ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ:鏡筒 > TSA-120

6月13日(土)、夕方から飛騨コスモス天文台の観望会です。


観望会機材の準備

土曜の夕方16時頃から、観望会のための機材の準備を始めます。天気予報はどこをみても晴れなので心配ないはずですが、あいにく出発地の富山は曇りで雨もぱらついていますが、飛騨は大丈夫なのでしょうか?

この日の機材は、暗くなる直前の西の空の木星と金星狙いで①TSA-120、子供用にいつもの②スコープテックの屈折経緯台、あとは③FMA135とトラバースの電視観望セットの3種類です。惑星用はいつものC8が良かったのですが、今は太陽用にC8とフェニックスをくっつけて使っていて、セットアップを崩したくないので、今日はTSA-120が代理です。


出発して現地まで、でも天気が...

機材の準備も完了し、出発は17時ちょっと前。18時過ぎには現地に着く予定です。

途中雨が結構降っていましたが、現地に着く頃にはとりあえず地面は乾いているくらいでした。でも外に出ると、少しだけですがまだ雨がパラパラしています。濡れるとだめなので機材は出せないのですが、車のトランク側のバックドアを上げて屋根代わりにして椅子を出してのんびりしていたら、程なくしていつものスタッフの方達が3人到着です。

到着後は全面曇りに近かったのですが、少し待つと西から北の空が晴れてきました。これなら木星と金星は大丈夫そうです。
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東から南の空にかけて大きな虹がかかっていました。
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惑星は...?

最初のお客さんが来たのは19時少し前くらいだったでしょうか。知り合いのM君一家で、4歳の息子さんを連れて奥様と3人で初参加です。でもこの季節は夏至直前で、まだ全然明るいんですよね。一番星もまだ結構待たなくてはいけません。

待っている間に晴れていた西の空がどんどん曇ってきました。徐々に暗くなってきてもう木星も金星も輝き出す時間になっても、まだまだ曇っています。

その間に少し青空が見えるところがポツポツ出てきて、一番星はそこから見えました。星座ビノや双眼鏡を出して、みんなで見ます。

その頃には他のお客さんも徐々に増えていて、今回はトータルでは20-30人くらいと言ったところでしょうか。始まりの時間が雨とか雲だった割には、集まった方だと思います。どの天気予報を見ても晴れだったはずなんですが、当てになりませんね...。

そうこうしていると、西の空の隙間から、数分間が何回かと言ったところだったでしょうか、一瞬だけ金星が見えました。スコープテックでパッと導入して、見てもらいました。でもスコープテックだと金星の欠けを見るのはちょっと厳しいんですよね。木星だったら衛星や縞まで見えるはずなのですが、結局木星は姿を現すことはなかったです。残念ながら、惑星のために持ってきたTSA-120は、雨が心配だったので出すのを躊躇していて、金星出現で急遽出動したのですが、導入まで時間がかかりすぎで間に合いませんでした。


最初は曇りでしたが、そのうちに...

惑星が見えないのは仕方ないので、TSA-120で雲越しに少しだけ見えていたベガを導入します。目ではまだベガがやっと見えているくらいです。望遠鏡だと、雲越しでもベガの周りにたくさんの星が散りばめられていて、アイピースの中の像に皆さん喜んでくれたようです。

時間が経つに連れ、夏の大三角や北斗七星も見えてきて、天頂付近の雲もだんだんなくなってきました。織姫様と彦星様の話や、北極星の見つけ方、星座ビノを使ったこと座の形の確認など、定番の話で皆さんと交流します。


いつもの電視観望とTSA-120での眼視

この頃には夏の大三角のあたりの低いところの雲もだいぶ薄くなってきたので、電視観望でM57リング状星雲と、M27亜鈴状星雲、北アメリカ星雲を見せることができました。

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でもまだ時折雲が濃くなったり薄くなったり不安定で、ちょうど白鳥座の形が見え始めた時にTSA-120でアルビレオを入れて、色の対比を見てもらいました。

今回は徐々に晴れ渡ってくるところを楽しんでもらった観望会になったのかと思います。21時過ぎにはかなり晴れ渡ってきましたが、その頃まで残っていたお客さんはだいぶ少なくなっていました。「ここまで残っていたご褒美ですかね」とか言いながら、みんなで暗い空を楽しみました。


天の川

もともと都会から来た、知り合いのM君一家は、まだ天の川を見たことがないと言います。でも21時くらいの時点ではまだ低空の雲が取りきれなくて、天の川と認識することができません。4歳の子はこの頃には眠気を超えたのかハイテンションになっていて、それから程なくするとぐっすりと眠ってしまいました。21時半頃には天の川が少し認識できてきます。M君夫妻もなんとなくわかってきたみたいです。22時頃まで粘ると天の川がかなりはっきりしてきます。


TSA-120での電視観望

天の川を待っている間に、M君に銀河を見せてあげようと思い、空いていたTSA-120にASI294MCを取り付けて、M51子持ち銀河を導入してみました。FMA135ではちょろっとわかるくらい、街中でFC-76で見た時は形はわかるくらいでしたが、さすが暗い空と口径120mmのTSA-120です、導入している最中から形がわかるくらいです。下の画像は露光時間が6.4秒の9枚くらいの、トータル57秒ですが、腕のかなり細部まではっきりと写っています。
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ただ、輝点ノイズが目立ったので、SharpCap上でダークを10枚だけ撮影してリアルタイムダーク補正をしました。次に見たM97梟星雲では、目立っていた輝点が全部消えているのがわかると思います。
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ここでM君一家が帰路につきました。車で15分くらいのすぐ近くに住んでいて、自宅に着いたら早速今日のお礼のメッセージが届きました。十分楽しんでくれたみたいです。

結局最後に残ったのはいつものスタッフの方だけで、私を入れて4人だったのですが、実はここからが本番だったと言っていいかもしれません。その頃にはもう空も全面晴れ渡っています。あんなに苦労して見ようとしていた天の川も、2本に分かれるのがはっきりわかるほどくっきりと見えています。電視観望でいくつかリクエストに応じて導入していきます。極軸が全然合っていないので毎回数度程度ズレるのですが、赤道儀がCGEM IIで安定に応答してくれるので、プレートソルブで1-2回同期し直すだけで真ん中に持ってくることができます。

まずは同じ北の空の、M81とM82。カメラの角度が悪かったのですが、こちらも6.4秒露光13枚で、トータルわずか1分23秒の露光ですが、もう十分すぎるほど見えています。銀河なのでフィルターは外しています。
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次はM13。天頂付近です。トータル2分34秒。
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拡大すると色も赤と青と白にはっきり分かれるのが見えます。
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さらに最初にFMA135で見たM57を今度はTSA-120で見てみます。中心星もよくわかります。
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こちらもFMA135で見たM27です。流石に1分程度なので周りの羽まではわかりませんが、星雲本体の構造などは十分わかります。
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最後は三日月星雲です。
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なんか淡いなと思ったら、フィルターを入れていないことに、この時やっと気づきました。外していたCBPを取り付けたのですが、ハロが見えてなんか変です。雲かなと思ったのですがそうでもないですし、鏡筒が曇ったかなと思ってもフードを伸ばしているので全く大丈夫です。あっと思って、カメラを外してフィルターを見たら、完全に曇っていました。外したフィルターを机の上に置いておいたら、湿気で結露してしまっていました。机の上をよく見ると、置いてあった星座ビノや、PCのキーボードまで水滴でベトベトになっています。


撤収

フィルターを乾かすのは大変なのと、もう23時半頃と夜も更けてきたので、ではここら辺で終わりにしますかと言って、撤収に入りました。機材を結構出していたのと結露が酷かったので、片付けはちょっと大変でしたが、スタッフの皆さんに手伝ってもらったので、意外とすぐに片付けることができました。

現地を出たのがちょうど0時頃。自宅に着いたのが1時頃でした。空を見ると、こと座も白鳥座もはっきり形が分かります。さらになんと、天の川を見ることができました。自宅から天の川が見えるのは、年数回あるかないかで、珍しいくらいの透明度でした。でも疲れていたので、2時頃には寝てしまいました。


まとめ

TSA-120の電視観望の破壊力が想像以上でした。暗い空だったことももちろんあるのですが、1分とかの露光でここまで見えるので、待たなくていいです。そのため、次々と対象を変えることができるので、これはかなり楽しいです。

普段惑星の眼視はC8なのですが、たまたまこの日は太陽でC8を使っていたので、代役でTSA-120を持ってきただけなのですが、電視観望でこれだけ見ることができるなら、今後は惑星の眼視も、その他の眼視も含めてTSA-120の方がいいかもしれません。

今回は暗い空だったからかもしれません。明るい場所でもどれくらい強力なのか今度試してみようと思います。


4月25日(土)、朝から晴れていて時間が少しあったので、久しぶりに粒状斑を見てみることにしました。

前回粒状斑を見たのは2025年11月のことで、2021年からずっと挑戦していて、長年の苦労でやっと見えたと報告したのが以下の記事です、



撮影セットアップ

今回のセットアップも、カメラ以外は前回と同じになります。

TSA120に2インチのUV/IRカットフィルターと、眼視用の2インチのOIIIフィルターを取り付け、カメラに1.25インチのHβフィルターをつけています。1インチのアイピース口をつけて、そこにExplor Scienteticの5倍のバローを取り付けています。

カメラは前回はピクセルサイズが2.9μmのASI290MMを使いましたが、今回はピクセルサイズ2.0μmのG3M678Mを使ったので、分解能的に少し有利になるかもしれません。

ただしTSA120の口径は120mmなので、口径からくるレイリー限界がOIIIだと1.05秒角になります。焦点距離が4500mmの場合、ピクセルサイズ2.9μmだと、1ピクセルあたりの画角は0.13秒角、2μmだと、画角は0.091秒角と、いずれにせよ十分すぎるくらい細かいので、実際の改善はほぼないと思われるかもしれません。

でも、粒状斑の大きさが1000km程度で、視野角としては1秒角程度にしかならないので、そもそもがレイリー限界程度です。1秒角のものを、ASI290MMの0.15秒角程度の分解能で見るか、G3M678Mの0.1秒を切る分解能で見るかという違いです。言い換えると、粒状斑を一辺6ピクセルくらいで見るか、10ピクセルで見るかという違いになります。

レイリー限界を信じるなら、そもそも粒状斑は全然見えないのでしょうし、ピクセルサイズの違いで改善はないでしょう。レイリー限界を超える何かがあるなら、ピクセルサイズで多少の効果はあってもおかしくないかもしれません。果たして、どちらが正しいのでしょうか?


撮影時のシーイング

この日はそこそこ大きな黒点群が出ていて、G3M678Mの画角にちょうど合うくらいなので、そこを狙いました。ただ、時間的に午前の少し遅い時間帯なので、そこまでシーイングは期待できなさそうです。30秒程度ごとに1ショット、合計1時間程度で120ショットを撮影しました。

撮影を開始してからはそのまま放っておいて、朝昼ご飯を食べにいきます。この日は近所のガストでした。モーニングギリギリに入って、クーポンで少し安くなったトンん汁定食を食べました。

午後12時ころに帰ってきて、今度はもう少し小さな黒点を、ROIで縦横半分にして撮影しました。こちらも1時間程度で120ショット撮影しました。

撮影終了後、AutoStakkertt!4のバッチ処理で一気にスタックし、ImPPGで細部を出して比較しますが、どうやらこの日はシーイングは全然ダメだったようです。基本的には粒状斑が全く出て来ない画像がほとんどでした。午前中の画像は、粒状斑が画面の1部にある程度写っていたものが16枚、画面全体に粒状斑が写っていたものはわずか4枚でした。午後はもっとひどくて、粒状斑らしきものがある程度見えるのがわずか4枚で、全体が写っているものはそのうち1枚だけでした。

実は、前回の粒状斑の撮影後に、試しにC8でも同じような手法で120ショット撮影したのですが、全然うまくいかず、粒状斑の画像としては全滅でした。その後はC8という機材が悪いと思い込んでいたのですが、TSA120でもシーイングで写り方が全然違うので、もしかしたらC8のときはやはり撮影時間帯の間中シーイングが悪かった可能性も捨てきれなくなりました。口径の差は効くと思うので、いつかC8とTSA120で撮影して比較できればと思います。

ちなみに、次の日曜の午前にも同じTSA120のセットアップで粒状斑を120枚撮影しましたが、この日のシーイングはもっと酷くて、全面に粒状斑が映っているものは1枚もなく、全ボツでした。シーイングの影響はものすごく大きいです。


結果

さて、今回の撮影結果です。まずは土曜午前の分のG3M678Mのフル視野角で、巨大黒点群AR4420周りです。

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  • 撮影日: 2026年4月25日10時15分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120(f900mm、F7.5) + Explore Scientific x5バローレンズ
  • フィルター: UV/IR cut、Baader 7nm OIII、7nm Hβ
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ToupTek G3M678M
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2 solar
  • 撮影: SharpCap Gain 100 (= 0 for ZWO camera = 0 dB = 1倍)、平均23fps、露光時間0.8ms (10時11分から11時15分まで、約30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200フレームをスタック)
  • Dark、Flat補正: 無し
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop CC

次が、午後の撮影で、少し離れた単独黒点のAR4421をROIで縦横半分のサイズにして撮影したものです。
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  • 撮影日: 2026年4月25日13時31分
  • 撮影: SharpCap Gain 100 (= 0 for ZWO camera = 0 dB = 1倍)、平均23fps、露光時間0.6ms (13時31分から14時36分まで、約30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200フレームをスタック)
  • Dark補正: 無し、Flat補正: Gain 100、露光時間0.6ms x 32枚
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、Photoshop CC

惜しむらくは、上の両画像とも画面内で分解能が出ているところと、分解能が出ていないところがシミのような形で分かれていることです。これは元の動画の1コマ1コマを見るとわかるのですが、シーイングがいいところと悪いところが画面内で分かれているからです。その中でもシーイングがいい時の画像を瞬間的に持ってきているのですが、画面内でいいところだけを選ぶという技術はまだないので、このように時間平均して悪いところが残ってしまうようです。

とにかくシーイングは全然良くなくて、それにもかかわらず、1時間にわずか1-2ショットだけですが、かろうじていい瞬間があるというのは、統計的に見ても非常に面白いと思います。


前回ベストと比較

前回のベストをいま一度比較のために下に掲載しておきます。
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シーイングは前回のほうがよかった印象にもかかわらず、今回の方が分解能が出ているので、やはりピクセルサイズの小さいカメラの効果はあったのかと思います。ただし、シーイングの良かったせいもあると思いますが、画面内の安定度は前回の方が上なのかと思います。


デジタル時代のレイリー限界の意味

こうやって見てみると、レイリー限界の意味がだんだん薄れてくる気がします。レイリー限界は、眼視時代に定義された、人間の目で2つの星を見分けることができる一つの目安です。具体的には、2つの星のエアリーディスクの重なりが大きくなると中心の間に明確な輝度の落ち込みがなくなるような状態で、 片方の星の明るい中心が、もう片方の星の最初の暗い輪に重なるのが限界になります。

レイリー限界は鏡筒の口径とターゲットの波長のみで決まって、今回のTSA120の場合はOIIIで1.05秒角となります。これが本当に限界だとしたら、そもそも1秒角程度の大きさでしかない粒状斑はほとんど何も見えないことになります。でも、実際にはよく見えてるんですよね。

今回は焦点距離を伸ばすことで、この1秒角程度の粒状斑を10ピクセルくらいを使って見ています。レイリー限界を信じるなら、より細かいピクセルを持ってきてもオーバーサンプリングになってしまい分解能は上がらないはずなのですが、目で見る場合と違いカメラで撮影した画像データでは、例えば少しの輝度差も、輝度のオフセットを除き、輝度さを画像処理で拡大などすることで、S/Nよく明るい部分と暗い部分が区別できるので、レイリー限界で考えるよりももっと分解能は上がってもおかしくありません。

今回の結果だけ見ると、粒状班の形や、更には粒状班の中の様子まで見えつつあります。レイリー限界だけで考えると勿体無くて、例えばこの結果からレイリー限界の10分の1くらいのサイズのピクセルで見ることには、十分に意味があるということが言えそうです。


まとめ

口径120mmで見る分解能としてはかなり限界に迫っているのかと思います。ここまで迫るためには、シーイングの極めていい瞬間を狙うことがかなり重要になります。1時間撮影して、シーイングが良くなるあるある時間帯のうちの、その中でも一番いい16ミリ秒ぶんを使ったということになります。確率で言うと、20/(200*120) = 0.083%です。いい分解能を得るのは、このくらいの確率を考えなければならないということもなんとなくわかってきました。

ただ、日としては悪いシーイングだったので、シーイングのいい日を狙うとまだ改善する余地があるのかと思います。あとは、やはりもう少し大きな口径で同様なことを試してみたいです。


前回までの先週末の記事に続き、今週11月22日からの週末の記事になります。しかも3連休なのでネタがかなり豊富になりそうです。まあ、焦らずに記録の意味も込めて書いていきます。

土曜日も色々やったのですが、ネタ的には今日の日曜のことの方が面白いので、順序は多少前後しますが、2025年11月23日のことを先に書きます。

3連休の中日になりますが、朝から何をするか迷っていました。分光は新しいスリットでまだ撮影して無いですが、TSA-120はまだセンサー面積の大きいカメラが用意できないのであまり進歩はなさそうです。
  1. C8とPSTの撮影で午前のシーイングのいい時に分解能を出すのは試してもいいかもしれませんが、以前やっていたことを確認するくらいになるので、新しいことはなさそうです。
  2. 前日最後に少しだけ試したTSA-120とPSTでHαを楽しむのも良さそうですが、分解能がシーイングに制限されることはないと思うので、午前中にやる価値はあまりなさそうです。
色々考えていて、粒状斑の挑戦をしてみようと思いました。これまで粒状斑はC8を使って撮影しようとしていて、これまで最も移った時でこれくらいです。


鏡筒はこれまで通りC8にするか、最近再び活用しつつあるTSA-120にするか迷いました。というか、TSA-120みたいな高級機を太陽に使うのはちょっと怖かったんです。どこか内部の黒い所に焦点があってしまい、内部で焦げて煙が発生したとかになると、簡単に掃除もできないので手が出なくなります。分光撮影で恐る恐る TSA-120を太陽に使ってみましたが、問題無さそうなことがわかってきたので、今回も試しに使ってみることにしました。

これまではC8に薄いフィルム上ののOD=5のNDフィルターを使って光を10万分の1にして、そのまま白色光で撮影していました。緑系や青系のフィルターを使ったりもしましたが、どうしてもうまく見えることはありませんでした。今回口径が小さくなったので、いっそのことNDフィルター無しでなんとかならないか考えてみました。

まず、口径が120/200=0.6倍なので、エネルギーではその2乗で0.36倍。2インチ径のUV/IRカットフィルターは焦点を外せば十分耐えられることはこれまでC8のPST前部に入れていてわかっているので、それを入れてエネルギーは更に半分で0.18倍。

今回はここにさらに、2インチ径の6.5nm透過のOIIIフィルターを重ねて使おうと思います。どうやら、OIIIはフィルターは粒状斑をみるのにも適しているようです。このOIIIフィルターは反射型っぽかったので熱くなることは無さそうで、徐々に光を入れて試しましたが、ほとんど温まることもなく全く問題ないようです。可視光の幅が350nmから700nmとして、OIIIの約7nmの透過幅と考えると、ここでエネルギーはざっくりですが100分の1になります。

口径とフィルター2枚ででトータルで500分の1くらいの明るさになっているはずで、まあこれで大丈夫じゃないかと試しましたが、それでもカメラの露光時間を最短の0.032msにしてもまだ明るすぎました。

らちが明かないので、さらにカメラ手前に1インチの、これまで全然使ってこなかったHβフィルターを入れてみました。だんだん何をやってるかわからなくなりつつありますが、OIIIの波長が495.9nmと500.7nm、Hβの波長が486.1nmとかなり近いので、透過率が重なる部分が多少はあるだろうという目論見です。これでgain=0で露光時間が最短の0.032msでちょうどいいくらいの明るさなりました。TSA-120の焦点距離は900mmで粒状斑を見るには短すぎますが、この時点で粒々っぽいものが見えています。ここに手持ちのExplorer Scientificの5倍のバローを入れると、1msくらいの露光時間でちょうどよくなりました。画面を改めて見て見ると、

「おお!見える!見えるぞー!」

実はこの時点で曇っていたのです。雲越しなのですが、リアルタイムの画面でチラチラしてますが、これまでにないくらい粒状斑が見えています。雲は多少心配ですが、このままシーイングのいい時間帯を狙えればと思って、30秒ごとに200フレーム、計120ショットを撮影してみます。

最初の撮影ではガイド無しだったので、しばらくすると画面からずれていきました。ガイド鏡を用意して、PHD2のソーラー版でガイドします。ついでに黒点を探して、黒点周りの粒状斑を移すことにしました。120ショット撮影して、途中雲でかなり暗くなることもありましたが、その中のベストショットを示します。モノクロ版と、疑似カラー版です。

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11_00_34_l2_ap3983_IP_color_cut
  • 撮影日: 2025年11月23日11時0分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: Takahashi TSA-120(f900mm、F7.5) + Explore Scientific x5バローレンズ
  • フィルター: UV/IR cut、Baader 7nm OIII、7nm Hβ
  • 赤道儀: Celestrn CGEM II
  • カメラ: ZWO ASI290MM
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2 solar
  • 撮影: SharpCap Gain 0、平均79fps、露光時間0.75ms (10時45分から11時50分まで、30秒ごとに200フレームを120回撮影して、そのうちベストショットの20/200をスタック)
  • Dark、Flat補正: 無し
  • 画像処理: AutoStakkert!4、ImPPG、PixInsight、Photoshop CC

どうでしょうか?長年苦労してきましたが、やっとここま写るようになりました。

120mmと決して大きいわけではないので、口径的には分解能ギリギリに近いと思います。カメラは今回ASI290MMでピクセルサイズが2.9μmですが、分光で使っているG3M678Mにすればピクセルサイズが2.0μmになるので、もう少し分解能が出るかもしれません。

これまでのC8と違って、どうしてここまで出たのか?

シーイングが特別良かったとは思えません。TSA-120のシャープさが効いたのでしょうか?それともNDフィぃルター無しのナローバンドフィルターが効いたのでしょうか?おそらく後者かと思いますが、次はC8でも同じナローバンドフィルターで試してみたいと思います。


まとめ

とうとう念願の粒状斑を満足できるレベルで撮影することができました。そもそも朝に何をするか迷っていたくらいでしたが、試してみてよかったです。

TSA-120を使い、NDフィルターなしで、ナローバンドで撮影していますが、何が一番効いていたかはまだ不明です。それでも今回、少なくとも方法はわかったので、今後もう少し色々試してみて、効く所と効かない所をはっきりさせ、最適化をしていきたいと思います。



太陽分光撮影のアップグレード計画の開始です。

アップグレートはトータルで考える

以前議論したように、現在のFC-76+SHG700+G3M678Mがどこまで性能が上がるのか、実際に機材をアップグレードして試してみることにします。

きっかけは、元々SHG700に標準で付いていた幅7μm、長さ7mmのスリットが、幅は同じで長さが10mmのものにアップグレードされることが検討され、そのテストも完了し、やっと一般配布が始まったことです。私も発表されてすぐに発注しました。到着はかなり前だったのですが、今のセットアップでやりたいことも大体できたので、やっとテスト開始というわけです。

そもそも、スリットの長さが長くなると何が良いのかというと、一言で言うと鏡筒の焦点距離が伸ばせると言うことです。分光撮影ではスリット上で焦点を合わせる必要があることから、焦点距離によって太陽像の大きさが一意に決まってしまいます。ざっくり言うと、長さ7mmのスリットで焦点距離700mmまで、長さ10mmのスリットで長さ1000mmまでです。今使っているFC-76の焦点距離は600mmなので、7mmスリットでまだ少し余裕があります。今回は10mmスリット用に、焦点距離900mmのTSA-120を使うことを考えています。

でも単純に焦点距離を伸ばせば良いのかというとそうでもなくて、例えばカメラセンサー上の太陽像の大きさも大きくなるので、センサー面積を大きくするか、カメラレンズの焦点距離を短くするなどの手当てをしてやる必要があります。また、焦点距離が長くなると口径も大きくなりがちで、その分集光された光のエネルギーが上がるので、スリットが焼けたり壊れたりしないかなども考慮する必要があります。SHG700で使われているスリットは溶融石英製で熱膨張率が小さいため、MLastroによると口径4インチ(102mm)までは大丈夫とのことです。普通のBK7などのスリットだと耐熱量はもっと下がるので、普通はNDフィルターなどを入れる必要があります。だた、溶融石英と言えど今回は口径120mmと推奨口径より大きくになるので、少し心配です。


参照画像撮影と事前テスト

まず比較のために現在のFC-76ベースでのHα画像を撮影しておきます。その結果は前回の記事にまとめてあります。そうです、前回記事はいつもの記録撮影に加えて、新システム移行に際しての比較テストという意味も兼ねていたのです。これと今回撮影する画像との比較で、性能が上がったかどうか判別します。

比較のための事前撮影が終わった後に、まず最初にやったのは、口径を大きくしてスリットが溶けたり燃えたりしないかの安全テストです。口径が120/76=1.58倍となるので、光量は(120/76)^2~2.5倍となります。上でも書いたように少し心配なので、C8にPSTを取り付けた際に使ったようなUV/IRカットフィルターを入れてやります

太陽のエネルギースペクトルを考えると、可視光の割合は全エネルギーの約半分(47~52%)とのことです。今の76mmで十分余裕があること、120mmそのにするとその2.5倍になるくらいなので、可視光以外をカットしてしまえばスリットにダメージが出るようなことはなさそうです。

それでも念のために、まずはSHG700には何も手を加えず、鏡筒をTSA-120に変更します。
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最悪スリットにダメージがあったとしても、長さの短いものが壊れるだけで、新しい10mmのものはまだ壊したくないという意図があります。光を入れる際も、少し光りを入れてから一旦鏡筒からSHG700を外して、スリット部やその周りが熱くなっていないかなどを確認しながら、徐々に入れる光の量を増やしていきます。フルで光が入っても問題なさそうなことを確認できた後も、光を入れる時間を徐々に増やして、その都度外して暑くなっていないか確かめます。数分間入れても全く熱くならないことができたので、撮影に入ります。カメラはまずはこれまでと同じG3M678Mです。当然ですがもう全景は入らないので、左右2つに分けて撮影します。JSol’Exでの太陽像再構築は、全景が入っていなくても可能なはずです。1ショットだけ撮影したところで太陽像を再構築してみましたが、問題なさそうなので、左側5ショット、右側5ショットを撮影しました。

実際のスリット交換と、失敗したカメラ交換

次に、スリットを新しい10mmの長いものに変更します。二つスリットを並べましたが、溝をカメラで写すのはちょっと大変で、部屋の明かりを利用して何とか片方づつ写るようにしてみました。右が古い7mmスリットで、左が新しい10mmスリットになります。
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古いスリットは、SHG700に取り付ける台座とスリット部の台座が分かれていたのですが、新しいスリットは一体型になっていました。
コスト的には新しい方が正しいのかと思います。もしかしたら、スリットの角度を変更したくなったときに少し困るかもしれません。

新しいスリットをSHG700に取り付け、さらにカメラのセンサー面積を大きくするために今回はフォーサーズのASI294MM Proを使ってみました。ですが、ここから大きくトラブることになります。まず、アイピース型のカメラではなくなるので、カメラを取り付け口の中に入れ込むことができなくなり、ピントが出なくなります。そのためアメリカンサイズに変更するアダプターを取り外しT2ネジでとりつけることになりますが、ねじ込み式になるのでカメラの回転角の調整ができなくなります。最初どうするか迷ったのですが、MLastroのチュートリアルビデオを見直すと、SHG700本体側にイモネジがあって、そこを緩めることで取り付けアダプターを回転できるとわかりました。

決定的な問題点は、ASI294MM Proは任意のROI(Region Of Intrest、ソフト的な画角)を選べないのです。ZWOのマニュアルによると選べるROIはどうも固定っぽいです。しかも、フレームレートが最小のROIの320x240でも高々60-80fps程度で、実際にほしい300fps程度には全く届きません。最大幅にしてテイフレームレートになっても、赤道儀をものすごくゆっくり動かして撮影することはできるかもしれませんが、さすがにあまり実用的ではありません。

この時点でASI294MMを使うのを諦めました。別のモノクロでセンサー面積の広い、且つピクセルサイズが小さいカメラを手に入れる必要があります。とりあえずTSA-120での全景撮影はしばらくお預けです。

追記: 後日、ASI294MM ProでROIを変える方法が見つかりました。これで全景を一度に撮影できるようになりました。ただし、フレームレートが遅いので、撮影に時間がかかるのが難点です。



とりあえずの画像比較

TSA-120での全景撮影はあきらめましたが、撮影時に左右(再構築時には上下)に分かれた画像はできたので、それをFC-76の画像と比較してみます。前回記事で示した画像は処理済みで比較しにくいので、JSol’Exで出力したRAWに近い「disk」イメージで、スタックなどもしないで比較します。

まずはFC-76のもの。
09_03_03-trimmed_0000_09_03_03-trimmed_disk_0_00

次に2つに分かれたTSA-120のものです。
0000_14_07_56_disk_0_00

0008_14_14_13_disk_0_00

同じ日の撮影ですが、2時間ほど間が空いているので、Hαの構造は結構変わってしまっていますが、差がわかりやすいところを拡大して並べて見ます。左がFC-76、右がTSA-120です。
comp

よく見比べないとわかりにくいかもしれませが、それでも明らかに右のTSA-120のほうが細部まで出ています。十分に価値のあるアップグレードになりそうなので、新しいカメラを手に入れることにしました。

カメラセンサーはIMX-183が良さそうです。ZWOでも出てますし、ToupTekでもあります。ToupTek提供でMLastroブランドでも出るみたいです。選択肢はありそうなので、値段と在庫を見て決めればいいのかと思います。ただし、ピクセルサイズがG3M678Mの2.0μmより大きく、2.3μmとなるので、上の比較画像ほどは差が出ないと思いますが、それでも価値は十分にありそうです。将来的なさらなるアップグレードも視野に入れて、機材を徐々に充実させていきたいと思います。

まとめ

残念ながら手持ちのカメラではROIとフレームレートが不十分でしたが、分解能向上のポテンシャルは十分確認することができました。スリットはそのままで、鏡筒は一旦FC-76に戻してしばらくは撮影を続け、新しいカメラが来たらTSA-120に再び交換して試してみたいと思います。



11月17日からの週末の5連続の記事です。







前回の記事で皆既月食の作戦立てとリハーサル、当日の撮影の様子まで書きました。今回はその続きです。



皆既月食とその前後

まずは一番オーソドックスで解像度も出る
  • TSA120+ASI294MC Pro(常温)+CGEM II
で撮影したものからいくつか処理します。このセットアップもSharpCapのシーケンサーを使い2種類の明るさで撮影しています。シーケンサは以下のような設定になります。1分間のうちにgain120で1ms、gain240で25msの撮影を4時間分240回繰り返しているだけです。

seqencer_TSA120

赤道儀の追尾レートは月時に合わせていますが、撮影中は月が画面の中でどんどん上に上がっていくので、適時ハンドコントローラーで月の位置を真ん中に移動しながらになります。全部で277ファイルが保存されていました。途中の天王星食などにはシーケンサーを止めて好きな設定で撮影していますので、連続撮影にはなっていませんが、保存された.serファイルからいくつか見栄えがいいものを画像処理をしました。

まずは皆既に入る前です。
ZWO ASI294MC Pro_25ms_240_2022_11_08_19_09_33__lapl5_ap2594_RS2
ターコイズフリンジが出てくるような画像処理としました。

次は皆既月食中で、天王星の食に入る少し前です。
ZWO ASI294MC Pro_50ms__2022_11_08_20_29_59__lapl5_ap689_IP
天王星が月の左側の真ん中ら辺に見えています。繋がって見えるのは動画で撮っていたからで、60秒間さつえいしたので、60秒で天王星が移動している分だけ繋がって見えているというわけです。

もう一つは皆既月食終了直後です。こちらもターコイズフリンジが見えるように処理しました。
ZWO ASI294MC Pro_25ms_340_2022_11_08_20_46_29__lapl2_ap1098_RS3


月時レートでも月が画角内を移動!?

今回使ったCelestronの赤道儀では、追尾レートを「恒星時」「太陽時」「月時」の3つから選べます。

実はリハーサル時に、「月時」に設定してしばらく追尾を試したんです。でも長時間追尾すると画面内で月が動いていくんですよね。極軸はそこそこきちんと合わせたつもりだったのですが、ずれていたのかと思い、再び極軸を合わせます。この時にまず大気収差の補正をするのを忘れていたことに気づきました。新しいPCを使ったので、設定し忘れていたのです。気を取り直して再度極軸合わせ。今度は大丈夫なはずです。でもでもやっぱり月は動いていってしまいます。見ていると、どうやら必ず上に向かうようです。

ここでじっくり考えました。そもそも月は28日かけて全天を一周します。ざっくり30日で360度とすると、1日12度もずれていくわけです。1時間あたり0.5度、月食の間の4時間では約2度もずれていきます。その一方、恒星は1年かけて360度全天を一周するので、ざっくり1日1度、1時間では約0.04度、4時間でも0.16度程度しか進みません。

この角速度の差は、月食観測中も恒星に対して月が移動していくことを示していて、しかもその動きは赤道儀の追尾の動きに対して水平に動くだけでなく、上下に動く成分もあることにやっと気づきました。地球に対する月の公転軌道は、地球の自転軸に対して水平ではないからです。ここにたどり着いてから、たとえ赤道儀の月時で月を追尾しても、画面内で上下に動いていくことにやっと納得できました。

でもそうすると大変です。上下に十分な余裕があれば別ですが、画角一杯に月を入れたい場合にはすぐに上下に逃げて行ってしまいます。それをマニュアルで適時上下に追い続けなければダメです。

これを回避するために、ガイド鏡を用いて、月をターゲットにして動かないようにすることも考えました。太陽撮影の時はこのようなガイドをすることがあります。でも今回は月食で、形が劇的に変わるような過程です。こちらもどうも難しそうで、本番一発で成功させるのは流石に自信がありません。

本当は月が画面内にピタッと動かずにずっと連続で撮影したかったのですが、それが無理だとわかったので、今回は「TSA-120は自由に好きなタイミングで撮影する機材とすると決めた」という経緯があります。

この考察は、この後の記事で書くつもりのFS60CBで画角を一切変えずに、太陽時で追っていくことにつながっていきます。


さらなる画像
 
TSA-120で撮影したものだけでも、まだまだ未処理の画像が大量にあります。特に、天王星食は別ページでまとめます。

またTSA-120で撮った画像の処理が進んだら、随時ここに追加していくかもしれません。


 
 
 
 
 
 
 
 


 

前回記事で試したASI2400MC ProとFS-60CB +旧フラットナーで試した電視観望。

お気軽電視観望というところからは程遠いことがわかり、今回は満を辞してのTSA120の登場です。さて、どうなることやら。


TSA-120にASI2400MC Proを取り付ける

前回FS-60CBでの反省を踏まえ、TSA-120でのセットアップです。

IMG_5226

  1. まず、カメラセンサーの近くにホコリがついていた可能性があるので、ブロアーで吹き飛ばしました。
  2. 周辺が歪まないようにフラットナーを鏡筒側に取り付けます。
  3. FS-60CBで苦労した接続も、2インチアイピースが標準のTSA120なら楽勝です。カメラに付属の2つのアダプターは、2インチアイピース口の差し込み口の径に合うような48mmのものになっています。落下防止の意味も含めて、アダプターを2つ連結してカメラに取り付けます。
  4. 月は出ていないですが街中で明るいのでCBPをカメラのアダプターの先に取り付けます。
  5. カメラ本体をアイピース口に差し込みます。
  6. 架台もAZ-GTiでは当然荷が重いので、CGEM IIにします。
IMG_5235


さあ、豪華セットで電視観望開始!

この状態でM42オリオン大星雲で比較します。今回も、西の空低くの沈みかけになります。FS-60CBではなかなか出なかったのですが、TSA-120では細部までかなり出ていることがわかります。ランニングマンも写りかけています。基本的にピクセルサイズが6μmと大きいため感度が高いためか、西のかなりひどい状況の空でも十分に映し出すことができています。
03_M42
ただし、FS-60CBの時よりはましみたいですが、それでも周辺減光があります。実はこれ、周辺減光はひどいわけでは全くなく、普通の撮影時で出てくる周辺減光と同レベルです。電視観望では強度の炙り出しをリアルタイムでしてしまうために、どうしても周辺減光が必要以上に目立ってしまいます。

次に、馬頭星雲と燃える木です。一応見えてますが、あまりはっきりしません。周辺減光で炙り出し切れていないせいもありますが、そもそも隣の家の屋根に沈む寸前。これ一枚ライブスタックした次の画像は、屋根が入ってしまいました。

01_hose

次はこちらも沈む少し前のバラ星雲です。画面をiPhoneで撮影したものです。
IMG_5233

この時にSharpCapでキャプチャした画像が下になります。
Stack_48frames_307s_WithDisplayStretch

この一部を拡大してよく見るとホットピクセルが多少あります。
Stack_48frames_307s_WithDisplayStretch_hot

でも解像度が高いので、引きで全体を見ている限りはそこまで目立たないようですが、スタック時間が長くなるとミミズのように伸びていきます。これはリアルタイムダーク補正でだいぶマシになります。

下はダーク補正をした場合。少し残りますが、細くなっていて実際の電視観望で全体で見ている限りはまず気になりません。
Capture_00001 20_41_36_WithDisplayStretch_hot

これ以降はの画像は全てダーク補正をしてあるものになります。


周辺減光をなんとかしたい

周辺減光を緩和できないか試してみました。次の画像はリアルタイムフラット補正をしたものです。iPad ProでColor Screenというアプリを使い、灰色に近い色を画面に出し、鏡筒の先端に当ててフラットを撮影しました。その際、画面が明るすぎたので露光時間を100msと短くしました。ちなみにLiveStack時は露光時間6.4秒ですが、一般にゲインさえ変えなければフラットフレームの露光時間を変えても問題ないはずです。
Stack_65frames_416s_WithDisplayStretch
でもこれを見ると、どうも赤が過補正になってしまっています。この時はモノクロのフラットフレームを作成しました。

色別で補正具合が違うということのようなので、各色で補正しなくてはダメなのかと思い、次はカラーのフラットフレームを作成してフラット補正した場合です。ダーク補正が何か影響するのかとも考え、この一枚はダーク補正もなしです。
04_rose
今度は白で過補正になっていますね。これまでも何度かSharpCapでフラット補正を試していますが、うまくいったことがありません。この日もこの時点で諦めました。以後はフラット補正はしていなくて、ダーク補正はしてあります。


春の銀河を電視観望

オリオン座が沈む頃の時間帯、春はあまりカラフルな天体はなく、鮮やかさでは寂しくなってしまいます。その代わり銀河はよりどりみどり。フルサイズなので広角ですが、十分に見応えがあります。

例えばしし座の三つ子銀河ですが、やはり周辺減光が大きいですが...、この画角だと拡大して一部だけ見た方がいいと思います。
Stack_169frames_1082s_WithDisplayStretch

実際、高解像度のカメラなので、拡大画像でも全く破綻しないんですよね。むしろこれがASI2400MC Proの真骨頂で、拡大しても得られた画像は素晴らしいの一言です。実際に見ているのに近い、iPhoneで撮影したものです。
IMG_5249
もうツルッツルですよ。これで6.4秒露光で、ライブスタックでトータル20分ちょいです。

参考に、画面をキャプチャしたものも載せておきます。
06_triplet

中心部を拡大すればこんなふうにかなり見えるようになるので、たとえ2インチ対応の鏡筒でも電視観望の炙り出しで周辺減光がある程度残ってしまうことを考えると、フルサイズの広角なのを利用して導入で楽をして、目的の天体を画面中心に持ってきて、画面上で拡大というのが使い方としては現実的なのかもしれません。

ちなみに下は、10分の1の時間、ライブスタック2分の時の画像です。
05_triplet
20分と比べるとザラザラ感は残りますが、これでも電視観望なら十分過ぎるくらい綺麗なものになります。

拡大して比較してみます。左が20分スタック、右が2分スタックです。2分のほうがノイジーですが、逆に20分は画像が流れた縞ノイズが少し出ています。
comp
ただ、拡大してこの程度なので、通常の電視観望ではたとえ2分露光のものでもかなり綺麗に見えたという印象になるかと思います。

20分スタック画像を簡易処理してみました。10分程度でパッとやったくらいです。流石に長時間かけた天体写真と比べるとダメですが、それでも十分鑑賞できるくらいにはなるのかと思います。
Stack_16bits_169frames_1082s_ABE_ABE_DBE2


次はソンブレロ銀河です。20分露光です。周辺減光が目立たないように中心部を拡大しています。これだけ見えれば十分でしょうか。
08_sonblero

最後はM51子持ち銀河です。これも20分露光で、中心部を拡大。少しノイジーですが、かなり細部まで出ています。これは結構すごい!
23_M51

少しノイジーだったので、あっと思い、この段階でこれまで冷却していないことに気づきました。そのため、では冷却したらどうなるかを試しました。
24_M51
ただし、その際、SharpCapを最新版にアップデートしたのですが、少し状況がわかったようです。ほぼ同じ条件で冷却をオンにしただけですが、明らかにノイジーになってしまっています。必ずしも最新版がいいわけではないようです。インターフェースは白の明るい部分がなくなり、改良されているようです。

そもそも電視観望は長時間露光ではないので、冷却がどこまで効くかは疑問で、今回は冷却に関しての効果の判断は保留としたいと思います。

とここら辺まで試して月が出てきたので終了。ASI2400MCとTSA-120での贅沢電視観望いかがでしたでしょうか?このレベルを観望会で、しかも大型画面やプロジェクターで見せることができたら、結構すごいと思います。


まとめ

ASI2400MC Proでの電視観望である程度わかったことをまとめておきます。
  • 鏡筒をかなり選んでも、フルサイズの電視観望では周辺減光はどうしても目立ってしまう。
  • リアルタイムダーク補正は結構効く。
  • リアルタイムフラット補正は結構難しい。
  • 感度、フルサイズの解像度、ダイナミックレンジは素晴らしく、電視観望でも撮影に近いレベルで画像を得ることができる。
などです。苦労もありますが、それに見合う結果は出るのかと思います。

ただし、このカメラの値段を調べてもらうとわかりますが、ちょっとというか、かなりのものです。電視観望のためだけに購入するのはなかなか勇気が必要で、今回は借り物だから実現できたのかと思います。撮影のためにこのカメラを購入し、そのついでに電視観望をするとかならまだ現実的でしょう。予算がある公共の天文台とか、個人でも余裕がある方は電視観望用途でも検討する価値はあるかと思います。ただ、今回私も口径や焦点距離、周辺減光などで結構苦労したので、ある程度のスキルも必要になってきます。こう考えると個人で電視観望のみの用途だとは少しもったいないレベルの機材の気がしますが、ただし、得られる画像はかなりのものであることは間違い無いので、興味がある人は検討する価値があるのかもしれません。

今回はこれまでとは方向性の違った豪華機材での電視観望でしたが、かなり楽しかったです。結論としては「ASI2400MC Proは価格はすごいが、得られる画像もやはりすごい!です。
 

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