ほしぞloveログ

天体観測始めました。

カテゴリ: 画像処理

ちょっと前に、XでにゃーとんシュガーさんからR200SSでフラット補正がうまく行かないという投稿がありました。

ちょうど同じ時期にseki-chanさんもR200SSでよく似た問題に直面していて、個人的に直接問い合わせがあったので、個々のRAWファイルにまで見ながら、ある程度の理由を突き止めました。だいこもんさんからその過程を公開してほしいとの要請があったのですが、記事にするのに時間がかかってしまいました。

実際、皆さんフラット補正には相当苦労されてますよね。理由はそれぞれかと思いますが、フラット補正については古くから様々な方法が提案されています。それでもいまだに決め手がないような状態かと思います。光学的フラット補正の「アルゴリズム」自体は、各種画像処理ソフトにおいてある程度確立しているので、問題は「フラット画像の撮影方法と」言ってしまってもいいかもしれません。

ちょうどいい機会なので、最近思っているフラット補正について思うこともあり、記事にしておきます。あくまで光学的なフラット補正についてで、画像処理中に行うソフト的なフラット補正については基本触れず、今回は最後に少しだけ適用するだけにします。


フラット補正は大変

まず、フラット画像の撮影について、私がやっている方法を何通りか書いておきます。ただし、この方法が必ずしも正しいわけではありません。自分の環境に合わせて各自で試されるのがいいのかと思います。

基本的には、私は部屋の中の白い壁を使っています。これは元々、以前見学に行った東京大学木曽観測所の口径1mのシュミット望遠鏡が、ドーム内に吊るした白いスクリーンを使ってフラット画像を撮影していることから、この方法にしたという経緯があります。

白い壁を使う場合ですが、光源は日光の方がよくて、晴れた日か、曇りの場合は全面が曇っていて明るさが時間であまり変化しない日がいいです。窓の近くで、直射日光が当たらない壁で、できるだけ均一に光が当たっている部分を探します。基本的には明るい方がいいですが、窓が大きくて明るすぎる場合などは、薄手のカーテンなどしてもいいでしょう。壁の明るさはなかなか一様にはならず、窓側に近い側がどうしても明るくなりますが、それでもできるだけ均一な場所を選びます。このグラデーションに近い明るさの違いは、PixInsightのABEの1次でほとんど落とすことができます。あと、鏡筒の自らの影が壁に映ったりするので、あまり鏡筒を壁に近づけないことです。

もしくは、障子を利用する手があります。鏡筒の径が収まる面積の障子があれば、直射日光が当たらないところを探して、それでフラット撮影すると簡単です。屈折など、そこまで口径が大きくない場合はいいのですが、大口径の反射型などではそれだけの面積を持つ障子面を探すのが難しくなってくるので、私は最近は障子はあまり使っていません。

もう一つの方法が、晴れた昼間でいいので、鏡筒を空に向けてピントをずらして撮影することです。これは鏡筒やフォーカサー部、カメラ筐体からのセンサー面への光の入り方をかなり再現することになるので、フラットはかなり合います。特に光害地では効果が高いです。その代わり、青くなるのでその補正が必要なのと、視野に虫や鳥が入り込むこんでピントが合ってしまうことがあるので、邪魔なものが入っている画像を目で見て取り除く必要があるのが面倒なところです。

逆に一見良さそうで全然ダメなのが、ライト撮影後に対物側にスーパーの袋などを被せて、まだ暗いうちにフラットを撮影することです。「暗いうち」というのがダメな原因で、できたフラット画像は結局のところ暗いところを写しているだけなのでノイズが大きく、これでフラット化すると縞ノイズの原因になったりします。

あと、壁の場合でも、障子の場合でも、青空の場合でも、フラット撮影をするときは「カメラ側を暗くしない」ことがコツでしょうか。現実的には、天体撮影時にフォーカサー部やカメラからも光が入っていて、特に光害地での撮影だとフラット撮影時にそれを再現できないためにフラットが合わないケースがあります。フラット撮影時にもできるだけ実際の状況を再現してやるという考えです。上の方法は全てその観点から有利になっています。壁の(あまり明るすぎない)光を利用するのも、対物側とカメラ側での光量にあまり差をつけないためです。フラット撮影は短時間で済むので、漏れ光は関係ないのではという反論もあるかもしれませんが、ライト画像の撮影時には1枚あたりの露光時間が長くなるので、漏れ光の影響は入ってくると考える方が自然で、それを漏れ光が入っていないフラット画像で補正しても、原理的に補正できないのは想像できるかと思います。

その一方、フラットダークの撮影時はカメラ側も徹底的に暗くしてやります。昼間にカーテンなどで部屋を暗くするだけでは不十分で、私は部屋を暗くして、なおかつ毛布などをカメラを含めて鏡筒全体にかけて光を遮ります。ただし、毛布などを被せる時にカメラの排気口を塞ぐのは厳禁です。熱がカメラにこもってしまい故障の原因になりかねません。排気口を塞がないように且つ、光が入らないような工夫をすべきです。

IMG_8667

接眼部からの漏れがあるかどうかは、カメラを鏡筒につけたままダークノイズを撮影してみるとわかるかと思います。通常のライト撮影と同じ露光時間、ゲインで、対物側にキャップを被せてダーク画像を撮影します。その際、明るい部屋で撮影するのと、暗い部屋でさらに毛布などを全体に被せて撮影して、それぞれの画像を比較してみてください。画像の比較はオートストレッチをして、必要ならABEの4次などを使い差を見やすくするといいでしょう。ここで差が出るならば、漏れ光が原因でフラット補正がきちんと当たらない可能性が高くなります。また、漏れ光でダーク画像自身が汚されてしまい、ダーク補正がうまく行っていない可能性も出てきます。

ダーク画像、フラットダーク画像、必要ならばバイアス画像も、暗い部屋でさらに毛布などを被せて暗い状況を作り出し撮影し、その一方フラット画像はライト画像の撮影時の状況をできるだけ再現するという、ある意味至極真っ当なやり方というわけです。

これらの観点から考えると、LEDなどのフラットパネルでの撮影は原理的にどうやっても合わないと思われます。フォーカサー部やカメラ筐体からの接眼側光の入り方を無視して、鏡筒側だけ光度を強調しているからです。フォーかサーブからの漏れをものすごく気をつけているとか、ものすごく暗いところで天体を撮影しているのなら、接眼側から入る光が少なくなるのでこの問題が顕在化する可能性は下がるでしょう。フォーカサー部やカメラになんの対策もせず、光害地、特にローカルな街灯や家の明かりなどがある光害地では、この問題は大きくなる可能性が高いです。また、そもそもLEDパネルは対物側にピッタリつけるので、光路的にも現実の光の入り方とは変わってくるはずです。壁撮影も原理的には合わないですが、対物側にすきまがあるのでまだ現実を反映しやすいと考えられます。

ただし、LEDが全く使えないかというかというと、そんなことは全くなく、程度問題なのかと思います。暗い場所で撮影している場合は漏れ光の影響は少ないでしょうし、漏れこう対策をきちんとしている場合も大丈夫でしょう。原理的に光のパスが違うのは仕方ないのですが、これもどこまで合わせるかで問題になるかどうかが決まってくるでしょう。私は淡いところを相当炙り出したい口なので、わずかのフラットのズレが問題になってきますし、結局のところ光学的なフラット補正だけでは完全に合わせるのはほぼ無理なので、ソフト的な補正も駆使してます。あまり淡いところをあぶり出さない場合は、フラット補正は多少ズレがあっても問題にならないでしょう。というわけで、それぞれの環境、目標に応じた程度問題ということになるのかと思います。

あと少しだけ一般事項です。フラット画像の撮影は画面が十分明るくなるような露光時間にします。目安はヒストグラムで見てピーク位置が左3分の1から真ん中くらいです。フラット撮影時のカメラのgainはライト撮影時のゲインと必ず同じにしてください。その一方、温度は常温で構わないと思います。フラット撮影時のような短時間露光ではダークノイズはほとんど関係ないですし、バイアスノイズの温度依存性がほとんどないことは以前調べています。それよりも、下手に温度を下げたりして結露してフラット撮影を失敗することの方が多かったです。今のところ常温が原因でフラット補正を失敗したという経験はありません。

その他、基本的なことは当然なのですが、基本的に守るようにようにします。基本ができてないと何をやっても無駄です。例えば、フラットダークは必ず撮影します。フラット化がうまくいかないかなりの原因がフラットダークを使っていないことです。フラットを撮影してからそのまま部屋を暗くして、毛布をかけて、同じゲインと同じ露光時間で撮るだけです。あと、フラットとフラットダークは必ず同じ時間帯に撮影するようにしています。時間が経って温度が違うと振る舞いが変わる可能性があるからです。フラット、フラットダークの温度が合っていれさえすれば良くて、上にも書いたように、ライトフレームの温度とは違っていても構わないので、フラット撮影時に冷却する必要はありません。

いつも気をつけていることは大体これくらいです。ここで書いてるあることも単に経験則で、きちんとした検証はできていませんが、フラットで困ることはあまり無いので、そこまで間違っていないと思います。


問題の画像

seki-chanさんとは結構頻繁に画像処理の検討をしていて、今回撮影したフラット画像も、上のようなことを実行してくれています。その上で、今回はフラット補正が全くうまくいかなかったとのことです。最初に送られてきた画像は以下のようなものでした。

NGC2359_周辺減光が過補正

円のような青い形が周りに出ていて、フラットが合っていないように見えます。状況を聞いて、例えばCBPフィルターを使っているとのことなので、それも疑いました。また、処理ソフトがSirilとのことなので、フラット補正アルゴリズムが間違っている可能性もあると思い、他のソフトでも試してもらいましたが、いずれも状況は変わらずでした。他にも色々試してもらったのですが、なかなか原因が掴めずにいたので、ライト画像、ダーク画像、フラット画像、フラットダーク画像を全枚数をRAWでアップロードしてもらい、手元でそれぞれ確かめることにしました。

実はこの時点である程度原因は予測できていて、seki-chanさんに子午線反転の前後の画像をあらかじめ送ってもらっていました。一見するとあまり差がないように見えるのですが、よくみると暗い部分が反転している様子が見えました。このことを確かめるために、画像をRAWで送ってもらったというわけです。

問題の子午線前後の画像です。
2026-01-09_23-58-39__-10.00_180.00s_0049_d

赤道儀が反転する前後のRAW画像を、debayer、オートストレッチして、SterNetで恒星を消したものをgif化しています。このブログへのアップロードの関係でサイズを小さくしていますが、大まかな傾向を見るのには支障がないでしょう。

繰り返し見て比べてみると、明るいところと暗いところが上下で反転しているのがわかるかと思います。これは、近くにある邪魔な光が、ニュートン反射鏡筒の先端部から入り、先端部近くについている接眼部に非対称に当たるために起こることが原因で、子午線反転でその効果が逆転してしまった様子です。

次に同じ子午線反転前後のライト画像を、フラット補正したものを示します。
2026-01-09_23-58-39__-10.00_180.00s_0049_c_d
RAW画像をフラット補正とダーク補正して、debayer後にオートストレッチしたものです。

フラット補正に利用したマスターフラット画像は以下のようなものです。こちらもdebayerしてオートストレッチして見やすくしています。
integration_RGB_VNG

上のように、フラット補正をした後の画像を2枚を重ねて交互に見比べるとよくわかりますが、迷光の入り方で出来た差を1枚のマスターフラットでは補正しきれていないのがわかります。

次がフラットでは補正しきれていない60枚の画像を位置合わせしてスタックしたものです。
masterLight_BIN-1_4144x2822_EXPOSURE-180.00s_FILTER-NoFilter_RGB

補正しきれていない部分が重ね合わせのようになり、円状の形になっています。それぞれがうまく補正できていない一枚一枚をスタックしたので、当然かなりひどい影響となってしまっています。これが、最初にseki-Chanさんから送られてきた画像相当のものになります。一番上の画像を比べると、ちょっと補正できていない部分の形が違って見えますが、ストレッチの仕方で見え方は違ってきます。紫っぽい色なんかはよく似ていますね。


なぜこんなことが起こるのか?

結局のところ、ニュートン反射の迷光は、接眼部が鏡筒先端に近いことが原因です。接眼部が鏡筒の片側だけについているので、入ってくる迷光が本質的に対称にならないからです。撮影画面上では左右や上下で非対称になります。左右か上下かは、カメラの回転角によります。このような鏡筒と撮影地の場合、子午線反転で光の当たり具合がかなり変わってしまっています。このことは、接眼部が鏡筒横についている反射型ではかなり一般的に起こる話で、私の使っているε130Dでも起こっています。同じ反射でも、接眼部が対称になっているシュミカセなどでは起きにくいと思われます。


この光のズレは、赤道儀が動くことにより、光害などによる迷光の入り具合が違ってくることが第一に考えられます。光害と言っても、遠くの空が明るいとかというよりは、近くの街頭などの影響の方が効いてくると思われます。周りが明るい市街地での撮影だと顕著だと思います。フラット画像は例えば壁利用なんかだと、安定した状態で撮影した画像をスタックしますが、少なくともこうしてできた「一通り」のフラット画像で、これだけ違う状態を一度にフラット化するのは無理でしょう。反転前と反転後の位置でフラットを撮影して、それぞれ別に処理すると少しマシなのかもしれません。

実際には赤道儀の反転時だけでなく、追尾で動いていく最中にも迷光の状態が変わっていくはずなので、反転前後の2グループに分けるだけだとまだ不十分かもしれません。フラット処理を終えた画像を1枚1枚見ていくと、処理しきれていない誤差が画面上を動いていくのが見えます。これらをスタックすると、補正できないところが円上の形になって出てくるかと思います。

上の、円状にフラット補正がうまくいっていない画像を、無理やりソフト的に解決してみたものになります。
integration1_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_ABE_DBE1

これはPixInsightのABEで1次から8次まで8回繰り返し、最後にDBEをかけたものです。これくらいやって、やっと添付画像くらいになりました。完璧ではありませんが、かなりましになったかと思います。

でも、この補正は画面全体が星雲でモクモク状態だと通用しません。PixInsightのMGCだとかなり対応できるのですが、このトールの兜星雲のように、領域のデータがまだないようだMGCも使うことができません。今回は全体がモクモクしているわけではないので、まだなんとか誤魔化せたくらいです。

一番の解決方法はまずはフードだと思います。それでも時としてフードが悪さをする場合もあります。フードはペラペラの薄いものだと形が安定しないので、取り付け方次第で迷光の入り具合が変わります。もしフードを取り付けるなら、頑丈で変形せず、毎回同じ位置に取り付けられるものがいいと思います。

ε130Dもよく似た問題があるのですが、結局フードも結構面倒なのと、フードなしの方がいい場合もあったりするので、私はソフト側でなんとかしてしまっています。

というわけで、光害の影響というのが私の結論です。光害地ではフードは必須でしょう。それでも影響は残ると思うので、ソフト的な処理が必要になるかと思います。


エピローグ

その後のseki-chanさんからの返答です。
ご検討いただき、ありがとうございます。また、迷光の影響と結論づけていただき、ありがとうございます。大変勉強になりました。

今回ご指摘いただき、これまで撮影した画像を落ち着いて見返してみました。

いつも屈折望遠鏡とニュートン反射望遠鏡で撮影しています。
屈折望遠鏡の方はフラット補正後に割と素直な勾配のカブリにとどまっていました。
こちらは結露対策で長めのフードを付けており、迷光対策になっていたのだと思います。

一方、ニュートン反射の方は今回ほどひどくはないものの、ほとんどの写真で複雑な背景勾配になっていることが分かりました。
程度が軽く、一回のBGE処理で目立たなくなっていたので、気づいていないだけでした。
とのことでした。多かれ少なかれ、ニュートンで光害地での撮影では同様の問題が存在するのかと思います。


まとめ

フラット補正については私も紆余曲折してきていて、過去様々な方法を試しました。障子撮影でかなり落ち着いてきて、大口径も含めて白壁撮影で今はほとんど問題がないです。撮影したフラット画像は、鏡筒とカメラを外したり回転しなければ、使い回しができるので、できるだけ同じセッティングを保ちながら撮影するようにしています。それでも最近ε130Dの子午線反転でまだ問題があることがわかったので、こちらはもう少し対策を進める必要がありそうです。

今回、フラット画像撮影においてフォーカサー部などからの光の漏れの影響について言及しましたが、もう少し定量的な評価が必要かと思っています。ただ、これまでこういったことがこれまで議論されたことはほとんどなかったで、フラットパネルの有効性も含めて、今後議論が進めばいいのかと思っています。


以前、10月に夜の撮影のリハビリでサドル付近と魔女の横顔星雲を撮影しました。


露光時間不足だったので、サドル付近は撮り増ししたのですが、魔女の横顔星雲もその後、何度かに分けて撮り増しました。でも失敗も多くて時間がかかってしまったが、なんとか画像も溜まったので、再処理してみました。


不調で何度か撮影する羽目に

計3回取りまししたのですが、撮影時の失敗が多かったです。

10月29日はRとB画像は撮影できましたが、寝てしまった後も撮影を続けていて、その後ピントが全然合わなかったようで、GとA画像を丸々3時間20分ぶん捨てることになりました。不思議なのは、EAFの記録を見てもきちんと測定できていたことです。下の画像がその記録なのですが、中心が5924と出ているのに、なぜかセットされたのは6423(下の画像の左上の数値)となっていることです。

キャプチャ

ズレが 6423 - 5924 = 499 と、500に近いので、何か一回分大きく動かすボタンが押されてしまったような感じです。でももう寝てしまっていたので自分でミスるはずもなく、多分NINAの何かの不具合かと思っています。

その後11月22日に、前回撮り逃したGとAを撮り直しますが、その際も寝てしまった後に撮影したL画像のピントがずれてしまっていて、3時間ぶん丸々捨てることになりました。どうやら、オートフォーカスのところでオフセットを使用するように設定してしまったのが悪さをしているようです。そこをオフにしてからは、今のところ変なピントミスは出ていないですが、もう少し様子を見る必要があるでしょう。

さらに翌日の11月23日に、前日撮り逃したLを撮影しましたが、結構流れてしまう画像が多かったです。気づいてキャリブレーションをやり直したりしたのですが、その後雲が出てきてしまい、あまり枚数を稼ぐことができませんでした。しかも、後でわかるのですが、赤道儀の反転後はこれまで合っていたフラットが合わないということが判明しました。なので結局前半しか使えずに、トータルではこの日全部で6時間20分撮ったうちの、わずか50分ぶんしか使うことができませんでした。それでもRGBとLRGBでは微恒星や、星雲の細かい構造に差は出たので、Lを使うことにしました。


画像処理

画像処理の話に移ります。RGBは5分露光が前回処理した時の分も含めて、それぞれ12枚、13枚、13枚となりました。まだ枚数は多くないですが、撮り増しする前の4枚、3枚、4枚というとんでもない短さよりは遥かにマシです。Lも上に書いたように結局10枚と多くはないですが、それでも使わないよりは使った方が明らかに効果があったので、LRGB合成で進めることにしました。

LRGB合成は結構曲者で、なかなか色が出ないと困っている方も多いようですが、Lで分解能を出そうとすると合成直後は下の画像のように一見モノクロかと思うくらいになってしまいます。

Image51s

これでも色の情報としては残っているので、例えばCTのSaturationで彩度をかなりキツく出してやると色が出てきます。
Image51_CTs

ここらへんのことは以前M106を処理する時に検証したので、私も今回もそのページを参照しながら進めました。


逆に、LRGB合成直後に色が残るくらいにしてしまうと、Lが全然生きていなくて分解能が実質出ていないということもM104を処理した時に実感しています。


まとめると、RGBとLを使ってLRGB合成をするときは、Lの比率を十分に高くして、Lが生きて分解能が良くなるような状況で画像処理を進めること。その際、一見色が全く出ていないように見えますが、情報としては残っているので、その後彩度を十分に上げてやることが重要というわけです。

ただし、RGBのそれぞれの色のフラット化がうまくいっていない場合などは彩度を出していくと画面内で色のばらつきが出て、メチャクチャな色に見えてしまうことがあります。その場合ですが、今はMGCがあるので、それを使うのが効果的なのかと思います。

上の画像をさらに強度にストレッチしてみると、今回は一見下のような画像が出ました。赤と緑が馬渡に混ざったような模様が見えています。
Image51_CT_more_s

最初フラット化が全然うまくいっていないのかと思っていたのですが、例えば背景に赤い模様が出ているのは、下の画像のようにHαで撮影した時の構造と一致していることがわかったので、こちらは単に勘違いでした。
drizzle_integration_A_ABE1_crop_s

LRGB段階での背景の村のように見える模様は、その後、上の画像のように別途Hαで撮影した画像を合成していくので、まともに見えるようになってきます。


またしても迷光が

さらにLRGB画像の処理を進めていき、恒星を分離して背景だけを見てみると、なくなっていたはずのε130D特有のリング状の模様のズレが出てしまっていることがわかりました。

Image42_HT_NXT_more_s

「あれ?これ前回の時にフード無しで撮影して全然出なくなったのではなかったのか?」と思い返して、いろいろ調べてみました。

どうやら今回もRGB画像では全くズレは出ていなくて、L画像のみに出ていることがわかりました。もっと調べてみようとして、L画像の一番最初と一番最後のもので比較してみたら、最初はリングは出ていないのに、最後はリングがはっきりと出ていることがわかりました。何が違うんだろうと思ってよく見てみたら、赤道儀の反転で画像が反転していたのです。反転前の画像には一切リングは出ていないのに、反転後には全てにリングが出ています。どうも撮影時の光の入り具合でフラット画像が合うか合わないかが決まるようです。

今回は結局ずれのでていない前半の10枚だけをL画像として、反転後のL画像は捨ててしまいました。一つ試したいのは、フラット画像を撮影する時に、鏡筒を上下逆にして撮影したものを反転後の補正に使えばいいのかもしれません。フラット撮影は昼間の部屋で白い壁を写しているのですが、壁の明るさも一様ではなくて、どうしても窓に近い方が明るくなってしまいます。その輝度変化に対して、鏡筒の迷光の強弱が反転してしまい、過補正および補正不足になるところがリング状にでてしまっているように見えます。鏡筒反転フラット撮影でそれが消えるのではという期待です。いつか時間がある時に試してみようと思います。


LRGB画像にHαを合成

その後、Hα画像をPhotoshopのスクリーンで加えて仕上げます。MGCではHαの補正はあまりきちんとできないようなので、Hαの輝度バランスがどこまで正しいのかはちょっと微妙です。それでも、淡いところまでHαの構造が存在するので、できるだけ表現してみました。魔女の横顔星雲本体からHαが透けて見える様子もわかるかと思います。

「IC 2118: 魔女の横顔星雲」
Image51_CT_BXT_SPCC_MGC_AS_GHS_GHS_HT_SCNRg_SCNRr_NXT4_cut_ss
  • 撮影日: 2025年10月18日1時5分-2時8分、10月30日0時7分-1時46分、11月22日21時51分-23日1時55分、11月23日23時15分-24日3時41分、
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D(f430mm、F3.3)
  • フィルター: ZWO製 R、G、B、L、Barrder製 Hα
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 12枚、G: 13枚、B: 13枚、L: 10枚、A: 36枚の計85枚で総露光時間7時間0分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒、L: 0.01秒、A: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

今回Hα画像をかなり強調して構造を出してみましたが、これはあくまでHα線でみた時に見える構造というだけで、暗い空でブロードで見る場合とは、構造も色もまた違ったものが出てくるのかと思います。


恒例のAnnotateです。たくさんの小さな銀河があることがわかります。
Image51_CT_BXT_SPCC_MGC_AS_GHS_GHS_HT_SCNRg_SCNRr_NXT4_cut_ss_an

特に中心部は形がわかる銀河がいくつもあって、面白いです。
Image51_galaxy


まとめ

無事に撮りましも終えて、やっと魔女の横顔星雲も霧がついた気がします。10月の撮影のRGB撮影でも赤い構造が少し見えていたので、ここをHαで見てみたらどれくらい模様があるのだろうというのが今回の鳥マシの動機でした。でも何度が撮影ミスがあったので、やはりまだ夜の撮影は完全復帰とは言い難い気がしています。

夜の撮影に関しては、新しい機材を試してみたいと思っています。私としてはちょっと珍しい機材です。まあ結果が出るまで時間がかかりそうなので、うまくいったらまた報告します。


前回の記事で、週末金曜にレモン彗星を撮影した話を書きましたが、雲が多くて時間をかけることができませんでした。その後スワン彗星に移るというてもあったのですが、レモンさんがうまくいかなかったのとお腹が空いたので、まだ19時過ぎでしたが、もう諦めて自宅に帰ってしまいました。それでも天気は良かったので、そのまま前週の短時間撮影の撮り増しをすることにしました。


撮り増し撮影開始

時間的には夕食を食べた後の20時過ぎくらいなので、まずはサドル付近です。前週の撮影は雲も多くて、使えたものはHαが5分が5枚、OIIIに至ってはわずか3枚で、時間的には合計40分と十分とは言い難い状況でした。

今回撮影したかったのは、まずはR、G、B画像です。恒星の色を出すことと、背景が赤一辺倒になるのを防ぐ目的です。R、G、Bをそれぞれ5分x6枚撮影し、その後足りなかったOIII画像を15枚、Hα画像を12枚としました。結局OIIIの途中で雲が出てしまい、Hαの追加は取れませんでしたが、Hαはかなり濃く出るのでおそらく問題ないでしょう。結局使えたのが、RGBは6x3枚全部、OIIIは11枚でした。前回の分と合わせて、RGBがそれぞれ6枚、Hαが5枚、OIIIが14枚になります。全て5分露光です。

晴れていたらその後魔女の横顔星雲も撮り増しする予定でしたが、雲で厳しそうなので、サドル付近が終了した時点で撤収としました。

枚数的にはもう少し増やしたかった気もしますが、ノイズ処理を丁寧にすることであまりノイズ感が出ないように仕上げることができたのかと思います。ノイズ処理は最近はNXTをメインで使っています。今年2月のアップデートでのカラーノイズの対応と、高い空間周波数と低い空間周波数を分けることで、ノイズをあまり不自然にならないようにできます。

今回の撮影もフードは取り付けませんでしたが、前回撮影したフラット画像を使うことで、今回も迷光は全く出ませんでした。フード無しのフラット補正でうまくいくというのは、再現性もありそうということがわかってきました。


画像処理

R、G、B画像にも構造は十分に見えています。これはHαやOIIIだけでは表現しきれない模様があることを意味しています。画像処理は、最初はR、G、B画像のみでRGB合成をして、MGCまでかけます。これで大まかにはおかしな勾配がないことがある程度保障されます。構造は複雑ですが、白に近い色が多くて、赤色や青色の単色に近い成分は思ったより少ないです。

これだけだとさびしいので、Hα画像とOIII画像でAOO合成をして、こちらもナローバンドで(擬似的ですが)MGCを適用します。ナローだとしても、大まかな勾配を無くしておきたいという目的です。

R、G、BとHαとOIIIをどうやって混ぜていくかですが、今回はPhotoshopでRGB画像にAOO画像をレイヤーの比較 (明) で合わせて、明るさを適度に調整しました。特にRGB画像のGはAOO画像の比較的暗いところに面白い構造を出してくれます。必ずしもこの構造が正しいとは限りませんし、そもそも正しい構造なんて誰も定義できないと思うので、好みで見栄えがいいようにしています。仕上がりとしては赤だけでない色彩豊かな、淡いところの構造も複雑な色で出ていると思いますが、どうでしょうか?

ASI6200MMはbin1だと解像度が高くなりすぎて1枚1枚のファイルサイズも大きくなるので、前回も今回も含めて通常はbin2で撮影しています。今回の画像処理では、分解能を出すために2倍のDrizzle処理をして、そこにBXTをかけています。

bin2だとピクセルサイズが7,52μmになり、より明るく撮影できるので信号的に有利になります。また、光害地での撮影では背景光のショットノイズが支配的で、読み出しノイズは効いてこないので、S/N的にもbin1で撮影するよりダイレクトに有利になります。

まとめると、分解能的にはbin2の方が不利なのですが、bin1だと暗くなるのでS/N的には不利になるのと、drizzleとBXTで明らかな分解能の向上が見られるので、トータルではbin2の2倍drizzle+BXTが、今の状況では効率的にはいいのかと思っています。


結果

結果ですが、全体像としては以下のようになります。430mmでフルサイズなので、かなりの広角になります。サドルと三日月星雲が十分入るくらいになります。解像度的にはdrizzle x2をしているのでbin1相当なのですが、そのままだと大きすぎてブログにアップすることもできませんので、全体像のみ解像度を縦横半分に落としてbin2相当にしています。

「サドル (Sadr) 付近」
Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_half_cut
  • 撮影日: 2025年10月17日21時43分-23時51分、10月24日20時30分-23時9分
  • 撮影場所: 富山県富山市自宅
  • 鏡筒: TAKAHASHI製 ε130D (f430mm、F3.3)
  • フィルター: Baader製 Hα 6.5nm、OIII 6.5nm
  • 赤道儀: Celestron製 CGEM II
  • カメラ: ZWO製 ASI6200MM Pro (-10℃)
  • ガイド:  f120mmガイド鏡 + ASI290MM、PHD2によるマルチスターガイドでディザリング
  • 撮影: NINA、bin2、Gain 100、露光時間5分、R: 6枚、G: 6枚、B: 6枚、Hα: 5枚、OIII: 14枚の計37枚で、総露光時間3時間5分
  • Dark: Gain 100、露光時間5分、温度-10℃、117枚
  • Flat, Darkflat: Gain100、露光時間 R: 0.03秒、G: 0.03秒、B: 0.03秒、Hα: 0.5秒、OIII: 0.5秒で全て64枚
  • 画像処理: PixInsight、Photoshop CC

前回はAOO画像からの色付けだったので、かなり無理をして、特に無理に緑を出してたような処理になっていました。今回はRGB画像があるので、まずは恒星の色がきちんと出ます。背景にもRGBの効果は出ているようで、Hαの赤を生かしつつ、緑っぽいところ、青っぽいところなど、色彩豊かになっているのかと思います。

HαとOIIIをどう混ぜるかはまだ試行錯誤中です。これまではRGBのRをHαに、BをOIIIに置き換えていましたが、RGBとAOOを適度な比率で合成する方が、よりRGB画像が生きる気がします。HαやOIIIに存在せず、RGBだけに存在する構造もあるので、できるだけRGB画像を活かす方法を今後も考えていきたいと思います。


三日月星雲とsoap bubble nebula

この撮影での目的の一つが、三日月星雲の少し下にある惑星状星雲のsoap bubble nebulaを写すことです。Wikiによると、2007年にアマチュア天文家によって見つかったという、比較的新しい星雲になります。前回も狙いましたが、撮影時間が短いせいか、存在があるかどうかというくらいの見栄えでした。今回は十分見えるくらいには出ましたが、それでもまだ淡く、これは単独で長時間で個別に狙ってもいいのかもしれません。こちらはbin1相当画像からの切出し画像になります。

Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_cut_L

三日月星雲自身も面白くなりました。OIII画像の枚数を増やしたからかと思いますが、周りの青いベールがよく出ています。細部の出方も焦点距離430mmとは思えないレベルです。

Image25_SPCC_MGC_BXT_GHS_GHS_NXT_HT_more_back2_cut_SS

以前、SCA260で撮影したものと比較してみます。画角が少し合わないので、以前と今回の画像の重なる部分を、向きも合わせて並べてみます。左がε130D + drizzlex2 + BXT、右がSCA260になります。

comp1

クリックして拡大してみるとわかりますが、drizzleとBXTをつかったε130Dが、BXTのないSCA260にかなり迫る解像度になっています。微恒星に関してはε130Dの方が圧勝だったりします。口径で2倍、焦点距離で3倍の差を縮めているのは驚異的です。

じゃあ大口径は無駄かというと、そんなことは全くなくて、SCA260の画像にBXTをかけたものと比較すると歴然の差が出ます。左がε130D + drizzlex2 + BXT、右がSCA260 + BXTになります。

comp1

分解能はやはり口径の大きいSCA260が圧倒、微恒星もε130Dがかなり拮抗しますが、最微恒星を比べるとやはりSCA260の方が有利です。このように、ソフトの条件を揃えるとやはり口径なりの差になるようです。ただし、SCA260の画像に使っているBXTは初期の頃のバージョンであることと、drizzleは使っていないので、もしかしたらSCA260の方はまだ解像度の向上は可能かもしれません。

いずれにせよ、BXTの有り無しで、鏡筒の口径を倍にするくらいの機材の大幅アップグレードに相当する効果があるというのは、驚異的と言わざるを得ません。


アノテーション

アノテーションを今一度示してみます。(実は何日かの間、アノテーション作れなくてエラーが出ていました。どうもサーバー側のVizieRがダウンしていたようなのですが、こんなこともあるということでメモだけしておきます。)
Image01_Annotated

430mmという短焦点でフルサイズという、ある程度の広角撮影なので、かなりの数の天体が含まれていることがあります。これを見ながら、次の切り抜き画像を楽しみます。


広角画像からの切り抜き

以前、おとめ座銀河団の広角画像でやったように、この中から特定の天体を切り出して独立した画像としも、今回の撮影ではかなりの分解能で見えているので、十分見栄えがするのかと思います。いくつか選んでみます。


1. まずはある程度大きな領域です。

最初は三日月星雲をもう少し大きな領域で。

NGC6888

あえて、三日月星雲とサドルを外して。
large3

中央の複雑な構造を、縦構図で。
large2

左上の華やかなところをまとめて見てみます。
large1

どこも複雑な構造で面白く、これらを単独で見ても天体写真として十分通用しそうです。


2. 中規模構造です。

LBN206 LBN209 LBN212をまとめて。かなり淡い領域です。もう少し時間をかけたいところでしょうか。
LBN206_209_212

中央のLBN886、LBN881、LBN882、LBN883をまとめて。
LBN886_881_882_883

LDN880、LDN887ですが、明るい中にクワガタが2匹いるような構造が見えます。ここが分解能よく見えているのも楽しいです。
LDN880_887

左上のLBN251、LBN239です。
LBN251_239


3. もっと細かいところに注目してみましょう。

いくつか星団があります。まずはM29。メシエ天体ですね。
M29

こちらも星団のIC1311です。
IC1311

こちらはかなり小さな星団でNGC6910。
NGC6910

このNGC6910ですが、これくらいの小さい天体になるとアマチュアで単独で撮影される機会はグッと減るようで、むしろ研究対象としての天体になっているのが検索でわかります。例えば、磁場構造の解析がされたりしています。

どうでしょうか?どれも単独で撮影したと言ってしまっても、そこまで見劣りしないくらいにはなっているかと思います。今回は私としては全体的にあまり派手にはしていなくて、かなり地味目な処理になっています。特に小さな領域はどうしても淡く見えてしまうので、そのことも考えて、もう少し彩度などを上げてもいいのかもしれません。切り抜きも考えて、広域と細部を両立させる画像処理は結構難しそうです。今後の課題ですね。


まとめ

前回の撮影枚数は限られていたために、今回の撮り増しは、soap bubble nebulaや三日月星雲だけ見ても明らかに効果がありました。これだけ高解像度だと、広角だけではもったいなくて、拡大してやっと見えてくる箇所もあります。今回のような広角からの切り抜きも、せっかく撮影した画像の有効活用になるのかと思います。



今回はPixInsight上で動く、太陽画像処理用のSolar Toolboxを紹介します。すでに使っている人も多いかと思いますが、日本語の解説はいまだにどこにも見当たらないようです。


PixInsightの太陽画像処理ツール

PixInsight上で動作するSolar Toolboxというスクリプトが、今から1年ほど前の2024年2月にリリースされました。当初から使ってみたいとは思っていたのですが、今のImPPGからPhotshopという流れでそこまで不満ではなかったので、そのままになっていました。

転機になったのは、Astrobinの2025年4月1日のImage of the dayです。恐ろしく精細なプロミネンスのタイムラプスにびっくりしました。とてもじゃないですが、自分ではここまで出せる自信はありません。使っているツールの中にSolar Toolboxという名前を見つけたので、「あ、やっぱりいいんだ」と思ったのがきっかけです。

Solar Toolboxのインストールは

https://www.cosmicphotons.com/pi-modules/solartoolbox/

をPixInsightのレポジトリーに追加し、アップデートをチェックし、その後PIを再起動します。すると、メニューの「Process」の中に「Solar」という項目が作られていて、その中に「SolarToolbox」が追加されています。

Solar Toolboxは、機能的にはストレッチ、プロミネンスの切り分け、プロミネンスのブースト、コントラスト調整、カラー化と、カラー化に際しての色バランスとコントラスト調整、細部出し、デノイズなどがあります。カラーかと細部出しについては、マスク処理もできるようです。これだけ高機能なところをみると、一見他のツールが必要ないようにも思えるかもしれません。一通り試したのですが、決して万能のツールというわけではなく、得意、不得意があるようです。

モードは3つあり、「太陽表面のみ」と「プロミネンスのみ」と「太陽表面とプロミネンス」になります。自分が撮影した画像に応じて選びます。


事前理解と準備

これ以降はできるだけ機能を説明するために「太陽表面とプロミネンス」を前提に話します。他のモードだと、いくつかの機能が使えなくなります。

スクリーンショット 2025-04-15 010102_dialog

ダイアログの右下のDonumentationボタンを押すと、ヘルプファイルが出てきますが、あまり大した説明はないようです。作者によるインストラクション的な動画がアップロードされていて、それを見るのがいいのかもしれませんが、私はあまり動画を見るのが好きでないので、自分で一通り試してみてから、わかりにくいところだけを動画で見てみました。動画は英語なので、英語が苦手な場合は説明を聞くより実際自分でパラメータをいじって何が変わるかを見た方が早いと思います。その上で、今回は私が試した限りで、どの機能が有益で、どの機能はもう少しとかの説明や感想を書いておきます。

そもそも撮影後の、どこまで処理が進んだファイルを読み込ませるかですが、
  • 少なくともAutoStakkert4!などでスタックした後のファイルを使うことになるでしょう。
  • 細部を事前にどこまで出しておくか、プロミネンスの強調やコントラストをどこまでやっておくかは、Solar Toolboxでどれだけ処理をするかに依ります。このSolar Toolboxですが、特に細部出しはあまり強力ではないようなので、少なくとも細部出しはImPPGなどである程度あらかじめすませておいた方がいいのかと思います。
  • プロミネンスとコントラストはSolar Toolboxが結構得意なので、事前に何も弄らなくてもいいでしょう。
  • また、ImPPGなどでヒストグラムの形をいじって暗いところをあらかじめ炙り出しておくのは、やめておいた方が良さそうです。下で説明するプロミネンスのブーストが、事前に炙り出されていないことを前提にしているみたいで、あらかじめ炙り出してあると、明るくなり過ぎたり、特にImPPGで処理するとドット状のノイズが目立ってしまいます。
  • その一方、ヒストグラムの左右を切り詰めておくことは、あらかじめやっておくと楽です。例えばImPPGだとヒストグラムを「見ながら」切り詰めができる一方、Solar Toolbox上だと、切り詰めパラメータを一回入れる毎に、画像の変化をいちいち時間をかけて見なければならないです。効果としては全く同じですが、時間がかかる上に、見通しがとても悪いです。

Solar Toolboxでは、何をするにしてもリアルタイムプレビュー画面を見ながら各機能のパラメータの値をいじるのですが、一つパラメータを変えるたびに結構な時間をかけてプレビュー画面を更新します。全然リアルタイムではないので、できるだけ速いPCを使った方がいいです。


プロミネンスの切り分け機能

まず、一番上のプロミネンスの切り分け機能です。パラメータの微調整がシビアですが、うまく設定すると太陽表面と周辺のプロミネンスを綺麗に分けることができます。デフォルトの0.5を一度大きく変えると何が変わるか見えるので、どんな機能かがわかるかと思います。わかりにくい場合はすぐ下の「Invert」オプションをオンにしてみてください。傾向がわかったら、0.05単位くらいで微調整していけば、好みの切り分けにできるでしょう。

これに相当する機能は、ImPPGでヒストグラムの曲線をいじって、プロミネンス部分と太陽表面部分を切り分けて輝度調整するとかですが、それよりもSolar Toolboxの方がうまく分離できるようです。普通は輝度の違いだけで判断するとあまりうまく分離できないのですが、Solar Toolboxではかなりうまく分離できるので、見ているのは輝度だけはないのかもしれません。一般的には、うまく分離しようとしたらマスク処理が必須となるのですが、マスク無しでうまく分離できるのでかなり便利です。

Solar Toolboxのストレッチは、ブラックポイントとホワイトポイントの切り詰めだけです。この切り詰めはあらかじめImPPGでやっておいた方が、デフォルトのブラックが「0.000」とホワイトが「1.000」をそのまま使えるので楽です。プロミネンスの背景が明るすぎる場合、ブラックポイントを0.01とか、0.02とかに上げて微調整します。プラージュとかの白いところの階調があまり取れていな場合は、ホワイトの値を1.1とか1.2まで上げると、多少階調を改善すことができます。

ImPPGならヒストグラムを見ながら、ガンマ補正や、曲線そのものを任意にいじることができるので、あらかじめいじっておいてもいいですが、今のところSolar Toolboxの使用が前提なら、事前にあまりいじらない方が楽っぽいです。ImPPGでいじって、さらmにSolar Toolboxでいじると、パラメータが多すぎてよくわからなくなることが多いので、私はImPPGでは細部出しと、ブラックとホワイトのと切り詰めをするだけにしています。


プロミネンスのブースト

プロミネンスのブーストは必要十分な機能です。ImPPGの方がヒストグラムで調整できるので、一見高機能に思えますが、再現性や安定度という意味ではSolar Toolboxのシンプルな操作の方が上かと思います。ImPPGでプロミネンスをあぶり出ししていなければ、0.7とか0.8とかの大きな値にしてもいいかと思います。

3D機能は開発者の動画解説によると、周辺のブーストと太陽表面の球のような輝度分布を重ねるような効果だそうです。3D機能を使わないと、太陽全体が見えている時なんかは太陽表面の輝度がフラット化されて、ノペーっとして、3D機能の値を上げると、立体感が増します。太陽表面の印象が印象が変わるので、いろんな値を試して好みを探るといいでしょう。


コントラスト

コントラスト設定はかなりわかりにくいです。まずは左タブの「Histgram equalizatin」で説明します。「Contrast limit」の数字を上げると明るくなって、下げると暗くなるのが基本操作です。「Kernel radius」でどれくらいの粗さかを決めますが、値が100とか小さ過ぎると輝度が大きな範囲で凸凹するようです。私は普段は200以上の大きな値を使っています。

マスク処理は、チェックボックスをオンにしてマスクを表示させながら調整するといいでしょう。「Surface Only」で基本的に太陽表面のみにするか、「None」で全体にするかを分けるものです。「Surface and prom」で好きなところを選べますが、こちらはマスクの状態をよく見ながら、輝度を「Shadow」で合わせる必要があるので、ちょっと面倒です。

結局、「Histgram equalizatin」はかなり扱いにくかったので、隣の「Local contrast」を使った方が楽かと思います。左の「Histgram equalizatin」と右の「Local contrast」は完全に独立な設定で、どちらかを選ぶと、もう一方の設定は全部無視されます。「Local contrast」は数値を大きくすると、特に太陽表面の模様の明るいところと暗いところの差がうまく強調されます。

次のカラー化のところのコントラスト調整と合わせて、この「うまく」コントラストを出すというのが今回のSolar Toolboxを使うことの一番のメリットなのかと思っています。というのも、例えばHα画像をPhotoshopに持っていって、ありとあらゆる調整を試しても、コントラストを素直にうまく改善する機能がほとんど見当たりません。私は普段はImPPGでコントラストを強調してから、Photoshopではほんの微調整くらいしかしませんが、もっと簡単にコントラストを調整できたらとずっと思っていました。そういったい意味で、このSolar Toolboxは非常に優れていると思います。


カラー化

もう一つのSolar Toolboxの利点は、カラー化です。カラー化自身はPhotoshopのレベル補正でなどでもできますが、なかなかいいパラメーターが決まらず、毎回違った設定になって結果も安定な色になりません。

Solar Toolboxのデフォルトの色バランスの設定はかなりうまく選んであって、少し変えてみて結局元のデフォルトの色方が良かったりしたので、ほとんどの場合はデフォルトで処理してしまっています。デフォルトを使うと決めてしまうと、たとえ他の画像を処理しても、かなり安定な色になることが期待できます。もちろんコントラストなどの設定が色味を変えることがあるので、色の微調整はするかもしれませんが、今後画像によって大きくブレるかとは無くなるのかと思っています。

カラー化する場合、その中で2種のコントラスト設定をいじることができます。これらもとてもうまくコントラストを上げてくれるので、下手にPhotoshopなどで自分でやるよりも、簡単に安定して処理してくれるでしょう。ハイライトの方は効果がすぐにわかります。高くすると見栄えが良くなります。通常のコントラストブーストは効果がわかりにくいです。ものすごく大きくしてやるとやっと違いがわかると思います。

ストレッチは0.5から下げると明るくなり、上げると暗くなります。全体の明るさをいじるのはここがメインになります。カラー化する場合はこのストレッチ機能が使えるからいいのですが、モノクロのままだと全体の輝度調整をするのが結構面倒だったりします。モノクロの場合は素直にHistgramTransformationとか使った方が楽かもしれません。

Solar Toolboxダイアログの一番上の「Image type」で「Prominence only」を選ぶと、プロミネンスのマスクが使えるようですが、ここでいうProminence only用の画像とは開発者の解説動画によると、太陽表面が完全に飽和したような画像のことのようです。今回そんな画像は試していないので、ここのマスク機能はまだ使えていません。


細部出し

最後のSharpningは結構微妙です。もちろんシャープにしてくるのですが、こちらはそこまで強力ではなく、ImPPGなどの方がはるかに簡単に強力に処理してくれます。

私が思うImPPGの唯一の欠点は、デノイズ機能がないことです。そのため、ちょっと強力な炙り出し処理をすると、途端に背景とかにツブツブが載ることです。これは月をImPPGで処理すると良くわかります。太陽だとモジャモジャしているところも多いので、背景以外はあまり目立たないのですが、月は表面で滑らかなところがありツブツブが目立ちます。なので、月にはImPPGを使うのを諦めた過去があります。

例えばRegistaxのWaveletや、PIのMultiscaleLinearTransformなどは、細部出しと共にデノイズ機能があるので、ツブツブ感が軽減できるのですが、細部出しそのものについては手軽さまで考えるとImPPGの方が上だと思っています。なので、ImPPGでストレッチと細部出し、少しのプロミネンス強調までして、PIに持っていきMultiscaleLinearTransformでデノイズ処理、その後Solar Toolboxでプロミネンス強調、コントラスト調整、必要ならカラー化とカラー化に伴うコントラスト調整、さらに必要なら細部出しとデノイズを僅かにといったところでしょうか。


タイムラプスへの応用

Solar ToolboxがPixInsightをベースにして動くことで便利なのは、コンテナを使って複数ファイルに自動で同じ処理を適用できることです。今のSolar Toolboxは細部出しが苦手っぽいので、ImPPGを使わざるをえない状況かと思いますが、ImPPGもバッチ処理機能があるので、複数画像に同じ処理を適用できます。連続処理できるツールのみを使うことで、タイムラプスで多数の画像を楽に扱うことができるようになります。


まとめ

Solar Toolboxを一通り試してみましたが、かなり使えます。特にカラー化の安定性と、コントラストを出しやすい点は気に入りました。ただ、Solar Toolbox単体で十分かというと、そういうわけでもないので、他ツールとの併用がいいのかと思います。もう少し使い込んでみようと思います。






前回からの続きで、4月5日の太陽撮影の(その2)になります。


4月5日は快晴で雲のない時間帯が続いたので、大量に撮影したものがあって、その処理が長引いしてまいブログ記事を書く速度が全然追いついていないです。しかもその間に次の週末が来てしまい、新たな撮影が追加されてしまいました。前週のタイムラプス映像の処理がやっと終わったところで一旦記事にしておきます。


プロミネンスのタイムラプス映像

今回は太陽タイムラプスです。前回記事で見せた、太陽表面と周辺の画像撮影をした直後から、プロミネンスの連続撮影を開始しました。機材は前回記事の撮影と同じで、口径20cmのC8にPSTを取り付け、ASI290MMで撮影してます。赤道儀はCGEM IIです。

プロミネンスは大型のものの方が変化が見やすいようです。大型のもので、特に長く伸びている淡いところは変化が激しいと予測し、前回記事にも載せた東端に出ているプロミネンスを引き続き撮影することにしました。今回もカメラの長手方向に収まるように、カメラを90度傾けて撮影し、北が右側、東が上側になるようにしています。

PCの画面を見ると、1枚撮影した時よりも長いプロミネンスが伸びて出ているようなので、早く撮影を始めたいところです。撮影間隔と各撮影でのフレーム数は迷いましたが、1分おきに200フレームとしました。トータル時間もまだ決めてなかったので、とりあえず120枚で2時間としておきました。これは途中でやめる可能性も含めてです。

撮影が始まるとしばらく暇になるので、朝食と、もう一本の太陽望遠鏡を準備してました。ここら辺は前回記事に書いてますね。結局のんびりしていたら2時間が過ぎてしまっていて、PCを見たらすでに撮影が終わっていました。ところが、撮影したものを見てみると、30分を過ぎたあたりから少し雲が出ていて画面が暗くなっていたこと、長く伸びるプロミネンスはわずか30分でほぼ消えたこと、その後のシーイングは少し劣ることなどから、最初30分だけで処理することにしました。やっぱり早く撮影を始めれば良かったとこの時点で反省しました。

このプロミネンスタイムラプスの画像処理は、その後1日くらいで終えることができました。今回は静止画と同じく、見栄えがいいようにカラー化しています。カラー化する際、これまで色がなかなか安定しなかったのですが、静止画でいろいろ試して、やっと安定化する目処がついてきました。ここら辺の処理については別途記事にする予定です。

大まかな処理の流れは
AutoStakkert4! -> ImPPG -> PixInsight -> FIJI->ffmpeg
といったような順です。多数枚の連続処理なので、いつも仕上げに使っているPhotoshopだとちょっと面倒なので、今回はPhotoshopは使わないようにしました。
  1. ImPPGは細部出しと位置合わせをしています。プロミネンスは光球面と周辺部のコントラスト比が高いので、これだけでもある程度位置合わせできます。
  2. PixInsightはSolarToolboxで色出しと、Blinkで連番ファイルの書き出しです。
  3. 連続処理はImageContainereとProcessContainerを使っています。
  4. 位置出しは相変わらずFIJIが最強です。
  5. 動画化はffmpegです。

結果ですが、やはりシンチレーションが良かったのでしょう。動画にしてもそこそこ細部が出ています。

  • 2025年4月5日8時31分-9時8分

わずか30分ですが、プロミネンスの形も、長く伸びた筋も激しく変化しているのがわかります。ツンツン出ているスピキュールも分単位で出たり消えたりしています。光球面の模様に関しては、まだ精度よく出ているとは言えません。これは今後の課題でしょう。

1分おきでの撮影でしたが、これだけ激しい変化なのでやはり30秒ごと、できれば10秒とか20秒ごとでもいいかもしれません。特にスピキュールの出入りは相当速いようで、1分単位だと明らかに短すぎです。

1枚あたりのフレーム数の200枚ですが、この枚数だとやはり少な過ぎで、ImPPGでの細部出しの際に粒状のノイズが目立ってしまったのが気になります。これはフレーム数を1000枚程度まで増やすとかなり改善することはわかっているのですが、今後数時間単位の撮影を考えると、ディスク容量が足りなくなることは目に見えているので、できれば増やしたくありません。少なくとも今回の200枚では、ノイズ処理が必須でした。逆にノイズ処理を前提とするなら、200枚からどこまで減らせるかの方に興味があります。例えば、SharpCapのリアルタイム処理では100枚でもそこそこ見える画像になります。

フレーム枚数を増やすと、1ショットあたりの撮影時間も伸びるので、撮影間隔をあまり短くできないことも問題です。フレーム枚数を増やしても撮影間隔を短くしても、いずれもファイルの総量は大きくなっていきます。画質とディスク容量のトレードオフなのですが、今後もいい落とし所を探っていこうと思います。


太陽黒点周りのタイムラプス映像

プロミネンスタイムラプスの撮影が終了すると、そのまますぐに黒点周りのタイムラプス撮影に移りました。これも1分おきに200フレームで、2時間分撮影しましたが、こちらはそのうちの最後20枚だけ捨てて、約100枚を使うことにしました。

太陽表面は動きが少ないので2分おきでもいいと思っていましたが、まだよくわからなかったので今回は1分おきにしました。でも結果を見る限りかなり動きが速い部分もあり、1分で良かったと思っています。

プロミネンスとの処理の違いは、各種パラメータくらいで、大まかな行程はほとんど同じです。処理はその後数日けかてやっています。ある程度の時点で一度Xに投稿しましたが、コントラストがあまり高くなくて縞模様の動きがあまり目立っていないがどうしても気に入らなくなり、その後Photoshopのアクションの多数枚処理で色を変えたことが、プロミネンスの時の処理からの大きな違いでしょうか。

結果は以下のようになりました。変化がわかるように、25fpsで動画化してあります。短いので、よかったら繰り返し見てやってください。

  • 2025年4月5日10時40分-12時48分

出来上がった映像は、自分的にはかなりインパクトがありました。太陽表面はそこまで動いていないと思っていたのですが、一部は非常に激しく動いています。この激しく動いているところは、プロミネンスやダークフィラメントに相当する部分なのでしょうか?同じような模様に見えても、動きの差が場所によって全然違っています。

後半には小さいですが、一部フレアと思われる明るいフラッシュが見えています。フレアだとしたら、私としては初めて撮影できたことになります。


まとめ

今回、処理に思ったより時間がかかりましたが、できた太陽タイムラプス動画はすごいインパクトがありました。ずっと見てても飽きません。特に黒点周りの方は、最初の動画バージョンができた時に1時間くらい見続けていて、どこが面白くてどこの処理を変えたらいいとか、ずっと考えてました。

ちょっとした変更がとても大変だと言うことも今回実感しました。動画にして始めて判断できるところもあり、気に入らなくて途中のパラメータを触ろうとすると、最後までの処理を再び延々とやり直しになります。

今回時間をかけた甲斐もあり、方針も方法も大分見通しがついてきたと思います。今の機材でどこまで出せるのか、もう少し挑戦したいことがあるのでしばらくは太陽を続けようと思います。

ちなみに、この日の撮影だけでファイル総量は181GBにもなってしまいました。使わなかった動画ファイルを捨ててもこの量です。これからずっとタイムラプスを続けるとしたら、ちょっと考えたくなる量です。

次の記事はカラー化のことを書いておこうと思っています。











つい先日仕上げた勾玉星雲ですが、赤が強いのが気に入らなかったので再処理しました。


RGB画像の見直し

WBPPまでは同じですが、そこからはかなり方針を変えています。元々はAOOにRGBの恒星を加えたようなものでした。Hαはよく撮影できているので、この階調の豊かさを残したかったのです。問題はOIIIで、星雲本体の際中心部以外にはほとんど構造を持っていなくて、結局は背景を含むほとんどの場所が赤一色になってしまい、もうどうしようもないです。

そこで改めてRGB画像を見てみました。自宅撮影で背景光が明るくて、スカイノイズが支配的なためにノイジーなのですが、強炙り出ししてみるとそこそこ階調が残っていることがわかります。例えばHαとR画像を比較すると、

Hα画像:
MGC2048_5_10_better_BXT_HT_NXT_back_LHE_A_s

R画像:
Image22_R_s
と、Hα画像に比べてR画像はノイジーですが、同じような形の模様が見えています。

ところがOIIIとB画像を比べてみると

OIII画像:
integration_O_ABE2_SPFC_BXT_back_LHE_OIII_s

B画像:
Image22_B_s
B画像の方が当然ノイジーなのですが、より広い領域にわたり青成分が広がっているのがわかります。

ちなみにG画像は以下のようになり、これもOIII画像より構造を含んでいます。
Image22_G_s

というわけで、方針としてはRGB画像のRをHαと入れ替え、GとBは少しきつめのノイズ軽減をしてきちんと使い、OIIIは最初から使わないという方向でいきます。


比較

結果は
Image26_HT4_cut_s

となり、赤の諧調をそこそこ残しつつ、星雲本体の中心以外はほぼ赤一辺倒だったものから脱却し、多少なりともBとかGを生かすことができました。前回はMGCで頑張って調整したRGBをほぼ全く生かせてなかったのですが、これでMGCの結果も生かせたことになります。

ちなみにAOOベースのものはこれだったので、やはりかなり赤だけが相当強いのがわかります。
Image03_AOO2_s_brighter_cut

ただ、こうやってAOOベースと比べるとRGBベースはどうしてもノイジー感が出てしまいます。これは痛し痒しで、まあ彩度とノイズレスのどちらを取るかなので、仕方ないですね。


MARSデータベースのアップデート

3月21日にこの記事を書いているのですが、画像処理は昨日のうちに終えています。ちょうど今朝、新しいMARSデータベースがリリースされたとアナウンスされました。なんとOIIIデータが含まれたらしいです。これでAOOは可能になり、SAOもRをSに適用することで簡易的に可能となったとのことです。あと、オリオンのデータの露光時間が68分から11時間と約10倍になったとのことですが、もうオリオンも季節終わりなので、実際に使えるのは来シーズンでしょうか。

今回のRGB+Aでの画像処理ですが、せっかくのMARSアップデートなので、今一度OIIIを復活させて再再処理してみてもいいかもしれません。

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