先週の富山市天文台の天文台まつりで知り合いになった家族の元に、胎内星まつりでジャンクで買って整備したミニポルタ A70-LFが巣立っていきました。
Sさん一家は子供がなんと4人姉妹で、中でも上の高1と中2の二人が星がすごく好きで、昨年は天文台に毎週のごとく通っていたとのこと。 天文台の職員のWさんの紹介で知り合ったのですが、Wさんからいろいろ教わって星に本格的に興味が出たとのことです。まだ小学生くらいだと恐竜とかと同じで純粋に宇宙に興味を持つのですが、特に天文サークルなどに入っているわけでなく、女の子で中学や高校まで星に興味を持ち続けるのは珍しいのかもしれません。 天文台祭りでも娘のNatsuに星のことをいろいろ教えてくれていたみたいです。星だけでなく、そこらへんは年頃の女の子たちで、いろいろ楽しそうに話していたみたいですが、親は当然仲間に入ることはできません。
星は大好きなのですが、望遠鏡はきちんとしたものを持っていないとのことです。なんとか格安で望遠鏡を手に入れたいということなので、自宅に来てもらい欲しいものを選んでもらいました。実際に持っている望遠鏡というものを持って来てもらったのですが、学研の図鑑についていたもので、 学研とKenkoとのコラボで作ったものらしく、口径は30mmもあったでしょうか、すごく小さくて、三脚もプラスチックのすごく可愛いものです。さすがにこのクラスだと導入自体も難しく、これまでなかなか星も見ることができていなかったようです。
今回豪華(?)に、
2017/9/8、夕方も薄明が終わる19時頃にSさん一家が到着して、まずは家の中でSKY WALKER SW-0を二人に組み立ててもらいました。勘所は分かっているようで、特に迷うことなく組み立てているので、これならば望遠鏡を渡しても問題なさそうです。
5機種で試してよく分かったのは、初心者が手に入れやすい簡易で低価格のものほど導入が難しいということです。低価格のもので全然見ることができない(見え味が悪いという意味ではなく、導入することができないという意味)ので、使わなくなってしまった、興味が無くなってしまったという話をこれまで何度か聞いたことがあるので、これは不幸です。初心者ほど、入門クラスの中で多少無理してでもせめて微動ハンドルがついているくらいのものを買った方がいいということは間違いなさそうです。
でもこのクラスって、新品で安いところを探してもやはり最低数万円はするんですよね。いろいろ話をすると、子供の天文機材で1万円を超えるものを出す親はほとんどいないことがわかります。もちろん親が興味を持てば別ですが、子供が欲しいと言って、且つかなり理解がある親でも、聞いている限り1万円くらいが限度です。
この差を埋めるのはおそらくきちんとした天文機器メーカーでは至難の技で、今の所古かったり、ジャンクで、かつ格安で程度のいいものくらいしか思いつかないです。もちろん初心者が一人で古い望遠鏡を買っても、メンテナンスが大変なのでオススメはできないので、必ず詳しい人のサポートが必須です。なので、私も自分が面倒が見える範囲でしか格安のものを渡すことができません。しかもせっかく手に入れた望遠鏡が見えないのは、やはりショックなはずなので、ある程度見えるものを責任持って渡すのも、気を使わなくてはなりません。
さて5機種の見え味ですが、これも比較して見ると値段相応ということがよくわかります。簡易なものは当然レンズも安価なものを使っているので、収差がひどく、例えば今回のように土星を見ようとして倍率を上げると赤と青の収差でぼやけたように見えてしまいます。
その後、倍率を落として5台で地平線から上ってきた月を見ました。月はすぐに逃げていかないのでゆっくり見ることができるので、じっくり比較できます。月でさえも、安価なものはクレータなどをくっきり見ることはできませんでした。
もちろん月をちょっと大きく見て、わあ綺麗!というくらいなら、どの望遠鏡でもいいでしょう。でもこのように比較しながら土星を見てみると、SCOPETECHやミニポルタが初心者用といえども、いかに丁寧に作られていて、くっきりと輪っかまでよく見えるということがよくわかります。
あ、さすがに一番小さな望遠鏡は月の導入もなかなか大変で、ピントを合わせようとするとすぐに視野がずれたりで、落ち着いては見えませんでしたが、地面に這いつくばって頑張って導入するのは、なぜだか一番楽しく、子供達にも大うけだったことを付け加えておきます。
あと、散々望遠鏡の話をした後にするのも何なのですが、KASAIの「WideBino28」とSCOPETECHの「星座望遠鏡」、あとこれも星まつりのジャンクで手に入れたミザールの4倍の双眼鏡で、低倍率星座観察もしました。星のことを知っている子には実は望遠鏡よりもこちらの方が面白くて、星座の形がきちんとトレースできてしまいます。特に4倍だと16倍くらい星が明るく見えるので、3等位暗い星が見えます。視野は多少狭くなりますが、こと座くらいだったら全体像を把握することができます。この4倍が一番インパクトがあったみたいで「すごい星の数が見える!」と喜んでいました
この日は星を見るのはもちろん、休憩中に、持ってきて頂いたケーキを食べながらみんなでお話ししたり、子供たちはオセロをしたりギターを弾いたりと、夜遅くまで盛り上がっていました。結局望遠鏡は、操作性、見え味など総合的に判断して、ミニポルタを持っていってもらうことになりました。星まつりでジャンクで買った値段に、アイピース2つと整備した時に追加した微動ハンドル2本も星まつり価格そのままで、市販で買うよりははるかに安価です。もちろんそのぶん汚れていたりもするのですが、そこらへんは納得してもらうしかありません。
願わくばこの望遠鏡で存分に楽しんでもらって、いつか赤道儀を使ったり星雲まで挑戦したりと、興味を持ち続けてくれればと思います。
手塩にかけた望遠鏡なので、なんだが娘を嫁に出したような気分ですが、女の子の元に行ったので婿に出した気分といった方がいいのでしょうか。
Sさん一家は子供がなんと4人姉妹で、中でも上の高1と中2の二人が星がすごく好きで、昨年は天文台に毎週のごとく通っていたとのこと。 天文台の職員のWさんの紹介で知り合ったのですが、Wさんからいろいろ教わって星に本格的に興味が出たとのことです。まだ小学生くらいだと恐竜とかと同じで純粋に宇宙に興味を持つのですが、特に天文サークルなどに入っているわけでなく、女の子で中学や高校まで星に興味を持ち続けるのは珍しいのかもしれません。 天文台祭りでも娘のNatsuに星のことをいろいろ教えてくれていたみたいです。星だけでなく、そこらへんは年頃の女の子たちで、いろいろ楽しそうに話していたみたいですが、親は当然仲間に入ることはできません。
星は大好きなのですが、望遠鏡はきちんとしたものを持っていないとのことです。なんとか格安で望遠鏡を手に入れたいということなので、自宅に来てもらい欲しいものを選んでもらいました。実際に持っている望遠鏡というものを持って来てもらったのですが、学研の図鑑についていたもので、 学研とKenkoとのコラボで作ったものらしく、口径は30mmもあったでしょうか、すごく小さくて、三脚もプラスチックのすごく可愛いものです。さすがにこのクラスだと導入自体も難しく、これまでなかなか星も見ることができていなかったようです。
今回豪華(?)に、
- 持って来てもらった図鑑についていた望遠鏡
- 安価なものとして胎内星まつりで特価で購入したKenko製のSKY WALKER SW-0
- 古いけれどもものはしっかりしているものとして先週Iさんから頂いて、やっと整備ができたばかりのVixenの口径70mm、焦点距離400mmの鏡筒
- いつも下の子が使っているSCOPETECH
- 今回巣立っていったミニポルタ
2017/9/8、夕方も薄明が終わる19時頃にSさん一家が到着して、まずは家の中でSKY WALKER SW-0を二人に組み立ててもらいました。勘所は分かっているようで、特に迷うことなく組み立てているので、これならば望遠鏡を渡しても問題なさそうです。
- 2. 組み立て終わったSW-0を早速のぞいてもらいました。ファインダーの調整が出来なかったので、それだけは最初に私がやって、土星を導入してもらいました。ですが、なかなかうまくいきません。三脚が軽く柔すぎて、しかも角度の微調が全く出来ないことが原因です。相当苦労して、なんとか土星を入れたみたいです。
- 3. 次にVixenの単焦点の方を試してもらいました。こちらの三脚も入門クラスのカメラ用三脚なので、微調はしにくいですが、それでもSW-0に付属の三脚よりははるかにマシです。土星もまあどうにか導入できたようです。
- 4. SCOPETECHはいつものように下の子Sukeが一瞬で導入していました。
- 5. 最後にミニポルタです。二人とも導入に慣れて来たのと、微動ハンドルがついていることもあり、ずいぶん簡単に導入していました。
- 1. でも実は一番面白いのは学研図鑑に付いていたもので、この簡易望遠鏡での導入はとてつもなく難しく、子供が土星を入れるのは全く無理でした。私も試したのですが、かなり苦労してやっと視野に入れることができました。しかもすごく軽いので、ちょっと触っただけですぐにずれてしまいます。
5機種で試してよく分かったのは、初心者が手に入れやすい簡易で低価格のものほど導入が難しいということです。低価格のもので全然見ることができない(見え味が悪いという意味ではなく、導入することができないという意味)ので、使わなくなってしまった、興味が無くなってしまったという話をこれまで何度か聞いたことがあるので、これは不幸です。初心者ほど、入門クラスの中で多少無理してでもせめて微動ハンドルがついているくらいのものを買った方がいいということは間違いなさそうです。
でもこのクラスって、新品で安いところを探してもやはり最低数万円はするんですよね。いろいろ話をすると、子供の天文機材で1万円を超えるものを出す親はほとんどいないことがわかります。もちろん親が興味を持てば別ですが、子供が欲しいと言って、且つかなり理解がある親でも、聞いている限り1万円くらいが限度です。
この差を埋めるのはおそらくきちんとした天文機器メーカーでは至難の技で、今の所古かったり、ジャンクで、かつ格安で程度のいいものくらいしか思いつかないです。もちろん初心者が一人で古い望遠鏡を買っても、メンテナンスが大変なのでオススメはできないので、必ず詳しい人のサポートが必須です。なので、私も自分が面倒が見える範囲でしか格安のものを渡すことができません。しかもせっかく手に入れた望遠鏡が見えないのは、やはりショックなはずなので、ある程度見えるものを責任持って渡すのも、気を使わなくてはなりません。
さて5機種の見え味ですが、これも比較して見ると値段相応ということがよくわかります。簡易なものは当然レンズも安価なものを使っているので、収差がひどく、例えば今回のように土星を見ようとして倍率を上げると赤と青の収差でぼやけたように見えてしまいます。
その後、倍率を落として5台で地平線から上ってきた月を見ました。月はすぐに逃げていかないのでゆっくり見ることができるので、じっくり比較できます。月でさえも、安価なものはクレータなどをくっきり見ることはできませんでした。
もちろん月をちょっと大きく見て、わあ綺麗!というくらいなら、どの望遠鏡でもいいでしょう。でもこのように比較しながら土星を見てみると、SCOPETECHやミニポルタが初心者用といえども、いかに丁寧に作られていて、くっきりと輪っかまでよく見えるということがよくわかります。
あ、さすがに一番小さな望遠鏡は月の導入もなかなか大変で、ピントを合わせようとするとすぐに視野がずれたりで、落ち着いては見えませんでしたが、地面に這いつくばって頑張って導入するのは、なぜだか一番楽しく、子供達にも大うけだったことを付け加えておきます。
あと、散々望遠鏡の話をした後にするのも何なのですが、KASAIの「WideBino28」とSCOPETECHの「星座望遠鏡」、あとこれも星まつりのジャンクで手に入れたミザールの4倍の双眼鏡で、低倍率星座観察もしました。星のことを知っている子には実は望遠鏡よりもこちらの方が面白くて、星座の形がきちんとトレースできてしまいます。特に4倍だと16倍くらい星が明るく見えるので、3等位暗い星が見えます。視野は多少狭くなりますが、こと座くらいだったら全体像を把握することができます。この4倍が一番インパクトがあったみたいで「すごい星の数が見える!」と喜んでいました
この日は星を見るのはもちろん、休憩中に、持ってきて頂いたケーキを食べながらみんなでお話ししたり、子供たちはオセロをしたりギターを弾いたりと、夜遅くまで盛り上がっていました。結局望遠鏡は、操作性、見え味など総合的に判断して、ミニポルタを持っていってもらうことになりました。星まつりでジャンクで買った値段に、アイピース2つと整備した時に追加した微動ハンドル2本も星まつり価格そのままで、市販で買うよりははるかに安価です。もちろんそのぶん汚れていたりもするのですが、そこらへんは納得してもらうしかありません。
願わくばこの望遠鏡で存分に楽しんでもらって、いつか赤道儀を使ったり星雲まで挑戦したりと、興味を持ち続けてくれればと思います。
手塩にかけた望遠鏡なので、なんだが娘を嫁に出したような気分ですが、女の子の元に行ったので婿に出した気分といった方がいいのでしょうか。