ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:サドル付近

前回の記事で、週末金曜にレモン彗星を撮影した話を書きましたが、雲が多くて時間をかけることができませんでした。その後スワン彗星に移るというてもあったのですが、レモンさんがうまくいかなかったのとお腹が空いたので、まだ19時過ぎでしたが、もう諦めて自宅に帰ってしまいました。それでも天気は良かったので、そのまま前週の短時間撮影の撮り増しをすることにしました。


撮り増し撮影開始

時間的には夕食を食べた後の20時過ぎくらいなので、まずはサドル付近です。前週の撮影は雲も多くて、使えたものはHαが5分が5枚、OIIIに至ってはわずか3枚で、時間的には合計40分と十分とは言い難い状況でした。

今回撮影したかったのは、まずはR、G、B画像です。恒星の色を出すことと、背景が赤一辺倒になるのを防ぐ目的です。R、G、Bをそれぞれ5分x6枚撮影し、その後足りなかったOIII画像を15枚、Hα画像を12枚としました。結局OIIIの途中で雲が出てしまい、Hαの追加は取れませんでしたが、Hαはかなり濃く出るのでおそらく問題ないでしょう。結局使えたのが、RGBは6x3枚全部、OIIIは11枚でした。前回の分と合わせて、RGBがそれぞれ6枚、Hαが5枚、OIIIが14枚になります。全て5分露光です。

晴れていたらその後魔女の横顔星雲も撮り増しする予定でしたが、雲で厳しそうなので、サドル付近が終了した時点で撤収としました。

枚数的にはもう少し増やしたかった気もしますが、ノイズ処理を丁寧にすることであまりノイズ感が出ないように仕上げることができたのかと思います。ノイズ処理は最近はNXTをメインで使っています。今年2月のアップデートでのカラーノイズの対応と、高い空間周波数と低い空間周波数を分けることで、ノイズをあまり不自然にならないようにできます。

今回の撮影もフードは取り付けませんでしたが、前回撮影したフラット画像を使うことで、今回も迷光は全く出ませんでした。フード無しのフラット補正でうまくいくというのは、再現性もありそうということがわかってきました。


画像処理

R、G、B画像にも構造は十分に見えています。これはHαやOIIIだけでは表現しきれない模様があることを意味しています。画像処理は、最初はR、G、B画像のみでRGB合成をして、MGCまでかけます。これで大まかにはおかしな勾配がないことがある程度保障されます。構造は複雑ですが、白に近い色が多くて、赤色や青色の単色に近い成分は思ったより少ないです。

これだけだとさびしいので、Hα画像とOIII画像でAOO合成をして、こちらもナローバンドで(擬似的ですが)MGCを適用します。ナローだとしても、大まかな勾配を無くしておきたいという目的です。

R、G、BとHαとOIIIをどうやって混ぜていくかですが、今回はPhotoshopでRGB画像にAOO画像をレイヤーの比較 (明) で合わせて、明るさを適度に調整しました。特にRGB画像のGはAOO画像の比較的暗いところに面白い構造を出してくれます。必ずしもこの構造が正しいとは限りませんし、そもそも正しい構造なんて誰も定義できないと思うので、好みで見栄えがいいようにしています。仕上がりとしては赤だけでない色彩豊かな、淡いところの構造も複雑な色で出ていると思いますが、どうでしょうか?

ASI6200MMはbin1だと解像度が高くなりすぎて1枚1枚のファイルサイズも大きくなるので、前回も今回も含めて通常はbin2で撮影しています。今回の画像処理では、分解能を出すために2倍のDrizzle処理をして、そこにBXTをかけています。

bin2だとピクセルサイズが7,52μmになり、より明るく撮影できるので信号的に有利になります。また、光害地での撮影では背景光のショットノイズが支配的で、読み出しノイズは効いてこないので、S/N的にもbin1で撮影するよりダイレクトに有利になります。

まとめると、分解能的にはbin2の方が不利なのですが、bin1だと暗くなるのでS/N的には不利になるのと、drizzleとBXTで明らかな分解能の向上が見られるので、トータルではbin2の2倍drizzle+BXTが、今の状況では効率的にはいいのかと思っています。


結果

結果ですが、全体像としては以下のようになります。430mmでフルサイズなので、かなりの広角になります。サドルと三日月星雲が十分入るくらいになります。解像度的にはdrizzle x2をしているのでbin1相当なのですが、そのままだと大きすぎてブログにアップすることもできませんので、全体像のみ解像度を縦横半分に落としてbin2相当にしています。

「サドル (Sadr) 付近」
Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_half_cut
  • 撮影日: 2025年10月17日21時43分-23時51分、10月24日20時30分-23時9分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D (f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader製 Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 6枚、G: 6枚、B: 6枚、Hα: 5枚、OIII: 14枚の計37枚で、総露光時間3時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒、Hα: 0.5秒、OIII: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

前回はAOO画像からの色付けだったので、かなり無理をして、特に無理に緑を出してたような処理になっていました。今回はRGB画像があるので、まずは恒星の色がきちんと出ます。背景にもRGBの効果は出ているようで、Hαの赤を生かしつつ、緑っぽいところ、青っぽいところなど、色彩豊かになっているのかと思います。

HαとOIIIをどう混ぜるかはまだ試行錯誤中です。これまではRGBのRをHαに、BをOIIIに置き換えていましたが、RGBとAOOを適度な比率で合成する方が、よりRGB画像が生きる気がします。HαやOIIIに存在せず、RGBだけに存在する構造もあるので、できるだけRGB画像を活かす方法を今後も考えていきたいと思います。


三日月星雲とsoap bubble nebula

この撮影での目的の一つが、三日月星雲の少し下にある惑星状星雲のsoap bubble nebulaを写すことです。Wikiによると、2007年にアマチュア天文家によって見つかったという、比較的新しい星雲になります。前回も狙いましたが、撮影時間が短いせいか、存在があるかどうかというくらいの見栄えでした。今回は十分見えるくらいには出ましたが、それでもまだ淡く、これは単独で長時間で個別に狙ってもいいのかもしれません。こちらはbin1相当画像からの切出し画像になります。

Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_cut_L

三日月星雲自身も面白くなりました。OIII画像の枚数を増やしたからかと思いますが、周りの青いベールがよく出ています。細部の出方も焦点距離430mmとは思えないレベルです。

Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_cut_SS

以前、SCA260で撮影したものと比較してみます。画角が少し合わないので、以前と今回の画像の重なる部分を、向きも合わせて並べてみます。左がε130D + drizzlex2 + BXT、右がSCA260になります。

comp1

クリックして拡大してみるとわかりますが、drizzleとBXTをつかったε130Dが、BXTのないSCA260にかなり迫る解像度になっています。微恒星に関してはε130Dの方が圧勝だったりします。口径で2倍、焦点距離で3倍の差を縮めているのは驚異的です。

じゃあ大口径は無駄かというと、そんなことは全くなくて、SCA260の画像にBXTをかけたものと比較すると歴然の差が出ます。左がε130D + drizzlex2 + BXT、右がSCA260 + BXTになります。

comp1

分解能はやはり口径の大きいSCA260が圧倒、微恒星もε130Dがかなり拮抗しますが、最微恒星を比べるとやはりSCA260の方が有利です。このように、ソフトの条件を揃えるとやはり口径なりの差になるようです。ただし、SCA260の画像に使っているBXTは初期の頃のバージョンであることと、drizzleは使っていないので、もしかしたらSCA260の方はまだ解像度の向上は可能かもしれません。

いずれにせよ、BXTの有り無しで、鏡筒の口径を倍にするくらいの機材の大幅アップグレードに相当する効果があるというのは、驚異的と言わざるを得ません。


アノテーション

アノテーションを今一度示してみます。(実は何日かの間、アノテーション作れなくてエラーが出ていました。どうもサーバー側のVizieRがダウンしていたようなのですが、こんなこともあるということでメモだけしておきます。)
Image01_Annotated

430mmという短焦点でフルサイズという、ある程度の広角撮影なので、かなりの数の天体が含まれていることがあります。これを見ながら、次の切り抜き画像を楽しみます。


広角画像からの切り抜き

以前、おとめ座銀河団の広角画像でやったように、この中から特定の天体を切り出して独立した画像としも、今回の撮影ではかなりの分解能で見えているので、十分見栄えがするのかと思います。いくつか選んでみます。


1. まずはある程度大きな領域です。

最初は三日月星雲をもう少し大きな領域で。

NGC6888

あえて、三日月星雲とサドルを外して。
large3

中央の複雑な構造を、縦構図で。
large2

左上の華やかなところをまとめて見てみます。
large1

どこも複雑な構造で面白く、これらを単独で見ても天体写真として十分通用しそうです。


2. 中規模構造です。

LBN206 LBN209 LBN212をまとめて。かなり淡い領域です。もう少し時間をかけたいところでしょうか。
LBN206_209_212

中央のLBN886、LBN881、LBN882、LBN883をまとめて。
LBN886_881_882_883

LDN880、LDN887ですが、明るい中にクワガタが2匹いるような構造が見えます。ここが分解能よく見えているのも楽しいです。
LDN880_887

左上のLBN251、LBN239です。
LBN251_239


3. もっと細かいところに注目してみましょう。

いくつか星団があります。まずはM29。メシエ天体ですね。
M29

こちらも星団のIC1311です。
IC1311

こちらはかなり小さな星団でNGC6910。
NGC6910

このNGC6910ですが、これくらいの小さい天体になるとアマチュアで単独で撮影される機会はグッと減るようで、むしろ研究対象としての天体になっているのが検索でわかります。例えば、磁場構造の解析がされたりしています。

どうでしょうか?どれも単独で撮影したと言ってしまっても、そこまで見劣りしないくらいにはなっているかと思います。今回は私としては全体的にあまり派手にはしていなくて、かなり地味目な処理になっています。特に小さな領域はどうしても淡く見えてしまうので、そのことも考えて、もう少し彩度などを上げてもいいのかもしれません。切り抜きも考えて、広域と細部を両立させる画像処理は結構難しそうです。今後の課題ですね。


まとめ

前回の撮影枚数は限られていたために、今回の撮り増しは、soap bubble nebulaや三日月星雲だけ見ても明らかに効果がありました。これだけ高解像度だと、広角だけではもったいなくて、拡大してやっと見えてくる箇所もあります。今回のような広角からの切り抜きも、せっかく撮影した画像の有効活用になるのかと思います。



ここしばらくずっと太陽に夢中だったのですが、さすがに太陽も少し飽きてきたので、約半年ぶりに夜の撮影を再開しました。


夜の撮影再開

2025年10月17日の金曜日、新月期で8時間も暗い時間があり、晴れていて、空を見たら透明度がかなり良かったので、さすがに何もしないのは気が引けてきました。太陽もやりたいことはかなりできてきています。もう少し試したいことも残っているのですが、太陽の撮影は休日に晴れてくれないとできません。平日に早く起きればいいのですが、仕事に影響がありそうで躊躇しています。

今年は秋でもあまり晴れの印象がありません。平日なら多少晴れるのと、夜の撮影は、開始さえすればあとは寝てしまえばいいので、平日でも可能です。というわけで、やっと夜の撮影の再開です。


機材と撮影準備

手持ちの撮影用機材は大きい順からSCA260、ε130D、RedCat51とあるのですが、再開に際しどれを使うか迷いました。結局、撮影を中断してから何もいじっていないε130Dにしました。SCA260はアップグレードでカメラを外してから、一旦取り付けはしたのですがまだきちんと動くか不明です。RedCat51はSWAgTiとの組み合わせなので楽なのですが、一時期カメラを外した際に埃が入ってしまったままです。ε130Dは確か今年初めの頃にカメラを90度回転させましたが、それ以外は問題ないはずです。あと、ε130Dを載せるCGEM IIは、太陽でもずっと使っていたというのもあります。

星を始めてから、これだけの期間夜の撮影しなかったことはなかったと思うので、ある意味いろんなことが新鮮です。撮影用のPCはこれまで使っていたStickPCなのですが、ソフトはいくつかアップデートしました。ただ、このPCは結構古くて非力で、NINAの3.0以降では重くて画像の転送速度が出ないことがわかっているので、新しいminiPCも用意することにしました。今回の撮影では設定不足で入れ替えとはいきませんでしたが、次回くらいには新PCで撮影くらいはできそうなところまでセットアップは進みました。

ガイド鏡は太陽撮影でも使ってしまっていて、蓋の穴をくり抜いてフィルムのNDフィルターをつけたりしていたので、カバーを外す時は注意が必要なのです。カバーをなくすのが嫌なのでテープで鏡筒に貼り付けておいたら、途中からの強風で飛んでいってしまい、翌朝10mくらい離れた溝の中に落ちているのを発見しました。

一つ忘れてしまったことがありました。撮影時にε130Dにフードをつけることが頭から完全に飛んでしまっていたのです。でもこのことは、後で示すように意外ないい結果につながりました。

撮影開始時に、NINAでEAFのオートフォーカスを走らせたのですが、曲線の形があまりにおかしいので調べてみたら、鏡筒接眼部の焦点調整のネジがしまっていて接眼部が前後にほとんど動かない状態になってました。なぜこうなっているのか全く記憶がないのですが、久しぶりだとこんな些細なことがトラブルになります。

それ以外は問題なく、むしろ思ったより順調に撮影を再開できた感じです。何も変えていなかった鏡筒を選んだのは正解で、かつそれでも多少のトラブルはあるものです。再開時はできるだけ冒険をしなというのが鉄則なのかと思います。また慣れてきたら、他の二つの鏡筒を試せばいいでしょう。

前半のターゲットは夏の天体の残りのサドル付近で、三日月星雲を入れてです。HαとOIIと構成と背景の色だしにRGBを狙いましたが、0時頃には西の空の低いところに沈んでしまい、結局時間切れでAOの撮影ができたのみでした。その後、冬の天体に移り、ターゲットを魔女の横顔星雲としました。RGBを撮影後Lも撮影できたらと思いましたが、途中から月が出てくるのでLは諦めて、その分RGBの枚数を稼ぐことにしました。

次の日は土曜で休みなので、ずっと起きていても良かったのですが、結局午前2時頃には寝てしまいました。撮影途中も気づいていたのですが、どうもこの日は快晴には程遠くて、ガイド用カメラには雲が流れる様子が見え、結構頻繁にガイド星を見失っていました。


画像処理

翌朝、撮影結果を見ましたが、雲の影響が大きくかなりの枚数を捨てなければダメそうです。結局使えたのが、サドル付近ではHαが5分x5枚、OIIが5分x3枚で、トータルわずか40分、魔女の横顔もRが5分4枚、Gが3枚、Bが4枚と、こちらもわずかトータル55分でした。これだけ短いともうテスト撮影レベルです。結果を期待せずに、様子見で画像処理を進めました。

まずRAW画像をそのまま見て思ったのが、特に魔女の横顔のほうですが、かなり淡いのでパッと炙り出してみるとε130D特有の迷光が大きく出てしまっているのがわかりました。下はRの1枚撮り画像にSTFの強度オートストレッチをかけたものです。

Image17_ABE

これはさすがに厳しいかと思いました。最初に処理した時はフラットが全然合わなかった(カメラの回転角が変わった)ので、今ブログを書いている日曜の昼間にフラットを全て取り直しました。いつものように、部屋の中の白い壁を撮影します。

ゲインのみ撮影時の100に合わせて、明るさは露光時間を変えて調整します。温度は下手に冷却すると結露とかして痛い目にあったことがあるので、常温のままです。フラットダークもフラット撮影時と温度を合わせるために必ず一緒に撮影するようにしています。撮影する時はLRGBAOSの全部を撮影するようにして、一度撮影したものを今後使い回します。カメラを外したり、動かしたりしない限り、フラット画像は使い回すことができると思っていいでしょう。

新たに撮影したフラット画像を使って処理したところ、なぜか迷光が全くわからなくなるレベルでうまく補正ができました。下はRをWPPで5枚スタックしてSTFの強度オートストレッチをかけたものです。WBPPでのフラット化で迷光は見事に消えています。

integration_ABE

この迷光には過去に散々悩まされていて、これまではここまでうまく補正できたことはありません。心当たりが一つあるとしたら、今回はフードをつけなかったことでしょうか。撮影場所はこれまでと一緒の自宅の庭。しかも位置までほとんど変わらないので、自宅や街灯の状況も同じだと思っていいでしょう。フィルターやカメラなども変えていないので、こちらも影響がないでしょう。まだ確定ではないですが、フードがフラット化にはむしろ悪影響を起こしていた可能性は否定できません。確定にはもう少し時間をかけたいと思います。

フラット化がここまでうまくいくと、その後の画像処理はかなり楽です。その一方、トータル露光時間がどちらのターゲットも1時間以下と短いので限界もあり、ノイズ処理などが重要になります。


魔女の横顔星雲

処理した順に結果を示します。まずは魔女の横顔星雲です。RGB画像で合成が楽なので、先に処理しました。RGBだとMGCがまともに使えるために、色合わせやフラット化が楽になります。露光時間が短いので多少ノイジーなのは仕方ありません。NXTなどを使いノイズ処理を丁寧にかけると、思ったより淡いところまで炙り出すことができました。

Image17_SPCC_MGC_HS_NXT_back_HT_SCNR2_cut_rotate
  • 撮影日: 2025年10月18日1時5分-2時8分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO製 R、G、B
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 4枚、G: 3枚、B: 4枚の計11枚で総露光時間55分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

この露光時間で、しかも自宅での撮影でこの結果なら、もうあまり不満はありません。よく見ると、左右に横切る赤い構造が見えるので、Hαを別撮りして追加してもいいかもしれません。

追記: 後日、撮り増しと、Hαを新たに撮影しました。




過去画像との比較

以前魔女の横顔を撮影したのは2019年で、もう5年も前のことになります。その際の画像が以下です。

integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_mask_all2a_cut

その後、2020年に上の画像をDeNoiseで再処理したものが以下です。
integration_DBE_DBE1_PCC_AS_SNP_DN-denoise_cut

機材はFS-60CBとEOS6Dで、露光時間は1時間27分でした。もっと長く撮影したのかと思ってましたが、高々1時間半なので、5年の間に長時間撮影が普通になってしまったということでしょうか。その一方、今回の45分はもっと短いにも関わらず、より淡いところも細かい構造も圧倒的によく出ています。口径が大きくなったこと、カメラが高感度になったこと、画像処理ソフトが進化したことなどが原因かと思われます。

当時の記事を読み返していると、DeNoiseのインパクトが相当大きかったことがわかります。今はその役割をBXTとNXTが担っていると言っていいでしょうか。特にNXTは今年の2月のアップデートでカラーノイズに対応したので、かなり使える範囲が増え、DeNoiseやPhotoshopのカラーノイズ軽減に頼らなくても良くなったと言えます。


サドルから三日月星雲

サドル付近はHαが支配的なため、AOO撮影が簡単で面白いのですが、ナローバンド撮影ではMGCなどをきちんと使うことができないため、ちょっと面倒です。Hα画像のS/Nは1枚でもかなりよく、全体に迫力が出ます。下は1枚撮りにPIのABEの4次をかけて、STFで強度にオートストレッチした画像ですが、画面全体に複雑な構造が広がっています。

Image01_ABE

AOO合成そもそも2色しかないものを無理やり3色にするので、のっぺり画面になりがちなのです。下は3枚のOIII画像をスタックしたものですが、同じくPIのABEの4次をかけて、STFで強度にオートストレッチしたものです。今回はOIIIにも多少構造は含まれているようなので、多少は色の階調が出そうです。

integration_ABE

AOO合成をして処理したものが以下になります。
Image10_SPCC_MGC_NXT_BXT_GHSx3_HT_NXT_back_LHT_SCNR2
  • 撮影日: 2025年10月17日21時43分-23時51分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader製 Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 5枚、OIII: 3枚の計8枚で総露光時間40分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.5秒、OIII: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
Gに割当てたOIIと、Bに割当てたOIIで少し処理に差をつけることで、構造がよりはっきりとして多少面白い画像になります。本来はRGBで撮影した画像を使って色付けをしたいところですが、今回は曇りで露光時間がとれなかったので、できることといってもこれくらいになってしまいます。

この領域は三日月星雲を個別に個別に撮ったりはしていますが、広角で電視観望で見たりはしていますが、広角で撮影までするのは初めてです。

広角で撮ったのは、三日月星雲の少し下にバブル状の惑星星雲があるという話で、それを見たかったのですが、流石にこの露光時間では厳しかったようです。上の画像からその部分を切り出して、少しノイズを落とし、彩度をあげた画像を示します。

Image10_SPCC_MGC_NXT_BXT_GHSx3_HT_NXT_back_LHT_SCNR2_buble_cut

右下の半円の盛り上がっているところのてっぺんに少しだけその片鱗が見えます。もっと露光時間をかけて出すことができればと思います。それよりも、これだけ拡大してもあまり大きく破綻せずに、そこそこ見えてしまう方が驚きです。枚数を稼いでいないのでdrizzleとかもできていません。2倍のdrizzleをかけるとさらに解像度も増すのかと思います。ε130Dおそるべしです。

(追記): 後日、撮り増ししました。drizzleもやってみたのですが、分解能がすごいことになりました。




Annotation

恒例のAnnotationです。まずは魔女の横顔から。この領域もすごい数の銀河があります。

Image01_Annotated

続いてサドル付近です。こちらもSh2天体とかが含まれていて、かなり豪華な領域です。
Image01_Annotated


まとめ

やっと夜の撮影に復帰しました。仕事は忙しいし、たまの休みも雨が続いて太陽撮影は全然進まないしで、少しヤキモキしていましたが、久しぶりにストレス解消になりました。半年ぶりの撮影も画像処理も、太陽とはまた違って、懐かしかったです。

雲があったので、実際に使えた枚数は少なかったのですが、露光時間の割には十分細部まで出るのはかなり楽しいです。ε130Dの明るさと、ASI6200MMのbin2での明るい撮影が効いているのだと思います。自宅のような光害地でも十分なS/Nを稼げます。

平日でもいいので晴れが続いてくれるなら、もう少し同じ領域で撮り増しするかもしれません。









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