EAF(電動フォーカサー)を使ったNINAのオートフォーカスはものすごく便利です。うまくいくとかなり正確にピンと位置を合わせることができます。でもうまくいっていない方も多いみたいなんですよね。私もL画像撮影時だとそこそこうまくいっていますが、Hαとかの暗くて恒星が少ない場合ではあまりうまくいかなかったりしています。
今回、M106の撮影時と次のM51の撮影時に、だんだん誤差が大きくなってきて、ある時からNINAのオートフォーカスが全くうまくいかなくなったのです。その原因を探りました。
特に暗くなってしまうHα撮影時のオートフォーカス調整では、元々そこまで上手く測定できていたわけではなく、典型的にはこんな感じで最初の右端の2つくらいは星像の大きさが0と検出されてしまっていました。
ところが、ある時からこんなふうに星のサイズHFRが真ん中も含めて全然測定できなくなってしまったのです。
何をしたかなあ?と思い出してみると、撮影中にオートストレッチのパラメータを触っていたことに気づきました。
オートストレッチは、撮影時のNINAの「撮像」タブの「画面」の見栄えを調整します。見やすくなるように、ちょくちょくいじっていて、その過程で星像の認識率が悪くなっていったようです。特に今回はM51の撮影中のある時に、見栄えを大きく変えたことが原因でした。
調整場所は、下の画面の右の真ん中らへんの詳細設定を開けた「自動ストレッチ因数」と「ブラッククリッピング」です。
撮像画面での見やすさと、星像を評価するHFRの最適値は結構違っていて、オートフォーカスはこのHFRを元に評価していることが原因です。どの値がいいのかは機材によって違うと思いますので一概には言えませんが、私は上の画像くらいの設定値にして、下の画面のように背景がそこそこ暗くなるくらいのストレッチになった時の方がHFRには適しているように思いました。
改善の様子は、真ん中右の方の緑と黄土色のグラフを見てもらえばわかるかと思います。横軸は撮影枚数、縦軸の緑線がHFRで星像の大きさを示し、黄土色の線が検出できた星の数を示します。最初そこそこ安定して測定できていたのが、途中4枚目あたりでストレッチのパラメータを変えたのでグラフがぐちゃぐちゃになり、18枚目あたりで再度調整してからは星像の大きさがピタッと安定し、検出できた星の数も増えています。
でもグラフがぐちゃぐちゃの場合でも、これはストレッチした見掛け上の炙り出しでそくていしているだけなので、実際の画像には何ら影響していません。ただしこのぐちゃぐちゃした時のように、HFRがうまく測定できない場合にオートフォーカスをすると、上手くフォーカスが合わなくて実画像がピンボケになったりします。もっと言うと、オートフォーカス時にHFRが全く測定できない場合は元のフォーカス位置に戻るからまだいいのですが、中途半端に測定できてしまうと誤差が大きいピント位置決めになってしまい、撮影に大きな影響が出ることになります。
さて、オートストレッチをHFRに合わせて上手く調整できた時は、測定しにくかったHαの場合でも以下のように改善されました。オートフォーカスパラメータ以外は全く同じ設定です。
理論曲線からまだ少し形がずれてますが、はるかに綺麗に測定できているのがわかるかと思います。
調べている限り、日本語でNINAのオートフォーカスについて解説しているページでは、ステップサイズやバックラッシュについては言及していますが、オートストレッチに大きく依存するという記事は見つかりませんでした。これまでオートフォーカスがどうしても上手くいかなかったという方は、一度ストレッチパラメータをいじるのを試してみるといいかと思います。
でも英語も含めてよく調べると、なんとこのことNINAのマニュアルページにサラッと書いているんですよね。
長いページですが、真ん中近くの「Important considerations」あたりのところです。英語ということもありますが、それを差し置いてもサラッと書きすぎで、日本語だっとしてもそのまま読み飛ばしてしまいそうです。
ちなみに、Hαでなく測定しやすいL画像のオートフォーカスの場合、私の環境では毎回下のような結果になります。
オートフォーカスとは関係なく、それどころか何をどう設定しても、必ず一番右が少し下がってしまい、フィッティングによる最適値が少し右にずれてしまいます。今のところ解決策は見つかっていません。オフセットを調整すると直るという話も聞いたことがあるのですが、色々試しましたが解決には至っていません。
でも実はこの解決策もマニュアルにサラッと書いてありました。かなり下の「Backlash IN/OUT」のすぐ下に、あまり目立たなく書いてあります。私はバックラッシュの設定は既にオーバーシュートにしてある(自分でも試しましたが、これが一番安定です)のですが、オーバーシュートにする場合はバックラッシュの値を片方だけに書き込むのが必須のようです。この情報は知らなかったので、次回の撮影の時に試してみようと思います。
今回、M106の撮影時と次のM51の撮影時に、だんだん誤差が大きくなってきて、ある時からNINAのオートフォーカスが全くうまくいかなくなったのです。その原因を探りました。
Hアルファの場合
特に暗くなってしまうHα撮影時のオートフォーカス調整では、元々そこまで上手く測定できていたわけではなく、典型的にはこんな感じで最初の右端の2つくらいは星像の大きさが0と検出されてしまっていました。
ところが、ある時からこんなふうに星のサイズHFRが真ん中も含めて全然測定できなくなってしまったのです。
何が問題だったか
何をしたかなあ?と思い出してみると、撮影中にオートストレッチのパラメータを触っていたことに気づきました。
オートストレッチは、撮影時のNINAの「撮像」タブの「画面」の見栄えを調整します。見やすくなるように、ちょくちょくいじっていて、その過程で星像の認識率が悪くなっていったようです。特に今回はM51の撮影中のある時に、見栄えを大きく変えたことが原因でした。
調整場所は、下の画面の右の真ん中らへんの詳細設定を開けた「自動ストレッチ因数」と「ブラッククリッピング」です。
撮像画面での見やすさと、星像を評価するHFRの最適値は結構違っていて、オートフォーカスはこのHFRを元に評価していることが原因です。どの値がいいのかは機材によって違うと思いますので一概には言えませんが、私は上の画像くらいの設定値にして、下の画面のように背景がそこそこ暗くなるくらいのストレッチになった時の方がHFRには適しているように思いました。
改善の様子は、真ん中右の方の緑と黄土色のグラフを見てもらえばわかるかと思います。横軸は撮影枚数、縦軸の緑線がHFRで星像の大きさを示し、黄土色の線が検出できた星の数を示します。最初そこそこ安定して測定できていたのが、途中4枚目あたりでストレッチのパラメータを変えたのでグラフがぐちゃぐちゃになり、18枚目あたりで再度調整してからは星像の大きさがピタッと安定し、検出できた星の数も増えています。
でもグラフがぐちゃぐちゃの場合でも、これはストレッチした見掛け上の炙り出しでそくていしているだけなので、実際の画像には何ら影響していません。ただしこのぐちゃぐちゃした時のように、HFRがうまく測定できない場合にオートフォーカスをすると、上手くフォーカスが合わなくて実画像がピンボケになったりします。もっと言うと、オートフォーカス時にHFRが全く測定できない場合は元のフォーカス位置に戻るからまだいいのですが、中途半端に測定できてしまうと誤差が大きいピント位置決めになってしまい、撮影に大きな影響が出ることになります。
さて、オートストレッチをHFRに合わせて上手く調整できた時は、測定しにくかったHαの場合でも以下のように改善されました。オートフォーカスパラメータ以外は全く同じ設定です。
理論曲線からまだ少し形がずれてますが、はるかに綺麗に測定できているのがわかるかと思います。
調べている限り、日本語でNINAのオートフォーカスについて解説しているページでは、ステップサイズやバックラッシュについては言及していますが、オートストレッチに大きく依存するという記事は見つかりませんでした。これまでオートフォーカスがどうしても上手くいかなかったという方は、一度ストレッチパラメータをいじるのを試してみるといいかと思います。
でも英語も含めてよく調べると、なんとこのことNINAのマニュアルページにサラッと書いているんですよね。
長いページですが、真ん中近くの「Important considerations」あたりのところです。英語ということもありますが、それを差し置いてもサラッと書きすぎで、日本語だっとしてもそのまま読み飛ばしてしまいそうです。
Lフィルターの場合
ちなみに、Hαでなく測定しやすいL画像のオートフォーカスの場合、私の環境では毎回下のような結果になります。
オートフォーカスとは関係なく、それどころか何をどう設定しても、必ず一番右が少し下がってしまい、フィッティングによる最適値が少し右にずれてしまいます。今のところ解決策は見つかっていません。オフセットを調整すると直るという話も聞いたことがあるのですが、色々試しましたが解決には至っていません。
でも実はこの解決策もマニュアルにサラッと書いてありました。かなり下の「Backlash IN/OUT」のすぐ下に、あまり目立たなく書いてあります。私はバックラッシュの設定は既にオーバーシュートにしてある(自分でも試しましたが、これが一番安定です)のですが、オーバーシュートにする場合はバックラッシュの値を片方だけに書き込むのが必須のようです。この情報は知らなかったので、次回の撮影の時に試してみようと思います。