ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:鏡筒 > FMA135

皆既月食の敗北で打ちのめされ、仕事が忙しいのと、天気がイマイチでしばらく立ち直れなかったのですが、5月29日の土曜日、晴れたので今度山に行くための準備をしました。超コンパクトな電視観望システムの構築です。でもその後も、しばらく乗り気にならず、記事も今になってしまいました。

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皆既月食の日に一瞬だけ見えた月です。その後撤収まで二度と出てきてくれませんでした。夕方青空が見えてきたのでTSA-120とFS-60CBと50mm+6Dで広角とフル体制だったのに...。

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歩きでも持っていける電視観望システム

来週6月12日、久しぶりに立山に行きます。スターウォッチングの講師です。車は駅に止めてそこからケーブルカーとバスなので、持っていける荷物の量が限られます。立山のスターウォッチングも最初の頃は張り切ってAdvanced VXを丸々海外旅行用の大きなトランクに入れて持っていってたりしたのですが、そのうち機材の軽量化とともにNexstar、AZ-GTiと楽になっていきました。それでも鏡筒はずっとFS-60CBでした。前回FMA135で電視観望を試したのですが、口径3cmにもかかわらず、その性能の良さとコンパクトさもあり、すこぶる快適でした。



でも欲望にはキリがなく、これだけコンパクトになってくるとAZ-GTiでさえ大きいと思ってしまうのです。立山は歩きもありますし、荷物は軽ければ軽いほどいいです。もう少しコンパクトにならないか試してみました。ポイントは3つです。
  1. AZ-GTiを無くしてただの自由雲台に
  2. ついでに三脚も超コンパクトなものに
  3. ASI294MC Proの広いセンサー面積を利用
組み上げた様子はこんな感じです。

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重さは三脚まで合わせても1550g。これなら歩きでもほとんど苦にならないでしょう。でもコンパクトにしても使いにくかったらしょうがありません。そのため検証したいことが3つあります。
  1. 手動できちんと導入できるか?
  2. 星雲はリアルタイムで見えてすぐに見つかるか?
  3. M57などの小さな星雲を解像できるか?
ここら辺を順次確認してしていきたいと思います。


まずはいつものM57

立山でのスターウォッチングが20時くらいからだと思います。6月なので、その時間M57は確実に昇ってきています。M57を見るべく、まずはベガを目印として導入します。導入といっても自由雲台のネジを緩めて、ベガの方向に向けるだけです。ちょっと狙いをつけるのに手間取りますが、さすがに明るいのでPCの画面で見てもすぐに分かります。ただ視野角から言っても、こと座全体が入るか入らないかくらいなので、注意深くM57に向かいます。

問題はこの視野角で見るとM57は相当小さくて、恒星と区別がつきません。

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どこにあるかわかりますか?場所としては真ん中少し下の明るい2つの星の間です。拡大していくと見えてきます。

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明るい星2つを拡大します。明るい星が上下にあって、その真ん中らへんです。これでもまだ厳しいくらいですかね。

すごいのは、FMA135はかなりの解像度なので星が肥大することがほとんどありません。マイクロフォーサーズサイズのASI294MCなら四隅までほぼ完璧です。もっと拡大するとM57がちゃんと見えてきます。SharpCap上で600%まで拡大したものをiPnoneで撮影したものが下になります。これだけ拡大しても恒星とはっきりと区別できるのはさすがの性能です。

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それでもこれだけ拡大しているので、解像度はギリギリと言ったところでしょうか。中心星は残念ながら見えませんが、M57とはっきりと認識できます。


早速トラブル

でもいきなり問題点が露呈しました。気軽に机の上に置いて見ていたのですが、PCの操作をするたびに机ごと揺れるのです。

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そのため、まずM57の導入を済まし、Livestackを立ち上げたところでPCを膝の上に置いて、Livestackをリセットして画像をスタックします。そうしないとブレブレになってしまうのです。地面に置くか、別の独立した机に置いた方がいいかもしれません。

M57の結果:
  1. は一応手動で導入できたので合格。
  2. はリアルタイムで見るには小さすぎ。
  3. はギリギリ合格。
としました。


かわいいM27

次に昇りはじめのM27亜鈴状星雲です。

これはとにかく難しかったです。M57から下に下がっていけばいいのですが、目印がないと星図などと比べながらかなり注意深く移動していく必要がああります。ゆっくりやればいいのですが、お客さんがいて早く見せなくてはと焦ると多分導入できないと思います。M27はM57と比べると大きいですが、それでもかなり広角でとても小さいので、よほど注意深く画面を見ていないと見逃してしまいます。

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解りますでしょうか?下の木の左上、ぼやけた電線の少し上です。かわいいM27が見えています。時間的にも昇りはじめの頃です。

見つかった後は拡大すれば十分きれいに見ることができます。
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M57よりはだいぶん大きいので、M27ならもう十分な解像度かと思います。

M27の結果:
  1. の導入は難しい。
  2. はかろうじて星雲と認識できる。
  3. は十分解像する。
となりました。


屋根から昇る北アメリカ星雲

北に向かって白鳥座を見ます。ある程度時間が経ってくると白鳥座も昇ってくるので、観望会途中から見えてくると思います。北アメリカ星雲は相当大きいので、導入は簡単です。デネブを見つけたらその少し下にあります。ただし、やはりFMA135のF値では暗いのか、リアルタイムで見るには少し淡いです。でも場所は大体わかるので、露光時間を伸ばすかLivestackするかですぐに出てきます。

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屋根から昇る星雲シリーズですが、このネタ以前もやったことがあり、 私のお気に入りです。面白いのは、屋根と星雲の位置を調整するのに気軽に机を持ち上げて、ちょうど両方が視野に入るようにできることです。初期アラインメントとかが存在しないので、途中でも机ごとだろうがなんだろうが移動できます。

北アメリカ星雲の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. はもちろん余裕。
大きな星雲は楽です。


M8干潟星雲とM20三列星雲ここに文章を入力

一度南のほうに行きます。白鳥座が見えている頃には天の川中心も見えるようになっているでしょう。まずは大物のM8干潟星雲とM20三裂星雲です。

これは一発で導入できました。ここら辺まで明るい星雲だとFMA135でも探しながらリアルタイムで見ることができます。

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今回は自宅でのテストで、月がでいないと言っても光害もあるのでQBPをFMA135の先端に取り付けているので、三裂星雲の青はほとんど出ていませんが、立山でフィルターなしで試してみたら周りの青色も見えてくるかもしれません。本番が楽しみなところです。

M8とM20の結果:
  1. の導入は簡単。
  2. は探しながらリアルタイムで見える。
  3. 3はもちろん余裕。
明るくて大きな星雲は超快適です。


M16とM17

すぐ上のM16わし星雲、M17オメガ星雲も見つけるのは簡単です。

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評価はM8とM20と同じです。


最後は網状星雲

最後は白鳥座に戻って網状星雲。こちらは目印のデネブとサドルから少し離れているのと、やはり淡いのでリアルタイムでは見えず、導入に少し時間がかかりました。

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網状星雲結果:
  1. の導入は少し時間がかかる。
  2. は淡いのでリアルタイムだとちょっと厳しい。
  3. は視野角的にもいい感じ。
この頃には月も雲も出てきて明るくなってきたので、ここで撤収としました。

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ちなみに月も拡大するとこれくらいの解像度で見えます。

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月としては少し解像度不足の感もありますが、機材を変更しなくても見えるので、観望会ではこれくらいでも重宝するのではないでしょうか?


まとめ

FMA135とASI294MCProと自由雲台を使った超コンパクト電視観望システムですが、大きな星雲はマニュアル導入で問題ないでしょう。立山はかなり暗くて環境の良い空なので、淡くてもさらに見やすくなると思います。ただし、M57とかM27とかの小さな星雲はお客さんがいる場合はAZ-GTiがあった方が安全な気がしました。でもお客さんと一緒に導入の苦労まで楽しむとしたら、マニュアル導入でも良いかと思います。

FMA135の性能は特筆すべきだと思います。これだけ短焦点で、これだけの分解能で、この値段。相当小さいM57から大きな網状星雲の全景まで、かなりの範囲で見ることができます。鏡筒の性能が遺憾なく発揮され、これまでとは一線を画した電視観望システムです。

今回、相当コンパクトなシステムとなりましたが、ASI294MCがProでないノーマルモデルならさらにコンパクトになって、超々コンパクトシステムとか言えたかもしれません(笑)。

でももうこれだけコンパクトならカバンに常時入れておいてもいいくらいです。夜になったら突然サッと取り出して電視観望!なんかかっこよくないですか?

いや、普通の人から見たらかなり変な人ですね...。


FMA135とCBPを使って、とうとう念願の自宅からアンタレス付近のカラフルタウンを撮影してみました。赤と青と黄色が混ざったあの綺麗な色を光害地から再現できるのか?、特に青色が出るのか?

これまでのいろいろな準備とタイミングが整い、やっと挑戦することができました。


これまでのみちのり

アンタレス付近はこれまでにも撮影しています。昨年もちょうどこの時期に撮影しました

すごく綺麗なエリアで、私も大好きで、みているだけでウットリしてしまいます。

これだけカラフルだと、下手な光害防止フィルターだと青とか黄とかの色が出ない恐れがあるので、当然環境の良い暗い空でフィルターなしで撮影するのが当然と思っていました。でもこんな色、特に青色を自宅から撮影するのも面白いのではずっと思っていました。

自宅でどれだけ淡い天体まで撮影できるかは、結構長期にわたり挑戦してきました。淡いという意味では始まりは魔女の横顔でしょうか。この時はノーフィルターです。


M78の自宅撮影もその一つで、これもノーフィルターです。


フィルターをつけた場合ですが、自宅から非常に淡いレムナントSh2-240を撮影したのは、超長時間撮影と強度な画像処理の良い練習になりました。


青い星雲に関しては自宅からの青い馬星雲を最近撮影しています。これは青の出方がわからなかったのでまずはフィルターなしで試しました。

4時間20分程度の撮影でしたが光害の影響は決して小さくなく、一応青は出たものの十分とは言い難く、ノーフィルターでISOを上げられなかったことも要因の一つかと思っています。


CBP

自宅アンタレス 付近撮影作戦のもう一つの大きな柱は、昨年5月にSIGHTRONから発売されたCBP (Comet BandPass)フィルターです。CBPについてはこれまでかなりテストしてきて、最初の頃の解析撮影で、光害を3分の1ほどに軽減しつつ、青色も十分に出すことができるという結果を得てきています。




今回は光害地でCBPを使って青が出るかどうかのある意味最終テストということになります。


短焦点の鏡筒 

あとは鏡筒です。前回のアンタレス 付近はFS-60CB+レデューサーで撮影しましたがちょっと窮屈で、せっかくなのでもう少し広い画角で撮影したいと思っていました。そこに今回のFMA135の話が舞い込んできました。

視野的にも青い馬星雲が入ってちょうどよさそうです。しかも3cmで青い馬まで写るならそれはそれで面白いのではないかと思ったのです。


さあ、撮影だ

最初にアンタレス付近を自宅で撮りたいと思ってから、もう数年が経っています。技術的にも、機材的にも、時期的にも、やっと準備が整ったのかと思います。

撮影は休日の前日がよかったのですが、新月期の5月8日の夜はあいにくの天気で諦めました。次の日の日曜ですが、昼間はなんだか微妙で、すごい風と、黄砂のせいでしょうか晴れてるのにモヤーっとしています。次の月曜の朝は仕事で、しかもいつもより早く家を出なくてはいけません。天気と仕事のことでかなりやる気が失せてたのですが、夜になって風が弱まってきて、外に出ると意外に透明度が良さそうです。

俄然やる気になってきて、セットアップ開始です。


CBPのとりつけ

前回の撮影で、QBPはアメリカンサイズでFMA135に直接取り付けることができました。CBPはアメリカンサイズは無いのと、アメリカンサイズで画像に円形状の段差が出た可能性があるため、今回は大きなフィルターを試したかったというのがあります。

ところが48mmのフィルターはそのままFMA135には取り付けられません。前回の撮影記事の最後に書きましたが、M36からM46の変換リングとM46からM48の変換リングを組み合わせる方法で取り付けられます。早速注文はしましたが結局この日には間に合わず、手持ちのM37からM48の変換リングを利用して、グラグラするのをテープで固定しました。

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ピント固定ネジ

FMA135で一度ピントを合わせた後に小さなピント調節ネジを固く締めると、ピントが少しずれてしまうようです。なので緩めに締めるか、少しずれることを見越してずらして合わせる必要があるようです。前回のピントもこれが原因でずれてしまっていた可能性があります。

今回はかなりピントは気を使いましたが、それでも少し左右でズレてしまったようです。

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不思議なのは、APS-Cサイズでも少し流れてしまっていることです。ファーストライトのテストの時は下のようにほとんど目立ちませんでした。
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私のピント合わせがまだ不味かったか、大きく違うところがCBPをテープで適当に取り付けているところです。もしかしたら少し斜めにとりついていたとかかもしれません。機会があれば今一度確かめたいと思います。


ISOの決定

淡いものを出す場合には一般的にはISOを上げたほうが有利です。なのでダイナミックレンジを極端に損なわない範囲でISOを上げたいのですが、CBPがない場合は6Dだと露光時間を分の単位でとろうとするとISO800くらいが最大です。リードノイズを減らすために5分もしくは3分と露光したかったのですが、CBPをつけても3分でISO1600が最大取れるくらいでした。この状態でヒストグラムのピーク値が半分近くまで達していたので、ISO3200は現実的ではありません。背景光の大きさにもよりますが、自宅での低い空では街明かりの影響がどうしても大きく出てしまいます。


たかだか135mmにオートガイド?

今回は撮影途中で寝る予定だったので、ちょっと大袈裟ですがオートガイドをすることにしました。FMA135は小さいのでほぼカメラレンズです。なので6D側を赤道儀に固定するのですが、ガイド鏡をどうつけるのかかなり迷いました。ガイド鏡はプレートの長手方向に平行につけますが、6DはL字プレートを取り付けてあるためプレートの長手方向と垂直に取り付けるためです。写真を見てもらえばわかると思いますが、今回かなり変則的な取り付けかたをしました。鏡筒とガイド鏡の向きを直交させているのです。
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もしかしたら鏡筒とガイド鏡は平行にしないとダメと思っている方もいるかもしれませんが、原理的には全然そんなことはありません。今回の場合、南天するまでは鏡筒が南東から南の低い空の方向を向き、ガイド鏡は北東の高い空から天頂少し北の方向までを向きます。なので、ガイドとしてはよりよく動く領域で合わせることができるので実は精度が良くなるなずです。これは例えば北極星近くの天体を撮影する場合に、その方向でガイドするのか、それとは垂直に真東から昇り真西に沈む星を見ながらガイドをするのか、どちらが精度がいいか考えればすぐにわかると思います。

さすがに直角に置くのは初めてでしたが、撮影を始めても想定通りガイドもうまくいっています。

ところがです、これいいアイデアだと思っていたのですが、南天して赤道儀を反転させた時に決定的な欠点が露呈しました。ガイド鏡の向きが地平線の下に沈んでいるのです。

仕方ないので、ガイド鏡とカメラの位置を入れ替え、再び北東方向を向くようにしました。でもこれもまたトラップがあったのです。オートガイドを始めると、途端に揺れが増大して発振し始めました。それもそのはず、PHD2はガイド鏡の向きが変わったなんて知らないので、フィードバックしていいと思った方向は全く逆の方向になり、発散してしまうのです。そのためキャリブレーションをやり直したのはいうまでもありません。

このことから一つ推測できることがあります。Twitterでj_evil_clef 2さんが「最近際キャリブレーションしなくてもそのままガイドできるのが不思議だ」とかつぶやいていたのですが、赤道儀を反転させても普通はキャリブレーションし直さなくても大丈夫なように、PHD2が赤道儀の向いている方向の情報を取得していて、方向によってキャリブレーションのパラメータを変えていると思われるということです。まあ、PHD2は赤道儀を操作するくらいですから、使える情報は使うというのは至極真っ当なやり方だと思うので、キャリブレーションに関してはかなり柔軟に対応できるように考慮しているのでしょう。


ゴースト?

撮影の段階でわかったことですが、ゴーストのような変な赤い銀河の形のようなものが出てしまいました。左上の方です。

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ところがこの輝点、赤道儀を反転させると位置が変わって真ん中にきてしまいました。
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反転以外では、撮影中は「ほぼ」同じ位置にいたので、何か光学系の反射が原因かと思われます。「ほぼ」と書いたのは、ディザーすると周りの星の位置はズレても、輝点の位置だけはズレないのです。いや、正確にいうとズレます。でも恒星のズレ方とは別方向に動き、動きの量もディザーの量より少ないです。とすると、やっぱり光源恒星で、明るさから言ってアンタレスなのでしょうか?

実はカリフォルニア星雲の時も似たようなものが出たのですが、こちらもいまいち原因がわからないです。

 
一番明るい恒星の左にあるやつです。このときはCBPを付けていないと思い込んでいたら、結局CBPを付けっぱなしで撮影していたことに後から気づきました。なのでCBPが原因かと一瞬思ったのですが、後日CBPも付けたままのほぼ同じ構成でISOだけ4倍の3200にして撮影し直した時には、そんなゴーストは出ませんでした。なのでCBPが原因とは限らないです。
 

原因は不明なのでそのまま残しても良かったのですが、さすがに目立つので画像処理でごまかしました。


Windowsアップデート!?

今回の撮影は結構な広角なのと、低い空で、地面近くの木とかが視野に入ってしまうため、ある程度高度が上がる22時半頃からの撮影となりました。次の日仕事で早いのですが、0時過ぎまで起きていて南天前でしたが、強制的に赤道儀を反転させてから、先に書いたガイド鏡の向きを変え際キャリブレーションして、問題なく撮影が再開できることを確認してから寝ることにしました。

朝5時頃に目を覚まし片付けたのですが、確認してみると何故か午前2時半頃で撮影が終わってしまっています。しかもWindowsが再起動されたみたいです。後で調べたらなんとWindowsアップデートがぁーーっ!そういえば今回2台目のStickPCで夜の時間帯のアップデートを禁止にしておくのを忘れてました...。

でもさらに調べたら、午前2時位から南西方向にある高い木が視野に写ってしまっていたので、どうせダメだったということで納得しました。


光害地の淡い天体は画像処理が大変

画像処理は結構大変でした。いつものようにPixInsightのWBPP、ストレッチまでしてあとはPhotoshopに渡します。トータル2時間45分ですが、口径わずか3cmのF4.5なのでやはり光量は十分とは言えないようです。

焦点距離135mmとかだとカメラレンズでもっと明るいのがあります。例えばシグマのArtシリーズなら135mm F1.8というのがあります。もしこのレンズを使った場合は(4.5/1.8)^2 = 5.25倍の明るさということになります。今回の2時間が45分はF1.8だと約30分露光したのと同じということになります。なので青い馬とかうまく出るか心配でしたが、少なくとも写ってはいて、相当強調すれば見えることはわかりました。結果を示します。

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  • 撮影日: 2021年日5月9日22時37分-5月10日2時7分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: FMA135
  • フィルター: CBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: : f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS, ISO1600, 露光時間: 180秒 x 52枚 = 2時間36分、dark: ISO1600, 180秒x67枚、flat: ISO1600, 1/50秒x128枚、flatdark: ISO1600, 1/50秒x128枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

ただし、青もそうなのですが、黄色も、赤の淡いところもどうしてもノイジーになってしまい、画像処理の方に負担がいってしまうことは避けられませんでした。CBPをつけてあっても住宅街の光害地で背景光からくるノイズが、それに拍車をかけます。

あと、CBPのせいかと思いますが、青がどうしても水色っぽく出てしまうようです。CBPの青側透過範囲が360-410,460-530nmと結構広いのですが、カラフルタウンの特徴の真っ青に近い青は450nmを切るくらいでちょうどカットされているためかと思います。そのため、少し色の調整をして見かけ上真っ青に近くなるように色をいじっています。黄色と赤もイメージとは違っていたので少しいじってますが、こちらは青よりは素直に出ていると思いました。色をいじることには賛否あるかと思いますが、そもそもCBPなどの一部の波長のみを拾ってくるフィルターの色バランスは合っていないと考える方が普通なので、色バランスを取ろうと思うときはどうにかいじるしかなく、ある意味宿命かと思っています。

あと、画像処理の途中で、前回の白鳥座を撮影したときに出た円形の段差はでないことを確認しました。なので、アメリカンサイズのフィルターを取り付けたせいだと思っていいでしょう。今回は48mmのCBPにしたために、変に絞られるようなことがなかっためだと思います。

この画像処理ですが、まだ少し不満なところもあるので、時間のある時にもう少し処理しなおしたいと思っています。これから梅雨時なので、ネタもなくなりちょうど良いかもしれません。あ、ポチリヌス菌防止にもなるかもしれませんね。


まとめ

今回の挑戦は、ある意味これまでの集大成です。やっと自宅での撮影で念願だったアンタレス付近のカラフルタウンを撮影することができました。

そもそも自宅から南の低い空の淡い領域の赤以外の色を出すのはものすごく難しいと覚悟していたので、この点についてはかなり満足しています。ただ、やはり光量不足なところは否めなくて、露光時間をさらに伸ばすか、明るい光学系で撮影することでいつかもう一度挑戦したいと思います。

FMA135ですが、星像テスト電視観望デネブからサドルの撮影、アンタレス付近の撮影と試してきましたが、今回でテストは終了にしたいと思います。この他にもちょっと高級なガイド鏡として使うのも良いかもしれません。

Askarブランドの機材は初めて使いましたが、今回試した一番小さなものでさえも噂通りかなり気合が入ったもので、持っていて嬉しくなるような作り込みだと思います。SIGHTORN様、非常に面白い機材を試させていただき、本当にありがとうございました。

ゴールデンウィークの最後の方、5月3日の夜中(実際には0時を回っているので5月4日)、Askar  FMA135で白鳥座の辺りを撮影してみました。 QBPをつけての自宅の庭撮りです。


FMA135の一連のテスト

この日は本当はM57を狙おうと思っていて、VISACで色々やっていたのですが、シーイングがあまりに悪くて断念。その時点で午前2時過ぎです。 貴重な晴れの日なので、あと少しなにかできないかと思いつつ、ちょうど白鳥座がもう上がってきているので、FMA135を試してみようと考えました。

FMA135は先日星像がどの程度なのか見るために、ファーストライトで試し撮りています。


APS-Cだとほぼ完璧に点像でしたが、フルサイズだと周辺減光もあり星像も4方向に流れてしまいます。でも星像も周辺減光も、そこまで酷いことはなかったので、やはりここはフルサイズのEOS 6Dでの撮影としました。

その後、FMA135で電視観望も試していますので、興味がある方はこちらもご覧ください。


今回の撮影のターゲットは白鳥座のデネブからサドルにかけて。135mmの焦点距離は結構な広角になるので、広い範囲でHα領域が広がる白鳥座付近は絶好のターゲットです。


セットアップ

撮影の準備でフィルターをどうしようか考えているときに、面白いことに気づきました。FMA135はアメリカンサイズのフィルターなら先端に直接取り付けることができるのです。FMA135には金属のキャップが付いているのですが、これが2段の蓋のような変な形をしているのです。試しに出っ張っている蓋を回して外し、その代わりにアメリカンサイズのフィルターをはめてみると、ぴったりハマります。今回はHα領域なので、QBP(Quad BandPass)フィルターのアメリカンサイズを取り付けることにしました。

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赤道儀からVISACを外し、6Dをそのまま載せます。ところが、いくつか問題が出てきました。カメラを赤道儀に縦長に固定したかったのですが、BackYardEOSを使うために6DにUSBケーブルを繋ぐと、コネクタが どうしても下のクランプに当たってしまうのです。結局カメラの固定はクランプの一部だけを利用してもう仮止め状態です。ちょっとぐらぐらしますが、風があまり吹いてないのでなんとかなるでしょう。

こんなことをしていたら、もう午前3時前。このときかなり焦っていてピントを合わせ損いました。画角を決めて「から」ピントをデネブで合わせてしまったのです。デネブが画面中央にあればよかったのですが、結構端の方にあります。星像が全面で点像ならそれでもよかったのですが、フルサイズだと収差で星が流れてしまうために、そこでピントを合わせたら当然中央ではズレてしまいます。デネブを中央に持ってきて、ピントを合わせてから画角を決めなければならなかったのです。このことは撮影後のチェッックで気づいたので、もう諦めてそのまま仕上げるしかありませんでした。

ISO3200で3分露光に設定し、撮影を始めたのは午前3時。薄明が4時前なので、もう1時間もありません。撮影を始めてから家の中で少しうとうとしてしまい、目が覚めた午前4時過ぎに外に出たらもう明るくなりはじめていました。そのまま片付けて、4時20分にはもうベッドの中。自宅撮影はここが楽なところです。

後で見たらやはり撮影途中から明るくなっていて、実際に使えたのは19枚でトータル57分、1時間に満たないくらいでした。撮って出しJPEGを載せておきます。周辺減光の様子とかが分かるかと思います。
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フラットは後日昼間の障子越しの光を写して64枚撮影、フラットダークはそのままキャップを閉じて64枚撮影、ダークは以前撮影したものを9枚だけ使い回しです。ただしダークはライトフレームと同じ180秒ではなく90秒のものを使い、PIで最適化オプションをつけています。6Dのダークノイズはあまり変な振る舞いをしないので、多分大丈夫でしょう。

ちょっと話がそれますが、ここら辺がいまだに6Dをメインで使い続けている理由です。とにかくいろんな面において素直だと思います。しかもフルサイズで、素子サイズが6.3μmもあり高感度で、かつ天体改造済みで十数万と安価。唯一の不満は冷却でないことですが、手軽さを考えたら冷却なしで全然構いません。

さてこれで画像処理を進めます。スタックとストレッチ処理はPixInsight (PI)を主に使いますが、露光時間が短いのでどうしても荒れてしまいます。

途中、一つ大きな欠点が見つかりました。日の丸よりもう少し大きな位の明るさの段差が見えるのです。
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わかりますでしょうか?

この画像は、フラットやダークの補正後、スタックした直後にオートストレッチしただけのものです。このリング、多分リアルだと思いますがいまいち確証がありません。というのも、右側は中心が暗く、外が明るいのに、左側は外側が暗く、中が明るいのです。しかもここで見えるなら、フラット画像とか出ていてもおかしくありませんが、フラット画像をABEなどで平らにしてよく見てもそのような段差は見えません。これがFMA135本体のせいなのか、QBPフィルターを取り付けたせいなのか、もしくは処理の過程で出てきたのかは不明なので、今後確認する必要があります。いずれにせよ、この程度なら画像処理でなんとかなるレベルです。

あと、センサー面のゴミがやっぱりまだ残っています。前回クリーニングしたのですが、それとは別の位置にさらにゴミがついたようです。しかも撮影中に移動しています。なんとかしなくてはダメですね。

気づいたことはこれくらいです。PIでストレッチまで終わっているので、あとはいつものようにPhotoshopに渡します。結果は以下のようになりました。

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  • 撮影日: 2021年日5月4日2時35分-3時48分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: FMA135
  • フィルター: QBP
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ:  Canon EOS 6D HKIR改造
  • ガイド: なし
  • 撮影: BackYard EOS, ISO3200, 露光時間: 180秒 x 19枚 = 57分、dark: ISO3200, 90秒x9枚、flat: ISO3200, 1/1250秒x64枚、flatdark: ISO3200, 1/1250秒x64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

まあ、なんとか見えるくらいにはなりましたでしょうか。4隅の流れは確かにありますが、周辺減光は画像処理で気にならないくらいにはなります。今回ピントの合わせ方がまずかったので、中心より少し上くらいでピントがでしまっています。それを除けば、拡大してみない限りフルサイズでも十分に絵になると思います。

135mmの短焦点が実売4万でここまで実用なら、十分に面白いと思います。忘れてるかもしれませんが、これ口径わずか3cmの鏡筒です。焦点距離が短いためにF4.5とそこまで暗くはないので、撮影しても淡い天体も十分に出るのかと思います。今回の出来上がりを見ると、さすがにもう少し露光時間が欲しいところです。


まとめ

FMA135で写したデネブ からサドルにかけて、私の腕が未熟なために色々見苦しいところがありましたが、それらも含めて今一度リベンジしたいと思っています。触ってみるとわかりますが、かなり楽しい鏡筒です。色々試したくなってしまいます。

次回フィルターをつけるかどうか迷っていますが、もしQBPかCBPをつけるとしたら、手持ちの大きいM48サイズのQBPかCBPにするつもりです。Twitter上の情報ですが、hiroooo000さんによると、M36からM48に変換する変換するリングがあれば、M48サイズのフィルターを取り付けられるみたいです。



さらに、その後ブラックパンダさんから、専用のリングを設計中との報告が!


まだ時間はかかるみたいですが、なんかFMA135盛り上がるような気がします。

ちょうど新月期ですが、天気がいまいちっぽいです。できればアンタレス 付近を狙いたいのですが、今晩晴れてくれるかどうか?

前回の記事のFMA135のファーストライトで、星像テストのことを書きました。



そのテストのあと、せっかく晴れの時間があるので何か試そうと電視観望をすることにしました。いや、どうせ月が煌々と輝いていて撮影などは無理なので、多少の光害に負けない電視観望くらいが楽しいのかと。


セットアップ

カメラはせっかくなので同じSIGHTRONさん提供のPlayer OneのNeptune-C IIとします。同じ入門クラスのASI224MC(IMX224、1/3インチ)やSV305-SJ(IMX290、1/2.8インチ)よりは1/1.8インチのIMX464を使っているNeptune-C IIの方が多少センサー面積が広いので、導入もしやすくなるはずです。それでもセンサー面積はそこまで大きいわけではないので、今回のような135mmという焦点距離の短さは広い視野を得ることができるため、ぴったりなのではと思います。

今回はFMA135の箱の中にある、アイピース取り付けアダプター(下の写真の左の部品)を使って、CMOSカメラ(Neptune-C II)を取り付けます。

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さらに右の赤い足ですがファインダーベース規格になっているのでしょうか、少し汎用性がないので下にアルカスイス互換のプレートをつけてやります。

カメラを取り付けたのが下の写真になります。足が赤色でカメラと同じ色なのもポイントですね。足の下の黒い板が、アルカスイス互換プレートになります。また、カメラにはQBPとUV/IRカットフィルターをつけています。月明かりなのでQBPがあった方がいいでしょう。

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これらをAZ-GTiに載せたいのですが、AZ-GTiへの取り付けはVIxen規格のアリミゾなので、私はVIxen規格のアリミゾとアルカスイス互換のクランプをねじ止めしたようなアダプターを作って使っています。

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これらを組み合わせてAZ-GTiに載せます。

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外に出す際の接続ですが、
  1. カメラを適当なWindowsマシン(Stick PCやノートPCなど)に繋ぎ、そのPCをカメラの近くに置きます。
  2. このWindowsを自宅Wi-Fiにつなぎます。
  3. 家の中では別のPC(Mac)から外のWindowsにRemote desktopで接続します。
  4. AZ-GTiはステーションモードで自宅Wi-Fiに繋ぎます。
  5. 外のWindows PCでSynScan Proを走らせ、ここからAZ-GTiをコントロールします。
というようになっています。実はこの日すごい風で、ビュービュー音が聞こえるくらいでした。そんな状況でも家の中から気楽に見えるこの接続方法は、かなり快適です。
  • 必要なケーブルはカメラと外のPCを繋ぐUSB3.0ケーブル1本です。USB3.0は長さが3mという制限があるので、カメラとPCはあまり遠くには離せません。
  • AZ-GTiのステーションモードの設定がいまいちうまくいかないことがあるのですが、そんな時は5GHzのSSIDに繋がってないか疑ってみてください。AZ-GTiは2.4GHzのネットワークのみ対応しています。
  • もし設定途中間違えるなどしてどうしてもAZ-GTiに接続とかできなくなってしまったら、電源を入れっぱなしにして1時間待って見てください。ネットワーク設定がリセットされます。


電視観望開始!

早速いつものように見てみましょう。と言っても時間は既に午前3時、すっかり夏の星座がのぼってきています。なのでまずは比較的輝度が高く、見やすいこぎつね座のM27、亜鈴状星雲を見てみます。

M27_01

うん、綺麗に見えてますね。ゲイン450/650、3.2秒露光で、27枚スタックです。トータル1分半くらいでこれくらいです。

口径わずか3cmの鏡筒ですが、Player OneのCMOSカメラNeptune-C IIとのコンビで十分に電視観望楽しむことができそうです。ちなみにNeptune-C IIのゲイン650まで出せます。650とは65dBのことなので、倍率で言うと2000倍近くになります。私が持っているカメラの中で最高のゲインはASI224MCの600です。ノイズが大きいとゲインもあげにくいので、おそらく回路的にもかなり低ノイズで自信があるのでしょう。ここらへんは後発の有利さがあるのですかね。

あ、ちなみに上の写真ですが、オプションをよくみるとわかってしまうのですが、スタックはしていますが、星を認識してのアラインメントはしていません。単純にオンにするのを忘れてただけです。それでもそこまでずれてないのでAZ-GTiも結構きちんと働いてくれるのがよくわかります。

で、次のこと座のM57、惑星状星雲です。

M57_01

こちらは星がずれていってしまってますね。ここでアラインメントされていないことに気づきました。え?なんでM27の時はずれてないのに、突然M57でずれたのかって?それはM57をかなり拡大しているからです。実際の全画角を見てみると

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M57どこにあるかわかりますか?真ん中の少しだけ左です。M57ってこんなに小さいんですね。

次は北アメリカ星雲です。6.4秒露光の22枚で、合計2分20秒の露光です。そういえばこの時でしょうか、ライブスタックしてアラインメントしてるにもかかわらず、6.4秒の中で星がずれてくのですケーブルでも引っ掛かったかと思って外に出ると、一瞬で何が問題かわかりました。風がすごいのです。もう、ビュービューゴーゴーいってます。それでもまだ近くに置いてあるテーブルとノートPCが吹っ飛んでいくレベルではないので続行です。
NorthAmerica_01

今回は月が明るいので、SIGHTRONのQuad BadPass フィルター、通称QBPをNeptune-C IIにつけています。4つの輝線を通すフィルターですが、光害防止フィルターとしても非常に有効で、このように赤いHα成分をコントラスト良く出してくれます。

次はすぐお隣のペリカン星雲です。
Prican_01

うーん、ちょっとコントラストが低いですかね。

それもそのはず、この日はまだ大きな月が輝いています。このあとすぐにM8干潟星雲を導入したら、画面が真っ白になって、何を触っても画面もヒストグラムも動かなくなってしまいました。ちょっと寒かったので自宅からリモートで電視観望をしていたのですが、外に出てやっとわかりました。FMA135がほぼ月の方向を向いています。

気を取り直して露光時間を12.5ミリ秒、ゲインを0(先ほどのゲインの200分の1くらい、露光時間が6.4秒から12.5ミリ秒なので、500分の1くらい、合わせて10万分の1にしています)にまで持っていって、やっと月の姿を確認することができました。
moon_01

月と星雲は10万倍くらいの明るさの差があるということですね。電視観望はこんなふうに明るさの違いも数字ですぐに考えることができます。

流石に月のすぐ周りの星雲は見ることができないので、天の川中心は惜しいのですが再び北の方に戻ります。次に見たのが、うっすらとですが網状星雲。
naive_01

続いて三日月星雲。
cre+01
くどいようですが、口径3cmの鏡筒に入門用のCMOSカメラ、しかも月がかなり明るい時です。こんなものまで簡単に見えてしまいます。

今一度、M27に帰ってきました。今度はアラインメントもきちんとされてます。少し拡大しています。
M27_03

最初にあまり見えなかったM57です。今度はきちんと止まってますね。こちらも拡大しています。FMA135の解像度ではさすがにこれくらいの拡大が限界です。それでも恒星が肥大してないのは、レンズ系が相当優秀なのでしょう。
M57_03

最後ヘルクレス座の球状星団M13です。
M13

でもなんか見てて、あれ?こんなに淡かった?と不思議でした。それもそのはず、既にこのとき午前4時を過ぎていて、外に出たら既に薄明が始まって明るくなっていました。さすがにそれでは映るものも映らないはずです。それでもここまで見えるのだから、まあ大したものかと。

あらためて画像の時刻を見てみたら午前3時10分から初めて、午前4時5分頃に終わっていました。約1時間のコースでしたが、駆け足でここまで見えるのなら十分ではないでしょうか!


まとめ

いかがでしたでしょうか?

口径わずか3cmでここまで見えるとは、驚きではないでしょうか?

とにかく、口径3cmで多少暗いかと心配していたのですが、電視観望でも実用上全く問題にならないですね。さらにこれだけコンパクトなシステムとなってくると、今度はAZ-GTiさえ大きく感じてしまうくらいです。もっとまとまらないかなあとか考えてしまいます。Neptune-CIIも十分な感度があり、組み合わせ的にもちょうど良い感じでした。

FMA135ですがレンズ性能が良いため、拡大してもシャープで小さな星雲をみるのにもあまり不利にならないことも特筆すべきかと思います。このくらいの短焦点距離で収差を小さくするのはなかなか大変で、高価な高級レンズ以外では普通は恒星が滲んでしまうのですが、これだけピシッと見せてくれるのはさすがです。

うーん、この鏡筒(小さすぎてやはり鏡筒というのに気が引けます)かなり面白いです。ガイド鏡としても超優秀そうな予感がします。実際の撮影でどこまで出るのか興味津々です。頼んで試用させてもらった甲斐がありそうです。


さてさて、今日は連休2日目の日曜、朝からコメダ珈琲でこのブログを書きながら、3時間も長居してしまいました。コメダは気兼ねなく長居できるから良いですね。今日はずっと雨。コロナと月が明るいので、なかなか遠征する気にもならず。まあ、家でのんびり過ごしますかね。


Player Oneの評価もそこそこに、何と今度はFMA135の試用をSIGHTRONさんから頼まれました。


Askarの新製品FMA135



ひと月ほど前にCP+の配信のことをシュミットの店長さんと電話で話していたときです。その際にAskarのことが話題になりました。なんでもFMA135が日本でも販売されそうだということを聞いて、私の方からよかったら是非試させて欲しいと頼んだような運びです。

そもそもFMA135とは、最近注目のAskar社が出した焦点距離135mm、口径30mmの非常に小さな鏡筒です。あのAskar社が出すということで、レンズも相当気を使っていて、1枚のEDレンズを含む対物3枚玉にさらに3枚玉フラットナーをつけてあるので、収差を抑えかなりシャープな星像が期待できるようです。

新製品ということですが、日本に到着してすぐに送ってくれたみたいで、4月24日に自宅に届きました。でも到着後、なかなか天気の良い日がなくて、やっと昨晩の夜中くらいに雲が結構晴れてきてファーストライトとなりました。


早速開封

到着後すぐに箱を開けて中身を取り出してみましたが、中には3つに別れたパーツが入っていました。

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真ん中が本体、左がアメリカンサイズの差込口になってここにCMOSカメラやアイピースを取り付けることができます。右の赤いのが足になり、本体にスポッとはめて取り付けることができます。

本体は小さくてとてもコンパクトです。コンパクトにもかかわらず、非常にしっかりとした作りになっています。前後には金属のねじ込み式の、かなりしっかりした蓋がついています。ふたは意外に重要だったりするので、こういった細かい所も作り込んでくるAskarの姿勢は、非常に好感が持てます。

アイピース取り付けアダプターもかなり肉厚にできていて、カメラなどのたわみもほとんど出ないと思われます。


FMA135を試したかった理由

そもそもこの鏡筒(と言っていいのかというくらい小さいのですが)を試したかったのは、焦点距離200mm以下のきちんとした鏡筒というのはなかなかないからです。200mm以下となるとカメラレンズが主となってきます。でもカメラレンズで周辺まで星が点像で写るものはかなり高価になります。しかもオートフォーカスなども付いていて高機能なのですが、星を撮影する分にはそういった機能のほとんどは必要ありません。一方このFMA135は4万円程度とかなり安価な部類になり、これで星雲など撮影できるならかなり魅力的な鏡筒になるかなと思ったからです。安価な分口径わずか30mm、それでもF4なのですが、最近の明るい高級レンズと比べると、少し暗いことは否めません。まあそこは撮影時間を稼ぐことでなんとかなるのかと思います。

ちなみにメーカー推奨はAPS-Cなのですが、せっかくの短焦点鏡筒なので、フルサイズだとどれくらいの撮像になるのか、興味があるので今回はEOS 6Dで試してみました。


一眼レフカメラと接続

6Dを含めて、一眼レフカメラとの接続は一般のT2アダプターを使います。FMA135の本体にはT2ネジが切ってあるので、そこに各社の一眼レフカメラ用のT2アダプターを持ってくれば、そのまま接続できます。

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カメラにFMA135を実際に繋いでみると、そのコンパクトさが強調されます。三脚への固定ですが、FMA135自身がかなり軽いので普通のカメラレンズと思ってしまって、カメラ本体側で三脚に固定すれば十分です。私の場合、アルカスイス互換のL字プレートをカメラ本体に取り付けてあるので、今回はそれを使って普通に三脚に取り付けました。


ファーストライト

いよいよファーストライトです。外に出てみると、まだ少し雲が残っていましたが、できるだけ雲のないところを選びます。ピント合わせはFMA135本体で行います。私は6Dでのピント出しは、カメラ側のモニターをオンにして、明るい星を選び、できるだけ拡大して映して、それが最小形になるように調整します。FMA135の場合レンズ部がヘリコイド式になっているので、回転させてレンズを伸び縮みさせます。ピント固定ネジが付いているのですが、これが結構小さくて暗い中だと苦労しました。天体撮影だと一度ピントを決めたらあまりいじらないので、もう少し固定しやすくなっててもいいかと思いました。

さて、ピントもあって、画角も決まったので、露光時間とISOを変えて何枚か撮影しますが、固定三脚だと10秒でも星が流れてしまうことがわかったので、ここで赤道儀に載せ換えます。玄関に置いてあったAdvanced VXをそのまま庭に出しただけですが、今回は極軸も取らずに、ドンとだいたい北に向けて置いただけです。こんな適当な置き方でも、固定三脚に置くより遥かにズレが少なくなりますが、ここらへんの詳しいことに興味がある方はこのページを読んでみてください。


撮影結果と星像

これで何枚か撮影した中で、露光10秒、ISO3200で撮ったときの撮って出しJPEGが適度な明るさで星が見えていました。真ん中らへんにゴミがあるのは無視してください。

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この周辺の拡大図は以下のようになります。

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内側の青の枠がAPS-Cに相当し、外側のオレンジ色の枠がフルサイズに相当します。各マスは100x100ピクセルを切り出しています。こうやって見ると、やはりメーカーの言う通りAPS-Cは十分に点像を保っています。一方フルサイズの周辺になってくると少し星像が各方向に伸びていってしまっているのがわかります。と言っても、あくまで拡大しての話で、一般の同等な焦点距離のカメラレンズと比べても全然遜色なく、全体でみている限り四隅もそこまで気になるほどでありません。むしろ折角の短焦点鏡筒の特徴を生かして、フルサイズで広い範囲を取る方向の方が面白い気がします。


周辺減光

一方周辺減光ですが、iPhoneにColorScreenというソフトを用いてホワイト画像(実際には輝度128/256のグレー画像)を出してやり、それをFMA135と6Dでフルサイズで撮影することで評価してみました。撮影はISO100、1/400秒です。その時の撮って出しJPEG画像と等高線図が以下のようになります。

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IMG_4006_contourPlot

等高線はPixInsightのScriptを使いました。この時の等高線の最も明るいところが0.519、最も暗いところが0.328となるので、フルサイズだと中心に比べて最周辺は0.328/0.519 = 63.2%になるので、やはりそこそこ光量は落ちてしまいます。

ちなみにAPS-Cサイズ相当の位置の最終篇の明るさが0.494程度となるので、APS-Cだと中心に比べて最周辺は0.494/0.519 = 95.2%になり、ほとんど金にならない程度になります。

こうやって星像の流れと周辺減光を見てみると、メーカーがAPS-Cまでと言っているのがわかる気がします。逆にいうと、どれくらい星がずれるか、どれくらい周辺が暗くなるかをきちんとできたので、それが問題にならない範囲で自己責任で使う分には、結構魅力的だと思います。

ちなみにFMA135で月を撮ってみましたが、フルサイズだと月がこれくらいのサイズになります。これも撮って出しJPEGなので、大きさを確認するくらいを参考にしてください。

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まとめ

さて、FMA135のファーストライトを駆け足で紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。今後撮影も実際にしていきたいと思いますが、撮りたい領域が夜中以降に出てくるので、新月期近くになるまで少し待たなければならないかもしれません。

その代わりと言ってはなんですが、今回のファーストライトの後にFMA135とNeptune-C IIで電視観望を試してみました。実は電視観望用にはFMA135をあまり使おうと思っていなかったのですが、超コンパクトシステムになりかなり面白いです。電視観望については、また次回以降の記事(2021/5/2追記: まとめました)にまとめたいと思います。



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