シュミットさんから4月13日に新しいカメラメーカー「Player One」から5機種のCMOSカメラが発売されました。
CP+のSIGHTRONブースでの電視観望配信の反応が良かったのか、なんとPlayer OneのCMOSカメラのフラッグシップモデル「Neptune-C II」の評価を頼まれてしまいました !! こうやって信頼していただけることは、ユーザーとしては素直に嬉しいです。
さてさて、到着を楽しみに待っていると、先週4月13日の火曜日、仕事から帰るとSIGHTRONから荷物が届いていました。早速中身を開けてみると、カメラ本体、UV/IRカットフィルター(この時期だけサービス付属みたいです)、日本語マニュアル、そして「電視観望実践ガイドブック」が入っています。
私はまずカメラ本体よりも、電視観望の冊子の方に目がいってしまいました。
これはすごい。一気に読んで、思わず唸ってしまいました。全48ページ(表紙なども入れると全52ページ)のカラー版で、スタッフの電視観望を試してみて欲しい、ユーザーにできるだけ簡単に見て欲しい、楽しんで欲しいという思いが溢れ出ています。この日だけで3回くらい読み返してしまいました。
私もこのブログで電視観望を一般化すべく、ずっと記事を書いてきました。でもその内容はあちこちに散乱してしまっています。それが一冊にコンパクトにまとまっています。しかも私が言いたかったことがほぼ全て含まれています。その上、初心者が陥りやすいところとか、このブログで書いてきたこと以上に親切に書かれています。
実はこの冊子の最後に、協力者として私、Samの名前が出ています。でも実際は具体的に何か協力したというわけではなくて、おそらくCP+の配信のことを冊子の中で触れていたので、それを協力とわざわざ載せてくれたのかと思います。なので話だけは聞いていましたが、実際はこの冊子を受け取って初めて中身を見たわけです。
おそらくこの冊子を書いたSIGHTRONのスタッフさんは、自分で電視観望を相当試してから冊子を書いているのかと思います。SharpCapを電視観望で使うときの説明が主体となっていますが、おそらく自分で分かりにくいと実感したことなど、かなりうまく説明してくれています。多分ですが、この「ほしぞloveログ」も参考にしてくれていると思います。こんな冊子を出してくれたことをとても嬉しく思います。
私の名前も載っていたので、妻に「すごいでしょう!」と自慢げにこの冊子を見せたら「これだったら読んでみる気がする。パパのは難しい式とか書いてあってよくわかんない。たくさんありすぎてどこを読めばいいかわからないから、こっちのほうが全然いい。」とのこと...。初心者の方には多分バイブルクラスの冊子になるかと思います。
カメラが到着してからしばらく天気が良くなかったのですが、4月19日にやっと快晴となり試すことができました。
カメラのケースを開けてみます。
カメラはスケアリング調整のために、前面に押し引きネジがついています。
おもしろいのは付属品で、このスケアリング調整用に4本の六角レンチが専用でついています。
さらに、ブロアーが付属しています。このブロアー、大きくなくコンパクトなのに、空気吸い込み口と吐き出し口が金属でできていて、吐き出し口の径が小さいのか、大きさの割にかなり圧が強いです。これはお気に入りのブロアーになりそうです。
せっかく冊子で電視観望を勧めてくれているので、やはり電視観望から始めたいと思います。月が少し出ていますが、電視観望なら星雲まで見えると思うので、あまり気にしなくていいでしょう。
セットアップは、CP+の配信の時と同じで、EVOGUIDE 50EDとAZ-GTiを使います。カメラをNeptune-C IIにして、EOGUIDEに取り付けます。
USB3.0ケーブルをカメラに取り付けます。カメラを水平に設置した場合、ケーブルは横からつける形になります。
セットアップは日本語マニュアルに全て書いてあって、困ることはないと思いますが、どんな感じか簡単に書いておきます。
カメラをPCに接続する前に、ドライバーをインストールしておきましょう。ドライバーはPlayer Oneのホームページの「Service」->「Software Downloads」からダウンロードできます。
ドライバーは一番上の「Camera Driver」になります。ダウンロードできたら解凍して、インストールします。
ドライバーインストール後、カメラを繋いで、SharpCapを立ち上げます。SharpCapは4.0以降を使ってください。メニューのCameraでPlayer Oneのカメラが出てきたら成功です。
早速カメラを選択して、AZ-GTiで適当な天体を導入してみましょう。いよいよファーストライトです。この日は月が出ているので、まずは月を導入してみます。
EVOGUIDEの焦点距離242mmで1/1.8インチのIMX464センサーので、月がこのサイズになります。ピントが合っていなかったらここで合わせておきます。ピントを合わせると、かなりシャープに見えます。
よく見ると、ちょうど月面Xが写ってました。
地球照なんかも見えます。
家族、友人なんかと一緒に見ることもできるので、月を見るだけでもいろいろ楽しいですね。
さて、次はいよいよ星雲です。この時期でも、早い時間ならまだ西の低空にオリオン座が見えます。沈んでしまう前に、M42オリオン大星雲を導入して見ましょう。まずはライブスタックなしの1.6秒ワンショットです。
ここで確認したいことは、変なノイズが出ていないかです。少なくとも見ている限り、縞ノイズのようなものは見えません。新しいメーカーで少し心配でしたが、素直な画質でかなりいいと思います。
次に、ライブスタックしてみます。
トラペジウムも見えて、かなりいい感じです。この時高度は西の空で15度くらい。月もそう遠くないところにあるので、相当悪い状況ですが、ここらへんまでは簡単に写ります。カブリがあるように見えるのは、西の空の状況が悪いのを表しています。
最初アラインメントがうまくいかずスタックされずに何枚かドロップされて(捨てられて)いましたが、Alignmentタブの「Reduce Noise」の値を少しあげたら、それ以降ドロップはなくなりました。
月があるのと、西向きは光害がひどいので、ここでQBPを入れてみます。
カブリの影響が少なくなるのと、コントラストが良くなります。
次に淡い馬頭星雲を見て見ましょう。
さすがにこの高度だと厳しそうです。馬頭星雲は来シーズンでしょうか。
一応薔薇星雲も見てみます。
なんとか見えるくらいでしょうか?これも高度25度とやはり低い西の空です。月もさらに近くなるので、まあこれくらいでしょう。
春は星雲が少ないので、少し高度の高いところを狙って、マルカリアンの鎖を見てみます。
十分見えますね。ただ、右下にアンプグローが見えるのと、いくつかライブスタックによるホットピクセルの軌跡が見えます。ホットピクセルの数はかなり少ない方でしょう。アンプグロー、ホットピクセルいずれも、ダーク補正をすればほとんど目立たなくなります。
SharpCapでダークファイルを撮影し、リアルタイムで補正したのが以下のものです。
アンプグローは全くわからないくらいになり、ホットピクセルは1-2個残っていますが、相当改善されるのがわかると思います。端の黒い部分は、AZ-GTiが経緯台のために、長時間のライブスタックで視野が回転してしまった結果です。
アノテーションもできるかな?と思ったら、すんなりいきました。
最後は球状星団で、M5です。
この時期はあまり派手な天体が少ないのでこれくらいです。これから夏に向かって色も綺麗な星雲がたくさん見えてきます。今から電視観望の準備をしておくのもいいのかもしれません。
ここまで見てる限り、画像に関しては電視観望レベルではほとんど不満はありません。SharpCapでの操作性もかなりこなれています。
ただ一点、惜しむらくはホワイトバランスのRGBの調整で、カーソルやマウスクリックで左右に動かすと一気に500とか移動するので、実質数値を入れてしか調整できません。なのでここで調整するより、ライブスタックのところのカラーバランスで揃えてしまいがちになります。
Player Oneはカメラメーカーとしては新しいところなのかと思いますが、既にかなりこなれていると思います。気になるところもドライバーレベルで直せるようなことですし、デザインも六角形で特徴がありかっこいいです。
ZWOが徐々にハイエンドに移行してきて入門用の新機種をあまり出さなくなってきましたが、Player Oneのラインナップは入門者向けのいい選択肢になるのではないでしょうか。
さて、今回Player Oneの新しいカメラNEPTUNE-C IIをパッと使ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
実質不満だったのがカラーバランス調整のところのみで、あとは今のところ不満なしです。かなり素直なカメラだと思います。値段的には最安ではないですが、入門用のカメラとしてはかなりいいのかと思います。
冊子がものすごくいい出来なので、初心者にかなりお勧めです。正直この冊子、初心者のみでなく電視観望をすでに始めている方でも、眼から鱗だと感じるところがたくさんあると思います。それくらいよくできています。
今回はこのカメラの目玉の一つ、スケアリング機能は使っていませんが、撮影になったら必要になるかもしれません。ベテランの方には、この機能はかなり嬉しいのではないでしょうか。IMX464センサー の赤外領域の反応の良さも楽しみです。次回は撮影でも試してみたいと思います。
新カメラを試す機会が!
CP+のSIGHTRONブースでの電視観望配信の反応が良かったのか、なんとPlayer OneのCMOSカメラのフラッグシップモデル「Neptune-C II」の評価を頼まれてしまいました !! こうやって信頼していただけることは、ユーザーとしては素直に嬉しいです。
さてさて、到着を楽しみに待っていると、先週4月13日の火曜日、仕事から帰るとSIGHTRONから荷物が届いていました。早速中身を開けてみると、カメラ本体、UV/IRカットフィルター(この時期だけサービス付属みたいです)、日本語マニュアル、そして「電視観望実践ガイドブック」が入っています。
電視観望の冊子がすごい!
私はまずカメラ本体よりも、電視観望の冊子の方に目がいってしまいました。
これはすごい。一気に読んで、思わず唸ってしまいました。全48ページ(表紙なども入れると全52ページ)のカラー版で、スタッフの電視観望を試してみて欲しい、ユーザーにできるだけ簡単に見て欲しい、楽しんで欲しいという思いが溢れ出ています。この日だけで3回くらい読み返してしまいました。
私もこのブログで電視観望を一般化すべく、ずっと記事を書いてきました。でもその内容はあちこちに散乱してしまっています。それが一冊にコンパクトにまとまっています。しかも私が言いたかったことがほぼ全て含まれています。その上、初心者が陥りやすいところとか、このブログで書いてきたこと以上に親切に書かれています。
実はこの冊子の最後に、協力者として私、Samの名前が出ています。でも実際は具体的に何か協力したというわけではなくて、おそらくCP+の配信のことを冊子の中で触れていたので、それを協力とわざわざ載せてくれたのかと思います。なので話だけは聞いていましたが、実際はこの冊子を受け取って初めて中身を見たわけです。
おそらくこの冊子を書いたSIGHTRONのスタッフさんは、自分で電視観望を相当試してから冊子を書いているのかと思います。SharpCapを電視観望で使うときの説明が主体となっていますが、おそらく自分で分かりにくいと実感したことなど、かなりうまく説明してくれています。多分ですが、この「ほしぞloveログ」も参考にしてくれていると思います。こんな冊子を出してくれたことをとても嬉しく思います。
私の名前も載っていたので、妻に「すごいでしょう!」と自慢げにこの冊子を見せたら「これだったら読んでみる気がする。パパのは難しい式とか書いてあってよくわかんない。たくさんありすぎてどこを読めばいいかわからないから、こっちのほうが全然いい。」とのこと...。初心者の方には多分バイブルクラスの冊子になるかと思います。
カメラ開封
カメラが到着してからしばらく天気が良くなかったのですが、4月19日にやっと快晴となり試すことができました。
カメラのケースを開けてみます。
カメラはスケアリング調整のために、前面に押し引きネジがついています。
おもしろいのは付属品で、このスケアリング調整用に4本の六角レンチが専用でついています。
さらに、ブロアーが付属しています。このブロアー、大きくなくコンパクトなのに、空気吸い込み口と吐き出し口が金属でできていて、吐き出し口の径が小さいのか、大きさの割にかなり圧が強いです。これはお気に入りのブロアーになりそうです。
セットアップ
せっかく冊子で電視観望を勧めてくれているので、やはり電視観望から始めたいと思います。月が少し出ていますが、電視観望なら星雲まで見えると思うので、あまり気にしなくていいでしょう。
セットアップは、CP+の配信の時と同じで、EVOGUIDE 50EDとAZ-GTiを使います。カメラをNeptune-C IIにして、EOGUIDEに取り付けます。
USB3.0ケーブルをカメラに取り付けます。カメラを水平に設置した場合、ケーブルは横からつける形になります。
セットアップは日本語マニュアルに全て書いてあって、困ることはないと思いますが、どんな感じか簡単に書いておきます。
カメラをPCに接続する前に、ドライバーをインストールしておきましょう。ドライバーはPlayer Oneのホームページの「Service」->「Software Downloads」からダウンロードできます。
ドライバーは一番上の「Camera Driver」になります。ダウンロードできたら解凍して、インストールします。
ドライバーインストール後、カメラを繋いで、SharpCapを立ち上げます。SharpCapは4.0以降を使ってください。メニューのCameraでPlayer Oneのカメラが出てきたら成功です。
ファーストライトは月
早速カメラを選択して、AZ-GTiで適当な天体を導入してみましょう。いよいよファーストライトです。この日は月が出ているので、まずは月を導入してみます。
EVOGUIDEの焦点距離242mmで1/1.8インチのIMX464センサーので、月がこのサイズになります。ピントが合っていなかったらここで合わせておきます。ピントを合わせると、かなりシャープに見えます。
よく見ると、ちょうど月面Xが写ってました。
地球照なんかも見えます。
家族、友人なんかと一緒に見ることもできるので、月を見るだけでもいろいろ楽しいですね。
電視観望の本領発揮
さて、次はいよいよ星雲です。この時期でも、早い時間ならまだ西の低空にオリオン座が見えます。沈んでしまう前に、M42オリオン大星雲を導入して見ましょう。まずはライブスタックなしの1.6秒ワンショットです。
ここで確認したいことは、変なノイズが出ていないかです。少なくとも見ている限り、縞ノイズのようなものは見えません。新しいメーカーで少し心配でしたが、素直な画質でかなりいいと思います。
次に、ライブスタックしてみます。
トラペジウムも見えて、かなりいい感じです。この時高度は西の空で15度くらい。月もそう遠くないところにあるので、相当悪い状況ですが、ここらへんまでは簡単に写ります。カブリがあるように見えるのは、西の空の状況が悪いのを表しています。
最初アラインメントがうまくいかずスタックされずに何枚かドロップされて(捨てられて)いましたが、Alignmentタブの「Reduce Noise」の値を少しあげたら、それ以降ドロップはなくなりました。
月があるのと、西向きは光害がひどいので、ここでQBPを入れてみます。
カブリの影響が少なくなるのと、コントラストが良くなります。
次に淡い馬頭星雲を見て見ましょう。
さすがにこの高度だと厳しそうです。馬頭星雲は来シーズンでしょうか。
一応薔薇星雲も見てみます。
なんとか見えるくらいでしょうか?これも高度25度とやはり低い西の空です。月もさらに近くなるので、まあこれくらいでしょう。
春は星雲が少ないので、少し高度の高いところを狙って、マルカリアンの鎖を見てみます。
十分見えますね。ただ、右下にアンプグローが見えるのと、いくつかライブスタックによるホットピクセルの軌跡が見えます。ホットピクセルの数はかなり少ない方でしょう。アンプグロー、ホットピクセルいずれも、ダーク補正をすればほとんど目立たなくなります。
SharpCapでダークファイルを撮影し、リアルタイムで補正したのが以下のものです。
アンプグローは全くわからないくらいになり、ホットピクセルは1-2個残っていますが、相当改善されるのがわかると思います。端の黒い部分は、AZ-GTiが経緯台のために、長時間のライブスタックで視野が回転してしまった結果です。
アノテーションもできるかな?と思ったら、すんなりいきました。
最後は球状星団で、M5です。
この時期はあまり派手な天体が少ないのでこれくらいです。これから夏に向かって色も綺麗な星雲がたくさん見えてきます。今から電視観望の準備をしておくのもいいのかもしれません。
このカメラの評価は?
ここまで見てる限り、画像に関しては電視観望レベルではほとんど不満はありません。SharpCapでの操作性もかなりこなれています。
ただ一点、惜しむらくはホワイトバランスのRGBの調整で、カーソルやマウスクリックで左右に動かすと一気に500とか移動するので、実質数値を入れてしか調整できません。なのでここで調整するより、ライブスタックのところのカラーバランスで揃えてしまいがちになります。
Player Oneはカメラメーカーとしては新しいところなのかと思いますが、既にかなりこなれていると思います。気になるところもドライバーレベルで直せるようなことですし、デザインも六角形で特徴がありかっこいいです。
ZWOが徐々にハイエンドに移行してきて入門用の新機種をあまり出さなくなってきましたが、Player Oneのラインナップは入門者向けのいい選択肢になるのではないでしょうか。
まとめ
さて、今回Player Oneの新しいカメラNEPTUNE-C IIをパッと使ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
実質不満だったのがカラーバランス調整のところのみで、あとは今のところ不満なしです。かなり素直なカメラだと思います。値段的には最安ではないですが、入門用のカメラとしてはかなりいいのかと思います。
冊子がものすごくいい出来なので、初心者にかなりお勧めです。正直この冊子、初心者のみでなく電視観望をすでに始めている方でも、眼から鱗だと感じるところがたくさんあると思います。それくらいよくできています。
今回はこのカメラの目玉の一つ、スケアリング機能は使っていませんが、撮影になったら必要になるかもしれません。ベテランの方には、この機能はかなり嬉しいのではないでしょうか。IMX464センサー の赤外領域の反応の良さも楽しみです。次回は撮影でも試してみたいと思います。