前回からの続きで、4月5日の太陽撮影の(その2)になります。
4月5日は快晴で雲のない時間帯が続いたので、大量に撮影したものがあって、その処理が長引いしてまいブログ記事を書く速度が全然追いついていないです。しかもその間に次の週末が来てしまい、新たな撮影が追加されてしまいました。前週のタイムラプス映像の処理がやっと終わったところで一旦記事にしておきます。
今回は太陽タイムラプスです。前回記事で見せた、太陽表面と周辺の画像撮影をした直後から、プロミネンスの連続撮影を開始しました。機材は前回記事の撮影と同じで、口径20cmのC8にPSTを取り付け、ASI290MMで撮影してます。赤道儀はCGEM IIです。
プロミネンスは大型のものの方が変化が見やすいようです。大型のもので、特に長く伸びている淡いところは変化が激しいと予測し、前回記事にも載せた東端に出ているプロミネンスを引き続き撮影することにしました。今回もカメラの長手方向に収まるように、カメラを90度傾けて撮影し、北が右側、東が上側になるようにしています。
PCの画面を見ると、1枚撮影した時よりも長いプロミネンスが伸びて出ているようなので、早く撮影を始めたいところです。撮影間隔と各撮影でのフレーム数は迷いましたが、1分おきに200フレームとしました。トータル時間もまだ決めてなかったので、とりあえず120枚で2時間としておきました。これは途中でやめる可能性も含めてです。
撮影が始まるとしばらく暇になるので、朝食と、もう一本の太陽望遠鏡を準備してました。ここら辺は前回記事に書いてますね。結局のんびりしていたら2時間が過ぎてしまっていて、PCを見たらすでに撮影が終わっていました。ところが、撮影したものを見てみると、30分を過ぎたあたりから少し雲が出ていて画面が暗くなっていたこと、長く伸びるプロミネンスはわずか30分でほぼ消えたこと、その後のシーイングは少し劣ることなどから、最初30分だけで処理することにしました。やっぱり早く撮影を始めれば良かったとこの時点で反省しました。
このプロミネンスタイムラプスの画像処理は、その後1日くらいで終えることができました。今回は静止画と同じく、見栄えがいいようにカラー化しています。カラー化する際、これまで色がなかなか安定しなかったのですが、静止画でいろいろ試して、やっと安定化する目処がついてきました。ここら辺の処理については別途記事にする予定です。
大まかな処理の流れは
AutoStakkert4! -> ImPPG -> PixInsight -> FIJI->ffmpeg
といったような順です。多数枚の連続処理なので、いつも仕上げに使っているPhotoshopだとちょっと面倒なので、今回はPhotoshopは使わないようにしました。
結果ですが、やはりシンチレーションが良かったのでしょう。動画にしてもそこそこ細部が出ています。
わずか30分ですが、プロミネンスの形も、長く伸びた筋も激しく変化しているのがわかります。ツンツン出ているスピキュールも分単位で出たり消えたりしています。光球面の模様に関しては、まだ精度よく出ているとは言えません。これは今後の課題でしょう。
1分おきでの撮影でしたが、これだけ激しい変化なのでやはり30秒ごと、できれば10秒とか20秒ごとでもいいかもしれません。特にスピキュールの出入りは相当速いようで、1分単位だと明らかに短すぎです。
1枚あたりのフレーム数の200枚ですが、この枚数だとやはり少な過ぎで、ImPPGでの細部出しの際に粒状のノイズが目立ってしまったのが気になります。これはフレーム数を1000枚程度まで増やすとかなり改善することはわかっているのですが、今後数時間単位の撮影を考えると、ディスク容量が足りなくなることは目に見えているので、できれば増やしたくありません。少なくとも今回の200枚では、ノイズ処理が必須でした。逆にノイズ処理を前提とするなら、200枚からどこまで減らせるかの方に興味があります。例えば、SharpCapのリアルタイム処理では100枚でもそこそこ見える画像になります。
フレーム枚数を増やすと、1ショットあたりの撮影時間も伸びるので、撮影間隔をあまり短くできないことも問題です。フレーム枚数を増やしても撮影間隔を短くしても、いずれもファイルの総量は大きくなっていきます。画質とディスク容量のトレードオフなのですが、今後もいい落とし所を探っていこうと思います。
プロミネンスタイムラプスの撮影が終了すると、そのまますぐに黒点周りのタイムラプス撮影に移りました。これも1分おきに200フレームで、2時間分撮影しましたが、こちらはそのうちの最後20枚だけ捨てて、約100枚を使うことにしました。
太陽表面は動きが少ないので2分おきでもいいと思っていましたが、まだよくわからなかったので今回は1分おきにしました。でも結果を見る限りかなり動きが速い部分もあり、1分で良かったと思っています。
プロミネンスとの処理の違いは、各種パラメータくらいで、大まかな行程はほとんど同じです。処理はその後数日けかてやっています。ある程度の時点で一度Xに投稿しましたが、コントラストがあまり高くなくて縞模様の動きがあまり目立っていないがどうしても気に入らなくなり、その後Photoshopのアクションの多数枚処理で色を変えたことが、プロミネンスの時の処理からの大きな違いでしょうか。
結果は以下のようになりました。変化がわかるように、25fpsで動画化してあります。短いので、よかったら繰り返し見てやってください。
出来上がった映像は、自分的にはかなりインパクトがありました。太陽表面はそこまで動いていないと思っていたのですが、一部は非常に激しく動いています。この激しく動いているところは、プロミネンスやダークフィラメントに相当する部分なのでしょうか?同じような模様に見えても、動きの差が場所によって全然違っています。
後半には小さいですが、一部フレアと思われる明るいフラッシュが見えています。フレアだとしたら、私としては初めて撮影できたことになります。
今回、処理に思ったより時間がかかりましたが、できた太陽タイムラプス動画はすごいインパクトがありました。ずっと見てても飽きません。特に黒点周りの方は、最初の動画バージョンができた時に1時間くらい見続けていて、どこが面白くてどこの処理を変えたらいいとか、ずっと考えてました。
ちょっとした変更がとても大変だと言うことも今回実感しました。動画にして始めて判断できるところもあり、気に入らなくて途中のパラメータを触ろうとすると、最後までの処理を再び延々とやり直しになります。
今回時間をかけた甲斐もあり、方針も方法も大分見通しがついてきたと思います。今の機材でどこまで出せるのか、もう少し挑戦したいことがあるのでしばらくは太陽を続けようと思います。
ちなみに、この日の撮影だけでファイル総量は181GBにもなってしまいました。使わなかった動画ファイルを捨ててもこの量です。これからずっとタイムラプスを続けるとしたら、ちょっと考えたくなる量です。
次の記事はカラー化のことを書いておこうと思っています。
4月5日は快晴で雲のない時間帯が続いたので、大量に撮影したものがあって、その処理が長引いしてまいブログ記事を書く速度が全然追いついていないです。しかもその間に次の週末が来てしまい、新たな撮影が追加されてしまいました。前週のタイムラプス映像の処理がやっと終わったところで一旦記事にしておきます。
プロミネンスのタイムラプス映像
今回は太陽タイムラプスです。前回記事で見せた、太陽表面と周辺の画像撮影をした直後から、プロミネンスの連続撮影を開始しました。機材は前回記事の撮影と同じで、口径20cmのC8にPSTを取り付け、ASI290MMで撮影してます。赤道儀はCGEM IIです。
プロミネンスは大型のものの方が変化が見やすいようです。大型のもので、特に長く伸びている淡いところは変化が激しいと予測し、前回記事にも載せた東端に出ているプロミネンスを引き続き撮影することにしました。今回もカメラの長手方向に収まるように、カメラを90度傾けて撮影し、北が右側、東が上側になるようにしています。
PCの画面を見ると、1枚撮影した時よりも長いプロミネンスが伸びて出ているようなので、早く撮影を始めたいところです。撮影間隔と各撮影でのフレーム数は迷いましたが、1分おきに200フレームとしました。トータル時間もまだ決めてなかったので、とりあえず120枚で2時間としておきました。これは途中でやめる可能性も含めてです。
撮影が始まるとしばらく暇になるので、朝食と、もう一本の太陽望遠鏡を準備してました。ここら辺は前回記事に書いてますね。結局のんびりしていたら2時間が過ぎてしまっていて、PCを見たらすでに撮影が終わっていました。ところが、撮影したものを見てみると、30分を過ぎたあたりから少し雲が出ていて画面が暗くなっていたこと、長く伸びるプロミネンスはわずか30分でほぼ消えたこと、その後のシーイングは少し劣ることなどから、最初30分だけで処理することにしました。やっぱり早く撮影を始めれば良かったとこの時点で反省しました。
このプロミネンスタイムラプスの画像処理は、その後1日くらいで終えることができました。今回は静止画と同じく、見栄えがいいようにカラー化しています。カラー化する際、これまで色がなかなか安定しなかったのですが、静止画でいろいろ試して、やっと安定化する目処がついてきました。ここら辺の処理については別途記事にする予定です。
大まかな処理の流れは
AutoStakkert4! -> ImPPG -> PixInsight -> FIJI->ffmpeg
といったような順です。多数枚の連続処理なので、いつも仕上げに使っているPhotoshopだとちょっと面倒なので、今回はPhotoshopは使わないようにしました。
- ImPPGは細部出しと位置合わせをしています。プロミネンスは光球面と周辺部のコントラスト比が高いので、これだけでもある程度位置合わせできます。
- PixInsightはSolarToolboxで色出しと、Blinkで連番ファイルの書き出しです。
- 連続処理はImageContainereとProcessContainerを使っています。
- 位置出しは相変わらずFIJIが最強です。
- 動画化はffmpegです。
結果ですが、やはりシンチレーションが良かったのでしょう。動画にしてもそこそこ細部が出ています。
わずか30分ですが、プロミネンスの形も、長く伸びた筋も激しく変化しているのがわかります。ツンツン出ているスピキュールも分単位で出たり消えたりしています。光球面の模様に関しては、まだ精度よく出ているとは言えません。これは今後の課題でしょう。
1分おきでの撮影でしたが、これだけ激しい変化なのでやはり30秒ごと、できれば10秒とか20秒ごとでもいいかもしれません。特にスピキュールの出入りは相当速いようで、1分単位だと明らかに短すぎです。
1枚あたりのフレーム数の200枚ですが、この枚数だとやはり少な過ぎで、ImPPGでの細部出しの際に粒状のノイズが目立ってしまったのが気になります。これはフレーム数を1000枚程度まで増やすとかなり改善することはわかっているのですが、今後数時間単位の撮影を考えると、ディスク容量が足りなくなることは目に見えているので、できれば増やしたくありません。少なくとも今回の200枚では、ノイズ処理が必須でした。逆にノイズ処理を前提とするなら、200枚からどこまで減らせるかの方に興味があります。例えば、SharpCapのリアルタイム処理では100枚でもそこそこ見える画像になります。
フレーム枚数を増やすと、1ショットあたりの撮影時間も伸びるので、撮影間隔をあまり短くできないことも問題です。フレーム枚数を増やしても撮影間隔を短くしても、いずれもファイルの総量は大きくなっていきます。画質とディスク容量のトレードオフなのですが、今後もいい落とし所を探っていこうと思います。
太陽黒点周りのタイムラプス映像
プロミネンスタイムラプスの撮影が終了すると、そのまますぐに黒点周りのタイムラプス撮影に移りました。これも1分おきに200フレームで、2時間分撮影しましたが、こちらはそのうちの最後20枚だけ捨てて、約100枚を使うことにしました。
太陽表面は動きが少ないので2分おきでもいいと思っていましたが、まだよくわからなかったので今回は1分おきにしました。でも結果を見る限りかなり動きが速い部分もあり、1分で良かったと思っています。
プロミネンスとの処理の違いは、各種パラメータくらいで、大まかな行程はほとんど同じです。処理はその後数日けかてやっています。ある程度の時点で一度Xに投稿しましたが、コントラストがあまり高くなくて縞模様の動きがあまり目立っていないがどうしても気に入らなくなり、その後Photoshopのアクションの多数枚処理で色を変えたことが、プロミネンスの時の処理からの大きな違いでしょうか。
結果は以下のようになりました。変化がわかるように、25fpsで動画化してあります。短いので、よかったら繰り返し見てやってください。
出来上がった映像は、自分的にはかなりインパクトがありました。太陽表面はそこまで動いていないと思っていたのですが、一部は非常に激しく動いています。この激しく動いているところは、プロミネンスやダークフィラメントに相当する部分なのでしょうか?同じような模様に見えても、動きの差が場所によって全然違っています。
後半には小さいですが、一部フレアと思われる明るいフラッシュが見えています。フレアだとしたら、私としては初めて撮影できたことになります。
まとめ
今回、処理に思ったより時間がかかりましたが、できた太陽タイムラプス動画はすごいインパクトがありました。ずっと見てても飽きません。特に黒点周りの方は、最初の動画バージョンができた時に1時間くらい見続けていて、どこが面白くてどこの処理を変えたらいいとか、ずっと考えてました。
ちょっとした変更がとても大変だと言うことも今回実感しました。動画にして始めて判断できるところもあり、気に入らなくて途中のパラメータを触ろうとすると、最後までの処理を再び延々とやり直しになります。
今回時間をかけた甲斐もあり、方針も方法も大分見通しがついてきたと思います。今の機材でどこまで出せるのか、もう少し挑戦したいことがあるのでしばらくは太陽を続けようと思います。
ちなみに、この日の撮影だけでファイル総量は181GBにもなってしまいました。使わなかった動画ファイルを捨ててもこの量です。これからずっとタイムラプスを続けるとしたら、ちょっと考えたくなる量です。
次の記事はカラー化のことを書いておこうと思っています。