前回、LuSol-Guideというソフトを使い、太陽黒点まわりの撮影をオートガイドしながら撮影した記事を書きました。
今回は撮影したたくさんのserフォーマットの動画を元に、タイムラプス映像にする画像処理の話です。
内容的には以前まとめた太陽タイムラプス記事の続編ということになります。
大まかな概念は上のページに書いてあるので繰り返しませんが、他にガイドとタイムラプス映像にするための画像処理について主に書いてあります。
ガイドについてはFireCaptureの形状認識でしたが、これは時として太陽が画面外まで飛んでいってしまって、決して「戻らなくなる」のが問題でした。これについては前回のLuSol-Guideで別途ガイド鏡で太陽全体を見ながらガイドすることになったので、かなり解決されたはずです。
もう一つは、これまでうまくいってなかった画像処理時の動画にするときの「位置合わせ」です。hiroさんがImageJの強化版の「Fiji」というソフトを紹介してくれたため、今回位置合わせが完璧と言っていいくらいうまくいきました。
このFiji、バイオ系の顕微鏡画像処理などでよく使われているらしいのですが、ものすごく複雑で私はまだ全然細かいところまで見えていません。hiroさんが教えてくれた筋道をそのまま辿っただけです。hiroさんの説明はコメントに書かれているだけなので、改めてほぼコピペ状態でこのページにまとめておきます。わかりにくいところはコメントなどに書き込んでください。かなり便利なソフトのようなので私自身でもいろいろ検証してみたいと思います。
まずは、Fijiに行く前です。一番の問題は、AutoStakkart!3でスタックすると、画像サイズがバラバラになること。hiroさんがRegistaxで処理すると全ての画像サイズが同じになることを教えてくれました。久しぶりにResistaxでスタックをしてみたのですが、AS!3でスタックした場合に比べて細部だしの具合が甘くなってしまいます。おそらくこれは目立ったものが黒点しかないためです。AS!3はSurfaceというオプションで(例えば月の拡大のような)全面に広がったようなものも上手くスタックしてくれます。Registaxはもともと惑星撮影で発達したソフトで、アップデートが長い間されていなくて少し古いこともあるのか、今回のような光球面のスタックはうまく行ったりいかなかったりで、安定しないようです。
というわけで、今回もスタックにはAS!3を使い、その後違ったサイズで出てきた画像を以前の記事で書いたようにPhotoshopのアクションツールを使い、全てサイズを揃えます。
さらに今回、もう少し下処理をしました。各画像ごとの明るさの違い、ガイドの精度不足で黒点がブレたときの周辺減光の影響の違いを除去するために、PixInsightのABEを1次と4次で2回かけることにしました。他数枚の画像に同じ処理をするのは、そーなのかーさんのこの記事
を参考にさせていただきました。
背景補正が有ると無いとでは、仕上がったタイムラプス映像の見やすさが全然違い、細かい動きがよりみ見やすくなりました。光球面の動きはあまり目立ったものではないので、この下処理の効果は非常に大きいです。
さて、ここまで来てやっと今回の本題のFijiを使った位置合わせになります。基本的にはhiroさんが教えてくれた手順そのままで、少しだけ言葉を補足しています。
この位置合わせの威力は素晴らしく、これまでどんなソフトでやってもうまくいかなかった光球面の位置合わせがほぼ完璧にできてしまいます。その一方、おそらく今回は黒点があるから位置認識がうまく行っているのかと思います。純粋な光球面だけだとうまくいくかどうかはまだわかりません。
結果です。ブログでそのまま表示できるように少しサイズを切り詰めgifファイルに落とし込みました。
いかがでしょうか?今回はテスト撮影のつもりで、わずか1時間ぶん、60枚のタイムラプスです。プロミネンスは1分単位でもかなり激しく動くことは過去の記事のタイムラプス映像からもわかるかと思うのですが、光球面はこの時間スケールではほとんど動くことはないと思っていました。今回のタイムラプス映像を見てみると、実際ほとんど動いていない部分が大多数なのですが、一部黒点の右上くらいは1時間で激しく動いていることがわかります。これは全く予測していなくて、この動きの片鱗が少し見えたときは大興奮で、夜遅いにもかかわらずできるだけ見やすくしようとして、PixInsightのContainerに初挑戦してしまいました。
撮影条件を書いておくと、
となります。
課題は、まだ細部出しの度合いが安定しないことです。同じ条件でとっても細部が出る場合とものすごくボケる場合の差がかなり激しいです。今回は全部同じ条件で処理したので、出ていないのもここに処理すればまだ細部が出る余地は残っているのかもしれませんが、今後のことも考え自動処理だけで済ませる方向で進めました。
この不安定な処理のため、最初は激しい動きのところも安定に取れていないからかとも疑いましたが、画像処理を進めるにつれどんどんはっきりしてきたので、おそらくこれはリアルに起こっている現象で間違いないかと思います。
あと、一枚画像をするときの最後のPhotoshopなどでの仕上げの細部出しに相当する部分があるのですが、今回はその過程を省いています。もしかしたらもう少しうまく出せるかもしれません。
もう一つは、まだ明るさが完全に言っていになっていなくて、動画にすると画面がチカチカしてしまいます。ここもまだ改良できるかと思います。
とりあえず今回はテスト撮影でしたが、それでも驚くほどの映像になりました。もう少しパラメータなど切り詰めて次回撮影に臨みたいと思います。
まだ夜に撮影した3天体の処理が全く進んでいません。今日の夜は入門講座の予定です。馬頭星雲とM100とM101、画像処理が終わってブログ記事にできるのはいつになることやら...?
今回は撮影したたくさんのserフォーマットの動画を元に、タイムラプス映像にする画像処理の話です。
内容的には以前まとめた太陽タイムラプス記事の続編ということになります。
大まかな概念は上のページに書いてあるので繰り返しませんが、他にガイドとタイムラプス映像にするための画像処理について主に書いてあります。
ガイドについてはFireCaptureの形状認識でしたが、これは時として太陽が画面外まで飛んでいってしまって、決して「戻らなくなる」のが問題でした。これについては前回のLuSol-Guideで別途ガイド鏡で太陽全体を見ながらガイドすることになったので、かなり解決されたはずです。
もう一つは、これまでうまくいってなかった画像処理時の動画にするときの「位置合わせ」です。hiroさんがImageJの強化版の「Fiji」というソフトを紹介してくれたため、今回位置合わせが完璧と言っていいくらいうまくいきました。
このFiji、バイオ系の顕微鏡画像処理などでよく使われているらしいのですが、ものすごく複雑で私はまだ全然細かいところまで見えていません。hiroさんが教えてくれた筋道をそのまま辿っただけです。hiroさんの説明はコメントに書かれているだけなので、改めてほぼコピペ状態でこのページにまとめておきます。わかりにくいところはコメントなどに書き込んでください。かなり便利なソフトのようなので私自身でもいろいろ検証してみたいと思います。
まずは、Fijiに行く前です。一番の問題は、AutoStakkart!3でスタックすると、画像サイズがバラバラになること。hiroさんがRegistaxで処理すると全ての画像サイズが同じになることを教えてくれました。久しぶりにResistaxでスタックをしてみたのですが、AS!3でスタックした場合に比べて細部だしの具合が甘くなってしまいます。おそらくこれは目立ったものが黒点しかないためです。AS!3はSurfaceというオプションで(例えば月の拡大のような)全面に広がったようなものも上手くスタックしてくれます。Registaxはもともと惑星撮影で発達したソフトで、アップデートが長い間されていなくて少し古いこともあるのか、今回のような光球面のスタックはうまく行ったりいかなかったりで、安定しないようです。
というわけで、今回もスタックにはAS!3を使い、その後違ったサイズで出てきた画像を以前の記事で書いたようにPhotoshopのアクションツールを使い、全てサイズを揃えます。
さらに今回、もう少し下処理をしました。各画像ごとの明るさの違い、ガイドの精度不足で黒点がブレたときの周辺減光の影響の違いを除去するために、PixInsightのABEを1次と4次で2回かけることにしました。他数枚の画像に同じ処理をするのは、そーなのかーさんのこの記事
を参考にさせていただきました。
背景補正が有ると無いとでは、仕上がったタイムラプス映像の見やすさが全然違い、細かい動きがよりみ見やすくなりました。光球面の動きはあまり目立ったものではないので、この下処理の効果は非常に大きいです。
さて、ここまで来てやっと今回の本題のFijiを使った位置合わせになります。基本的にはhiroさんが教えてくれた手順そのままで、少しだけ言葉を補足しています。
- FIJIを起動する。
- 動画からスタック済みの一連の画像を選択し、FIJIの窓枠内にドロッする。
- Plugins > Feature Extraction > Extract SIFT Correspondences を選択する。
- ポップアップ画面の最下部にexpectred trans Formation:[Affine]を選択しOKを押す。上手く行っていれば赤色の+マークが開いた画像の内の2枚に複数ついているはずです。
- このまま続けて、Image>Stacks>Images to Stacke を選択し、ポップアップ画面のOKを押す。これで位置合わせ用として認識された複数の画像が一続きの要素として確定されます。
- Stack画面の左下の▶を押すと、位置合わせ前の一連の画像がアニメとして動きます。
- 更に続てけて、 Plugins > Registration > Linear Stack Alignment with SIFT を選択します。そして、expectred trans Formation:[Affine]を選択しOKを押す。
- これで、位置合わせ完了です。画面の左下の▶を押すと位置合わせされた一連の画像を確認できます。
- 動画から必要な部分だけ切り出したいときは、カーソルを画面を左上から右下へ動かすと選択できます。この後、Image>Crop を選択しOKで完了。 明るさとコントラストはImage>Adjust を選択すると調整バーが出てきます。
- 保存は「File」->「Save as」->「Image Sequence」で、あとは好きなフォーマットで保存してください。
結果です。ブログでそのまま表示できるように少しサイズを切り詰めgifファイルに落とし込みました。
いかがでしょうか?今回はテスト撮影のつもりで、わずか1時間ぶん、60枚のタイムラプスです。プロミネンスは1分単位でもかなり激しく動くことは過去の記事のタイムラプス映像からもわかるかと思うのですが、光球面はこの時間スケールではほとんど動くことはないと思っていました。今回のタイムラプス映像を見てみると、実際ほとんど動いていない部分が大多数なのですが、一部黒点の右上くらいは1時間で激しく動いていることがわかります。これは全く予測していなくて、この動きの片鱗が少し見えたときは大興奮で、夜遅いにもかかわらずできるだけ見やすくしようとして、PixInsightのContainerに初挑戦してしまいました。
撮影条件を書いておくと、
鏡筒: Celestron C8、口径203mm、焦点距離2032mm、F10
エタロン: Coronado P.S.T.
赤道儀: Celestron CGEM II
カメラ: ZWO ASI290MM
撮影ソフト: SharpCap 4.0 (64bit)
撮影時間: 2022/3/12 15時45分-16時44分 gain120-170, 1分おきに1ms x を5秒分、平均400フレーム程で1ファイルあたり1.7GBで合計60ショット。各動画の上位75%を使用。
画像処理: AS3にてスタック、ImPPGで細部出し、PhotoshopCC、PixInsight、Fijiで位置合わせ、ffmpegで動画化。
となります。
課題は、まだ細部出しの度合いが安定しないことです。同じ条件でとっても細部が出る場合とものすごくボケる場合の差がかなり激しいです。今回は全部同じ条件で処理したので、出ていないのもここに処理すればまだ細部が出る余地は残っているのかもしれませんが、今後のことも考え自動処理だけで済ませる方向で進めました。
この不安定な処理のため、最初は激しい動きのところも安定に取れていないからかとも疑いましたが、画像処理を進めるにつれどんどんはっきりしてきたので、おそらくこれはリアルに起こっている現象で間違いないかと思います。
あと、一枚画像をするときの最後のPhotoshopなどでの仕上げの細部出しに相当する部分があるのですが、今回はその過程を省いています。もしかしたらもう少しうまく出せるかもしれません。
もう一つは、まだ明るさが完全に言っていになっていなくて、動画にすると画面がチカチカしてしまいます。ここもまだ改良できるかと思います。
とりあえず今回はテスト撮影でしたが、それでも驚くほどの映像になりました。もう少しパラメータなど切り詰めて次回撮影に臨みたいと思います。
まだ夜に撮影した3天体の処理が全く進んでいません。今日の夜は入門講座の予定です。馬頭星雲とM100とM101、画像処理が終わってブログ記事にできるのはいつになることやら...?