で地球方向に向かってくるガスだとすると、ドップラーシフトで波長が青側に移るために、エタロンを波長が短くなる方向に回転すると、このようガスが見えることがあるということです。逆に、下降方向などで地球から遠ざかる向きの場合は赤側にシフトするとのことです。

コメントにはFacebookへのリンクも書かれていて、以前にも同様のものが波長がずれたLUNTで撮影されたとのことです。その投稿によると、やはりこのガスの噴出はそこそこ珍しいもので、あまり頻繁に撮影されているものではないようです。

今回は実際に何をみているのか、矛盾点はないかなど、自分なりに評価してみました。新たに疑問点が出たりしていますが、ある程度納得できたので記事にしておきます。


そもそもHαで何を見ているのか?

でもそもそも、なぜガスがHαで見えるのか、理由がまだよくわかっていません。光球面は納得できます。Hαに吸収線があり、Hαの653.6nmに合わせたエタロンでそこだけ透過させると、他の波長の明るい部分を除外することができ(吸収されながらも残った)Hα固有の光で作られる模様を見ることができます。要するに、吸収された光なのでHα部分は周りの波長より暗いということです。その一方、例えば彩層面からはるかに高いところまで写る派手なコロナまで含む30.4nmや19.3nmの光は、吸収線ではなく輝線です。すなわち周りの波長より明るいということです。

Hα領域の光は太陽表面に出てくるまでに吸収されるので、プロミネンスや噴出するガスも同様にHαに吸収線を持っていることは容易に想像がつきます。でも上で書いたように、Hα領域は周りの波長より暗いので、他の波長では明るく光っていることになります。光球面上は明るすぎるので、その明るさをエタロン除いてやるとHαがよく見えるようになるのはわかります。でもプロミネンスを見ている太陽の縁のところの背景は、光球面よりはるかに暗く、それに比べてHα以外の波長で明るいはずのプロミネンスが、エタロンの調整角をHαからずらしたら見えなくなるのかが、まだ理解できていません。

私の太陽の知識はせいぜいこれくらいです。まずはこの疑問を解決したいです。


波長のずれを見積もってみよう

とりあえず上の疑問は疑問として置いておくとして、その上で今回見えたガスも、プロミネンスと同様に元々はHαのみで見えるものなのでしょう。仮にそうだとして、エタロンで光球麺を見た時、狭い透過波長のみで見ることになるので、その周りの波長は暗く見えて、その結果ガスも見えることになるのかと思います。

この仮定の元、今回Hαからずらしたエタロンで見えたガスがドップラーシフトによるものだとして、ガスの速度から計算できる波長のズレと、エタロンの調整角から推定できる波長のズレが、一致するのか、それとも全然おかしいのか、簡単に評価してみたいと思います。

まずガスの速度からの見積もりです。
  1. ガスの長さは太陽直径の100分の1よりは大きくて、10分の1には届いていないくらいですが、ざっくり1/10とします。
  2. 太陽の直径はざっくり地球が100個並ぶくらいで、地球の直径はざっくり1万kmとすると、100万kmのオーダーです。
  3. なのでガスの長さはざっくり10万kmとします。
  4. ガスが伸びる時間は1分よりは長くて1時間よりは短いと思うので、とりあえず1000秒としましょう。
  5. そうするとガスの速度は10万km / 1000秒 = 100km/秒程度となります。
  6. 光の速度は30万km/秒で、それが100km/秒程度ぶん圧縮されるとすると、ドップラー効果で波長も同様の比率100/300000 = 1/3000くらいで短くなるので、653.6nmは0.2nm程度短くなります。

次にエタロンの回転で変わる波長です。
  1. PSTのエタロンの透過波長性能は、1Å = 0.1nm程度です。
  2. エタロンは半回転くらいしかしませんが、半回転の4分の1くらい回すと見えているHα領域がほとんど見えないくらいになります。ということは8分の1回転で変化する波長が1Å程度と考えてオーダー的にはおかしくないでしょう。
  3. 今回エタロンは波長の長い側か短い側かはわかりませんが、完全に端に回し切ったところにに行っていました。ということは、真ん中がHαに合っているとして、半回転のうちのさらに半分回っていたことになるので、4分の1回転回っていたことになります。
  4. 1/8回転で1Å = 0.1nmなので、4分の1回転回っていたとすると、エタロンでは2Åぶん、すなわち0.2nm程度Hαから波長がズレていたことになります。

おおっ!!

ものすごいラフなオーダー計算ですが、ものの見事に0.2nmで、両者ドップラー効果の波長のズレとエタロンの波長のズレが一致しました。多少のファクターのズレはありますが、少なくともオーダー的にはドップラー効果でHαからズレたガスを見ていたと結論づけておかしくなさそうです。


以前の撮影でもジェットが!

そういえば、以前もジェットのようなものを見たと報告したことがあるのを思い出しました。


この時はHαで見ていたはずですが、真横に出ているので地球方向に向かう速度成分はほとんどなかったのかもしれません。また、ジェットが数分で伸びていると書いてあるので、もしかしたらジェットの速度は今回見積もったものよりもかなり速いのかもしれません。ただし、それに地球方向の速度成分をかける必要があるので、それでもオーダー的にはそこまで間違っていないかと思います。


プロミネンスでも波長のずれは起こる?

ところで、プロミネンスもタイムラブスで見ると非常に高速に動いていることがわかります。下の動画は以前撮影したものですが、わずか19分間でこれだけ動いています。
Blink

プロミネンスの移動速度もそこそこ出ているはずで、地球に向かう速度成分も多少はあるとすると、エタロンを回転して調整する時に、いつも光球面とプロミネンス部でエタロンの最適位置が合わないように思えるのは、もしかしたらこちらもドップラーシフトが起こっているからなのでしょうか?


まとめ

簡単なオーダー見積もりでしたが、少なくともドップラー効果で波長がズレたものが見えていたようだということは納得しました。

でもまだなぜプロミネンスやガスがHαだけでよく見えるのかは納得できていません。どこかにいい説明はないのでしょうか?

でもこうやって、自分で撮影した謎の現象が理解できているというのは、とても面白いです。天文趣味の醍醐味の一つなのかと思います。






先日、M106の記事をアップしましたが、記事を書き終えてから画像処理にアラがかなりあることに気づき、改めて再処理をしました。



でもこの再処理過程、苦労の連続で思ったより時間がかかりました。以下にまとめましたが、実際にはこんなにすんなりとはいっていなくて、いろんな回り道をしてある程度見通しがついたものだけを列挙しています。


問題点

問題点は以下の通りです。問題の大きさの順に、
  1. 周辺部のディスクの淡いところがノイジーで、解像度がイマイチです。改めて完成画像とマスターL画像と比べてみると、淡いところ、特に微恒星が相当欠落していることが判明しました。
  2. 明るい恒星がひしゃげていることに気づきました。
  3. 銀河中心が飛んでしまっていることに気づきました。
  4. 光条線が全然キリッとしていません。もしかしたら、微妙な画像の回転が影響しているのでしょうか?
などです。

色々調べていくと、ある程度原因と解決策が見えてきました。とりあえず簡単なところから順に行きます。


3. 銀河中心の飛び

問題3はBXTの弊害と結論づけました。

原因は、リニア画像の段階でBXTをかけていたため、銀河中心を強度に強調してしまい、その結果中心部のみ飛んでしまっていたようです。

解決策は、ストレッチ後の画像にBXTを適用することで解決しました。左がBXT->MaskedStrerchの順で、右がMaskedStrerch->BXTの順です。

comp

なんでこんなことに気づかなかったかというと、下がBXT適用後にPI上でSTFで見かけ上のオートストレッチをした画像なんですが、これだと周りも飽和気味で中心部だけ飛んでしまっているのは判別できないからです。
02_BXT_STF_Image05_ABE_DBE_SPCC_DBE_clone_Preview031

ちなみにオートストレッチしないとこんなふうです。左がBXTする前で、右がBXTをかけたあとです。これならすぐにわかるんですが、普段はSTFをかけた画像しか見ないので、気づくことができませんでした。
comp2


4. 光条線のシャープさ

問題4は撮影中にカメラが開店してしまった可能性があるので、L画像をプレートソルブにかけて調べてみました。プレートソルブは回転角まで出るので、ずれがあった場合に比較することでわかります。

L画像は1日目と4日目にのみ撮影しています。結果は、1日目のL画像がが90.50度で、4日目のL画像が86.13度と、なんと4度以上回転していました。1日目は29枚、4日目は51枚撮影していて、4日目の方が撮影枚数は多いので、少し惜しいですが1日目の分を丸々捨てるとことにしました。さらに4日目の人工衛星の軌跡がひどいものを5枚省いて、46枚でスタックしました。

まずは光条線の評価です。左が1日目と4日目を合わせた80枚、右が4日目だけの46枚です。そこまで大きくは変わりませんが、よく見ると確かに46枚だけの方が光条線は多少鋭くなっているように見えます。でも、正直もう少し鋭くなることを期待していました。-> (追記): 最後まで仕上げたら、明らかな違いになりました。1日目を捨てて正解でした。

comp_original

SCA260の分解能を少し疑ったのですが、例えばこの記事の画像を見る限り
  • 明るい星の光条線は十分に鋭く出ていていること、
  • 中途半端な明るさの星の光条線はそこまで鋭くないこと
などがわかるため、とりあえずは今回撮影した程度の鋭さが標準だと思うことにします。


もう少しL画像を評価

このL画像の枚数の違いですが、問題2に関しても議論することができそうなので、もう少し検証します。上の左右の画像をよく見比べると、微恒星に関してはやはり枚数の多い左側の方が明らかに暗い星まで写っていることがわかります。

ではこの画像にそれぞれBXTをかけてみます。同じく、左が1日目と4日目を合わせた80枚、右が4日目だけの46枚です。

comp_BXT


2つのことがわかります。
  1. 1日目に撮影した画像が加わると、明るい恒星の場合、中心部分が右に寄ってしまい、左にハロのようなものが残る結果になってしまいます。
  2. BXTによる恒星の縮小ですが、(微恒星がより出ていないはずの)右の方の画像の方が、左の画像と比べて、より多くの恒星に適用されていることがわかります。
まず1の原因ですが、元の1枚1枚の撮影画像を見てみると、明らかに星像が縦長になっていることに気づきました。1日目から4日目を全部比べてみると、日が変わっても出ていること、画像の中の位置によらず、常に縦が長くなるような方向に出ています。上の右の画像は問題ないように見えても所詮程度問題で、彩度を出すとかしていくと結局目立つようになります。撮影時の問題であることは明らかで、鏡筒の光軸ずれ、カメラ側のスケアリングのずれ、赤道儀での縦揺れなどが考えられます。前回撮影のM81の時の画像を見直してみても、こんな現象は出ていないようなので、おそらく1月から3月の間に光軸のずれが起こった可能性が高いのかと思います。ただし、波長によって出る出ないが違い、縦長がひどい順にG>L>R>B>>Aとなっているのは、まだ少し解せないところです。とりあえず今回はこの縦長星像、画像処理でなんとかごまかしますが、まずは次回鏡筒の光軸を見直すことにします。

次の2ですが、これは結構面白いです。BXTで恒星をdeconvolutionするためには、恒星をきちんと恒星として認識してもらわなくてはダメなのですが、左の画像は恒星であるのに恒星と認識されていないものが多いのです。何故かは元画像を見比べてみるとよくわかりました。 おそらくシンチレーションの違いで、1日目の画像は星像が大きく、4日目の画像は星像が明らかに小さいのです。動きの多い1日目の画像が混ざったことで点像とは見なされなくなってしまい、恒星と認識されなくなったのではと思われます。日が変わった場合の撮影では、このような違いにも気をつける必要があることがよくわかります。

いずれにせよ、BXTはかなり暗い最微恒星については恒星と認識するのは困難で、deconvolutionも適用できないようです。そうすると逆転現象が起きてしまうことも考えられ、より暗い星の方がそれより明るい星よりも(暗いけれど)大きくなってしまうなどの弊害も考えられます。

考えるべきは、この問題を許容するかどうかです。

この逆転現象とかはかなり拡大してみないとわからないこと、収差の補正や星雲部の分解出しや明るい恒星のシャープ化など現段階ではBXTを使う方のメリットがかなり大きいことから、今のところは私はこの問題を許容して、BXTを使う方向で進めたいと思います。シンチレーションの良い日を選ぶなどでもっとシャープに撮影できるならこの問題は緩和されるはずであること、将来はこういった問題もソフト的に解決される可能性があることなども含んでの判断です。


1. 淡い部分、特に微恒星が全然出ていない

問題1が1番の難問です。そもそも何故LRGB合成なのに、L画像相当の解像度が出ないのかという問題です。

これが撮影してスタックしたL画像: 
L

一方、これがRGB画像から引き出したL画像:
RGB_Lab_L

2枚を比較すると、当然撮影したL画像の方が圧倒的に情報量が多いわけです。

で、これが前回記事でアップした画像のPhotoshopに引き渡す前くらいの画像です。これが上の2枚のどちらに近かったというと、あからさまに後者のRGBから引き出したL画像の方に近いのです。
Image05_ABE_DBE_SPCC_DBE_BXT_MS

なんでこんなことが起きてしまったか、よく考えます。まず今回の撮影はRGBの撮影枚数がそれぞれ10枚程度と、L画像の(1日目、4日目合わせた)76枚と比べてかなり少ないです。こんな場合は、PixInsightでLRGB合成をする際に、LとRGBををどのような比率で合成するかをよく考えなくてはダメだったのです。

前回のLRGB合成でやったことは、L:R:G:Bを1:1:1:1の割合で混ぜたことでした。いや、これさえも本当に実現できているのかよく判りません。実施際にはLRGB合成の際に、L、R、G、Bそれぞれの画像を一度にチャンネルウェイトを0.25:0.25:0.25:0.25で合計1になるように合成しています。合計1にするのはサチるのを避けるためですが、どうもこのチャンネルウェイトは比だけを見るみたいで、絶対的な明るさは変わらないようです。例えば、R、G、Bを0.025:0.025:0.025として一桁落として合成しても、暗くなったりしません。絶対的な明るさは下のLightnessで決まるようです。1より小さくすると合成後が明るくなります。

さて、今回撮影したL画像のS/NはRGBに比べて遥かに高いので、Lの比率を大きくした方が得なはずです。試しにL:R:G:B=0.5:0.25:0.25:0.25で合成すると細部が表現され始め、L:R:G:B=1:0.25:0.25:0.25とするとさらに分解能が上がることがわかりました。その一方、Lの比率が大きくなるので、当然合成直後の画像は色がほとんど出ていなくて、かなりモノクロに近い画像になっていきます。それでも、その後に画像処理を進めていくと彩度を出すことはできるので、色情報がなくなっているわけではないようです。ただしRGBのS/Nが悪いので、色を出していくとどうしもノイジーになってしまうようです。

問題は数値の調整はできるものの、どのような比率でLとRGBを混ぜればいいのか結局のところよくわからないということです。そもそも、RGB画像をLab空間で考えると、単にLを取り替えることをすればいいはずです。それで彩度は保たれ、シャープさは良くなるはずなんです。

それならばいっそのこと、本当にRGBをLabに変換して、Lのみを入れ替えるという操作をしてやった方がいいのではと考えました。その結果が以下になります。
Image141_2

この方向は結構正しいようで、少なくとも細部は十分に出ています。また、Lab合成を使うという考えに基づくと、SPCCは合成前のRGBの時点でやった方がいいという考えに行き着きます。Lの明るさは調整可能なので、元のRGBとは彩度がずれる可能性があるからです。

さてこのLab分解とLab合成でLだけ変える方法、一見うまくいっているようですがまだ問題があって、試しに明るい恒星を見てやると以下のように緑や青が目立つようになってしまいます。

Image141_clone_Preview01_autostretch

これを回避するために色々試してみたのですが、どうやらL画像の明るさがab画像より暗い場合に起こるようです。そのためLab合成の時にL画像を少し明るくして合成します。すると以下のように、変な色が飛び出るようなこともなくなります。

Image230

一見モノクロに見えますが、色はきちんと隠れていて、試しにCurvesTransformationなどで彩度を上げると以下のように色が出てきます。
Image230_CTx5

ところが、ここでまた問題です。このように彩度を出していくと、再び緑飛びが出てきてしまうのです。
Image230_CTx5_cut

結局のところ、Lab合成でどうあがこうとしても、元の画像が悪い状態で彩度を出したら同じことの繰り返しで、変な色飛びはどうしても出てしまうということがやっと理解できました。

それで結局何をやったかというと、Lab合成する際に色情報であるaとbをぼかしてから合成することです。ここら辺はそーなのかーさんのこのページを参考にさせていただきました。


今回はConvolutionでStdDevを5として3回かけ、明るい恒星の色バランスの崩れがなくなるくらいまで、かなりぼかしました。少なくともこれで緑の形がおかしくなるようなことは避けることができました。ただし、ぼかしのバランスがaとbでどうしてもずれてしまい、恒星周りに均等にリング状の緑の輪がかかってしまったので、SCNRでProtction MethodをMinimumNeutralに、Amountを0.5にしてかけて緑を除きました。この時点でやっとBXTをかけます。結果は以下のようになりました。

Image249_a_conv5x3_bconv5x3_Lab_CTx3_SCNR_HT_SCNR_BXT

色情報を相当ぼかしたわけですが、人間の目の色情報の分解能はかなり弱いと指摘されていて、実際に色が出ていないように見えることはほとんどありません。

これでやっと満足です。この後はPhotoshopに引き渡しますが、Hαジェットを除き、もうすでにかなり仕上がり状態に近いです。


やっと仕上げまできたー!

Photoshopはもうノンリニア編集なので、好きなように仕上げます。主には彩度出しでしょうか。Hα合成も2度目なので、少し余裕が出てきました。結果が下の画像になります。まずはジェットがよく見えるように銀河をアップで。

Image249_a_conv5x3_bconv5x3_Lab_CTx3_SCNR_HT_SCNR_BXT_bg4_cut_s

次に全体像です。


「M106」
Image249_a_conv5x3_bconv5x3_Lab_CTx3_SCNR_HT_SCNR_BXT_bg4_cut

  • 撮影日: 2023年3月19日20時48分-20日4時9分、20日19時25分-23時19分、28日19時51分-29日4時38分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
  • フィルター: Baader RGBHα
  • 赤道儀: Celestron CGX-L
  • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L:80枚、R:10枚、G:10枚、B:14枚、Hα:44枚の計158枚で総露光時間13時間10分
  • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
  • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L:0.001秒、128枚、RGB:0.01秒、128枚、Hα:20秒、17枚(dark flatは32枚)
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


最初に挙げた問題点順に評価していくと、
  1. 銀河の淡いディスク部分の分解能はかなり出ました。
  2. 恒星のおかしな形もほぼ無くなっています。
  3. 銀河中心部の不自然さももうありません。
  4. 光条線も明らかに鋭くなりました。
と、こちらもほぼ満足です。

加えて、ジェットをもう少し派手にしてみました。自宅でここまで出れば上出来かと思います。というか、すでにちょっと炙り出し気味で、今の手持ちのHαだとこれくらいが限界かと思います。

最後は恒例のAnnotationです。
Image249_a_conv5x3_bconv5x3_Lab_CTx3_SCNR_HT_SCNR_BXT_bg2_cut_A

 

まとめ

時間はかかりましたが、再処理を突き詰めていってよかったです。あからさまに良くなったことと、じっくり付き合ったことで次回以降にどうすればいいか、かなり得るものがありました。自宅撮影の結果としては、ある程度情報を引き出しきれた気はしていて、かなり満足しています。

そもそも撮影に問題はありましたが、いつも完全ということは当然ないので、画像処理でのリカバリも含めていつもこれくらい時間をかけないとダメなんだということが、今回とても実感できました。実を言うと、特に恒星ですが、もう諦めようと何度思ったことか。

今回の方法は真っ当なものではないのは重々自覚していますが、撮影はいつもうまくいくとは限らなくて、せっかく時間をかけた画像をできるだけ使ってあげたいので、手持ちの手法としては持っておいてもいいかと思いました。というより、画像処理は一辺倒にはなかなかいかないもので、撮影画像に応じて臨機応変に対応することが大切なのではないかと、改めて感じました。


自宅でのDSO撮影はいつ以来でしょうか?と思ってブログ記事を確認すると、10月25日とあるのでなんと5ヶ月ぶりです。その間に開田高原で撮影したり、月食で大量に撮影したりとかはしてましたし、富山の冬場は天気が悪いとか色々言い訳はあるのですが、これはいかんですね。しかももう春で、銀河の季節です。西の空の冬の星雲を撮るか迷いましたが、長時間露光はもう無理と諦め、今回はりょうけん座にあるM106です。


M106

M106は渦巻銀河の分類で、中心に明るい核を持つセイファート銀河にも分類されます。ハッブル分類では渦巻銀河はSb型と言われているようですが、Wikipediaを見るとSAB(s)bcという型だそうです。日本のWikipediaのハッブル分類のページではここまで説明がなかったので、英語版のWikipediaまで見てみるともう少し詳しい説明が載っていました。


SABは渦巻銀河と棒状銀河の中間、(s)はリングがないこと、最後のabcで巻き込み具合を表しaが最も強く巻き込み、b、cとなるにつれ弱くなっていきます。

まとめると、M106は渦巻きと棒状銀河の真ん中くらいで、巻き込みは少なく、リングもない銀河となるので、確かに撮影した形を見るとその通りになります。


撮影準備

3月19日の日曜、月齢27日の新月期で快晴です。その前の数日も結構晴れていたのですが、実際には風がかなり吹いていて望遠鏡を出すのを躊躇していました。この日はほぼ無風に近くて、久しぶりに望遠鏡を出します。ターゲットはSCA260で写しやすいもの。本当はすばるとかでモザイク撮影をねらってたりもしていたのですが、ちょっと季節的に遅くなってしまったので、春ということで銀河。しかもSCA260の焦点距離1300mmでも見栄えのする、そこそこ大きいM106です。

最近のM106の撮影ポイントは、いかに中心部から噴き出るジェットが見えるかということみたいです。このジェット、X線領域がメインで、Hαでも写るのですがかなり淡くなるようです。自宅の明るい北の空でも銀河本体はそこそこ写ることはわかってきましたが、M81で味わったようにまだまだ淡いところは厳しいことがわかっています。ただ、今回のジェットはナローバンドになるので、そこまで光害の影響は受けないはずです。光害地でのナローバンドの淡いところがうまく出てくれるかどうか、ここが勝負どころでしょうか。

夜少し用事が残っていたので、撮影準備は19時半頃からでした。撮影を開始できたのが20時半くらいです。この季節天文薄明終了が19時半頃なので、1時間遅れでの撮影開始です。


トラブル

久しぶりのセッティングですが、実は冬の間にも何度か撮影しようとしてセッティングはしている(天気はすぐに悪くなるのでフル撮影は毎回諦めました)ので大きなトラブルないと思っていたのですが、4日に渡って撮影を続けると細かいことがいくつかありました。

まず初日、Ankerのリン酸鉄バッテリーの残量が0になっていたことです。いつも使ったあとは必ず満充電するので、本来はまだ残量が十分残っているはずです。開田高原でも極低温だといち早く動かなくなるとか、保護回路がしっかりしているのか、その分待機電力が大きいのか、他に使っているほぼノーブランドのバッテリーに比べて使い勝手がイマイチな印象です。さらに撮影3日目、撮影中かなり早くに残量が0%になってしまったのですが、充電を開始するとすぐに70%くらいに復帰しました。そこまで低音ではなかったので電圧降下のようなことはあまりないと思うのですが、電圧読み取り回路がイマイチなのかもしれません。少なくとも他に同時に使ったバッテリーではこんな症状は出なかったですし、これまでも出たことがありません。Ankerはちょっと割高で期待していたのですが、自分の中で少しづつ評価が下がってきています。今はまだ印象だけの状態ですが、一度自分でバッテリーテストベンチをやるべきかもしれません。

撮影2日目になぜか突然カメラが撮影用のStick PCで認識されなくなりました。USBケーブルを抜き差ししても、交換しても、PCの電源を入れ直してもダメでした。USB端子は2つあり、一つはUSB3でカメラなど、もう一つの端子はUSB2で赤道儀のハンドコントローラに繋がっています。結局どうやって解決したかというと、このUSB3とUSB2を入れ替えたところでやっと全て認識されました。初めてのことで、原因も解決策がこれで正しいのかもよくわかりませんが、いつか再発するかもしれないのでメモがわりにここに書いておきます。

撮影3日目、赤道儀反転時にウェイトがガクンとバーの端まで落ちてしまいました。ウェイトのネジをきちんと固く閉めていなかったことが原因です。もともとバーの端近くで止まっていたので、移動距離は5cmほどですがそこそこのショックがあり、カメラなどずれていないか心配でチェックに時間がかかってしまいました。実は同様のトラブルは過去も含めると2度目なので、ネジ止めは毎回再チェックするくらいきちんと止めるべきだと反省しました。


撮影1日目

撮影自身は極めて順調。RGBを5分x10枚づつ撮影し、あとはLとHαに全てをかけます。0時半頃に天頂越えで赤道儀を反転します。これまでの何度かの自動反転でのケーブル引っ張り事件の経験から、反転はその場で見ながらやることにしています。次の日は月曜で平日なので、このまま放っておいて朝まで寝ることにしました。

あ、もう一つトラブルを思い出しました。朝まだ寝ているときに、妻から「車のドア開きっぱなしだよ!」と叩き起こされました。どうやらウェイトを取り出しすときにドアを開けた後、閉め忘れてしまったようです。車には大したものは入っていないのでそんなに心配はないのですが、虫が住みつくとかは避けたいので今後は注意です。

月曜も晴れそうなので、セットアップはそのまま残して夜に備えることにしました。


撮影2日目

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3月20日、2日目の月曜夜は前日のセットアップが残っていて時間的にも余裕があり、薄明終了を待って19時25分に撮影開始したのですが、雲が少し残っていてガイドもすぐに見失ってしまうくらいでした。一旦撮影は諦めて仮眠を取ることにします。23時頃に起きてもまだ少し雲は残ってましたが、SCWによると0時頃から晴れる予報。少し待っていると予報から少し遅れて0時半頃から完全に晴れてきました。

実は待っている間に1日目の撮影画像を少し処理していました。RGBは各50分程度ですが、色はまあまあ出そうです。Lは1時間半ですが、そこそこの分解能も出ます。問題はHαで、5分露光gain120だとかなり暗くてノイジーです。そのためでしょうか、PixInsightのregistrationで3分の1くらいはねられてしまいました。sensitivity設定を0.5から0.25にすることで3枚以外は救うことができましたが、やはり横シマのバンディングノイズのようなものが見えるので、もう少し明るくしたいです。gainを増やしてもいいのですが、ゲインを変えてしまうとフラット画像を使いまわせなくなります。フラット画像は同じゲインが大原則で、フラット撮影時の露光時間を変えて明るさ調整をするので、ライトフレームはゲインさえあっていれば同じフラット画像を使うことができます。一方ダークは露光時間10分のものは以前撮影しているのでそれを使うことができるはずです。

というわけで、Hαのみ10分露光にすることにしました。リードノイズ的には得しますが、ダークノイズ的には時間と比例のはずなので損も得もしないはずです。この決断が正しかったかどうかは処理してからの判断でしょう。


5分露光?10分露光?

2日目の撮影を終えた時点で再度画像処理をします。Hαの比較ですが、10分露光の方が5分露光よりも明らかに解像度が悪いことがわかりました。露光時間が長いために揺れをより積分してしまったか、そもそもシーイングが良くなかったかだと思います。そのため、2日目の画像は、何枚か撮ったB画像以外全て使わないことにしました。


撮影3日目

3月22日の3日目は45枚x5分=3時間45分撮ったのですが、途中で雲が出て中断したりしながら朝まで撮影を続けました。でも結局、他の日に比べてあまりに透明度が悪く、S/Nが悪そうだったので、全て使わないことにしました。


撮影4日目

少し空いて3月28日、月齢6.7日で上弦の月近くなってしまっているので、この日はかなり遅くまで月が出ています。月が出ている間はHα画像を、月が沈んでからはL画像を撮影します。でも平日であまり遅くまで続けると次の日に影響があるので、月が沈む少し前に早めの0時前に赤道儀を反転し、その後はL画像撮影にしました。


画像処理

4日間の撮影でしたが、中二日の画像はほぼ全滅なので、実質は2日間の撮影です。全部で約22時間5分撮影して、そのうち15時間10分を画像処理に回すことができました。

画像処理はいつもの通りPiInsightでWBPPです。LRGBAとマスターライト画像がそろうので、まずは重みを全てのチャンネルで0.25にしてLRGB合成をします。その後も基本通り、ABE、DBE、SPCCなどを施し、BXTの後にMaskedStretchをかけました。

RGBは枚数はそれぞれ10枚程度とたいしたことないですが、色は出そうです。処理の途中で思ったのですが、周辺部の淡いところの解像度が全然足りません。

Hα画像もLRGBと同様にストレッチまで終えます。Hα画像は恒星と分離して背景のみ使います。Hαは5時間45分ぶんあるので、そこそこの長さです。でもこの露光時間の長さが本当に最終画像にどこまで効いてくるかはちょっと疑問です。そもそもHαをLRGBにどう加算すればいいのか、まだ自分の中でうまく確立できていません。今回はHαから恒星を取り除き、もしかしたら今回は撮影したHαの情報を全然使い切れていないかもしれません。

あとはLRGB画像とHα画像をPhotoshopに渡して仕上げです。合成方法はHα画像をRGBモードに変換して、レベル補正で緑成分と青成分を少なくなるようにします。赤成分のみになったものをLRGB画像に比較(明)で合成しています。こうすることでHαの度合いを、様子を見ながら自由に調整することができるようになります。


結果

結果は以下のようになりました。まずは中心部がよく見えるように、クロップしたものです。ジェット狙いだと考えると、ある意味これが完成画像でしょうか。

Image05_ABE_DBE_SPCC_DBE_BXT_MS4_cut_crop_small

    クロップしていない全体像です。下にNGC4248も入っているので、こちらも見応えがあります。
    Image05_ABE_DBE_SPCC_DBE_BXT_MS4_cut
    • 撮影日: 2023年3月19日20時48分-20日4時46分、20日19時25分-23時19分、28日19時51分-29日4時38分、
    • 撮影場所: 富山県富山市自宅
    • 鏡筒: SHARP STAR製 SCA260(f1300mm)
    • フィルター: Baader RGBHα
    • 赤道儀: Celestron CGX-L
    • カメラ: ZWO ASI294MM Pro (-10℃)
    • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
    • 撮影: NINA、Gain 120、露光時間5分、L:80枚、R:10枚、G:10枚、B:14枚、Hα:69枚の計183枚で総露光時間15時間15分
    • Dark: Gain 120、露光時間5分、温度-10℃、32枚
    • Flat, Darkflat: Gain120、露光時間 L:0.001秒、128枚、RGB:0.01秒、128枚、Hα:20秒、17枚(dark flatは32枚)
    • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

    反省です。
    • 狙いのジェットは一応は出たのかと思います。
    • BXTの威力もあり、中心部の解像度はそこそこ満足です。
    • 周辺部のディスクの淡いところがノイジーで、解像度がイマイチです。
    • Lをもっと撮った方がいいかもしれませんが、ここらへんが明るい庭撮りの限界なのかもしれません。
    • 光条線が全然キリッとしていません。これまで光条線が出た方が珍しいくらいで、まだ全然方法を確立できていません。もしかしたら、微妙な画像の回転が影響しているのでしょうか?

    追記: 昨晩このブログの記事をほぼ書き終えてから、改めて完成画像とマスターL画像と比べてみると、完成画像では淡いところが相当欠落していることが判明しました。明るい恒星もひしゃげていることに気づきました。さらには銀河中心が飛んでしまっていることも気づいてしまいました。原因がわかってきたので、再度画像処理をやり直すことにします。


    まとめ

    おそらく自宅撮影で、ジェットも含めてこのレベルまで見えるなら十分なのかと思います。一旦画像処理まで完成と思っても、細かくみていくと全然満足できなくなります。しかもやっと記事を書き終えたと思って、落ち着いて見てみるとアラがどんどん見え始めます。キリがないです。

    というわけで、再度画像処理を一に近いところからやり直しています。今回の記事と合わせると長すぎてまとめ切れないので、一旦ここで止めて再処理については次の記事で書きたいと思います。



    ラッキーイメージの過程で、M87を撮影して見ました。M87といえば...

    目的はもちろんジェットを見ることです。

    さてさて、うまく見えるのでしょうか?


    SharpCapでのディザー

    実際の撮影は前回のラッキーイメージNGC4216の後に続けて撮影しています。なので設定は全く同じで、10秒露光を30回LiveStackして、今画像を見たら10枚撮影していたので、合計50分でした。

    前回書くのを忘れましたので、今回改めて書いておきます。SharpCapの最新ベータ版を使っていますが、ディザー対応がかなり改善されています。

    一番大きいのがLiveStackパネルのguidingタブのところに「Reduce Exposure While Dithering 」とうオプションができたことです。これはPHD2などとの連携でディザーをしている間は露光時間を短くするという意味で、以前はDhitherの間も露光し続けていたので、例えば5分間の露光とすると、ディザーが終わっても最大5分近く待たなければならず、まるまる1枚は必ず無駄になっていました。撮影毎にディザーしていたら、撮影時間の最低半分はディザーに取られてしまっていたので、ほとんど使い物にならなかったのです。

    そのため、SharpCapでディザーは実質やる気にならず、結果SharpCapは長時間露光は向いていない、もしくはできないという結論でした。今回のオプションで、SharpCapにも長時間露光での撮影に道が開いたことになります。

    今回のLiveStack撮影でも、ディザーは使っています。ディザーを15分毎にするように設定しているために、(10秒x30ライブスタックを)3枚撮影するたびにディザーが適用されます。でもディザー量を試しに減らしたため、揺れ幅が不十分で、縞ノイズが少し出てしいました。


    画像処理と結果

    今回は鑑賞目的というよりは、少し科学写真に近くなりますので、画像処理はほとんど凝ったことはしてません。ダーク補正はLiveStack中にリアルタイムでしてます。WBPPではフラット補正のみで、バイアス補正もなし、ダーク補正もなしです。あとはストレッチと、一度トーンカーブで暗いところを持ち上げて暗いでしょうか。あ、恒星の色を出すために少しだけ彩度を上げています。


    「M87」
    masterLight_ABE_ABE_ABE_AS_HT2
    • 撮影日: 2021年4月11日0時49分-4月8日1時45分
    • 撮影場所: 富山県富山市
    • 鏡筒: Vixen VC200L
    • フィルター: なし
    • 赤道儀: Celestron CGEM II
    • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro、-10℃
    • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
    • 撮影: SharpCap、gain420、露光時間10秒x30枚のライブスタック x10枚 = 50分、ダークは10秒x64枚をライブスタック中にリアルタイムで補正、フラット128枚(gain420、露光0.78ミリ秒)、フラットダーク128枚(gain420、露光0.78ミリ秒)
    • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC


    でも困ったことに、JPEGに落とす時点でM87の周りの淡いところの諧調が制限されてしまい、階段上になってしまいます。あと撮影中に少したわみで流れたみたいで、ディザーであまり散らしてなかったので明るくすると縦の縞ノイズが少し出ていました。

    さてさて、ジェットは見えてますでしょうか?拡大してみます。

    masterLight_ABE_ABE_ABE_AS_HT3_cut

    おおー、右上にはっきり見えてますねー!上が北なので、方向から考えてもジェットで間違いなさそうです。不思議なのは、切り出すとJPEGでも諧調が飛ばないことです。そこそこきれいに見えてますね。自分で撮影したものだと、感動もひとしおです。

    6000万光年先の銀河で、ジェットの長さは7-8000光年におよぶそうです。ご存知の通り、2019年に超長基線の電波干渉計によりM87の姿が映し出されました。リング形の中心にブラックホールが存在すると考えられています。このリング中の黒いところは直径1000億km程度なのですが、これがそのままブラックホールというわけではなく、事象の地平線は直径400億kmでもっと小さいと考えられているそうです。



    ついでにアノテーションです。ここにもそこそこの数の銀河があります。

    masterLight_ABE_ABE_ABE_AS_HT2_Annotated

    少し斜めになってしまっています。これは前々回の記事の最後に書いた、鏡筒バンドに対してまだ鏡筒の回転方向を合わせ切らずに撮影してしまったからです。実際にはこのM87で回転が残っているのに気付いて、この撮影の直後に直しました。


    M87といえば

    M87といえば、M87JETさんを真っ先に思い出します。胎内星まつりで初めてお会いしたのですが、当時からほしぞloveログを読んでいてくれて、興奮気味に自分で撮影したM87のジェットを見せてくれした。ペンネームをそのままM87JETとしようと思っている」と、その時お聞きしました。その後は小海の星と自然のフェスタでも一緒に食事したりしてました。いつも面白い文体のブログ記事を書いていて、最近はISSの追尾でご活躍されています。



    M87JETさーん、やっと私もジェットを取ることができましたよ!


     

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