久しぶりのブログ更新です。前回のノイズ計算で力尽きてしまい、忙しいこともあり、あまり趣味に時間を割くことができなくなっていました。今回の撮影も、1月初めくらいに撮影して、その後CP+関連の撮影などでしばらく間が空いて、3月半ばに撮り増ししたものです。
撮影は1月に遡ります。ε130D+ASI6200MM Proでの、いつもの自宅での撮影です。もうその時のこと詳しくは覚えていませんが、能登地震から数日後で少し落ち着いてきたことと、対象天体をどうするか迷ってたことが記憶にあります。曇りの間の晴れ間で、長時間は晴れなさそうだったので、比較的短時間で成果が出るものとというので決めた気がします。新規天体よりも、再撮影の方が向いていると判断して、過去画像の中でも結構初期の頃のFS-60CB用のマルチフラットナーのテストで撮った、かもめ星雲にしました。
上のリンクは2019年初めの撮影で、星を初めて2年半が過ぎたくらいでしょうか。すでに画像処理はSIからPIに移っていて、DBEのおかげで少し炙り出せるようになってきた頃だと思います。まだモノクロ撮影に手を出すはるか前で、多分かもめ星雲全体が入るようにとフルサイズの6Dを選んだのだと思います。自宅撮影なのでQBPでHαを出していますが、仕上げを見ても分かるように青いところとかはほとんど出せていなくて、赤でのっぺりしています。StarNetやDeNoise AIなどのAI系のツールはまだ影も形もなく、撮影した画像のクオリティーでの勝負でした。でもこれ、今のツールで処理したらどうなるのでしょうか?時間があったら後でやってみます。
さて今回の撮影ですが、1月の時点で2回望遠鏡を出し、モノクロでRGBの3種を撮影しました。でも画像を見てみるとさすがに光害地での撮影で、しかも曇りの合間でそれぞれ1時間程度の露光時間なので、Rでも本体が淡くてほとんで出ていません。その後CP+などがあったこともあり、しばらくお蔵入りになったのですが、3月中頃にHαを追加撮影しています。4月に入り、重い腰を上げてやっと画像処理です。サボりすぎでダメですね。
やっとのことで画像処理を進めるのですが、なぜか以前に撮ったフラットが合いません。私は基本、フラットは一度撮ると、鏡筒やカメラの構成を変えない限り、マスターフラット化したフラットファイルを使い回しています。これまでSCA260+ASI294MM Proでもε130D+ASI6200MM Proでも、使い回しでほとんど困ることはありませんでした。今回も過去に撮影したフラットで補正したのですが、なぜか全然空いません。ここしばらくε130Dで撮影はしていませんでしたが、それでも構成は何もいじっていなくて、これまでの経験からいったらフラットが合わない理由はありません。
ちなみに下がフラットが合わなかった画像です。RGBを合成した後、ABEの1次をかけています。フラット画像は昼間の明るい部屋の白い壁を写しています。壁の左側にある窓からの光が支配的なので、1次的な傾きがあるのはわかっています。なのでABEの1次をかけるのですが、普通はこれでOKなはずです。それでもこんなに右側に残るのは何かおかしいです。
実際ここまでひどいと画像処理でどうやってもダメで、諦めてフラットを再撮影した方が良さそうです。フラットは昼間の撮影なので次の休日まで待つ必要があり、これだけで1週間程度余分に時間がかかってしまいました。
再フラット撮影ですが、フードの有り無しが影響することもあるので、フード有り無しの両方で撮影しました。比較してみると、フードの有無で差はほとんどありませんでした、過去に撮影したフラットファイルと明らかに見た目で違いがありました。
こちらが過去、クワガタ星雲の際に撮影したフラット画像で、少なともその後のイルカ星雲の画像処理の際にはずれたような兆候はありませんでした。代表してR画像を示しますが、比較しやすいようにABEの1次をかけ、オートストレッチしています。
次が今回撮影したフラット画像で、同じくR画像で、ABEの1次をかけ、オートストレッチしています。
どうやら過去のものは左右バランスが取れいてなくて、今回のものは取れているようです。過去画像でのフラット後に右側に大きなずれが出たのも納得です。クワガタ星雲の撮影から鏡筒やカメラをいじった覚えはないので、なぜフラットがこんなに変わったのかの理由は今のところ不明です。何か触ってそれを忘れているか、季節が変わったとかか、どこかで光の漏れ具合や散乱光が変わったのでしょうか?
その後、新しく撮影したフラット画像でWBPPを再度走らせ、スタックしました。あまり細部を出す必要もないので、Drizzleのx1だけかけておきました。出来上がった個々のRGB画像を合成し、SPCCでカラーバランスを整え、BXTをかけます。ここからStarNetで背景と恒星を分離し、恒星はそのまま使いますが、背景はRを次のHα画像の背景と置き換えることにします。
インテグレーション直後のHαを見てみてみます。オートストレッチの強い方をかけています。
これを見ると明らかに左が暗く、右が明るいです。すなわち、カモメの上部は暗いということがまずあります。でもこれをABEでもDBEでも新機能のGC(GradientCollection)でも、とにかく補正してしまうと、左が明るくなりすぎて右の暗いところの明るさを超えてしまいます。
補正の目的は、画面全体の輝度差をなくして、細部の構造の濃淡をより出したいというものなのですが、このような(カブリとかではなく)実際の空に大きな輝度差があり、あるところを境にパツンと変わるような場合は、大元の傾向を壊してしまうという弊害があるということがわかります。最近の私の画像処理では、背景全体が明るくなってしまう傾向があるのですが、おそらく根は同じようなことなのかと思います。要するに細部を出したいがあまり、大傾向を軽視してしまっているというものです。
今の所、どうしたら完璧かというような解はまだ持っていません。淡い部分の階調のわずかな違いを表現するためには、やはり強力なフラット化の手法は必要かと思いますし、背景が明るくなり過ぎるもの避けたいと思っています。特に背景は光害地で撮影している限り、階調の違いがナローでしか出てこないので、背景にどんな色がついているのかよくわからないのが大きな問題です。もしかしたら、Hα画像で撮影される背景は、実際には赤っぽくはならずに、もっと黒っぽかったり、茶色に近いとかかもしれません。
今回の撮影ですが、RGBはGC(GradientCorrection)を使って星雲本体以外はかなりフラットにしました。HαもGCを使って、こちらは結構注意深く、少なくとも逆転現象があまり出ないようにかけてみました。
その時に使ったGCのパラメータです。
GCについては書き出すと長くなりそうなので、機会があれば別途記事にします。
Hα画像にもBXTをかけて、背景と恒星を分離します。先に作ったRGBの背景画像のR成分を、このHα画像の背景で置き換えます。合成したAGB背景画像と、RGBの恒星画像を、別途適当にストレッチして、Photoshopに受け渡します。Photoshopでてきじ重ね合わせ、最終調整をして仕上げです。結果は以下のようになりました。
赤の淡いところもそこそこ出ています。これはナローのHα画像が効いています。Rだけでは淡いところは全然出なかったでしょう。青もそこそこ出ているので、B画像も効いていることがわかります。これはOIIIにしても良かったのでしょうか?でもそれだとAOOにしてしまうかもしれません。ここら辺の塩梅が、まだあまりよくわかっていません。ただし、BもGもフラット化の過程で星雲本体以外はかなり消えてしまったので、星雲本体以外の赤がHαのみになってしまい、赤色だけののっぺりとしたものになっています。
フラットを再度撮影したのですが、ε130D(実際にはおそらく左右非対称からくる)のフラットの誤差がどうしても残るというのは依然問題として残っていて、今回GCで強引にフラット化してしまった弊害とも言えるかと思います。理想は左右対称な(明るい)鏡筒で、暗い場所に行ってRGBを撮影するというものですが、そんな鏡筒はなかなか無いのと、遠征になかなか行けない今の私にとっては、どちらも無い物ねだりというものでしょう。
アノテーションです。
かもめ星雲はIC2177が一般的で、NGC2373と言われることも多いようです。NGCは他に3つ写っています。画面内には (シャープレス) sh2-292から297が入っているようですが、途中の294は見当たりません。調べたら画面右下をもう少し下側に行ったところにあるようです。PGCは分解能的に厳しいようで、ほとんど見えてないですね。
2019年初めに撮影したカモメ星雲を改めて載せておきます。
当時は赤いところも結構出るようになったと喜んでいた覚えがありますが、今見るとまだ全然ですね。しかも青成分なんかほぼゼロで、星雲本体が赤一色になっています。
露光時間は3時間越えなのでまあ同じくらいとして、鏡筒の口径は大きくなったこと、カメラはともにフルサイズですが、一眼レフのカラーカメラから、今回はモノクロのCMOSカメラでナローのHαを別撮りしているのが大きな違いでしょうか。いずれにせよ、大きく自己更新かと思います。さすがに5年という期間は、機材、ソフト、技術と、どれも進化が大きいかと思います。
さらにこの5年前に撮影したものを、RAWファイルから今のWBPPでスタックし直し、画像処理までしてみました。その結果がこれです。
元ファイルは同じでも、別物のように違いますね。青い部分も情報としてはあったことがわかりますし、星の色もきちんと残っていました。淡いところもまだ引き出す余地があったようです。どうも撮影中に流れていたようで、縞ノイズの痕跡が見え始めています。
こうやってみると、5年間でソフトや技術が上がっていることがわかります。
ここまで出るなら、今回わざわざ撮影し直さなくても良かったかというとそうでもなくて、淡いところはより出ていますし、右翼に点在する青い部分はさらにはっきりしています。ここら辺の違いが機材の違いに起因するところでしょうか。こうやって進歩を部分部分で見るものとても楽しいです。
イルカ星雲以来の久しぶりの本格的な撮影でした。露光時間があまり伸ばせなかったのですが、天気があまり良くなかったので仕方ないでしょう。でも久しぶりの画像処理で、結構楽しくて、結果もまあ満足です。
しばらく画像処理をサボっていた間に、GraXpertに加えて、GradientCorrenctiontという新しい機能も出てきました。ここら辺はMARSにつながる布石なのでしょうか?関連して、背景の正しい色を知りたい欲求が高まっています。もう暗いところに行くしか無いのか、それともアイリス星雲やゴースト星雲みたいに、明る自宅でもRGB撮影でまだ活路を見出すことができるのか、そろそろ次の手をどうするか本格的に考える必要がありそうです。
実は4月の新月期は結構頑張っていて、M104ソンブレロ銀河の撮影も終えていますし、ヘルクレス座銀河団の撮影ももう終えています。ここら辺の画像処理も時間を見つけて進めたいと思います。
サボり気味な撮影
撮影は1月に遡ります。ε130D+ASI6200MM Proでの、いつもの自宅での撮影です。もうその時のこと詳しくは覚えていませんが、能登地震から数日後で少し落ち着いてきたことと、対象天体をどうするか迷ってたことが記憶にあります。曇りの間の晴れ間で、長時間は晴れなさそうだったので、比較的短時間で成果が出るものとというので決めた気がします。新規天体よりも、再撮影の方が向いていると判断して、過去画像の中でも結構初期の頃のFS-60CB用のマルチフラットナーのテストで撮った、かもめ星雲にしました。
上のリンクは2019年初めの撮影で、星を初めて2年半が過ぎたくらいでしょうか。すでに画像処理はSIからPIに移っていて、DBEのおかげで少し炙り出せるようになってきた頃だと思います。まだモノクロ撮影に手を出すはるか前で、多分かもめ星雲全体が入るようにとフルサイズの6Dを選んだのだと思います。自宅撮影なのでQBPでHαを出していますが、仕上げを見ても分かるように青いところとかはほとんど出せていなくて、赤でのっぺりしています。StarNetやDeNoise AIなどのAI系のツールはまだ影も形もなく、撮影した画像のクオリティーでの勝負でした。でもこれ、今のツールで処理したらどうなるのでしょうか?時間があったら後でやってみます。
さて今回の撮影ですが、1月の時点で2回望遠鏡を出し、モノクロでRGBの3種を撮影しました。でも画像を見てみるとさすがに光害地での撮影で、しかも曇りの合間でそれぞれ1時間程度の露光時間なので、Rでも本体が淡くてほとんで出ていません。その後CP+などがあったこともあり、しばらくお蔵入りになったのですが、3月中頃にHαを追加撮影しています。4月に入り、重い腰を上げてやっと画像処理です。サボりすぎでダメですね。
フラットが合わない!?
やっとのことで画像処理を進めるのですが、なぜか以前に撮ったフラットが合いません。私は基本、フラットは一度撮ると、鏡筒やカメラの構成を変えない限り、マスターフラット化したフラットファイルを使い回しています。これまでSCA260+ASI294MM Proでもε130D+ASI6200MM Proでも、使い回しでほとんど困ることはありませんでした。今回も過去に撮影したフラットで補正したのですが、なぜか全然空いません。ここしばらくε130Dで撮影はしていませんでしたが、それでも構成は何もいじっていなくて、これまでの経験からいったらフラットが合わない理由はありません。
ちなみに下がフラットが合わなかった画像です。RGBを合成した後、ABEの1次をかけています。フラット画像は昼間の明るい部屋の白い壁を写しています。壁の左側にある窓からの光が支配的なので、1次的な傾きがあるのはわかっています。なのでABEの1次をかけるのですが、普通はこれでOKなはずです。それでもこんなに右側に残るのは何かおかしいです。
実際ここまでひどいと画像処理でどうやってもダメで、諦めてフラットを再撮影した方が良さそうです。フラットは昼間の撮影なので次の休日まで待つ必要があり、これだけで1週間程度余分に時間がかかってしまいました。
再フラット撮影ですが、フードの有り無しが影響することもあるので、フード有り無しの両方で撮影しました。比較してみると、フードの有無で差はほとんどありませんでした、過去に撮影したフラットファイルと明らかに見た目で違いがありました。
こちらが過去、クワガタ星雲の際に撮影したフラット画像で、少なともその後のイルカ星雲の画像処理の際にはずれたような兆候はありませんでした。代表してR画像を示しますが、比較しやすいようにABEの1次をかけ、オートストレッチしています。
次が今回撮影したフラット画像で、同じくR画像で、ABEの1次をかけ、オートストレッチしています。
どうやら過去のものは左右バランスが取れいてなくて、今回のものは取れているようです。過去画像でのフラット後に右側に大きなずれが出たのも納得です。クワガタ星雲の撮影から鏡筒やカメラをいじった覚えはないので、なぜフラットがこんなに変わったのかの理由は今のところ不明です。何か触ってそれを忘れているか、季節が変わったとかか、どこかで光の漏れ具合や散乱光が変わったのでしょうか?
その後、新しく撮影したフラット画像でWBPPを再度走らせ、スタックしました。あまり細部を出す必要もないので、Drizzleのx1だけかけておきました。出来上がった個々のRGB画像を合成し、SPCCでカラーバランスを整え、BXTをかけます。ここからStarNetで背景と恒星を分離し、恒星はそのまま使いますが、背景はRを次のHα画像の背景と置き換えることにします。
かもめの頭上の明るさ
インテグレーション直後のHαを見てみてみます。オートストレッチの強い方をかけています。
これを見ると明らかに左が暗く、右が明るいです。すなわち、カモメの上部は暗いということがまずあります。でもこれをABEでもDBEでも新機能のGC(GradientCollection)でも、とにかく補正してしまうと、左が明るくなりすぎて右の暗いところの明るさを超えてしまいます。
補正の目的は、画面全体の輝度差をなくして、細部の構造の濃淡をより出したいというものなのですが、このような(カブリとかではなく)実際の空に大きな輝度差があり、あるところを境にパツンと変わるような場合は、大元の傾向を壊してしまうという弊害があるということがわかります。最近の私の画像処理では、背景全体が明るくなってしまう傾向があるのですが、おそらく根は同じようなことなのかと思います。要するに細部を出したいがあまり、大傾向を軽視してしまっているというものです。
今の所、どうしたら完璧かというような解はまだ持っていません。淡い部分の階調のわずかな違いを表現するためには、やはり強力なフラット化の手法は必要かと思いますし、背景が明るくなり過ぎるもの避けたいと思っています。特に背景は光害地で撮影している限り、階調の違いがナローでしか出てこないので、背景にどんな色がついているのかよくわからないのが大きな問題です。もしかしたら、Hα画像で撮影される背景は、実際には赤っぽくはならずに、もっと黒っぽかったり、茶色に近いとかかもしれません。
今回の撮影ですが、RGBはGC(GradientCorrection)を使って星雲本体以外はかなりフラットにしました。HαもGCを使って、こちらは結構注意深く、少なくとも逆転現象があまり出ないようにかけてみました。
その時に使ったGCのパラメータです。
GCについては書き出すと長くなりそうなので、機会があれば別途記事にします。
仕上げ
Hα画像にもBXTをかけて、背景と恒星を分離します。先に作ったRGBの背景画像のR成分を、このHα画像の背景で置き換えます。合成したAGB背景画像と、RGBの恒星画像を、別途適当にストレッチして、Photoshopに受け渡します。Photoshopでてきじ重ね合わせ、最終調整をして仕上げです。結果は以下のようになりました。
「IC2177: かもめ星雲」
- 撮影日: 2024年1月4日22時59分-5日0時9分、1月14日1時48分-3時8分、3月14日20時59分-22時37分
- 撮影場所: 富山県富山市自宅
- 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
- フィルター: Baader:Hα 6.5nm、R、G、B
- 赤道儀: Celestron CGEM II
- カメラ: ZWO ASI6200MM Pro (-10℃)
- ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
- 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、Hα: 17枚、R: 8枚、G: 8枚、B: 12枚、の計45枚で総露光時間3時間45分
- Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
- Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 Hα: 0.1秒、R: 0.01秒、G: 0.01秒、B: 0.01秒で全て128枚
- 画像処理: PixInsight、Photoshop CC
フラットを再度撮影したのですが、ε130D(実際にはおそらく左右非対称からくる)のフラットの誤差がどうしても残るというのは依然問題として残っていて、今回GCで強引にフラット化してしまった弊害とも言えるかと思います。理想は左右対称な(明るい)鏡筒で、暗い場所に行ってRGBを撮影するというものですが、そんな鏡筒はなかなか無いのと、遠征になかなか行けない今の私にとっては、どちらも無い物ねだりというものでしょう。
アノテーションです。
かもめ星雲はIC2177が一般的で、NGC2373と言われることも多いようです。NGCは他に3つ写っています。画面内には (シャープレス) sh2-292から297が入っているようですが、途中の294は見当たりません。調べたら画面右下をもう少し下側に行ったところにあるようです。PGCは分解能的に厳しいようで、ほとんど見えてないですね。
過去画像との比較
2019年初めに撮影したカモメ星雲を改めて載せておきます。
当時は赤いところも結構出るようになったと喜んでいた覚えがありますが、今見るとまだ全然ですね。しかも青成分なんかほぼゼロで、星雲本体が赤一色になっています。
露光時間は3時間越えなのでまあ同じくらいとして、鏡筒の口径は大きくなったこと、カメラはともにフルサイズですが、一眼レフのカラーカメラから、今回はモノクロのCMOSカメラでナローのHαを別撮りしているのが大きな違いでしょうか。いずれにせよ、大きく自己更新かと思います。さすがに5年という期間は、機材、ソフト、技術と、どれも進化が大きいかと思います。
さらにこの5年前に撮影したものを、RAWファイルから今のWBPPでスタックし直し、画像処理までしてみました。その結果がこれです。
元ファイルは同じでも、別物のように違いますね。青い部分も情報としてはあったことがわかりますし、星の色もきちんと残っていました。淡いところもまだ引き出す余地があったようです。どうも撮影中に流れていたようで、縞ノイズの痕跡が見え始めています。
こうやってみると、5年間でソフトや技術が上がっていることがわかります。
ここまで出るなら、今回わざわざ撮影し直さなくても良かったかというとそうでもなくて、淡いところはより出ていますし、右翼に点在する青い部分はさらにはっきりしています。ここら辺の違いが機材の違いに起因するところでしょうか。こうやって進歩を部分部分で見るものとても楽しいです。
まとめ
イルカ星雲以来の久しぶりの本格的な撮影でした。露光時間があまり伸ばせなかったのですが、天気があまり良くなかったので仕方ないでしょう。でも久しぶりの画像処理で、結構楽しくて、結果もまあ満足です。
しばらく画像処理をサボっていた間に、GraXpertに加えて、GradientCorrenctiontという新しい機能も出てきました。ここら辺はMARSにつながる布石なのでしょうか?関連して、背景の正しい色を知りたい欲求が高まっています。もう暗いところに行くしか無いのか、それともアイリス星雲やゴースト星雲みたいに、明る自宅でもRGB撮影でまだ活路を見出すことができるのか、そろそろ次の手をどうするか本格的に考える必要がありそうです。
実は4月の新月期は結構頑張っていて、M104ソンブレロ銀河の撮影も終えていますし、ヘルクレス座銀河団の撮影ももう終えています。ここら辺の画像処理も時間を見つけて進めたいと思います。