新カメラのTouptek社のG3M678Mを使うと、8cm鏡筒での太陽全景でエタロン位置をさらにずらし、像が改善するはずです。実際にやってみました。これはちょっと前の2025年5月11日、あまり天気の良くない日に、晴れた瞬間瞬間を狙ってなんとかやれたテストです。
8cm鏡筒を使ったエタロン位置の検証は4月末に一度ASI290MMを使って試しています。鏡筒にPSTが当たる最前の位置0mmから、最大33mmまでPSTを後ろに下げることができ、以前のブログ記事では0mmと30mmの画像を比較しています。比較によると、
新カメラのG3M678Mはアイピース型で、さらにPST側に差し込むことができるため、今回はエタロンを50mmまで下げることができました。
その時の撮影画像の結果です。露光時間0.25秒、gain 400 (= 2倍 = 12dB = ZWO換算で120)、100/500framesをAS4!でスタック、ImPPGで細部出しをしています。左がエタロン位置が0mmで、右が50mmです。画像処理過程は両方とも全く同じです。
画像ををクリックして拡大しながら比べて頂きたいのですが、黒点や、黒点右上のダークフィラメントが比較しやすいでしょうか。明らかに50mm下げた方が分解能が出ています。前回の0mmと30mmの比較よりも今回の方が差がはっきりしていて、やはりレンズ径がF値を制限していて、それが緩和されるために分解能が改善されたと言えるのかと思います。
撮影している最中は、エタロン位置が後ろの方が、ヒストグラムで見ていると画面が明るくなっているのが確認できます。これはレンズ径での光のケラレがより少なくなることで説明ができます。実はその際、その明るさの違いから0mmより50mm位置の方が一見分解能が出ていないように見え、なんでだろうと思っていました。でもきちんと同条件で画像処理をして比較すると、やはり理屈通り50mm位置の方がより細かいところが見えたので、やはり考え方におかしなところはなさそうです。
ただし、エタロンが0mmの位置の場合と、50mmズレた位置の場合での、エタロンの効果の違いはまだ認識できていません。エタロンに入る光は少なくともどちらかは平行光からずれることになるので、エタロンの効果が変わってきて、その差がわかるのではないかと期待していたのですが、今のところどちらがいいと、どちらが悪いとかはまだ言えていません。やはりエタロンの鏡間の距離が0.1mm程度と極端に短いので、多少平行光からずれてもエタロンとしての機能は失わないのかと推測しますが、位置を50mmもずらしても、まだあからさまに何も変わらないというのは、ちょっと意外でした。
他にも、画面の大きさを制限するROI機能を使ってみました。目的は2つで、
G3M678Mのフレームレートは23fpsくらいで、ASI290MMの60-70fpsに比べると明らかに落ちています。これは画素数が1936×1096=2121856から3840x2160=8294400へと増えていて、その比8294400/2121856 = 3.91にほぼ比例したフレームレートの低下になっています。ROIで画素数を制限することにより、これが改善しないかと思ったわけです。
太陽でほぼ真円に近い形で写るので、ROIを正方形の2160x2160にした撮影してみたましたが、フレームレートは全く同じの23fpsで何ら改善は見られませんでした。
これで一気にROIを使う動機が薄くなってしまいました。もちろん画像サイズは小さくなります。横幅が3840/2160=1.78なので、ファイルサイズも約1.8分の1になります。その一方、写せる範囲がが小さくなるので、ガイドずれなどに対する耐性は下ってしまうため、少し迷います。
serファイルは絶対量が大きくなるので、それが小さくなるのは少し魅力です。実際、今回500フレーム撮影した場合にできたserファイルは、ROI無しだと8.1GB、ROIで正方形にすると4.6GBです。ただし、全景の場合は枚数を多くとることはあまりないですし、枚数を写すタイムラプスは、SharpCapで直接スタック後の画像だけを保存することを考えているので、トータルサイズはそこまで大きな差にはならなさそうです。ディスク容量を見ながら影響がありそうなら正方形の2160x2160を使うことにするかもしれません。
ちなみに、今回ROIで正方形にしてserで撮影したものから画像処理を進めてみました。最初のG3M678Mの画像は8bitで撮影してしまいましたが、今回は16bitのRAW16できちんと撮影しています。ただし、この日は天気が悪かったので、上記エタロン位置を最適化する前にとりあえず撮影しているので、以下の画像ではエタロン位置やカメラ位置はまだ適当です。
その後はSharpCapのリアルタイムスタックを利用したタイムラプスを撮影したのですが、雲が出てきてわずか20分で中断、その20分も雲の通過で明るさが変わったり、プロミネンスのブーストを失敗していたりで、見るも無残で動画化するにも至っていません。
G3M678Mの全景撮影の最適化も進んできました。天気が悪かったので、最低限の全景撮影と、やりたかったテストの一部だけしか進みませんでしたが、それでも8cm鏡筒での振る舞いがよりはっきりしてきました。
実は、この日のことはすでに記事を書いたものと思い込んでいて、すっかり記事を書くのを忘れていました。この前後も色々撮影はテストをしていますが、すでに書いた記事もありますし、まだ書いていないことも随時気示威していきたいと思います。特に、エタロンの良像範囲に対する検証がやっと進んできたので、こちらは早いうちにまとめたいと思います。
エタロン位置の最適化 (その2)
8cm鏡筒を使ったエタロン位置の検証は4月末に一度ASI290MMを使って試しています。鏡筒にPSTが当たる最前の位置0mmから、最大33mmまでPSTを後ろに下げることができ、以前のブログ記事では0mmと30mmの画像を比較しています。比較によると、
- 口径80mm、焦点距離400mmの対物レンズで集光された光は、200mm進むと光径が40mmになる。そこに口径20mmのエタロン手前のレンズが置かれるので、F値は口径から考えるF5ではなく、レンズ径による制限でF10になる。
- エタロンとともにレンズの位置を後ろに下げると、光径が40mmより小さい位置にレンズが置かれることにより、実効的なF値の制限が緩和される。
- 実行的な口径が大きくなったことに相当し、分解能が改善する。
- 実際の画像で見る限り有意な改善が見られた。
新カメラのG3M678Mはアイピース型で、さらにPST側に差し込むことができるため、今回はエタロンを50mmまで下げることができました。
その時の撮影画像の結果です。露光時間0.25秒、gain 400 (= 2倍 = 12dB = ZWO換算で120)、100/500framesをAS4!でスタック、ImPPGで細部出しをしています。左がエタロン位置が0mmで、右が50mmです。画像処理過程は両方とも全く同じです。
画像ををクリックして拡大しながら比べて頂きたいのですが、黒点や、黒点右上のダークフィラメントが比較しやすいでしょうか。明らかに50mm下げた方が分解能が出ています。前回の0mmと30mmの比較よりも今回の方が差がはっきりしていて、やはりレンズ径がF値を制限していて、それが緩和されるために分解能が改善されたと言えるのかと思います。
撮影している最中は、エタロン位置が後ろの方が、ヒストグラムで見ていると画面が明るくなっているのが確認できます。これはレンズ径での光のケラレがより少なくなることで説明ができます。実はその際、その明るさの違いから0mmより50mm位置の方が一見分解能が出ていないように見え、なんでだろうと思っていました。でもきちんと同条件で画像処理をして比較すると、やはり理屈通り50mm位置の方がより細かいところが見えたので、やはり考え方におかしなところはなさそうです。
ただし、エタロンが0mmの位置の場合と、50mmズレた位置の場合での、エタロンの効果の違いはまだ認識できていません。エタロンに入る光は少なくともどちらかは平行光からずれることになるので、エタロンの効果が変わってきて、その差がわかるのではないかと期待していたのですが、今のところどちらがいいと、どちらが悪いとかはまだ言えていません。やはりエタロンの鏡間の距離が0.1mm程度と極端に短いので、多少平行光からずれてもエタロンとしての機能は失わないのかと推測しますが、位置を50mmもずらしても、まだあからさまに何も変わらないというのは、ちょっと意外でした。
ROIによる画像サイズの縮小
他にも、画面の大きさを制限するROI機能を使ってみました。目的は2つで、
- フレームレートを上げたいこと
- 画像サイズを小さくしたいこと
G3M678Mのフレームレートは23fpsくらいで、ASI290MMの60-70fpsに比べると明らかに落ちています。これは画素数が1936×1096=2121856から3840x2160=8294400へと増えていて、その比8294400/2121856 = 3.91にほぼ比例したフレームレートの低下になっています。ROIで画素数を制限することにより、これが改善しないかと思ったわけです。
太陽でほぼ真円に近い形で写るので、ROIを正方形の2160x2160にした撮影してみたましたが、フレームレートは全く同じの23fpsで何ら改善は見られませんでした。
これで一気にROIを使う動機が薄くなってしまいました。もちろん画像サイズは小さくなります。横幅が3840/2160=1.78なので、ファイルサイズも約1.8分の1になります。その一方、写せる範囲がが小さくなるので、ガイドずれなどに対する耐性は下ってしまうため、少し迷います。
serファイルは絶対量が大きくなるので、それが小さくなるのは少し魅力です。実際、今回500フレーム撮影した場合にできたserファイルは、ROI無しだと8.1GB、ROIで正方形にすると4.6GBです。ただし、全景の場合は枚数を多くとることはあまりないですし、枚数を写すタイムラプスは、SharpCapで直接スタック後の画像だけを保存することを考えているので、トータルサイズはそこまで大きな差にはならなさそうです。ディスク容量を見ながら影響がありそうなら正方形の2160x2160を使うことにするかもしれません。
ちなみに、今回ROIで正方形にしてserで撮影したものから画像処理を進めてみました。最初のG3M678Mの画像は8bitで撮影してしまいましたが、今回は16bitのRAW16できちんと撮影しています。ただし、この日は天気が悪かったので、上記エタロン位置を最適化する前にとりあえず撮影しているので、以下の画像ではエタロン位置やカメラ位置はまだ適当です。
- 撮影場所: 富山県富山市
- 撮影時間: 2025年5月11日10時57分
- 鏡筒: iOpton R80 口径80mm、焦点距離400mm
- エタロン: Coronado P.S.T.
- 赤道儀: Celestron CGEM II
- カメラ: Touptek G2M678M
- 撮影ソフト: SharpCap 4.1 (64bit)
- 画像処理: AS!4にてスタック、ImPPGで細部出し、PixInsightでカラー化など、PhotoshopCCで仕上げ
タイムラプスは次回以降に
その後はSharpCapのリアルタイムスタックを利用したタイムラプスを撮影したのですが、雲が出てきてわずか20分で中断、その20分も雲の通過で明るさが変わったり、プロミネンスのブーストを失敗していたりで、見るも無残で動画化するにも至っていません。
まとめ
G3M678Mの全景撮影の最適化も進んできました。天気が悪かったので、最低限の全景撮影と、やりたかったテストの一部だけしか進みませんでしたが、それでも8cm鏡筒での振る舞いがよりはっきりしてきました。
実は、この日のことはすでに記事を書いたものと思い込んでいて、すっかり記事を書くのを忘れていました。この前後も色々撮影はテストをしていますが、すでに書いた記事もありますし、まだ書いていないことも随時気示威していきたいと思います。特に、エタロンの良像範囲に対する検証がやっと進んできたので、こちらは早いうちにまとめたいと思います。