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天体観測始めました。

カテゴリ:鏡筒 > Polaris 80L

昨晩は自宅での観望会でした。参加者は天文台まつりで知り合ったMさん一家4人(3兄弟)とSさん一家5人(4姉妹)の2家族と、うちが4人(2姉弟)の計3家族、13人。コストコで大量の食料を買い込んできてもらって、夕方からみんな集まって、外にタープを張ってのまるでキャンプ状態での観望会です。

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今回の機材群は、星座用に
  1. 笠井トレーディングのWideBino28
  2. 原村星まつりで手に入れたスコープテックの星座望遠鏡
  3. 同じく原村星まつりで手に入れたミザールテックの4倍の双眼鏡
  4. 胎内星まつりで手に入れた7倍のKenkoの双眼鏡。
月や惑星、星見用に、
  1. 電視で口径80mm、焦点距離400mmのiOptron、月が明るいですが星雲星団をみて見ます。
  2. 下の子Sukeがいつも使っている口径60mm、焦点距離800mmのScopetech。
  3. 小学生の組み立て用に、これも胎内で格安で手に入れた、箱に入って組み立て前の状態のKenkoのおもちゃクラスの口径50mmのSW-0。
  4. 今回持って行ってもらうために試しに見てもらう、以前頂いたVixenの口径60mm、焦点距離400mm。
  5. 今回巣立って行ったPolaris 80L
  6. さらに前回Sさん姉妹に譲ったMini PORTA
  7. Mさんのところが持ってきたホームセンターで買ったという口径50?mmのおもちゃクラス。
と、鏡筒だけで7つ、双眼鏡も入れたら11種の、数だけ見たらすごい豪華な観望会です。これだけあると、特に簡単なものも多いので、小さな子でも気軽に機材に触ることができます。

夕方4時半くらいでしょうか、2家族が到着し、早速昼間に見える月の観察です。子供達はすぐに望遠鏡に飛びつきます。月を見ながら、今日譲る予定の望遠鏡を見てもらいました。

ちょっと話は飛びますが、一つの候補のVixenの400mmの小さい方は実は光軸がずれているみたいで、譲ってくれたIさんと相談したのですが、以前対物レンズを清掃で開けたことがあるので、事前に再度バラして調整してみました。対物レンズは3分割構造で、少しわかりにくかったのですが、Iさんのアドバイスで無事に外すことができました。内部はネジなどの調整機構がないのであまり大したことはできなかったのですが、レンズを反転したり、いろいろずらしたりして、少なくともレンズの向きはあっていること、回転の位置もしくは微妙なずれ(多分角度)によって星像の真円具合がかなり変わることがわかりました。これは結構いい経験でした。そこそこ合わせると、少なくとも青ハロっぽいのや赤と緑の収差もかなり改善されました。恒星も土星もかなりマシになりました。それでもやはり400mmという単焦点の限界はあるようで、土星の強拡大はかなり厳しかったです。

実際に使用する予定のK君に見てもらって、結局Polaris 80Lでいいとうことになりました。これは実は娘のNatsuの愛機で、自由研究で赤道儀をモーター化したもので、Natsuに惜しくはないのか聞いてみたとこと、「せっかく譲るのなら、惑星がきちんと見えた方が絶対嬉しいはず。私はパパがこんなんだから(パパの声: えっ?)、そのうちまた見える望遠鏡を手に入れるチャンスがあるからいい。」とのことでした。実はPolarisにはもう一つ心配事があって、以前胎内の星まつりで、モータとドライバーを自作している外山電子さんに「Polaris用に一式送りますよ」と言われて、偶然にもNatsuの誕生日にちょうど届いて娘はすごく喜んでいたのですが、それをまだ付ける前に渡してしまうことになって、外山電子さんに申し訳ないと思ったことです。このモーターとドライバーはVixenなら昔のものから現行機種にも使えますし、しかも速度も変えることができる優れものなので、いずれ近いうちに必ず別の赤道儀に搭載したいと思っています。

Polaris 80Lに決まると、K君は喜んでいる様で、少し使い方を説明して、あとは自分でどんどん触ってもらいました。Polaris 80Lは赤道儀にも経緯台にもなるので、最初は経緯台で試してもらいました。1200mmの長焦点ということもあり、導入に手こずっている様でしたが、すぐに慣れてくれるでしょう。もっと慣れてきたら赤道儀モードに戻すのもいいと思います。

昼間の月の観察に満足してくるとお腹がすいてきます。食事の用意もコストコで買ってきたものを広げるのが大半なので、それほど手間ではありません。Sさん一家のお母さんと、Mさん一家のお母さんとうちの奥さんの3人でほとんどやってくれたので、助かりました。メニューはピザ2枚に、寿司2桶、チキン2羽、サラダ2パック、あとはうちで作った豚汁とアップルクランブルパイで、超豪華です。

結局5時半頃から食べ始め、天文好きな家族のためか天文談義にも花が咲き、子供達も大騒ぎの夕食でした。だんだん暗くなってきて月が明るくなり始めると、食べ終えた子から月の観測です。

上限すぎの月でちょうど南中している頃で、とても綺麗に見えます。小さい子も空いている望遠鏡や双眼鏡で好き勝手に導入しています。中学生以上の子が4人いるので、お兄ちゃんお姉ちゃんに教わりながら見ている子もいました。月と同時に、まだ土星が見頃です。月では感じなかった望遠鏡の性能の差が土星ではかなりでてきます。Mini PORTA、Scopetech、そして今日の主役のPolaris 80Lクラスだと、土星も十分に楽しむことができます。カッシーニの間隙が何とか見えるか見えないかくらいでした。

定番の星座教室も開きました。普通と違うところは少人数制で、WideBino28スコープテックの星座望遠鏡ミザールテックの4倍の双眼鏡を使って、街中でも星座の形をはっきり追えるところです。北斗七星に始まって、カシオペア座、白鳥座、こと座、わし座を実際に形で見てもらいます。最後はおおぐまではなく「こぐま」座の逆ひしゃくの7つの星を追いましたが、ひしゃくの先から3つ目の暗い星がなかなか見えなくて手こずっているようでした。

夜も更けてくると、みんな思い思いの楽しみ方をしています。お母さんたちは子育て談義です。子供達はゴザの上に寝っ転がって星を見たり、怖い話で盛り上がったり、オセロをしたりしています。ちょうど昨日買ってきた新刊の「メシエ天体&NGC天体」を灯りのもとで読んでいる子もいます。たまに望遠鏡の方で「面白いのが見えるよー」とかいうとワーッと集まってきます。

せっかく集まったので、星雲や星団を見せてあげたくて、電視のセットアップもしました。まだ時間が早かったので月明かりがあるのですが、輝度の高いものなら十分に見ることができます。M57の惑星状星雲に始まって、M27の亜鈴状星雲、球状星団のM13、M31アンドロメダ銀河と、電視でも定番の星雲星団を見て回りました。特に、今回望遠鏡を引き取った中2のK君は大喜びで、導入の間もずっと付き合って一緒にあーだこーだ言いながら楽しむことができました。他の子達も星雲をその場で見たことがない子がほとんどで、色付きの星雲に「オー」と声を上げていました。

午後10時頃の帰る間際になると、M45「すばる」が上り始めました。すばるは双眼鏡が一番綺麗に見えます。すばるも名前は知っているけれどもきちんと見たことがない子も多かったのと、肉眼でも十分に見えるので、導入が自分でできて楽しかったみたいです。

途中うちの妻が風邪気味でダウン、下のSukeが寝袋で熟睡、小学生組が眠くなってきた夜10時頃が限界でした。月が沈む午前1時以降がオリオンも上がってきてかなり見ごたえがあるのですが、今度は夜中に特化して大きい子だけで集まるのもいいのかもしれません。最後はみんなであと片付けして解散となりました。

望遠鏡を譲ったK君と、今度は撮影レベルの本格的な機材を出して一緒に見ようと約束しました。


 

先日Polaris 80Lのマニュアル赤道儀に取り付けたモーターで、実際の星を見ていくつか追尾実験をしてみました。

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極軸出しと測定に使った、ASI224MCが鏡筒に取り付けてあり、
赤く見えるのがわかると思います。


まず極軸をiPhone5の方位磁針と角度センサーだけで適当に合わせた状態でためしました。1200mm の焦点距離の鏡筒に、20mmの焦点距離のアイピースをつけた60倍の倍率で試しています。安いアイピースなので見かけの視野角がわからないのですが仮に45度と仮定すると、視野角は0.75度となります。

自動追尾なしだとすると、天の赤道儀上の星は1時間あたり15度進むので、0.75度だと3分で視野の端から端まで移動してしまうことになります。実際に測って見ると、真ん中に入れたターゲットが1分40秒程度で真ん中と端の中間くらいまできてしまいました。天の赤道からは少し外れた星を狙ったのと、多少の誤差はあるのですが、まあほぼ計算通りです。

さて、この状態で同じ星を自動追尾をオンにして実測すると、真ん中に入れたターゲットが20分程度で真ん中と端の中間くらいまできてしまいます。これだけでも自動追尾無しよりははるかに安心して見ることができます。

自由研究の範囲で決めた要求値は、「真ん中に入れたターゲットが、10分経っても真ん中と端の中間を超えない」というものですから、すでに今の状況で満たしています。まあこれは元々は重りで自動追尾するとしたときの要求値なので、かなりゆるいです。

今回モーターを入れたので、実際に極軸をきちんと合わせたらどれくらいの精度で自動追尾ができるのかは興味があります。

2017/8/21の晩、庭に出るとちょっとぼやけてますが星は十分見えるので、CMOSカメラを取り付けてSharpcapの極軸合わせで合わせこみました。赤道儀全体を移動する微動装置がついていないすが、足ずらしや、ピッチネジのマニュアル微調整で、東西方向は20秒角程度、南北方向は2分角程度までは合わせ込むことができました。この時代の赤道儀だと多分ありえないくらいのいい精度だと思います。

この状態でアルタイルを導入し、アイピースで観察しました。自動追尾なしだと、4分33秒で視野の端から端まで移動してしまいました。

さて、いよいよ自動追尾した場合です。結果はなんとアルタイルは1時間経ってもアイピースの真ん中から目で見てわかる範囲では全く動くことはありませんでした。

さすがにこれだとあまりに定量的に何も言えていないので、極軸合わせの時につけたCMOSカメラでどれくらい動くか評価してみました。カメラには焦点距離50mmのレンズがつけてあります。カメラのサイズは1/3インチなので、4.8x3.6mmになり、画角は水平方向で約5.5度を見ていることになります。解像度は1304x976ピクセルなので、1ピクセルあたり15秒になります。

まずは自動追尾なしの場合。5分20秒間の移動ですが、当たり前のようにかなりの速さで動いていきます。ピクセル数から計算すると、約313ピクセル動いているの、この時間内に1.3度程度動いていることになります。1時間あたりに直すと14.6度程度動くことになります。

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次に自動追尾ありの場合。動画で見てみます。ちょうど1時間分をタイムラプス映像にしました。


見ている限り、DC的な位置はほぼ固定で、かなりsin波に近い10分周期のピリオディックモーションだけが見えています。画像から解析して見ると、ピリオディックモーションの幅は(解像度があまり良くないので誤差も大きいですが)+/-2.5ピクセル程度になります。なのでこの赤道儀のピリオディックモーションは+/-38秒程度ということになります。以前測定したAdvanced VXが+/-15秒程度だったので、約倍と言ったところでしょうか。40年近く前の手動赤道儀だと思うと、十分な精度かと思います。

比較明合成して、ピリオディックモーションを除いたドリフトの最大幅を調べると赤緯方向(下の写真の縦方向)に4ピクセル、約60秒角になります。1時間あたりでわずか60秒角のズレなので、十分すぎるくらいの精度です。

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このズレは極軸合わせの精度から来ているものと思われます。



目的の自動追尾は達成できたと言っていいでしょう。赤道儀としては、アイピースで見るぶんには十分すぎるほどの精度だと結論づけていい思います。

次は一軸ガイド撮影に挑戦でしょうか?
娘が興味を持てばですが。





先日名古屋に行った時に見つけたPolaris 80Lですが、結局娘の愛機になってしまいました。1980年頃のもので赤道儀は当然手動で、自動追尾できないので面倒です。娘が夏休みの自由研究のテーマで自動追尾しようと奮闘しています。奮闘の過程で赤道儀を破壊するということもありましたが、その後無事に復活し、自動追尾のために色々改造し始めています。

まずは三脚を木製のものから、胎内の星まつりで予備で買ったAdvanced VXのものに交換しました。木製の三脚は大きいこともあり、いささか持ち運びに不便です。

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次に、微動ハンドルをどうやって回せばいいかということ。昔の赤道儀なので目盛環がついています。0から23までの目盛りがついているので、24時間分です。すなわち、赤道儀の赤経軸が24時間で一回転するということです。それがわかれば簡単で、微動ハンドルを何度か回してみると6回転で目盛間で1時間だけ進むということがわかりました。微動ハンドルは144回転で1日、なので10分間かけて1回転すればいいことになります。

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最初はやったことは、どうやってこれを回そうかというので、簡単にハンドルに重りを吊り下げる方法をとりました。微動ハンドルの径を太くして、水を入れたペットボトルを糸で吊り下げてやってみたのですが、なかなか回転し出さずに、一旦回転が始まってしまうと一気に回転してしまいます。重くすると回転し出しますが、すぐに回転してしまい、軽くすると回転が始まりません。どうやら回転し出すときの静止摩擦係数と、回転し出してからの動摩擦係数に大きな違いがあるようです。とてもじゃないけど、10分かけてゆっくり回すような仕組みは作れそうにありません。

仕方ないので、ちょっと贅沢ですが、以前EYEBELLで中古で買ったポタ赤の「CD-1」のモーター部分(MT-1WTという名前でVixenから出ている既製品です。)を取り出し、使ってみることにしました。ドライバーもついていて、接続して測定するとちょうどモーター軸が10分で一回転します。CD-1は付属のステージが、これを144分の1のギヤ比で駆動することにより、1日で一回転になります。ここら辺は同じVixenで回転数が統一されているようで、このモーターがそのまま使えます

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取り付けですが、近所のコメリで直角に曲がっている適当なプレートを買ってきて、穴を開け赤道儀にうまくモーターを取り付けることができました。上の写真に写っている白い箱がモーターで、それを下についているL字のプレートで固定しています。

少なくとも適当に合わせた極軸でも数十分程度はハンドルをいじることなくターゲットの星が視野から逃げていかないので、随分と便利になりました。昔の人が主導赤道儀をモーター化したような過程を味わうことができ、結構感動ものでした

とにかくこれで自動追尾可能となり、娘も長く使ってくれそうです。


その3につづく

次は実際に極軸を真面目に合わせて、どれくらいの精度で追尾できるのかきちんとテストしてみようと思います。



 

先日名古屋に行った時にスコーピオで購入したVixenのPolaris 80L (最初80Mかと思っていました)。口径80mm、焦点距離1200mm、木製の三脚にマニュアルの赤道儀が載っています。

店で見た時はそうも思わなかったですが、自宅で組み上げると思ったより大きいです。さすが1200mmだけあります。重さは大したことないのですが、三脚も大きく、持ち運びは思ったより大変です。

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大きく写っているのがPolaris 80Lです。これで三脚も一番短い状態です。すぐ左の小さく見えるのが胎内でジャンクで手に入れたMINI PORTA A70Lfですが、これも決して小さいわけではありません。

もともと誰か天文好きの子で望遠鏡が欲しい子に、格安で譲ろうと思っていたのですが、娘のNatsuが興味を持ったようで、名古屋の帰りの車の中で自由研究は赤道儀のモーター化にしようと話していました。それでもモーター化はドライバーの開発など中学生には難しいので、胎内星まつりでモーター専門のブースで相談して、余り物で作ったドライバーをいただけることになったのですが、到着は9月で自由研究には間に合いそうにありません。

今朝仕事に出る前に、娘と色々話していて、娘が突然重さで回したらどうかと言い出しました。そこでテーマが決まりました。「重りを利用した恒星自動追尾システムの開発」です。モーターの代わりに、何らかの重りを使って回転軸を回すというものです。これなら中学生でも挑戦できそうです。

と、ここまではよかったのですが、朝仕事に出る時「パパ、赤道儀分解して調べていい?」とかなんとか言っていたので、適当に「勝手にやり!」と答えておいたのですが、夜帰宅したら「今日赤道儀2回分解した。部品が余った。」とか、わけのわからないことを言っています。どうやら本当に全てのネジを一旦外して完全にバラバラに分解し、きちんと組み立て順序をメモしておかなかったので、組み上げる時に部品が残ったらしいのです。数えてみるとなんと6個も余り部品がありました。これでは分解ではなくて破壊です。

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私もまだきちんと見ていなかったので、余っている部品がどこに入るのかまったく見当もつきません。しかも微動ネジは赤緯軸は回転しますが赤径軸は空回り、目盛環はガタガタ、赤緯のクランプを締めても全く固定できず、赤経のクランプを緩めても半回転くらいすると硬くて回らなくなります。格闘すること2時間以上、パズルを解くような気分でやっと全ての部品がおそらく正しいところに戻りました。ガタもキツイところもかなり直りました。娘も赤道儀の仕組みを身をもって理解したようなので、まあ良しとします。

その後、21時過ぎから薄曇りでしたが月が出ていたので、庭から見える朧月をこの望遠鏡のファーストライトとしました。そこらへんにあった10mmのアイピースで見て見たのですが、見え味は決して悪くありません。F15なので多少暗いですが、月くらいだとちょうどいい明るさになります。収差もほとんど気になりません。

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問題は赤道儀がまだガタガタなこと、微動ハンドルが鏡筒の先側についてしまい、手が届かないなどです。破壊された赤道儀をまだとりあえず組み立てたレベルで、赤径、赤緯とも数度程度のブレがあります。月がなんとか導入できるくらいで、頑張って土星を入れようとしましたが、一瞬見えただけでガタのために通り過ぎて行ってしまい、二度と戻ってきませんでした。そうこうしているうちに雲に覆われて撤収しましたが、まだまだ調整が必要です。

こんな調子で本当に自由研究になるのでしょうか?

20178/2 追記: 次の日、再度間違ったネジの見直しとネジの増し締めなどしてほとんどガタガタもなくなりました。二日かかってやっと調整の仕方まで把握できました。全バラは機構の理解にすごく役立ちますが、やはり外したネジをきちんと覚えていないとダメです。

その2に続く



 

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