ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:観測・撮影 > 眼視

先日、飛騨コスモス天文台の観望会のあとに、かんたろうさんの45cmドブソニアンで見せてもらったリング上星雲M57に色がついた話ですが、天リフの特選ピックアップにとりあえげられるなど、反響がすごかったので少し補足しておきたいと思います。

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色がついた時の詳細

この時、M57は都合3度ほど見ました。そこまで記憶が定かではないのですが、まず最初に70倍、ついで360倍、また70倍だったと思います。もしかしたらその後さらに360倍を見たかもしれません。

ほぼどの回も、私はずっと電視観望でUranus-Cのテストをしていたので、直前までそこそこ明るいPCの画面を見ていました。PCがある場所から45cmドブソニアンまでは10m位離れていますでしょうか。途中Hさんが撮影している場所を通るので、見えにくい目で注意しながらHさんを避けてドブソニアンのところまで行き、これまた見えにくい目でかんたろうさんに接眼部の場所を聞き、頭をぶつけたりしないように注意しながらアイピースを覗きます。

  1. まず最初に70倍で見た時。ちょっと緑色に見えているように感じましたが、背景の色も緑に見えるような気もして、色がついていると言うには全然確証が持てませんでした。
  2.  一旦電視観望のところに帰り、明順応になった状態で再び360倍。この時は気のせいと思うこともできないほど色が全くついたようには見えませんでした。
  3.  再び70倍。よく見ると決して明るくはないですが、M57の中がはっきり青と緑の2色に分かれています。「あ、これは色がついてる!」と叫んで、確証した瞬間です。真ん中が青で、その周りが緑。細い外周が一瞬オレンジ色か赤っぽく見えましたが、見ているとすぐにその色は確認できなくなっていました。
あ、でもこの時点は実際にはどの色がどの順で見えるべきかの確証はなかったのですが、後で画像で確認すると見事に中が青で、外に行くに従って緑、最外周はオレンジだったので、ここで改めに確証が持てました。

今回は最低限2色、もしくは3色見えたことが「星雲に色がついた」ということの確証です。

それでも、オレンジ系は気のせいかとも思っていて確証が持てなかったのですが、その後の天リフ特選ピックアップで編集長が「M57の外周部が口径20cmでほんの少しオレンジ色に感じたことがあった」と書いています。Twitterで黒天リフさんが発言していたのですが、これは電視観望の名付け親のHUQさんも同時に見ていたとのことです。これを聞くと、私も気のせいなどではなかったのではと思えてしまいます。おそらく、何か見える要因があるのでしょう。

今回、星雲に色が付くことは理解でき、実際に見えたのでやっと納得できました。2016年の原村の星まつりでドブソニアンの人たちに聞きまくって、当時10歳だった下の息子が「緑に見える」と言ってもどうしても私には色がついて見えるようには思えませんでした。その後どうしても観望会で色付きの星雲をお客さんに見せたくて電視観望への道が開たのですが、今後は明順応を前提にした観望会もやってみたいと思うようになりました。

今後はM57のオレンジや、M42などの明るい星雲の色がどこまで見えるのか、いろいろ検証できたらと思います。

かんたろうさん、素晴らしい眼視経験、本当にありがとうございました。でも今のところかんたろうさんの45cmのドブ頼りです。自分で一本持った方がいいのかなあと思い始めています。


自宅で順応実験

さて、天気も悪く、もちろん手元にドブも無いのですが、もう少しできることとして、その後、自宅で少し実験してみました。

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夜中目が覚めてトイレに起きた時は確実に暗順応状態です。なので、まずは暗順応から試しました。実験は、廊下にある電気のスイッチのところについている小さなオレンジ色の明かりを使います。暗順応状態でも、目を普通に開けて普通に見るとオレンジ色がそのまま見えます。そこで、暗くするために目を細めます。目を細めていくと、あるところから色が消えて白い明かりがあるように見えますが、それでも形ははっきりとわかります。おそらくこれが暗順応した目で星雲を見ているような状態だと思います。

次に、起きている間に、夜に電気を消して廊下周りを暗くして同じスイッチのオレンジ色の光を見ます。目を開けているとオレンジ色に見えるのは同じです。同じようにだんだん目を細めていきますが、あるところから真っ暗になります。暗順応の時に見えたような白い明かりは全く見えません。これが明順応で見た状態に相当すると思うのですが、M57を明順応で見たときは少なくともまだ形が見えてたので、廊下で見た暗くなる状態よりは、目に入る光量は多かったと考えていいのかと思います。

暗順応状態でも、明順応状態でも、ある程度の明るさがあれば色はついて見えることはわかりました。色がついているものが、色がつかないように白く見えるのは暗順応の方ということもわかりました。問題は、最低限色がつく明るさが、明順応の方が暗順応よりも暗いのかどうかです。

  • 廊下で暗い状態で見た小さなオレンジ色の明かりが、明順応の方がより暗い状態で色が付くのならば、今回見たM57の色もかなり説明がつきます。
  • 逆に、暗順応の方がより暗い状態で色が付くのならば、今回見たM57は説明がつきにくくなります。
  • ですが、暗順応の場合に、色が付かなくてより明るく見えるために、その明るさが色を消してしまうようならば、まだ今回見たM57の色は説明がつきます。
今回は目をつぶりかけるということで明るさを調整しているために、明順応、暗順応で色がついたときの明るさを定量的に比較できていないことが、今回の廊下スイッチ方法の最大の欠点です。

でも少なくとも明順応と暗順応で、暗く色がついた光の見え方に明らかな違いがあることが確認できました。簡単な方法なので、よかったら皆さんもぜひ試してみてください。


いよいよ明日は

さて、いよいよ明日は志賀高原の天空フェスタで電視観望セミナー。今から楽しみです。

実は、M57を見た時に同時にしていた電視観望は、この天空フェスのスライド作りのためでした。その後、晴れる日があるかどうか心配で、最後のチャンスかと思っていたのですが、結局今日まで晴れる日はなくて、本当にあの時が最後のチャンスでした。

スライドの準備もほぼ完了。ブログ記事をこんなふうに書いているくらいなので、精神的にも少し余裕があります。天気がちょっと心配ですが、来てくれた方には精一杯付き合おうと思います。せっかくの機会なので、満足して帰っていただけるよう頑張ります。

2022年2月14日、晴れているのですが月齢13日と満月期に近いので、TSA120を出してシリウスBにチャレンジです。

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ブログの記事になっているシリウスBの挑戦は、TSA120を購入した約2年前のことです。


今シーズンは同じTSA120で3-4回挑戦していますが、いずれもシーイングが悪く諦めました。今日のシーイングは瞬き具合を見ても、そこまで悪くはなさそうです。


20時頃、まずは眼視でリゲルを導入。Pentax XW3.5mmで余裕でリゲルBは分離します。

次にシリウスです。同じくPentax XW3.5mmで見ますが、かなり瞬いていて惨敗。21時過ぎまで粘って、多少高度も上がって明らかに瞬きは減りましたが、それでもどうしても見えません。

いったん諦めて、カメラに切り替えてみます。手近にあったCeres-CをTSA120に取り付け、SharpCapで御t見ます。とりあえずの画面では露光時間やゲイン、ヒストグラムを色々いじってもやはり見えません。

ここで6.25ミリ秒、ゲイン0で1000コマ、serフォーマットの動画で撮影します。動画を再生してみてもやはりシリウスBらしきものは確認できません。

この画像をAutoStakkert!3で上位20%をスタックし、PixInsightのSTFで炙り出すと、主に緑と青を攻めてみるとやっとシリウスBが出てきました。赤をいじってもシリウスBの出現にはほとんど影響がなく、波長が短い方が影響があるようです。

その後、Regitaxでエッジを出すと、かなりはっきりしてきました。

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  • 撮影日: 2022年2月14日21時17分
  • 撮影場所: 富山県富山市
  • 鏡筒: TAKAHASHI TSA120(f900mm)
  • フィルター: 無し
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Player One Ceres-C
  • 撮影: SharpCap、Gain 0、露光時間6.25ms、上位200/1000をAutoStakkert!3でスタック
  • 画像処理: PixInsight、Registax6、Photoshop CC

上が北で方角的にはシリウスBは北東で左上方向に出るはずです。1ピクセル0.856秒程度なので、11.3秒角離れているシリウスBはシリウス中心から13.2ピクセルくらい離れているはずです。撮影した画像からピクセルを数えてみるとほぼ13ピクセル。なので間違いないでしょう。

シンチレーションで眼視では見えなくても、多数枚スタックで多少のシンチレーションの悪さは回避できそうです。ただし、PixInsightで炙り出したとき、見える範囲は意外に小さく、落ち着いてやらないと見えないと判断してしまうかもしれません。


この記事は、2021年11月6日に行われた飛騨コスモス天文台での観望会の記事の続きのお話で、観望会後の眼視体験のお話です。




観望会終了後の眼視大会

もう22時半くらいにはなっていたでしょうか?観望会も終わりつつあり、一時は40人ほどもいたお客さんも少なくなってきて、残ったメンバーで眼視大会が始まりました。今回もかんたろうさんがOrionのニュートンの25cmでいろいろ見せてくれました。この時残っていたのは、スタッフの方数人と、いつものMちゃん親子です。

実は今回かんたろうさんから、私の手持ちのTSA-120で眼視をしてみたいというリクエストをもらっていたので、私の方も準備します。かんたろうさんは前回と同じように秋冬天体のフルコースだったようですが、私はシンプルにリゲルとM42とシリウスくらいでした。TSA-120で久しぶりにまじめに眼視をして見比べてみて、改めてものすごく驚きました。

OrionとTSAの比較で、一番驚いたのがリゲルです。かんたろうさんのも光軸をきちんと合わせてあるので、かなり見えるはずで、前回9月末の同じ飛騨コスモスでの観望会後の眼視大会でもリゲルBは分離できていました。今回私の方はTSA-120にBarder Hyperionの5mmを使った時点で分離できました。ところがかんたろうさんが合わせていても、今回Orionでは分離できないようなのです。

改めてOrionを覗かせてもらいました。スパイダーとかで不利なのはわかります。それ以上に、リゲルがツンツンしているのです。周りにシャカシャカとスパイクのようなものが出ているのです。名誉のために言っておきますが、この日のシンチレーションは全く良くなくて、昇り始めたシリウスなんかは普通に目で見てもチカチカ瞬いています。多少高度があるリゲルでもまだままだ揺らいでいます。Orionもかなり光軸を合わせてあるのですが、シンチレーションに太刀打ちできないと言う表現が正しいでしょうか。

追記: その後、高度が上がったらOrionでもリゲルBが見えたと、かんたろうさんからコメントがありました。なので低高度でシンチレーションが悪かったのが原因かと思われます。

そして改めてTSA-120と見てみると「像が止まっている」と言う表現が正しいでしょうか、やはりリゲルBも分離できています。もちろん完全に止まっているかと言うと、そうでもなくて、ディフラクションリングは揺らいでいるのがわかります。TSA-120を覗いた時にかんたろうさんがしみじみ言った一言が「これがジフラクションリングですかー!」でした。ディフラクションリングをはっきり見たのは初めてとのことで、反射と屈折の違いでしょうか、まだ見え方に差があるのは事実なようです。

この違いは、かんたろうさんや私だけでなく、例えばMちゃんもはっきりわかったようです。TSA-120の方を除いた時に「きれーい」とため息混じりのようなうっとりしたような呟きを、私は聞き逃しませんでした。

その後、TSA-120でシリウスを見たのですが、やはりシンチレーションの悪さは如何ともしがたく、シリウスBは撃沈で見ることはできませんでした。

その後、TSA-120でM42を見ましたが、周りのもやもやや、倍率を下げると見える弓形の大星雲など、もうかなりの迫力です。これがすごくシャープなトラペジウムと一緒に見えています。写真とか電視観望とは全く違った、静寂の世界に見えてくるかすかな形が、大迫力に迫ってくるような感じです。

トラペジウムもこれだけシャープなので、E星、F星は見えないかずっと頑張っていましたが、まだどうしてもみることができませんでした。シンチレーションの良い日を狙って、再度挑戦したいと思っています。

最後に見たのはクリムゾンスターです。かんたろうさんはマニュアルでの導入でOrionでは結局導入できず。私の方はCGEM IIで簡単自動導入なので、その後を託されました。TSA-120だとなかなか暗いのですが、それでも視野の真ん中から少しずれたところくらいに、一つだけ本当に深紅の星が見えました。前回かんたろうさんに見せてもらっていたのですが、改めて自分の鏡筒でみると感無量です。ホントに一つだけ真っ赤っかなのです。

今回は自分の鏡筒でいろいろ見たというのもあった、ちょっと眼視の面白さがわかってきた気がしました。

その後、0時半頃でしょうか、雲がどうしても晴れないので撤収。撤収が終わることにはMちゃん親子も帰っていきました。お母さんが「どうせ3分で寝るから」と言っていましたが、帰りは楽しい夢をみるのかと思います。

その後、かんたろうさんと30分くらい話していましたが、天文あるあるでしょうか、徐々に雲がなくなってきて、1時過ぎくらいにはすっかり快晴。かんたろうさんはすでにここで2泊しているので、さすがに疲れているようです。私も軟弱なのでここから再度セットアップする気にはならずに、帰宅することにしました。

土曜日はこれでおしまいなのですが、眼視はこれで終わらなかったのです。


SCA260での眼視

次の日曜の夜、この日も快晴です。SCA260を出して、それとは別に撮影でFS-60CBにDBPをつけて6DでSh2-129のイカ釣り作戦です。撮影のほうはまだトータル時間が全然足りないので、あと何日か続ける予定です。仕上がったらまた記事にします。

その一方、SCA260はバッテリーが不足していたのであまり大したことはできなかったのですが、0時を過ぎてから突然これでリゲル見てみたらどうなるのか?と思い立ってしまいました。次の日仕事にも関わらずここから眼視のための作業開始です。

接眼部をアイピースが取り付けれるように、適当に手持ちのアダプターを見繕って取り付けます。SCA260の最小ネジ径はM48。M48からM42(T2)への変換は、ASI294MC Proに付属されていたアダプターを使います。そこにいくつか予備で買っていたT2からアメリカンサイズのアイピースの変換アダプターを取り付けます。これで準備完了、アイピースを取り付けるだけなら何の問題もないでしょう。

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ちなみにこの日の自宅でのシンチレーションは昨日の飛騨コスモスよりも悪かったと思います。シリウスの瞬きはかなり酷く、リゲルの瞬きが昨日のシリウスの瞬きくらいでした。

SCA260でリゲルを覗いてびっくりしたのは、昨日のかんたろうさんのOrionよりも遥かに酷くツンツンしています。リゲルBも全く見えません。シンチレーションが悪いせいなのか、SCA260の光軸が出ていないのか、それともSA260は眼視に向いていないのか?

そもそも、SCA260でアイピースでみようとすると、少し目をアイピースから離すだけで副鏡の黒い部分が大きく見えてきます。これはやはり撮影用と考えて良いのでしょうか?

少しSCA260を援護すると、M33を撮影した画像があるのですが、恒星の分離具合をみると(例えSCA260が重くて揺れが大きいと思われても)、TSA-120で撮影したM33よりも遥かに分離しているのです。まだSCA260で撮影した方が画像処理前なので、そのせいの可能性もありますが、撮影してみるとSCA260がTSA-120に負けているとは到底思えません。

撮影と眼視とは全然違うものなのか?それともTSA-120が眼視に向いているという評価はやはり圧倒的に正しいのか?まだまだ疑問はつきませんが、これはかなりの面白案件です。


まとめ

眼視面白い!

というか、私のことなので多分眼視のメカニズムがまだよくわからないところが面白いのかと思います。これから何がどう見え、どう改善していくのか、興味がつきません。

あと、眼視なのでブログに載せる写真が少なくて困ることに気づきました。
 

9月30日、飛騨コスモス天文台で観望会がありました。前半は以下の記事で。


今回の記事はその途中くらいから、観望会が終了した後のアイリス星雲を撮影した話と、残った人でDSOの眼視観望をしたお話です。


撮影準備再開

スタッフさんも解散し、最後のお客さんも帰られた23時前頃から、本格的に撮影の準備に入ります。普段富山での自宅撮影は、日本海側ということもあり北の空が明るいのですが、飛騨まで来ると北の空は十分暗くなります。北の空をスマホで簡易測定するとSQMで21.4程度でした。むしろ南が高山市の明かりで少し明るいくらいです。なので、ここにきた時に撮影は北の空を中心に撮影することがいいのかと思います。

今夜の目的はケフェウス座にあるアイリス星雲です。青く綺麗に輝く、散光星雲の仲間になります。アイリス星雲はNGC7023と言われることもあるらしいのですが、正確にはLBN 487もしくはCaldwell 4というのが正しくて、NGC7023はアイリス星雲の中にある散開星団のことを指すそうです。

機材はTSA120とEOS 6D。ここ最近モノクロ撮影できしたが、少し広角を狙いたいため、フルサイズのカラーとしました。ハロ防止にUV/IRカットフィルターを入れましたが、6Dだと赤外にそこまで感度は無い
はずなので必要なかったかもしれません。それらをいつものCGEM IIに載せます。実は機材の設置のほとんどは観望会が始まる前の夕方に済ませていました。

準備の途中にかんたろうさんが、SharpCapの極軸設定に興味があるというのでお見せすることに。かんたろうさんはPole Masterを使ったことがあるらしくて自分の中で比較していたようですが、SharpCapの極軸調整の方があまりに簡単に思えたらしく、苦笑い状態でした。SharpCapのこの機能は有料版でのみ使えるのですが、年間2000円とお小遣い程度です。カメラも汎用的なCMOSカメラが使えるので、カメラを既に持っている方には安価に精度の良い極軸調整が実現できます。

夕方の時点で撮影用のBackYardEOSでのカメラの認識がうまくいかなくて、観望会中の撮影をあきらめたので、準備はそこからの再開です。接続はBYEを立ち上げ直したらうまくいきました。これは過去にもあった現象です。もう一つは、ユーザー認証がうまくいかなかったことです。認証というのでネットワークが必要と思ったのですが、実際にインターネットは必要なく、なぜかユーザー名だけが必要でした。しかもパスワードはBYEが覚えていてくれたようです。これまでこんなことはなかったので、何かバグっぽい振る舞いです。

その後は比較的順調で、カメラのピント出しと水平出し、アイリス星雲の導入もすぐにうまくいきました。今回はアイリス星雲を右に、ゴースト星雲Sh2-136(vdB 141)を左に入れての構図です。6Dの設定は露光時間300秒、ISO1600、オートガイドもうまくスタートして撮影開始です。この時点で23時20分くらいだったでしょうか。

この時間まで残っていたMちゃんが撮影中のPCの画面を見て、「星が見えていないところがある」と気づきました。分子雲です。画面の時点で分子雲がはっきりと確認できているくらいなので、仕上がりが楽しみなのです。問題は月の出が0時40分で、この時点では時間があまりとれないと思っていました。


かんたろうさんの25cmで眼視体験

撮影開始でちょっと余裕ができたので、隣に設置しているかんたろうさんのOrionの25cmニュートン反射で眼視体験をさせてもらいます。25cmだとかなり大きく、重さは20kg程度とのことです。でも赤道儀がJPなので全然余裕みたいです。

これまでもかんたろうさんには、牛岳などで眼視で色々見せてもらっています。この日もすでに観望会中に二重星団など見せてもらっていましたが、ここからはかなりたくさんのものを見せてもらい、あまり眼視経験のない私にとってはいい経験となりました。見させてもらった順に行きます。
  • まずはリゲルBから。まだリゲルは出てきたばかりで東の低い空にあります。それでも左の揺らめいている光芒の中に時折小さな星を確認することができます。これは後ほど再度確認することになります。
  • 続いてぎょしゃ座の散開星団。多分M36かと。その後、双子座の散開星団M35。これは隣りにNGC2158という小さな散開星団があるそうです。小さい方は私にはかなり淡く見えましたが、そらし目で十分確認することができました。
ここら辺で、Mちゃんのところが帰宅です。もう0時半を過ぎていて暗いかと思います。
  • 次がM42の中のトラペジウム。さすがにE、F星までは見えませんでした。それよりも少し引いたM42の弓なりの形が見事でした。かんたろうさんが、帰ってしまったMちゃんに「見せてあげたかった」としきりに呟いていました。
  • その近くの、うさぎ座クリムゾンスター。赤い星と言われていますが、かなり濃いオレンジに見えました。
  • 燃える木を導入してもらいましたが、かんたろうさんは見えると言っています。私もそらし目を駆使し、かろうじてわかりました。でも多分、かんたろうさんほど見えてないと思えるようになってきました。眼視はおそらく知識が必要です。どこに何があるか、わかっているのといないのでは、(多分)全然見え方が違います。そう言った意味では、近くのアルニタクも見えているので、(さかさまになってはいますが)どこに燃える木があるかもわかっています。それでもかんたろうさんとは見え方に差がある気がします。もしかしたら自分の目は暗いところの感度低いのかもしれません。これまで生きてきて、サングラスを欲しいと思ったことが一度もありません。眩しいのに強いということは、暗いものに対する感度は逆に無いのかもしれないとこのとき思いました。
  • リゲルが昇ってきたので、再度リゲルBに挑戦します。今度は光芒がもっと小さくなり、常にはっきり見えるようになってきました。
うーん、眼視かなり楽しいです。でも問題は大口径になればなるほどはずで、暗い空が必要なこと。かんたろうさんも25cm以上を欲しがっているようです。もう少し撮影を楽しんで、その興味が落ち着いたら次の方向性としてはいいかもしれません。今ちょうど双望会にオンライン参加しながらこのブログを書いていますが、話を聞いていると眼視もものすごく奥が深そうです。


撮影完了までと帰宅

実は私、この日10月2日の月の出は0時40分だと思い込んでいました。でもなかなか月が出てきません。山の下に隠れているのかなと思っていましたが、0時を越えていたので10月3日の月の出を見る必要があったんですね。午前1時48分が月の出とブログを書いてて気付きました。だから月が出てこなかったのですね。時間がないと焦っていたのですが、思いっきり間抜けです。

月と言ってもかなり新月に近く暗いので、結局午前2時半頃まで撮影してました。途中、ガイドが一旦止まってしまっていたようです。午前2時前に気づいて、再度ガイドを動かしたのですが、後でチェックしたら、0時40分くらいから1時50分くらいまで止まっていたようです。星像が流れてしまっていてかなりの枚数を捨てることになってしまいました。撮影が終わってからチェックしてみると、見事にガイド鏡が曇ってしまっていました。

その後片付けをして帰宅は午前3時頃。かんたろうさんは昇ってきたシリウスのBを見ようと頑張ってましたが、流石に厳しいようでした。午前4時頃に自宅に到着。次の日は朝から2度目のワクチンだったので、そのまま片付けもせず寝てしまいました。

夜露が心配だったので、次の日曜日の朝、家を出る前に機材を出して陰干しです。


画像処理と結果

後日、自宅で部屋の白い壁を利用したフラットとフラットダークを撮影。フラットは最近ずっとこれですが、鏡筒に袋などを被せることもなく、明るい壁を直接撮影しているだけで、楽でいいです。これでフラット補正が合わなかったことは意識している限りありません。ただし、壁への光の当たり方で輝度が方向によってかわることがあるので、PixInsightのABEの1次で補正する必要があることがあります。また、天体撮影が終わった後に別の日にフラットが撮影できるので楽でいいのですが、逆に言うとフラット撮影が終わるまではカメラを外したくないので、次の撮影に使えないとかが欠点でしょうか。

バイアスとダークは過去のものを使い回しなので楽なものです。

画像処理はいつものようにPixInsightのWBPPから。途中特に不具合もなく終了。その後、ABEを(主にフラット撮影時の明るさのスロープを取るため)1次で一回、(メカニカルシャッターの影での下部のS/N低下と、画角がずれていった際の特に上下の枚数不足を補正するため)2次で一回かけます。分子雲のモクモクを残したいため、今回はDBEは使いません。PCCも順調。

結局露光時間が高々2時間なので、やはりノイズが大きいのは否めません。適度にツールを駆使し、多少見栄えがいいように調整します。

結果です。

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  • 撮影日: 2021年10月2日23時21分-10月3日0時31分
  • 撮影場所: 岐阜県飛騨市飛騨コスモス天文台
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120 + 35フラットナー
  • フィルター: 2インチUV/IRカットフィルター
  • 赤道儀: Celestron CGEM II
  • カメラ: Canon EOS 6D (HKIR改造)
  • ガイド: f120mmガイド鏡 + ASI120MM mini、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: BackYard EOS、露光時間300秒x24枚 = 2時間0分
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC、DeNoise AI

左側のゴースト星雲は一部でバンザイ星雲?とも言われているらしくて、バンザイをした人の姿が確認できます。
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ちょっと解像度不足でわかりにくいのですが、本当は二人います。もう少し露光時間を伸ばしてノイズを減らす必要がありそうです。

あとはいつものAnnotationです。デフォルトの設定だと寂しかったので、今回はLBNなどを追加しました。
masterLight_ABE_ABE_PCC_AS3_HT6_ABE_cut1_ok_annotation



まとめ

今回はほぼ初めての北の空の撮影になります。実際北の空に近いのは、自宅から撮影したN51子持ち銀河くらい。 この時も撮影時間不足か、今見ると解像とてきにあまり満足ではありません。ナローも始めたので、今後自宅でも北の空を撮影していきたいと思います。

あと、眼視体験はかなりインパクトがありました。ちょうど双望会も重なったので、結構な刺激をうけています。最近のLambdaさんの焦点ずらしのアイピースの件も興味があります。手を出すかなあ?ハマるとまた大変だろうなあ?


先週届いたタカハシのTSA-120。平日なかなか晴れなかったのですが、週末の土曜やっと晴れました。待ちに待ったファーストライトです。




赤道儀への取り付け

実は到着した時、箱から出すだけでもドキドキでした。思ったより前が重いのと、(少なくともしばらくの間は)傷つけないように丁寧に扱います。でもまずは赤道儀に取り付けなければ何も始まりません。

今回手に入れた中古品はラッキーなことにタカハシ純正の鏡筒バンドが最初から付いています。タカハシ のホームページによると新品ではファインダーの有り無しを選べるようなのですが、今回のものはファインダーも付いているモデルだったようです。

鏡筒バンドはタカハシの赤道儀につけるためのM8の穴が35mm間隔で2つ空いています。手持ちの赤道儀はCelestron。鏡筒の重さがファインダーと鏡筒バンドと合わせても8kgほどなのでAdvanced VXにもCGEM IIにも載せることができます。ただし両方ともアリガタ固定なので、高橋の鏡筒バンドから何らかの変換が必要になります。いずれこれまでのFS-60QやFC-76のようにK-ASTECの鏡筒バンドとハンドルに変えようと思っているのですが、とりあえずこの日は昔星まつりで100円で買ったVixex製の古いアリガタに取り付けます。ちょうどM8の穴が同間隔で開いているのでそのまま取り付けることができます。

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2017年の胎内で買ったみたいです。
一番下の100円の札がついているやつです。
FC-76の時もそうでしたが、意外に役に立ちます。

次にファインダーを取り付けます。ファインダー固定台の向きが最初わからなかったのですが、マニュアルが後日送られてきたのを思い出し、きちんとマニュアル通りに固定しました。ファイダーの真ん中にセロテープが巻かれていましたが、これは何のためなのでしょうか?ここで固定して傷をつけないため?でもあまり好きでないので剥がしてしまいました。

赤道儀は玄関にそのまま置いてあるCGEM IIにしました。でもこれ、一度C8を落下させた過去があります。VIxen規格とLosmandy規格の両方のアリガタを固定できるのですが、Vixen規格の溝がちょっと浅いんですよね。今回は初めての取り付けなので、傷つけないように運ぶのはもちろん、赤道儀にも慎重に取り付け、確実に固定されていることを何度も確認します。

ウェイトは5kgを一番端に取り付けてちょうど赤経側のバランスが取れました。鏡筒を触った時の揺れを考えると10kgのウェイトにして内側に持っていった方が揺れにくいかもしれません。フード部分を伸ばすと思ったより前側が重たいです。鏡筒バンドを一度緩めて少し鏡筒位置を後ろにずらします。

大体バランスが取れたところで赤道儀の電源を入れます。今日は眼視だけの予定なので水平だけはとって極軸は適当。しかもソーラーアラインメントで月だけでの初期導入です。ここら辺はAZ-GTiの経験から来ています。水平さえとっておけば、撮影レベルでなければ十分実用なくらいに導入、追尾できます。私にしてはめずらしくファインダーもつけているので、多少ずれてもなんとかなります。

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ファーストライトはお月様

早速月でアラインメントをとり、じっくり見てみました。あ、今日のアイピースはいつも使っているの特価アイピースではなく、なんと

バーダーのHyperionの13mmとPENTAXのWX5

Hyperionは一番最初に星を始めた時にニュートン20cmと一緒に

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PENTAXは星を始めた2016年の胎内の星まつりで5mmと3.5mmをセットで買いました。
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3.5mmなんてまだ袋に入れっぱなしです。
多分1、2回しか使っていないはずです。

こんないいアイピースも持っているのですが、胎内から帰ってすぐに電視観望に走ってしまったので、ほとんど、多分ほんの数回のレベルでしか使ったことがなく、これまでは完全に宝の持ち腐れでした。特にHyperionも5mmを持っているいので、5mmはバーダーとPENTAXで見比べをすることもできるはずです。

まず最初は13mmで月を覗いてみました。焦点距離が900mmなので900/13で倍率は70倍になります。ぱっと見るだけでも、もう当たり前のようにはっきりと、キレッキレで見えます。冬場で星も瞬いていたのでシンチレーションは大きかったのでしょう。ユラユラも当然のように見えてしまいます。この日は月面Xとかもあったのでが、せっかくの晴れ間で他にやりたいことも目白押し。早速眼視でやってみたかったことに移ります。


リゲルの伴星とディフラクションリング

性能のいい屈折機でやってみたかった事の一つは伴星を見ること。今回の目的はリゲルの伴星です。さすがにこの日は極軸が適当なせいもあり、月からリゲルへは少し遠くて自動導入ではうまく入りません。でも月の導入の時にファインダーも位置合わせしておいたので全く問題なし。手動でリゲルを導入します。70倍程度なら簡単に導入できます。でも体制がキツかったです。どれくらいの性能で伴星が見えるか全然見当がついていないので、念のため天頂プリズムとかも無しにしておいて、地面に這いつくばって覗くはめになりました。あと、ピント合わせの時に鏡筒に触ると星が結構揺れることに気づきました。ウェイトと、やはりアリガタは幅広のLosmandy規格の方がいいかもしれません。

とりあえずリゲルの伴星は全くの初めてで、しかもシンチレーションで揺れているのでどうもよくわかりません。仕方ないのでPentaxの5mmに交換しました。倍率は180倍になります。そこでまず気づいたのが、ディフラクションリングがもう普通に見えています。もちろんリング自身もシンチレーションで揺れているのですが、こんなに簡単に、しかもこれほど明瞭に見えているのにはびっくりしました。これが高級屈折の実力なのか、私がこれまで眼視を全くやってこなかったので気づいていなかっただけなのか、よくはわかりませんが、こんなにはっきり見たのは初めてで、最近の天文関連のことでは強烈なインパクトでした。

肝心なリゲル伴星ですが、5mmにしたらあっさり気付くことができました。初めてのことなのでそこまで確証はないのですが、ディフラクションリングのちょっと外側にポツンと暗いのが一つだけあったので、多分あっていると思います。


さらにシリウスの伴星に挑戦、でもあえなく撃退

リゲルの伴星が意外にすんなり見えたことに気を良くして、次は難敵と言われているシリウスの伴星に挑戦。導入も5mmのままでも全然問題なしでした。でも肝心のシリウスBは結局どうやって見てもわからず。途中ちらっと、もしや!と思うものはありましたが、シンチレーションに混じっていて最後まで確証が持てませんでした。それよりも、同時にディフラクションリングもじっくり見ていたことになるのですが、ディフラクションリングがシンチレーションでチラチラ、チラチラ揺れる様子がまるで線香花火そっくり。シリウスBは見えなくても、その幻想的な見え方にうっとりしていました。


まとめ

今日の眼視はこれくらい。惑星とかでの眼視の経験はもちろんありますが、屈折で恒星を極限近くまで頑張って見てみるという、ある意味初めての自分でやってみたまともな眼視体験と言っていいかと思います。結果は思っていたより超楽しい。エアリーディスクがどういうものか自分で計算したりしたこともあり、星を始めた頃だとわからなかった楽しみ方かもしれません。




でもこの楽しさ、このブログを読んでくれている方にうまく伝わったでしょうか?眼視の場合写真を使うわけにいかないので、文章での表現が全てになります。絵心とかあればスケッチとかで伝えるてもあるのですが、そちら方面は全くダメです。

一方、使って見て今回の購入に価値があったかどうかですが、もともと絶対的な信頼がおけるリファレンス的な鏡筒が欲しかったというのがあり、ディフラクションリングも簡単に見えてしまうなど、TSA-120は十分な性能がありそうなことがわかりました。自分的には価値は十分にあったと思えます。相当満足です。


今後の展開

手持ちの高性能アイピースは焦点距離が短いものばかり。天リフで紹介されていたような、長焦点の低倍率広視野アイピースも興味が出てきました。2インチアイピースも視野に入ってくるのでさらに可能性が広がりそうです。

シリウスBはシンチレーション のいい日に再挑戦します。惑星も楽しみです。眼視もまだまだ試したいですが、その一方撮影にもつなげていきたいです。そのためにはフラットナーやカメラの接続アダプターなどまだまだ様々なアクセサリーを用意しなくてはいけません。遠征のためにはケースも必要です。余裕があるなら鏡筒バンドも早く取り替えたいですし、レデューサーとかにも手を出して見たいです。でもしばらくは節約なので、少しづつ揃えていくつもりです。


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