ほしぞloveログ

天体観測始めました。

タグ:おとめ座銀河団

一連のε130Dテスト撮影で、北アメリカ星雲とペリカン星雲網状星雲と撮ってきました。




今回は3例目で、光軸調整前にもう一つ撮っておいたものです。といっても網状星雲が昇ってくる前の夜の前半で撮るものがないので、春の残りのおとめ座銀河団をお遊びで撮ったというだけです。でも結果だけ見たら流石にすごいことになってたので、記事にまとめておきます。

おとめ座銀河団に関しては、2年前の2021年3月にFS-60CBとEOS 6Dで結構な広角で撮影しています。


さて今回は、2年前の結果をどこまで超えられるでしょうか?


撮影

今回の撮影でのポイントの一つは、カメラがASI6200MMで高解像度になったこと。頑張ってbin1で撮影したので、ピクセルサイズは3.74μmとなり、前回の6Dのピクセルサイズは6.5μmで、6.5/3.75=1.75倍。さらにカラーからモノクロになっているので単純に2倍をかけると一辺3.5倍の解像度になります。面積で見ると14倍なので、ピクセルを14ピクセルで表すことになります。もちろん光学性能の限界やシンチレーションなどから、ここまで差がつくことはないかと思いますが、どこまで光分解のに迫れるのか、少し楽しみです。

撮影画角ですが、前回のFS-60CBの焦点距離370mmに比べて、今回のε130Dは430mmなので、少し画角が小さくなります。前回は南北はM100からM87まで、東西はM90からNGC4216まで入れたのですが、今回はそこまで欲張れません。少し迷ったのですが、今回はM100とNGC4216は諦めました。その代わりにマルカリアンの鎖が画面真ん中に近くなるように、M87のさらに南側を少し入れています。

あ、そういえば初のε130DでのLRGB撮影になります。LRGBフィルターはZWOのものです。高くなく、性能もいいという評判でしたが、実際はどうでしょうか?


これまでの問題点

ε130Dの撮影に関しては、これまで問題点として
  • 北アメリカ星雲では四隅の星像が流れること、BlurXTerminator(BXT)でかなり補正できること
  • 網状星雲で迷光による明暗が残ってしまうこと
などがありました。今回特に、後者を今一度確認してみます。


背景ムラの確認

迷光についてですが、L画像の1枚撮りを見てみます。ABEの4次をかけて、その後オートストレッチをかけたものです。

_2023_05_15_21_01_13_L_10_00_300_00s_0001_ABE

背景が何もない銀河団の撮影なのでよく分かりますが、かなりひどい変なムラがあります。

試しに、今回の処理のために撮影したフラットフレームの1枚撮りの画像を、同様にABEの4次をかけ、オートストレッチをしたものがこれです。

2023_05_17_14_07_54_1x1_L_0_01s_g100_29_60C_0000_ABE

はい、ものの見事に再現できています。フラットは明るい部屋の中で壁に向かって撮影したものです。

最初は撮影時の自宅部屋の電気の明るさがカメラに漏れていったのかと思っていましたが、時間も状況も違うのに出るということは、鏡筒由来でしょうか?これは次の記事で検証しようと思います。


画像処理: 背景ムラ対策

上の画像の背景ムラは共に1枚撮りです。画像処理の際に、多少の背景ムラはフラット補正で消えてくれるのですが、ここまでひどいと完全には消えてくれないようです。例えば、WBPPの後にスタックされたmaster L画像にABEの4次をかけ、オートストレッチしてみてみると、以下のようにどうしても補正しきれない残差成分が残ってしまいます。

master_9576x6388_EXPOSURE_300_00s_FILTER_L_mono_integration_ABE

この取りきれない背景のムラを誤魔化すのに、かなり苦労をしました。今回は小さな銀河がメインで、背景に星雲に相当するようなものは(たとえあったとしても)無視するので、DBEをしつこく適用することにします。

一例ですが、以下のようなパラメータで自動でサンプルポイントを割り振り、さらに手動で銀河付近や恒星付近にかかっているものを削除又は移動して除きます。ポイントはsmoothing factorでデフォルトの0.25を0.05にしています。これは2次元のスプライン補完をどこまでスムーズにするかというパラメータで、0にすると最もスムーズに補完してくれるようです。
DBE
実際の打点がこれくらいです。
sample_cut

例えばRGB画像はスタックしてRGB合成した直後は以下のような画像でした。
ABE1_Image10_RGB_crop

補正された背景はこのようになります。かなりスムーズな除去になっているのがわかると思います。
ABE1_Image10_RGB_crop_backgroundのコピー

出来上がった画像ですが、これくらいまで補正することができました。
ABE1_Image10_RGB_crop_DBE_s
まだ少しリング状のムラが残っていますが、今回は銀河の画像なので後の画像処理で背景を暗くすることで、目立たなくすることができます。

でも分子雲が背景にもくもくしているような画像ではそう簡単にはいかず、前回の網状星雲では同様の形が残ってしまっているのが分かります。
AOO_crop_SPCC_BXT_HT_HT_NXT_bg_more_s


BXTによる星像ひずみの改善

まだ光軸調整をしていない状態で撮影しているので、今回もこれまで同様に四隅で星像が歪んでしまっています。

ABE1_Image10_RGB_crop_DBE_ok_SPCC_ABE4_DBE_SPCC_mosaic

下方向、もしくは右下方向に伸びてしまっています。これまでと同様な伸びなので、再現性はあるようです。

これらの歪みはBlurXTerminator(BXT)のおかげでかなりのレベルで改善されますが、残念ながら一部の伸びてしまった星は二重星のようになってしまいます。

ABE1_Image10_RGB_crop_DBE_ok_SPCC_ABE4_DBE_SPCC_BXT_mosaic

これは流石に許容範囲外なので、やはり光軸をきちんと直す必要があります。

bin1画像だからでしょうか、BXTによる恒星の縮小がちょっと効きすぎてしまい、星が全体に小さくなりすぎるので、今回は0.05と軽くだけかけました。一部を拡大して見た時に自然な大きさになる程度の大きさです。星雲部の細部出しも効きすぎるので、PSFはオート(数値を大きくするより機器が小さくなる)として、「Sharpen Nonsteller」も0.7と少し抑えました。これで十分な効果がありました。

最後にNoiseXTerminatorをかけ、背景のノイズを落としました。


画像処理結果

テスト撮影ですが、せっかくなので仕上げてみます。bin1のままだと画像サイズが大きすぎてアップロードできないので、一辺を50%に縮小してbin2相当にしています。

「おとめ座銀河団」
final_50
  • 撮影日: 2023年5月15日21時1分-16日0時7分、5月16日21時2分-23時23分、5月17日21時0分-23時6分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO LRGB
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f50mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin1、Gain 100、露光時間5分、L: 55枚、R: 11枚、G: 8枚、B: 11枚の計85枚で総露光時間7時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、37枚
  • Flat, Gain100、L: 0.01秒、128枚、RGB: 0.01秒、64枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、0.01秒、256枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ただし、仕上げたというには問題があることもわかっています。一つは、既に上で説明しましたが、一部の星がBXTで二重星のようになってしまうことです。もう一つは上下でピントにずれがあるため、明るい恒星の光条線が二重になってしまっていることです。

doubleline

これもみっともないので許容範囲外です。どう光軸調整するか、最優先事項でやらないと、今後撮影が進まなくなりそうです。

LRGBフィルターに関しては、特にハロなども出なくて、今のところ特に不満は感じません。2インチフィルターは根が張るので、安価なものが使えると助かります。ZWOのLRGBフィルターは見ている限り十分な性能を持っているようです。


Annotation画像

恒例のアノテーションですが、やはり銀河団はこれをやらないと気が済まないですね。すごいことになります。

ABE1_Image10_RGB_NXT_Annotated_s

一体幾つの銀河があるのか...。宇宙はすごいですね。

でもこれだと流石にちょっと分かりにくいので、PCGを除いたものです。メシエ、NGC、ICまでなのでずいぶんシンプルになるとはいえ、それでも結構な数の銀河です。
ABE1_Image10_NXT_Annotated2_s


マルカリアンの鎖

このままの大きさで見るだけだと細かすぎて面白くないので、ここから拡大していきます。まずはマルカリアンの鎖。

Markarian_large

Markarian_large_Annotated

過去画像と比較します。上から2017年3月: FS-60Q+EOS 60D2021年3月: FS-60CB+EOS 6D、同画角で切り出した今回のものとなります。

MARKARIAN_edit2

01_Markarian_comp

Markarian

こうやってみると、分解能、恒星、色など格段に進歩しているのがわかると思います。


更なる拡大

もっと変わりやすい比較をしてみます。2021年の時には完全にアラが見えていた、拡大しすぎた画像になります。まずはM99付近です。上が2021年、下が今回です。
07_M99_small

M99


流石に雲泥の差ですね。銀河の分解能もそうですが、特に肥大していない恒星、恒星の色など、前回の拡大画像はは出すのを憚られましたが、今回は十分に見ることができます。ここまで拡大しても破綻しないのはε130DとASI6200MM Proの分解の、さらにBXTの効果もあるかと思います。というか、ここまで出ていいのでしょうか?すごいです。

ついでにですが、前回はどうしてもできなかったAnnotationが今回は素直に通りました。恒星の写りが良くなったからでしょうか?これだけ見てても楽しいです。
M99_Annotated

最後、M88とM91回りの拡大です。同じく上が2021年で、下が今回です。こちらも分解能が格段に上がっているのがよく分かります。
10_M91_M88

M88_M91

Annotationです。
M88_M91_Annotated


まとめ

まだまだ光軸調整など問題も残っていますが、ε130Dのポテンシャルを十分に感じることのできる結果でした。BXTの効果もありますが、それでもここまで拡大しても恒星が十分鋭く写っているのはすごいと思います。

とりあえず、今回でテスト撮影は終わりです。とにかく早く光軸問題と、背景ムラ問題をなんとかして、早く本番撮影を迎えたいです。

前回の撮影で、おとめ座銀河団をFS-60CBで一網打尽にしました。



その中でいくつか面白い領域があることがわかりました。画像を切り出して拡大とかもしたのですが、流石に口径6cmで短焦点355mmでは分解能に限界もあります。長焦点のVISACを使って、狭い領域を切り出して撮影しようと思っています。


VISACでの撮影

しばらく使っていなかった、口径200mm、焦点距離2000mmの VC200L、通称VISACを久しぶりに使います。最後の使用が約1年前、TSA-120と比較してM51などを撮影していました。星像がなかなか微妙で、うまく行く時とダメな時の差が激しいです。

今回狙うのは前回範囲の右下のNGC4216、NGC4206、NGC4222と3つの大きな銀河が見えるところです。3つ入れるとフォーサーズのASI294MCでちょうどいい範囲になりそうです。

ACEC8A1E-767B-4215-A2DD-B0C56992D4AC

4月3日と5日の二日間にかけて撮影しました。と言っても1日目はすごい風で、鏡筒が揺れまくって星像も伸びてしまっているのがほとんどで使い物にならなかったです。でもFS−60やTSA−120で同じくらいの風が吹いても、ここまで星像が崩れることはないので、焦点距離が長いことの難しさか、もしくはVISACやわ過ぎのどちらかです。2日目は平日でしたが、長い時間にわたり概ね順調でした。実際には軌道にのってからは寝てただけですが...。

撮影できた星像を見てみると、うまく真円に近いものもあれば、三角っぽくなっているものや、伸びてしまっているものなど、いろいろです。少なくともTSA−120みたいに、全部の枚数が使えるとかの安定性は無さそうです。それでもよほどひどくないものでなければ平均化されることを見越して、2日目に撮影した86枚中、81枚を使って画像処理をすすめます。

フラットフレームは部屋の明るい壁を写すだけです。最近はずっとこの方法です。安上がり、手軽で、ほとんど失敗していません。撮影時の機材を何もいじらずに壁に近づけ、影にならないように気をつけます。唯一の欠点は、部屋の外の明るさを光源とするので、昼間しか撮影できないところでしょうか。明るさの調整は、ヒストグラムのピーク位置がちょうど真ん中になるくらいになるように露光時間を調整します。今回は40ミリ秒で256枚撮影しました。その状態で鏡筒に蓋をして、フラットダークを撮影します。

ダークは新たに128枚撮影しました。冷却CMOSカメラは、当たり前ですが温度が一定にできるので、後からダークを撮影できて楽でいいです。IMX294センサーはアンプグローが目立つので、ダーク補正の時の最適化がきかないため、同じ露光時間の5分で撮影します。128枚なので撮影だけで半日作業です。


画像処理

いつも通りPixInsightのWBPPでスタックまでしてしまいます。今回はABEもDBEも全く必要がないくらいフラットが合いました。20cmの大口径に入ってくる部類でも壁際フラット法は十分有効なようです。Pinkstarを復元し、PCCをかけます。

銀河団の処理は前回やりましたが、銀河だけの画像処理は久しぶりです。ライトフレームはArcsinhStretchでストレッチしたのですが、長焦点の成果どうも恒星がぼやっとしています。見栄えを良くするためにExpornentialTransformationのPIPで恒星のピークを出しました。これをPhotoshopに渡します。

星マスクを作るのですが、StarNetが小さい銀河と恒星を分離できないことに困りました。星マスクはストレッチ前にクローンを作り、HTで控えめにストレッチして、ExpornentialTransformationのPIPで恒星のピークを出し、さらにMorphologicalTransformation (MT)で星像を小さくして、やっとうまく分離できました。これをMTで星像を少し拡大して星マスクとして、Photoshopに渡します。

トータル露光時間が長かったせいか、Photoshopでのあぶり出しはそこまで困ることはありませんでした。結果は以下のようになります。


NGC4216、NGC4206、NGC4222

masterLight_cut_ABE_pink_ASx4_ET_ok_tune4a

  • 撮影日: 2021年4月5日20時12分-4月6日4時14分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Vixen VC200L
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  ZWO ASI294MC Pro
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、gain120、露光時間300秒x81枚 = 6時間45分、ダーク128枚(gain120、露光300秒、最適化なし)、フラット256枚(gain120、露光40ミリ秒)、フラットダーク256枚(gain120、露光40ミリ秒) 
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

どうでしょうか?長時間の撮影のせいもあるのか、ノーフィルターにもかかわらず銀河内の模様もそこそこ出ているのではと思います。ただ、恒星がまだぼてっとしている気がします。もう少し鋭く撮影できればと思います。これは鏡筒の分解能と言うよりは、シンチレーションで揺れが積分しされてしまっているからだと思います。


ついでアノテーションです。

masterLight_cut_ABE_pink_ASx4_ET_ok_Annotated

こんな小さな領域の中にも20個以上の銀河が写っています。NGC4216とNGC4222を結ぶように、淡いリングがあるのですが、今回さすがにこれは出ませんでした。というか、少しは期待していたのですが、どれだけあぶり出してもかすりもしなかったです。もっと暗いところに行くか、口径の大きな望遠鏡を使うか、露光時間をもっと増やすか、まだかなりの努力をしなくてはダメなようです。


切り出し画像との比較

前回撮影した広域の画像から、同じ構図で切り出してみます。あれ?ここではじめて今回縦横間違えて撮影していたことに気づきました。なので、今回は左側が北側になります。

cut

もちろん今回撮影した方が分解能も色も何もかも良く出てるのですが、口径と焦点距離から考えたら広域で撮影したものも思ったより善戦している気がします。


そういえばAVX

今回久しぶりにVIASACを持ち出したのですが、この間のカリフォルニア星雲とかおとめ座銀河団の撮影あたりからAdvanced VXも久しぶりに引っ張り出してきました。いつも玄関にCGEM IIがおきっぱなしにしてあるので、FS-60とかの軽い鏡筒でもそのままCGEM IIで済ませてしまっていたのですが、最近2台撮影体制を考えているので、軽いものはAVXで済まそうという考えです。その過程でガタつきを無くすとかの調整をしてきました。



AVXの何がいいって、CGEM IIに比べてとにかく軽いことです。CGEM IIの持ち運びでコツを覚えたからか、AVXなら5kgのウェイトをつけたままでも移動することが出来ます。ケーブルとかもつけっぱなしにしておけば、玄関から運んでかなりの短時間で撮影が開始出来ます。おかげで玄関には赤道儀が二台。昔CGEM IIを買った時にバレないようにこっそりAVXと入れ替えて誤魔化して以来(結局カード明細でバレて修羅場となったのですが)、久しぶりに玄関にAVXが鎮座するようになりました。


まとめ

今回久しぶりにVISACを使い銀河を撮影しました。VISACでやりたいことがいろいろあります。春は銀河を少し撮影していきたいと思っています。

長焦点はMEADEの25cmとC8とVISACがあるのですが、前者二つはコマ収差が大きいので周辺像は流石に厳しいです。VISACが唯一周辺まで星像がいいはずなのですが、本当にこいつはじゃじゃ馬です。いい時はすごくいいのに、星像が不安定で突然悪くなったりします。いまだに原因ははっきりしませんが、まずは鏡筒の強化から始めたいと思います。またブログの記事にしていきます。



 

今回はおとめ座銀河団に挑戦です。はてさて、うまく写るのでしょうか?

でもなんでマルカリアンの鎖でなくておとめ座銀河団?

普通はマルカリアンの鎖 (Markarian's chain) ですよね。なんでおとめ座銀河団なのでしょうか?理由は単純で、この撮影の前にカリフォルニア星雲をFS-60CBと6Dで撮っていて、それがこの季節は22時くらいで西の空の住宅の屋根にに沈んでいくので、その後にどうしようかと全く設定を変えずに試しに撮影したからです。焦点距離350mmクラスで、フルサイズのカメラだとマルカリアンの鎖よりもかなり広い範囲になります。なので「銀河団」とタイトルにしました。

設定が同じだと、バイアス、フラット、ダーク全てが使い回しができるので、かなり楽でパフォーマンスがいいのです。というわけで、露光時間180秒、ISO800、フィルターなしです(実はカリフォルニア星雲、フィルターなしで撮影してたと思ってたのですが、CBPが入っていたことに気づいて、その後本当にフィルター無しで撮影しました。これはまた後日記事にします。)。

今回こだわったのは位置です。マルカリアンの鎖はもちろん、見栄えのいいM100をどうしても入れたかったのと、M87もM90も入れたいし、反対側はNGC4216とIC3064も入れたかったのです。でもFS-60CBに1.04倍のマルチフラットナーを入れると、フルサイズの6Dでも本当にいっぱいいっぱいです。なので、ditheringの幅は相当小さくし、端が切れないよう最低限の動きにしました(このditherの小ささは後に問題となります)。それでもシャッターの影ができることはわかっているので、そこら辺は画像処理でどうにかするしかありません。

実際の撮影は?

撮影は3日に渡って行いました。
  1. 3月17日: 23時10分から23時29分まで6枚。その後曇り。
  2. 3月18日: 22時15分から23時18分まで14枚。その後曇り。
  3. 3月19日: 22時44分から翌日4時27分まで89枚。
最初の2日は雲に悩まされ枚数をあまり稼げなかったのでもうバッサリ捨てて、結局使ったのは3日目の89枚のみ。南天越えのために一度反転しています。(この反転も後に問題の一つとなります。)

明るさ比較ですが、同じISO800と同じ露光時間3分で、3月18日21時40分頃、西に傾いたカリフォルニア星雲の撮って出しJPEGだとこれくらい、
LIGHT_180s_ISO800_20210317-22h35m53s926ms
一見、ほぼ何も写ってませんね。よーく見ると淡ーいピングがあります。

一方同じ日に同じ条件で続けて撮影した、22時20分くらいの南天前のおとめ座銀河団の撮って出しJPEGはこれくらい
LIGHT_180s_ISO800_20210317-23h10m04s723ms
ずいぶん明るさに違いがあるのが分かると思います。自宅撮影の場合、暗い東から南天の少し高いところをを含む天頂過ぎくらいまでにかけてはISO1600とか3200でもいけそうです。一方南天を過ぎて少し西に傾きかけるとISO800位に抑えざるを得ないのかと思います。

画像処理ですが、普通通りPIのWBPPでスタックです。スタックしたマスターライト画像をDBEしたものを一旦見てみますが
integration1_DBE
人様に見せるものではないですね。ゴミがひどいです。しかも南天で赤道儀を反転したために、ゴミが軸対称に同じ位置に出てしまっています。しかも大きなゴミが途中で動いたのでしょう。補正しきれていない部分と、過補正のところが出てしまっています。

これを防ぐためにマスターフラットにぼかしをかけて処理したらとか考えたのですが、まずはフラット補正なしの画像を見たら、全く補正しないと細かいゴミが全部浮き出ることがわかり諦めました。
masterLight_integration_DBE1
フラット補正無し画像を、ゴミが見えるようにDBEしたもの。
フラット補正した画像よりさらにひどく、物凄いゴミの数。 

マスターフラット画像を見てみます。ABEで見やすくしますが、

masterFlat_RGB_VNG_clone_ABE
同じような位置に、やはり相当な数のゴミがあります。

今回スタックしたライト画像にゴミが目立ったことの理由の一つが、ditherの幅が小さく散らしきれていないためです。なのでフラット補正は必須になり、補正なしではさらに細かいゴミまで目立ってきてしまいます。フラット補正をしても残ったゴミについては、もう誤魔化すしかないです。これを反省して、この後6Dのセンサー面の掃除をしたので、これはまたそのうち記事に書きます。

気を取り直して、処理を続けます。今回はシャッターの影になるところも使う必要があるので、ABEではなくDBEで細かくムラをとります。暗黒帯とかない銀河の薄い方向なので、全体が一様になる方向で進めます。PIでStarNetをかけて、恒星のマスクを作り、さらにRangeSelectionで星雲のマスクを作り、Photoshotpに渡します。

後から切り出すことを考えているので、いかに小口径を取り繕う解像度を出していくかです。今回はその目的でSharpenを使ったので、解像度に関しては少しインチキしてるといえるかもしれません。

まずは出来上がり。

「おとめ座銀河団」
up_DBE_DBE_PCC_AS_HT_all_disks_back2_rot_denoise_larage_cut
  • 撮影日: 2021年3月19日22時44分-3月20日4時27分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: Takahashi FS-60CB + マルチフラットナー
  • フィルター: なし
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D(HKIR改造, ISO800, RAW)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間180秒x90枚 = 4時間30分、ダーク73枚(ISO3200、露光90秒、最適化なし)、フラット256枚(ISO3200、露光1/1600秒)、フラットダーク256枚(ISO3200、露光1/1600秒)  
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、Sharpen AI

Annotaionも付けます。今回、これが楽しみでこの領域を撮影しました。ものすごい数の銀河ですね。PGCなんかもういくつあるのか。でも拡大するとわかりますが、小さなものは写っていないものも多いです。ここら辺は次回以降、光学系をもう少し変えて、拡大しての撮影になるのかと思います。

up_Annotated

PGCの数が多すぎるので、PGCを抜いて少しシンプルにしたものです。

up_Annotated_noPGC


切り出してみよう!

全体像だけだと個々の銀河のインパクトがないので、いくつか見栄えのする領域を切り出したいと思います。少しでも見かけの解像度を良くするために、上の出来上がり画像を拡大します。拡大にはTopaz labsのGigapixel AIを使って2x2倍の解像度にしています。ただ、このGigapixelなかなか扱いづらかったです。恒星が多少ひしゃげてしまいます。もしかしたらPhotoshopで単純に拡大した方が良かったかもしれません。

あと、切り出したそれぞれにもAnnotationを付けます。例え分割してもまだまだ銀河がたくさんあるので、名前付けも十分情報を含んでいます。それでは行きます。


1. マルカリアンの鎖付近

言わずとしれた、一番見栄えのするところです。M87とM88まで入れてみました。
03_Markarian_all

_03_Markarian_all_Annotated

2. M99とNGC4216

M99の渦巻きがかっこいいです。右下のNGC3つの存在感があります。
05_M99_wide

_05_M99_wide_Annotated

3. M87からM91一を網打尽

縦長で、連番を全部入れました。
06_M90_wide_portrait

_06_M90_wide_portrait_Annotated


4. M99とM100
渦巻きが2つ。これもかっこいいです。
04_M100_wide

_04_M100_wide_Annotated


さらに拡大

ここからさらに拡大して、もう少し細かいところに注目します。でも公開するかどうか迷いました。さすがにこれくらいになるとアラが見えます。お見苦しい点は今後の期待とし、今回はご容赦ください。

5. M99
07_M99_small

6. M100
13_M100_small



7. M88とM91
10_M91_M88

8. NGC4216まわり
08_NGC4216_small

どうでしょうか?銀河団は大枠で撮って、面白いところを切り出しても、意外に見えるみたいです。まあ、拡大しすぎると限界はありますが、4時間半という露光時間と、画像処理でのごまかしも効いていて、あまり大きな画面で見なければなんとかなりますでしょうか。


過去画像と比較して

 さて、前回おとめ座銀河団の中のマルカリアンの鎖を撮影したのが、2017年の3月なので、4年も前のことになります。



MARKARIAN_edit2

焦点距離600mmのFS-60QとAPS-CのEOS60Dでの撮影なので、今回より範囲は大分狭いです。前のときもノーフィルターでした。というより、フィルターなんか持ってなくてノーフィルターでいいのかなと、不安になりながら撮影してたのを覚えています。でも回り回って銀河はノーフィルターの方がいいのではという結論で今に至り、今回も(でも今回は自信を持って)ノーフィルターとなりました。

4年経った、今回撮影した画像から、ほぼ同角で切り出してみました。
01_Markarian_comp
切り出しにもかかわらず、今回の方が見栄えはいいです。本質的には粗く撮影しているので、いかに画像処理で出しているかだけなのですが、よく言えば技術が進んだ、悪くいえばいかにごまかせるようになったかでしょうか。

当時はAnnotationなんていう技術は知らなかったので、手で何が見えているか書き込んでいますが、これはこれでいい思い出です。

markarian_signed_final


まとめ

銀河団は面白いけれど、細かくみないと迫力に欠けてしまいます。なので今回切り出しということを積極的に試してみました。自分では面白かったかと思うのですが、どうでしょうか?

切り出した画像はそのまま見てもいいですが、次回撮影のアングルの候補としても使えます。手持ちの機材なら、焦点距離900mmのTSA-120と6Dなんかで撮ると解像度が上がって面白いかもしれません。

一枚の画像からたくさん楽しめたので、パフォーマンスがよくてなんかもうかった気分です。
 

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